SIG-ARG 第1回研究会 パネルディスカッション資料

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パネルディスカッション 日本における 体験型エンタテインメントの 現在と未来

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国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)代替現実ゲーム専門部会(SIG-ARG)の第1回研究会より。 パネルディスカッションのスライド資料です。 名称: SIG-ARG第1回研究会    「ARG入門:体験型エンタテインメントの現在と未来」 開催日: 2009年11月22日(日) 会場: 文京学院大学 本郷キャンパス http://www.igda.jp/modules/pico/index.php?content_id=13

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パネルディスカッション

日本における

体験型エンタテインメントの 現在と未来

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パネルディスカッションの目的

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ARGに関する言及にて

- 「アメリカのARGの事例は確かにすごい。 でも、日本人はシャイだから、こんなの無理」

- 「新しい娯楽なので日本に作り手がいない」

- 「とにかく前例がないからいろいろ難しそう」

これ、本当?

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ARGは「新しい」か?

- 総合娯楽としてのARGは確かに新しい

- しかし、楽しさの要素を分解してみると、 個々は従来からの実施例がある

- 断片的な情報を集めてつなぎ合わせる楽しみ

- みんなで謎(パズル・ミステリ)に取り組む楽しみ

- 実世界を舞台にゲームを遊ぶ楽しみ

- コミュニティでミッションを成し遂げる楽しみ

- 自らの手で共有される物語を紡ぐ楽しみ

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日本での「ARG」の現在と未来

- このパネルでは日本で受け入れられてきた 「ARG的なエンタテインメント」を振り返り、

- これから日本でARGが盛り上がるとすれば、 それはどんなカタチだろうか?を議論します

- <仕掛け>あるいは<作り手>について

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パネリストの皆さま

- 武山政直教授 (慶應大学)

- 三原飛雄馬さま (メディアファクトリー)

- 坂本犬之介さま (オフィス新大陸)

- 新城カズマさま (エルスウェア)

- 安福久哲さま (RUSH JAPAN)

- 城島和加乃さま (E-Pin企画)

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パネリスト紹介 (敬称略)

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武山 政直

慶應義塾大学経済学部教授。専門は消費者行動研究と都市メディアのデザイン。楽しさや驚きを原動力とする価値創造(ファンジニアリング)をテーマに、地理学、マーケティング、メディアデザインを横断する研究教育とサービス開発に従事。 慶應義塾大学経済学部卒。カリフォルニア大学大学院にてPh.D.取得。 「三田の家」水曜マスター。

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三原 飛雄馬

株式会社メディアファクトリー商品企画事業部プロデューサー。前職で磁幽霊ガウストを捕まえるゲーム『トレジャーガウスト』シリーズの開発に携わり、以来、虚構と現実を結びつける商品を企画し続けている。日本初のARG『名探偵コナン カード探偵団』をディレクターとして開発。NYタイムズ紙全米児童書ランキング第1位のARG書籍『サーティーナイン・クルーズ』の日本語版をプロデュース。

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坂本 犬之介

企画プロダクション【オフィス新大陸】代表、作家。

アスキー(現エンターブレイン)でゲーム誌の編集職を経て、 独立。PCからニンテンドーDS、Mobile等、各種プラットフォームでゲームを企画。TCGやボードゲームの制作・監修も。

作家として『歴史群像』『歴史読本』『プレイボーイ』などに歴史、ゲーム、スポーツ記事を寄稿。書籍『ボードゲームキングダム』 シリーズ、『歴史新聞』シリーズ等、著作多数。

TokyoGameShowやJGC、UrventでLiveゲームやARGを開催。RYOMA:the Secret Storyのトータル・プランナー。ボードゲームTV番組『Theゲームナイト』(BS日テレ)の企画、プロデュース。

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新城 カズマ

小説家、架空言語設計家。メイルゲーム「蓬莱学園ワールド」のグランドマスター(1990年-)、有限会社エルスウェア代表取締役(98年-)。2006年、 SF『サマー/タイム/トラベラー』で第三七回星雲賞日本長編部門を受賞。2009年8月に角川学芸出版から『物語工学論』を発表、9月から集英社スーパーダッシュ文庫にて長編ライトノベル『15×24』を連続刊行し、そのプロモーションとしてツイッター等でARG的手法を駆使。その他の著書に『蓬莱学園』シリーズ、『星の、バベル』など。

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安福 久哲

立教大学経済学部経済学科卒。旅行代理店で団体旅行営業を経験後、現RUSH JAPAN(株)齊藤多可志と共に独立し、2001年に宝探し専門会社を立ち上げる。

地域活性化、テーマパークアトラクション、企業プロモーションなど様々な分野で宝探し事業を拡大し、経済産業省のビジネス性実証支援事業では、ニンテンドーDSソフトを用いての江の島を舞台にしたリアルトレジャーハンティングゲームの開発も担当している。

現RUSH JAPAN株式会社 取締役 企画戦略部長。

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城島 和加乃 (有)イーピン企画代表。1987年に誕生した『ミステリーナイト』等の体験型推理イベントをプロデュースしている。1999年に日本で初の体験型推理イベント専門会社として(有)イーピン企画を設立。日本にARGという表現がない時代から「代替現実」の手法で数々の作品を製作している。

また“ふじしろやまと”(イーピン企画ミステリープランナー“かとうだい”との共筆名)として謎解き小説の執筆も手掛ける。

代表作:ミステリーナイト、探偵ミステリーツアー、新本格ミステリフェスティバル(綾辻行人氏・有栖川有栖氏ら11人の作家のトークショー&謎解きのイベント)、ケータイ事件簿(セガモバイルゲーム)、読者参加型犯人当てミステリー『Rの刻印』(講談社刊)他

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パネリストの皆さま(再掲)

- 武山政直教授 (慶應大学)

- 三原飛雄馬さま (メディアファクトリー)

- 坂本犬之介さま (オフィス新大陸)

- 新城カズマさま (エルスウェア)

- 安福久哲さま (RUSH JAPAN)

- 城島和加乃さま (E-Pin企画)

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ARGのおもしろさを分解し、 日本ナイズしてみたら

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ARGのおもしろさを分解

- ストーリーテリングのおもしろさ

- 謎解きのおもしろさ

- 「リアル」のおもしろさ

- コミュニティのおもしろさ

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ストーリーテリングのおもしろさ

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ストーリーテリングのおもしろさ

- ポイント - 断片情報を集め、つなぎ合わせて発見する喜び

- 物語の出来事や人物に直接関われる体験感

- 楽しめる人 - 物語好き / 物語を作りだすのが好き

- 制作側の難しさ - 壮大で、面白いストーリーの制作

- 変化していく物語をムジュン無く提供し続ける

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実施例:「蓬莱学園の冒険!」

- 最も有名なメイルゲーム(PlayByMail) - 自分の翌月の行動を文章で書いて郵送すると、 その結果が小説形式で返送されてくるゲーム

- 数千名の参加者

- ARGとの類似点 - 参加者がそれぞれの結果を持ち寄ることで、 初めて物語の全体像が分かる構造

- 登場人物へ関わり、自分たちの手で物語を作る

- ミステリ・SFなど様々な謎が提示された

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謎解きのおもしろさ

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謎解きのおもしろさ

- ポイント

- 高難度の謎が解けた爽快感と周りからの賞賛

- みんなであれこれ悩む過程が重要

- 楽しめる人

- 考えるのが好きな人(パズル好き・ミステリ好き)

- 制作側の難しさ

- 集団で解かれてもすぐ解けず、爽快感のある謎

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実施例:「ミステリーナイト」

- 体験型推理イベント

- 役者による寸劇を観て、 証拠品や取り調べの様子から、 犯人を推理する

- ARGとの類似点

- 皆で推理

- 実世界で身体を使い調査

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実施例:「リアル脱出ゲーム」

- 脱出ゲームを現実で行うというゲーム

- 企画者はSCRAPの加藤隆生さん

- 1公演30人。1時間で謎を解き脱出せよ。

- ARGとの類似点

- 身体を使った調査

- 皆で悩みながら謎を解く

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実施例:「あんたがた」

- 2chを使って行われている非営利の遊び - 以下の流れを最終問題まで繰り返す

- 8桁の英数字からなる「パス」をセブンイレブンの コピー機に入力するとパズルが印刷されてくる

- パズルを解くと地名が出てくる

- 現地には、次の「パス」が書かれたガムテープが

- ARGとの類似点 - 皆で悩み、難しい問題を解く

- 実世界で宝探し&その見守り

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「リアル」のおもしろさ

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「リアル」のおもしろさ

- ポイント - 自分の五感を使って、非日常を楽しめる

- 見方が変わるだけで現実空間がゲーム空間へ

- 楽しめる人 - 現実が侵されることに柔軟に対応できる人

- 制作側の難しさ - コントロールが困難でリスクが多い

- 参加者にリアルタイムで対応するスキル

- 「リアル」をデザインするスキル

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実施例:「赤い鳥」

- 実世界での宝探し

- 地図とヒントを頼りに 実際の街中で宝探し

- ARGとの類似点

- 自分の足を使って探す

- 参加者が何をするか 予想が付かない

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実施例:「GEOCACHING」

- GPSを利用した宝探し

- 全世界に94万個隠されている

- 日本で3000個

- 隠すのも有志

- 環境保護の活動も

- Cache In Trash Out

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実施例:「まちを遊ぶ」

- 児童館などが中心となり、街中でもこどもと豊かな遊びを試みる活動をまとめた書籍

- 団地で協力しての忍者修行

- 少年探偵団

- ARGとの類似点

- 日常の生活空間を、見方を変えて 遊びの場へ転換させること

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コミュニティのおもしろさ

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コミュニティのおもしろさ

- ポイント

- オンライン上での日常的なコミュニケーション

- 特別なミッションを皆で協力して達成すること

- 楽しめる人

- 社交性のある人

- 制作側の難しさ

- コミュニティマネジメント

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オンライン上での会話

- ARGを話のタネに皆でわいわい楽しむ

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- ミッションをみんなで 達成することを楽しむ

特別なミッション

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実施例:「MMORPG」

- 多人数が参加できる継続的な仮想世界を提供するオンラインゲーム

- ARGとの類似点

- 本質は、話題を与え続けるコミュニティサービス

- コミュニティのマネジメントが重要

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ARGのユーザーコミュニティ

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The Sims のユーザコミュニティ

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MMORPGのユーザコミュニティ

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日本でのARGコアファンは どこから/どうすれば生まれる?

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コアファン層の例 アメリカのARGファン

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コアファン層の例 蓬莱学園

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コアファン層の例 あんたがた

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「あんたがた」の人気

- 自発的に、毎回異なるメンバーが運営

- 5年弱で50回程度の開催数

- 各回10~30問程度

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これから、日本において ARGはどう受け入れられていくか?

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例えば……

- 完全に新ジャンルのエンタテインメントとして

- メイルゲームの後継として

- MMORPGの亜種として

- ミステリ小説の進化体として

- 新世代の観光エンタテイメントとして

- シリアスゲームとして

- こどもの遊びとして

- プロモーションの手法として

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質疑応答

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まとめ / 今後の活動予定

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ありがとうございました

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予備スライド

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「あんたがた」の問題の例

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LARP(Live Action Role-Playing game)

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