SIG-ARG 第1回研究会 パネルディスカッション資料
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Entertainment & Humor
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パネルディスカッション
日本における
体験型エンタテインメントの 現在と未来
パネルディスカッションの目的
ARGに関する言及にて
- 「アメリカのARGの事例は確かにすごい。 でも、日本人はシャイだから、こんなの無理」
- 「新しい娯楽なので日本に作り手がいない」
- 「とにかく前例がないからいろいろ難しそう」
これ、本当?
ARGは「新しい」か?
- 総合娯楽としてのARGは確かに新しい
- しかし、楽しさの要素を分解してみると、 個々は従来からの実施例がある
- 断片的な情報を集めてつなぎ合わせる楽しみ
- みんなで謎(パズル・ミステリ)に取り組む楽しみ
- 実世界を舞台にゲームを遊ぶ楽しみ
- コミュニティでミッションを成し遂げる楽しみ
- 自らの手で共有される物語を紡ぐ楽しみ
日本での「ARG」の現在と未来
- このパネルでは日本で受け入れられてきた 「ARG的なエンタテインメント」を振り返り、
- これから日本でARGが盛り上がるとすれば、 それはどんなカタチだろうか?を議論します
- <仕掛け>あるいは<作り手>について
パネリストの皆さま
- 武山政直教授 (慶應大学)
- 三原飛雄馬さま (メディアファクトリー)
- 坂本犬之介さま (オフィス新大陸)
- 新城カズマさま (エルスウェア)
- 安福久哲さま (RUSH JAPAN)
- 城島和加乃さま (E-Pin企画)
パネリスト紹介 (敬称略)
武山 政直
慶應義塾大学経済学部教授。専門は消費者行動研究と都市メディアのデザイン。楽しさや驚きを原動力とする価値創造(ファンジニアリング)をテーマに、地理学、マーケティング、メディアデザインを横断する研究教育とサービス開発に従事。 慶應義塾大学経済学部卒。カリフォルニア大学大学院にてPh.D.取得。 「三田の家」水曜マスター。
三原 飛雄馬
株式会社メディアファクトリー商品企画事業部プロデューサー。前職で磁幽霊ガウストを捕まえるゲーム『トレジャーガウスト』シリーズの開発に携わり、以来、虚構と現実を結びつける商品を企画し続けている。日本初のARG『名探偵コナン カード探偵団』をディレクターとして開発。NYタイムズ紙全米児童書ランキング第1位のARG書籍『サーティーナイン・クルーズ』の日本語版をプロデュース。
坂本 犬之介
企画プロダクション【オフィス新大陸】代表、作家。
アスキー(現エンターブレイン)でゲーム誌の編集職を経て、 独立。PCからニンテンドーDS、Mobile等、各種プラットフォームでゲームを企画。TCGやボードゲームの制作・監修も。
作家として『歴史群像』『歴史読本』『プレイボーイ』などに歴史、ゲーム、スポーツ記事を寄稿。書籍『ボードゲームキングダム』 シリーズ、『歴史新聞』シリーズ等、著作多数。
TokyoGameShowやJGC、UrventでLiveゲームやARGを開催。RYOMA:the Secret Storyのトータル・プランナー。ボードゲームTV番組『Theゲームナイト』(BS日テレ)の企画、プロデュース。
新城 カズマ
小説家、架空言語設計家。メイルゲーム「蓬莱学園ワールド」のグランドマスター(1990年-)、有限会社エルスウェア代表取締役(98年-)。2006年、 SF『サマー/タイム/トラベラー』で第三七回星雲賞日本長編部門を受賞。2009年8月に角川学芸出版から『物語工学論』を発表、9月から集英社スーパーダッシュ文庫にて長編ライトノベル『15×24』を連続刊行し、そのプロモーションとしてツイッター等でARG的手法を駆使。その他の著書に『蓬莱学園』シリーズ、『星の、バベル』など。
安福 久哲
立教大学経済学部経済学科卒。旅行代理店で団体旅行営業を経験後、現RUSH JAPAN(株)齊藤多可志と共に独立し、2001年に宝探し専門会社を立ち上げる。
地域活性化、テーマパークアトラクション、企業プロモーションなど様々な分野で宝探し事業を拡大し、経済産業省のビジネス性実証支援事業では、ニンテンドーDSソフトを用いての江の島を舞台にしたリアルトレジャーハンティングゲームの開発も担当している。
現RUSH JAPAN株式会社 取締役 企画戦略部長。
城島 和加乃 (有)イーピン企画代表。1987年に誕生した『ミステリーナイト』等の体験型推理イベントをプロデュースしている。1999年に日本で初の体験型推理イベント専門会社として(有)イーピン企画を設立。日本にARGという表現がない時代から「代替現実」の手法で数々の作品を製作している。
また“ふじしろやまと”(イーピン企画ミステリープランナー“かとうだい”との共筆名)として謎解き小説の執筆も手掛ける。
代表作:ミステリーナイト、探偵ミステリーツアー、新本格ミステリフェスティバル(綾辻行人氏・有栖川有栖氏ら11人の作家のトークショー&謎解きのイベント)、ケータイ事件簿(セガモバイルゲーム)、読者参加型犯人当てミステリー『Rの刻印』(講談社刊)他
パネリストの皆さま(再掲)
- 武山政直教授 (慶應大学)
- 三原飛雄馬さま (メディアファクトリー)
- 坂本犬之介さま (オフィス新大陸)
- 新城カズマさま (エルスウェア)
- 安福久哲さま (RUSH JAPAN)
- 城島和加乃さま (E-Pin企画)
ARGのおもしろさを分解し、 日本ナイズしてみたら
ARGのおもしろさを分解
- ストーリーテリングのおもしろさ
- 謎解きのおもしろさ
- 「リアル」のおもしろさ
- コミュニティのおもしろさ
ストーリーテリングのおもしろさ
ストーリーテリングのおもしろさ
- ポイント - 断片情報を集め、つなぎ合わせて発見する喜び
- 物語の出来事や人物に直接関われる体験感
- 楽しめる人 - 物語好き / 物語を作りだすのが好き
- 制作側の難しさ - 壮大で、面白いストーリーの制作
- 変化していく物語をムジュン無く提供し続ける
実施例:「蓬莱学園の冒険!」
- 最も有名なメイルゲーム(PlayByMail) - 自分の翌月の行動を文章で書いて郵送すると、 その結果が小説形式で返送されてくるゲーム
- 数千名の参加者
- ARGとの類似点 - 参加者がそれぞれの結果を持ち寄ることで、 初めて物語の全体像が分かる構造
- 登場人物へ関わり、自分たちの手で物語を作る
- ミステリ・SFなど様々な謎が提示された
謎解きのおもしろさ
謎解きのおもしろさ
- ポイント
- 高難度の謎が解けた爽快感と周りからの賞賛
- みんなであれこれ悩む過程が重要
- 楽しめる人
- 考えるのが好きな人(パズル好き・ミステリ好き)
- 制作側の難しさ
- 集団で解かれてもすぐ解けず、爽快感のある謎
実施例:「ミステリーナイト」
- 体験型推理イベント
- 役者による寸劇を観て、 証拠品や取り調べの様子から、 犯人を推理する
- ARGとの類似点
- 皆で推理
- 実世界で身体を使い調査
実施例:「リアル脱出ゲーム」
- 脱出ゲームを現実で行うというゲーム
- 企画者はSCRAPの加藤隆生さん
- 1公演30人。1時間で謎を解き脱出せよ。
- ARGとの類似点
- 身体を使った調査
- 皆で悩みながら謎を解く
実施例:「あんたがた」
- 2chを使って行われている非営利の遊び - 以下の流れを最終問題まで繰り返す
- 8桁の英数字からなる「パス」をセブンイレブンの コピー機に入力するとパズルが印刷されてくる
- パズルを解くと地名が出てくる
- 現地には、次の「パス」が書かれたガムテープが
- ARGとの類似点 - 皆で悩み、難しい問題を解く
- 実世界で宝探し&その見守り
「リアル」のおもしろさ
「リアル」のおもしろさ
- ポイント - 自分の五感を使って、非日常を楽しめる
- 見方が変わるだけで現実空間がゲーム空間へ
- 楽しめる人 - 現実が侵されることに柔軟に対応できる人
- 制作側の難しさ - コントロールが困難でリスクが多い
- 参加者にリアルタイムで対応するスキル
- 「リアル」をデザインするスキル
実施例:「赤い鳥」
- 実世界での宝探し
- 地図とヒントを頼りに 実際の街中で宝探し
- ARGとの類似点
- 自分の足を使って探す
- 参加者が何をするか 予想が付かない
実施例:「GEOCACHING」
- GPSを利用した宝探し
- 全世界に94万個隠されている
- 日本で3000個
- 隠すのも有志
- 環境保護の活動も
- Cache In Trash Out
実施例:「まちを遊ぶ」
- 児童館などが中心となり、街中でもこどもと豊かな遊びを試みる活動をまとめた書籍
- 団地で協力しての忍者修行
- 少年探偵団
- ARGとの類似点
- 日常の生活空間を、見方を変えて 遊びの場へ転換させること
コミュニティのおもしろさ
コミュニティのおもしろさ
- ポイント
- オンライン上での日常的なコミュニケーション
- 特別なミッションを皆で協力して達成すること
- 楽しめる人
- 社交性のある人
- 制作側の難しさ
- コミュニティマネジメント
オンライン上での会話
- ARGを話のタネに皆でわいわい楽しむ
- ミッションをみんなで 達成することを楽しむ
特別なミッション
実施例:「MMORPG」
- 多人数が参加できる継続的な仮想世界を提供するオンラインゲーム
- ARGとの類似点
- 本質は、話題を与え続けるコミュニティサービス
- コミュニティのマネジメントが重要
ARGのユーザーコミュニティ
The Sims のユーザコミュニティ
MMORPGのユーザコミュニティ
日本でのARGコアファンは どこから/どうすれば生まれる?
コアファン層の例 アメリカのARGファン
コアファン層の例 蓬莱学園
コアファン層の例 あんたがた
「あんたがた」の人気
- 自発的に、毎回異なるメンバーが運営
- 5年弱で50回程度の開催数
- 各回10~30問程度
これから、日本において ARGはどう受け入れられていくか?
例えば……
- 完全に新ジャンルのエンタテインメントとして
- メイルゲームの後継として
- MMORPGの亜種として
- ミステリ小説の進化体として
- 新世代の観光エンタテイメントとして
- シリアスゲームとして
- こどもの遊びとして
- プロモーションの手法として
質疑応答
まとめ / 今後の活動予定
ありがとうございました
予備スライド
「あんたがた」の問題の例
LARP(Live Action Role-Playing game)
From Wikipedia,
the free encyclopedia