Seminar Report 15 XupperのSTAR-ATT(Auto Test Tool)およびHP社のQTP(QuickTest...

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要件管理とテスト自動化の機能を拡充 さらに進化した定番の上流分析・設計ツール Xupper IIは、わかりやすいビジネスフロー図やビジネスルール などを用いて業務を可視化し、エンドユーザーと開発者のコミュ ニケーションを強力に支援する上流分析・設計ツールだ。すべての 設計情報はリポジトリで一元管理され、下流工程までスムーズに 連携可能。仕様変更が発生した場合も、クロスリファレンスで容易 に影響分析を行える。 2011 年にリリースされた最新版の Xupper II Ver 9.0 では、従来 オプションであった「要件管理機能」を標準機能として搭載(1)。ユーザー要求と、それをシステム化するための要件、その実装 を、それぞれの関係をツリー構造やダイアグラムで可視化しなが ら管理できる。これにより、ユーザ要求がシステムのどの機能で実 現できているのかをトレースでき、また、システム機能がどの要求 によるものなのかの逆引きも可能だ。 テスト工程の自動化を支援するオプション機能も強化されてい る。1 つは、ビジネスフロー図を分析してテストシナリオを自動生 成する「TQCAssistオプション」。さらに、テストの自動実行まで行 えるのが「自動テスト連携オプション」だ。これは、フロンテス社 の STAR-ATT(Auto Test Tool) お よ び HP社 の QTP(QuickTest Professional)との連携で実現する機能となる。Xupper IIで自動生 成したテストシナリオを STAR-ATTに送り、テストデータと検証ロ ジックを登録。テストスクリプトを自動生成し、最終的にQTPと連 動してテストを自動実行することができる。 既存システムを解析してすっきり可視化 修正に伴う影響範囲も詳細に把握可能 システムの現状と設計情報がかけ離れている、 あるいは設計情報自体が存在しないために、既存 システムの修正や保守作業が非常に困難になる ケースも珍しくない。とはいえ、手作業で既存シ ステムを把握するのは膨大な時間を要する。 REVERSE PLANETは、このような課題に対応し、 既存システムを可視化できるツールだ(図2)。最 新のリバースエンジニアリング技術を使い、既存 システムを機械的に解析することによって、様々 ケン・システムコンサルティング株式会社  代表取締役社長 高橋 俊夫氏   コンサルティング部 部長 岸本 邦夫氏 Xupper II 株式会社アクセス  営業ビジネスユニット 東京営業部 部長代理 中村 淳次氏 REVERSE PLANET Seminar Report 15 Xupper ユーザ事例紹介セミナーレポート 2011 年 11月、ケン・システムコンサルティング主催の「Xupper ユーザ事例紹介セミナー」が開催された。第 15 回目となる今回のセミ ナーでは、初の試みとして、通常の事例紹介の前にツール紹介のセッションを実施。Xupper の最新版である「Xupper II Ver9.0」、 アクセスのリバースエンジニアリングツール「REVERSE PLANET」、住友電工情報システムの Webシステム開発フレームワーク 「楽々 FrameworkⅡ」の 3 製品が、それぞれデモを交えつつ紹介された。続く事例紹介のセッションでは、エルテックスの山下行雄 氏、日本電気の大場彰夫氏が登壇。いずれも「テスト」を主要テーマとした事例であり、システム開発の生産性および品質の両面に おいて、テスト工程が重要な鍵となることを改めて認識させられた。 情報システムの内部統制の観点から、ユーザ要求が正しくシステムに反映されているかの管理が必要 ユーザ要求や要件の内容もリポジトリで管理し、システムのどの機能で実現できているかのトレースが可能 システム機能がどの要求によるものなのかの逆引きも可能 【ユーザ要求リスト】 【ユーザ要求に対する要件ツリー】 【要件に対する下位要件と実装】 【要件トレーサビリティ ダイアグラム】 【ユーザ要求と実装との関係】 GUI 設計 図 1:要件管理機能

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Page 1: Seminar Report 15 XupperのSTAR-ATT(Auto Test Tool)およびHP社のQTP(QuickTest Professional)との連携で実現する機能となる。Xupper IIで自動生 成したテストシナリオをSTAR-ATTに送り、テストデータと検証ロ

要件管理とテスト自動化の機能を拡充さらに進化した定番の上流分析・設計ツール

 Xupper IIは、わかりやすいビジネスフロー図やビジネスルール

などを用いて業務を可視化し、エンドユーザーと開発者のコミュ

ニケーションを強力に支援する上流分析・設計ツールだ。すべての

設計情報はリポジトリで一元管理され、下流工程までスムーズに

連携可能。仕様変更が発生した場合も、クロスリファレンスで容易

に影響分析を行える。

 2011年にリリースされた最新版のXupper II Ver 9.0では、従来

オプションであった「要件管理機能」を標準機能として搭載(図

1)。ユーザー要求と、それをシステム化するための要件、その実装

を、それぞれの関係をツリー構造やダイアグラムで可視化しなが

ら管理できる。これにより、ユーザ要求がシステムのどの機能で実

現できているのかをトレースでき、また、システム機能がどの要求

によるものなのかの逆引きも可能だ。

 テスト工程の自動化を支援するオプション機能も強化されてい

る。1つは、ビジネスフロー図を分析してテストシナリオを自動生

成する「TQCAssistオプション」。さらに、テストの自動実行まで行

えるのが「自動テスト連携オプション」だ。これは、フロンテス社

のSTAR-ATT(Auto Test Tool) お よびHP社 のQTP(QuickTest

Professional)との連携で実現する機能となる。Xupper IIで自動生

成したテストシナリオをSTAR-ATTに送り、テストデータと検証ロ

ジックを登録。テストスクリプトを自動生成し、最終的にQTPと連

動してテストを自動実行することができる。

既存システムを解析してすっきり可視化修正に伴う影響範囲も詳細に把握可能

 システムの現状と設計情報がかけ離れている、

あるいは設計情報自体が存在しないために、既存

システムの修正や保守作業が非常に困難になる

ケースも珍しくない。とはいえ、手作業で既存シ

ステムを把握するのは膨大な時間を要する。

REVERSE PLANETは、このような課題に対応し、

既存システムを可視化できるツールだ(図2)。最

新のリバースエンジニアリング技術を使い、既存

システムを機械的に解析することによって、様々

ケン・システムコンサルティング株式会社 代表取締役社長 高橋 俊夫氏  コンサルティング部 部長 岸本 邦夫氏

Xupper II

株式会社アクセス 営業ビジネスユニット 東京営業部 部長代理 中村 淳次氏

REVERSE PLANET

S e m i n a r R e p o r t

第15回Xupperユーザ事例紹介セミナーレポート2011年11月、ケン・システムコンサルティング主催の「Xupperユーザ事例紹介セミナー」が開催された。第15回目となる今回のセミナーでは、初の試みとして、通常の事例紹介の前にツール紹介のセッションを実施。Xupperの最新版である「Xupper II Ver9.0」、アクセスのリバースエンジニアリングツール「REVERSE PLANET」、住友電工情報システムのWebシステム開発フレームワーク「楽々FrameworkⅡ」の3製品が、それぞれデモを交えつつ紹介された。続く事例紹介のセッションでは、エルテックスの山下行雄氏、日本電気の大場彰夫氏が登壇。いずれも「テスト」を主要テーマとした事例であり、システム開発の生産性および品質の両面において、テスト工程が重要な鍵となることを改めて認識させられた。

● 情報システムの内部統制の観点から、ユーザ要求が正しくシステムに反映されているかの管理が必要● ユーザ要求や要件の内容もリポジトリで管理し、システムのどの機能で実現できているかのトレースが可能● システム機能がどの要求によるものなのかの逆引きも可能

【ユーザ要求リスト】 【ユーザ要求に対する要件ツリー】 【要件に対する下位要件と実装】

【要件トレーサビリティ ダイアグラム】 【ユーザ要求と実装との関係】 GUI設計

図1:要件管理機能

Page 2: Seminar Report 15 XupperのSTAR-ATT(Auto Test Tool)およびHP社のQTP(QuickTest Professional)との連携で実現する機能となる。Xupper IIで自動生 成したテストシナリオをSTAR-ATTに送り、テストデータと検証ロ

[第15回Xupperユーザ事例紹介セミナーレポート]

な角度からシステム構造の分析や修正に伴う影響

範囲の調査をデータ項目レベルまで可能にする。

 REVERSE PLANETによる可視化の基本的な仕

組みとしては、まず可視化したい既存システムの

稼働環境から差分データを抽出し、REVERSE

PLANETサーバーに自動転送する。サーバー側で

は自動的に分析が行われ、分析処理されたデータ

は更新された設計情報としてすべてリポジトリに

組み込まれる。REVERSE PLANETはサーバー環

境で稼働するため、ホスト(既存システム)側に

負担をかけたり、リスクを生じさせる心配もない。

 クライアント側からは、構造分析と影響分析と

いう2種類の分析が行える。構造分析機能では、

分析した結果をあらゆる角度で参照・検索可能。

また、影響分析機能により、修正による影響範囲

を事前に把握し、システムダウンやトラブルを未

然に防止することができる。なお、解析結果を

Xupper IIのリポジトリへインポートすることも

可能だ。

DB定義情報からプロトタイプを自動生成生産性を向上する部品組立型フレームワーク

 楽々 FrameworkⅡは、Webシステム開発の生産性と品質向上を

支援するJavaベースのフレームワークだ。「部品組立型開発」をコ

ンセプトとして掲げており、再利用性を考慮した大小様々な粒度

のプログラム部品を用意。部品にはログイン認証や権限チェック

などの共通処理部品、画面表示や画面遷移、DB入出力処理を含ん

だプログラムを丸ごと部品化したパターン、データ項目に結び付

く属性と処理を部品化した項目オブジェクトを用意。これらを組

み合わせて、コーディング量を最小限に抑えながら効率的にシス

テムを開発できる。

 また、上流工程はDOA(データ中心アプローチ)を採用してお

り、DOAのモデリング手法で生成されたデータモデルとシームレ

スに連携できるのも特徴だ。もちろん、Xupper IIとも連携可能(図

3)。Xupper IIからFDファイルとして出力されたデータベース定義

情報を取り込むだけで、実際に動くアプリケーション(プロトタイ

プ)が部品の自動組み立てで生成される。プロトタイプのカスタマ

イズも、ブラウザ上でドラッグ&ドロップによるレイアウト編集

などノンプログラミングで行うことができ、そこまでの段階でア

プリケーションは80%程度完成する。あとは、企業固有の業務ロ

ジックなど、複雑な固有処理のみJavaのプラグインで追加すれば

よい。

 このような部品組立型開発やプロトタイプ自動生成の仕組みに

より、楽々 FrameworkⅡはネイティブJavaの5 ~ 10倍という高

い開発生産性を発揮。短期間で容易に品質の高いWebシステムを

開発することが可能となる。

 また、保守の効率化も重視しており、その一例として、プログラ

ムの設定内容から「プログラム仕様書」をワンクリックで自動生成

することもできる。

住友電工情報システム株式会社 ビジネスソリューション事業本部 システム開発部 フレームワーク技術グループ アシスタントマネージャー 平河 拓郎氏

楽々FrameworkⅡ

XupperⅡ 楽々 FrameworkⅡ

項目オブジェクトBusiness

Logic

PatternPlug-in

Pattern

DDPlug-in

DD

プロセス

★エンティティ関連図

★マトリックス

★ビジネスフロー図 XPD

PD

Servlet

HTML画面

FD

PD

RDB

クラスライブラリ

図3:Xupper IIから楽々 Framework IIへの連携イメージ

現行システム稼動環境

クライアント

REVERSE PLANET用サーバー

構造分析

差分抽出&自動転送

●PLANETエクスプローラ●ジョブ前後関連●ジョブネット図●ジョブグループ図●ジョブフロー図●レイアウトビューア●フローチャート〔オプション機能〕 等

影響分析●入出力マトリックス分析●サブシステム間関連分析●PLANET影響分析●データ項目リファレンス●データファイル分析〔オプション機能〕●ロジック分析〔オプション機能〕●一括ロジック分析〔オプション機能〕●資産台帳〔オプション機能〕    等

(自動更新)分析処理

リポジトリ

差分データ(自動転送)

ホスト側運用システム作成の工程で作成した差分抽出&自動転送の仕組み

サーバー側運用システム作成の工程で作成した自動分析処理の仕組み

◆自動的に分析が行われるため、煩雑な作業が発生しません

◆サーバー環境で稼動するため、ホストに対する負担&リスクが発生しません

図2:可視化ソリューション(REVERSE PLANET)の稼働イメージ