スペイン語におけるQU->k-とCi,e>c>ts の音変化の時期の比較につ …

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スペ イン語 にお け るQU->k-とCi,e>c>ts

の音 変化 の時 期 の比較 につ い て

秦 隆 昌

本稿 は原誠氏 の 「ロマ ンス諸 語比 較研 究 とスペ イ ン語通 時言 語学 との くい

ちがい」(東 京 外国語 大学 論集24(別 冊),1974― 以 下「 原74」 と略 す)で

取 りあ げ られ てい るA)か らP)ま での項 目の 中、項 目I)(pp. 11-12)に 関

す る私 の見解 をま とめた ものである。 なお、原74はLausbergのLinguistica

romanica, Iの 批 判 であ り、 その中 の項 目I)で 扱 われ た内容 とは、一言 で

い えば2つ の音変 化 の時間 的順 序に関 す る問題 であ る。

原 氏か ら上記論 文 の抜刷 りを頂 い た時 に、同氏 と手 紙で意 見 を交換 し、 一

部 の問題 につ いて は互い に了解 し合 うことが出来 たが、私が重 要 だ と考 える項

目I)に 関 しては意 見が対 立 した ままに な って い る。 その 後3年 が経過 して

お り、 この問題 について 今論 じるこ とは 、時期 遅れ の感 が しな いで もな いが 、

原氏 が この問 題 に関す るLausbergの 論述 を「とんで もな い誤 り」と断 定 した

形 で話 が終 って お り、現 在 まで これに対 す る如 何な る反論 も出 され て いない

の で、 この 際、遅 ま きなが ら、私 の意見 を表明 させ て頂 くこ とに した。

§1. 問題 の 所在

正確 を期 す ため 、原74,項 目I)の 全文 を引 用す る。1)

「I) QU->k-と な った年代 につ いて

p. 337でLausbergは 、 「QU->k-と い う変化 に おけ るwの 消 失 に つ い

ての相対 的 年代 に関 して は、 これ まで引 用 された諸 言語(サ ル ジニヤ語 、 イ

タ リヤ語 、グ リゾ ン方 言 、フラ ンス語 、プ ロヴ ァンス語、カ タルーニ ヤ語、 スペ

イ ン語 、ポル トガル語)に あって はwの 消失 が大層 遅 くに起 こったの で、新 し

くで きたk-(<QU-)が 最 初の 「口蓋 化傾 向」(ラ テ ン語 のCi,e>c>ts)に 参

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加 す る余地 がなか った』 としてい るが、 これ また とん で もない誤 ま りで あ っ

て、 た とえばAlarcos, 19652)のp.236に は以下 の よ うな図 が載 って い る し、

またMartinet, 1955のpp. 60-61に も同 じようなことが述べ られ てい る。要

す るに スペ イン語史 にあ って はQU->k-はCi,e>c>tsよ りも以前 に起 こ

った こと、お よ び前 者 が後 者 を ひ き起 こ した こ とは 常 識 とな って お り、

Lausbergが なぜ このような初歩的 な誤解 を したの か我 々 は理 解 に苦 しむ もの

で ある。」

以上 が原74, I)の 全文 で あ る。原 氏 はLausbergの 主 張 を 「とんで もない

誤 り」、あ るいは 「理解 に苦 しむ」程の 「初歩 的 な誤解」 と酷評 して い る。 以

下 順 を追 ってその 当否 を明 かに して行 きた い。

§2. Lausbergと 傾向 を同 じくする人 達

Lausbergの 主張 が間 違い だ とす る原氏 の 見方 が正 しい とす れ ば、Laus-

bergは 学 界で孤 立無 援 の状態 に あ るはずだ が、私 の見 る所 、彼 を支持 し、 あ

るいは彼 と傾向 を同 じ くす る人 は少 くな い。 次 にそ の一部 を紹 介 しよ う。

§2.1 V. vaananenの 論 述

彼 は 自著Introduction au latin vulgaire, §92で 次 の よ うに 述 べ て い る。

「… しか し代 名 詞QUI, QUIDは い か な る地 域 で もkwを 保 存 し て い な い 。例:

イ タ リア語chi〔ki〕3)<QUI, che〔ke〕4)<QUID(同 様 にcheto<QU(I)-

ETU, chiedere<QUAERERE).し か し この 音 縮 小(即 ち、QU->k-)5)は

口蓋 化(即 ち、Ci,e>t∫)6)よ り後に 起 こ っ た も の で あ る.cf.イ タ リア 語

cento〔t∫εnto〕<CENTUM, etc.(Lausberg II, §§344以 下 、 お よ び

§§479以 下 参 照)」

この よ う にVaananenは 問 題 の 音 変 化 に つ い て 述 べ る に 当 ってLausberg

を 援 用 して い る。 た だ 、 両 者 の 結 論 は 完 全 に 同 じ もの で は な い 。 こ の こ と に

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つ いて は §3で 詳述 す る。

§2.2 R. Menendez Pidalの 論述

以下 に引用 す るManual, §41, 4〕 の論述 は本稿 で問題 に してい る音変 化

に関す る もので はな いが、Lausbergと 同 じ論 法 を他 の音変 化 に関 して 使 っ

た1例 で あ る。

「(母音 間 の)7)有 声(閉 鎖)8)子 音 の摩擦音 化 およ び消失 は無 声閉鎖 音の 有

声化 よ り以前 の もの で ある。 なぜか とい えば、LEVITU(こ れは ガ リシア ・

ポ ル トガル語 ではlevedoに な って い るが)は カス テ イ リア語 で はlevioに

な らず 、leudoに な って い るか らで あ る。」

これは少 し補 足説 明 を要 す る。先 ずLEVITUの 母 音 間の-T-に 注 目 して頂

きたい。 この音 は カス テ イ リア語で は有 声化 してdに 変 る。一方 ラテ ン語 の

母音 間の-D-は カステ ィリア語 では(例 外 も少 くな いが)一 般 に消失 す る傾

向が あ る。例:CREDERE>creer, FOEDU>feo, etc.こ の場 合t>d

の変化 とd>ゼ ロ の変化 の いずれ が先 に起 こったか とい えば、Menendez

Pidalはd>ゼ ロ が先 だ とい う。なぜ な ら、もし逆 にt>dが 先 に起 こ り、

次 にd>ゼ ロが起 こったとすれ ば、t>dに よ って出来 た2次 的dも 、d>

ゼ ロ の変化 に加 わ る ことにな り、その結果 、最初tで あ った音 も、dと 同様、

無 音化(t>d>ゼ ロ)し て しま うはずで あ る。これ をLEVITUの 例 で 説

明 すれ ば 、この語 はLEVITU>*levido>*levioと 変 化 したはずである。所

が実際 に出来 た形(leudo)は これ とは違 ってい るので、最 初の 仮定 が間違 っ

てい た ことに な る。従 ってt>dはd>ゼ ロよ り後 に起 こった と彼 は結論 す

る。

ここで使 われ てい る論法 は一 種の帰謬 法 であ るが、Lausbergも これ と同

じ推論 の仕方 をす る。 た だ、結論 の形 は両者 同 じでは ない。 この こ とにつ い

て はVaananenの 場合 と同様 、次 節 で詳述 す る。

§3. Lausbergの 論 述

彼 は 原 氏 が 引 用 し て い るLinguistica romanica, I, §345で 、 ス ペ イ ン

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語 を含 むい くつ かの ロマンス語 にお いてQU->k-の 変化 は、この変化 の結

果 出来 る新 しいk音 がCi,e>c>tsの 変 化 に加 わ る こ とが出 来な い程遅 く起

こ った と述べ てい る。その理 由 として彼 が言外 に い って い る ことは、 もし仮

にQU->k-に よ って出来 たk音 がCi,e>c>tsの 変 化 に 加 わ る ことが 出来

る程早 く起 こって いれば、新 し く出来 たkは 古 くか らあったk(ラ テ ン語 の

表記 で はC)と 同 じ音変 化 を起 こ した はずで あ り、従 って 、例 えば ラテン語

のQUIは フ ランス語で はqui〔ki〕 の段 階 に留 らず 、qui〔ki〕>*〔t∫i〕>

*〔tsi〕>*〔si〕 と変 化 して現在 に到 った はずで あ る。所 が実 際 はqui〔ki〕

の段 階 に留 って い るの で、最 初の仮 定 が誤 りであ る ことが分 か る。 従 っ て

QU->k-の 変化 はCi,e>c>tsの 変 化 に加 わ る こ とが出来 ない程遅 く起 こ

った とい う結 論 にな る。

Lausbergの 論 述 をVaananenお よびMenendez Pidalと 比べ て み る と、互

い に共通 す る ものが ある。 それは3者 共 、音 変化 に よって つ くり出 され た「結

果」 に注 目 して い る点 であ る。即 ち、2つ の音変 化A, Bの 時間 的前 後 関係

を考 え る場合 に 、A変 化 の結果 出来 た新 しい音 が、B変 化 に加 わ ったか ど う

か に注 目 し、それ を判断 の拠 り所 に して い る点 であ る。 こ こまで は3者 同 じ

で ある。所 が そ こか ら先 がLausbergと 他 の2人 は違 う。つま り結 論 の表 現 が

違 うので ある。 これ を原 文(た だ し、Lausbergの それ は西訳 文)で 見 てみ よ

う。

(Vaananen)•cmais le pronom qui, quid ne survit nulle part avec

kw•cavec une reduction toutefois posterieure a la palatalisation•c

(Introduction, •˜92)

(Menendez Pidal) La fricacion y perdida de la consonante sonora

es anterior a la sonorizacion de la oclusiva sorda•c(Manual, •˜41,

4•l)

(Lausberg)•cla reduccion fue tan tardia que no hubo ya lugar para

que la nueva •kk•l (<qu-) participase del 'primer impulso palataliza-

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dor'(latin Ci,e>c>ts>…(Ling. romanica, I, §345)

Vaananenはreduction「 音縮 小」 がpalatalisation「 口蓋 化」 よ り後 に起

こ った とい う表 現 を して いる し、Menendez PidalもPerdida「 音消 失」 が

sonorizacion「 有声化」 よ り先 に起 こった とい ういい方 を して い る。 両者 の

共通 点 は、それぞ れの音変 化 を「点」と して捉 えて い るこ とで あ る。いいか えれ

ば、2つ の音 変化 を比 べ る場 合 に、それぞれ の変化 に要 す る時 間的 な 「長 さ」

を考 慮 す る必 要 はない と考 えてい る点で あ る。Lausbergは 、これ に対 して、

それ ぞれの音変 化 に はその開 始時 と終了 時 との間 に時間 的長 さが あ り、 それ

が2つ の音変 化 を比 べ る場合 に重要 な要 素 とな る と考 えて いる。彼 は結論 に

おいて 、reduccion「 音縮小」がpalatalizacion「 口蓋化」よ り遅 く起 こった

というよ うな単純 ないい方 を して いない。「音縮小」 の結果 新 しいk音 が出 来

た時期 、即 ち、QU->k-の 変 化 の終 了時 と、k音 が 「第1次 の 口蓋化」に加

わ るこ とが 出来 た時 期、 即 ち、Ci,e>c>tsの 変 化の開 始時 に注 目 し、この

2つ を比 べ る形 で結 論 を述べ て い る。

ここで音変化 の時 間的 関係 を一つ の比 喩で考 えてみ たい。今 ここにA駅 か

らB駅 に向か う列車T1が あ り、また一方B駅 か らC駅 に向か う列車T2が あ

る としよ う。

この2つ の列車 の発 着時 間の前 後関 係 につ いて はいろ いろ な組 合 わせが考 え

られ るが 、 こ こで は一応 次の5つ の場合 に分 けて考 えてみ よ う。

1) T1列 車 が先 にA駅 を発車 し、B駅 に到着 した後、T2列 車 がB駅 を発

車 す る場 合 。

2) T1列 車 が先 にA駅 を発車 し、B駅 に向 か ってい る時 に 、T2列 車 がB

駅 を発車 す る場合 。

3) T1列 車 とT2列 車 が 同時 にそれ ぞれA駅 およ びB駅 を発車 す る場 合 。

4) T2列 車 が先 にB駅 を発車 し、C駅 に向 か って い る時 に 、T1列 車 がA

駅 を発 車す る場 合。

5) T2列 車 が先 にB駅 を発車 し、C駅 に到着 した後 、T1列 車 がA駅 を発

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車す る場合 。

この5つ の場合 の中 でT1列 車 の乗 客がT2列 車 に乗 り継 ぐことが 出来 るの

は1)だ けであ る。2),3),4),5)の 場 合 はいずれ もこれが出来 な い。Lausberg

の論 述 を この比 喩 に当て はめれ ば、QU->k-の 変 化 はT1列 車 、Ci,e>c>

tsの 変 化 はT2列 車 に相 当す る。T1列 車 の乗 客がB駅 に着い た時 にはT2列

車 はす で に発 車 してお り、乗 り継 ぎが出来 なか った とい って い るに等 しい か

ら、Lausbergの 結論 は1)以 外 の場 合 に相 当す る。 それ では2),3),4),5)の

いず れに相 当す るか とい えば、その ことについ ては彼 は何 も言 及 して いな い。

ここを正 しく理解 しな けれ ばい けな い。 こ こで列車 の比 喩 を もとの 音変 化 の

言葉 に もどしてみ よ う。

《2つ の音 変化 の時間 的関係 を示 す5段 階基 準》

C1:QU->k-が 終 了 した後 、Ci,e>c>tsが 始 ま る。

C2:QU->k-が 始 ま り、 その変化 の進行 中 にCi,e>c>tsが 始 まる。

C3:QU->k-とCi,e>c>tsの 変 化 が同時 に始 ま る。

C4:Ci,e>c>tsが 始 ま り、 その変化 の進行 中 にQU ->k-が 始 ま る。

C5:Ci,e>c>tsが 終 了 した後QU->k-が 始 まる。

この5段 階基 準で はC1とC5 , C2とC4が そ れぞれ対 極 の位置 にあ る。そ こ

で、LausbergがC1を 否定 しているか らといって、彼の主張がその反対の極の

C5で あ る と即断 してはいけない。C1を 否定 す る ことはC2, C3, C4, C5の す

べ ての可能 性 を肯定 す るこ とで ある。

所 でVaananenは 「無条件」にQU-の 唇音 消失 がCi,eの 口蓋 化 よ り後 に起

こった とい ってい るから、 彼の結論 はC5に相 当す る。 これ をLausbergと

比較 す る と次の よ うにな る。

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従 って、 両者 の意見 は共通 部 分が あ るが、互 いに 「等 値」 で はない。

§4. 構造 派 の理論

Alarcos Llorach: Fonologia espanola,第1部 第8章La fonologia

diacronicaに は構造 派 の通時 音韻論 の基 本的 な考 え方が紹 介 されて い るので

それ を見 てみ よ う。

構造 主義 の立場 で は、一 つ の音素体 系 の中 にあ る各 音素 、 または音 素連 続

(以下 簡単 に音 素 とい う)は 互 い に均衡 を保 ちなが らそれ ぞれの 位置 を占 め

て いる と考 える。今何 らかの原 因で一 つの音 素 が音変 化 を起 こ し始 めた とす

ると、その変 化 はそれ だ けに留 らず、 隣接の 音素 に影響 を与 えることがある。

こ うして一 つの音 変化 が他 の音変 化 を誘発 す る。 この点 に注 目す るこ とが構

造 派の通 時音 韻論 の出発 点 とな る。

今仮 に一つ の音 素体系 の 中で均 衡 を保 ちなが ら互 いに隣接 す る3つ の異 っ

た音素A, B, Cが あ るとす る。 音変化 が起 こってBの 実現形 がCの それ に

近 づ くとCに 対 してBの 圧力 が加 わ り、Cの 領 域 が脅 か され る。 この時Cが

Bと 混同 されず 、音 素体 系内 での均 衡 を保 ち続 けるた めに は、CはBか ら遠

ざか る方 向 に移動 しな ければ な らない。 この一連 の 動 きを図 で表 わせ ば次 の

よ うにな る。

一 方BがCに 向 けて移動 した結果 、AとBの 間 に調 音上 の(そ して また聴 覚

上 の)す き間 が 出来 た とす ると、Aは その ままの位置 に留 るこ と もあ るが 、

新 し く出来 たす き間 に移動 す る こと もあ り得 る。移動 す る場 合 を図 で表 わせ

ば次 の よ うにな る。

この2種 類の 音推 移の 中、前 者 は、「押 す力」に よ って起 こ され た もの で あ り

後者 は 「引 く力」 に よ って起 こ され た もの で ある。Martinetは 互 いに関連

して動 く2つ 以上 の音変 化 の全体 を 「連 鎖」(chaine)と 呼 び、「押 す力」によ

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って動 く連 鎖 を 「推進 力連 鎖」(chaine de propulsion)、 「引 く力」 によ って

動 く連 鎖 を 「牽 引 力連 鎖」(chaine de traction)と 呼 んで い る。9)この2種 類

の連 鎖が組 合わ さるこ と もあ る。 その場合 を図 で示せ ば次 の よ うにな る。

この連 鎖の モデル では、一連 の音 変化 の起点 はB→Cの 変 化 にあ る。 しか し

一般 に実 際の音 変化 の連鎖 で は この起点 を見 つ け出す ことは容易 では な い。

時 には それ ぞれの音変 化 の時期 が分か って いて、変化 の順序 が明 か に され る

場合 が あ る。「しか し音韻論 的 にはこれ らの系 列の音変 化の どれが最 初 に起 こ

り、 どれ が最 後 に起 こったか を決 め るこ とは困難 で あ る。 なぜ な ら、 それ は

相互作 用 、体 系 内に おけ る相 互連繋 に よ って起 こされ た ものだか らであ る。」

以上 は一般 論 であ る。 次 に問題 のQU->k-の 変 化 とCi,eの 口蓋 化 との関

係 についてAlarcos Llorach, Martinet,原 の3者 の意 見 を見て み よ う。

§4.1 Alarcos Llorachの 意 見

彼 は問 題の音 変化 につ いてFonologia,第II部 第9章 「スペ イ ン語 通時 音 韻

論」,§148で 次 の よ うに述べ て い る。「子 音に接 す る半 母音 〔w〕の弱化 現 象

につい てはす でに述べ た。/qw/10)の 組 み合 わせで は(い くつか の例外 を除

き)こ の現 象が一 般的 で あった。このた め、例 えば古典 ラテ ン語 のque, ce11)

のよ うな2つ の音節 は区別 されな くなる恐 れがあった。そ こで/que, qui/の

〔w〕音の 消失が進 行 し、〔ke, ki〕に変化 しよ うとして いる時 に、古 くか らあ

った/ke, ki/は 調音点 を前 に寄せ て 〔ke, ki〕 に変 り、更 に完 全 な硬 口蓋 音

に変化 しよ うとしていた。 その ため、一 方で は また、/kj/の 硬 口蓋 音 と して

の実 現 を脅か して いた。従 って 、次の よ うな連 鎖 反応 が起 こ る。」(こ の後 に、

上 記 §1で 示 した音変 化の説 明図 が続 くが 、 こ こで は省略 す る。)

さて、 この引用 文 を原 文 で見 る とAlarcos Llorachの きめ 細 かい配 慮 が

よ く分 か る。音 声記号 と音 素記号 の使 い分 け、お よび動 詞の 時制 に注 目 して

見 たい。

"…cuando/que, qui/van perdiendo su〔w〕 y realizandose 〔ke, ki〕,

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los antiguos/ke, ki/desarrollaron su articulacion mas delantera

〔ke, ki〕…"

これ を先 に示 した列 車の比 喩 でい えば、T1列 車(QU->k-)がA駅 を 発 車

し、B駅 に向 か ってい る時 に(進 行形)、T2列 車(Ci,e>c>ts)はB駅 を発

車 し、 目 ざすC駅 の手前 に あ るB'駅(kの 段 階)に さしかか った(不 定過 法)

こ とに な る。従 って、先 程の5段 階基準 でい えばAlarcos Llorachの 結 論

はC2に 相 当す る。つ ま りQU->k-の 変化 が先 ず起 こ り始 め、それ が進行 し

て い る時 にCi,e>c>tsの 変化 が始 ま った とい う意見 で ある。これ はLaus-

bergの 意 見 と 「等 値」で はな いが、両者 には共通部 分 があ る。

所 でAlarcos Llarachの 結 論 が 出 て来 る根拠 は どこに あるのだ ろ うか 。

-PP-(1)-p(2)-b-(3)-b-のい わ ゆ る軟 音 化 現象 につ いて は、彼は 「入

手 出来 る資料」 か ら判断 すれ ば、(3)-b>-b-, (2)-p->-b-, (1)-PP->

-p-の順 序 で起 こった ことが分 か ると述べ て い る。12)それ では(1)QU->k-と

(1)Ci,e>c>tsの 両変 化 の開始 時期 を比べ た場合 、その順 序が軟 音化現 象 と

は逆 に(1),(2)と な る理 由 は何 か。その ことにつ いての説明 がな い。 な る程彼

はCi,eの 口蓋 化 を示す証 拠 として、い くつ かの碑文 に見 られ る語 形―in-

tcitamento<INCITAMENTIJM, dissesit<DISCESSIT, sussitabit<

SUSCITABIT― を あげてお り、 この種の形 が文献 に現 われ るの は5世 紀

以 後 だ と して い る。13)しか し、一方 のQU-の 唇 音 消失 の時 期 を示 す証拠(相

対年 代 で はな く、絶 対年代 を示 す証拠)を 彼 は示 して いない。14)従って、QU-

の唇 音 消失 の開始時 期 がCi,eの 口蓋 化の 開始時 期 よ り先 で あった とい う考 え

は、一つ の仮説 と して理解 すべ き もので あ り、確 実 に証 明 された事実 として

受 け とるべ きでは ない。

§4.2 A. Martinetの 論 述

原74, I)で 引 用 されて い るEconomie, §2.29の 要 点 を整 理 して み よ

う。Martinetは イ タ リア語 にお け る次の音変 化 を一つ の連 鎖 と して考 えて

い る。

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本 稿で問 題 に して い る音変化 は上 図 の左 か ら2項 め以下 に相 当す る。 所 で

Martinetは これ がki→ciを 起点 とす る 「牽 引力連 鎖」 であ ると考 え るこ

と も出来 るが 、 しか し同様 に またkui→kwiを 起点 とす る 「推進 力連鎖 」

と考 える こと も可 能 であ る とい って いる。全体 の ニ ュア ンスか らは、彼 の考

えが 「推進 力連鎖」 の方 に傾 い てい るこ とを感 じさせ るが、客観 的 にはや は

り2つ の可能 性 を認 めてい る。 これが第1の ポ イン トで ある。次 に彼 は フ ラ

ンス語 で は歴 史的事 情 が これ とは違 うこ とを述べ て い る。つ ま りフラ ンス語

で は ラテン語 の/ki/の 口蓋 化が/kwi, kui/の 唇 音消失 よ り先 に始 ま った こ

とを示 す証拠 が あ るとい って い る。 第3に/ki/の 口蓋化 の原 因 が ロマ ニ

ア全域 ですべ て同 じであ った と考 えな ければ な らな い理 由は ど こに もない と

つ け加 えて いる。従 って、Martinetの イタリア語 や フ ランス語 に関す る論 述

か らスペ イン語 の問題 を類 推す る こ とは出来 な い。Martinetは ここで スペ

イ ン語 に関 して は、 直接 的 に も間接 的 に も一 切言及 してい ない ので あ る。

§4.3 原氏 の意 見

彼 の 「QU->k-はCi,e>c>tsよ り以 前 に起 こった」とい う言葉 を文 字通

り解 釈すれ ば、その主張 は5段 階基 準のC1に 相 当す る。つ ま りQU->k-が

終 了 した後 、Ci,eの 口蓋化 が始 まった とい う意味 にな る。 しか しそ うだ とす

るとそれ はAlarcos Llorachの 考 え とは相容 れ ない。原氏 自身 はAlarcos

Llorachと 同意見 だ とい って い るので、 そ こに くい違 いが あ る。原74で はそ

の点 が不 明確 なの で、3年 前私 は原氏 に手紙 で質 問 し、 その返 事 を頂 いた 。

その内容 はお お よそ次 の よ うな もの であ る。

(原氏 に対す る質 問の要点)

もしLausbergの 論 述が誤 りな らば 、 彼 の結論 の部 分 は次 の よ うに訂 正 さ

れ な けれ ばな らない。即 ち、「QU->k-の 変化 は、それによ って新 し く出来 た

kがCi,e>c>tsの 変 化 に加 わることとが 出来 る程早 く起 こった」 と。 しか

しこの論理 で行 くと、例 えばス ペイ ン語のquien (<QUEM)の 語 頭音 は こ

の段階 に留 らず、更 にk->t∫->ts->θ-と 変 化 し、現 在 で は この語 は*cien

〔θjen〕のよ うな形 になっているはずであるが、そ うな らなか ったの は何 故 か 。

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(原 氏 の答 の要点)

quienの 例 は私(原 氏)の 考 え方 で は説明 出来 ない。Alarcos Llorach

に質問 してみ たい所 で あ る。今 の と ころ 「例外」 と考 えて お きたい。私 は例

外 を認 め ない程 こち こちの構造 主義者 で はな い。

これで明 か なよ うに、原 氏 の意見 はや は りC1に 相当 す る。従 ってAlarcos

Llorachと 同意 見 ではな い。C1を 肯定 す る ことはQU->k-の 変 化 が 終了

し、新 しいkが 出来 た後 、Ci,eの 口蓋 化 が始 ま った と考 え るこ とで あ る。従

って 、そ こか ら出て来 る当然 の帰 結 としてQU->k->t∫->ts->θ-の 一連

の変化 を認 め る ことにな る。 そ うな るとquien〔kjen〕 の 例 は 口蓋 化 を経 て

いな い例外 的 な形 と考 え ざるを得な くな る。これ はAlarcos Llorachの 考

えとは全 く別物 で あ る。彼 は音 変化 の開始 時期 こそQU->k-がCi,e>c>

tsよ り先 だ と して い るが、 そ の後 この両変 化 は同時 に進 行 し た と い っ て い

る。従 ってquienの 語頭 音k-が 口蓋化 しないの は当然 だ と考 えてい るはず で

あ る。もし彼 に何故quienが*cienに な らなか ったか と質問 すれ ば、恐 ら く彼

は 自分 の論述 をよ く読 め ばそん な質問 が出 るはずはないと答 えるに違 いな い。

古典 ラテ ン語 のQU-に 由来 す る形 としてはcincoの よ うな場合 が例 外 で、

quien<QUEM, quiero<QUAERO, quince<QUINDECIM, quinon<

QUINICONE, etc.の 場 合 はむ しろ規則 的変 化 と見 るのが 、それ こそ 「スペ イ

ン語史 の常識」 では ないだ ろ うか。C1を 肯 定 す る人 は普通 い ない はずで あ

る。

§5. 音 変化 の 因果関係 につい て

体 系 内での 一つ の音変 化 が他 の音変 化 を誘発 し、2つ 以上 の音 変化 が互 い

に関連 を持 ちな が ら進 行す るとい う考 え方 を初 めて明 確な形 で示 した点 は 構

造派 の功 績 と考 えて よい。 しか しそ の一 般 論 を個 々の ケ ースに応 用 して、音

変化 の因 果関 係 につ いて云 云す る時、 必 しもその根拠 が明確 で ない場合 が あ

る。QU-の 唇 音 消失 とCi,eの 口蓋化 につ いてAlarcos Llorachと 原氏 は前

者 が後者 の原 因 だ とい ってい るけれ ども、QU->k-が 先 に始 ま った ことが

11

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資料 によ って十分 裏付 け られな い限 り、その原 因説 は未 だ証 明 のな い仮説 に

過 ぎない。 今後の新 しい資料 の出 かた によ って は この因 果の 関係 が逆転 し、

Ci,eの 口蓋 化 がQU-の 唇音 消失 の原 因であると訂 正 しな けれ ばな らな いか も

知 れな い。因果 関係 につ いて は、 その根拠 が十 分で あれ ば言及 す るに越 した

こ とは ないが 、 ここで問題 に して い る音変 化 につい ては まだ根拠 が不 十 分 で

あ り、構造 派の人 達 がそれ につ いて発言 してい るか らとい って 、そ れが決 定

的な意 味 を持 つ とは今 の所考 え られ ない。

§6. 結 論

問 題 の 音 変 化 に つ い て 言 及 して い る原,Lausberg, Alarcos Llorach,

Vaananeの4者 につ い て その 結 論 を比 較 す る と次 の よ うに な る。

2つ の音変 化 の時 間的関 係 を示す5段 階基 準の 中、 スペ イ ン語音 韻 史の 事

実 に照 ら して は っ きり否定 出 きるの はC1だ けで あ る。残 りのC2 , C3, C4, C5

についてはそれ を否定 す る明確 な根 拠 が今の 所見 当 らな い。以 上 の2点 か ら

私 は4者 の意 見 を次の よ うに評価 す る。

1) 原氏―C1を 肯定 してい るの で、その主張 はスペ イン語 史の事 実 と矛 盾

す る。

2) Lausberg―C1を 否 定 して い るのは正 しい。 また それ以上 の こ とに言

及 して いな い点 で結 論 が慎重 で あ る。

3) Alarcos Llorach―C1を 否定 してい るの は正 しい が、C3, C4, C5を

否定 す る根拠 を示 して いな い。

4) Vaananen-C1を 否 定 してい るのは正 しいが、C2, C3, C4を 否 定す る

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根拠 を示 して いな い。

以上 に よ り、原74, I)に お け る原氏 のLausberg批 判 は そ の 根拠 を持 た

な い ことが 明か で ある。

《付 記 》

原74を 一読 して目につ くの は、Lausbergに 浴 びせ られ た数 々の痛烈 な言葉

で ある。「全 く開 いた 口がふ さが らな い」 「とんで もな い誤 りであ る」 「(La-

usbergが)ス ペ イ ン語 史のみ な らず ラテ ン語 史 を もいか に知 らない かが よ く

分 か る」 とい った批 評 が出来 るの は、原氏 の研 究 に対 す る 自信 の現 われで あ

り、その 権威 を恐 れな い批 判 精神 は多 とすべ きで あろ う。 しか しこれ 程の酷

評 をす る以上 、批評 者の 側 にはそれ相 応 の根拠 がな けれ ばな らない。原 氏 の

あげた問題 点 の全部 を検討 した訳 ではな いが、 その一 部 につい て私が調 べ た

結果 か ら判断す る と、原氏 に は文献 の誤読 がか な りあ ると思 われ る。 もし文

献 を正 し く読 めば、原74の 批判点 の幾 つか は意 味 をな さな くな って しま うと

私 は考 えてい る。1例 をあげて み よ う。

(原74, p.6、 下 か ら13行 目以下)

原氏 はLausbergが0に 由来す るスペイン語 の2重 母音ueが 「uoの段 階 を

経 て」 出来 た ものであると述 べて い る ことに対 して、「これ は明か に スペ イン

語 史の常識 に反 して いる」 と反論 して い る。 そ して この反論 を支持 す る意 見

と してOrigenes, p.121を 引用 し、Menendez Pidalがuo>ue説 を否定 し

て い ると述 べ てい る。 しか しこれ は誤解 で あ る。Menendez Pidalは この問

題 に関 してはLausbergと 大体 同意 見で あ る。その ことはOrigenesのp.126

を見 れば一 目瞭 然 であ る。そ こには0の2重 母音化 に関 す るMenendez Pi-

dalの 説 が図示 されている。彼 は その図 でweに な る前 の段 階(直 前 の段 階 では

ない が)と してwoの 形 をあ げて い る。原 氏 は この部 分 を見落 して い る。 そ

の た めMenendez PidalがLausbergと は反対 の意 見の 持 ち主 で あるかの よ

うに誤解 して い る。 この場 合「Lausbergの 考 えが ス ペ イン語史 の常識 に反

して い る」 とい う批評 は、 原氏 自身 が 自 らの誤解 の上 につ くり出 した もの さ

13

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しを基準 に してな された もの であ る。

《註》

1. 引 用文中 の音変 化 につ いての大文字 表記 は古典 ラテ ン語 の綴字 を表 わす:

QU=〔kw〕, C=〔k〕.ま た特殊 な音声記号 の音価 は次 の通 りであ る:c=

〔t∫〕,t=〔t∫ 〕よ りや や 後 寄 りの 破 擦 音

2. E. Alarcos Llorach: Fonologia espanola, Madrid, 1965.私 の 参 照

した1974年 版 は これ と同 じ内 容 。

3,4. 音 声記 号 は 筆 者 。

5,6,7,8.()内 は筆 者 。

9. この 部 分 に つ いて はA. Martinet: Economie, §2.28を 参 照 した 。

10. ラテ ン語 のQUをAlarach Llorachは1音 素 と考 え、/qw/で 表 わ し て

い る 。

11. que=〔kwe〕,ce=〔ke〕

12. Fonologia, §150.

13. (1)Alarcos Llorachの 示 した 例 はす べ てMenendez Pidal: Manual,

§34,2〕 に 出 て い るが 、Manualに は 更 に383年 の 例 と してINPAθE

(<PACE)の 形 が 示 され て い る。

(2)こ の 口蓋 化 の 時 期 に つ い て は 、3世 紀 説 、5世 紀 説 等 が あ る が 、R.

Lapesaは それ らの 説 を1つ に ま と め た 柔 軟 な意 見 を 出 し て い る。即 ち 、彼

は 碑 文 の 例 か ら見 て 、 そ の 始 ま りは3世 紀 末 と しな が ら も、 西 ゴ ー ト系 の

個 有 名 詞 のk音 が この 口蓋 化 に 間 に 合 っ て い る こ とか ら、6世 紀 に は そ れ

が 未 だ 終 了 し て い な か っ た と見 て い る 。(Historia , pp. 57-58 & pp.

90-91参 照)

14. 有 名 なAppendix Probi(6~7行 目)の 例COQUENS NON CO-

SENS, COQUI NON COCIが あ る が 、 こ れ は 語 中 で 、 しか も特 殊 な

例 で あ る 。 これ らは 一 般 のQUに 先 が け て唇 音 を 消 失 し、 口 蓋 化 に も間 に

合 って い る。 そ して 現 在 で は 歯 間 音 〔θ〕に な って い る。 例:coger(<CO-

QUERE), cocina(<COQUINA).

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15. c=〔t∫ 〕

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