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STEP :目標を設定する -...
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大事な試合や目標とする大会でベストパフォーマンスを発揮するためには、「計画性」が必要です。試合当日にピークの状態で臨むために、1年間をいくつかのシーズンに期分けして、短期的、長期的にトレーニングを計画することを「ピリオダイゼーション」といいます。一定の強度でトレーニングを続けても、次第に体が慣れてしまい、体力の向上が見られなくなります。体力を向上させるためには、トレーニングの強度も徐々に上げていく必要があり、これをトレーニングの「漸進性の原則」といいます。また、トレーニング負荷、量、頻度、内容など、強度を決める要素を「トレーニング変数」といいます。ピリオダイゼーションでは、このトレーニング変数を変化させる時期を明確にし、体をトレーニングに適応させながら、試合に向けて効率良くコンディションを整えていきます。
ピリオダイゼーションの長所として以下のことが挙げられます。
練習量の分だけ試合で結果が出るのであればトレーニング計画は必要ないかもしれません。しかし、毎日同じ内容の練習を同じ強度で行っていても、次第にその練習に慣れ、モチベーションは低下します。スポーツによっては特定の筋肉や関節に負担がかかってしまい、オーバーユース(使いすぎ)症候群を引き起こす原因にもなります。ピリオダイゼーションを取り入れることで目標が明確になり、毎日の練習に目的を持って取り組むことができるでしょう。また、休養や疲労回復に充てる時間を計画的に設けることができ、オーバートレーニングやオーバーユース症候群を予防することにもつながります。
試合の1~2ヶ月前からは、技術練習や戦術練習を主とします。実践に近い練習を取り入れ、試合に勝つためのトレーニングを行います。試合の1週間ほど前からは筋力トレーニングなどのフィジカル面のトレーニングの量を減らします。
<ピリオダイゼーションの重要性>
具体的なトレーニング計画の作成方法とピリオダイゼーションの導入例を紹介します。右ページ下の表は、トレーニング計画表の例です。
STEP :目標を設定する
STEP :シーズンに分ける
試合前期:
STEP :各シーズンにおけるトレーニングの目的を決める
<ピリオダイゼーション実践>
トレーニング計画を作るときに一番重要なのは「目標設定」です。まず、1年間の中で最も重要な大会がある時期を決めます。目標とする大会はいつなのか、その大会でどのような結果を残したいのか、目標とする大会への出場条件(地区予選通過など)を確認し、チーム・ 個人で明確な目標を掲げましょう。年にいくつか大会がある場合は、その中でも最も重要な大会を最終目標と位置づけ、その他の大会に関してはサブ目標と位置づけます。
目指すべきゴールが明確になったら、次に1年間をいくつかのシーズンに期分けします。ここでは1年間を4つのシーズンに分け、各シーズンの主なトレーニング内容を紹介します。
設定した期間の中で、トレーニングの目的や練習内容などを決めていきましょう。また、各シーズンの始めや終わりなどに体力測定を行い、トレーニング成果を評価することが大切です。その結果によって、各シーズンのトレーニング内容や量を調整しましょう。
トレーニング計画が完成したら、後は実践するのみです。しかし、完璧なトレーニング計画などは存在しません。ここで紹介している例にこだわることなく、選手のコンディションや大会スケジュールによって柔軟に計画することが大切です。ピリオダイゼーションの考え方は、効率的なトレーニング計画を立てる上でとても役に立ちます。トレーニングの方針を明確にして、毎日の練習に目的を持って取り組みましょう!
ピリオダイゼーションは、現在でも研究が続けられている分野であり、各期の名称や内容に関しては、研究者や指導者の間でも様々な見解が存在します。本記事で用いている用語は「すべてのアスリートのためのファンクショナルトレーニング(James C. Radcliffe著)」を参考にしています。
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目標とする試合にピークの状態で臨むことができる 毎日の練習に目標・目的を持って取り組むことができる 練習内容のマンネリ化を防ぐことができる オーバートレーニング、オーバーユース症候群の予防 など
鍛錬期とも呼ばれ、筋力や持久力、バランス能力など、スポーツの基礎となる体作りの期間です。目標とする試合まで時間があるので、基礎トレーニングをしっかり実施できます。体力テストを行い、基礎体力で不足している面を強化しましょう。
準備期:
試合が行われる期間であり、ここにあわせてコンディションをピークの状態に持っていきます。試合に向けて疲労をためすぎないことが重要ですが、試合期が数週間から数ヶ月間に及ぶ場合、この時期に全くトレーニングをしないと体力は低下します。体力を維持するためにも、短時間で高強度のトレーニングを行いましょう。
試合期:
試合期直後の期間です。低強度のトレーニングやレクリエーションなどによって、ケガや疲労の回復を行います。試合を振り返り、次のシーズンに向けた準備をします。
移行期:
1
2
3
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トレーニング計画の中で、トレーニングの頻度が増す「準備期」や、強度が高くなる「試合前期」は、特に疲労がたまりやすくなります。基礎体力を向上させるためには、疲労を効率よく取り除き、さらに負荷の高いトレーニングに取り組めるように体をケアする必要があります。また、オーバートレーニングやオーバーユース症候群が起こる可能性も出てきます。過去のケガの履歴を考慮し、トレーニングの強度や時間が過剰ではないか見極めながら、しっかりと疲労回復を行いましょう。
完全休養ではなく、軽く運動をすることで回復を促す方法を「アクティブリカバリー」といいます。血液の循環を促進させることで、体内に停滞した疲労物質を取り除き、回復につながります。気持ちいいと感じる程度の軽い有酸素運動とストレッチを30~40分行うとよいでしょう。ただし、種目や年齢、競技レベル、トレーニング負荷などによって、疲労度は異なり、すべての場合において、この方法が適しているわけではありません。体を動かせないほど疲労度が高いときは、まずは回復するための栄養をきちんと摂り、完全休養しましょう。運動できるぐらいの回復を感じるようになってから、軽い運動を開始して血流を高め、アクティブリカバリーに移ると効果的です。
1. アクティブリカバリー2. 身体的ストレスと精神的ストレスの解消3. 質の高い睡眠(集中した睡眠時間や昼寝など)4. 栄養と水分の補給5. サプリメントの摂取6. 冷却療法(アイスバス、アイスパックなど)7. 温熱療法(ホットバス、ホットパックなど)8. マッサージ
疲労回復には以下のような方法があります。
ここでは、アクティブリカバリーと冷却療法の必要性と方法を詳しく取り上げます。
アイシングは、繰り返し体を動かすことで発生した炎症の早期回復に非常に有効です。患部を冷却すると、一時的に血管が収縮します。アイシングを終えると、今まで収縮していた血管が拡張し、細胞組織に多量の血液が流れることで、疲労の原因となる乳酸や老廃物が除去され、結果として疲労回復が早まります。また、コンタクトスポーツで起こる衝突による外傷の処置としても必要となります。患部に起こる内出血を最小限に抑え、損傷の拡大を防ぐことで、回復が早くなります。また、麻酔効果により痛みを軽減させ、筋の興奮を抑制して緊張を軽減させる効果もあります。
<冷却療法(アイシング)>
<アクティブリカバリー>
<疲労回復の方法>
冷やしたい部位が浸かる程度の水を入れ、水温を13~15˚Cに調整し、10~15分入ります。大きめのポリバケツをバスタブとして利用することで、場所を選ばずに、練習後すぐに入ることができます。2時間以上のランニングや90分以上の激しい運動など、強度の高いトレーニングの後に効果的です。また、気温が高い夏季であれば、運動によって上昇した体温を下げるのにも効果的です。冷水浴を行うことで精神的にも落ち着くことができます。
氷のうやビニール袋に氷を入れたアイスバッグ(ピックアップ参照)を10~15分間患部に当てます。1回のアイシングで痛みが軽減しない場合は、20~30分間隔をおいて、2~3度行ってください。長い時間アイシングをしてしまい、凍傷を起こさないように皮膚の色と状態を確認しながら行いましょう。
アイスバッグ
アイスバス(冷水浴)
紙コップに水を入れて冷凍庫で凍らせたものを使用して、疲労した部位や痛みのある部位に当て、こすりながらマッサージを行います。氷が溶けた分だけ周りの紙を剥がしながら使用できるため、手が冷たくなりません。また、短時間で患部が冷えることも利点です。
ここで紹介した疲労回復は、トレーニングの強度が高いときや、時間が長いときに効果があります。試合直前の調整や軽度のトレーニング後においては必ずしも必要ではありません。常に体の状態を考慮して効果的な疲労回復を行いましょう。〈参考書籍〉「リカバリー(SAGE ROUNTREE著 山本利春 監訳)」
アイスマッサージ
発行:株式会社クレーマージャパン 〒360-0024 埼玉県熊谷市問屋町4-2-2 TEL:048-527-1977 FAX:048-527-1978 記載内容の無断転載・転用を一切禁じます。
○筋力、柔軟性、バランス能力など、競技を行う上で基礎となる体力を向上させる (筋力トレーニング・持久走・SAQトレーニング など)○ケガにつながるような高強度のトレーニングは行わない○トレーニングの頻度が増えるので、しっかりと疲労回復を行う
○体力測定を実施し、現在の体力レベルを知る○筋力、柔軟性、バランス能力など、競技を行う上で基礎となる体力を向上させる (筋力トレーニング・持久走・SAQトレーニング など)○合宿などを行い、集中的なトレーニングを実施する
○前半はゆっくり休み、違うスポーツを行うなどし、リフレッシュする○後半は体力測定を行い、トレーニング内容を見直す○基礎体力で不足している面を強化する
○技術練習、戦術練習を行い、試合の勘を取り戻す○実践的なスピードトレーニングやパワートレーニングを取り入れる○トレーニングの強度が高くなるので、しっかりと疲労回復を行う
○戦術練習を主に行う ○練習試合などを行い、試合に向けたリハーサルをする○体力を維持するために強度の高いトレーニングを適度に行うが、 疲労を残さないように短時間で終わらせる
○回復に専念する ○次の大会に向けたトレーニング計画を立てる
STEP 3
12月11月10月
9月8月7月6月5月4月3月2月1月月
ステップ
地区大会(サブ目標)
県大会(最終目標)地区大会(サブ目標)
イベント シーズン
準備期
試合前期
試合期
移行期
準備期
試合前期試合期
移行期/準備期
STEP 1 STEP 2