森林・林業でのQgisの利用とオープンデータ（北海道の事例）2018.1.17地理情報利用シンポジウム...

森林・林業でのQGISの利用とオープンデータ（北海道の事例）

北海道後志総合振興局森林室　喜多　耕一

2018.1.17地理情報利用シンポジウム

しりべしそうごうしんこうきょくしんりんしつ

自己紹介

名前：喜多　耕一

職業：北海道職員（林業技術職員）

後志総合振興局森林室しりべしそうごうしんこうきょくしんりんしつ


自己紹介

どんな仕事してんの？

森林室は北海道の所有する森林（道有林）の管理を行う職場です。私は森林土木（治山・林道）を担当しています。


北海道の森林


北海道の森林

国有林

道有林

民有林


北海道の森林

国有林

道有林

民有林


後志総合振興局森林室の管理区

2018.1.17地理情報利用シンポジウムmap data © OpenStreetMap contributors

2018.1.17地理情報利用シンポジウムmap data © OpenStreetMap contributors

ニセコ

倶知安町市街

羊蹄山


倶知安町市街

羊蹄山

今日話すこと

● QGISとは

● 北海道森林室でQGISを使うようになった経緯

● QGISの利用と普及の課題

● GISはデータが大事！！

● 北海道のオープンデータ

● CS立体図の作成と利用


なぜ私がQGISのことを話しているか？



職場でArcGISの研修を受けたことを

きっかけにGISにハマり、

自分でQGISを勉強して仕事に利用していました

当時はQGISのバージョンは

1.5とか


職場で使えたQGISのテクニックや、使い方を

自分のブログで紹介し、

QGISを森林GISとして使う方法のマニュアルも

公開していました


林業専門誌「現代林業」の方が、

これらの活動を知って、インタビューの申し込みがあり、2015年4

月号でインタビュー記事の掲載がありました。


2015年5月号から8月号までは、

QGISを林業で使うための方法を連載しました。


それが好評？だったのか、

単行本化しませんかって話があっ

て、2017年6月に

「業務で使う林業QGIS徹底使いこな

しガイド」

が発売されました！！

ページ数520ページ以上！

一部では「電話帳」と呼ばれてます。


まあ宣伝です！

「全林協」のページ

または「Amazon」で

買えますので、

是非どうぞ。

（本屋にはあまりない・・・）


ということで、

今日はQGISスペシャリストとして話しを

させていただきます。

QGISスペシャリスト登場

現代林業ではこう呼ばれています（恥）

QGISとは


QGISとは、

オープンソースのGIS（地理情報システム）です。

無料で自由に利用できます。


QGISは、

FOSS4G（Free Open Source Software for GeoSpatial）

の一つです。フリーは「自由」ということです！


現在はバージョン2.18が安定版としてリリース

されています。

近々バージョン3がリリースされる予定です。


QGISは、市販GISにも負けない機能と操作性があり、

高度な地図表示と様々な位置情報分析を行えます。



QGISではこんなことができます！

！

樹種ごとや

林齢区分ごとに

色分け分類が

行なえます。


QGISでできること

GPSで記録した

データを地図上に

表示することが

できます。



デジカメ写真の

位置を地図に

表示して、

クリックして

写真を

表示できます



治山施設や

林道施設の

台帳管理を行うこ

とができます。

写真や図面も

一緒に管理でき

ます。



地図を３Dで

表示することがで

きます。



３D表示は

バージョン３では

デフォルトの

機能となって

います。



CS立体図を作るこ

ともできます。




この他にもいろいろなことができます


私の本にもQGISでできることが

たくさん書いてあります！！

なぜ北海道の森林室でQGISを使うようになったか？


北海道の林務部局では

たくさんのGISを使っています


● 民有林森林GIS（ArcGIS）

● 道有林森林GIS（ArcGIS）

● 林道地理情報システム（SIS）

● 治山地理情報システム（SIS）

● 山地災害危険地区システム（応用地質）

たくさんありますね！！

しかし、市販のGISは高価であり、

部局に１～２ライセンス程度しか配置されていません。


そのため、特定の担当者のみがGISを使うように

なりました


もっとGISを使いたい・・・

私は仕事でも独自でQGISを使って、

自分のブログでもQGISの使い方を紹介していました。


私のブログ「森林土木memo」

私がQGISに詳しいということを知った、

当時の本庁の担当者から、森林管理にQGISを

使えないか相談されました。


森林管理にQGISが使えないかなあ？

ぜんぜん使えるんじゃないっすか！

そこで、マニュアルを作ったり、職場研修をしたりして、

QGISを職場で使えるように普及してきました。


マニュアルはブログでも公開

職場研修の様子

今現在のQGISの利用状況


2017年に北海道庁道有林課により、

森林室森林整備担当者に対して、QGISの利用状況を

アンケート調査しました。


アンケート「業務にQGISを活用していますか？」

の結果


※対象職員全員ではなく、アンケートで回答のあった職員の割合です。


およそ60%の職員が活用している！

※対象職員全員ではなく、アンケートで回答のあった職員の割合です。


の結果


森林土木、保安林を除いた森林整備担当のみだと80％が活用している。

※対象職員全員ではなく、アンケートで回答のあった職員の割合です。　森林整備担当者の回答率は70%くらい


の結果

森林整備（育林、販売、調査、計画）担当職員には、

十分浸透しました。


現在では調査委託業務の委託先もQGISを使うようになり、調査

結果をGISデータで受け取っています。


GISデータ

行政：森林室職員民間：調査会社、事業者

図面や調査結果をGISデータでやり取り

調査会社や事業者向けにもQGISの研修を行っています。


QGISの利用と普及の課題



職員の理解不足

QGISを利用する職員は増えたが、

きちんとした効率的な操作が行えているか

疑問・・・。

GISについてよく理解しないで、

独自の操作を行っている職員も多いと

思います。



各職員が好き勝手いじるので、

GISデータの最新データがどれか

わからなくなっている部局も多い。

データ管理方法のルールづくりが必要。



職員の理解を上げるために研修会などを

行いたいが、研修資料の作成なども

大変な作業となります。


そこで、私の本を利用してほしいと思っていま

す。

十分研修資料となるように作っています。



自治体のインターネット分離


昨年から地方自治体の職員パソコンが、

インターネットから分離されました。



GoogleMapなどのインターネット経由の地図が利用

できなくなりました。


インターネットが利用できれば、QGISにGoogleMapを表示できます。


ソフトウエアの更新やプラグインの

インストールにも影響が出ています。


めっちゃ使いづれー


治山林道（森林土木）担当者の

GIS利用が少ない

森林土木担当者のGISの利用が少ないと思います。

現在は、専用GISで台帳の補足データとして、

位置を記録するだけで、データ分析や地形確認などに

使われていません。

これからは、山地災害危険地区、個別施設計画などで

GISを利用できる場面はたくさんあります。


治山林道（森林土木）担当者のGIS利用が少ない

インターネットで様々な地図データを無償で使える様になった

今だからこそ、森林土木でGISを使用するべき。


シームレス地質図地すべり位置図


GISのデータは現場でも利用できます。

明日、現場で使うスマホ用アプリ「Geopaparazzi」

でもGISデータを利用できます。



治山施設の台帳管理も

QGISで行うといいと思っていま

す。

CAD図面をトレースできるし、

写真や図面データも連携して

管理することが可能です。


QGISで治山施設を表示した画面


北海道の治山地図情報システムも、

運用から１０年以上経過して、かなり古くなっているので、QGISで

運用できないか提案中です。


SISベースで、UIがかなり古い。分析もできないし、図形も書きづらい

現在北海道で利用している治山地図情報システム


今の治山地図情報システムでは、

年度末にまとめて入力するので、一人で入力しなければならず、

業務多忙で後回しになっています。

実際、北海道の部局では10年以上入力されていない部局もあ

り、場所がわからなくなってしまっていたりします。


もうやりたくない・・・


QGISで治山GISを運用すると、

治山工事などの完成後、監督員がQGISに

治山施設の位置を入力することで、停滞無く、正確に

入力することができると考えています。



QGISなら、自分の机で入力可能

GISはデータが大事！


自治体が利用するGISは汎用データを

使えるようにするべき


なぜか？

自治体が利用するGISは汎用データを

使えるようにするべき


なぜか？

独自データだと、システムが使えなくなる

と、データも使えなくなる・・・

北海道の林務部局では

たくさんのGISを使っています


● 民有林森林GIS（ArcGIS）

● 道有林森林GIS（ArcGIS）

● 林道地理情報システム（SIS）

● 治山地理情報システム（SIS）

● 山地災害危険地区システム（応用地質）

独自のデータ形式

QGISだと、だいたいの汎用データを利

用できます。


シェープファイルには色々問題がありますが・・・

GISはせっかく作ったデータが

一番大事！！

データが使えなくなるとか

ありえない！


商用システムでも、汎用データの

読み書きはできるようにして

もらうことが重要です。


は最適なGIS

そういう意味では


みなさん、ご一緒に！

「GISはデータが大事です！」

FOSS4G Tokaiでの竹島さん（中部大学）のパクリです・・・

北海道のオープンデータ


オープンデータとは

国や自治体の持つデータを、二次利用できるライセンスで公開

すること。

データは機械判読可能な形式であることが望ましい。


オープンデータとは

国や自治体の持つデータを、二次利用できるライセンスで公開

すること。

データは機械判読可能な形式であることが望ましい。


このマークはクリエイティブ・コモンズといい、二次利用できるライセンスだよというマークです。なので、この資料はオープンデータです。

機械判読可能なデータとは

PDFやJpegなどの画像データではなく、

CSVやXMLなどプログラムで簡単に利用できる

ファイル形式のこと。

Excelでも、セルの結合などしていない、

単純な表形式ならOK。


機械判読可能なデータとは（GISデータ）

GISデータの場合、

GISで利用できる元データ（シェープファイル、GeoJson、

KMLなど）が機械判読可能なデータ。


官民データ活用推進基本法


2017年に施行された法律で、

官民が持つデータを国民が広く使えるようにしましょうという

法律です。

官民データ活用推進基本法


地方自治体は、この法律に基づき、

データ活用の推進に関する基本計画をたてて、

データ活用を進める必要があります。

北海道も計画を立てて、現在、意見募集中です。

北海道のオープンデータの取組


北海道の林務では、2016年から

一般民有林、道有林の森林情報の

GISデータ（小班、森林簿など）をオー

プンデータで公開しています。

※北海道の他には、静岡県、群馬県

などでオープンデータになってます。


北海道では土砂災害危険箇所などは、

Jpegなどの画像データはホームページ

で公開されていますが、

オープンデータではありません。

※しかも管理部ごとに仕様が違う（涙）


一方、防災データはあまりオープンデータとなっていません。

北海道の山地災害危険地区は、WebGISで公開されていま

すが、オープンデータではありません。


現在の山地災害危険地区マップKa-MapというオープンソースWebGIS

今年度、山地災害危険地区の見直しを行っているので、

データ整理後はオープンデータにできるように

担当者と協議中です。


こんな感じでLeafletで出来ればいいなと企んでいます。

まだ森林情報がオープンデータになっていない、

国有林、各都道府県もぜひ

オープンデータにしていただきたいと思います。


Let'sオープンデータ

ファイルの置き場所がないよ～という方は、

G空間情報センターというプラットフォームがあります。

学官は５TBまで無料！


G空間情報センターでは長野県や静岡県のCS立体図も

公開されています。


国有林、自治体の方々は、

ぜひ森林情報のオープンデータを進めてください。


お願い♡

CS立体図の作成と利用


CS立体図とは、

長野県林業総合センターの戸田氏が

考案した立体的に見える地図表現

地形の凹凸がよく見え、

地形判読が容易になります。


「数値地形データを用いた「微地形図」の作成方法」から引用


私はCS立体図のことを、

知人に教えてもらって

2016年11月に知り、

さっそくブログでQGISでの作り方を

紹介しました。


実は、この数ヶ月前に

某赤い地図の作成方法を説明して

いました。


しかし、中の人に作成方法を

公開しないでほしいと

お願いをされ、記事を削除したばか

りでした。

某赤い地図の中の人

赤い地図の作り方を公開するのをやめてもらえませんか


そんなことがあったので


これはいい！


教えてもらってすぐにブログでQGISでのCS立体図の作り方を公開


紹介していただきありがとうございます。CS立体図は、自由に利用できます！

戸田さんからもメールをいただきました。


作り方の公開も作った地図の公開も自由なんて素晴らしいイイイイイ！


それなら！！


全国のCS立体図を作って公開しよう！


全国のCS立体図を作成しました。

タイル地図ですので、QGISでも簡単に利用することができます

このQRコードでアクセスできます


誰でも自由に利用できます。この地図を使った地図の使いみちも

自由です。個人が作ったオープンデータです。

このQRコードでアクセスできます


国土地理院の標高DEMの5mメッシュを利用しているので、

かなり詳細な地形も確認できます。

有珠山

昭和新山


QGISで地すべり位置図などを重ねることで、

より詳細な地形を確認することが可能です。


北海道でCS立体図は利用している？

？


残念ながら、今は私くらいしか多分使っていません

すみません・・・


しかし、今後様々な場所でCS立体図の存在を宣伝して、北海道の森林土木でも利用できるようにしていきたいと考えています！


「日本CS立体図」のWebサイトには、1年で2000近くの方にアクセスしていただきました。

！


宮崎県の「ひなたGIS」の背景図にも登録してもらいました。


宮崎県の「ひなたGIS」の背景図にも登録してもらいました。

コラボレーションが大事ですね！！


CS立体図を公開したことで、たくさんの方に利用してもらっています。（多分・・・）


みなさんも、ぜひご利用ください。

オフライン地図が必要な方は、相談いただければ提供できます。


QGISの利用も進めていただければと思います。バージョン３は、だいぶ便利になっているようです。


QGISの操作方法ででわからないことがあれば、「QGIS初心者質問グループ」をご利用ください。


私の本もぜひ！

２月には電子書籍版も出る予定です。（値段は同じですが）


ありがとうございました

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