SKRILLEX最新作!!ストのリミックスを手がけ、EP『Scary Monsters & Nice Sprites』...

1
激ロック・マガジンには初登場の SKRILLEX だが、その名前を知らない 人はあまりいないだろう。KORNの最新作『The Path Of Totality』を 傑作へと導くのに大きな貢献をしたのは紛れもなくSKRILLEXであったし、 他にも LADY GAGA や BLACK EYED PEAS など数々の大物アーティ ストのリミックスを手がけ、EP『Scary Monsters & Nice Sprites』 はチャートを軒並み独占し、米グラミー賞では 5 部門にノミネートされ 3 部門を受賞している。SKRILLEX は、正に 2011 年を代表するアーティ ストの座に君臨したのだ。 SKRILLEXことSonny Mooreは、ユニバーサルからメジャー・デビュー も果たしている FROM FIRST TO LAST のヴォーカリストという経歴 を持つ。バンドを脱退した後、2010 年 に SKRILLEX としての 活動を 始めている。スクリーモやハードコアをバックグラウンドに持つ彼が、 マイナー・コードでノイジックで享楽的 なレイヴ系ダブステップに目 を付け たということは 非常に 納得がいく。しかし『 Scary Monsters & Nice Spri tes』を聴けば分かる通り、彼のサウンドは BPM140 ハー フ・テンポ の ダブステップだけでは なく、フィジェット・ハウスを含む エレクトロ・ハウス(四つ打ち)の曲も充実しているのだ。この絶妙な バランス感覚があったからこそ、『Scary Monsters & Nice Sprites』 は世界中のリスナーを熱狂させたのだろう。シングル「Scary Monsters & Nice Sprites」や「Rock N' Roll(Will Take You To The Mountain)」で、世界中のクラブのフロアがどれだけ盛り上がっ たことだろうか。 さて、近年ラウドロック界隈でもダブステップというジャンル(いや、 流行語か?)が浸透しているが、その接点をより固く結び付けたのが SKRILLEX だ。その前にも PENDULUM や THE QEMISTS のアルバム の中の数曲や、メタル・バンドのリミックス・トラックなどから、じわ じわとダブステップ特有のリズムに対してある程度の慣性は出来ていた のではないかと思うが、そんな“もう一歩!”という状況の中でリリー スされた『Scary Monsters & Nice Sprites』は、ラウドロック・リ スナーにとっての“ダブステップ代表作”として決定的なものとなった。 そんな SKRILLEX が放つ待望の新作『Bangarang』だが、この作 品は 『Scary Monsters & Nice Sprites』と同様、圧倒的な熱量と、ノイ ジー なディストー ションと、ブレ イクダウンを彷彿とさせるリズム が あり、エモーショナルさも享楽性も併せ持つ雑食性が貫かれている。更 に特筆すべきは、THE DOORS の Ray Manzarek と Robby Krieger との共作「Breakn' A Sweat」。あまりに偉大 な 60 年代のロック・ レジェンドである彼らに“これこそ 21 世紀の THE DOORS のサウン ドと言いたい”と語らせてしまうほどの素晴らしい仕上がり。Ray Manzarek 特有のキーボード・メロディと、新世代のレイヴィーなダブ ステップがこれほど相性が良いとは。いや、SKRILLEX はコラボレート するアーティストの持ち味を最大限に生かすことにかけても天才なのだ ろう。他にも、ジャングル、グライム、ドラムンベース、ダブステップ などのエレメントがごった煮となった「Kyoto (Feat. Sirah) 」や、問 答無用容赦なし!とばかりに畳み掛けてくる「Right On Time」など、 極端なのに不思議なバランス感覚を保つ優れた曲ばかりが 収録されて いる。 とあるアーティストが、SKRILLEX のサウンドについてこう分析してい た。彼のサウンドは、ベースラインに数百万個の倍音を詰め込み、全周 波数帯域をフル・ヴォリュームで鳴らしているのだと。そう、これが我々 ラウドロック・リスナーにとっての、SKRILLEX の魅力なのだ。突き抜 けた享楽性と速効性と爆音の快楽。そして、本質的なミクスチャー感覚 と、優れたバランス感覚。これほどに同時代性を感じさせてくれるアー ティストはそうそういない。そう、SKRILLEX は“今”聴くことがとて も重要なのだ。 フル・アルバムのリリースも待ち遠しいところだが、まずは『Scary Monsters & Nice Sprites』と『Bangarang』をセットで購入してみ て欲しい。エレクトロ・ミュージックの一環としてのみならず、ラウド・ ミュージックの延長線としても高い機能を果たしているということを感 じずにはいられないだろう。(KAORU) SKRILLEX 最新作!! 『Bangarang』 [WARNER MUSIC JAPAN] 2012. 4. 25 ON SALE!! WPCR-14455 \1,580(税込)

Transcript of SKRILLEX最新作!!ストのリミックスを手がけ、EP『Scary Monsters & Nice Sprites』...

Page 1: SKRILLEX最新作!!ストのリミックスを手がけ、EP『Scary Monsters & Nice Sprites』 はチャートを軒並み独占し、米グラミー賞では5部門にノミネートされ

激ロック・マガジンには初登場の SKRILLEX だが、その名前を知らない

人はあまりいないだろう。KORN の最新作『The Path Of Totality』を

傑作へと導くのに大きな貢献をしたのは紛れもなくSKRILLEXであったし、

他にも LADY GAGA や BLACK EYED PEAS など数々の大物アーティ

ストのリミックスを手がけ、EP『Scary Monsters & Nice Sprites』

はチャートを軒並み独占し、米グラミー賞では 5 部門にノミネートされ

3 部門を受賞している。SKRILLEX は、正に 2011 年を代表するアーティ

ストの座に君臨したのだ。

SKRILLEXことSonny Mooreは、ユニバーサルからメジャー・デビュー

も果たしている FROM FIRST TO LAST のヴォーカリストという経歴

を持つ。バンドを脱退した後、2010 年に SKRILLEX としての活動を

始めている。スクリーモやハードコアをバックグラウンドに持つ彼が、

マイナー・コードでノイジックで享楽的なレイヴ系ダブステップに目

を付けたということは 非常に納得がいく。しかし『Scary Monsters

& Nice Sprites』を聴けば分かる通り、彼のサウンドは BPM140 ハー

フ・テンポのダブステップだけではなく、フィジェット・ハウスを含む

エレクトロ・ハウス(四つ打ち)の曲も充実しているのだ。この絶妙な

バランス感覚があったからこそ、『Scary Monsters & Nice Sprites』

は世界中のリスナーを熱狂させたのだろう。シングル「Scary

Monsters & Nice Sprites」や「Rock N' Roll(Will Take You To

The Mountain)」で、世界中のクラブのフロアがどれだけ盛り上がっ

たことだろうか。

さて、近年ラウドロック界隈でもダブステップというジャンル(いや、

流行語か?)が浸透しているが、その接点をより固く結び付けたのが

SKRILLEX だ。その前にも PENDULUM や THE QEMISTS のアルバム

の中の数曲や、メタル・バンドのリミックス・トラックなどから、じわ

じわとダブステップ特有のリズムに対してある程度の慣性は出来ていた

のではないかと思うが、そんな“もう一歩!”という状況の中でリリー

スされた『Scary Monsters & Nice Sprites』は、ラウドロック・リ

スナーにとっての“ダブステップ代表作”として決定的なものとなった。

そんな SKRILLEX が放つ待望の新作『Bangarang』だが、この作品は

『Scary Monsters & Nice Sprites』と同様、圧倒的な熱量と、ノイ

ジーなディストーションと、ブレイクダウンを彷彿とさせるリズム が

あり、エモーショナルさも享楽性も併せ持つ雑食性が貫かれている。更

に特筆すべきは、THE DOORS の Ray Manzarek と Robby Krieger

との共作「Breakn' A Sweat」。あまりに偉大な 60 年代のロック・

レジェンドである彼らに“これこそ 21 世紀の THE DOORS のサウン

ドと言いたい”と語らせてしまうほどの素晴らしい仕上がり。Ray

Manzarek 特有のキーボード・メロディと、新世代のレイヴィーなダブ

ステップがこれほど相性が良いとは。いや、SKRILLEX はコラボレート

するアーティストの持ち味を最大限に生かすことにかけても天才なのだ

ろう。他にも、ジャングル、グライム、ドラムンベース、ダブステップ

などのエレメントがごった煮となった「Kyoto (Feat. Sirah) 」や、問

答無用容赦なし!とばかりに畳み掛けてくる「Right On Time」など、

極端なのに不思議なバランス感覚を保つ優れた曲ばかりが 収録されて

いる。

とあるアーティストが、SKRILLEX のサウンドについてこう分析してい

た。彼のサウンドは、ベースラインに数百万個の倍音を詰め込み、全周

波数帯域をフル・ヴォリュームで鳴らしているのだと。そう、これが我々

ラウドロック・リスナーにとっての、SKRILLEX の魅力なのだ。突き抜

けた享楽性と速効性と爆音の快楽。そして、本質的なミクスチャー感覚

と、優れたバランス感覚。これほどに同時代性を感じさせてくれるアー

ティストはそうそういない。そう、SKRILLEX は“今”聴くことがとて

も重要なのだ。

フル・アルバムのリリースも待ち遠しいところだが、まずは『Scary

Monsters & Nice Sprites』と『Bangarang』をセットで購入してみ

て欲しい。エレクトロ・ミュージックの一環としてのみならず、ラウド・

ミュージックの延長線としても高い機能を果たしているということを感

じずにはいられないだろう。 (KAORU)

SKRILLEX最新作!!『Bangarang』

[WARNER MUSIC JAPAN]2012.4. 25 ON SALE !!WPCR-14455 \1,580(税込)