あおもりから問うSTS -お金とエネルギー政策をつなぐ-
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あおもりから問う STS―お金とエネルギー政策をつなぐ―
八戸高専 物質工学科 5 年
川端 康正
「起」:エネルギーにまつわる話 あおもりといえば、りんご?さる?再処
理? 脱原発活動 2 年生 など「承」:わたしと SC, STS との出会い SC (Science Communication) 、 STS (Science, Technology, Society) とは?「転」:お金にまつわる話 シルビオ・ゲゼル 「減価する貨幣」「結」:お金とエネルギー政策をつなぐ 村上敦さんの一言 原子力損害賠償制度
りんご
米
にんにく
ながいも北
限の
サル
いか
マグロあおもりといえば・・・
再処理工場ウラン濃縮工場低レベル埋設高レベル貯蔵
東通原発
原子力船「むつ」使用済み核燃料中間貯蔵
大間原発
脱原発活動 2 年生
原子力の一側面―あまり言われないこと―
• 原発の発電効率はおよそ 3 割 ( 東電の火力は 6 割 )• 温排水 (100 万 kW 級:+ 7℃、毎秒 70 トン )• 活断層 ( 地震が起こればわかる )• 原発の解体 ( かさむ費用、解体年数 20 年 )• 放射性廃棄物 ( どこへ? ) 、劣化ウラン ( 兵器 )• 核燃料サイクル ( もんじゅの再開はいかに! )• プルサーマル ( 進まない再処理 )• 原発労働者 ( 人海戦術、・・・ )• ウランの採掘 ( 差別、放射線を出す粉塵 )• 二分した町・村 ( 殴りあい、恨み合いの村人・町
民 )• 進まない自然エネルギー ( 原子力に注がれる )
大間原発
原水禁 http://gensuikin.org/mt/000499.html より引用原子力資料情報室 (CNIC) http://cnic.jp/modules/news/index.php?storytopic=1&start=40 より引用
上関原発
借用:おやしお ML 2181Teiko Kobayashi 氏撮影
何で日本は原発を建て続けようとするのか?これ以上原発をつくる必要はあるのか?
SC (Science Communication)• 市民が科学と向き合うために・・・ ( 川端 )
• 英国では古くから科学の啓蒙活動• 日本では若者の科学技術離れ• 「欠如モデル」 一般市民は「器」• 「文脈モデル」 一般市民の興味に合わせる ①興味をもつ
②理解できる知識を持つ
③議論できる能力を持つ( 引用・参考:『科学コミュニケーション論』 藤垣裕子ら
2008)
STS (Science, Technology, Society)
• 科学技術社会論 Science and Technology in Society
Science, Technology and Society
Science/Technology/Society
• 「科学に問うことができて 科学には答えられない」 (ワインバーグ )
• 科学技術の社会的意思決定 GM 、クローン、公害、気候変動、原子力、薬
害、・・・( 引用・参考:『科学技術社会論の技法』 藤垣裕子 2005)
サイエンスアゴラ 2009
「お金」のはなし
• 『エンデの遺言 「根源からお金を問うこと」』 (NHK 出版 2000 年第 1刷、 2009 年第 18刷 )
ミヒャエル・エンデ 「・・・人間が生きていくことのすべ
て、・・・経済活動と結びつかないものはありません。問題の根源はお金にあるのです」
お金ってなんだろう・・・
お金の供給者 銀行
• 銀行 (Bank) の語源 ↑ banco( イタリア語;記帳台 )
↑ banki( 古ゲルマン語;防塁→安楽椅子 )
お金は劣化しない上に、何で、お金にはプラスの利子がつくの
か
減価する貨幣?
• 利子が利子を生む錬金術• 持てる者と持たざる者の差は広がる一方• ものの価格の 25% は利子が含まれている→勤労や事業活動に対する明らかな負荷• シルビオ・ゲゼル 「減価する貨幣」 自由貨幣 (消滅貨幣、スタンプ貨幣 ) シュバーネンキルヘン (1931 年 ) 「ヴェーラ」毎水曜
0.1% の減価 ヴェルグル (1932 年 ) 「シリング」 毎月 1% の減価
お金を使い分ける ( 川端 )
• 私たちは何のために生きているのか。お金は必要な分あればいい。「円」でしか買えないものは「円」で買えばいいし、地域に流通する通貨で地域で作られたものを買えばいいし。
• 生きるために、多くの時間をお金を得るために捧げている。
• すべてのものを、お金という唯一の価値尺度に当てはめるのには無理がありそう。
• 原発等の地方への押し付けは典型的
「お金」と「エネルギー政策」
• 村上敦さんの一言「脱原発には保険論」• 『保険の社会学』 ( 本間照光、 1992 年 )
「保険は、現代の社会と生活を映し出す鏡である。しかも、鏡の中にいる人びとには、鏡も映し出されている自分自身もみえないという不思議な世界がひろがっている。保険のハウツーものは世にあふれていながら、これまで人は、保険という視点から鏡の中をみてはこなかったし、社会科学においても、その視点はみおとされてきた」
原子力の一側面―あまり言われないこと―
• 原発の発電効率はおよそ 3 割 ( 東電の火力は 6 割 )• 温排水 (100 万 kW 級:+ 7℃、毎秒 70 トン )• 活断層 ( 地震が起こればわかる )• 原発の解体 ( かさむ費用、解体年数 20 年 )• 放射性廃棄物 ( どこへ? ) 、劣化ウラン ( 兵器 )• 核燃料サイクル ( もんじゅの再開はいかに! )• プルサーマル ( 進まない再処理 )• 原発労働者 ( 人海戦術、・・・ )• ウランの採掘 ( 差別、放射線を出す粉塵 )• 二分した町・村 ( 殴りあい、恨み合いの村人・町
民 )• 進まない自然エネルギー ( 原子力に注がれる )
原子力保険のパラドックス (逆説 )
• (p.76 より引用 )
「ちなみに、原子力損害賠償制度を検討してみるならば、原発の安全性についての決定的ともいえる回答を引き出すことができるのである。たとえば、法規に従って運転されていれば安全といえるのか、地震による放射能漏れはありえないのか、そもそも原発設置を推進している当事者自身が、原発を安全なものと考えているのか、などについてその実態が明らかになり、安全性論争に終止符を打つことさえ可能であると言ってよい。」
原子力保険
• 原子力損害賠償制度 (強制 ) (600億円 ) ①原子力損害賠償責任保険契約 ②原子力損害賠償保障契約 (② は①で免責とされているものを担保 )
・地震・噴火・津波
・正常運転
・事故後 10 年以降の被害者からの請求
• 原子力財産保険 (任意 ) (1000億円 ) 原子力施設の物的損害を填補
原子力損害賠償制度• 原賠法は、原子力損害に対する 「被害者の保護を図り、及び原子力事業の健全な発達に資することを目的」 ( 一条 )
• 正常運転 「原子力施設が、保安、運転等の基準になんら違反のない状態で運転され、かつ、原子力事故発生の原因となるような施設の損傷、天災地変、第三者の行為がない場合を意味する」
• 地震 「諸外国の原子力保険プールは日本の地震保険を門前払い」
これからの課題 ( 川端 )• 反原発・脱原発運動者は、いわば、国や電
力会社が用意した土俵 (安全論議 ) 上で相撲をとってきた。その土俵は一般の市民の興味関心をひくものではなかった。また、複雑なルールにはついていけなかった。
• 新しい土俵上での相撲を望む。新しい土俵は、一般の市民の興味関心を引く保険論である。保険会社はリスク算出のプロである。リスク判定により、市民の間に原発の再考を促す。
• まだまだ、課題は多い (貧困、戦争、エネルギー、差別、お金、医療・介護、・・・ )
• 生き方の問題 「電気を使わせられている ( 川端 ) 」→非電化へ
このスライドは2010年 01月 30日に行われた高専カンファレンス in八戸にて発表されたものです。
Kosen Conferencein hachinohe