SUN-PVS 太陽光発電ストリング監視システム–°栄電子計測器株式会社 SUN-PVS 太陽光発電ストリング監視システム Ver3 発電量データ収集解析ツール
Q & Ap(uud, 陽子) 電子・陽電子 の対生成 E = mc2 軌跡の曲がり方から...
Transcript of Q & Ap(uud, 陽子) 電子・陽電子 の対生成 E = mc2 軌跡の曲がり方から...
①
Q & A
Q: 超弦理論について以前NHKスペシャルで観て、興味深かったのですが、理解しているかどうかは・・・?授業で扱いますか?
A: 扱いませんが、最後の授業でダークマターの話の中で、関連のある超対称性の話はちらっとします。
・小林誠先生(2008年ノーベル物理学賞)にはお会いしたことがあります。
A:私は学生のとき、特別授業を受けたことがありますが、あまりよく理解できませんでした。
高エネルギー加速器研究機構パンフより転載
物質の階層構造
10-15m
10-14m
10-10m
10-9m
10-18m以下
水の分子
酸素原子
酸素原子核
陽子
クォーク 電子
水素原子
中性子
④
6種のクォーク
電荷
+2/3 e
電荷
-1/3 e
第3世代 t
トップ
b
ボトム
第2世代 c
チャーム
s
ストレンジ
第1世代 u
アップ
d
ダウン
陽子・中性子の構成要素
質量大きい
質量小さい
短寿命で崩壊する
1994年にアメリカのフェルミ加速器研究所のテバトロンという加速器で発見される。
1個で陽子の200倍弱の質量(次回説明)
1977年に発見された質量は陽子の約5倍
1974年に発見された質量は陽子の2倍程度
1970 年、丹生潔(名古屋大)がX粒子(現チャーム)を発見。小林・益川理論(1973年)に影響(4つ目のクォークの存在を確信させた。)
なぜ周期律表のような繰り返し(世代)があるのかまだわかっていない。
㉕
二人とも当時名古屋大
6種のレプトン(電子の仲間)レプトンも、クォークと同じく、点状の粒子で基本粒子だと考えられている。
電荷
-e
電荷
0
第3世代 t-
タウ粒子
nt
タウニュートリノ
第2世代 m-
ミュー粒子
nm
ミューニュートリノ
第1世代 e-
電子
ne
電子ニュートリノ
地上に降ってくる宇宙線はほとんどがミュー粒子質量は電子の
200倍自然放射線の約2割後日解説
質量は電子の10000倍
(陽子の5倍)
ニュートリノの質量はほぼ 0
太陽で発生した ne は、
皆さんの体を1秒間に数百兆個突き抜けている。
後日解説します。
2000年発見
同じく3世代ある。その意味は不明
㉖
短寿命
短寿命
2015年ノーベル物理学賞ニュートリノ振動(nm→nt)梶田隆章、後日解説
たかあき
反粒子
質量が等しく、電荷など正負の属性が逆の粒子
例1:電子(電荷-e)の反粒子は陽電子(電荷 + e )電子の反粒子は特別に陽電子という名前がある。
PET(後で解説)は陽電子と電子の対消滅で発生するガンマ線を利用
例2:陽子の反粒子は反陽子(電荷-e)普通は反・・・という。
反物質
反粒子からなる物質
例1:反水素原子(反陽子と陽電子からなる原子)1995年例2:反ヘリウム原子核(反陽子2個、反中性子2個)2011年
それ以上重い反物質は、まだ発見されていない。
electron positron
Positron Emission Tomography
㉘
電子・陽電子(粒子・反粒子)の対生成
B W-(sss)
L0(uds)
X0(uss)
p(uud, 陽子)
(陽電子)e+
e-
(電子)
g(光子)E = hn
電子・陽電子の対生成
E = mc2
軌跡の曲がり方から電荷と運動量がわかる
×
㉙
B W-(sss)
L0(uds)
X0(uss)
p(uud, 陽子)
電子・陽電子の対生成
E = mc2
軌跡の曲がり方から電荷と運動量がわかる
問題① 右の図で、もう一つ電子・陽電子の対生成を探せ。
問題② どちらが電子でどちらが陽電子か?
問題③ 電子と陽電子ではどちらの運動量が大きいか?
(陽電子)e+
e-
(電子)
×
g(光子)E = hn
電子・陽電子(粒子・反粒子)の対生成㉙
電子・陽電子の対生成
W-(sss)
L0(uds)
X0(uss)
p(uud, 陽子)
g(光子)
電子・陽電子の対生成
E = mc2
軌跡の曲がり方から電荷と運動量がわかる
電子・陽電子の対生成
e-
(電子)
(陽電子)e+
運動量が小さいと曲がりやすい
(陽電子)e+
e-
(電子)
サイクロトロン運動
mv2
r= qvB
mv
qBr =
運動量mvの大きい方が半径も大きい(Bは一定)
(非相対論)
ローレンツ力向心力
電子・陽電子の対生成は、ガンマ線(光子)が、原子核付近の強い電場中で起こる。真空中では起こらない。
㉚
6種の反クォーク(反粒子)質量はクォークと同じ、電荷はクォークの逆
電荷
-2/3 e
電荷
+1/3 e
第3世代 t
反トップ
b
反ボトム
第2世代 c
反チャーム
s
反ストレンジ
第1世代 u
反アップ
d
反ダウン
質量大きい
質量小さい
記号の上に (バー)をつける。
㉛
電荷
+ e
電荷
0
第3世代 t+
反タウ粒子
nt
反タウニュートリノ
第2世代 m+
反ミュー粒子
nm
反ミューニュートリノ
第1世代 e+
陽電子
ne
反電子ニュートリノ
質量大きい
質量小さい
6種の反レプトン(反粒子)質量はレプトンと同じ、電荷はレプトンの逆(ニュートリノはどちらも 0 )
ニュートリノについてはそうなっていないかも
電子等には (バー)を使わず電荷の +で表す
㉜
ハドロン
クォークからできている粒子にはメソンと、陽子や中性子の仲間のバリオンがある
q q
q q q q q q
例①:p+ (ud)
メソンとバリオンをあわせて ハドロン という
例①:陽子 (uud)
例②:反陽子(uud)
例②:p- (du)
meson
Baryon
hadron
反陽子の電荷は-e
㉝
この組み合わせでは、ハドロンは必ず、素電荷の整数倍になる。
(重粒子)
メソン (中間子):クォークと反クォークからできている。
バリオン (重粒子):クォーク3つ、または、反クォーク3つからできている。
(中間子)
読み方:パイプラス,パイマイナス
メソン(中間子)を加えたすべての粒子
B W-(sss)
L0(uds)
X0(uss)
p(uud, 陽子)
e-
(電子)
(陽電子)e+
g(光子)
p- (du)
K- (su)
K+ (us)
K0 (ds)
p- (du)
× 核力で重要な役割(次頁)
㉞
核力核子と核子の間に働く力
核力によって核子同士が結びついて原子核ができている。陽子の陽子の間に働く電磁気力による反発力より強い。核子の大きさ程度まで近づかないと働かない(短距離力)
m ミリ 10-3
mマイクロ10-6
n ナノ 10-9
p ピコ 10-12
f フェムト 10-15
重力と電磁気力は長距離力
陽子と中性子の距離 [fm] 東京大学理学部HPより転載
←湯川の中間子論の予言(青線)
実際の核力(赤点)
問題:重水素( H)の原子核は陽子と中性子からなるが、その距離はいくらか?左の図から読み取れ。
0.6~0.7 fm
( 0.6~0.7×10-15 m)
㉟
21
位置エネルギー(
MeV
)
保存力と位置エネルギー (力学復習)位置エネルギー
U
[MeV
]
位置 x [fm]
保存力 F = -∂U
∂ x
保存力 Fの大きさは位置エネルギー Uの勾配に比例する。向きは、位置エネルギーの小さくなる方向
反発力引力
㊱
(核力)
核力も保存力
核力に位置エネルギーが定義できる
重なるくらい近づくと
湯川の中間子論(1935)
湯川秀樹
湯川は2つの核子(陽子または中性子)が質量をもつ未知の粒子を交換することによって
核力が生じるのではないかと考えた。
時間 p → n + p+
見かけ上、エネルギー保存則を満たさない。(陽子・中性子:940 MeV , p:140 MeV)
p+は本来の静止エネルギーを持っていない。
(仮想粒子、バーチャル粒子)短時間なら不確定性原理より許される。
湯川は中間子を予言し、1947年に発見される。
1949年ノーベル物理学賞( 日本人初 )
時間
②
ud
粒子交換による力(H2+の場合)
H p
p H
電子
水素分子イオンは、電子を交換することで引力が生じ、分子を形成していると
考えることもできる。
パイ中間子を交換することで生じる核力と基本的に同じしくみ。
電子を交換できなくなるほど離れると引力が働かなくなること(短距離力)も同じ
このしくみを理解するには量子力学が必要時間時間
参考書:ファインマン物理学V「量子力学」10章
③
H2+(水素分子イオン):水素分子 H2から電子を一つ取り去ったもの
陽子2個と電子1個からなる系
水素原子
水素原子
陽子
陽子
粒子交換による力の量子力学的説明④
|1> p p
|2> p p
水素原子と陽子が離れていて電子を交換できないとき
どちらのエネルギーも等しい|1> も |2> もエネルギーの固有状態
(引力も斥力も働かない)
水素原子と陽子が近くにいて電子を交換できるとき
|1> も |2> もエネルギーの固有状態でない。互いの混合状態 |I> = (|1>-|2>) , |II> = (|1> + |2>)
がエネルギーの固有状態(時間がたってもそのまま)|I> のエネルギー EI と |II> のエネルギー EII のエネルギーの分離は電子を交換できる確率が大きくなる(近づくほど)大きくなる。
電子
電子
E
陽子間の距離
EI
EII
|I> は斥力
|II> は引力O
近づきすぎると陽子‐陽子が電気的に反発(注)簡単化のため正確でない部分がある。
F =-∂E
∂x
陽子
試験に出ない
不確定性原理のイメージ位置と運動量は同時に決まらない
DxDp >
hはプランク定数 h = 6.626×10-34 J・s
時間とエネルギーは同時に決まらない
DtDE >
電磁波(光子)の場合E = hn = h p = = c
l
運動量の不確定さはないが位置の不確定さは無限大
赤線は前半の波動関数Y
波束
ある波長を中心に有限の波長の範囲での波の重ね合わせ位置と運動量の不確定さ有限
h
4p
h
4p
デルタ関数
位置の不確定さは0運動量の不確定無限大
hnc
h
l
様々な波長の波の
重ね合わせ
位置 位置位置
波長波長
波長l0 l0l0
⑤
0
力学(物理学I)では⑥
x
例:時刻 t = 0 に質量 mのボールを原点から図のように初速度 vで投げた。
z
v
q
時刻 t = 0 のボールの x軸方向の位置と運動量は
x = 0
px = mv sinq
でボールの位置と運動量の不確定さは考えなかったが、実際にはそれらの積は
プランク定数 h程度の不確定さが存在する。ただ、プランク定数 hは6.626×10-34 J・s と
非常に小さいので力学で扱う巨視的な物体は、その位置や運動量の不確定さを無視して全く問題ない。
しかし、その質量が 9×10-31 kg しかない電子のような粒子は、プランク定数程度の不確定さは無視できず、量子力学的な取り扱いが必要となる。
DxDp > h
4p
パイ中間子(p)の静止エネルギーの推定
DtDE = = ≒ 5.7×10-35 [J・s]
パイ中間子の静止エネルギー(エネルギーの不足分)
核力の到達距離 1 fm
を光速で進んだ時にかかる時間
h
4p
6.626×10-34
4p
中間子の名前の由来:陽子・中性子の940 MeV と電子 0.5 MeVの中間の質量を持つため
光速 c = 3×108 m/s
1×10-15 [m]
3×108 [m/s]
≒ 3.3×10-24 [s]
Dt =
核子の大きさ
⑦
p中間子の静止エネルギー:140 MeV
DE = = 5.7×10-35 [J・s]
3.3×10-24 [s]
≒ 1.7×10-11 [J] ≒1.1×108 [eV] = 110 [MeV]
5.7×10-35
Dt
問題:DEを求めよ。
加速器実験
⑧
6種のクォーク
電荷
+2/3 e
電荷
-1/3 e
第3世代 t
トップ
b
ボトム
第2世代 c
チャーム
s
ストレンジ
第1世代 u
アップ
d
ダウン
陽子・中性子の構成要素
質量大きい
質量小さい
短寿命で崩壊する
1994年にアメリカのフェルミ加速器研究所のテバトロンという加速器で発見される。
1個で陽子の200倍弱の質量(次回説明)
1977年に発見された質量は陽子の約5倍
1974年に発見された質量は陽子の2倍程度
1970 年、丹生潔(名古屋大)がX粒子(現チャーム)を発見。小林・益川理論(1973年)に影響(4つ目のクォークの存在を確信させた。)
なぜ周期律表のような繰り返し(世代)があるのかまだわかっていない。
前回の㉕
二人とも当時名古屋大
静止エネルギー(復習)
E0 = m0c2
静止している粒子が持っているエネルギー(力学で勉強したときは、この静止エネルギーを除外して考えている。)
静止エネルギー 静止質量 光速 (3×108 m/s)2.9979・・・
素粒子の話では、質量をこの静止エネルギーで表現することが多い単位は国際単位のJ(ジュール)ではなく
eV (電子ボルト)を用いる。
⑨
クォークの質量(静止エネルギー)重粒子(バリオン)の例
第1世代 u アップ,d ダウン uud (陽子) 938 MeV
udd (中性子) 939 MeV
第2世代 sストレンジ sud( L0 ) 1116 MeV
cチャーム cud( Lc+ ) 2285 MeV
第3世代 bボトム bud( Lb0 )5624 MeV
t トップ 寿命が短く、他のクォークと結合する前に崩壊。 174000 MeV (174 GeV)
(注)クォークの質量の合計が粒子(ハドロン)の質量に一致するわけではない。クォーク等の運動エネルギーや結合エネルギーも質量に関係している。
例:水素原子の質量は陽子と電子の質量より結合エネルギー(13.6 eV)だけ軽い。
問題:L0→ p + p- エネルギー的に許されることを確かめよ。( pの静止エネルギーは 140 MeV である。)
⑩
崩壊後の静止エネルギーの合計は、938 + 140 = 1078 で 1116 より 38 MeV 小さい。
38 MeV は、崩壊後の p と pの運動エネルギーとなる(重心系で)。だから、崩壊後の p と pの方向は(実験室系で)異なっている(次のスライド参照)
W-生成の事象で L0→ p + p-を確認
W-(sss)
L0(uds)
X0(uss)
p(uud, 陽子)
e-
(電子)
(陽電子)e+
g(光子)
p- (du)
K- (su)
K+ (us)
⑪
s
p- (du)
崩壊L0→ p + p-
uds uud ud
s u
W-u
d
崩壊
崩壊
K-が泡箱中の原子核と衝突
d du u
L0
p-
p
時間
後で詳しくやります
重いクォークの作り方( t , b , c , s )
電子 陽電子
陽子 反陽子
エネルギー:E エネルギー:E
高エネルギーの粒子同士を正面衝突させる
合計のエネルギー:2E
静止エネルギーで最大 2Eの物質(粒子)を作りだすことができる
E = m0c
2
1-
v << cでは
E≒ m0c2 + m0v
2 + ・・・1
2
v << c では、静止エネルギーを基準( E = 0 )にすると、 E = m0v21
2(力学で勉強した運動エネルギー)
v2
c2
(非相対論的極限)
速度 v
1より小さい
⑫
すべて短寿命 例:L0→ p + p-
静止エネルギーを除外すると、
問題
速度 vが光速 cより十分に小さい時(非相対論的極限)、
E = = m0c2 + m0v
2 となることを示せ。m0c
2
1- v2
c2
1
2
ただし、 |x| << 1 のとき、 (1 + x )n = 1 + nxを用いてもよい。
E = m0c2(1- )-1/2 = m0c
2{1 + (- )(- )} v2
c2
1
2
v2
c2
= m0c2 (1+ ) = m0c
2 + m0v21
2v2
c2
1
2
静止 運動エネルギーエネルギー
⑬
問題:電子と陽電子をそれぞれ同じ電位差で加速して正面衝突させ、陽子と反陽子を生成するためには最低どれだけの電位差が必要か?
ただし、陽子の静止エネルギーを 940 MeVとし、電子と陽電子の静止エネルギーは 0.5 MeV と小さいので無視せよ。
電子 陽電子エネルギー:E エネルギー:E
答:陽子と反陽子を生成するには、最低でも のエネルギーが必要。
衝突させる電子と陽電子のエネルギー Eはそれぞれ 以上でなければならない。
電子,陽電子の電荷の絶対値は であるので、電位差 V0 [V]で加速すると、
それぞれ [J] の運動エネルギーを得る。
このエネルギーを電子ボルトの単位で表現すると [eV] である。
V0 [eV] > 940M [eV] でなくてはならないので、 V0 > 940M (9.4億)
よって、9.4 億 V 以上の電位差で電子,陽電子を加速すれば、陽子・反陽子を生成できる。
必要な電位差の値が、静止エネルギーと同じ値になっている。(電子ボルトを使う理由の一つ)
1880 MeV
940 MeV
e
eV0
V0
⑭
加速器電子や陽子等の荷電粒子を加速する装置
(参考)電子の静止エネルギー 511 keV,陽子の静止エネルギー: 938 MeV
⑮
世界最高エネルギーの加速器:LHC (Large Hadron Collider)6.5 TeV の陽子と6.5 TeV の陽子を衝突。合計 13 TeV
T(テラ) 1012,G(ギガ) 109
M(メガ) 106,k(キロ) 103
全周:27 km
地下トンネルに加速器
真空パイプ陽子が通る
磁場B
ローレンツ力:F = qE+ qv×B電場で加速
磁場で曲げる
磁気力F
(向心力)
超電導コイル
光の速度の99.999999%まで加速容易に曲がらない
⑯
加速のしくみ
ローレンツ力:F = qE + qv×B電場で加速
磁場で曲げる
E
加速する粒子群例:陽子
サーフィン(波乗りの原理)で加速
加速する粒子群例:陽子
電気力による位置エネルギー
波の進行方向
静電場による加速(粒子が入ってきたときだけ)
F
F
⑰
陽子と陽子の衝突の様子を観測する装置組み上げ作業中の様子
人間
巨大な加速器と巨大な測定装置
→膨大なマンパワーと予算が必要
⑱
観測例ヒッグス粒子が生成されたと思われる例
オレンジ色の線は、陽子と陽子の衝突で生成されたたくさんの粒子の秘跡ヒッグス粒子はすぐに崩壊してしまうので、ヒッグス粒子の秘跡は見えないが
ヒッグス粒子が崩壊した娘粒子の秘跡等は観測されている。また、生成されたたくさんの粒子の秘跡の中に、単体のクォークは存在しない。
⑲
クォークは単体では存在しない
電気力
粒子間の距離 r
クォーク間に働く力強い力
クォーク間の距離 r
F ∝1
r2
q q
q q
q q q q
クォークと反クォークを引き離すと次第に位置エネルギーが増大する。
新たにクォーク・反クォーク対を生成した方がエネルギーが小さい
中間子 中間子
重力
面積位置エネルギー
引き伸ばすと・・・
中間子
1 fm 程度までは∝
それ以上:一定
⑳
r = ∞まで積分しても有限
r = ∞まで積分すると発散(位置エネルギー)
1
r2
強い力と「カラー」
電磁気力-電荷強い力- カラー
色(color)
電磁気力における電荷に対応するものは、強い力においては、「カラー」
色の3原色
R
RG
Red
Green
BrueG
B
B
強い力におけるカラーは実際の色とは全く関係ありません
テレビや液晶も・・・
正負の2種
RGBの3種
電磁気力の場合正の電荷と負の電荷合わせると中和
||
電荷 0
強い力の場合R と G と B を合わせると中和
||
色荷 0
(白色)
㉑
色荷(しきか)
問:なぜ、これらの組み合わせしかないのか? qq はなぜダメ?答:全体で白色となる組み合わせはこれらしかないから。
RR GG BB RGB RGB
ハドロン(復習)
クォークからできている粒子には、「メソン」と、陽子や中性子の仲間の「バリオン」
メソン(中間子):クォークと反クォークからできている。
バリオン(重粒子):クォーク3つ、または、反クォーク3つからできている。
q q
q q q q q q
例:p+ (ud)
クォークは単体で取り出せない→色荷は取り出せない。
メソンとバリオンをあわせてハドロンという
例:陽子 (uud)
LHC
Large Hadron Collider㉒
力を媒介する粒子
水素分子イオン 核力 電磁気力 強い力
光子は電荷を持っていないが、グルーオンは色荷を持っている
H p n p e e u u
電子
時間時間
水素原子 陽子中性子 陽子 電子 電子 R G
p- 光子 グルーオン
H p p n e e u u
電磁気力が複雑な形で発現
強い力が複雑な形で発現
RG
㉓
電場磁場
クォーク・レプトンに働く力
クォーク レプトン
u,d,c,s,t,b e,m,t ne,nm,nt
重力 ○ ○ ○
弱い力 ○ ○ ○
電磁力 ○ ○ ×
強い力 ○ × ×
カラー無し 電荷無し
弱い
強い
ニュートリノは弱い力しか作用しない
(重力は弱すぎるので無視)↓
地球をも簡単に素通り
弱い力については後で詳しく勉強します。
㉔
基本的な力は4種類ある。
物理学I,II では、その内の2つを学んだ
宇宙線起源は超新星等後で説明
(1次宇宙線)
陽子90%, a粒子8%
p中間子 K中間子
ud, ud
加速器の衝突点と同じ→
us, us
p中間子やK中間子は、ミュー粒子に崩壊
見た目がシャワーのようなので
(2次宇宙線)
p+u
d
W+ m+
nm
m±
Heの原子核
㉕
宇宙線重イオン
原子核の破片(陽子等)
原子核乾板の顕微鏡画像荷電粒子の飛跡を記録できる特殊な写真フィルム
フィルム中の原子核に衝突
p±等がたくさん生成されている
名古屋大学理学部F研HPより転載
加速器の正面衝突と違い、生成された粒子は前方(重イオンの方向)に集中する
最も軽いハドロン
衝突のエネルギーにより、たくさんの粒子が生成されている。(多重発生)
㉖
6種のレプトン(電子の仲間)レプトンも、クォークと同じく、点状の粒子で基本粒子だと考えられている。
電荷
-e
電荷
0
第3世代 t-
タウ粒子
nt
タウニュートリノ
第2世代 m-
ミュー粒子
nm
ミューニュートリノ
第1世代 e-
電子
ne
電子ニュートリノ
地上に降ってくる宇宙線はほとんどがミュー粒子質量は電子の
200倍自然放射線の約2割
質量は電子の10000倍
(陽子の5倍)
ニュートリノの質量はほぼ 0
太陽で発生した ne は、
皆さんの体を1秒間に数百兆個突き抜けている。
後日解説します。
2000年発見
同じく3世代ある。その意味は不明
㉖
短寿命
短寿命
2015年ノーベル物理学賞ニュートリノ振動(nm→nt)梶田隆章、後日解説
前回の㉖
宇宙線
スパークチェンバー宇宙線(ミュー粒子)等の荷電粒子の飛跡を観察できる機械
高エネルギー加速器研究機構HPより転載
1個/(cm2・min)
飛跡に沿って放電が起こる
実験サーベイ・メータ(放射線測定器)
㉗
放射線の単位は後で勉強します
宇宙線
大気シャワーの発達する上空は地上より遥かに宇宙線が多い
㉘
問題ミュー粒子( m )の寿命t (崩壊するまでの平均時間)は、2.2×10-6秒です。
ミュー粒子がほぼ光速(3×108 m/s)で運動すると、2.2×10-6秒で進む距離は
ct = 3×108×2.2×10-6 = 660 [m]
となる。2次宇宙線の崩壊により上空10000 m 付近で生成されたミュー粒子が地上に到達できるのはなぜか?
ヒント:ミュー粒子の静止エネルギーは約 100 MeV (電子の約 200倍)で、地上に到達するミュー粒子のエネルギーは数 GeV くらいです。
E = m0c
2
1- v2
c2
ミュー粒子のエネルギー Eを 5 GeV とする。
100 MeV
1
1- v2
c2
= 50 (g , ローレンツ因子)
㉙
ミュー粒子の時計の進み方は地上の50分の1である。
宇宙線のフラックス×
E3
宇宙線のエネルギー
一次宇宙線のエネルギー分布宇宙線のフラックス
LHCのエネルギー
1個で1J
陽子中性子
トップクォーク
㉚
ヒッグス粒子
ペタ エクサ ゼタ
超高エネルギー宇宙線のイメージ(参考)
宇宙線の起源
太陽
~109eV
パルサー超新星
活動銀河核(銀河中心の巨大ブラックホール)
起源についてはまだよくわかっていない
陽子やa粒子は荷電粒子なので宇宙に存在する弱い磁場によって曲げられる
ローレンツ力:F = qE+ qv×B
宇宙線の到来方向から起源を探ることができない
ガンマ線(高エネルギー光子)は到来方向からが起源わかる
㉛
スーパー・カミオカンデ
陽子崩壊を探索する目的で建設(陽子の寿命>1034年)
今は、主にニュートリノの観測装置として活躍
神岡鉱山の地下1000mにある
SUPER Kamioka Neutrino Detection Experiment
SUPER Kamioka
Nucleon Decay Experiment核子 崩壊
㉜
40m
水チェレンコフ装置総重量:50000トン
1000 m
スーパー・カミオカンデ
観測の邪魔になる宇宙線(ミュー粒子)は1000 m の岩盤でほとんど止まる
40m
㉝
タンク内には純水で満たされている観測中は天井まで水
たくさん並んでいるのは、光電子増倍管と呼ばれる微弱な光を検出する装置
人間のサイズ
世界で最も純粋な(放射性物質を含んでいない)水?純水は優れた放射線の遮蔽材
スーパー・カミオカンデの内部㉞
光電子増倍管
微弱な光を検出する装置
㉟
ニュートリノの検出原理
稀に起こるニュートリノと電子の散乱を観測
ニュートリノ電子
ニュートリノ
電子は、ほぼニュートリノの方向に散乱される
電子
・散乱された電子は(真空中の)光速に近い速度で運動する。
・電子の速度は水中における光速(光速の屈折率分の1)より速い
・音速以上で運動する物体が衝撃波を発するように
物質中を光速以上で運動する粒子はチェレンコフ光を発する
弱い力で散乱(W や Z を交換)
(他の反応もある)
水の屈折率1.33
㊱