俺々RISC-VのFPGAへの実装 - 組み込みネット ... · 38 第4章...

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38 第 4 章 俺々 RISC-V の FPGA への実装 FPGAの世界は,Intel 社(旧 Altera 社)と Xilinx社 の2大勢力に分かれています.特定ベンダの特定 FPGAボード1品種のみに実装するのではなく,2大 ベンダそれぞれの入門評価ボードに実装してみたいと 思います. Intel (旧Altera)社系デバイス Intel (旧Altera)社系デバイスの中で,エントリ・ レベルのデバイスとしては MAX 10 が挙げられます. MAX 10 を搭載した評価ボードはいろいろあります が, 今 回 は 書 籍『 ① MAX 10 ② ラ イ タ ③ DVD 付 き ! FPGA電子工作スーパーキット』 (CQ出版社) 写真1を使ってみることにしました.この書籍には写真 1 bに示すMAX10-FB基板が付属しています.また,270 1.ターゲット FPGA ボードの選定 エントリ・レベルのデバイスを選択 実装したRISC-Vを,シミュレーションだけで終わ らせてしまうのでは面白くありません.実際に FPGA に実装して動作を確認してみたいと思います. 特集 4 評価ボードMAX10-FB基板&Artyで動かす 俺々 RISC-V の FPGA への実装 石原 ひでみ Hidemi Ishihara 今回実装するRISC-Vの仕様を決めたところで,安価に入手できる MAX 10 と Artix-7 を搭載した評価ボードに RISC-Vを実装してみます.FPGA開発ツールQuartus Prime/QsysやVivadoを使って,RISC-VコアをIPコアと して登録し,周辺モジュールをAXI-Liteバスで接続して,RISC-Vシステムを構築します.完成したFPGAコン フィグレーション・ファイルをダウンロードすると,RISC-V が L チカ・プログラムを実行し始めます. 安価な評価ボードで誰でも試せる! 写真 1 書籍『① MAX 10 ②ライタ③ DVD 付き ! FPGA 電子工作 スーパーキット』 b)付属 MAX10-FB 基板 a)表紙 項 目 内 容 ベンダ Intel (旧 Altera) 製品シリーズ MAX 10 製品型名 10M08SAE144C8G プロセス TSMC 55nm Embedded フラッシュ・ プロセス ロジック・エレメント 8K M9K メモリ 378K ビット フラッシュ・メモリ 2496Kビット(コンフィグレーション 用+ユーザ用合計) 1376Kビット(ユーザ用最大値) 18 × 18 乗算器 24 個 PLL 2個 LVDS 専用Rx/Txチャネルまたはエミュレ ーション出力チャネル× 41 ペア コンフィグレーション数 最大 2 コンフィグレーション・イメー ジを記憶可能 AD 変換器 12 ビット× 1 ユニット,変換レート最 大 1MSps,アナログ入力端子× 9 本 クロック発振器 リング・オシレータ内蔵 (55M 〜 116MHz) I/O 本数 101 本 電源 3.3V 単一電源 パッケージ EQFP144 (20mm × 20mm, ピン・ピッチ 0.5mm) 表1 ターゲットFPGA“MAX 10” (Intel 社,旧 Altera 社) の仕様

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Page 1: 俺々RISC-VのFPGAへの実装 - 組み込みネット ... · 38 第4章 俺々RISC-VのFPGAへの実装 FPGAの世界は,Intel社(旧Altera社)とXilinx社 の2大勢力に分かれています.特定ベンダの特定

38 第4章 俺々 RISC-VのFPGAへの実装

 FPGAの世界は,Intel社(旧Altera社)とXilinx社の2大勢力に分かれています.特定ベンダの特定FPGAボード1品種のみに実装するのではなく,2大ベンダそれぞれの入門評価ボードに実装してみたいと思います.● Intel(旧Altera)社系デバイス Intel(旧Altera)社系デバイスの中で,エントリ・レベルのデバイスとしてはMAX 10が挙げられます. MAX 10を搭載した評価ボードはいろいろありますが,今回は書籍『①MAX 10②ライタ③DVD付き! FPGA電子工作スーパーキット』(CQ出版社)(写真1)を使ってみることにしました.この書籍には写真1(b)に示すMAX10-FB基板が付属しています.また,270

1.ターゲットFPGAボードの選定

● エントリ・レベルのデバイスを選択 実装したRISC-Vを,シミュレーションだけで終わらせてしまうのでは面白くありません.実際にFPGAに実装して動作を確認してみたいと思います.

特集

第4章 評価ボードMAX10-FB基板&Artyで動かす

俺々RISC-VのFPGAへの実装石原 ひでみ Hidemi Ishihara

 今回実装するRISC-Vの仕様を決めたところで,安価に入手できるMAX 10とArtix-7を搭載した評価ボードにRISC-Vを実装してみます.FPGA開発ツールQuartus Prime/QsysやVivadoを使って,RISC-VコアをIPコアとして登録し,周辺モジュールをAXI-Liteバスで接続して,RISC-Vシステムを構築します.完成したFPGAコンフィグレーション・ファイルをダウンロードすると,RISC-VがLチカ・プログラムを実行し始めます.

安価な評価ボードで誰でも試せる!

写真1 書籍『①MAX 10②ライタ③DVD付き! FPGA電子工作スーパーキット』

(b)付属MAX10-FB基板

(a)表紙

項 目 内 容ベンダ Intel(旧Altera)製品シリーズ MAX 10製品型名 10M08SAE144C8G

プロセス TSMC 55nm Embeddedフラッシュ・プロセス

ロジック・エレメント 8KM9Kメモリ 378Kビット

フラッシュ・メモリ2496Kビット(コンフィグレーション用+ユーザ用合計)1376Kビット(ユーザ用最大値)

18×18乗算器 24個PLL 2個

LVDS 専用Rx/Txチャネルまたはエミュレーション出力チャネル×41ペア

コンフィグレーション数 最大2コンフィグレーション・イメージを記憶可能

A−D変換器 12ビット×1ユニット,変換レート最大1MSps,アナログ入力端子×9本

クロック発振器 リング・オシレータ内蔵(55M 〜 116MHz)

I/O本数 101本電源 3.3V単一電源

パッケージ EQFP−144(20mm×20mm,ピン・ピッチ0.5mm)

表1 ターゲットFPGA“MAX 10”(Intel社,旧Altera社)の仕様