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Shimizu Corporate Social Responsibility Report

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Page 1: Shimizu Corporate Social Responsibility Report › company › csr › environment › pdf › ...03 SHIMIZU CSR Report 2008 SHIMIZU CSR Report 2008 04 企業の社会的責任 CSRのResponsibilityは、責任に加えて信頼性と

S h i m i z u C o r p o r a t e S o c i a l R e s p o n s i b i l i t y R e p o r t

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01 SHIMIZU CSR Report 2008 02SHIMIZU CSR Report 2008

編集方針 1995年から発行してきた環境に関する報告書を、今年度からCSR報告書といたしました。 本報告書は、ステークホルダーの皆様への情報の開示とコミュニケーションのツールとして、「清水建設株式会社本社、全支店(一部海外含む)及びグループ企業」のCSRと環境の取り組みを報告するものです。 トップのコミットメントに続いて、会社全体の活動報告であるACTIVITIESの前に、重要と考えている4つのテーマの取り組みとしてTOPICSを掲載いたしました。 また、社外の方から報告書の構成とその内容についてご意見をいただき、正確性、信憑性を確保するために第三者保証報告書を掲載いたしました。

本報告書に記載している内容の基本的要件は、以下のとおりです。活動報告対象期間・・・・・・・ 2007年度(2007年4月~2008年3月)報告対象分野・・・・・・・・・・・・・・ 社会的取り組みに関する事項次回発行予定・・・・・・・・・・・・・・ 2009年8月

●当社の企業情報は、各種報告書やホームページ (http://www.shimz.co.jp/)にて公開しています。

●会社概要

創 業資 本 金総 従 業 員 数主要営業種目

文化元年(1804年)743億円(2008年3月31日現在)11,387名(2008年4月1日現在)建築、土木、機器装置等建設工事の請負/建設工事に関する調査、企画、地質調査、測量、設計及び監理等/不動産の売買、賃貸、仲介、管理及び鑑定/住宅等建物の建設、販売、賃貸及び管理並びに土地の造成及び販売

::::

取 締 役 社 長売 上 高

宮本洋一1兆4,595億円(2007年度)

::

■CSR報告書 ・社会との関わり…考え方・実績 ・環境との関わり…考え方・実績

 □CSR活動 http://www.shimz.co.jp/csr/index.html

■決算短信、有価証券報告書、アニュアルレポート ・経済との関わり…経営戦略・経営状態

 □株主・投資家情報 http://www.shimz.co.jp/ir/index.html

トップメッセージ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・CSRの取り組み方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

■TOPICS社会のニーズに応えた当社の取り組み事例

人や社会にとって大きな価値を持つ建物をつくる・・・・・・・・・・・・・  新たな交流と賑わいを生む、地域に開かれた公共施設・・・・・・・建物を長く使えるようにし、価値を次の世代へ継承する・・・・・・・・・  記念碑的校舎を次の時代に伝える免震レトロフィット・・・・・・・  次の20年も安心、快適に使用できる環境配慮型オフィスへ・・・ステークホルダーとともに生態系保全に取り組む・・・・・・・・・・・・・  地域の特性を生かしてエコタウンを創出・・・・・・・・・・・・・・・・  NPOと企業の協働で生態系保全活動を実践・・・・・・・・・・・・・・企業市民として、よりよい社会を目指す・・・・・・・・・・・・・・・・・・  全社から個人まで、それぞれのレベルで地域と密着した活動を展開・・

■ACTIVITIES CSRに関する活動内容と実績

2007年度の活動内容と実績・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・組織統治と公正な事業慣行について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・情報の開示と保護・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「人を大切にする企業」の実現に向けて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・調達における取り組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・労働環境・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・品質確保の取り組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・環境 環境に対する取り組みの方針と項目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 活動実績総括・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 活動項目別報告  地球温暖化防止・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  省資源・資源循環・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  土壌浄化への取り組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  有害物質対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  法令順守状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  環境会計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2008年度 環境活動計画・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

CSRに関する当社の主な動き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2007年度 社外顕彰受賞一覧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第三者評価 CSR報告書 第 号を読んで・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 第三者保証報告書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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CONTENTS

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03 SHIMIZU CSR Report 2008 04SHIMIZU CSR Report 2008

企業の社会的責任 CSRのResponsibilityは、責任に加えて信頼性という意味もあり、大きく社会と企業の関わり合いをとらえた概念です。コンプライアンスや社会貢献だけにとどまらず、公正な事業活動を通じて持続可能な社会の実現に寄与することが、企業が果たすべき社会的責任のあり方だと考えます。 建設業は、建設することの責任に加えて、さまざまなステークホルダーの皆様が多種多様な価値や利益を建造物から享受され、その結果、社会資産として長く使っていただける、そのようなものをつくっていくことが本来の責任といえます。そのためには変化に対応できる、経済性や効率・使い勝手の良さ、地球環境への配慮などが不可欠となります。 当社は、創業以来「論語と算盤」の考え方を経営の基本理念としてまいりました。よい商品・サービスを提供し、事業の発展と健全な成長を図り、その実現を通じて、社会やステークホルダーの皆様と、さまざまな価値感を共有し、それを超える価値を提供できる経営を目指してきました。 時代が変わっても、公正な事業活動を通じて社会的な責任を全うする姿勢を守ってまいります。

 社会の一員として企業の社会的責任の重要性が高まる中で、公正かつ透明な企業活動の推進が強く求められる時代を迎えています。また、社会は激しく、かつ急速な変化を遂げており、社会的責任の範囲も、従来のお客様や株主様から社会・市場、さらには地球環境へと拡大しています。 将来の社会を担う次の世代の育成や、従業員の労働環境の改善に対しても企業としてどう取り組むか新しい視点が常に要求され、加えて建造物における「お客様の事業」への貢献はもとより、地球環境への対応や、地震などの自然災害をはじめとするさまざまなリスクへの備えなど、社会の要求も多様化してきています。

地球環境問題 温暖化、資源の枯渇、生態系の破壊など地球環境問題は、世界共通のものとしてますます重要度が高まっています。特に、温暖化防止は、喫緊の課題とされていますが、社会・経済とも密接に関わることで、各国の足並みがなかなか揃わないのが現状のようです。しかし、世界中の国が自らの問題と捉え、各国がそれぞれの努力をしなければ解決はありえないと思います。そして、その国を構成する社会・企業・個人など、さまざまな立場での努力もまた求められているのです。 当社は、「建設したすべての建造物が排出するCO2を、2020年度に1990年度比で30%削減」という長期目標「エコロジー・ミッション」を設定し、すべての事業領域で、すべての従業員が、CO2削減を推進することとしています。 また、建造物は、いったん建設されると社会資産として長く持続します。環境に配慮し、温暖化防止、省資源・資源循環、生物多様性の保全など環境性能の高いものを提供していくためには、総合評価による提案や環境性能の報告が不可欠と考え、それを「グリーンコード」「トータル・エコ活動」として推進してまいります。

報告書の読者の皆様へ 社会・経済は大変厳しい状況下にありますが、その中で、どのようにして社会的責任を果たしていくかという、当社の活動の社会とのさまざまな関わり合いをご報告し、ステークホルダーの皆様にご理解いただき、加えてご指摘やご指導を賜り、当社自身も進化していこう、という趣旨で本号より「CSR報告書」に変更いたしました。本報告書では2007年度の活動実績と2008年度の活動方針、社会的取り組みをまとめております。 ご一読いただき、皆様のご理解とご支援、そして忌憚のないご意見を賜りますようお願い申しあげます。

清水建設株式会社取締役社長

トップメッセージ

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05 SHIMIZU CSR Report 2008 06SHIMIZU CSR Report 2008

【組織統治:コーポレート・ガバナンス】 当社は、健全な成長・発展を図るため、経営の意思決

定と業務執行において、迅速性・適法性・透明性の高い

経営を目指しています。このため、経営戦略機能と業務

執行機能を分離し、役割と責任・権限を明確にするとと

もに、それぞれの職務執行を取締役及び監査役が的確に

監督・監査する体制を築き、全役員及び従業員が高い企

業倫理観に基づいたコンプライアンス経営を実践するこ

とを、コーポレート・ガバナンスの基本方針として、内

部統制システムをはじめとする体制の整備と的確な運営

に努めています。

 また、当社グループの経営上のさまざまなリスクの総

合的な管理に関する「リスク管理規程」を制定し、経営

リスクを未然に防止し低減するとともに、リスク発生時

の対応力の強化を図っています。

【公正な事業慣行について】 コンプライアンス経営は、事業活動の大前提と考えて

います。法令の遵守、政治・行政との透明な関係、公正

な競争、反社会的行為の根絶及び企業会計の透明化など

を全社に徹底するため、役員及び従業員の基本的行動基

準を定めた「企業倫理行動規範」を制定し、さらに企業

倫理委員会及び企業倫理相談室を設置し、具体的な推進

や改善を行っています。また、財務報告の信頼性を確保

するため、見積及び調達などの業務プロセスを再点検

し、内部統制システムの整備を行っています。

 建設業にとって、専門工事業者及び資材業者などの協

力会社との関係は、事業をすすめるうえで重要となりま

す。良きパートナーシップを保持するために、当社の協

力会社で組織する「兼喜会」とともに、「調達基本方

針」を策定するなど、「役割の明確化」を図り「合理的

な生産システム」を確立し、協力会社とのさらなるパー

トナーシップの充実に努めています。

【情報の開示、保護、漏洩】 当社は情報開示に対する基本的な考え方として、「企

業倫理行動規範」で、「積極的かつ公正に企業情報を開

示することにより、開かれた企業として社会の信頼を得

るとともに、内部情報管理に関する社内規程等を順守

し、インサイダー取引を行わない」と宣言しています。

お客様をはじめ、ステークホルダーの個人情報や企業秘

密を守るため、「電子情報セキュリティ管理ガイド」、

「プライバシー・ポリシー」を制定し、グループ会社を

含めた情報管理体制を整備しています。

 万一の法令違反や品質上の不具合などの情報も本報告

書などで説明責任を果たしていきたいと考えています。

 また、当社グループを広く正しく理解していただくた

めの社外とのコミュニケーションは、技術セミナーの開

催、技術研究所や建設現場見学会の実施、ホームページ

や新聞・雑誌などの各種メディアを活用した情報発信、

学校への講師派遣など、さまざまな情報開示の取り組み

を行っています。

【コミュニティの社会及び経済的発展並びに社会貢献】 近年の企業は、従業員や取引先にだけでなく、社会に

対し大きな影響力を持つとされています。特に建設業

は、地域との関係が重要視され、作業所を中心に周辺の

清掃など、さまざまな社会貢献の取り組みを行ってきま

した。このような活動は、継続することが大切ですが、

作業所が行う活動は、工事が終わると関係が希薄になっ

てしまうという面があります。そのため近年は、支店や

営業所という単位でも地域に密着した多様な社会貢献活

動への積極的な参加を始めています。また、地域の教育

及び文化の向上や、青少年のものづくりへの関心を高め

ることに貢献するために、技術研究所では社有施設の開

放や学校教育との連携に積極的に取り組んでいます。

 一方、PFIという、公共施設などの建設、維持管理、

運営などを民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用

して行う新しい手法では、事業として地域の発展に寄与

する提案を行い、当社が主体的に参画するような例も出

てきました。

【人権と労働環境について】 「21世紀は、人権の世紀」と言われますが、企業におい

ても「人間を尊重した事業活動」や「労働環境の向上」

が企業の存続と活力の源泉となっており、経済活動を主

体とした取り組みだけでは評価されなくなっています。

 従業員に対して、人権に対する基本方針を制定し、個

人の人格や多様性の尊重を図るとともに、差別禁止の徹

底を図っています。

 安全については、建設業は、産業界の中でも死傷災害

の多い業種とされ、近年、発生数は減少傾向にあります

が、当社もまだ満足できる状況にありません。安全で快

適な作業環境を実現するために「安全衛生基本方針」を

定めるとともに、どのような作業でも、潜在的な危険要

因を予測し、事前に事故を防止する予防型安全を着実に

運用することにより、「死亡重篤災害及び公衆災害“ゼ

ロ”」を目指します。

 「働く生きがい」という観点からは、教育や生産シス

テムの改革を通じ、ものづくりに専念できる、ゆとりの

ある労働環境を目指します。建設の現場は、さまざまな

会社や人々が集まり建造物をつくっています。ものづく

りを通じた生きがいを実現するため、当社は関係会社や

専門工事業者を含めて、人権の配慮、労働環境の向上、

技術の伝承、表彰などを推進しています。

【品質の確保について】 当社にとって品質の確保は重要な社会的責任と考えて

います。昨年末、マンション工事において、施工中に一

時不具合が生じました。このことを真摯に受けとめ、従

来の仕事の進め方を見直し、今後は、品質確保のための

体質強化、「よいものづくり」のための「人づくり」を

目標とする教育の拡充、情報化などの新しい管理手法の

活用をさらに推進するとともに、創業以来培ってきた技

術の伝承を推進し、社会やお客様にとって「よりよいも

の」を提供していくことに全力を尽くします。

【新しいコーポレートメッセージ】

2008年6月に、新しいコーポレートメッセージを作成、発表しました。このメッセージには、こんな想いが込められています。“子どもたち”は次の世代や時代へのつながりを示唆するとともに、社会の純粋な目を象徴しています。“Heritage”とは、「伝統的な信条・価値・品質」という意味を持ちます。私たちは、誠実さと強い責任感を持ち、専門家として誇れるような仕事をし、次の時代に財産となるものを残していかなければなりません。歴史に培われ、これからも歴史をつくり続け、そして、あらゆるプロセスで、一人ひとりが取り組むすべての活動や行動に、その姿勢を反映させるという固い決意、約束を、このメッセージで宣言しています。常に「子どもたちに誇れるしごと」を実践していくことを、すべてのステークホルダーの皆様に対するコミットメントとして、事業活動を行っていきます。

社会のニーズに応えた責任と信頼性の確立CSRの観点から、さまざまなステークホルダーの皆様のニーズにお応えできる活動と情報の開示を進めていきたいと考えます。

CSRの取り組み方針

CSR担当取締役副社長宇喜多 晴郎

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08SHIMIZU CSR Report 2008

新たな交流と賑わいを生む、地域に開かれた公共施設──九段第3合同庁舎・千代田区役所本庁舎

写真内一番左の建物が九段第3合同庁舎・千代田区役所本庁舎。その右が九段第2合同庁舎、さらに右が九段合同庁舎

国と区の共用施設である1階エントランスホール

2階、千代田区役所受付窓口

写真左は第5回福祉まつりの様子。写真上は人気のパンショップ

TOPICS 人や社会にとって大きな価値を持つ建物をつくる

 公共施設の建設は、民間の資金や経営能力、技術的能力を活用して、事業コストを低減し良質なサービスを提供するPFI事業が数多く実施されています。2007年2月に竣工した九段第3合同庁舎・千代田区役所本庁舎は、このPFI手法によって建設、運営されており、当社の豊富なPFI実績、ものづくりのノウハウを活かし、誰もが利用しやすく、質の高いサービスが受けられる、安全で地域社会に開かれた公共施設を実現しています。

国と自治体による国内初のPFI事業を実施

 PFI(Private Finance Initiative)は、公共施設などの設

計、建設、維持管理及び運営に民間の資金やノウハウなどを活

用して事業を一体的に行うことで、事業コストを低減しかつ良

質な公共サービスを提供する事業手法です。

 九段第3合同庁舎・千代田区役所本庁舎は、このPFIの特性

を活かし、都市再生プロジェクトの一環として、国と地方公共

団体(千代田区)が共同で実施した、国内で例のないPFI事業

です。国と千代田区が、それぞれ分散している行政機関や施設

を一つの建物に集約し、執務環境の改善を図るとともに、誰も

が安心して快適に利用できる施設となっています。

サービスの高度化、集約化で大きな賑わい

 PFIによる行政施設の集約により、建物内には国と区を合わ

せて約2,300人(2008年4月末)の職員が働いています。ま

た、サービスの高度化により、竣工後は予想を上回る利用者が

来訪。特に千代田図書館へは、計画時の1日900人という予測

を大幅に上回り、1日約3,000人の利用者が訪れています。

 さらに、公共施設として初の試みである障害者就労支援施設

の「パン工房」と「パンショップ」が人気を博し、2007年

10月に開催された「第5回福祉まつり」は、大勢の参加者で賑

わい大成功を収めました。国、区、地域、利用者が共生し、九

段第3合同庁舎・千代田区役所本庁舎ならではの賑わいが新た

に生まれています。

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09 SHIMIZU CSR Report 2008 10SHIMIZU CSR Report 2008

新たな交流と賑わいが生まれる空間を提案

 建設にあたり、21世紀にふさわしい先駆的な公共施設とし

て、防災拠点の機能を持ち、かつ省エネ・省資源のグリーン庁

舎の実現を目指しました。また、エントランスホールや千代田

図書館、食堂や喫茶室、売店といった厚生施設など、利用する

人たちが共用できるスペースを設け、新たな交流と賑わいが生

まれる空間づくりを提案しました。

 建物は地上23階建てで、地上2階から9階が千代田区、11

階から23階が国のフロアとなっています。接地フロアとなる1

階にエントランスホール、国と千代田区の間の9階と10階に図

書館、10階に食堂や売店などの共用施設を配置。こうした明確

なゾーニングで、セキュリティを重視する国の施設と、地域に

開かれた区の施設という異なる性格の施設を両立しました。

周辺環境と調和し、誰もが使いやすい施設● 皇居周辺の景観との調和 周辺は、北の丸や清水門、お濠など皇居周辺地区の歴史的景

観が望めます。この特徴ある周辺環境との調和を図るため、建

物のファサードに和のイメージを継承する縦格子のデザインを

採用しました。他にも、建物玄関に皇居の清水門と呼応する門

形のガレリア「シティゲート」、玄関前にはお濠の水と緑の景

観に連続し、利用者のやすらぎの場となる都市のオープンス

ペース「ユニバーサルプラザ」を設け、立地にふさわしい景観

づくりを行いました。

ことに加え、日射熱を反射する「Low-Eガラス」の採用、窓ガ

ラスとブラインド間の熱だまりを除去する自然通風口の設置な

ど、建築と設備の一体化による省エネ対策を実現しました。こ

うした建物全体の省エネ計画により、ライフサイクルのCO2

を、省エネ対策をしない場合に比べ25.6%削減、PAL値(年

間熱負荷係数)は212MJ/m2で、省エネルギー法の基準値に

対し29.3%の削減を実現しています。

● 一層の省エネ化を目指す最適な維持管理 導入した各省エネ技術の運用データは、エネルギー監視装置

「BA Graphyzer」により日々蓄積、解析し、その結果を熱源

運転へフィードバックし、省エネルギー運転を行っています。

入居している国と千代田区とともに「省エネ委員会」を設け、

エネルギー消費量の報告と利用者意見のフィードバック、それ

らに基づく省エネ施策の提案などを実施し、建物の一層の省エ

ネ化に向け、最適な維持管理を行っています。

防災拠点としての機能を考え安全性を追求● 災害後も継続して使用できる建物 公共施設における防災拠点の機能、それは大地震後も継続し

て使用できることです。これを実現するため、建物の主体構造

には「ハイブリッド制震ダンパーシステム」を採用していま

す。このシステムは、オイルダンパー※1と鋼材間柱ダンパー※2

という2つの制震ダンパーを用いて、地震時の揺れを大幅に軽

減するものです。建物中央のコア部にオイルダンパーを、建物

外周部に鋼材間柱ダンパーをそれぞれ配置することで、地震の

揺れを最大で25%減衰する効果が期待できます。

 これに加え、構造部材に設置したセンサーなどで、地震発生

時の建物の被災状況を瞬時に計測し、建物の安全性を評価する

「構造モニタリング」も導入しました。また、建物頂部の通信

鉄塔は、大地震後や再現期間500年(500年に一度)の暴風

時にも正常に機能する耐震・耐風性能としています。

● 非常時の避難対策も万全に整備 非常時の避難誘導は、「火災フェイズ管理型防災システム」

を採用。火災進展状況を自動火災報知設備で予測し火災の初期

段階で、非常放送、防火戸及び排煙設備などを順次作動させ

て、早い段階でより確実な避難誘導を行います。また、廊下の

ないフロアでの水平避難には「空調機兼用加圧防煙システム」

を用い、非火災区画の防煙性能を高めます。建物竣工後には防

災訓練が実施され、2007年6月には東京消防庁から、防災安

全対策の向上における自主的かつ意欲的な取り組みを評価さ

れ、東京23区の区役所で初めて「優良防火対象物認定証(優

マーク)」の交付を受けました。

 また工事中も周辺環境に配慮し、鉄骨がむき出しの景観にな

らないよう、常に躯体工事を外装工事が追いかける積層工法を

採用しました。

● ユニバーサルデザインに基づいた工夫 ユニバーサルデザインにより、誰もが利用しやすい工夫を多

数導入しています。なかでも特徴的なのは、街区外から庁舎の

中まで統一された音声誘導(千代田区設置)と、当社の提案に

よる「ウェイ・ファインディング(外からでも自分の行き先が

感じられ、誰もがすぐに正確に目的地へたどりつける)」の考

え方による空間づくりです。外部と1階、総合受付のある2階

を水平、垂直につなぐ3層吹き抜けのシティゲートはその一

例。こうした取り組みは、障害者などが参加したユニバーサル

デザインのワークショップで実際の利用者の意見をフィード

バックして設計しました。

グリーン庁舎として環境負荷低減に配慮● 建築と設備の一体化による省エネ対策 ライフサイクルを通じて省エネルギーや省資源に配慮した、

環境負荷低減を先導するグリーン庁舎を目指し、建築、構造、設

備それぞれに多くの省エネ技術を採用しています(左図参照)。

なかでも、外壁は、縦格子のデザインが柱型の庇効果をもたらす

ユニバーサルデザインのワークショップの様子

「ユニバーサルプラザ」は官庁街区を連続させる緑の広場です

ガレリア「シティゲート」は建物の内外をつなぐ役割を担っています

写真左は鋼材間柱ダンパー※2。オイルダンパー※1ともメンテナンスフリーで交換可能。写真右は高さ約50mの通信鉄塔

水平避難時の空調機兼用加圧防煙システムの概要図。空調機を用いて非火災区画に外気を強制的に取り入れ、非火災区画を加圧し、防煙機能を高めます

※1 地震のエネルギーをピストン中のオイルが運動し熱に変えて吸収※2 地震のエネルギーを鋼材のパネルが変形することで吸収

グリーン庁舎実現に向けた省エネルギー計画全体の概要図

 「福祉、特に障害者福祉は特殊・特別なもの」という先入観が拡がっていた日本の社会でも、ようやく障害があろうとも街の中で「共生=共に暮らす」社会を、当たり前の社会として実現していこうとする道へと歩みだしました。 千代田区庁舎内の千代田区立障害者就労支援施設ジョブ・サポート・プラザちよだ(定員35名)も、障害者就労支援事業所さくらベーカリー(1Fショップ、工房)も、その「共生」実現を目指して設置されたものです。これらの施設の特色は、とかく社会の目から閉ざされがちであった障害者の活動が、区民はじめ多くの人が利用する区役所の中で、皆さんの目に見えるということをデザインコンセプトにしたことです。 スタートして1年が経ち、ベーカリーも皆さんから可愛がっていただいて、目標の売り上げを大幅に上回りました。「共生」が少しずつ形になっていっています。

ステークホルダーの方より

みなが共に暮らす社会が少しずつ形に

千代田区立障害者就労支援施設ジョブ・サポート・プラザちよだ所長 鈴木正明 様

■ 建物負荷の削減

風の利用・自然通風・外気冷房・ナイトパージ

■ 風の利用■ 水の利用■ 光の利用■ 設備システムの省エネ

屋上緑化

Low-Eガラス・熱貫流の低減

柱型庇の効果・直達日射量の低減

排煙ファン(屋上)

空調機 空調機安全な一時避難場所水平避難

排煙ファン(屋上)

Low-Eガラス・可視光の透過・日射熱の反射

ルーバー・直達日射量の低減

周辺緑化

適切な窓面積・自然採光

・大温度差利用搬送・変流量・排熱回収

太陽熱

太陽光発電・フリークーリング

省エネシステム・VAV 空調・変風量制御・低温度空調

・高効率照明・昼光制御

・排水再利用機械室機械室機械室

冷水蓄熱温水蓄熱雨水利用水槽・排水処理施設

ろ過装置

閉閉 開

開 閉

火災区画 非火災区画

水平避難用区画

・排煙ファン起動・AHU停止

・空調機による加圧(レタンファン停止)

(負圧) (正圧)

TOPICS 人や社会にとって大きな価値を持つ建物をつくる

太陽光

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12SHIMIZU CSR Report 2008

ニューブルータリズム※1の代表作である日本大学理工学部駿河台校舎5号館

1階ピロティでは2層吹き抜け壁の小野襄作のレリーフが保存されました

中間階免震部の外観は変化を最小限に抑えました。免震層の下層階は、繊細なディテールのトグルダンパー※3で制震補強しました

※1 1950~60年代にイギリスを中心に起こった建築デザインの思潮の一つ。 基本的な美は「構造」と「材料」の率直な表現にかかっているという考え※2 内筒と外筒の間の粘性体により、地震時の水平変位を減衰させる制震ダンパー※3 「てこの原理」により地震時の建物の変形を増幅させてダンパーに伝えること で、効率よく地震エネルギーを吸収する制震装置。日本大学の石丸教授が中心 となって開発

免震部のスリム化に寄与する減衰コマ※2は教材として製図室に設置しました

オリジナルのパーティションを彷彿させる、階ごとに異なるカラフルな掲示壁を新設

記念碑的校舎を次の時代に伝える免震レトロフィット──日本大学理工学部駿河台校舎5号館

記念碑的校舎のデザインの継承

 本建物は、建設当時の宮川英二日本大学教授が中心となって設

計したニューブルータリズム※1の代表作です。構造を反映させ上

階に向けて緩やかに細くなる柱。研究室のサッシュ周りや階段室

に採用されたPC版ユニット。妻側の壁には素焼きタイルの表面に

うわ薬を焼き付けたブロックが組み込まれ、1階エントランスのピ

ロティには彫刻家・小野襄によるレリーフがPC化されています。

日本大学建築学科の総力を挙げた、何にも替え難い歴史の生き証

人であり、今回はデザインポリシーの継承が重要な課題でした。

ハイブリッド構法による高度な改修条件の克服

 外壁と敷地境界が130mmしか離れていないため、標準的な免

震構造では建物振幅が敷地内で収まらないという制約と1階のレ

リーフの保存という条件の下、3階柱頭部に免震ゴムを設ける中間

階免震構造の採用により4階以上の耐震補強を不要とし、また質量

慣性効果の大きな減衰コマ※2を4階梁下に併設することで振幅を

抑え、免震ゴム周りのディテールを繊細に納めました。免震層の下

層階はレリーフを保存した耐震壁増し打ちによる耐震補強と、窓周

りの2層に跨がるトグルダンパー※3による制震補強を行いまし

た。こうした免震、耐震、制震を多様に組み合せたハイブリッド構

法により、外観を損なうことなく高度な改修条件を克服しました。

環境の変化への対応

 建物を取り巻く環境も建設当初とは大きく様変わりしており、

外部騒音を低減するFixサッシュと自然換気が可能な突出し窓付き

サッシュの使い分けや、Low-Eペアガラスの採用など、室内環

境・機能向上に配慮しています。外観デザインの継承とは対照的

に、変化に富んだ内装デザインにもこだわりました。

 歴史的な建造物の保存、再生は、貴重な社会的資産を継承することであり、街の景観を守ることでもあります。東京・千代田区にある1959年竣工の日本大学理工学部駿河台校舎5号館は建築学科の校舎で、建設当時としては挑戦的な技術が導入されています。建築学科の教材として意義深い建物であり、本郷通りの街並み景観の構成要素となっています。今回の改修工事では、建物デザインの継承と免震レトロフィットによる安全性確保の両立を実現しました。

中間階免震部

反力壁

減衰コマ

免震スリットライン

TOPICS 建物を長く使えるようにし、価値を次の世代へ継承する

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2500

2000

1500

1000

500

1966(竣工時)    1988(第1回目改修)     2006(今回改修)

1次エネルギー消費量(

MJ/㎡年

建築物の環境品質・性能の良さ

(私有財産としての環境への負荷)

建築物の環境負荷(公共財産としての環境への負荷)

時代と共に増加するエネルギー消費量(一般的な事務所ビル)

竣工時2,000MJ/㎡年

第1回目改修1,600MJ/㎡年

基準

負荷が少ない

高い

低い

負荷が多い

今回改修1,600MJ/㎡年     (予測)

削減量400MJ/㎡年(削減率:20%)

削減量700MJ/㎡年(予測)(削減率予測:30%)

100

5036

0

0 50 65 100

BEE=0.5

改修前BEE=0.6

改修後BEE=1.0

BEE=3.0 BEE=1.5 BEE=1.0

13 SHIMIZU CSR Report 2008 14SHIMIZU CSR Report 2008

技術の結集、万全な体制で地震に備える

 愛着ある古い建物を次世代に継承するために、設備や仕上げ

を更新すれば、使い勝手は新築の建物と変わらなくなります。

しかしそれだけでは地震に対する不安は払拭できません。今回

採用された中間階免震工法では、柱を切断し、ジャッキで荷重

を仮受けした後に免震装置に荷重の受替えを行いました。一度

に柱を切ると水平力を維持できないため、4工区に分けた工事と

なりました。また、工事中の万一の地震に備えて、震度に応じ

た緊急召集体制の整備など、万全の準備で臨みました。最新の

耐震、制震、免震技術を結集したハイブリッド構法では、一つ

ひとつの装置重量が大きいうえに、それぞれミリ単位、0.1ミリ

単位の変位管理、精度が必要です。これらの課題を克服し、

10ヶ月という非常に短い工期で耐震補強工事を完了しました。

最新技術の導入で環境負荷低減を実現し、建物の魅力を向上● 環境面、機能面からの総合的な提案 改修工事では、「環境配慮型オフィス」をテーマに、事務所

ビルとして、安心、快適に、長く使える魅力的な建物を目指し

ました。まず、現状の建物を総合評価する当社独自の基準「シ

ミズ・グリーンコード改修版」で、安全、省エネ、長寿命化、

機能向上、維持管理の5つの面から、現状の建物の付加価値を

評価。その後、それぞれに適用可能な最新のリニューアル技術

を、環境面、機能面から総合的に提案し導入しています。

● 予測される環境負荷低減効果 今回の改修後には、省エネ技術の導入などにより、同規模の

平均的な事務所ビルに比べ1年間のエネルギー消費量を30%

削減可能となります。また、建替に比べ1年間のCO2排出量は

約1.6万t-CO2の削減が可能と予測しています。さらに、

CASBEEによる評価結果のBEE値も改修前の0.6から1.0と

高くなり、築40年以上のビルが現在の新築の標準ビルと同じ

評価にまで向上します。今後は、BEMS※などを活用した最適

な維持管理によって、これら予測値の達成を目指します。

 当会館は、約60の入居者を有した事務所ビルです。空調面では、これまで区画ごとに温度管理していましたが、各室に温度調節器、個別空調機を設置することにより、効率的で快適な執務環境を提供できるようになりました。また、耐震補強の実施により安心・安全の価値を、エントランス及び共用部の改修によりイメージを、それぞれ高めることもできました。環境面では、省エネタイプの空調機器及び節水タイプの洗面機器の導入を行い、既に具体的効果も現れています。 今回の改修は、入居者が居ながらにして実施したため、入居者の理解と協力が不可欠でしたが、無事に完了できたのは、施工者による入居者へのきめ細やかな説明、工程の柔軟な調整の賜物と感謝しています。

ステークホルダーの方より

快適性、安心・安全、環境面で建物価値を向上

財団法人 機械振興協会理事・事務局次長 松岡 隆 様

 地球環境の視点から構造物の長寿命化の関心がようやく広まり出している時に、そのひとつの魅力的な改修方法を提示した見本が本建物でしょう。この程度の規模の建物では大地震の振動エネルギーは、生体的エネルギーに換算するとたった2,000キロカロリーでしかありません。ただし、これが1秒などの短時間で投入されます。一方、建設に使用されるエネルギーは1m2

あたり、平均して上値の2,000倍が消費されているといいます。これが建物を大地震で破壊させてはならない大きな理由です。 本建物はゼネコン4社のコンペで、清水建設案が採用されて改修工事が施工されたもので、非常に難しい設計条件を、当大学で開発した近未来型のデバイスも一部採用して、耐震・免震・制震という巧妙なハイブリット構法でクリアしたものです。非常に狭い敷地でも、免震層を形成して再生できることを実証したもので、このプロジェクトに関わった関係者に敬意を表します。

ステークホルダーの方より

近未来型技術による建築の再生

日本大学理工学部教授 石丸辰治 様

安  全・・・・耐震補強、ガラス飛散防止対策省 エ ネ・・・・設備高効率化(空調、照明)、節水型便器採用長寿命化・・・・屋上緑化(防水)、ユニットトイレ設置機能向上・・・・空調個別化、トイレ改修、アプローチ改修維持管理・・・・BEMS※導入、窓ガラス光触媒塗装                (一部提案内容は導入検討中)

■付加価値向上に向けた取り組み提案内容

※Building and Energy Management Systemの略。建物の使用エネルギーや室内環境を把握し、設備運転の省エネルギー化に役立てるためのシステム

改修したトイレ。事務所で働く人たちのアメニティ向上に加え、最新の節水型機器類を採用することで、上水使用量の節約と下水排出量削減による環境負荷低減を図っています

耐震ブレースなどで補強した事務所内。耐震補強により、建物を安心して使い続けられるよう安全性を向上しました

る建物の総合診断を実施しました。現状を正確に把握し、建替

とリノベーション、それぞれのLCC(ライフサイクルコスト)

の比較検討を行いました。その結果、リノベーションのほうが

経済性に優れ、建物の容積率も現状のまま維持できることか

ら、改修工事が有効との結論を得ました。

機械振興会館

次の20年も安心、快適に使用できる環境配慮型オフィスへ──機械振興会館

 既存の建物をライフサイクルの観点で見直し、最新技術で劣化箇所の補修や機能更新を行い、長く使えるようにすることで、維持管理コストや新たな建設資材、CO2排出量を低減するなど、建物に新たな価値を付加できます。東京・港区にある機械振興会館は築42年を迎え、環境配慮型オフィスへのリノベーションを行っています。

建物の総合診断とLCCシミュレーションを実施

 機械振興会館は、1966年に竣工し、その20年後に第1回目

の大規模改修を実施しました。さらに20年が経過した2006

年には建物、設備両面での老朽化に加え、環境面、機能面でテ

ナントビルとしての競争力低下が懸念される状態になりまし

た。そこで、まず、劣化診断、耐震診断、省エネ診断で構成され

エネルギー消費量の推移と予測値

CASBEE評価結果

BEEによるサステナビリティランキング(新築の標準ビルのBEE値=1.0)

TOPICS 建物を長く使えるようにし、価値を次の世代へ継承する

油圧ジャッキ支柱設置 コアマシンによる既存柱切断

免震装置の設置 免震装置下部柱復旧

改修後

改修前

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16SHIMIZU CSR Report 2008

地域の特性を生かしてエコタウンを創出──Pal Town 城西の杜

エコロジカル・ランドスケープ手法で生態系にも景観にも配慮

 街づくりの計画にあたり、エコロジカル・ランドスケープ※

という手法を採用しました。これは、地域独自のエコシステム

を生かして、その地域でしかなしえない空間を設計する手法で

す。地域のエコシステムの骨格をなす部分をエッセンシャル・

ゾーンといい、これを活用します。この地域のエッセンシャ

ル・ゾーンは高い地下水位でした。そこで、ふたつの調節池を

限りなく多自然型にすることで、水田の遊水機能を担えるよう

にしました。地下水位が高い時季は池に絶えず地下水が流れ込

み、逆に地下水位が低い時季は池の水が周辺にしみこむように

水面の高さを設定しました。これらの調整池は、雨水を一時的

に溜めるだけでなく、地域の地下水位と連動しています。

 エコタウンであると同時に、暮らしやすい美しい街であるべ

きと考え、街並みや公園などの主要な視点場からの景観も設計

しました。また、スケッチで空間構成を検証し、それを図面に

変換しました。

※この用語は「景観デザイン─総合的な空間のデザインをめざして─」コロナ社、2006より引用

多自然型調整池

 調整池は、造成地に短時間に増加する雨水を、一時的に溜め

て、時間をかけて排水する装置です。護岸をコンクリートブロッ

クにすれば、調整池面積を小さくできるため宅地は増えますが、

無機質な空間になってしまいます。Pal Town 城西の杜では、可

能なかぎり自然の池に近づけるように設計しました。防水シート

は一切使わず、護岸の水深にも変化をつけました。調整池竣工間

際に植え付けた水生植物が自らの水深に最も適した生育場所を見

つけて生長し、5年後には緑豊かな護岸となりました。自然の池

に近づいているように見えますが、水際線や水面下には、土留め

の護岸の侵食を防止する装置を施してあります。

 計画地はふたつの集落に挟まれた水田地帯で、住宅地にするためには、盛土による地盤改良とともに水田の遊水機能を担う調整池をつくる必要がありました。そこで、生態系と共存するエコタウンとして開発するために、エコロジカル・ランドスケープ手法を採用し、地域環境と景観に配慮した街づくりを行いました。

水生植物植栽時(2002年10月)

設計時に描いた蛇川親水公園のスケッチ。季節や時間も景観を考えるうえでの大きな要素として取り入れました。一番上の写真は実際の公園付近。写真右上は日中の街並。日が傾くと、夕日に照らされたモニュメントが路面とシンクロし、新たな景観を生み出しています(写真右下)

土地利用計画図

約5年経過した後の同じ場所

TOPICS ステークホルダーとともに生態系保全に取り組む

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17 SHIMIZU CSR Report 2008 18SHIMIZU CSR Report 2008

自然エネルギーの活用

 調整池の静水だけでなく流れる水も取り入れようということ

となりました。しかし、近くを流れる農業用水は水利権の関係

で使えないため、地下水を汲み上げることにしました。電気を

動力として使えば簡単ですが、それではエコタウンにふさわし

くありません。検討の結果、アメリカ西部の開拓時代に活躍し

た風車による地下水揚水装置を採用しました。竣工後、住民か

らの要望により、無風状態のときは電気に切り替わるハイブ

リッド方式になりましたが、一定量の地下水が調整池に常に流

れ込んでいます。また、全700 戸のうち553 戸に太陽光発電

装置を設置しています。これは、太田市がNEDO※の太陽光発

電実証実験に応募して採用された結果です。太陽光発電は、消

費電力のおよそ8 割をまかなっています。

アニマルパスウェイの背景

 日本経済団体連合会の特別委員会の一つである日本経団連自

然保護協議会は、NPOのプロジェクトに対する助成事業や自然

保護に関するシンポジウムを開催するなど、企業とNPOのネッ

トワーク形成に努めています。この協議会の座談会(2004

年)で、財団法人キープ協会やまねミュージアム・湊館長、清

水建設及び大成建設などのメンバーが会し、「道路上に生き物

のための通り道をつくって、全国に普及させることができない

だろうか?」という話題が出たのをきっかけに、アニマルパス

ウェイ研究会が結成されました。清里(山梨県北杜市)で活動する

とでアニマルパスウェイを実現することができました。

 環境保全や社会貢献への協働は、ステークホルダーとコミュ

ニケーションを図る際、相互の理解のために良い手法となりま

す。今回、企業は資金援助という形ではなく、人材や技術をボ

ランティアという形で提供しました。企業が持っているものを

さまざまな形で提供し、問題をNPOとの協働によって解決して

いくことが、これからの地球環境問題の解決や生物多様性保全

において不可欠です。また、建設業としてはNPOと協働して、

建設活動で培った技術やノウハウを活かして生物多様性の保全

に貢献することが大切だと考えます。

 アニマルパスウェイは、新聞、雑誌やテレビで取り上げら

れ、道路と小動物との関係に関する現状について多くの方に

知ってもらうことができました。2007年度の土木学会環境賞

を受賞しています。今後、同研究会は、アニマルパスウェイの

普及に向けて国、鉄道会社及び自治体などにPR活動を行って行

く予定です。

NPOと企業、互いのノウハウを生かしてアニマルパスウェイを実現

 ヤマネは、北海道を除く日本全国に生息する日本固有種の小型

ほ乳動物です。国の天然記念物で、環境省レッドデータブックで

は準絶滅危惧種に指定されています。ヤマネやリスなどの樹上で

行動する小動物は、道路で森林が分断されると移動が困難になる

ので、採餌・繁殖活動が妨げられ数が減少しています。このよう

な小動物を守るためには、橋を架けて樹林を結び、移動路を確保

する必要があります。タヌキ

やシカでは、道路下にトンネ

ル状の通路を確保した例が数

多くありますが、樹上動物の

通路の例はほとんどありませ

ん。なお、清里高原有料道路

にヤマネ・ブリッジが造られ

ましたが、約2,000万円と高

額で、普及するまでには至り

ませんでした。

 同研究会は、構造の簡単な

廉価で普及可能なブリッジの

開発に取り組みました。ヤマ

ネがワイヤーなどの人工物を

移動に使うのか、ブリッジの

形状は、安全面やメンテナン

スは、といった実証実験を行

い、ヤマネもリスも通れる形状を考え、建設費も清里のヤマネ・

ブリッジの1/10程度に抑えることができました。キープ協会の

牧場内に実物モデルを設置し、ビデオカメラによるモニタリング

で、ヤマネやリスが通ることを確認しました。実証実験を約3年

間行い、2007年7月、山梨県北杜市にあるキープ協会内を通る

市道に、市長の賛同を得て(ヤマネが北杜市のシンボルの一つに

選定されていることから)、アニマルパスウェイを架設しまし

た。橋の通路部分の組み立ては、研究会のメンバーがボランティ

アで行い、8月初旬にはヤマネとヒメネズミが通ることが確認さ

れ、有効性を証明しました。

NPOと企業が協働して環境や社会問題に取り組むことが大切

 道路で分断された森の生き物を守るという課題に対し、NPO

はヤマネの代弁者としてブリッジのあり方を検討し、企業は

NPOの要望をもとに建設とモニタリングに必要な技術を提供し

ました。得意とする分野の知見と技術を出し合い相互補完するこ

ニホンヤマネ保護研究グループとIT企業のエンウィットが加わ

り、現在まで十数回の研究会を重ね活動しています。

「アニマルパスウェイ」は、

研究会がつくった言葉で、

「道路上などに人工的につ

くった樹上性小動物の通り

道」を意味しています。

風力による地下水揚水装置

地下水を活用した流れ

住戸の屋根に設置された太陽光発電システム

北杜市の道路上に設置されたアニマルパスウェイ

 日本の故郷の田んぼなどの環境改変や、地球的な環境破壊が同時に進行してきた今、環境保全は急務となりました。環境保全は、野生生物の生存保証だけでなく人の未来を左右する鍵となりました。僕は、環境保全の鍵は「社会化」にあると考えます。環境保全を実施するのは、専門家や特別の人だけでなく、“誰でも”“どこでも”環境保全に参画しないかぎり、完結しないからです。“誰でも”“どこでも”参画できるようにするのが「技術」です。ある「環境共生技術」が開発されれば、誰でも、どこでも参画できます。その技術開発を目指したのが「アニマルパスウェイ」です。建設業は自然と接する最前線の現場であり、自然と人の存在を保証する現場です。そんな具体策として「アニマルパスウェイ」を日本と世界で普及させたいと思います。

ステークホルダーの方より

環境保全の社会化を目指すアニマルパスウェイ

財団法人キープ協会 環境教育事業部 本部長やまねミュージアム 館長湊 秋作 様

 2002年10 月から分譲を始めた「Pal Town 城西の杜」は、700の販売区画も完売目前となっています。これは、設計施工による発注形態により、現場で発生する問題を迅速に解決し、地域環境に調和した住環境が形成できた結果だと考えています。 Pal Town 城西の杜では、あちこちから子供たちの遊ぶ声が聞こえてきます。調整池を利用した公園にはたくさんの鴨が飛来しています。緑が多く落ち着いた街並みは、ふたつの集落に挟まれた水田だったとはとても思えません。訪れるたび、私はこの街の成長を感じています。 家々の庭や公園に植えた樹木が大きく育つころ、Pal Town 城西の杜はさらに風格を増し、違う街の顔を見せてくれることでしょう。その時がまた楽しみです。

ステークホルダーの方より

新たな自然環境と調和した住環境

太田市土地開発公社理事長 清水聖義 様

NPOと企業の協働で生態系保全活動を実践──アニマルパスウェイの建設

 開発か自然保護かをめぐり、NPOと企業は相反する立場になりがちでしたが、ヤマネを守るためのアニマルパスウェイの建設を通じて、得意分野の知見や技術を出し合い協働することで、生態系保全を実践しました。

ヤマネ。体長約8cm、体重18gほど。夜行性で昆虫や種子、果実、花などを食べ、冬眠をします

1998年に設置された清里のヤマネ・ブリッジ

今回設置したアニマルパスウェイを通るリス(上)とヤマネ(下)

TOPICS ステークホルダーとともに生態系保全に取り組む

※独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構。産業技術や新エネルギー、環境技術などの研究開発とその普及を推進する日本最大規模の中核的な研究開発実施機関

土木学会賞の表彰式に参加したアニマルパスウェイ研究会のメンバー

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広 島

九 州

東 京ヤゴの救出(ホタルの育成・孵化・放流・ホタル鑑賞の夕べ開催)

地域 活動内容 実施期間

2007/4/1、6/6

北海道 苗穂駅周辺まちづくり再開発協議会苗穂駅に近接する豊平川河川敷の清掃

名橋「日本橋」保存会、日本橋一丁目町会、日本橋室町一丁目町会メンバーとして、日本橋を洗う会に参加

東 北

北 陸

名古屋

ザ・ビラトルズ(「杜の都・仙台」に向けた街づくりの美化活動電柱のビラ除去、路上の吸い殻や空き缶拾い)

石川日産1000キロクリーン作戦 道路沿線の清掃

名古屋市ブラックイルミネーション屋外社名看板のライトアップ停止(午後8時から10時)

ウォールペインティングフェスティバル(地球温暖化防止のウォールペインティング)

ツルのネグラ整備大陸から越冬するナベツル(山口県の県鳥)のねぐら・えさ場の整備

原爆ホームへの寄贈及び清掃

2007/5/27

2007/5/26、10/6

2007/5/27

2007/7/10

2007/9/9

2007/5/13

2007/7~(通年・月1回)

2007/6/24

関 西

20SHIMIZU CSR Report 2008

社外団体 清水建設

従業員(個人)

部 門(支店)

まず始めてみよう

部 門 本 社

協 働プロジェクト 継 続

地 域 性 社 会 性

ペットボトルのふたでワクチン

アルミ缶リサイクルで車いす

作業所周辺清掃

技研主催見学・学習会

カンボジアの井戸掘削

植林活動 植樹

オニヒトデの駆除

鶴のねぐら整備

コアジサシ生息地清掃

切手・テレカ収集

災害支援

文学賞主催

人材の派遣

全社から個人まで、それぞれのレベルで地域と密着した活動を展開──シミズの社会貢献活動

 作業所では、地域社会との結びつきから周辺の清掃などの交流を行ってきました。また、従業員も個人で社会貢献を行っており、これらの活動を支援するため、2007年度からボランティア休暇を制度化しました。本社で行ってきた寄付による社会貢献や災害支援に加えて、社会貢献は地域と密着した活動を継続することも大切と考え、部門ごとに活動を行うこととしました。2008年度は、まずできることから始めてみようという趣旨で活動を行っています。

国宝大崎八幡宮「文化財の森」育林事業への参加

 現在、国宝大崎八幡宮(宮

城県仙台市)では、将来の社

殿の修理に備え、使用材とし

てブナやカツラなどを植林

し、育成する事業が行われて

います。同質の木材は国宝級

の寺社建築などにも使用され

ていることから、今後の文化財建造物の保護や地球環境の保全

のために大切な事業と位置づけられています。東北支店では毎

年このボランティアに参加し、2007年度は植林地内の草刈り

を行いました。

「旧安田楠雄邸庭園」の清掃で文化的建造物の保存に一役

 旧安田邸(東京都文京区)

は、実業家藤田好三郎氏によ

り大正8年に建てられた近代

和風建築物であり、その後安

田家が購入し、以来住宅とし

て使用していたものです。現

在は、文化財として保存する

ために日本ナショナルトラス

トに寄贈され、東京都指定名勝としても登録されています。保

存活動にはボランティアの力を活用しており、当社の従業員も

日建連主催で2007年12月に行われた庭園の清掃活動に参加

しました。

オニヒトデの駆除に貢献

 沖縄営業所では、座間味ダ

イビング協会主催によるオニ

ヒトデ駆除活動に参加しまし

た。世界でも有数の珊瑚礁の

聖地、沖縄県座間味村でも、

オニヒトデによる珊瑚への被

害が深刻化しています。今回

の活動を通して被害状況を確認できました。沖縄における珊瑚

の保護への関心が高く、地元に求められた活動であることから

今後も協力を行っていく予定です。

草刈りの様子

落ち葉を集め、裏庭に運ぶ作業を行いました

捕獲されたオニヒトデ

社会貢献マップ

2007年度環境ボランティア活動実施例

TOPICS 企業市民として、よりよい社会を目指す

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21 SHIMIZU CSR Report 2008 22SHIMIZU CSR Report 2008

「第19回日本ファンタジーノベル大賞」を主催

 これまでも数々の傑作と人気作家を生み出してきた、新人作

家の登竜門の一つ「日本ファンタジーノベル大賞」は、1989

年から当社と読売新聞東京本社が、新潮社の後援を受けて主催

しています。その第19回受賞式が、2007年11月20日に都

内で行われました。応募総数456編の中から、今回大賞に選ば

れたのは弘也英明さんの「厭犬伝(えんけんでん)」、優秀賞

には久保寺健彦さんの「ブラック・ジャック・キッド」が選ば

れました。

マレーシア下水処理場の建設で周辺地域の環境改善と現地の若手技術者の育成に貢献

 現在、マレーシア政府は、河川と周辺海域の水質環境の改善

を目的に、従来のため池処理方式※1から標準活性汚泥処理※2

及び機械式処理※3への更新による排出水質改善、処理の効率

化、汚水管路網の更新、補強に取り組んでいます。当社は地元

大手コントラクターであるロードビルダー社、日立プラントテ

クノロジー社の3社で共同企業体を構成し、マレーシア全国水

道整備事業3工区のうち首都クアラルンプールを中心とした第

一区を担当しました。この工事では、マレーシア初の機械式下

水処理を行うため、日本の経験豊富な技術者が引渡し後の運

営、維持、管理を指導中で、ハード、ソフト両面で生きたノウ

ハウを伝授しています。また、マレーシアでは経験の浅いシー

ルドトンネル工法や、マレーシア初となる曲線推進工法などに

ついて現地企業を直接指導しながら施工を行うことで土木技術

の伝承を行うことができました。

WWFから「ゴールドパンダ賞」を受賞

 世界最大の環境保全NGOであるWWF(World Wild Fund for

Nature 世界自然保護基金)は、全世界の60拠点を通じて100

カ国以上の国々で環境保全活動を展開しています。当社は、

2007年10月2日、このWWFから「ゴールドパンダ賞」を受

賞しました。この賞は、資金面においてWWFネットワークに大

きな貢献をした個人、企業、団体に対して贈られるものです。

1990年以来、管理専門家をWWFジャパンに派遣し、その組織

管理能力向上に貢献したことが、今回の受賞に結びつきました。

「シミズ・オープン・アカデミー(SOA)」を開講

 当社の技術のショールームとして、技術

研究所には毎年8,000名を超えるお客様に

来所いただいていますが、より広い範囲の

ステークホルダーと効果的なコミュニケー

ションを実現するため、「シミズ・オープ

ン・アカデミー(SOA)」を、2008年に

開講します。従来の見学会に「技術講座」

を盛り込んだ「テクニカルツアー」や、セ

ミナー、シンポジウムなど、全国の青少年

を含めた多くの方々を対象に、幅広く行っ

ていく予定です。

サイエンスキャンプ「ビオトープ・ワークショップ」を開催

 2007年8月1日から3日間、全国から集まった高校生12名

を対象に、サイエンスキャンプ「ビオトープ※・ワークショッ

プ~都市ビオトープの多様な機能を感じる 観る 測る」を開

催しました。これは、独立行政法人科学技術振興機構が実施し

ている科学技術体験合宿プログラムの一環です。次代を担う青

少年の科学技術に対する興味・関心を喚起することを目的に、

第一線で活躍する研究者や技術者による実験・実習を主体とし

た直接指導を行っています。

 今回のワークショップでは、都市ビオトープづくりのプロセ

スを学んだあと、水質の測定や生態系ネットワークの観察など

の作業を通じてビオトープのさまざまな機能を体験し、最後に

自分たちが住みたくなる街や建物の環境創造についてまとめた

「越中島宣言」を発表しました。

どんぐりの森づくり

 森林保護や緑化の一つとして、どんぐりを拾い育て、森に還

すという活動が広まっています。技術研究所では2005年から

「どんぐりの森」をつくる活動を進めており、所内従業員に参

加を呼びかけ約600本のどんぐりの苗木を所内の敷地に植樹し

ました。苗木は、休日などを利用して従業員が自宅近くでどん

ぐりを拾い集め、各家庭内で1年半をかけて育てたものです。

育成の過程を通じて、また、自分たちが育てた苗木を植樹する

ことで、環境への関心をより深めることができました。

小学生向け「土木の日」見学会を実施

 2007年11月に豊洲小学校、12月には越中島小学校の5年

生を各100人技術研究所に招いて見学会を行いました。これ

は、「土木の日」と「暮らしと土木の週間」の関連行事として

土木学会関東支部と共同で実施したものです。この見学会は

1990年から行っており、今回で17回目を数えます。これま

でに訪れた小学生の数は延べ2,100人以上にのぼります。

 技術研究所は、従来の建設フィールドを超えたさまざまな分野の英知を結集・融合する、「開かれた技術研究所」を目指しています。こうした「オープン・イノベーション」の考え方は、技術の研究・開発だけにとどまらず、開発した成果や情報を広く社会に発信、公開していこうという姿勢にもつながっています。

前列中央右が大賞を受賞した弘也さん、左が優秀賞の久保寺さん

受賞作品。新潮社より発売中

完成間近のマレーシア下水処理場。左端のため池が既設処理場

WWF本部代表を務めるヘイルズ博士から表彰状を受け取る齋藤副社長

表彰状

 1958年に建設された既設パンタイ下水処理場は、管路の老朽化と容量不足により下水が直接河川に流入してしまい、河川汚染の原因となっています。処理方式が古いため悪臭源にもなっており、これらの状況を改善するため、新パンタイ処理場と下水管路では処理人口を現在の76,000人から377,000人としました。下水は河川へ直接流入せずに新パンタイ処理場へ流入させ処理するため、より高度な排出基準を達成することができます。また、嫌気性生物による消化と機械式圧縮の組み合わせで行う汚泥処理システムにより、河川汚染と悪臭発生を防ぐこともできます。こうした試みは、よりきれいな、より健康的な環境づくりに大きく貢献するものです。

ステークホルダーの方より

よりきれいで健康的な環境づくりを目指す

マレーシア政府下水道局長Akhir 様

 シールド工事はマレーシアではあまり経験がなく、工事に参加できたことは幸運でした。実際の作業は簡単なものでなく、技術的に忍耐強く学ばなければならことが多いことを実感しました。掘削機の組み立て、運転、掘削中の維持管理について、丁寧に指導・教育していただきました。次のシールド工事に今回習得した技術、知識を仲間と共有したいと思います。

習得した技術や知識を仲間と共有したい

現地企業若手技術者Tang様

開かれた技術研究所を目指して

実習の様子 小学生による実験見学

1年半かけて大切に育てた苗木を植樹

紹介パンフレット

※1 ため池で下水をかき回して循環さ せ、微生物でゆっくり浄化させる 方式。屋根がないため、臭気拡散 の問題がある

※2 下水中の微生物に酸素を供給して 増殖を行い、微生物に有機物を食 べさせて汚水を浄化する

※3 標準活性汚泥処理で分解されずに 残った汚泥を、処分しやすいよう に脱水し処理する

※ その地域のさまざ  まな野生生物の生  息空間

TOPICS 企業市民として、よりよい社会を目指す

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ACTIVITIES 2007年度の活動内容と実績 ここでは、2007年度に実施した、企業倫理や法令順守、情報開示、情報セキュリティ、人権、人材育成、安全衛生・管理、品質管理、環境などについて、その取り組み内容と実績を紹介します。

CSR活動については、当社ホームページ(http://www.shimz.co.jp/csr/index.html)をご覧ください。

高品質の実現 品質方針 http://www.shimz.co.jp/csr/quality/policy.html

地球環境への配慮 環境基本方針環境経営環境への取り組み環境活動紹介報告書環境関連発刊物

http://www.shimz.co.jp/csr/environment/index.html

社会やお客様の期待を超えるものづくりとサービスの提供

組織統治と公正な事業慣行 企業倫理行動規範 http://www.shimz.co.jp/csr/ethics/index.html

コーポレート・ガバナンス http://www.shimz.co.jp/csr/governance.html

内部監査体制 http://www.tse.or.jp/disc/18030/200804080071-34080230.pdf

調達基本方針 http://www.shimz.co.jp/csr/supply/policy.html

情報の開示と保護 情報セキュリティポリシー(基本方針)

プライバシー・ポリシー(個人情報保護指針)

http://www.shimz.co.jp/csr/security/index.html

公正で透明な活動

人  権 人権基本方針

人事基本方針 http://www.shimz.co.jp/csr/human/policy.html

人材開発方針

労働環境 安全衛生管理基本方針 http://www.shimz.co.jp/csr/safety/policy.html

社会貢献活動 社会貢献基本方針 http://www.shimz.co.jp/csr/society/policy.html

社会との調和

※各項目の詳しい情報は以下アドレスより当社ホームページなどをご参照ください。

23 SHIMIZU CSR Report 2008

Page 14: Shimizu Corporate Social Responsibility Report › company › csr › environment › pdf › ...03 SHIMIZU CSR Report 2008 SHIMIZU CSR Report 2008 04 企業の社会的責任 CSRのResponsibilityは、責任に加えて信頼性と

ACTIVITIES 2007年度の活動内容と実績

組織統治と公正な事業慣行について

コーポレート・ガバナンス体制

 経営の意思決定、執行及び監督・監査に係る体制は、以下の

とおりです。

● 取締役の少数化、執行役員制度の導入 戦略決定・経営監督機能と業務執行機能を分離し役割と責

任・権限を明確にした運営を行うため、取締役の少数化を図る

とともに、執行役員制度の導入を行っています。取締役会は、

原則として毎月1回その他必要に応じて開催し、法令及び定款

に定められた事項並びに経営上の重要事項を審議決定していま

す。取締役会における経営上の意思決定内容などは、毎月開催

する執行役員会議及び事業部門長会議において指示・報告する

とともに、その業務執行の進捗状況を確認しています。

● 監査役制度について 監査役制度に基づき、監査役5名中3名は常勤監査役として

常時執務するとともに、監査役全員が取締役会に出席し、取

締役の業務執行を監査しています。また、取締役などに対す

る業務監査のため、監査役室を設置し専従スタッフを配置し

ています。

● 各種会議、委員会の設置 業務執行に関わる重要事項の決裁、戦略決定などを効率的に

行うため各種会議を、また諮問機関として各種委員会を設置

しています。執行役員の選任を公正かつ透明に行うため、役

員推薦委員会を、また、取締役及び執行役員の評価並びに報

酬の決定を公正かつ透明に行うため、役員評価委員会を設置

しています。

コーポレート・ガバナンスの実践

● 内部統制システム整備の基本方針の改定 会社法の施行に伴い、2006年5月に制定した「内部統制シ

ステム整備の基本方針」の内容について、コンプライアンスに

関する社会の要請に対応した見直しを適宜行っており、2006

年度は「独占禁止法違反行為の断固排除」への取り組みなどに

ついて、2007年度は「反社会的勢力・団体との関係根絶」の

ための取り組みについて特記し、当社の姿勢をより鮮明に打ち

出しています。

● 金融商品取引法への対応 金融商品取引法の施行に伴い、「財務報告の信頼性確保」を

中心とする内部統制システムの構築が求められ、2008年度決

算からの同法適用に対応すべく、専門の対応組織(経理部内部

統制推進グループ)を立ち上げ、業務プロセスの再点検などを

行い体制の整備を行っています。

● グループ全体のコンプライアンス体制整備 内部統制システムの整備は、当社のみにとどまらず、グ

ループ全体に求められるため、関連事業部が中心となり、コ

ンプライアンス体制の整備の支援を各グループ会社に対し

行っています。

 2007年度は、前年度に引き続き各グループ会社の経営幹

部を対象にコンプライアンス研修を開催し、各企業のコンプ

ライアンス研修を支援するなど具体的な取り組みを展開して

います。

コンプライアンス体制強化への取り組み

● 組織体制の整備 当社は、高い企業倫理観に基づいたコンプライアンス経営を

実践するための体制として「企業倫理委員会」を設置し、企業

倫理・法令順守徹底に向けた施策の展開・フォローを行うとと

もに、万一不祥事が発生した場合の対応策・再発防止策の検

討・指示を行っています。

 役員・従業員が職務遂行の際に、法令違反・社内規定違反行

為などを行うことがないよう「企業倫理相談室」を設置し、併

せて当室に社内の役員・従業員を対象として、企業倫理に関す

る相談・改善提案・情報提供などの窓口を設けています。

● 企業倫理行動規範の制定 全社の企業倫理の徹底を図るため、役員・従業員の基本的

な行動基準である「企業倫理行動規範」を制定し、その周知

を行うとともに、役員・従業員が守るべきルールについて、

きめ細かな周知とその正確なモニタリング、また法令違反に

つながる情報の早期把握と適正な対処のための仕組みを構築

しています。

 当社は、健全な成長・発展を図るため、経営の意思決定と業務執行において、迅速性・効率性・適法性・透明性の高い経営を目指しています。このため、経営戦略機能と業務執行機能を明確に分離するとともに、それぞれの職務執行を取締役及び監査役が的確に監督・監査する体制を築くこと、併せて全役員及び従業員がコンプライアンスの高い経営を実践することを、コーポレート・ガバナンスの基本方針としています。

24SHIMIZU CSR Report 2008

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● コンプライアンス教育 「企業倫理行動規範」の周知徹底と、実践的運用を図るた

め、コンプライアンス・マニュアルなどを利用した各種研修を

全社で実施してきました。これに加え、よりきめ細かな教育と

理解度のモニタリングを行うために、2007年度よりeラーニ

ングによるコンプライアンス研修を全社展開しています。新た

な取り組みとして、従業員の意識喚起を図るために、当社の事

業活動に関係の深い法令の動向や、コンプライアンスに関連し

た事例をタイムリーに紹介する、イントラネットを利用した

「法務ニュース」の配信を2007年度より開始しました。法務

ニュースは毎月、当社だけでなくグループ会社にも配信されて

います。

リスク管理の取り組み

 会社法及び金融商品取引法の施行を契機に、企業のリスク管

理体制整備の重要性が増してきています。2008年5月、当社グ

ループのリスク管理に関する基本事項を定めた「リスク管理規

程」を制定し、倫理・法的リスクをはじめとする、さまざまな

リスクを正しく認識し、的確な管理を行うことによって、リス

クの未然防止と低減、発生時の対応力強化を図っていきます。

 リスク管理体制整備の一環として、リスク管理委員会(委員

長:社長)を設置し、機能別各リスク(品質・安全・環境な

ど)に対する本社主管部門(部署)及び各事業部門の管理状況

のモニタリング並びに新たなリスクへの全社対応を行うことと

しました。一方、グループ会社のリスク管理についても当社と

同等の位置づけとして対応を行っていきます。

独占禁止法違反行為と再発防止

● 2007年度の出来事 当社は2007年度、独占禁止法違反を問われていた二つの事

件において、法違反を認定する当局の判断が下されたことによ

り処分を受けました。

 一件は、前年度に公正取引委員会から刑事告発された「名古

屋地下鉄事件」の刑事裁判において罰金の有罪判決が下され、

これに基づく営業停止処分を国土交通省から受けたものです。

 もう一件は、同じく前年度に、公正取引委員会により摘発さ

れた「防衛施設庁事件」において違反認定を受け、本件につい

ても国土交通省から営業停止処分を受けております。

 これらの、不祥事を厳粛に受け止めるとともに、2007年3月に

策定した再発防止策の徹底に全社を挙げて取り組んでいます。

● 再発防止への具体的取り組み 2007年3月策定の再発防止策は以下の6項目です。

 ①外部通報制度の新設

 ②特別チームによる巡回指導

 ③入札工事に関する部門長のチェックシステム実施

 ④営業担当者などの行動規準の明確化

 ⑤独占禁止法順守のための研修の実施

 ⑥社内処分の厳格化

 2007年度に実施した再発防止への具体的取り組みにおいて

中心としたのは、営業活動で従業員が法令違反を問われること

のないよう、シンプルでわかりやすい判断のモノサシとなる

「工事の入札に係る役員・従業員の行動規準」の策定と全社へ

の周知徹底です。行動規準には、「従業員が守るべき三原則」

に加え、外部から違法な働きかけや疑義のある情報に接した場

合の対応、社内報告のルール、さらに部門長のチェックシステ

ムについて具体的な手順を定め行動規準の浸透を図り、順守状

況のモニタリングのため、2007年度は特別チームによる巡回

指導と法務部による監査を全社で実施しました。

調達基本方針の策定

 専門工事業者、資材業者などの協力会社とのパートナーシッ

プの保持について、互いの立場を尊重し良きパートナーとして

の関係を保持し続けていくために「公正な契約」を締結すると

ともに「役割の明確化」を図り「合理的な生産システム」を確

立しています。昨年度には、当社の協力会社で組織する「兼喜

会」とともに「調達基本方針」を策定するなど、協力会社との

さらなるパートナーシップの充実に努めています。

リスク管理体制図

会 長

社長室会議

事 務 局※

機能別会議・委員会

経営会議

社 長

担当役員

事業部門・支店

関連事業部

付議基準に基づく全社リスクの管理

リスク管理委員会

・ 個別リスクの管理体制の整備に 関する審議・決定・ 個別リスクの管理状況のフォロー・ リスク発生時の対応策,再発防止策等の 審議・決定と指示及び実施状況のフォロー

・ 総合的リスク管理体制整備 に関する審議・決定・ 機能別各リスクの管理状況 のモニタリングと是正指示

諮 問

委員長

監 

査 

報  

連  

指  

報  

リスク情報

指  

是 

正 

指 

指  

最大リスク情報

取 締 役 会

リスク管理統括部署【経営管理部】

※必要に応じ、会議を招集

監 査

監 査本社 : 機能別リスク主管部門・部署

 

関系会社

事務局

25 SHIMIZU CSR Report 2008

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ACTIVITIES 2007年度の活動内容と実績

情報の開示と保護

企業活動の開示

 お客様、株主・投資家の方々をはじめとするあらゆるステー

クホルダーの皆様に「フェア・ディスクロージャー」の観点か

ら、株主総会、決算説明会、社外ホームページ、アニュアルレ

ポートなどさまざまな手段により、経営情報や決算情報など、

会社の重要事項を適切かつ速やかに開示しています。

 具体的には、

 ・IR活動の一環として、証券アナリストへの決算説明会及び

  技術研究所・建設現場見学会などの実施(3回/年)

 ・社外ホームページの改訂・更新と、それに伴う視弱者、難

  聴者などへの配慮

 などを行っています。

建設工事や建造物に関する情報の開示

 建設業の提供物である建造物に関しては、顧客や得意先、

ユーザーの方々に対して、現場のホームページを開設したり、

近隣説明会を開催するなど、安全や品質などの情報開示を積極

的に行い、社会に信頼される企業を目指しています。また、建

造物の工事場所である建設現場は、当社の企業活動と社会の接

点であるという観点から、地域社会の住民の方々に対して積極

的な情報の提供・開示を行っています。

 具体的には、

 ・得意先、地域住民への情報発信として、現場見学会の積極

  的な開催

 ・学生や近隣住民への情報提供として、技術研究所の見学会

  を開催(2007年度約30回)

 などです。

 企業活動を社会から適正に評価していただくために、積極的かつ公正に企業情報を開示するよう努めています。また、お客様や施設などの企業秘密を守るため、個人情報の保護と機密情報の漏洩防止に努めています。

情報の保護

 建設業は、個人顧客の情報量は比較的少ない業種ですが、発

注者や協力会社などの個人情報、社員の個人情報などを保持し

ています。当社は、2005年にプライバシー・ポリシーを制定

し、個人情報の保護に努めています。

機密情報の漏洩対策

 近年では、企業活動における機密情報の漏洩が大きな問題と

なっています。特に建設業では、発注者、設計事務所、協力会

社など多数の参加者が、案件ごとにメンバー構成を変えなが

ら、プロジェクトを進めていきます。このような状況では、建

造物そのものを表している図面の情報が非常に重要になってき

ます。そこで、当社では、2002年に「電子情報セキュリティ

管理ガイド」を制定し、毎年状況に合わせて改定を行うことに

より、情報セキュリティの強化に努めています。特に、ここ数

年は、新しい施策を迅速に実施するために、eラーニングによ

るセキュリティ教育を実施するとともに、実施施策の状況を効

果的に把握するためにセキュリティ監査を強化し、情報漏洩の

防止に対するセキュリティレベルの向上を図っています。

 これらの具体的な施策としては、

 ・ディスク暗号化ソフトウェアの導入による盗難・紛失パソ

  コンからの情報漏洩防止

 ・インベントリ機能によるパソコンの状況把握と、Winnyな

  どファイル共有ソフトの強制削除

 ・Webフィルター機能導入による掲示板などへの情報漏洩の

  防止

 などを行っています。

2008年6月に改訂した社外ホームページ

eラーニングによるセキュリティ教育の例

26SHIMIZU CSR Report 2008

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ACTIVITIES 2007年度の活動内容と実績

研修の様子

人権啓発標語の授賞式

「人を大切にする企業」の実現に向けて

働きやすい職場環境づくり

● 人権への取り組み・1990年に人権への基本方針を制定し、企業倫理行動規範と

して、従業員の多様性・人格・個性を尊重し、差別禁止・セ

クシュアルハラスメント禁止の徹底を図ることを明示してい

ます。

・副社長を委員長とする人権啓発推進委員会、各部門において人

権啓発推進責任者・推進員を設置しています。

・「人権啓発標語」の募集や各職場で「人権啓発研修」

(2007年度延べ7,224名受講)を実施しています

<人権啓発研修>

 ・役員研修

 ・副本部長・部長クラス研修

 ・一般従業員研修

<2007年度人権啓発標語最優秀作品>

(従業員の部)

  ありがとう

   伝えてますか

    感謝の気持ち

・セクシュアルハラスメントの未然防止に向けて、就業規則や

社内ホームページに防止方針を示すとともに、相談窓口を設

けています。

(家族の部)

  ほんの小さな思いやり

   差別を無くす大きな力

 “経営理念”では、「地球社会への貢献」「革新志向」「顧客第一」「情熱」と並んで「人間尊重」を掲げ、また“企業倫理行動規範”の第一番目に「人を大切にする企業の実現」を謳っています。これは、建設業の“ものづくり”が、「人」によって行われるからです。当社は、お客様とより強固な信頼関係を築くことを目指しており、そのもとになるのが「人」と「人」との結びつきです。すべての基盤となる「人」を大切にする企業の実現に向け、各種施策を展開し、環境の変化に応じて絶えず見直しを行っています。

人権啓発推進体制

障がい者雇用率の推移

● 多様な人材の活用・優れた経験・知識を有する定年退職者を積極的に再雇用・活

用するとともに、その処遇についても改善を図り、より意欲

をもって働ける環境づくりに取り組んでいます。

・2008年4月新卒採用において、女性社員採用を増加(24

名、前年度比+19名)させるなど、今後も女性の活用に積極

的に取り組んでいきます。

・障がい者雇用を促進し、安心して働ける職場づくりに取り組

んでいます。

● 出産・育児支援策の充実・育児休職や時短措置対象期間を法を超えた水準に制定するとと

もに、産前産後休業を有給とするほか、配偶者の出産休暇や

育児休職者の円滑な職場復帰支援の実施など、出産や育児を

行う社員が安心して働けるような環境整備を進め、ワーク・

ライフ・バランスを推進しています。

○育児休職制度:生後1年半

○勤務時間短縮:小学校就学前まで

○妻の出産休暇:最短往復日数ほか2日

・出産・育児などにより退職する社員の再雇用制度や不妊治療

への無利子貸付の新設など、次世代育成支援にも積極的に取

り組んでいます。

● 労働環境改善への取り組み・労使による労働時間合理化委員会で定期的な意見交換を行うと

ともに、現場巡回による実態把握に努めているほか、各部門で

の改善好事例を水平展開し、総労働時間短縮を図っています。

・労働時間の適正な把握に努めるとともに、作業所一斉閉所な

どによる休日・休暇の取得促進やノー残業デーの推進など、

時短に向けた意識・風土改革を推進しています。

● 充実した健康管理・40歳以上の従業員に人間ドック(全額会社負担)を必須とし

ているほか、生活習慣病検診や胃検診も充実させています。

 (人間ドックも含めた健康診断受診率 : 2007年度98.9%)

・本社診療所では医師や看護師などの医療スタッフが、各支店

では保健師や看護師などの健康管理担当者が、健康相談や繁

忙な従業員への面接指導を推進しています。

・メンタルヘルス対策も、臨床心理士によるカウンセリングや

講習会の開催など充実を図り、従業員の心身の健康の維持・

増進をサポートしています。

● 多様な休暇制度・勤続10年ごとのリフレッシュ休暇(連続14日)や現場勤務

者への現場異動休暇・ひといき休暇(原則5日)のほか、社

会貢献活動に参加できるようボランティア休暇(年10日)を

設けています。

● 安定した労使関係・労働協約に基づき、管理職の一部や期間雇用社員などを除いて

社員が組合員になるユニオン・ショップ制を採用しています。

・「会社と組合が互いに相手方の立場を尊重して、企業の健全

な発展を図るとともに公正な労使慣行を確立し、労働条件の

維持改善を図ること」などを共通目的に、強い信頼関係に基

づく良好な労使関係にあります。

・労働条件などについて定期的に交渉・協議する場を設け、労

使間の意思疎通と相互理解を図っています。

1.40

1.50

1.601.66%

1.70

1.80

1.90

H15 H16 H17 H18 H19 H20

技術戦略室 知的財産部河原千由紀

 産後休暇に引き続き、長男のときは9ヶ月、次男のときは10ヶ月の育児休職をとらせていただきました。今も勤務時間短縮制度の適用を受け、保育園の送り迎えに利用しています。こうした制度や職場

の理解もあって、仕事と育児の両立ができています。この4月からは育児や出産などで退職した社員の再雇用制度もスタートし、会社もサポートしてくれているんだなと実感しています。

制度を利用して、仕事と育児を両立

人権啓発推進委員長

(副社長)

部門人権啓発推進責任者(部長クラス)

部門人権啓発推進員

(課長クラス)

部門人権啓発推進責任者(部長クラス)

部門人権啓発推進員

(課長クラス)

部門人権啓発推進責任者(部長クラス)

部門人権啓発推進員

(課長クラス)

部門人権啓発推進責任者(部長クラス)

部門人権啓発推進員

(課長クラス)

人事部人権啓発グループ

27 SHIMIZU CSR Report 2008 28SHIMIZU CSR Report 2008

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個性を伸ばし、豊かな人材を育む

● 個性と創造力を育む人材開発・豊かな人間性を育み、個人が本来持っている意欲や可能性を

引き出すとともにさらなる成長と人格形成を支援するため、

職場における育成(OJT)を基本とし、若いうちからさまざ

まな仕事を任せ、その経験を通じて将来のキャリア形成を見

据え、自己の責任と選択に基づいた自己研鑽を行う意識を促

す教育を実施しています。

若年社員の育成

・系統(建築・土木など)及び機能(安全・情報・環境など)

別教育体系並びに「継続能力開発プログラム(CPD)」によ

り、早期の知識習得・技術力向上をサポートしています。

・到達レベルをきめ細かく示したOJTマニュアルや、個人ごと

の教育責任者や指導員の任命などにより、一人ひとりの能力

レベルに応じた指導・育成を行っています。

○自覚と情熱を持って、自分が何をやるか、自分には何ができ

るかを真剣に考え、行動に移せる人

○環境変化に対し、柔軟さを持って対応できる人

○優れた専門性と、様々なものごとに興味を持つ多様性をあわせ持つ人

○豊かな発想を持ち、夢に向かって積極果敢にチャレンジできる人

 そんな人材を育てることが、当社の人材開発の目標です。

将来を担う人材の育成

・統率力を発揮し問題を組織的に解決できる人材を育てる「中堅社

員実践力研修」、リスク管理能力向上を図る「新任役職研修」、

将来の経営を担う人材を育てる「改革型人材研修(若手部長クラ

ス)」など階層別の教育プログラムを実施しています。

自己啓発支援

・公的資格取得に向け、外部教育団体の講座開設や団体割引制度を

充実させ、合格者には受験料・登録料などを支給しています。

・受講済の研修教材などの蓄積やeラーニングに活用できる「研

修支援システム」により自己啓発をサポートしています。

当社の人材開発プログラム

機能別専門教育安全教育

人材の育成・活用のための人事諸制度

能力・適正把握による配置ローテーション人事申告書表彰制度

自己研鑽の支援部 

門 

教 

人材開発支援システム・CPDプログラム

職場教育(OJT)

基礎教育技術の伝承・業務改善・問題解決・品質管理

部門主催研修(施工技術・安全・環境・品質・原価・OA・営業等)研究会・社外講演会・社外講習会等

社内TOEIC

留学・出向 国内留学・海外留学・社外出向

社外活動 学会・研究会・委員会・異業種交流会等

行動規範教育 人権啓発研修 コンプライアンス研修

役職層

系統別専門教育営業系教育設計・プロポーザル系教育建築施工系教育設備施工系教育

維持管理系教育土木系教育R&D系教育事務・管理系教育

エンジニアリング事業教育海外事業系教育事業開発系教育関係会社教育

行動人格素養教育 新入社員研修 中堅社員実践力研修

新任役職・職位評価者研修

改革型人材研修

中堅層若年層新入社員

資格取得奨励・通信教育・図書の紹介等

環境教育

集合教育(OFF-JT)

情報活用教育

29 SHIMIZU CSR Report 2008

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ACTIVITIES 2007年度の活動内容と実績

調達における取り組み

専門工事業者の育成

● 専門工事業者の表彰制度 建設現場では、多くの専門職種の職人と当社の従業員が一体

となり建造物をつくっていきます。当社の「ものづくりの理

念」は専門工事業者とその職人を通じ実現されていると言えま

す。このため、従来より良きパートナーとして専門工事業者と

の一体感を作り上げてきました。

 その一つとして、施工実績、安全衛生活動、環境保全活動の

それぞれの部門で功績を挙げた専門工事業者とその職長を表彰

する専門工事業者の表彰制度を実施しています。施工実績での

功績を表彰する優秀業者及び優秀職長の表彰は、当社の創立記

念日に行う従業員表彰とあわせて実施し、安全衛生・環境保全

活動での表彰は、安全衛生推進大会で行っています。

 当社は、常に「顧客第一」を基本に仕事を進めてきました。

この理念は、専門工事業者にも伝えられ、施工に反映されてき

ました。しかし、昔のように専門工事業者の経営者自らが職人

としての経験を持つ人は少なくなっています。このような状況

のもとで、ものづくりの最前線を担う専門工事業者に当社の理

念を伝えていくのは、特に大切なことと考えています。そのた

め、各地区で協力いただいている専門工事業者の若手経営者の

集まりである、兼喜会青年部の活動に積極的な支援を行ってい

ます。特に最近は、法令順守にかかわる建設業法の勉強会に力

を入れています。また、近年若年労働者の建設業への入職が減

少し、労働力の確保と技能の伝承が大きな課題となってきてい

ます。そこで2008年度は技能労働者の育成と品質の確保につ

いて、若手経営者と一体となって活動を進めていく予定です。

 調達では、基本理念である「論語と算盤」の考え方に基づき、「調達基本方針」及び「お取引先へのお願い事項」を定め、この「調達基本方針」に則った調達を実施しています。

未来を担う、次世代の育成(若年経営者の教育・指導)

調達基本方針 以下に定める調達基本方針に基づき、お取引先と、お互いの立場を尊重し、良きパートナーとしての関係を構築しています。1.公平・公正かつ誠実な取引2.法令・社会規範及び社内規程の順守3.環境への配慮4.品質の確保5.お取引先との良好なパートナーシップの構築

お取引先へのお願い事項 グローバルに建設事業を展開する中で、資材、労務、外注工事の調達については、あらゆる視点からお客様や社会の要望を十分考慮して実行する必要があります。従って、お取引先の皆様には、以下のお願い事項を実行していただき、併せて健全な事業経営と技術力の向上に努めていただくようお願いしています。1.法令・社会規範2.人権・労働3.安全・衛生

 この度、全国から選ばれた優秀職長の一人として受賞したことは、身に余る光栄です。現場の仕事は、到底一人ではできるものではなく、監督さんをはじめ各職方の協力があって初めて成り立ちます。これからは、さらに第一線でのものづくりに励み、清水建設の名に恥じない成果を上げるべく努力を重ねていく覚悟です。

4.環境5.品質の確保6.情報セキュリティー

■ヘルメット~匠・五意達者のいわれ

 表彰で優秀職長に贈られたヘルメットには、「匠」と「五意達者」という字が記されています。「五意達者」は、江戸幕府大棟梁の家柄であった平内(へいのうち)氏に伝わる『匠明』と題する木割書の奥書に記載されています。五意とは、式尺、算合、手仕事、絵様、彫物のことをいいます。式尺とは木割、算合は木割値と墨付けの計算あるいは積算、手仕事とは実地の工作、絵様と彫物は彫刻の下絵図の作成と実技であり、昔の大工棟梁が身につけなければならない技とされていました。(伊藤要太郎 著「匠明五巻考」より引用)

安全衛生推進大会

受賞された優秀職長の皆様

優秀職長賞表彰を受けて

城山建設株式会社 職長 大澤秀行 様

30SHIMIZU CSR Report 2008

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ACTIVITIES 2007年度の活動内容と実績

31 SHIMIZU CSR Report 2008 32SHIMIZU CSR Report 2008

労働環境

安全衛生への取り組み

● 建設業労働安全衛生マネジメントシステムの運用 当社の労働安全衛生管理の基本理念「人命尊重、人間尊重の理念にたち、企業活動のすべての面において働く人の生命と健康を守るこ

とを最優先とし、安全文化を定着させ、安全で快適な職場環境を形成する」のもと、全作業所で「建設業労働安全衛生マネジメントシス

テム(COHSMS)」を運用しています。また、協力会社を交えたリスクアセスメントの推進により、予防型安全をより一層定着させ、

死亡重篤災害及び公衆災害“ゼロ”を目指して、継続的な災害防止活動に取り組んでいます。

安全管理の具体策

● 安全衛生目標/安全成績 2007年の安全成績は、強度率は2006年に比べ改善されまし

たが、目標値0.10に対し0.21でした。度数率は2006年に比べ

僅かに悪化し、目標値0.70に対し0.86でした。2008年も引き

続き強度率0.10、度数率0.70を目標値に設定しています。

快適な職場づくりへの取り組み

 当社の作業所では、快適な職場づくりを目指し、さまざまな

取り組みを行っています。作業する場所はもちろんのこと、作

業員が休憩する詰所においても作業員がリフレッシュできるよ

うエアコンを設置し、また、ロッカーを設置して個人の持ち物

を保管できるようにしています。

社外安全衛生表彰等

 次の2つの工事において、厚生労働大臣表彰を受賞しました。

・強度率:1,000労働延べ時間当たりの労働損失日数 (災害の程度を表します)・度数率:100万労働延べ時間当たりの死傷者数 (災害の頻度を表します)

安 全

厚生労働大臣優良賞・工事名:東北新幹線八甲田トンネル工事

・無災害記録時間数:70万3,184時間

 新規入場者は半年間保護帽に明示し、作業所特有のルールや

危険個所を確実に指導。また、全作業所員を対象に、月2回1回

につき30分の安全勉強会を行い、意識の向上を図りました。

快適職場

厚生労働大臣奨励賞・工事名:八王子浅川トンネル工事

 トンネル特有の厳しい作業環境を積極的に改善しました。

粉じん低減効果の高い工法やシステムを採用するとともに坑

内の照度を上げるなどの快適性向上、重作業や危険作業の軽

減など、さまざまな工夫を実施しました。

・新入社員研修 204名・安全実務研修 149名・能力向上教育 636名・安全環境管理講座 97名・安全基礎研修 183名・統括安全衛生責任者研修 280名

● 安全衛生教育 当社では、従業員を対象に、本社と部門でさまざまな安全

衛生教育を行っています。新入社員教育から始まり、階層ご

とに「安全基礎研修」、「安全実務研修」、「統括安全衛生責任

者研修」、「安全環境管理講座」、「能力向上教育」などを実施

しています。

 また、事業主、作業員に対しても「事業主研修」、「職長・

安全衛生責任者研修」、「新規入場作業員受入教育」を実施し

ています。

エアコンを設置した詰所 作業員用のロッカー

危険性または有害性の特定・リスクの見積り 危険有害要因特定システム

リスクアセスメントの実施事項安全環境総括

安全環境本部長

安全環境部長

安全委員会

全国安全環境部長会議

部門安全委員会

部門長

安全管理総括責任者

部署長

作業所

安全衛生管理体制(全社組織図)

作業所でのCOHSMSの実施事項

安全衛生計画マップ

リスク低減措置の検討及び実施事項の特定 作業手順予測災害打合せシート

特定事項の周知、重点管理の実施 重点実施事項シート

作業所で使用する帳票

(当社担当者、協力会社担当者・職長)

(当社担当者、協力会社職長、全作業員)

度数率の推移

2003

全産業

1.78 1.851.95

1.9

1.551.61

1.77

0.97

0.75 0.84 0.74 0.84 0.86

2004 2005 2006 2007

※2007年の全産業、建設業は未発表

0.0

0.5

1

1.5

2建設業 当社

強度率の推移

0.12 0.12 0.120.19

0.240.25

0.57

0.14

0.37

0.39 0.280.32

0.21

※2007年の全産業、建設業は未発表2003

全産業

2004 2005 2006 20070.0

0.2

0.4

0.6

0.8建設業 当社

2007年の従業員教育実績

本社教育

新入社員研修 新入社員研修

基礎研修

実務研修

責任者研修安全環境管理講座

能力向上教育

支店教育

安全衛生計画の作成

Page 21: Shimizu Corporate Social Responsibility Report › company › csr › environment › pdf › ...03 SHIMIZU CSR Report 2008 SHIMIZU CSR Report 2008 04 企業の社会的責任 CSRのResponsibilityは、責任に加えて信頼性と

ACTIVITIES 2007年度の活動内容と実績

33 SHIMIZU CSR Report 2008 34SHIMIZU CSR Report 2008

チェック・フォロー体制

プロジェクト全般での取り組み● システム監査による品質プロセスの点検と改善(ISO9001) お客様に信頼される建造物を建設するために、品質を造りこむ過

程(品質プロセス)を常に点検し改善することが大切と考えていま

す。専任の技術監査員が全国の建設現場を巡回・監査し、さまざま

な角度から点検するとともに、全社的な品質向上のための提言を

行っています。

● DR(デザインレビュー、設計審査) 設計施工案件では、企画・基本・実

施設計及び監理段階において、設計当

事者以外の技術者が第三者の視点で、

設計図書の品質確保のためにチェック

を行います。

● 全プロジェクトで着工前・品質検討会 営業・設計・施工・技術スタッフの関係者が集まり問題点を指摘

し解決方法を検討するとともに、プロジェクトの進め方の共通認識

を持つために、着工前・品質検討会を実施します。

 顧客の要求事項をはじめとする作業所へのさまざまな要望を踏ま

え、重点品質管理項目、管理ポイント、管理基準の詳細、図面検討

での指摘事項への対応策などについて検討・確認します。

● プロジェクトに応じた個別検討会 品質を確保するためには、不具合を

出さない施工を行うための予防処置が

大切です。そのために守るべき基準と

施工方法を協力会社を含めた関係者全

員が理解し、認識を一致させるため

に、個別検討会を実施します。対象と

する工種は着工前・品質検討会で予め決定します。なお、建築工事

では屋上・外装、杭、躯体、仕上、設備、外構、解体、山留、鉄骨

工事を必須対象としています。

● 社内第三者による躯体完了検査・引渡検査(建築) すべてのプロジェクトで“基準を満たした躯体が造られている

か”を確認する「躯体完了検査」と、“要求された品質が確保されて

いるか”を確認する「引渡検査」を技術スタッフが第三者的な視点

で行います。

● 品質長による指導 品質長は、事業部門長の代理として、プロジェクトの品質確保と

技術的重大事故防止のために個別プロジェクトを巡回し、品質管理

状況と問題点について適切な指導を行うことで不具合を防止してい

ます。

品質方針

(建築)LCVを基本姿勢として、お客様が期待する価値を的確に捉え、

営業から保全までのすべてのプロセスにおいて、全従業員が

“品質へのこだわり”を持って、最適品質の造りこみを行い、

信頼され、満足していただける技術とサービスを提供する。

 作業所では社内基準と過去の不具合事例に基づいた全社重点品質

管理項目(ひび割れ、タイル剥離、漏水、音・振動、設備関連)に

則り、協力会社を含めた管理点を明確にし、日常の品質管理活動と

して図面検討、施工管理、工程内検査を行います。また、基本設計

段階から竣工まで、技術スタッフ部署によるプロジェクトの特性を

踏まえたさまざまなチェック・フォロー体制により、計画された建

造物を正確に造ります。

(土木)「社会と顧客の高い信頼を得て、時代を超えて価値を持ち続ける

建造物を社会に提供する。」ことを基本姿勢として、社会が期待

する価値を的確に捉え、全従業員が“最高の技術力と誠意・情

熱”を持って、最適品質の造りこみを行い、信頼と満足を得る。

 建造物が長く正確に機能するために、竣工後は、半年、1年、2

年目に定期点検を中心とした建物の維持保全活動を行います。確認

された不具合に関しては、徹底した原因究明により再発することの

ないよう、関係部署を交え適切な対応を検討し、実施します。

 設計、施工、竣工、保全の各段階で、品質レベルを全社共通の指

標により把握し、指標データの分析・評価により、日常活動、体制

や仕組みへフィードバックを行っています。

個別プロジェクトでの取り組み● 工事監理部による予防監理(建築) 設計施工案件では、設計本部から独立した工事監理部が、不具合

や間違いを未然に防ぐために予防監理を重視した活動をしていま

す。工事着手直後に、担当する協力会社の現場責任者を交えた勉強

会を実施して品質確保のポイントを明確にし、通常の工程内の検査

に加えて、先取りの検査、確認、指示を行うことにより、さらなる

品質の向上を図っています。

● 特殊・特定工事制度(建築) 規模や施工難度などを勘案して全社の技術スタッフの支援を必要

とする工事は、特殊工事・特定工事として指定し、生産技術本部建

築技術部が主体となって支援を行い、技術上の重大事故を防止し品

質を確保します。

● 指定工事制度(土木) 土木構造物は道路、鉄道、ダム、空港、エネルギー施設、造成な

ど多岐にわたります。優れた品質を実現するために、設計から施

工、維持管理の各段階で日々研究開発を行っている固有の最新の土

木技術を反映し、すべての工事で最適な管理を行うことを目指して

います。そのために、難易度などで工事ごとのランクを指定し、

各々の専門家が着手から完成まで全工程にわたってランクに応じた

きめ細かいサポートを行っています。

マンション新築工事における不具合発生に関して

 首都圏のマンション新築工事で工事途中に発生した鉄筋工事の一

部不具合に関して、徹底的な原因究明に基づき、再発防止に向け品

質マネジメントシステムの見直しを実施しました。その結果、6項

目について全社へ再徹底を指示し、該当する全作業所で実施しまし

た。見直された品質マネジメントシステムは、第三者に確認及び検

証をしていただきました。

(再徹底6項目)

①当社基準に基づく鉄筋工事の管理方法の再徹底

②現場管理責任者、品質責任者の任命並びに役割及び責任の再徹底

③関係協力会社への品質管理のポイントの再徹底

④品質長による巡回・指導のポイントの見直し

⑤ライン部署検査の強化

⑥社内第三者検査体制の強化

 今後は、品質確保のためのより一層の体質強化に向けて、社長を

委員長とする「ものづくり強化委員会」の活動を通じ、社会やお客

様にとって「よりよいもの」を提供していくことに全力を尽くして

いきます。具体的には、現場でのものづくりに携わる人間が、もの

づくりに専念できるための環境の整備を進めるとともに、「よいも

のづくりができるひとづくり」への取り組みを強化し、その結果と

して「みんなが活き活きとして働くことのできる、活気溢れた現場

づくり」の実現に努めます。

品質確保の取り組み

 1996年以降、支店ごとにISO9001の認証を取得し、それぞれの品質マネジメントシステムに基づいて、品質確保を行ってきました。品質への要求が高まり、さらなる品質向上をねらいとして2004年10月より、品質に関する全社最上位の組織として「技術・品質委員会」を設置し、一本化した方針のもとに「品質確保と技術的重大事故防止の施策」に取り組み始めました。2007年4月より、全国の支店、事業部にある品質管理の組織を改編し、技術・品質委員会との関係を明確にした全社統一の体制を確立し、建築・土木の事業部門ごとに品質マネジメントシステムを統合し、品質確保の活動を推進しています。

品質確保の体制とフローDR(デザインレビュー)

関係協力会社を交えた個別検討会

営 業

営業

・ニーズの把握・コンサルティング・提案

保 全

・定期点検・クレーム対応・保守契約

設 計

・要求事項の把握・設計品質計画・設計検証・妥当性確認・グリーンプロジェクトファイル

施 工

・施工計画       ・図面検討・各種検討会・施工管理・工程内検査・工事監理(設計部署)

重点品質管理項目の設定

社内基準に基づく一貫した管理

協力会社との連携による品質確保

設計

DR(設計審査)※設計施工案件

着工前・品質検討会個別検討会

品質長による巡回指導工事監理部による予防監理(建築)

特殊・特定工事指定制度(建築)指定工事制度(土木)

システム監査による品質プロセスの点検と改善(ISO9001)

データ分析、評価(効果把握)

社内第三者による躯体完了検査・引渡検査

作業所 保全部署

チェック・フォロー体制

品質プロセス

フィードバック

品質担当部署の活動・品質確保の施策

日常活動と体制・仕組みへのフィードバック

施工時指標

基準外施工率

完成時指標

合否判定・項目評価工事成績評定点

保全時指標

クレーム情報

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35 SHIMIZU CSR Report 2008

環境基本方針  2007年4月改訂

取り組み項目と概要

清水建設及びグループ企業は、地球環境憲章の理念にもとづき環境経営を推進することにより、建造物のライフサイクルのあらゆる段階を通じて社会と顧客の期待を超える「環境に調和した製品とサービス」を提供し、価値創造と持続的発展に寄与する。

1 . 「環境負荷の少ない事業活動」と「環境の創造と修復」の2つの軸に沿った活動を、環境にかかわる法律、 規制、並びに協定等を順守し、「マネジメントシステム」を活用することにより推進する。 2 . 温暖化、資源、自然生態系に大きな影響を及ぼす建設業の特徴を認識し、環境に配慮した建設活動の実現を目指す。3 . 活動推進の基盤となる環境技術開発に積極的に取り組み、社会に提案や展開を行う。4 . ステークホルダーとの交流、環境社会貢献、外部機関への支援等を積極的に行い、その情報を社会に発信する。 5 . 環境教育・啓発を推進し、 環境行動の基盤である全従業員の意識と知識の向上を図る。

2007年4月1日

温暖化防止省資源

生態系配慮

汚染の防止

その他

取り組み項目「エコロジー・ミッション」という長期目標を設定して、すべての事業領域でCO2削減を推進・建物の長寿命化を考慮した設計を推進 →事例(本報告書P.13、第13号報告書P.9等)を通して活動を報告しています。・中期目標を設定して、建設副産物の減量化・再資源化を推進・中期目標を設定して、生態系に配慮した設計を推進・生態系に配慮した技術開発、施工を推進 →事例(本報告書P.16、第13号報告書P.11等)を通して活動を報告しています。・汚染土壌の浄化事業を展開・有害物質(アスベスト、室内化学物質、PCB等)の適切な対応を推進・周辺環境(騒音、振動、悪臭、水質汚濁等)への適切な対応を推進 →環境マネジメントシステムの中で、個々の作業所ごとに対応しています。・フロン・ハロンの適正処理を推進・グリーン調達、熱帯材合板型枠削減、社屋のオフィス活動を推進 →詳細は当社ホームページで報告しています。・法令順守及び環境マネジメントシステムを推進 →ISO14001外部審査及び内部環境監査結果は当社ホームページで報告しています。・海外支店及びシミズグループの環境活動を推進 →活動実績は当社ホームページで報告しています。・環境社会貢献を推進 →事例(本報告書P.20、第13号報告書P.39等)を通して活動を報告しています。・環境保全に関わるコストと成果を把握

取り組み概要

[基本姿勢]

[行動指針]

環境に対する取り組みの方針と項目

 当社は環境基本方針に基づいて、建設業が環境に与える影響が大きいと判断した温暖化、資源、生態系、汚染の環境負荷低減を中心に取り組んでいます。2007年度は「エコロジー・ミッション CO2、6%削減」を環境目標と明記して環境行動を推進しました。環境行動の基盤となる意識と知識の向上のため、2007年度も地球環境問題及び社会動向の最新情報、当社の取り組みや新規技術について、全従業員に環境教育を行いました。また、個々の作業所でも全作業員に対し、新規入場者受け入れ教育時に作業所としての環境への取り組み及びそのための決め事の順守などについて教育を行っています。

 全社・部門・部署・作業所で下記取り組み項目の該当部分を盛り込んだ年度の計画を策定して活動を推進しました。

清水建設株式会社

取締役社長

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ACTIVITIES 2007年度の活動内容と実績

36SHIMIZU CSR Report 2008

技術開発(開発中含む)24件

運用・維持・CO2排出量削減 (法基準値に比べて) 43,785t-CO2/年・CO2吸収量増大 1,206t-CO2/年

オフィス活動一般廃棄物  901t水  7.1万m3

CO2排出量 0.9万t-CO2

情報の発信 234件講演・イベント・展示会出展 112件新聞・テレビへの掲載 24件雑誌への掲載 98件当社ホームページ

2007年度実績は12項目の目標のうち、10項目で目標を達成しました。2007年度実績2007年度目標テーマ 評 価

○×(注3)

○◎○×(注4)

◎○

2,581,611t-CO2削減 2,126,601t-CO2削減 93,554t-CO2削減

48,816t-CO2削減

239,940t-CO2削減

72,700t-CO2削減

26.1%

3,048t-CO282.3%

15.9kg/m2 13510481%92%Aランク

100%

評価凡例:◎目標を上まわる好成果 ○目標を達成 ×目標を未達成

* 標記データの集計範囲は、清水建設本社、技術研 究所を含む国内部門と国内作業所としています。

(注1) 1990年時点の建物運用時の法基準によるCO2排出原単位の見直しに伴い、年度途中に目標値を上昇変更。(注2) 対象 : 新設、新築工事 対象品目 : 建設汚泥、がれき類、伐採・伐根材及び特別管理産業廃棄物は除く。

(注3) 中間処理場のリサイクル率の精査により部門によっては低い数値となった ことが目標未達の要因。(注4) お客様に報告するという仕組みの社内浸透が今一歩であった。

建設活動・CO2排出量 25.4万t-CO2・フロン・ハロン回収量 フロン 17.4t ハロン 1.1t・建設副産物 建設発生土 109万m3

 建設廃棄物 224万tリサイクル 109万m3

リサイクル 150万t最終処分 37万t縮  減 37万t

エコロジー・ミッション対応(注1) 2,573,476t-CO2 以上削減 ・省エネ・省資源ビルの設計 2,120,075t-CO2 以上削減

 ・工事現場のグリーン施工 107,600t-CO2 以上削減

 ・省エネ改修とエコサービス 44,300t-CO2 以上削減

 ・新エネルギーの導入促進 201,500t-CO2 以上削減

 ・排出権の確保と活用 100,000t-CO2 以上削減

土木構造物資材のCO2排出量の削減(土木設計)15%以上(1990年度比)

土木CO2削減活動

CO2削減に寄与する研究開発の推進 CO2予測削減量  3,000t-CO2以上リサイクル率(新設、新築工事)(注2) 86%以上建築新築工事 副産物総量の削減 17.5kg/㎡以下生態系配慮システムの指数(建築設計) 100以上生態系配慮システムの指数(土木設計) 100以上お客様への報告率 90%以上3物質(ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン)濃度の目標達成率 80%以上2,000m2以上の設計案件 CASBEE評価 Aランク以上

下記に対する内部環境監査での確認 100% ・環境技術提案の推進

CO2削減活動実施 13作業所以上工事のCO2排出量の把握 28作業所以上

15作業所30作業所

環境に関わる法規制、社会動向の変化IPCC第4次評価報告書公表改定京都議定書目標達成計画閣議決定フロン回収破壊法施行環境配慮契約法施行

主要建設資材生コンクリート 963.7万t鋼 材 54.0万t鉄 筋 54.0万t熱帯材合板型枠 1.5万t

グリーン調達高炉生コンクリート 169.8万t電炉鋼材 50.0万t再生砕石 59.5万t再生アスコン 13.4万t建設発生土 223.5万m3

プラスターボード 440.6万m2

水性塗料 96.3万m2

クロス 92.4万m2

ノンフロン発泡ウレタン 62.5万m2

エコ電線 167.2万m他 30品目

建設段階のエネルギー

電 力 21,739万kWh灯 油 536万ℓ軽 油 6,479万ℓ

オフィス活動電 力 1,473万kWhガ ス 4.2万m3

燃 料 3.8万ℓ 水 7.1万m3

オフィス用品 コピー用紙(A4換算) 5,503万枚 

地球温暖化防止

建設副産物の減量化、資源化

生態系の保全

トータル・エコ建設の実現(建築)

環境配慮設計の推進

EMSの継続的改善活動

環境目標及び実績

 2007年度の環境保全活動実績及びインプットとアウトプットの概要を下図に示します。 環境パフォーマンス情報の収集・報告の方針及び基準は、環境関連法規に準拠し、「建設副産物管理規程」、「建設副産物取扱要領」などの社内規則及び規準を定めた文書に基づき記載しています。

活動実績総括

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試掘工事中のメタンガス回収施設

37 SHIMIZU CSR Report 2008

活動項目別報告地球温暖化防止

エコロジー・ミッション2007年度実績

 エコロジー・ミッションとは、当社が2006年2月に策定し

た「過去に建設した建物も含め、当社が建設したすべての建物

が排出するCO2を、2010年度に1990年度比で6%削減す

る」という目標です。目標達成のために、5つの施策(省エネ・

省資源ビルの設計、工事現場のグリーン施工、省エネ改修とエ

コサービス、新エネルギーの導入推進、排出権の確保と活用)

を推進しています。2007年度の総排出量は1,914万tでし

た。これは、2007年度までに建設する建物を標準的な建物

(1990年当時の基準で建設した建物)とした場合に比べて、

258万tの削減になっていますが、資材量の大幅増に伴い、

1990年度の1,858万tに比べて3%の増でした。2008年度

からは土木構造物も含め、当社が建設したすべての建造物が排

出するCO2を対象とした目標に拡大していきます。また、自然

エネルギーの利用を推進するため年間100万kWhの「グリーン

電力証書※」を購入しました。

 以下に5つの施策のうち、排出権の確保と活用、省エネ・省資

源ビルの設計、工事現場のグリーン施工の2007年度の取り組

みを報告します。

 海外での温室効果ガス排出削減を目指したCDM(クリーン開

発メカニズム)やJI(共同実施)プロジェクトを創出し、地球

温暖化防止や途上国の持続的開発に貢献するとともに、プロ

ジェクト運用で得られる排出削減量(排出権)を確保・活用し

ています。これまでにアルメニア共和国、グルジア国、ウズベ

キスタン共和国、インドネシア共和国など8カ国にて合計23件

のCDM・JIプロジェクトに関するFS調査(事業化事前調査)

を完了しています。CDMプロジェクトとして温室効果ガス排出

削減を目指して進めてきた「アルメニア共和国エレバン市にお

ける埋立処分場メタンガス有効利用プロジェクト」は約4ヶ月

間の施設建設工事ののち、温室効果ガスの回収・削減を開始す

る予定です。

 本プロジェクトは、エレバン市の埋立処分場(面積約60ha、

約400t/日の廃棄物が埋立処分されている)から大気中に放散

しているメタンガスを回収・破壊することにより、温室効果ガ

スの排出を削減するものです(発電は来年度以降実施予定)。

 また、この地域における、同種プロジェクトの活性化による

地球温暖化防止や、現地の環境改善や雇用創出といった途上国

の持続的発展に貢献しています。

 プロジェクト期間は

2023年までの16年間

で、総量116万t-CO2

(内当社分58万t-CO2)

の排出権獲得が見込まれ

ています。

※風力、水力、バイオマスなどの自然エネルギーにより発電された電力を、企業や団体などが自主的な環境対策の一つとして利用できるようにする仕組み

排出権の確保と活用

標準的な建物に置き換えた場合のCO2シミズの活動と建設した建物が出すCO2

100%

▲6%

1990年

CO2総排出量の推移

2007年度 2010年

258万t

2,172万t

1,747万t

1,858万t

取り組み項目省エネ・省資源ビルの設計工事現場のグリーン施工省エネ改修とエコサービス新エネルギーの導入促進排出権の確保と活用

主な内訳新築建物の設備効率及び断熱性能の向上、構造資材のCO2削減、緑化の推進 他施工段階のCO2削減、構工法等採用によるCO2削減改修工事でのCO2削減、常駐管理建物のCO2削減風力、太陽光、バイオマス発電などの施設建設CDM、JIプロジェクトの創出

「エコロジー・ミッション」5つの取り組み

1,914万t

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ACTIVITIES 2007年度の活動内容と実績

38SHIMIZU CSR Report 2008

(注1) 下記指標は数値が小さくなればエネルギー消費量も少なくなります。PAL値:年間熱負荷係数のことで、「建物外装の断熱性能」を表す指標 CEC値:「空調や照明・給湯設備等のシステム効率」を表す指標

Q値:「冬季暖房負荷の少ない住宅であること」を示す指標 μ値:「夏季日射による冷房負荷の少ない住宅であること」を示す指標(注2) CO2吸収量:樹木は1kg成長するために、1.6kgのCO2を吸収して1.2kgの酸素を放出します。 樹木のCO2吸収量:環境省の「樹木の大気浄化能力調査マニュアル」の単木の年間総CO2吸収量を参考にしています。

※外気を温度の安定した地中などを通して建物内に取り込み、空調負荷を低減する手法

・建築設計では鋼材(鉄骨・鉄筋)を電炉材に、また、普通セメ

ントを高炉セメントB種に置き換えることで、構造資材のCO2排

出量を1990年比7.0%(117,133t-CO2/年)削減しました。

また、環境負荷の少ない構工法の採用により、物量を減らすこ

とで構造資材のCO2排出量を61,373t-CO2/年削減しました。

・熱帯材合板型枠材の使用が少ない設計により、約43万m2の型

枠材を削減しました。これは熱帯雨林面積を約100ha保護、

CO2吸収量に置き換えると1,100t-CO2/年となります。

・土木設計では鉄筋を電炉材に、普通セメントを高炉セメントB種

に、また、アスファルトコンクリートを再生アスコンに置き換

えることで、土木構造物資材のCO2排出量を1990年比26.1%

(42,773t-CO2/年)削減しました。

建物運用時のCO2予測排出量削減

● 業務用建物(非住宅)省エネルギー設計の実績 2007年度対象案件121件の業務用建物の空調、照明及び給

湯の一次消費エネルギーによるCO2予測排出量は73,632t-

CO2/年になります。1990年法基準値に対して予測削減量は

42,439t-CO2/年となります。

● 集合住宅省エネルギー設計の実績 2007年度対象案件24件の集合住宅の住宅部分の冷暖房と

共用部分の照明の一次消費エネルギーによるCO2排出量は

2,281t-CO2/年となります。1990年法基準値に対して予測

削減量は1,346t-CO2/年となります。

● 緑化によるCO2予測吸収量 ヒートアイランドの緩和と地球温暖化防止の有効な手段とし

て緑化を推進しています。自然緑地を活かすことのできる郊外

型の大規模な病院や学校、工場などの案件の有無、また、建物

の立地、規模、用途などによっても緑化面積は左右されるた

め、年度のCO2予測吸収量(注2)も増減します。2007年度に

設計に盛り込まれた樹木のCO2予測吸収量は1,206t-CO2/年

となります。

 昼光利用照明制御、太陽光発電、自然通風換気、雨水利用、クールチューブ※、全面床吹き出し空調(フロアフロー)、コージェネ

レーションなど、さまざまな自然・未利用エネルギー利用技術の採用を積極的に推進し、CO2予測排出量を728t-CO2/年削減しました。

資材・構工法の選定によるCO2排出量削減及びCO2吸収増大

 省エネルギー法のPAL・CEC・Q・μ値(注1)に対し、1990年の法基準値から36%以上削減した目標値を設定し、省エネルギー設計に取り組み、36.6%の削減を行いました。また、ヒートアイランドの緩和と地球温暖化防止の有効な手段として、緑化の推進、自然・未利用エネルギーを利用した建築・設備技術の採用推進を行っています。

省エネ・省資源ビルの設計

● 自然・未利用エネルギー利用推進によるCO2予測排出量削減

20042003 2005 2006 2007年度

59,433

34,533

61,898

37,927

101,972

62,313

127,063

74,340

116,071

73,632

(t-CO2/年)1990年の法基準で設計した場合のCO2予測排出量省エネ設計によるCO2予測排出量

凡例

※CO2予測排出量は、設計件数、業務用建物の用途により変動します。

業務用建物 年間CO2予測排出量の推移

(t-CO2/年)1999年の法基準で設計した場合のCO2予測排出量省エネ設計によるCO2予測排出量

凡例

20042003 2005 2007年度

1,274

1,947

3,680

2,786

3,627

2,281

2006

1,514

2,352

1,425

2,170

※CO2予測排出量は設計件数、地域によって変動します。※1990年法基準値よりさらに厳しい次世代基準である1999年法 基準値と比較しています。

集合住宅 年間CO2予測排出量の推移

緑化によるCO2予測吸収量の推移(t-CO2/年)

1,323 1,206

2,575

920

20042003 2005 2007年度

580

2006

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39 SHIMIZU CSR Report 2008

省資源・資源循環建設副産物の減量化・再資源化

 2007年度は、全作業所の90%以上がCO2削減策を4項目以

上採用することを目標として取り組みました。採用するCO2削

減策はアイドリングストップ及び建設機械の適正整備を必須と

し、その他に8項目(昼休み一斉消灯、暖房器具のエアコンへ

の転換、工事車輌の適正整備、高効率仮設電気機器の使用促

進、残土の搬出量及び搬出距離の削減、省燃費運転、過剰冷暖

房の抑止)の中から、実施可能なものを2項目以上としまし

た。2007年度のCO2排出量原単位は、1990年度比4.5t/

億円(18.1%)減少しました。2007年度のCO2排出量は

25.4万tとなり、1990年度比17.1万t(40%)減少して

います。

2007年度実績

● 総排出量 建設工事からの建設廃棄物の排出量は解体工事量の変動によ

り前年度比6%減の224万tでした。

 常設事業場の汚染土壌洗浄プラント(神奈川県川崎市)から

の排出量は、がれき類5万t、建設汚泥15万tで計20万t、技術

研究所から発生した副産物(主にがれき類、金属くず)の排出

量は571tでした。

● リサイクル率(建設工事) 建設汚泥、有害物などを除くリサイクル率は前年度比2%減

の95%でした。全品目のリサイクル率は前年度比4%減の

83%でした。これは中間処理施設のリサイクル率を厳しく見直

したことによります。

 さらに、CO2削減に効果のある構工法等の採用を積極的に行

うことによって、2007年度は4,114t削減しました。

 当社は、4R活動、省資源施工への取り組みにより、廃棄物の減量化・再資源化に取り組んでいます。

工事現場のグリーン施工

水分35万t(縮減)(注1)

管理型処分場

32万t

リサイクル

150万t

安定型処分場

5万t建設廃棄物総排出量(建設工事)224万t(注3)

建設汚泥 64万t

5万t

混合廃棄物 8万t 0万t(注2)

2万t

6万t

ガラス・陶磁器くず、廃プラスチック類、紙くず等14万t

1万t

1万t

12万t

がれき類 135万t4万t

131万t

建設木くず 3万t1万t

焼却2万t(縮減)

(土砂分)24万t(推定)(40%に減容化)

(注1)脱水方法として天日乾燥(50%に減容化)及び機械式脱水(30%に減容化)があり、ここでは「40%に減容化」としました。ここでの数値は建設汚泥合計値からの差引値です。(注2)1万t未満は四捨五入しています。(注3)建設廃棄物総排出量(建設工事)224万tには飛散性廃石綿0.4万tと特別管理産業廃棄物0.1万tを含んでいます。

建設廃棄物総排出量(汚染土壌洗浄プラント)20万t

5万t

15万t建設汚泥 15万t

がれき類 5万t

中間処理施設

最終処分

主に中間処理施設

主に再資源化施設

最終処分再資源化施設再生砕石工場

チップ工場

中間処理施設等

再生砕石工場

セメント原料

再資源化施設 リサイクル

20万t

他品目木くず混合廃棄物がれき類汚泥

リサイクル率(%)

排出量

汚泥含まず汚泥含む

がれき類・汚泥・有害物質除く新築・新設リサイクル率

50

100

150

200

250

排出量・リサイクル率の推移(建設工事)

74

2003 2004 20062005

95

85

93

82

(年度)

85

2007

95 95

77

85

排出量(万t)97

8382

87

2007年度建設廃棄物の処理実績フロー

※施工高1億円当たりのCO2排出量の算出は、これまでの建築及び 土木の施工高比率を「一定」から、「実績」に変更

施工高1億円当たりのCO2排出量の推移

1990 2004 2005

25.0 21.3

2007

20.3 20.5

2006

20.9

(年度)

(t-CO2/億円)

CO2総排出量の推移

1990 2004 2005

425

237

2007

247 254

2006

249

(年度)

(千t-CO2)

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ACTIVITIES 2007年度の活動内容と実績

40SHIMIZU CSR Report 2008

2008年5月稼働開始の小規模案件対応オンサイト型土壌洗浄プラント

ダイオキシン汚染土壌について一貫したサービスを提供

土壌浄化への取り組み

土壌洗浄プラントの活用対象を拡大

 川崎土壌洗浄プラント事業所は、2002年9月に稼働を開始

し、またオンサイト型洗浄プラントは、2004年8月に1件目

が稼働を開始しています。両者で2008年3月末までに合計

171万tの重金属・油汚染土壌を浄化してきました。その過程

で培ったノウハウと技術開発により、小規模案件に対応できる

オンサイト型土壌洗浄プラントの稼働も開始。また、ダイオキ

シン汚染土壌専用の土壌洗浄プラントを2008年度に事業化す

る予定です。

小規模案件でもオンサイト洗浄を可能に

 汚染土壌を敷地外に搬出しないで浄化できるオンサイト洗浄

は、汚染の拡散を抑制できること、また、搬出入車両を大幅に

削減できることから、関係者から高い評価を得ています。しか

し、汚染土量が多い案件でないと採算が合わない難点がありま

した。そこで、さらなるユニット化による組立・解体期間の短

縮、洗浄性能の向上などを進めた結果、汚染土量1万tの小規模

案件でもオンサイト洗浄が可能になりました。これまで運搬費

がかさみ川崎土壌洗浄プラント事業所が利用できなかった地域

の案件でも、オンサイト洗浄が選択できる可能性が増えまし

た。このオンサイト型土壌洗浄プラントの1件目が2008年5

月から稼働しています。

ダイオキシン汚染土壌を安価、安全に処理

 川崎市内に処理プラントを設置し、2008年度内に日本道路

株式会社と共同でダイオキシン汚染土壌洗浄処理事業を開始し

ます。2003年から技術開発に取り組み実用化した洗浄処理シ

ステムで、洗浄水は循環使用されて系外に排水されないため汚

染の拡散はありません。洗浄後の土壌は骨材や路盤材などに使

用できます。燃料を使う加熱処理法に比べ、経済性や効率性に

優れ、環境負荷が少ないシステムです。

 当社は、現場での掘削から、運搬、洗浄プラントでの処理ま

で一貫したサービスが提供できます。現場ではテント内掘削、

密閉容器詰め、運搬時はGPSによる運行監視システムで管理、

洗浄プラントでは施設内ゾーニング管理と、ダイオキシンの漏

洩防止や労働環境管理面で、安全、安心に徹底した配慮を行い

ます。昨今、首都圏を中心にダイオキシン汚染土壌問題が顕在

化していますが、安全で安価に処理できる施設がないため、対

策が進んでいないのが現状です。本プラントの稼働により潜在

化している需要を掘り起こし、ダイオキシン汚染土壌問題の解

決に寄与できるものと考えています。年間1.5万tの処理を当面

の目標としています。

・調査件数:2,537件・浄化件数:1,276件・土壌洗浄プラントによる処理土量:171万t(川崎土壌洗浄プラント事業所とオンサイト型土壌洗浄プラントの合計)・オンサイト型土壌洗浄プラント件数:11件(稼働中3件、計画中1件を含む)・バイオレメディエーション(バイオスクリーン、バイオショックロード等)件数:12件・フェントン処理件数:5件

8990919293949596979899000102 04050607年度03020406080100120140160180200220240件

浄化実績推移1989年からの累積浄化件数:1,276件

現場・テント内掘削・密閉容器詰め

クリーンゾーン

運搬経路・GPS監視システム・ウィング車の利用

DXN類専用土壌洗浄プラント・施設内ゾーニング管理・排水クローズドシステム

クリーンゾーン

搬入・搬出ゾーン

洗浄ゾーン

土壌分野の主な実績(2008年3月末現在の累計)

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41 SHIMIZU CSR Report 2008

室内化学物質対応

 「建築基準法」などの法規制を順守し、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレンは延床面積2,000m2以上の設計施工案件で法規制を上

回る目標を設定しています。2007年度の目標達成率は92%でした。

PCB廃棄物保管

 当社が保管するPCB含有廃棄物は、2008年3月現在、下表のとおりです。

法規制を順守できなかったもの

●天井張替工事で、天井裏に吹付材を確認したが工事を継続。

関係者からの疑義により区から吹付材に石綿が含有している

のではないかと指摘され、分析の結果、石綿含有が判明しま

した。その後、工事を中断し石綿則に則り施工方法を検討の

うえ工事を再開しました。なお、吹付材は発注者と打合せ

 のうえ、囲い込み処理を行いました。

●道路舗装工事にて、誤って配車された未契約会社の車両でア

スコンガラを排出。適正処理を確認のうえ、早急に未契約会

社と契約を締結しました。全社安全環境部部長会、部門環境

担当者会議などで再発防止を徹底しました。

法違反に至らなかった不具合

●基礎解体中に基礎に浸み込んだ加工油(ミシン油)が河川に流

失。河川管理者(県)と県環境部から口頭注意を受けました。

●タンクから暖房器具への配管が土中に直接埋設されていたため何ら

かの原因で破損し、灯油980ℓが敷地内及び周辺土地、水路に漏

洩。行政と連絡を取り、復旧を行いました。設備配管類はピット内

配管とし、直接土中配管は行わない旨全社示達を行いました。

●深礎杭施工により発生した薬液排水が、ノッチタンクのオー

バーフローにより近隣水路に漏洩しました。行政と連絡を取

り、バキューム車により周辺水含め約1m3程度の回収対応を

行いました。

○水質に関連する不具合に対し、2007年より「水質汚濁防止

の手引き」を全作業所に配布し、徹底を図っています。

有害物質対策

法令順守状況

アスベスト対策

 近年、健康に深刻な影響をもたらすとして、アスベスト対策

が喫緊の課題となっています。2006年10月には石綿関連法

改正など法規制が厳格化され、解体や改修工事での万全な飛散

防止対策の実施など、施工会社への安全性確保の責務は増大し

ています。当社はアスベスト対策関連技術として、1986年に

業界初のアスベスト粉じん飛散防止技術「ASP工法」を確立、

ゼネコンで唯一財団法人日本建築センターから技術審査証明を

取得し、これまで多数の施工を行ってきました。また、同工法

で使用するアスベスト飛散抑制薬剤「アステクターS」は

2007年9月に建築基準法37条に規定する封じ込め薬剤として

も認定されました。

 アスベスト対策の全社一体化のため「アスベスト対策技術開

発体制」を構築し、改修工事や解体でのアスベスト作業に関連

した5つの要素技術と3つの社内インフラを整備しています。一

方、工事での課題に対応する技術専門チームも立ち上げていま

す。詳細は当社ホームページ:

http://www.shimz.co.jp/csr/environment/intro/toxic.html

に掲載しています。

 なお、2007年度は3,600tの飛散性アスベストを適正に処

理しました。

 2007年度に環境関連の法規制を順守できなかったもの、法規制には至らなかった不具合の発生は以下のとおりです。

※左記は全て当社施設から排出されたものです。※PCBの処理については、2008年3月に日本環境安全事業株式会社と処理委託契約済。

高圧コンデンサ

その他(ウェス)

491台

0.01m3

低圧コンデンサ

その他(廃シール)

24台

589kg

安定器

その他(汚染物)

2,225台

122kg

トランス 16台

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ACTIVITIES 2007年度の活動内容と実績

42SHIMIZU CSR Report 2008

環境会計

環境会計の基本的事項

1. 集計範囲:清水建設株式会社 国内

2. 対象期間:2007年4月~2008年3月

3. 集計方法

環境会計ガイドライン2005年度版(環境省)、建設業におけ

る環境会計ガイドライン2002年版(建設3団体)を参考とし

て7分類-18項目に分けて集計

4. 各項目ごとの保全コストの算出の根拠

①各部署からの積上げとサンプリング※による推計により算出

(各項目の保全コストは下表参照)

集計結果の考察

1.費用総額は、国内の建設完成工事高の1.82%(前年度は2.02%)となり前年度比0.20ポイント減少しました。

2.資源循環コストは、建設廃棄物の減少により国内の建設完成工事高の1.15%(前年度は1.20%)となり前年度比0.05ポイント減少しました。

3.管理活動コストは、国内の建設完成工事高の0.13%(前年度は0.12%)となり前年度比0.01ポイント増加しました。

②複合コストは計上せず、環境に関するもののみ100%計上

③人件費については、従事した時間に人件費単価を乗じて算出

④減価償却費は財務会計で適用した耐用年数に基づいて算出

⑤グリーン調達コストは、保全コストから除外

※サンプリング選定の基準に基づき、選定された36作業所(改修工事含む)で 得たデータを基に、完成工事高で全社ベースに換算

 社会的責任として「企業活動と環境の調和」は不可欠と考え、当社における環境活動を効率良く推進し、着実に事業活動へ取り組むための有効な環境経営ツールとしての活用を目的に、1999年度より環境会計を導入しています。

2006年度

項   目 2006年度 2007年度 国内建設完成工事高(億円)フロン、ハロン適正処理量

建設廃棄物排出量

建設工事リサイクル率(汚泥、有害物質除く)

建設工事リサイクル率(汚泥、有害物質含む)

リサイクル率(新築、新設工事でがれき類、汚泥、有害物質除く)

建築新築工事 副産物総量(延床面積あたり)

建設資材のグリーン調達

代替型枠材

型枠代替率

グリーン調達率(工事部門)※参考値

建 築

土 木

10,771

1,917

12,688

16

238

97

87

85

16.3

596

145

31.5

13.6

万t

%

%

%

kg/m2

億円

億円

%

%

19

224

95

83

82

15.9

749

259

43.5

17.1

万t

%

%

%

kg/m2

億円

億円

%

%

グリーン調達

事業エリア内活動

2007年度

国内建設完成工事高(億円)建 築

土 木

10,977

1,872

12,849

詳細36ページ

詳細39ページ

詳細39ページ

詳細39ページ

詳細39ページ

詳細36ページ

●成果(環境会計ガイドライン2005年版の本表②などはホームページ http://www.shimz.co.jp/csr/environment/report/index.html に掲載しています)

Ⅶ  合 計

① 本・支店社屋設備投資

② ソフトウエア投資

Ⅶ. 環境関連投資コスト 省エネ設備、中水道設備投資

環境関連ソフト投資9511

106 (7) 106 (7)

中 項 目主な環境保全活動項目

項 目 計(単位百万円)大 項 目

保 全 コ ス ト 区 分

 ( )内は2006年度の保全コスト

Ⅰ~Ⅵ 合 計

算出根拠

●2007年度 環境保全コスト費用額

環境関連投資

中 項 目  計 大 項 目  計各部署からの積上げ サンプリング① 公害防止コスト ② 地球環境保全コスト ③ 資源循環コスト

Ⅰ. 事業エリア内コスト 作業所での公害防止対策フロン、ハロンガスの適正処理 建設副産物の適正処理対策

20,469 (22,606)5,447261

14,761

○○○

○○

① 環境保全対策対応追加コストⅡ. 上・下流コスト 環境配慮設計 72 (72)72○① 環境マネジメント運用維持 ② 環境保全対策関連費 ③ 環境負荷監視費 ④ 美化、景観保護等のコスト ⑤ 環境教育費⑥ 環境情報の開示

Ⅲ. 管理活動コスト ISO14001の継続維持環境保全対策近隣周辺地盤沈下等計測監視作業所周辺環境保全対策環境に関した教育、講習等参加環境フェア、環境保全の発表会

1,635 (1,567)

4804664883811152

○○

○○

○○

① 環境ビジネスに関わる研究開発費② 環境保全に関する技術研究費

Ⅳ. 研究開発コスト 環境に関わる研究開発環境保全技術研究

791 (773)495296

○○

① 環境保全団体等への寄付 ② 地域住民等との社会的取り組み

Ⅴ. 社会活動コスト NGO、環境関連団体への協賛地域での環境教育協力

228 (360)84144○

① 自然修復のためのコスト ② 環境保全での損害賠償のコスト

Ⅵ. 環境損傷対応コスト 自然修復環境保全の賠償

165 (259)

23,358 (25,637)

1650

○○○

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ACTIVITIES 2007年度の活動内容と実績

43 SHIMIZU CSR Report 2008

(注)作業所で使用する環境管理のためのWebシステム

2008年度 環境活動計画

2008年度環境目標

 2007年、地球温暖化や自然災害などの問題に対応するために、「環境」と「危機管理」、「社会的責任」の面から建物の見えない価値を見えるかたち(指標)で総合評価するため、「シミズ・グリーンコード」を制定、活動を開始しました。2008年度はグリーンコード評価でバランスの取れた性能の高い建物を提案していきます。

 2007年度の環境目標に対し、2008年度は2項目を大きく変えました。①エコロジー・ミッション(当社の地球温暖化防止の目標)は、「京都議定書の目標を達成」に加えて、「2013年以降の対応をどうするか」という社会の関心に対応し、「2010年度に1990年度比6%削減」から「2020年度に1990年度比30%削減」としました。削減の対象も「すべての建物が排出するCO2」から、土木構造物も含めた「すべての建造物が排出するCO2」に拡大しました。②建設副産物の減量化、資源化の目標は、新築・新設工事を対象とした「リサイクル率の向上」を、すべての工事を対象とした「最終処分率の低減」に変更しました。 また、2007年度に制定した建物の総合評価指標「シミズ・グリーンコード」を積極的に活用、展開していきます。

地球温暖化防止

建設副産物の減量化、資源化

生態系の保全

トータル・エコ活動の推進

環境配慮設計の推進

EMSの継続的改善活動

2008年度目標 2009年度目標テーマ

エコロジー・ミッション対応 4,564,610t-CO2以上削減

 ・省エネルギービルの設計 2,089,480t-CO2以上削減

 ・工事の省資源とグリーン施工 2,057,280t-CO2以上削減

 ・省エネ改修とエコサービス 64,010t-CO2以上削減

 ・新エネルギーの導入促進 269,860t-CO2以上削減

 ・オフィスの省エネ 1,980t-CO2以上削減

 ・排出権の確保と活用 82,000t-CO2以上削減

CO2削減に寄与する研究開発の推進 CO2予測削減量 3,300t-CO2以上

最終処分率の低減(建設汚泥、一般廃棄物、特別管理廃棄物は除く) 6%以下

建設副産物総量の削減(建築新築工事) 17.5kg/m2以下

生態系配慮システムの指数(建築設計) 100以上

生態系配慮システムの指数(土木設計) 100以上

お客様への報告率 90%以上

3物質(ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン)濃度の目標達成率 85%以上

2,000m2以上の設計案件 CASBEE評価 Aランク以上

下記に対する内部環境監査での確認 100%

 ・QES-Web(環境)の適切な活用(注)

5,708,340t-CO2以上削減

2,301,710t-CO2以上削減

2,060,050t-CO2以上削減

84,670t-CO2以上削減

269,870t-CO2以上削減

2040t-CO2以上削減

990,000t-CO2以上削減

3,600t-CO2以上

5.5%以下

17.5kg/m2以下

100以上

100以上

90%以上

90%以上

Aランク以上

EMSの向上

トータル・エコ活動 シミズ・グリーンコード

 2008年3月までのお客様への報告実績は、竣工時報告52件、

運用段階報告21件となっています。

建物の価値を最大に!

活動主旨説明

計画及び実績をフォロー表に入力

お客様

「地球環境負荷」を最小に!

※参照アドレス : http://www.shimz.co.jp/theme/gc/index.html

× 緑化によるCO2吸収 省エネによるCO2削減

当社付加評価軸

・地震防災・異常気象対応・生態系配慮

・長寿命化・モニタリングシステム+

公的評価軸(CASBEE準拠)

標準法・公的基準に準拠

shall

シミズが推奨する自主基準に準拠

will

最高レベルのグレード

wish

・室内環境・サービス性能・室外環境(敷地内)

・エネルギー・資源・マテリアル・敷地外環境

竣工時報告

運用段階報告

運用段階報告

受注 設計 施工 運用1年目

光熱用水データ受領

光熱用水データ受領

運用2年目

 トータル・エコ活動は一定規模以上の当社設計施工案件を対

象として、案件ごとに以下のフローに沿って推進しています。

Page 31: Shimizu Corporate Social Responsibility Report › company › csr › environment › pdf › ...03 SHIMIZU CSR Report 2008 SHIMIZU CSR Report 2008 04 企業の社会的責任 CSRのResponsibilityは、責任に加えて信頼性と

44SHIMIZU CSR Report 2008

CSRに関する当社の主な動き

2007年度 社外顕彰受賞一覧

1804年 (文化元年) 江戸・神田で創業1887年 (明治20年) 「論語と算盤」の考え方を経営に導入 「諭示」の提示1896年 (明治29年) 「営業規則・総則」の制定1904年 (明治37年) 「店務取扱に関する諭示」の提示1916年 (大正5年) 「営業規定附店員心得」の制定1938年 (昭和13年) 「従業員心得(服務規程の内)」の制定1946年 (昭和21年) 「従業員心得」の改定1948年 (昭和23年) 「従業員心得」の改定1982年 (昭和57年) 「経営理念」の制定1991年 (平成3年) 「経営理念」の改定 「地球環境室」の設置 「清水地球環境憲章」の制定1998年 (平成10年) 「企業倫理行動規範」の制定1999年 (平成11年) 「執行役員役員制度」の導入2004年 (平成16年) 「企業倫理行動規範」の改訂

2006年 (平成18年) 「内部統制システム整備の基本方針」の策定2007年 (平成19年) 「CSR推進室」の設置 「内部統制推進グループ」の設置 「独占禁止法違反再発防止策」の策定 「独占禁止法違反再発防止策」の 全社巡回指導、法務部監査の開始 「独占禁止法違反外部通報制度」の設置 「eラーニング」による 「全社的コンプライアンス研修」の開始 「法務ニュース」の配信開始 協力会社との「調達基本方針」の策定 「ボランティア休暇制度」の開始2008年 (平成20年) 「リスク管理規程」の制定 「リスク管理委員会」及び 「リスク管理主管部署(経営企画部)」の制定

日本建築学会賞業績賞 国際文化会館の保存再生

日本建築学会賞奨励賞 海風が卓越する夏季晴天日における規模の異なる3つの太平洋沿岸都市、東京、仙台、原町の中心部の 大気部熱収支構造の比較 -気候数値解析に基づく都市気候の地域特性の定量化(その1)-

日本建築学会賞(論文) アスペリティモデルの力学特性に基づく広帯域強震動の再現と予測に関する研究

日本建築学会賞(技術) 浮力を利用した免震構造システムの開発と実現

リデュース・リユース・リサイクル推進協議会会長賞 (仮称)クレストフォルム芝タワー建設所、清水建設株式会社リサイクル研究会

グッドデザイン賞金賞 東京工業大学緑が丘1号館

日経ニューオフィス賞推進賞 タクボエンジニアリング東金テクニカルセンター

北海道福祉のまちづくりコンクール ハード部門 奨励賞 噴火湾パノラマパーク オートリゾート八雲 センターハウス

函館市都市景観賞 五稜郭タワー

屋上壁面特殊緑化コンクール 新宿伊勢丹屋上庭園

江戸川区優良まちなみ賞 まつしま病院

照明普及賞優秀施設賞 SIA新大手町ビルディング

空気調和・衛生工学会賞振興賞・技術振興賞 新潟総合テレビ新社屋の計画・設計・施工、キヤノンプレシジョン北和徳

空気調和・衛生工学会第16回篠原記念賞 給排水衛生設備に関する工学技術への貢献

BCS賞 清水建設技術研究所本館

建築環境・省エネルギー機構理事長賞 清水建設技術研究所本館

電気設備学会賞技術部門施設奨励賞 三共研究開発センター研究E棟の電気設備、ワールドシティタワーズ(アクアタワー)の電気設備

土木学会田中賞 バイチャイ橋

土木学会技術賞 大規模地すべりに遭遇した道路トンネルの設計施工技術(道道夕張新得線赤岩トンネル)

土木学会論文賞 土の塑性指数とpHに着目した土壌洗浄における凝集沈殿・脱水プロセス管理

ダム工学会技術賞 迫川上流農業水利事業小田ダム建設工事、鷹生ダム建設工事

日本火災学会内田奨励賞 住宅及び大規模防火対象物に対する火災リスク分析と性能的評価手法に関する研究

日本雪工学会学術賞 建物近傍における雪の堆積現象と風洞相似則に関する一連の研究

エンジニアリング功労者賞・国 ベトナム・バイチャイ橋建設チーム

国土技術開発賞最優秀賞 石垣修復支援システム、3Dモデル配置システム

日本免震構造協会賞 東京建設コンサルタント新本社ビル

都市緑化技術開発機構理事長賞 屋上・壁面・特殊緑化コンクール屋上部門

優良消防用設備等消防長官表彰 九段第3合同庁舎・千代田区役所本庁舎 火災フェーズ管理型防災システムの開発

優良消防用設備等表彰 ラゾーナ川崎プラザ(商業施設)の加圧防煙設備の設計及び開発

技術研究発表会「まちづくり」部門優秀賞 特殊培土を使用した壁面緑化技術とその効果

日本経団連推薦社内報総合賞 社内報『しみずまんすりー』

サステナブル建築賞審査委員会奨励賞 トヨタ自動車本館

福岡市内のフクオカ・ストリアート(工事現場仮囲いの美化)優秀賞 冷恵10号幹線築造工事

WWF(世界自然保護基金)ゴールドパンダ賞 清水建設株式会社

顕 彰 名 受 賞 作 品

年 主な動き 年 主な動き

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ご意見をいただいて

45 SHIMIZU CSR Report 2008

CSR報告書 第 号を読んで 当社の社会的取り組みや環境活動などについて、お二人の方よりご意見をいただきました。

 昨年の持続可能性報

告書からCSR報告書

へと名称が変わった。

その最大の変更点は、

社会的責任の考え方を

包括的に再編し、価

値・社会・公正の3つ

の視点から「シミズのCSR」を明確にしたことであろう。持続

可能な社会の実現に向けたCSR経営のフレームワークを社内外

に新たに示すという意味では評価できる。

 しかし、報告内容は「環境」の一部を除いて当該年度の活動

にとどまっており、取組の達成度や課題、是正が明示されてい

ない。本来、CSR報告書とはCSR経営のP-D-C-Aを報告する

ものである。特にガバナンスや雇用・労働については、体制や

仕組みの説明が中心であり、定量的データの記載も少ないた

め、その運用状況や成果は伝わらない。

 「シミズのCSR」の本質にもかかわるが、長期的にシミズが

目指すCSRの姿が見えない。例えば、2050年の社会・経済の

なかで、シミズをどのように位置づけ、どのような役割を果た

すのか。そのためには、今、何をすべきか。中期的な経営計画

とも関連付けて、CSRの具体的な達成目標と目標年次を示す必

要があろう。

 そうしたなかで、地球温暖化防止のための「エコロジー・

ミッション」は高く評価できる。CO2排出量を1990年度比で

「2010年度に6%削減」から「2020年度に30%削減」へと

深化させ、削減対象も「すべての建物」から土木構造物を含む

「すべての建造物」に拡大した。いわゆるポスト京都議定書の

論議が進む中で、先導的である。また、新しいコーポレート

メッセージ「子どもたちに誇れるしごとを。」は、“人材”と

“品質”にこだわるシミズを象徴しており、今後の更なる改善

と進歩に期待したい。

 清水建設のCSRへ

の取り組みが、きちん

とした理念に基き、多

岐にわたっていること

がはっきりとわかる点

で、基本的によくでき

た報告書だと思いま

す。建設会社のCSRの核は、本来の事業活動を通じての「安全

安心」の確保だと思いますので、そこをもっと強調して中心に

おく編集にしたほうがよいと感じました。

 清水建設のたいせつな資源である社員への地球環境問題に関

する教育・研修はどのように行われているのかはみえてきませ

ん。環境NGOの立場からは、たとえば1か月に1度、昼休みの

15分でもいいので、ラムサール条約、生物多様性条約、気候変

動枠組条約、ミレニアム生態系評価、ミレニアム開発ゴールな

ど、淡水資源、砂漠化など、焦眉の課題となっている地球環境

問題について、全社員を対象にした研修を行うなど、企業とい

う組織の枠組みを活用した取り組みがあれば、日本人の環境意

識は著しく底上げされると思います。シミズの得意とするアニ

マルパスウェイなどについても、どのくらい全社員に共有され

ているのでしょうか。

 出産・育児支援策、ボランティア休暇制度の紹介について

は、制度があるということだけでなく、どのくらい活用されて

いるのかが明示されなければ意味がありません。女性社員採用

についても全体社員に占める割合、中長期目標値が示されない

と評価ができません。

 細かいことですが、外来語の直訳のカタカナ語の使用はでき

るだけさけるべきです。たとえばアクティビティは活動、コー

ポレートガバナンスは企業統治で十分でしょう。また、21ペー

ジのステークホルダー紹介のコラムの敬称「様」は、「氏」ま

たは「さん」で十分です。

14

安全環境本部 地球環境部長 岩本 和明

ニッセイ基礎研究所上席主任研究員川村 雅彦 様

ラムサールセンター事務局長中村 玲子 様

川村さん 中村さん、ご意見をありがとうございました。

 今年よりCSR報告書といたしましたが、スタートしたばかりで、いただいたご意見のとおり、個々の内容、表現、定量的

なデータの充実など多岐にわたり向上させていく必要を、社内でも実感しています。また、前号で鳴海先生よりご指摘いただ

いたリノベーションは、本号のトピックスのテーマの一つといたしました。社内の環境教育については、今回は、簡単ですが

追加、記載しました。また、外来語の注釈を追加するとともに、「Mr.」と敬称の重複などを整理いたしました。次号は、お

二方のご指摘をさらに反映するとともに、社外の方からのご意見を、ステークホルダーとのミーティングなどの形で早い段階

よりいただき、内容の切磋、充実に努めてまいりたいと思います。

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46SHIMIZU CSR Report 2008

第三者保証報告書

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http://www.shimz.co.jp/

●お問い合わせ先●安全環境本部 地球環境部TEL.(03)5441‐0997(ダイヤルイン)

この印刷物は、FSC認証紙を使用し、植物油100%の「大豆油インキ」を使って、「水なし印刷」で印刷しております。

Trademark of American Soybean Association

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関東支店さいたま市大宮区下町一丁目51番地 木崎屋ビル 〒330‐0844TEL.(048)631‐3311名古屋支店名古屋市中区錦一丁目3番7号 〒460‐8580TEL.(052)201‐7611広島支店広島市中区上八丁堀8番2号 〒730‐8535TEL.(082)225‐4611九州支店福岡市中央区渡辺通三丁目6番11号 福岡フコク生命ビル 〒810‐8607TEL.(092)716‐2002海外支店78 Shenton Way #11-01 Singapore 079120TEL.(65)6220‐0406土木事業本部東京都港区芝浦一丁目2番3号 シーバンスS館 〒105‐8007TEL.(03)5441‐1111土木東京支店東京都港区芝浦一丁目2番3‐12号 シーバンスS館 〒105‐8007TEL.(03)5441‐1300土木横浜支店横浜市中区吉田町65番地の7 〒231‐0041TEL.(045)253‐2280海外土木支店東京都港区芝浦一丁目2番3号 シーバンスS館 〒105‐8007TEL.(03)5441‐0633投資開発本部東京都港区芝浦一丁目2番3号 シーバンスS館 〒105‐8007TEL.(03)5441‐0876エンジニアリング事業本部東京都港区芝浦一丁目2番3号 シーバンスS館 〒105‐8007TEL.(03)5441‐0131技術研究所東京都江東区越中島三丁目4番17号 〒135‐8530TEL.(03)3820‐5504