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2014/12/26 1 東京大学 日本語教育センター 増田 真理子 コーパス研究を 教育現場に活かすための課題 日本語の受身を例とし 日本女子大学学術交流・日本女子大学大学院文学研究科主催 日本語文法項目用例文データベース『はごろも』研究会共催 2014年12月20日(土) 公開シンポジウム 「コーパス研究を踏まえた新しい日本語教育にむけて ー何を活かすか、どう活かすか主張 日本語の「受身」を題材に、コーパス研究による成果 を教育現場に活かそうとする場合の課題とその解決を 考察すること (特に初級教育への応用について) 本発表の目的 「どう活かす?」: コーパス研究の成果を活かすた めの望ましい方法は? 「何を活かす?」: コーパス研究による成果の 中で、教育内容に直接活か すべきものは? 主張 そもそも、なぜ「受身」を題材とするのか 「日本語教育文法」改革の議論の中心的項目 「受身」を題材とする理由 初級から受身を外す(or 軽くする)提案: ・初級で教えても、使えるようになるのは上級になってから だから、初級では扱わないほうが、学習者の負担が少なく 効率的。 野田(2005)、山内(2009・必要性が低く、難しい間接受身(+所有受身)は初級から 切り捨てるべき。白川(2005)、田中真理(2005)、 主張 実際、教科書での受身の扱われ方も・・・ だが・・・ 「受身」を題材とする理由 30年間で教材への出現度が大きく低下 50年代 第 870年代 第1490年代 第51位 田中祐輔(2014主張 一方、コーパス調査においては 「受身」を題材とする理由 「受身」は高頻度に出現する項目 ・江田・小西(2008): 「会話」=『男性のことば・職場編』 「小説」=『CD-ROM新潮文庫の100冊』内の5作品 「新書」=『CASTL/』収録の文系・理系各2・森(2011):『現代日本語書き言葉均衡コーパス』 ・岩田(2014『名大会話コーパス』 ・庵(2014『名大会話コーパス』+ CASTL/J』の新書 20冊) 主張 コーパスにおける出現頻度ー1 「受身」を題材とする理由 出現頻度順 3,4級文法項目 江田・小西(2008)より 会話17小説 3位 新書 2位 会話 小説 新書 合計 ている 642 1159 990 2791 のだ 1001 633 150 1784 受身 113 489 956 1558 というN 357 262 682 1301 から(助詞) 206 292 284 782 から(理由)、 300 142 276 718 171 258 262 691 164 170 251 585 ても 82 173 271 526 420 60 5 485

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2014/12/26

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東京大学 日本語教育センター

増田 真理子

コーパス研究を

教育現場に活かすための課題

―日本語の受身を例として―

日本女子大学学術交流・日本女子大学大学院文学研究科主催 日本語文法項目用例文データベース『はごろも』研究会共催 2014年12月20日(土)

公開シンポジウム

「コーパス研究を踏まえた新しい日本語教育にむけて ー何を活かすか、どう活かすか」

主張

● 日本語の「受身」を題材に、コーパス研究による成果

を教育現場に活かそうとする場合の課題とその解決を 考察すること (特に初級教育への応用について)

本発表の目的

「どう活かす?」:

コーパス研究の成果を活かすための望ましい方法は?

「何を活かす?」:

コーパス研究による成果の中で、教育内容に直接活かすべきものは?

主張

● そもそも、なぜ「受身」を題材とするのか

「日本語教育文法」改革の議論の中心的項目

「受身」を題材とする理由

初級から受身を外す(or 軽くする)提案:

・初級で教えても、使えるようになるのは上級になってからだから、初級では扱わないほうが、学習者の負担が少なく効率的。 野田(2005)、山内(2009) ・必要性が低く、難しい間接受身(+所有受身)は初級から 切り捨てるべき。白川(2005)、田中真理(2005)、

主張

● 実際、教科書での受身の扱われ方も・・・

だが・・・

「受身」を題材とする理由

30年間で教材への出現度が大きく低下 50年代 第 8位 70年代 第14位 90年代 第51位 田中祐輔(2014)

主張

● 一方、コーパス調査においては

「受身」を題材とする理由

「受身」は高頻度に出現する項目 ・江田・小西(2008): 「会話」=『男性のことば・職場編』 「小説」=『CD-ROM版 新潮文庫の100冊』内の5作品 「新書」=『CASTL/』収録の文系・理系各2冊 ・森(2011):『現代日本語書き言葉均衡コーパス』 ・岩田(2014) 『名大会話コーパス』 ・庵(2014) 『名大会話コーパス』+ 『CASTL/J』の新書 (20冊)

主張

● コーパスにおける出現頻度ー1

「受身」を題材とする理由

出現頻度順 3,4級文法項目 江田・小西(2008)より 会話17位 小説 3位 新書 2位

会話 小説 新書 合計

ている 642 1159 990 2791

のだ 1001 633 150 1784

受身 113 489 956 1558

というN 357 262 682 1301

から(助詞) 206 292 284 782

から(理由)、 300 142 276 718

と 171 258 262 691

ば 164 170 251 585

ても 82 173 271 526

ね 420 60 5 485

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主張

● コーパスにおける出現頻度ー2

「受身」を題材とする理由

コア文型の出現頻度 岩田(2014)より ( ※書き言葉は、 森(2011)によるもの)

話し言葉(名大C )

書き言葉(国研C)

~のだ 10806 2263 13069

~ている 669 7624 8293

~から、 7953 299 8252

受身 1841 4972 6813

可能動詞 3124 3068 6192

~たら、 3406 584 3990

~と、 2008 1553 3561

~よう(意向) 2522 843 3365

~ようだ 925 2362 3287

~ば 1183 1376 2559

主張

● ユーザーの悩み: 受身の教育のあり方とは?

1)教育において扱うか否か

2)扱うのなら、それは、

・ どんな「ジャンル」「文脈」において

・ どんな「構造」として

・ どんな「意味」を持つものとして

・ どんな「語彙」を使って、

提示すべきだろうか?

日本語教育学会 2014年度春季大会における

「大会委員会企画パネル」でも「受身」が題材に

「受身」を題材とする理由

本発表の 関心の対象

↓ 会話の受身

主張

● 以下、 「受身」について、コーパス研究で明らかに

されてきたことを概観する

検討1 研究成果の概観

3) 意味: 被害性の有無 4) 使用語彙:

受身文に頻出する動詞

1) 使用環境(ジャンル): 書き言葉/話し言葉の違い 2) 文構造:

文内で出現しやすい位置、 必須成分、受身のタイプ

主張

1) 受身の「使用されるジャンル」

1

コーパス研究の成果概観

書き言葉/話し言葉での異なりが大きい 話し言葉:「ヒト(有情)主語中心」「個別的」 書き言葉:「モノ(無情)主語中心」「一般的」 横田(2009)『筑波大学砂川研究室話し言葉コーパス』 (=大学院生の自由会話)と『Castel/J』の新書4冊を使用

庵(2014)『名大会話コーパス』「新書コーパス(20冊)」使用、

c.f. 口語的表現/文語的表現 山下(1997)

主張

ヒト主語の受身 モノ主語の受身 (≓ 「有情/有生物主語」の受身) (≓「無情/無生物主語」の受身)

↓ ↓

話し言葉に多い 書き言葉に多い

確認:「受身」の主語

(わたしは)兄に新しい

PCを使われました。

この病院は昨年建てら

れました。

主張

● 話し言葉/書き言葉における受身使用率の異なり

「受身」を題材とする理由

話し言葉(名大C )

書き言葉(国研C)

計 口頭表現出現率

~のだ 10806 2263 13069 82.7%

~ている 669 7624 8293 8.1%

~から、 7953 299 8252 96.4%

受身 1841 4972 6813 27.0%

可能動詞 3124 3068 6192 50.5%

~たら、 3406 584 3990 85.4%

~と、 2008 1553 3561 56.4%

~よう(意向) 2522 843 3365 74.9%

~ようだ 925 2362 3287 28.1%

~ば 1183 1376 2559 46.2%

口頭表現出現率 27%で、

話し言葉よりも書き言葉でさらに多くの使用

コア文型の出現頻度 岩田(2014)より

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2) 受身の「文構造」① 文内の位置

1

コーパス研究の成果概観

文末以外、または「言いさし」での使用が多い 前田(2011)(「男はつらいよ」シナリオ調査)によると 【文 末】 単文末:15%、複文末:13% 【非文末】 連用節末52%、連体節末:17%、その他:3% →その半数が「て節」の述語(全体の24%) 寅:こんな善意な人々にかこまれて、幸せだな本当にあの娘も。

(前田2011より)

→ 教育でも従属節中の「受身形+て、~」重視を提案 庵(2014)でも「~て。」の言いさしの多用を指摘

主張

2) 受身の「文構造」② 文内の格成分の顕在化

コーパス研究の成果概観

文中に、主語や、「二格」成分を欠いたものが多い ・主語:話し言葉=非顕在 (cf.書き言葉=顕在) ・能動文の主語(ニ格でマークされる動作主): 書き言葉、話し言葉ともに、非顕在が普通 庵(2014) (書):実験は(研究者チームによって)行われている。

(話):(花子は)(太郎に)ほめられた。 (述語のみ必須) c.f. 日本語の受身を、能動文からの変換のような統語としてでなく、 形態の問題として見るべき。菊地・増田(2009)

主張

想定される完全文: わたしは、先生に 仕事を たのまれた

会話の受身文:

(わたしは) (先生に)〔仕事を 〔たのまれた〕〕

[tanom-areta]

↑ ↑ ↑ ↑

通常省略 省略可 省略可 【必須】

日本語の受身は「形態素」の受身

確認:「受身」の文の成分 主張

2) 受身の「文構造」③ 「直接/所有/間接受身」

コーパス研究の成果概観

「直接受身」の使用が中心 母語話者:話し言葉の調査(名大C+職場の言葉)では、 「直接受身」以外(所有/間接受身)は稀 庵(2012) ※ ただし、「所有受身」は使用されるとの報告も。 (田中真理2005の絵を用いた調査)

学習者:ほとんどの使用が直接受身 出現も直接受身>間接受身 田中真理(2001) (KYコーパス)

主張

確認:従来の分類

A)

「直接受身」 相当

C)

「間接受身」 相当

B) 「持ち主

の受身」 相当

※ 本発表では、とりあえず、この分類から出発し、 後に修正を加える

主張

A)「直接受身」相当 意味:基本的に「中立」 (動詞によって被害性の有無を決定)

太郎は 先生に しかられました。

「日本語初歩」 (国際交流基金)第31課

わたしは 女の人に 道を聞かれました。 「みんなの日本語 初級Ⅱ」第37課

たけしさんは、メアリーさんに 笑われました。

「げんきⅡ」第21課

1

確認:従来の分類

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主張 B)「持ち主の受身(所有受身)」相当 意味: 「被害」/「中立」(「論文をほめられた」等)

たけしさんは、友だちに 足を踏まれました。

「げんきⅡ」第21課

わたしは 兄にケーキを 食べられてしまいました。

「日本語初級」(国際学友会)21課

わたしは 泥棒に 自転車を 盗まれました。

「実力日本語(下)」 49課

1

確認:従来の分類 主張

C)「間接受身」相当 意味: ほぼ「被害」に偏る みんなに行かれて、困りました。

「日本語初歩」 (国際交流基金)第31課

わたしは、学生に 騒がれて、困りました。 「語学留学生のための日本語Ⅱ」34課

子供の時、飼っていた犬に 死なれました。 「実力日本語(下)」 第50課

ゆうべ帰る時、雨に 降られました。 「文化初級日本語Ⅱ(改訂版)」第31課

1

確認:従来の分類

主張

・ 主語から述語の全成分を具える「完全文」が基本として

・ (完全文同士の)能動文と受動文の対応関係を説明

・ 「直接受身」「持ち主の受身」は、以下のように生成

A)直接受身 B)持ち主の受身

先生は 私を 叱りました。 泥棒は 私の 鞄を とりました。

私は 先生に 叱られました。 私は 泥棒に 鞄を とられました。

・ 「間接受身」は対応する能動文がない

確認:従来の分類の根拠とされる構造 主張 発表者らの考える受身の教育改善

「完全文」同士の構造的対応の説明や変換練習は行わずに、

「能動/受動」の対応は、動詞そのものの形態変化(受身形の

活用)として示す。

先生は 私を 叱りました。 泥棒は 私の 鞄を とりました。

私は 先生に 叱られました。 私は 泥棒に 鞄を とられました。

代わりに、主語や目的語のない短い形式や、複文形式を使って

の練習を、導入時から豊富に行う。

菊地・増田(2009)、前田(2011)、庵(2014)

「受身」の教育改善案

主張

3) 受身の「意味」

1

コーパス研究の成果

会話では、「受影受動文」が多い(全体の75%)

Cf. 書き言葉では、ほとんどが「降格受身文」 ただし、「受影受動文」vs「降格受動文」の出現に関して 学生会話: 82.1% /17.9% 女性会話: 68.0% /30.9% フォーマリティの差? 男性会話: 61.0% /37.0%

横田(2011) 「砂川C+職場C」の調査

→ 会話における受身の使用動機は、 「主体の被った影響の大きさを語ること」 Cf. 受身の使用動機:(被害に限らない)「情意の表出」 定延(2014)

主張

ア)受影受動文・・・影響を受けた被動作主に焦点を当てる

イ)属性受動文・・・主語の属性を表す

例 「この雑誌は若者に読まれている。」

ウ)降格受動文・・・動作主の特定や言及を不問にする

益岡(1987)

ア)受影受動文(昇格受動文) ウ)降格受動文

先生は 私を 叱りました。 (ヒトは) 病院を 昨年 建てました。

昇格 降格

私は 先生に 叱られました。 病院は (ヒトに) 昨年 建てられました。

↑(前景化) ↑(背景化)

確認:その他の意味的な分類

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主張

4) 受身の「語彙」① 「言われる」への集中

1

コーパス研究の成果概観

話し言葉に特徴的な「言われる」の使用 「言われる」が極めて多く出現(全体の23%) 「言葉による伝達に関わる動詞」(聞かれる、ほめられる等)も(12.4%)

・・・ 全体の1/3は「伝達動詞」 → 初級段階の導入、運用練習などで典型として扱うべき

田中道治(2005)(小説10種の調査) 「名大コーパス」でも、同様の結果 (「言われる」は全体の37.1%で、「言語による行為」も多い) (cf. 書き言葉と異なる) 岩田(2014)、庵(2014)

主張

4) 受身の「語彙」① 「言われる」への集中

1

コーパス研究の成果

参考: ・書き言葉でも、話し言葉ほど多くないが「言う」がトップ ・教科書で扱われる動詞は、実際の使用と合致しない 「叱る」159位、「ほめる」212位 「壊す」495位、「踏む」950位 「泣く」1160位、「降る」1490位 中俣(2014)(書き言葉均衡C」の調査)

主張

4) 受身の「語彙」② 「言われる」の伝達目的

1

コーパス研究の成果概観

出現した「言われる」の伝達目的を分類

「伝えられる」相当(19.4%) 病院でたいしたことはないと言われた。

「命令される」相当(14.4%) 必ず返信するように言われた。

「呼ばれる」相当(11.5%) 知らない人に「リカちゃん?」と言われた。

「聞かれる」相当(10.8%) 週末は暇かと言われた。 その他 「イヤミ(8.6%)」「説得(7.9%)」「非難(6.5%)」「ほめ(5.8%)」 「けなし(3.6%)」「説明(3.6%)」「頼み(2.2%)」「勧め(2.2%)」 「干渉/注意/禁止」「誘い」「断り」(ともに0.7%)

→「単なる言葉の伝達」/「指示」・「質問」等の両者の練習を。 田中道治(2005)

主張

4) 受身の「語彙」③ 「言われる」の被害性の有無

1

コーパス研究の成果概観

「マイナスの意味」のものが最多だが、その他も出現 マイナス(57.6%) 例は、すべて田中(2005)からのもの 高校のときお前たちは仕様がないとよく いわれたよ。

プラス(12.2%) (賛辞の後)それは、ほかの人にも 言われたことがあるわ。

中立(30.2%) (割烹着の女性が)連れの人に言われて割烹着を脱いでいました。 人間は考える葦だって 言われていますけど(後略) → 実態に応じたバランスのよい選択が必要 田中(2005)

主張

4) 受身の「語彙」③ 「言われる」の被害性の有無

1

コーパス研究の成果概観

参考: 会話の「直接受身」は、被害性を帯びるものが多いか? 中立/迷惑

A)「砂川コーパス(学生の会話)」: 48.4%/51.6% B)上記A+「職場・男性+女性」 : 32.5%/67.5% C)小説10種のコーパスの「言う」: 42.4%/57.6% A)は横田(2009)、B)は横田(2011)、C)は田中(2005)より

→ 被害性優位だが、大きく異なるとも言えない?

主張

4)受身の「語彙」④ 高頻度語の「フレーズ処理」の提案

1

コーパス研究の成果概観

受身形にすると意味が変わるものがある 例)「見る」/「見られる(=考えられる)」は非対称的

受身形のほうがよく使われる動詞がある 例)「行う」<「行われる」は使用頻度に偏りがある → よく使う受身形式はフレーズとして扱う必要がある 中俣(2014)

ところで、「~と言われた」も同様?

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主張

● 学習目的により、提示する受身のタイプを変更

【読解】 「Aさんの大変な1日!」を読ませたりせず、 モノ主語の受身文を豊富に提示したものがよい 【会話】 とりあえず、次の条件を満たすものと考えられるか 1) 「ヒト主語」(当該人物が受けた大きい影響を語るためのもの) ただし、主語が文内に顕在か否かは重要でない

2) 「直接受身」の構造 3) 「言う」などの伝達動詞を使用した有用表現として 4) 「て形」をとり、文末以外の位置で使用 5) 具体的な文脈をつけて イメージ :「~さんに~と言われて+主節。」を文脈に埋め込む?

コーパス研究の成果を活かした教育とは? 主張 ● 教材例1 最近の教材の練習から

1

教科書の検討

A:Bさん、遅かったね。どうしたの?

B:知らないおばあさんに道を 聞かれたんだ。

うまく説明できなくて、大変だった。

「できる日本語・初中級」p.138 <長所> 具体的なわかりやすい文脈で、「ヒト主語」の「直接受身」 「主語なし文」が「聞かれた」を使って実現されている <惜しい?> Aの発話が誘導するのは迷惑の意味だけだが、「聞かれた」が常に 悪い意味と思われないか? (別冊の単文練習には「私はナタポンさんに旅行に誘われました」

等もあるが・・・)

主張

● 教材例2 最近の教材の練習から

1

教科書の検討

「祖母の思い出」 (前略)祖母は私に昔の遊びをいろいろ 教えてくれました。動物園にも連れていってくれましたし、たくさん本を 読んでくれました。(中略) 祖母はやさしい人でした。でも、しつけにはずごくきびしかったです。はしの持ち方が悪いと 注意されましたし、食べ物を残すと しかられました。(中略)いつも「宿題が終わるまでだめ」と 言われました。(後略)

『J-bridge vol.2』、p.78 <長所> 具体的なわかりやすい文脈で、「ヒト主語」の「直接受身」 の豊富なインプットに触れられる。 <惜しい?> 「いいこと=授受表現」/「悪いこと=受身」という 対比を協調しすぎて、正しい理解を阻む可能性も

主張

・「直接受身」かつ「被害性の強いもの」中心の扱い

・ 能動文との対応は、求めなくなっている傾向

・ 「言語活動」に関わる動詞の扱いは増えており、

それらを使った「フレーズ表現」の扱いが指向される傾向

・ 言語活動に関わる動詞「言う」「聞く」「頼む」などを、特に

被害性を帯びた文脈で示す傾向

・ 受身の被害性の有無については、説明を加えない

・ 被害性を帯びない直接受身については、「ほめる」「誘う」など語彙自体に「好ましさ」があるものを「例外的に」示す

・ モノ主語の受身についてのみ、被害性を消して示す傾向

→ コーパスデータの実状と、必ずしも合っていないのでは?

最近の教科書の傾向

主張

1. テスト① 「言われる」の使用

1

学習者による産出の検討

絵(田中真理2001のイラストを使用) を見て、次の各文の正しさを 「◎〇×?」のいずれかで答える 1)彼が「きれいだね」と言ってくれました。→ × 12人/38人 2)彼に「きれいだね」と言われました。 → × 17人/38人

学生のロジック: 「いいことだから 受身は使えない」

主張

1. テスト② 「言われる」の使用

1

絵を見て、次の各文の正しさを 「◎〇×?」のいずれかで答える (彼女の写真を見せたら) 1)友達が「きれいだね」と言ってくれました。→×8人/38人 2)友達に「きれいだね」と言われました。 →×19人/38人 c.f. 「友達に笑われた」は、不正解者6人のみ 話者自身に

降りかかる 事態でない ため開いた?

学習者による産出の検討

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7

主張

2.文法復習クラスでの産出 (教育現場での実例より)

「他者の発言を伝える」

1

学習者による産出の検討

● A:(Bの溜息を聞いて) Bさん、どうしたんですか。

B:実は、彼女に「さよなら」と言われたんです。

専門の先生に「研究テーマをかえなさい」と言われたんです。

友達に「かっこわるい」と言われたんです。 → これらの練習だけしているというのを聞いて、 被害ばかりに偏った練習に問題はないか・・・という話 になり、新たに被害以外も練習することになったが・・・

主張 2.文法復習クラスでの産出 (教育現場での実例より)

「他者の発言を伝える」

1

学習者による産出の検討

● A: Bさん、うれしそうですね。どうしたんですか。

B: ええ。??妻に、日本に行くと 言われたんです。 → 「うれしいこと」を妻に言われた状況ではあるが、うれしく響かない c.f. 〇〇君に 「好きだ」と言われたんです。 これらは全てOK 先生に 「頑張りましたね」と言われたんです。 先輩に「研究プロジェクトに入ってほしい」と言われたんです。

→ どうして「いい意味の受身文」は作りにくいのか?

学生のロジック: 「妻が言ったことが すごく嬉しかったから “Passive”にしました」

主張

3.会話クラスでの産出 (教育現場での実例より)

「メッセージを伝える」1

学習者による産出の検討

教師A:すみませんが、B先生のところに行って【イベント】に 先生がいらっしゃれるか、聞いてきてくれませんか。 学生:はい。わかりました。 ・・・・ 学生:あの、A先生に、頼まれて きたんですが。 〇月×日の【イベント】にいらっしゃれますか。 教師B:あ、すみません。ちょっと都合が・・・ ・・・・ 学生:A先生、あの、B先生に聞いたんですが、 ?? 「都合が悪くていらっしゃれない」と言われました。 ?? 「出席するけど、30分ぐらい遅れる」と言われました。 (→言って(おっしゃって)いました)

→ なぜ、ここでは受身を使わないほうがよいのか?

学生のロジック:

「よくないことだから“Passive”にしました」

主張

3.会話クラスでの産出 (教育現場での実例より)

「メッセージを伝える」2

学習者による産出の検討

● 学生A: すみませんが、風邪をひいて、今日のクラスを休むので、 先生に伝えてもらえませんか。 学生B: 風邪ですか。大丈夫ですか。 学生A: ええ、でも、病院に行ったら、医者に「家で 寝ててください」って、言われたので。 学生B: そうですか。わかりました。お大事に。 ・・・・ 学生B: 先生、あの、Aさんなんですけど。 ?? 風邪でクラスを休むと言われました (→言っていました)

?? 医者が「寝ててください」と言ったと言われました。 (→言われたと言っていました)

→ なぜ、ここも受身を使わないほうがよいのか?

学生のロジック: 「Aさんは、私に 向けて言ったので、 “Passive”でいいと 思いました」

主張

学習者の「言われる」産出の困難点 まとめ

1

推測されること: 「受身」使用について、次のように考える学習者がいそう 1)「悪いこと」には、いつでも使えるが、「いいこと」には一切使えない 2)「自分に降りかかる影響大の事態」には常に使えるが、 「自分以外に降りかかる事態」には使えない 3)迷惑の意味か否かは「動詞自体の意味」のみによって決定される また、「ほめる」「叱る」のような語彙自体の色づけがない分、 「言われる」の文は、正しく使えているか学習者自身が モニターしにくいという難しさも。 「~と言われる」は結構難しい!

学習者による産出の検討 主張

「言われる」指導の方策を考える①

1

「妻に、日本に行くと言われました。」について これは、「単なる言葉の伝達」/「指示」・「質問」等(田中道治2005) の区分の前者のケース

情報伝達 : 朝の天気予報で、今日は雨は降らないと言われた。 妻に、隣の田中さん、海外転勤よと言われた。 → 上記のケース(話者自身についての話題でない内容の伝達)では、 被害性を帯びやすい。一方、次のような、「話者自身の話題」で あれば、特に迷惑の意味を含まなくても受身が使用できる きのう、占い師に、来年中に結婚すると言われた。 妹に、A子がお兄ちゃんのこと好きだってと言われた。

学習者による産出の検討

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主張

「言われる」指導の方策を考える

1

「妻に、日本に行くと言われました。」について ア) 妹に、A子が自分を好きだと言われた。 イ) 妹に、A子がお兄ちゃんのこと好きだって、と言われた。 → もしA子に好かれて迷惑ならば、アのように表現するほうが、 迷惑感を強められる。それに対し、イは、被害性のみに 特定されない中立的な読みが可能 ・・・・・ i引用節の述べ方で、被害性の伝わり方が変わる

学習者による産出の検討 主張

「言われる」指導の方策を考える

1

「妻に、日本に行くと言われました。」について(続き) 試しに、上述の学習者の例を、それに従って変更してみる 妻に日本に行きたいなぁ/行くからね/行ってもいい? と言われた。

このように、A「メッセージが誰に向けられた内容か」、 B「メッセージ自体が誰に向けて発せられたか」 という、引用節内の「メッセージの2つの方向性」のコントロールが引用節を伴う受身文の「被害性の増減」に関わる。上の変更は上記Bによる。 主語に対する「差し向け感」のある文にすれば、被害性を帯びにくい

学習者による産出の検討

主張

「言われる」指導の方策を考える

1

これらに比べて、 田中道治(2005)の分類の 「単なる言葉の伝達」/ 「指示」・「質問」等の後者にあたる(=相手への働きかけがある)もの、例えば、次のようなもののほうが「言われた」は失敗なく産出できそう

【依頼】: 妻に、帰りにお刺身買ってきて、と言われた。 【質問】: 友達に、つきあってる人いるの?と言われた。

【誘い】: 彼に、週末一緒に食事に行こうと言われた。 → これらの引用節末には、相手への働きかけがすでに含まれていて、 上記A、Bの「メッセージの方向性」の調整が不要だから

学習者による産出の検討 主張

「言われる」指導の方策を考える

引用節のメッセージのA「向かう先」とB「その内容」の 話者との関係の強さ(差し向けの度合) 田中道治(2005)の「言われる」の様々な伝達意図を上記基準で分類 強:(中立) 話者(被動作主)への差し向け度 弱:(迷惑) 話者宛ての行為

学習者による産出の検討

警告、命令、 禁止、説得、

誘い、断り、頼み、勧め、 注意、干渉、

呼びかけ 説明 伝達

ほめ おだて イヤミ けなし 非難

質問 全 行為

他者宛て

本発表の流れ

1

被害性の有無を判断する手がかり

(主語に向かう)相手が必要な行為 単独で完結可能な行為

(身体接触、情報伝達、評価、等) (獲得、占有、持ち出し、移動、等)

動詞の元の意味を踏襲 新たな「被害性」の付加

作 用

行 為

構造解析しなくても、 被害性の判断ができる!

受 影

行 為

本発表の流れ 被害性の有無を判断する手がかり

作 用

行 為

ネズミ: あ~っ、ネコに 食べられる~! 姉:

妹にケーキを 食べられた!

A子: 新商品のチョコを 先に B子に 食べられた!

受 影

行 為

「食べられる」の意味の拡がり

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本発表の流れ

1

「言われる」と被害性の有無

作 用

行 為

行 為

受 影

(自分を) 「かっこいい」って 言われたいなー。 みんなの前で、

弟に自分の秘密を言われた・・・。

あーあ、天気予報で、 今日は晴れるって

言われたんだけどな・・・。

増田(2014)より

動詞自体がニュートラルなので、 引用節内の内容と形式によって、 被害性の程度が変わる! これでは、直接受身も安心して使えない?

「言われる」の拡がり

本発表の流れ

1

「言われる」における被害性の有無

述語動詞の「差し向け度」<高>

「被害性」の付加<無>

被行為者自身についての直接的なメッセージ

作 用

受 影

あの人に「好きだ」って言われたんです。

彼女に「さよなら」って言われたんです。

彼に「結婚しよう」って言われたんです。

先生に「よく頑張ったね」って言われたんです。

本発表の流れ

1

「言われる」における被害性の有無

述語動詞の「差し向け度」<高>

「被害性」の付加<無>

被行為者自身に向かうメッセージ

作 用

受 影

彼女に「日本語を教えてあげる よ」って言われたんです。

妻に「もうすぐ、日本に行く から ね」って言われたんです。

下線の要素らも、メッセージの「宛先」を明確にし

「方向性」を示すのに役立っている。

本発表の流れ

1

被害性の有無の判断基準

述語動詞の「差し向け度」<無>

「被害性」の付加<大> 作 用

受 影

?? 妻に、日本に行くと言われたんです。(嬉しい発話としては不適)

(「日本(=話者の居所)」に向かっての移動であることが、読み込みにくい

→ (被害性を帯びた解釈を求めやすい)従来の「間接受身」相当

妻に「もうすぐ日本に行くからね♪」って言われたんです。

(終助詞等付加→話者への方向性喚起→(被害性を帯びない)「直接受身」相当

主張

「言われる」指導の方策を考える②

1

学習者による産出の検討

(先生は)「【イベントに】いらっしゃれない」と言われました。 「~と言って(おっしゃって)いました」: メッセージ:A「内容」、B「宛先」ともに方向性はない → 自分はあくまでもメッセンジャーで当事者ではない 「~と言われました」: メッセージ:A「自分(ら)宛ての」、B「自分(ら)への内容」 → 自分も「事態の当事者であること」の表明 +欠席に対する当事者としての残念感が漂う 産出者の意図しない意味が伝わる危険性

主張

「言われる」指導の方策を考える③

1

学習者による産出の検討

ア)風邪でクラスを休むと言われました。 イ)医者が「寝ててください」と言ったと言われました。 アは、A)メッセージの受け手=発話者、 前述のケースと B)メッセージ内容=欠席について ・・・同様に受身は× (自分宛でない) イは、A) メッセージの受け手 医者 → 病気で欠席する人 → 話者 「言われた」 「言っていた」 B)メッセージの内容:病気の欠席者のこと

自分に言われたけど、自分へのメッセージではないので 、 受身は不可

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主張

言われる」指導の方策を考える③ (つづき)

1

学習者による産出の検討

「~と言われた」の新たな指導ポイント 「言った」の主体は、約70%が「わたし・あなた」、 「言っていた」の主体は、90%近くが、三人称 ・・・「直接的でない伝聞」「発話者が不明確、不特定な人」 「特定の人の発言をほかして言う」 江田(2013) ならば→「言っていた」/「言われた」の使い分けが重要!

主張

「言われる」指導の方策 まとめ

1

学習者による産出の検討

「直接受身」だけ教えれば、産出には事足りるか? → 少なくとも、「言われる」を重視しようとすると不十分。 「言われた」では「引用節内の内容の示し方」が鍵。 これができないと、意図しない「嫌な気持ち」や「お節介感」が にじんでしまう。 → 特に「言われる」ほかの「伝達動詞」は、動詞内に強い 個性がないので、文脈で意味が変幻自在な分、さらに厄介。 「言われる」による受身学習を推進するには、それに立ち向かう 覚悟がある程度必要そう。「フレーズ」としての扱いに向くのは、 むしろ「ほめられた」「しかられた」などのほうか?

主張

言われる」指導の方策 まとめ

1

学習者による産出の検討

→ 直接受身の被害性を感じる例(叱られる、なぐられる等)だけを 扱うと、受身全般の意味について、学習者にはインパクトの強い 「被害」の意味で、すべてカバーされてしまう恐れあり。 → 「言われる」については、引用節内に明確な、話者に向かう方向性 のある「~しよう/~てほしい/と言われた」「~なきゃと言われた」 などの相手への働きかけを含むものから学習をスタートする。 (その範囲では、被害性判断がそれほど重要にならない。) → その後、「~からねと言われた」「~とかって言われた」など、 「情報提供」にあたる機能の「言われる」の引用節内の調整に ついて学はせることができるとよい。

主張

「言われる」指導の方策 まとめ

1

学習者による産出の検討

→ 一方、 他言語に倣った構造の分類に基づく類型化も無意味。 特に教育では、それに代わる、わかりやすい説明方法 を確立して、これを伝える努力も必要。 (発表者は、行為の「差し向け度」をキーワードに、 説明原理を模索中) → 「言われる」について、引用節内の構造の違いに目を向ける 必要があると気づけたのも、コーパスデータの概観による

ものだったことは(個人的に)感慨深い

主張

● 日本語の「受身」を題材に、コーパス研究による成果

を教育現場に活かそうとする場合の課題とその解決を 考察すること (特に初級教育への応用について)

本発表の目的

「どう活かす?」:

コーパス研究の成果を活かすための望ましい方法は?

「何を活かす?」:

コーパス研究による成果の中で、教育内容に直接活かすべきものは?

主張

● 何を活かしたいか?

まとめ

1) 各項目の重要度

「のだ」「受身」など、高頻度項目とされるものの扱いを真剣に考えていきたい。 2) コーパス間の差異によるジャンル特性

「受身」は「話し言葉」「書き言葉」の違いが顕著な好例。さらに、異なる「書き言葉コーパス」内の比較にも期待。

3) 語彙レベルを超えた、用法レベルでの解析結果を教育に反映させていきたい。

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主張

● どう活かしたいか?

まとめ

1)研究成果を教育に取り入れる際には、使用された コーパスデータの種類を確認し、それぞれの特性を考慮 しながら活かしていきたい。 2)中上級学習者には、コーパスデータ自体を一緒に 観察し、日本語の生の姿を客観的に見つめる授業も 行いたい。 3)データそのものを数量的にだけでなく、質的にも 観察し、項目の意味・機能の抽出に利用したい。

本発表の流れ

庵功雄(2012)「日本語教育文法の現状と課題」、『一橋日本語教育研究』1号、pp.1-12

庵功雄(2014)「日本語母語話者コーパスから見た日本語の受身」『日本語教育学会2014年度春季大会予稿集』pp.21-23

岩田一成(2011)「初級シラバス再考ー教材分析とコーパスデータを基にー」、第9回国際日本語教育・日本研究シンポジウム要旨

岩田一成(2014)「口頭表現出現率から見た文法シラバス」、公開シンポジウム

「シラバス作成を科学にするー日本語教育に役立つ多面的な文法シラバスの作成ー」配布資料、pp.17-26

大関浩美(2014)「日本語学習者コーパスから見た日本語の受身」『日本語教育学会2014年度春季大会予稿集』pp.24-26

小川誉子美、安藤節子(1999)「文法項目の段階的シラバス化ー受身の場合ー」、『世界の日本語教育』第9号、pp.1-13

1

参考文献

本発表の流れ

菊地康人、増田真理子(2009)「初級文法の現状と課題」、『日本語学』9月号、明治書院、pp.64-74

江田すみれ(2013)『「ている」「ていた」「ていない」のアスペクト』、p.183

江田すみれ・小西円(2008)「3種類のコーパスを用いた3級4級文法項目の信頼度調査とその考察」『日本女子大学文学部紀要』57号、pp.1-28

近藤安月子(2009)「日本語話者は〈見え〉のままに話す」、『自然な日本語を教えるために』、pp.60-95

定延利之(2014)「情意から見た日本語の受身」『日本語教育学会2014年度春季大会予稿集』pp.27-29

白川博之(2005)「日本語学的文法から独立した日本語教育文法」、 『コミュニケーションのための日本語教育文法』、くろしお出版、 p.48

田中真理(1999)「視点・ヴォイスに関する習得研究ー学習環境とcontextual variabilityを中心にー」、『平成8~9年度科学研究費研究成果報告書』

田中真理(2005)「学習者の習得を考慮した日本語教育文法」、『コミュニケーションのための日本語教育文法』、くろしお出版、pp.65-82

1

参考文献 本発表の流れ

田中真理(2010)「第二言語としての日本語の受身文の習得研究ー今後の研究の可能性ー」、『第二言語としての日本語の習得研究』第13号、pp.114-146

田中道治(2005)「話し言葉の受身文ー「言われる」を中心にー」『日本語・日本文化研究』第11号、京都外国語大学留学生別科、pp.66-79

田中祐輔(2014)「既存テキストから見た文法シラバスー戦後日本語教科書の

変遷と現代ー」、公開シンポジウム「シラバス作成を科学にするー日本語教育に役立つ多面的な文法シラバスの作成ー」配布資料、pp.49-66

中俣尚己(2014)『日本語教育のための文法コロケーションハンドブック』、くろしお出版

野田尚史(2005)「コミュニケーションのための日本語教育文法の設計図」 、 『コミュニケーションのための日本語教育文法』、くろしお出版、 pp.1-20

前田直子(2011)「受動表現の指導と「拡大文型」の試み」、『日本語/日本語教育研究』2号、pp.67-84

益岡隆志(1987)『命題の文法』くろしお出版

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参考文献

本発表の流れ

増田真理子(2014)「教室における日本語の受身ー試みのひとつとしてー」『日本語教育学会2014年度春季大会予稿集』pp.30-32

森篤嗣(2011)「『現代日本語書き言葉均衡コーパス』コアデータにおける初級

文法項目の出現頻度」『日本語教育文法のための多様なアプローチ』、ひつじ書房、pp.57-78

山下好孝(1997)「「受け身」教授法の問題点」、『北海道大学留学生センター紀要』第1号、pp.1-17

山下好孝(2001)「迷惑受身のプロトタイプ」、『北海道大学留学生センター紀要』第5号、pp.1-15

横田隆志(2008)「日本語初級教材のイラストに見られる「視点」の分析」、『北陸大学紀要』第32号、pp.217-224

横田亜朱沙(2009)「話し言葉の受身文と書き言葉の受身文」、『国文目白』48号、pp.46-55

横田亜朱沙(2011)「コーパスを使用した受身文調査」、『国文目白』50号、pp.90-99

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参考文献 本発表の流れ

ありがとうございました!

*本発表は、日本学術振興会科学研究費補助金による基盤 研究(C)「日本語としての自然さ」を追求した日本語教育の ためのシラバス構築と教材開発」(平成26年度~28年度) (研究代表者:増田真理子)の研究成果の一部です。