Since 2008 for Sustainable Development...SDGs: (SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS)...

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成果集 -SDGsへの貢献- Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development Since 2008

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成果集-SDGsへの貢献-

Science and Technology Research Partnership

for Sustainable Developm

entSince 2008

http://www.jst.go.jp/global/

@Friends of SATREPS

@SATREPS

[email protected]

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01 02

国立研究開発法人 科学技術振興機構

理事長 濵口道成

SATREPSは、地球温暖化や自然災害、感染症といった地球規模の課題解決を目指す、日本と開発途

上国との共同研究事業です。地球規模の課題は年々複雑化するとともに、開発途上国においては特

に深刻な状況となっており、もはや単一の国では解決不可能と言えます。これらを解決するためには、

国を越えた科学技術のイノベーションと人材の育成が必要です。

2015年9月、国連本部において「国連持続可能な開発サミット」が開催され、2030年までに国際社会

が協働して取り組むべき地球規模の課題をまとめた「持続可能な開発目標(Susta inable

Development Goals: SDGs)」が採択されました。

SATREPSでは、開発途上国と日本の研究者がともに課題に取り組み、現地のニーズを踏まえた実社

会で活用可能な知識や技術を新たに創り出していくことにより、国際社会に貢献していく方針です。

SDGs: (SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS)

2015年9月の国連総会において、17の目標と169のターゲットから構成される「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(SDGs)が全会一致で採

択されました。SDGsは、我が国を含む地球的・人類的課題を包摂して掲げた目標です。SDGsで掲げられている課題の達成は、国内的には我が国の

成長戦略の軸の1つである第5期科学技術基本計画に掲げる「Society5.0」や「第四次産業革命」の実現にも密接に関係し、また国際的には途上国

をはじめとした国際社会への貢献への基本理念でもあります。

国連では、SDGsの達成に向けて科学技術イノベーション(Science,

Technology and Innovation: STI)がどのように貢献できるかをテーマと

するフォーラムが2016年6月に初めて開催されました。SDGsの達成にお

いて、科学技術イノベーションは、私たち人類が直面している持続可能性

に関する諸課題の解決や、より良い政策決定に資する科学的根拠を提供

することに、強い期待が寄せられています。

SDGsの達成に科学技術イノベーションが貢献(STI for SDGs)してい

くためには、政府はもとより、大学、研究開発機関、NGOや企業等を含

めた様々なマルチステークホルダーが連携していくことが重要です。JST

では、シンクタンク機能、研究開発、産学連携、次世代人材育成、科学

コミュニケーション等多岐に亘る機能を活かしつつ、日本における

SDGsの活動に積極的に貢献していきます。

「持続可能な開発目標」について

ご挨拶

Science

and

Technology

Research

Partnership for

Sustainable Development

目次

ご挨拶 2

SATREPSについて 3

SATREPSのしくみとポイント 4

科学技術外交とSATREPS ーSDGsへの貢献ー 5

プロジェクトの成果 7

研究者の声 17

グラフで見るSATREPS 18

ご挨拶

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SATREPSでは、国内研究機関への研究助成のノウハウを有するJST、国

内研究機関への医療分野における研究助成を行うAMED※が、それぞれ

開発途上国への技術協力を実施するJICAと、国際共同研究全体の研究

開発マネージメントを協力して行います。

日本国内等、相手国内以外で必要な研究費については JST、AMEDが委

託研究費として支援し、相手国内で必要な経費についてはJICAの技術協

力プロジェクトの枠組みにおいてJICAが支援します。

SATREPS(サトレップス)は、開発途上国のニーズを基に、地球規模課題※1を対象とし、将来的な社会実装※2の

構想を有する国際共同研究を政府開発援助(ODA)と連携して推進します。

本プログラムでは、地球規模課題の解決及び科学技術水準の向上につながる新たな知見や技術を獲得すること

や、これらを通じたイノベーションの創出を目的としています。 また、その国際共同研究を通じて、開発途上国の

自立的研究開発能力の向上と課題解決に資する持続的活動体制の構築を図ります。

※2 社会実装とは?

具体的な研究成果を社会へ還元すること。研究の結果、得られた新たな知見や技術が、将来製品化され市場に普及する、あるいは行政サービスに反映されることにより、社会や経済に便益をもたらすこと。

※1 地球規模課題とは?

一国や一地域だけで解決することが困難であり、国際社会が共同で取

り組むことが求められている課題。

※3 キャパシティ・ディベロップメントとは?

国際共同研究を通じた開発途上国の自立的研究開発能力の向上と課

題解決に資する持続的活動体制の構築、また、地球の未来を担う日本

と途上国の人材育成とネットワークの形成。

SATREPSについて

競争的研究資金 × ODA技術協力プロジェクト

SATREPSについて

研究分野

環境・エネルギー 生物資源

防災 感染症※

国際共同研究期間3~5年

対象となる国(共同研究相手国)ODAの技術協力の対象となっている開発途上国等

プロジェクトの規模1課題あたり1億円程度/年JSTおよびAMED :3,600万円程度/年     JICA :6,000万円程度/年

内訳

相手国(開発途上国) 日本

研究チーム

JICA

→技術協力担当省庁

共同研究の合意文章(MOU)の取り交し

国内大学・研究機関等相手国大学・研究機関等

研究代表者&研究チーム研究代表者&研究チーム 専門家(日本側研究者)派遣

研究課題提案

採択採択

採択

文部科学省外務省

JST

JICA

AMED[ JST/AMED]・国内研究費等支援・プロジェクト管理・評価

[ JST/AMED]・国内研究費等支援・プロジェクト管理・評価

[ JICA]・研究機材供与/・研究者の日本への旅費・ 宿泊費等の支援(研修)

●共同で採択●連携・協力●相互補完的にファンディング

[ JICA]・現地研究費等支援・プロジェクト管理・評価科学技術等の関連機関・省庁

協力要請

ODA要請

SATREPSの3つの目標1.日本と開発途上国との国際科学技術協力の強化

2.地球規模課題の解決と科学技術水準の向上に つながる新たな知見や技術の獲得、 これらを通じたイノベーションの創出

3.キャパシティ・ディベロップメント※3

研究成果の社会実装に向けて

※感染症分野の研究課題は平成27年度より日本医療研究開発機構 (AMED)に移管(平成26年度までに終了した課題を除く)

SATREPSのしくみとポイント

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05 06

ラオス

ミャンマー

バングラデシュ

ベトナム

カンボジアタイ

マレーシア

インドネシア

パラオ

フィリピン

ネパール

アフガニスタン

トルコ

ナミビア

南アフリカ

ボツワナ

ザンビアモザンビーク

マダガスカル

スリランカエチオピア

ケニア

エジプト

インド

ブータン

スーダン

ウクライナ

セルビアクロアチア

モロッコ

アルジェリア

ブルキナファソ

カメルーンガーナ

ガボン

チュニジア

モンゴル

ツバル

ブラジル

ボリビア

ペルー

コロンビア

パナマ

メキシコ

アルゼンチン

チリ

科学技術外交とSATREPS

SATREPS運営統括

薬師寺泰蔵慶応義塾大学名誉教授、元総合科学技術会議議員

近年、地球温暖化や大規模な自然災害、食糧問題など地球規模での脅威が増しています。そんな中、開発途上国の総合的な対処能力の向上を図り、科学技術水準を向上させ、地球規模課題の解決を目指す「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム」(SATREPS)の取り組みが進められています。SATREPSは、日本の科学技術を適用、移転するという従来の手法に加え、日本と開発途上国の大学・研究機関が連携し、新たな技術の開発・応用や新しい知見の獲得のための国際共同研究を実施します。まさに、日本の科学技術を外交の資源として用いる科学技術外交政策を強化する役割を果たしています。

専門 : 国際政治学・科学技術政策論

科学技術外交とSATREPS ーSDGsへの貢献ーSATREPSは、科学技術の競争的研究資金と政府開発援助(ODA)を組み合わせた、これまでにない独創的な

枠組みです。

2008年の事業開始以降、世界40ヵ国以上で100件を超えるプロジェクトが実施されています。

日本と開発途上国が科学技術力の向上を図り、地球規模課題の解決へ向けた共同研究を推進するなかで、両国

の人材育成や科学技術の発展に大きく貢献し、社会実装につながる成果を生み出しています。

そのため、本プログラムは国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」に、日本がリーダーシップを発揮していくうえで

重要な役割を果たすことが期待されています。

プロジェクト実施国一覧地域別採択実績

研究分野・研究領域地域別内訳

アジア その他アフリカ

Total (115)

H H H H H H H H H

60 30 25

20 21 22 23 24 25 26 27 28

環境・エネルギー

4 4 - - - - - - -

3 2 4 1 2 3 1 3 4

- - 4 3 1 1 2 2 2

- 6 5 2 3 1 2 4 4

3 4 2 2 1 2 2 3 2

2 4 2 2 1 3 3 2 2

12 20 17 10 8 10 10 14 14

生物資源

防災

感染症

気候変動

地球規模の環境課題低炭素社会・エネルギー

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総合適応策の構築で水害リスクを削減、気候変動問題に貢献

南アフリカで世界初の快挙! 気候変動現象のメカニズムを解明

2025年に向けた低炭素社会シナリオを構築、理想の未来へ

あらゆる原料からBDFを開発、ベトナムでエネルギー革命を起こす

キハダマグロの完全養殖に挑む!資源の持続可能な利用に貢献

日本が誇るイネ最先端育種技術で、食糧問題を解決!

津波災害に負けないまちづくり、大地震から人々を救う科学のチカラ

湖水爆発の原因究明に貢献、カメルーン政府より受勲

プロジェクトの成果

タイ王国 9

南アフリカ共和国 10

マレーシア 11

ベトナム社会主義共和国 12

パナマ共和国 13

ベトナム社会主義共和国 14

チリ共和国 15

カメルーン共和国 16

生物資源分野

環境・エネルギー分野(環境)

(低炭素)

防災分野

プロジェクトの成果

港湾空港技術研究所 アジア・太平洋沿岸防災センター

富田 孝史 副センター長

チリ・カトリック教皇大学Rodrigo Cienfuegos 教授

チリ共和国

『津波に強い地域づくり技術の向上に関する研究』

東海大学 理学部大場 武 教授

カメルーン国立地質鉱物研究所

Joseph Victor Hell 所長

『カメルーン火口湖ガス災害防止の総合対策と人材育成』

カメルーン共和国

タイ王国

東京大学 生産技術研究所沖 大幹 教授

カセサート大学

NontawatJunjareon 講師

『気候変動に対する水分野の適応策立案・実施支援システムの構築』

海洋研究開発機構山形 俊男 所長 気候地球システム

科学応用センター

Neville Swejid 博士

『気候変動予測とアフリカ南部における応用』

南アフリカ共和国

大阪府立大学 人間社会システム科学研究科

前田 泰昭 客員研究員

ベトナム国家大学 ハノイ校Luu Van Boi 教授

『ベトナムおよびインドシナ諸国における、バイオマスエネルギーの生産システム(植林・製造・利用)構築による多益性気候変動緩和策の研究』

ベトナム社会主義共和国

京都大学 大学院工学研究科松岡 譲 教授

マレーシア工科大学Ho Chin Siong 教授

『アジア地域の低炭素社会シナリオの開発』

マレーシア

近畿大学 水産研究所澤田 好史 教授

パナマ共和国 水産資源庁

Ing. Amado A.Cano D. 所長

パナマ共和国

『資源の持続的利用に向けたマグロ類2種の産卵生態と初期生活史に関する基礎研究』

九州大学大学院農学研究院

吉村 淳 教授

ハノイ農業大学

Pham Van Cuong農学部長

『ベトナム北部中山間地域に適応した作物品種開発』

ベトナム社会主義共和国

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総合適応策の構築で水害リスクを削減、気候変動問題に貢献

環境・エネルギー分野(環境)

南アフリカで世界初の快挙! 気候変動現象のメカニズムを解明

環境・エネルギー分野(環境)

SDGsへの取り組み

SDGsへの取り組み

日本の国土の約4割に相当する流域面積を持つチャオプラヤ川は、農

業・工業・生活用水の貴重な水源になっている。しかし近年、気候変動

の影響で干ばつや洪水といった自然災害リスクが高まっていた。2008

年、SATREPS発足と同時にこのプロジェクトがスタートし、気候変化が

タイ国の水資源に与える影響をリアルタイムで観測、モデルによる予測

体制を構築することを目指して研究を進めた。だが、3年目の2011年、

チャオプラヤ川下流で恐れていた大洪水が発生した。日系企業が多く

進出している地域では、自動車産業や電子機器メーカーなどに甚大な

被害が生じた。プロジェクトチームはタイ政府に対して積極的に貢献す

るため、それまでに構築された観測網とモデルを柔軟に活用して分析

を行い、洪水によって引き起こされた影響を明らかにするとともに、そ

のシステムの実用性の高さを実証することに成功した。

先を見据えた研究推進と、想定外の自然災害における臨機応変な対応

によって、このプロジェクトの貢献がタイ政府にしっかりと認識された。

二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を削減し、気候変動

の進捗を遅らせる緩和策には各国が注力しているが、変動

は日々進行し続けている。このプロジェクトを通した社会の

防災力や変動への耐性を高める適応策の実施は、SDGs『気候変動への具体策(目標13)』の重要な要素である。また、地球温暖化に伴い激化が懸念される“洪水”問題。こ

れに対しては、“適切な土地利用や早期警戒警報システムの

導入などによって少しでも被害を減らす”、“貯水池運用規則

の柔軟な変更によって安定して水を供給する”、といった取

り組みは、『安全な水の供給(目標6)』や『住み続けられるまちづくり(目標11)』にも大いに貢献している。

プロジェクトの成果

タイ王国

気候変動・水循環モニタリングシステムの構築の際、タイの研究者からは日本の科学技術への信頼の声が多く寄せられた。実際に洪水が起きた際には、その期待に応え貢献することができた。一方、日本の研究者にも、斜面災害の早期警戒システムに関する地元住民との対話や、洪水調査時のヒアリングなどを通して、科学技術を社会で活用していくことの重要性が広く浸透した。

バンコク近郊・パツンタニ県の浸水の様子(2011年10月)

大洪水を受けてタイ政府と合同で開催したワークショップ。(2011年12月)現地の日系企業からも多数の参加者があった

「ダム貯水池の操作規則の違いが、洪水氾濫に及ぼす影響」の

推計も可能に

アフリカ南部は、自然に依存した農作物の生産形態のため、異常気象

の影響を受けやすい。そこでその原因となる南半球中緯度帯の気候変

動現象の発生・発達・減衰のメカニズムを、蓄積した観測データと数値

シミュレーションをもとに解明した。また、大気海洋相互作用を再現で

きるモデルを、スーパーコンピュータ「地球シミュレータ」で駆動。これ

まで困難とされてきた中緯度帯における気候変動現象の予測に、世界

で初めて成功したのである。

その結果、相手国から期待されていた農作物作付や栽培、水資源管理

において必要とされる高精度の気候予測の実現に応えることが出来

た。さらに、日本と南アフリカの若い研究者の「国際研究者ネットワー

ク」の形成にも注力。プロジェクト終了後も、南アフリカの気象局と成

果を継承・発展させる協定を結び、持続可能な社会の構築に大きく貢

献し続けている。

私たち人類の活動は、地球温暖化問題に代表されるように

地球システムの物質循環系に大きな影響を与えるように

なった。中でも、気候の変化は“エルニーニョ現象”や“ダイ

ポールモード現象※”など、事象の形態や強度・発生の頻度に

影響し、いまも世界各地に異常気象を引き起こしている。

このように不安定化する世界においては、適切な未来変動予

測が社会や産業の持続的な発展に不可欠だ。プロジェクト

では、『気候変動予測(目標13)』を実用化し、持続可能な農業などさまざまな面での貢献を目指した。また、国際連携の

もとマラリアなどの感染症の予測によって『健康的な生活の確保(目標3)』にも貢献が期待されている。

南アフリカ共和国

トマトの生産に従事するリンポポ州の農家の人々。季節予測結果の配信を心待ちにしている

※ダイポールモード現象とは、東インド洋熱帯域において海面水温が平年よりも低くなり、その一方で西インド洋熱帯域の海面水温が高くなる気候変動現象のこと。

このプロジェクトが創ったミライ 気温や降水量の変動予測は、干ばつ、洪水などの自然災害に対する防災面だけでなく、ワイン、小麦、トウモロコシなどの農産物への影響予測や、マラリアなどの感染症予測などにも極めて有効だ。プロジェクトの研究とその成果は、中緯度帯における季節予測の実用化に向けた、大きな一歩となった。まさに、“社会や産業界が必要とする未来情報を、天気予報のように前もって知ることができるミライ”への扉が開かれたといえる。

このプロジェクトが創ったミライ

左図:2010年4月に同年12月~2011年2月の降水量異常を予測した結果

日本と南アフリカで活発な成果報告会やシンポジウムが行われ、両国に加え、南アフリカの気候変動に関心を持つ世界の研究者間の連携も強化された

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SDGsへの取り組み

SDGsへの取り組み2025年に向けた低炭素社会

シナリオを構築、理想の未来へ

環境・エネルギー分野(低炭素)

あらゆる原料からBDFを開発、ベトナムでエネルギー革命を起こす

環境・エネルギー分野(低炭素)

マレーシアの経済特区、イスカンダル。現在この地域では多くの住宅・

オフィスや工場の建設が進み、二酸化炭素の排出増加が懸念されてい

る。これまでこうした開発は、街づくりは街のみ、工業開発は工場のみ、

環境計画は環境のみを別々に整合性などは考慮せずに行われてきた

が、それらを統合的かつ定量的に行う手法「低炭素社会シナリオ策定

手法」を開発し、マレーシアという限られたデータしか得られない地域

にも適用できることを実証した。これらの研究成果とその実証に基づ

き、プロジェクトチームは開始当初からイスカンダル開発庁と積極的

な協議を重ね、ついに「2025年に向けた低炭素社会計画」という開発

の基本となる“公式文書”を2013年に完成させた。そのうち、10以上の

政策がすでにスタート。成果は新しい世代へと引き継がれ、イスカンダ

ルからアジア全域への拡大が期待されている。

このプロジェクトは、SDGs『持続可能な近代的エネルギーへのアクセス(目標7)』、『持続可能なまちづくり(目標11)』、『気候変動への具体策(目標13)』に関連性が高く、低炭素社会とはこれらの目標を叶えた社会のことだ。さらに、

プロジェクトの一番の狙いは、イスカンダル地域を始めとす

るマレーシアの人々、政府、NPO、企業などを巻き込みなが

ら、科学的かつ統合的な検討に基づき、“具体的な施策スケ

ジュールの策定”から“実施”を、一気通貫に行うこと。まさ

に、SDGsの実現に向けたショーケースといえる。

マレーシア

日本とマレーシアの研究者

「イスカンダル・マレーシアの2025年に向けた低炭素社会計画」。2012年12月11日の記者会見でナシブ首相が発表し、意見を述べた

マレーシア・イスカンダル地区

プロジェクトの成果

ベトナムには、焼き畑による荒廃や枯れ葉剤による汚染を受けた900

万ヘクタールもの土地があり、急速な経済発展による都市部の大気汚

染や貧困など、多くの問題を抱えている。そこでこのプロジェクトでは、

荒廃地にジャトロファなどの代替エネルギー源となる樹木を植え、ク

リーンな燃料を製造し、都市部で活用されることを目指した。その結

果、総合的なバイオマスエネルギーの生産・利用システムを作ることに

成功。荒廃地の再生だけでなく、大気汚染防止や雇用の創出など、同

時に様々な問題を解決へと導いた。また、大都市ハノイとホーチミンで

は大気汚染物質を測定。汚染の現状を明らかにするとともに、1日あた

り3,000リットルのバイオディーゼル燃料(BDF)を製造する手法を確

立した。この燃料は、世界遺産のハロン湾において大型観光船10隻に

提供され、現在実用化されている。

低炭素社会の実現に向けて、まず植林によって樹木にCO2

を吸収させ、次にカーボンニュートラルな再生可能燃料であ

るBDFを製造しクリーンエネルギーとして利用することで、

CO2を削減。これら2つの手法により、1トンのBDFから7.6ト

ンものCO2排出削減を目指している。現在、3,800トンの削

減が実施されており、将来的には1万トン規模での植林と

BDFの製造利用によって、年間10万トン規模の排出削減が

可能となる。これらの研究成果は、『持続可能な近代的エネルギーへのアクセス(目標7)』だけでなく、将来、植林と種子採取により山岳地少数民族の貧困改善や都市部での大

気汚染の改善にもつながることが期待されている。

ベトナム社会主義共和国

前田教授とベトナム国家大学副学長からベトナム共産党の総書記に、プロジェクトで製造したBDFが提供された(2017年1月)

ハロン湾の鉱山跡地にジャトロファなどを植林。BDFの製造、CO2削減に貢献するだけでなく、

防災効果も評価されている

「2025年に向けた低炭素社会計画」は、グリーン経済、グリーンコミュニティ、グリーン環境にわたる12の方策と、それを実現する281の具体的な取り組みから構成されている。その内の一つ「イスカンダル版エコライフチャレンジ」は、京都市で行われていた「こどもエコライフチャレンジ」を出発点に、現地に合うよう改良し展開したもの。2015年12月には、エコライフチャレンジ・サミット2015が京都市で開催され、イスカンダルの小学生や先生が京都市を訪れ、地元の小学校や市長への表敬訪問を行った。低炭素教育分野での京都市とイスカンダル地域の交流は、いまも拡大・発展し続けている。

このプロジェクトが創ったミライ

ジャトロファ油、パーム油、ナマズ油、獣油などからBDF製造を試み、結果、全ての原料から純度97%以上の高品質BDFを得ることに成功した。ハロン湾の客船で使用されているBDFは、日本とベトナムの研究協力の大きな成果として、多くの観光客にPRしている。また、国費留学生SATREPS枠などを活用し、博士取得12名、修士取得3名を輩出、ベトナム側ではバイオマスセンターが設立されるなど、両国の未来に向けて大きな成果をあげた。

このプロジェクトが創ったミライ

ベトナム国家大学内に念願のバイオマスセンターが開所

代表者の前田教授はベトナムから多くの大学院生を招聘。博士取得を指導するなどの功績によって、ベトナム国家大学から名誉博士号を授与された(2016年9月)

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SDGsへの取り組み

SDGsへの取り組みキハダマグロの完全養殖に挑む!

資源の持続可能な利用に貢献

生物資源分野

日本が誇るイネ最先端育種技術で、食糧問題を解決!

生物資源分野

日本人にも馴染みのあるマグロ。なかでもキハダマグロと太平洋クロマ

グロは多くの国で利用されている。しかし近年、乱獲や気候変動などに

よる減少が危惧されていた。そこで、2002年に世界初となる太平洋クロ

マグロの完全養殖に成功し、マグロ養殖で世界トップレベルの技術を

有する近畿大学が、パナマの要請に基づき国際共同研究をスタートさ

せた。このプロジェクトは、資源の枯渇が懸念されるクロマグロとキハ

ダの持続的な漁業に欠かせない資源管理技術の向上と、完全養殖に

よるキハダの市場への供給を目指すもので、持続可能な海洋資源の消

費と生産を支える取り組みとして大きく注目を浴びた。

研究を推進していくなかで研究者らは長年の知見を生かし、両種の繁

殖や稚魚・幼魚の生態を解明。そして2015年、両種のうちキハダを世界

で初めて卵から幼魚まで飼育することに成功した。

これらの成果は将来、パナマや日本のみならず世界の持続可能な漁業

と養殖の支援に繋がることが大きく期待されている。

熱帯・亜熱帯地域の小島嶼国を含む“沿岸開発途上国”と呼

ばれる国々では、国内向けの食糧生産、また輸出産業として

の漁業が基幹産業となっている。しかし近年、乱獲と地球規

模の気候変動の影響により海洋資源の多くが減少、その産

業基盤が揺らいでいる。

プロジェクトでは、海洋資源のなかでも多くの国で利用され

るマグロ類を研究対象に設定。『持続可能な海洋資源の保全と利用(目標14)』と、『天然資源の管理(目標12)』を目的とした資源管理技術と、天然資源に依存しない完全養殖技

術の開発に貢献している。また、これらの技術を持つ先進国

と、技術を必要とする途上国をつなぐ“グローバル・パート

ナーシップ”のモデルとなることも目指している。

パナマ共和国

陸上水槽で人工孵化し育てられたキハダ稚魚。収穫されて海面生簀へ移される様子

キハダマグロの発育段階

プロジェクトの成果

近年目覚ましい発展を遂げるベトナムだが、その一方で北部をはじめ

とする地方では未だ食糧不足や格差などの問題が残っている。特に北

部中山間地域の食糧自給率は低く、この地域の住民は、長年にわたり

慢性的な食糧不足に悩まされてきた。

そこで、日本が得意とするイネゲノム情報を駆使した効率的な品種改良

法によって、短期間で育ち、収穫量が多く、病害虫に抵抗力のある“有

望系統”の品種を開発することに成功した。さらに、開発した品種を用

い、この地での栽培技術体系の確立を目指すとともに、食糧自給率の

向上という大きな目標を掲げ、普及に取り組んだ。 プロジェクトチーム

は、研究を進めるなかで将来的に地域への波及効果が望める、効率的

なイネ育種システムの開発にも貢献した。今回開発された有望系統は

すでに、ベトナムで品種登録を終え、着 と々品種の普及が進んでいる。

これらの技術は、ベトナムの食糧自給率の向上や農業政策への貢献の

ほか、将来的にはASEAN諸国への展開も期待されている。

このプロジェクトは、多様な社会環境・自然環境をもつベトナ

ム北部を対象とし、“効率的なイネ育種法の確立”、“有望系統

の品種開発”、そして新品種の普及までの一貫したシステムを

構築した。これらは、SDGsのなかの『食糧安全保障と持続可能な農業の促進(目標2)』に沿って実施されたものである。プロジェクト期間の5年という短い間で、数種類の“有望系

統”の品種登録を終えることができたが、特に生育の早い新

品種は、北ベトナム農村地域社会の食糧自給率の向上と発

展に、大きく貢献している。

ベトナム社会主義共和国

現地農家への普及の様子

タイグェン省の稲作農家の人々

育種実験圃場の日越若手研究者

現地での選抜の様子

生簀網の中を泳ぐ、人工孵化のキハダ稚魚2015年9月、世界で初めてキハダを卵から

幼魚まで飼育することに成功。世界に先駆けて発信されたキハダの養殖技術は、大きな話題となった。それにより、プロジェクトチームは、これまで不可能とされてきた大型マグロの生態研究が、日本の得意とする飼育実験によって可能になることを示した。これは、今後マグロ類の資源管理と完全養殖に向けた研究に新たな道を拓くとともに、途上国における持続可能なマグロ類の漁業、そして完全養殖業に向けた新たな基盤を築いた。いま、中米パナマではプロジェクトで育成された人材と導入した養殖関連施設を利用し、次なるステージへと研究が進められている。

このプロジェクトが創ったミライ

開発した有望系統の品種登録に向けて、有望系統の栽培特性や生理生態学的特性の調査を行い、一部の系統では品種登録を終え、着 と々品種の普及が進んでいる。この品種化へのプロセスは、科学的な根拠だけでなく、行政、農民、種子供給者等を巻き込む大きな事業であり、社会実装への歩みが着実に進んでいる。特に、プロジェクトで開発した生育の早い新品種は、北部ベトナム地域の農家が抱えていたイネへの洪水・台風被害を軽減し、農業政策にも大きな影響を与えている。

このプロジェクトが創ったミライ

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SDGsへの取り組み

SDGsへの取り組み津波災害に負けないまちづくり、

大地震から人々 を救う科学のチカラ湖水爆発の原因究明に貢献、カメルーン政府より受勲

防災分野 防災分野

地震大国として知られる南米チリ。2010年に起きたマグニチュード8.8

の大地震では、津波警報や避難における課題が顕在化した。日本におい

ても、2011年東日本大震災が発生。想定を超える津波により甚大な被

害が生じ、津波の破壊力や漂流物の危険性が再認識された。

そこでプロジェクトでは、両国の協力のもと、津波防災・減災のための精

度の高い早期警報手法の開発や、パイロットサイトでの被害推定、津波

に強い地域づくりのためのガイドラインの作成や住民への啓発プログラ

ムに取り組んだ。

その結果、過去の被害を科学的に分析し、将来起こりうる津波被害に備

えるための研究成果が生まれ、日本・チリの研究機関が主導して、チリ及

び中南米における沿岸防災に関する協力の覚書を締結するなどの成果

を残した。また、作成したガイドラインがチリ全土に展開可能になるとと

もに、津波に関するプログラムは、JICAが実施する「中南米防災人材育

成拠点化支援プロジェクト」に盛り込まれ、中南米諸国の人材育成に貢

献している。

『持続可能なまちづくり(目標11)』には、環境整備だけでなく、災害への取り組みが重要になる。チリと共に研究開発し

た、津波に強い地域づくりや市民育成のプログラムは、チリ

以外の国々にも適用することが可能だ。チリの津波防災イ

ンフラはまだ十分とは言えないが、東日本大震災から学び

を得て、チリにおける防災インフラの重要性に対する認識

は、日々高まってきている。

また、プロジェクトの実施期間中に港湾事業継続のための

管理手法の開発に取り組んだことで、物流の災害における

抵抗力が格段に向上した。

チリ共和国

チリ・アントファガスタ州での避難訓練の様子

チリにおける地震・津波被害の調査

チリ研究者・防災行政担当者による東日本大震災被災地の視察

プロジェクトの成果

アフリカ中西部に位置するカメルーンには、全長1600kmに渡る火山

地帯が存在し、国内には多数の火山や火口湖が存在する。中でもニオ

ス湖とマヌン湖では、1980年代に湖底に溜まった大量のCO2が突然

噴出する「湖水爆発」が起こり、約1800人の住民が命を落とした。

これまで湖水爆発を引き起こす原因やメカニズムの詳細は明らかにさ

れていなかったが、研究チームは、自動観測ブイを設置、リアルタイム

で湖水の変化を把握できるようにし、コンピュータシミュレーションに

よる湖水爆発の発生条件を解明、超音波で湖底の地形を調べてCO2ガスを含む水の噴出場所の特定に成功した。これらの科学的知見によ

り、湖水爆発による災害軽減への道筋が得られた。プロジェクトで得ら

れた科学的成果により、現地での総合的な防災対策の策定に寄与した

ことや、人材育成への貢献がカメルーン政府から高く評価され、両国の

研究者に対し、2016年3月にOrdre de la Valeur 勲章が授与された。

1980年代に起きた湖水爆発以来、ニオス湖・マヌン湖周辺は、

カメルーン政府から避難対象地域に指定されている。このプ

ロジェクトを通して、両湖を科学的に調査する政府機関と、防

災担当の政府機関が連携する組織、“湖水爆発モニタリング委

員会”が新たに設立された。今後この組織が両湖の安全性を

確認し、政府が避難指示を解除することが期待されている。

また、周辺住民の中には、湖で起きた災害が自然災害だと知

らない住民も多く、正確な情報を伝えるための説明会も開催

した。二回目の説明会には在カメルーン日本大使も参列。現

地の人々にも喜ばれ『持続可能なまちづくり(目標11)』に貢献、日本の研究者たちの努力が実を結んだ。

カメルーン共和国

深層湖水の採取

代表者の大場教授らは、2016年3月カメルーン政府から Ordre de la Valeur 勲章を授与された。

ニオス湖におけるCO2ガス抜きパイプの大噴水

プロジェクトで開発された地震規模推定の新たな手法や、沖合津波観測データを利用したリアルタイム波源推定の手法は、日本の気象庁などにおいても活用され始めた。2014年3月にはペルー・チリが合同で「中南米地域の地震・津波災害に関する国際シンポジウム」を開催し、成果の拡大に取り組んだ。今後はチリと日本、ひいては世界規模での津波に強い地域や人づくりが期待されている。

このプロジェクトが創ったミライ このプロジェクトでは、6名の若いカメルーン人研究者が日本の大学に留学。プロジェクトメンバーである日本人研究者の指導のもと、博士号を取得した。カメルーンでは博士号を持つことにより、高い地位の職業に就くことができる。将来、彼らが日本とカメルーンの学術面での架け橋になることが期待されている。

このプロジェクトが創ったミライ

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SATREPSでは研究プロジェクトを実施した研究代表者(日本、相手国)にアンケートを実施しました。

(2016年8月)

Q.SATREPSへ応募した  きっかけを教えてください。2010年、チリ・マウレで起きた大地震による津波の大災害と、翌2011年に日本で起きた東日本大震災がきっかけとなり、共同研究を提案した。(日本・チリ 共同研究)

コムギの遺伝学的研究で世界的に知られる木原均博士らが採集した、アフガンコムギ在来種の遺伝資源が保存されており、SATREPSを通じて、世界へ、未来へ、日本の科学技術の貢献を果たそうと考えた。(日本・アフガニスタン 共同研究)

プロジェクト開始直後に相手国の大学の各種労働組合でストライキが起こり、事務手続きがストップ。供与機材の手続きや研究室内での活動ができなかった。(日本・スリランカ 共同研究)

南米チリはやはり遠かった・・・。渡航費はアジア各国の場合よりも大幅にアップすることに加え、渡航にかかる時間と体力の消耗は予想を超えるものであった。(日本・チリ 共同研究)

通常の国際共同研究プロジェクトの枠を超えて、研究成果の社会実装や人材育成面を大きな柱にしたプログラムであり、沿岸生態系保全・適応管理という、社会的ニーズが高くソリューション志向性の高い課題をテーマとした本プロジェクトは、SATREPSの基本的な目標にフィットした。(日本・フィリピン 共同研究)

プロジェクト実施期間中、国費留学生SATREPS枠などによりメキシコと日本において3名が博士の学位を取得することが出来た。(日本・メキシコ 共同研究)

日本側では博士論文2件、相手国側では低炭素社会計画を所掌する官庁にて担当専門家として就職した者、大学にて講義・演習内容とした者、日本の大学博士課程に進学した者などを輩出した。(日本・マレーシア 共同研究)

Q.共同研究を進める上で  大変だったことは?

Q. 研究人材の  育成成果について教えて下さい。

ブラジルと日本は、遠く離れた文化の異なる国だが、お互いのコミュニケーションや研究交流は大変良好であった。(日本・ブラジル 共同研究)

私たちのプロジェクトでは、スカイプをはじめソーシャルネットワークをフルに活用した。円滑なコミュニケーションは、プロジェクトの成功にとって大変重要である。(日本・ペルー 共同研究)

Q. 共同研究を推進する上で、日本の研究者  とのコミュニケーションはどうでしたか?

Q.SATREPSプロジェクトについて

ガボンのSATREPSプロジェクトは大変素晴らしい成果を残した。そのひとつは、国立公園の近くに新しく研究拠点を設立し、DNAやRNAなどの遺伝子や微生物の解析を行うための新しいラボを立ち上げることができた。(日本・ガボン 共同研究)

プロジェクトの成果であるマレーシア・イスカンダル地域の『2025年に向けた低炭素社会計画』が、ナジブ首相やカーリド・ジョホール州首席大臣などに認められた。また、プトラジャヤ市でも「P u t r a j a y a Green City 2025」が承認され、低炭素社会の実現に向けた施策が実施される。(日本・マレーシア 共同研究)

Q.プロジェクトの成果について

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年度

平成20年度

平成21年度

平成22年度

平成23年度

平成24年度

平成25年度

平成26年度

平成27年度

平成28年度

領域別採択数

日本から相手国への派遣研究者数

国費留学生(SATREPS枠)の実績

相手国から日本への派遣研究者数

環境(気候変動含む)

低炭素

生物資源

防災

感染症

累計

日本の研究者の声

相手国研究者の声

件数

アジア

アフリカ

中南米

欧州

その他

45名アジア

3名 欧州

15名アフリカ

8名中南米

※平成22~27年度

※平成20~27年度

総数:8,125名 総数:2,385名

総数:71名

※平成20~27年度

5,531名アジア

1,343名アフリカ

734名 中南米161名 欧州356名 その他

1,643名アジア

373名アフリカ

292名中南米

38名 欧州39名 その他

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成果集-SDGsへの貢献-

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