PowerPoint プレゼンテーション...IP3とDIGになる IP3にはリン酸基が...

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細胞の情報伝達 (1)何を学習するか 細胞が環境からシグナルを受けて、細胞の状態が変化するときに、 細胞内でどのような現象が起きているか、を知る 分子の大変複雑な連続反応であるので、反応の最初の段階を中心に見ていく (共通の現象が多いから;疾患の治療の標的となる分子が多い) これを知るために (2)リガンドの拡散様式(図16-3) リガンドを発現する細胞とこれを受け取る細胞との「距離」から4つに分類 (3)リガンドを受け取る受容体の種類 受容体の種類ごとに、細胞内で最初に起きる現象が似ている i) 脂溶性リガンド核内受容体 ii) 水溶性リガンドの受容体-1;イオンチャネル共役型受容体 iii) 水溶性リガンドの受容体-2;Gタンパク共役型受容体(今日はここから) iv) 水溶性リガンドの受容体-3;酵素共役型受容体

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細胞の情報伝達 (1)何を学習するか 細胞が環境からシグナルを受けて、細胞の状態が変化するときに、 細胞内でどのような現象が起きているか、を知る 分子の大変複雑な連続反応であるので、反応の最初の段階を中心に見ていく (共通の現象が多いから;疾患の治療の標的となる分子が多い) これを知るために (2)リガンドの拡散様式→(図16-3) リガンドを発現する細胞とこれを受け取る細胞との「距離」から4つに分類 (3)リガンドを受け取る受容体の種類 受容体の種類ごとに、細胞内で最初に起きる現象が似ている i) 脂溶性リガンド→核内受容体 ii) 水溶性リガンドの受容体-1;イオンチャネル共役型受容体 iii) 水溶性リガンドの受容体-2;Gタンパク共役型受容体(今日はここから) iv) 水溶性リガンドの受容体-3;酵素共役型受容体

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これらの受容体がリガンドを受け取ると(最初の段階で)細胞内で何が起こるか (これが本章の一番大切なところ) (1)脂溶性リガンド→核内受容体 リガンドがない状態では受容体は細胞質に存在 リガンドが結合すると、リガンド-受容体複合体は核へ移行 受容体が遺伝子のプロモーターに結合して遺伝子発現を変える リガンド;ステロイドホルモン、甲状腺ホルモン、レチノイン酸など (2)水溶性リガンドの受容体-1;イオンチャネル共役型受容体 リガンドが受容体に結合すると、受容体がアロステリック調節を受けて イオンチャネルのゲートが開く(閉じることもあるかもしれない)→膜電位変化 (3)水溶性リガンドの受容体-2;Gタンパク共役型受容体(今日はここから) キーワードとして「7回膜貫通型受容体」「セカンドメッセンジャー」 i) 受容体にリガンドの結合すると、受容体の細胞質側に結合しているGタンパクが 活性化します。 ii) この活性型Gタンパクがさらに別の酵素(ホスホリパーゼCやアデニル酸環化 酵素など)を活性化し、イノシトール三リン酸、ジアシルグリセロール、 cAMPが作られます。これらがセカンドメッセンジャーです。 iii) このセカンドメッセンジャーがそれぞれ別の下流分子を活性化させて、反応が 様々な反応が引き起こされます。

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(4)水溶性リガンドの受容体-3;酵素共役型受容体 受容体型チロシンキナーゼ(Receptor Tyrosine Kinase; RTK) i) 受容体がリガンドにより二量体化 ii) 受容体相互の作用で、受容体のチロシン残基がリン酸化される iii) 受容体が酵素かっせを持つようになり、アダプター分子が活性化 (主にリン酸化されることによる) iv) Rasの活性化 GTPとGDP、RasはGTPase活性を持つ ・MAPキナーゼのリン酸化が一気に始まる(図16-32) a)RTKの活性化でPI3キナーゼが活性化する 膜のリン脂質のイノシトール環がリン酸化される このリン酸化イノシトールによりAktが活性化される Akt=プロテインキナーゼB(PKB) b)RTKによりJAKが活性化され、これがさらにSTATを活性化する STATは各内に入って遺伝子発現を調節する

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生体内で受容体に結合して細胞の活性を変えるもの(生理活性物質)を リガンドというのは知っているとおり。

人工的な化合物もしくは別の生物からとってきた物質で、受容体に結合するもののうち、生体内のリガンドと同じ働きをするものをアゴニスト、生体内のリガンドと逆の作用をするものをアンタゴニストという。アゴニストもアンタゴニストも広い意味でリガンドに含まれます。 例えば p.543の表16-2でアセチルコリン受容体に対してニコチンはアゴニスト、クラーレはアンタゴニストとして作用する。

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outer leaflet

inner leaflet

細胞膜

細胞質側

ここで切れて IP3とDIGになる IP3にはリン酸基が 3つついている イノシトール環の 1,4,5位

P552の図16-25を 少し詳しく

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PI3キナーゼは、イノシトール環の3位にリン酸基を結合させる酵素 イノシトール環は1位の炭素にリン酸基が付いており、このリン酸基が ジアシルグリセロール(DIG)に結合している 3位のCにリン酸基が結合するとイノシトール環は遊離しない

P558の図16-33を説明、16-25との違いを理解すること

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以下の流れを「骨格」にして肉付けをしつつ勉強をしてください A. 溶性リガンド (細胞膜を通過して)→ 核内受容体に結合する → 核内へ入る → 受容体がDNAに結合して遺伝子発現の調節をする 核内受容体を「リガンド依存性転写調節因子」ということもある B. 水溶性リガンド (細胞膜を通過できない) 1.イオンチャネル型受容体 リガンドが細胞表面の受容体に結合 → イオンチャネルのゲートが開く → 特定のイオンが細胞内に入る(出ることもある) → 膜電位の変化 → 細胞の活性が変化する

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2.Gタンパク共役型受容体 GPCR 7回膜貫通型受容体でもある リガンドが受容体に結合 → 受容体の細胞内ドメインの構造が変化 → (αサブユニットに結合しているGDPがGTPに代わることも大切です) Gタンパクがαサブユニットとβγの二量体サブユニットに分かれる → ・βγサブユニット → イオンチャネルのゲートを開きイオンの出入りを調節 膜電位の変化 ・αサブユニット (1)アデニレート・シクラーゼを活性化 → ATPからcAMPを作る → cAMPがProtein kinase A (PKA)を活性化する → ・PKAが別のタンパクをリン酸化する ・PKAが核内に入ってタンパクをリン酸化し遺伝子の発現を高める (2)ホスホリパーゼCを活性化させる → 細胞膜のホスファチジールイノシトールを切り、イノシトール三リン酸と ジアシルグリセロールに分ける → i)イノシトール三リン酸は小胞体に作用して小胞体からカルシウムイオンを 細胞質に放出させる。Caイオンは、カルモデュリンを活性化させて カルモデュリン依存性プロテインキナーゼを活性化させる。 ii)ジアシルグリセロールはProtein kinase C (PKC)を活性化させる。 PKCはカルシウムイオンによっても活性化される

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3.酵素共役型受容体 リガンドが受容体に結合 → 受容体が二量体化する → 受容体の細胞内ドメインの相互作用でリン酸化される → (1)アダプタータンパクが活性化される → RasタンパクのGDPをGTPに交換 → 活性化Rasがタンパクキナーゼの連鎖反応を開始させる (2)PI3キナーゼを活性化させる → ホスファチジルイノシトールをリン酸化 → Akt(Protein Kinase B、PKB)が活性化される → 別のタンパクをリン酸化 → 反応が進む(Tor-トル-のリン酸化など) ここでは、リン酸化されたイノシトールが細胞膜の裏側にシグナル分子が 集合するための核となる、という意味も覚えてください。 (3)JAKタンパクを活性化 → statタンパクがリン酸化される → リン酸化Statが核内に入り遺伝子発現を高める 4.反応の停止 リン酸化をおさえるのはホスファターゼによる。 cAMPやcGMPなど環化ヌクレオチドは、サイクリックヌクレオチド・ホスホジエステラーゼ によりAMPやGMPに変えられ、反応が止まる。 血管平滑筋ではcGMPが筋を弛緩させて血流を高めます。EDに対する薬のバイアグラは、cGMPを分解する酵素を抑制することで cGMPの分解を抑え、血管平滑筋の弛緩を維持し勃起持続を助けます。

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復習のてびき

(1)生体の中でホルモンなどのリガンドはどのようにして特定の細胞にのみに対して作用するのか

(2)リガンドの拡散様式に関して、受容体を持つ細胞に届くのかについて4つ述べなさい。

(3)親水性リガンドと疎水性リガンドにはどのような違いがあるか。運ばれ方、細胞への作用の仕方(受容体の特性の違いなど)。 (4)疎水性リガンドにはどのような分子、物質があるか。 (5)受容体のタイプを4つ述べなさい。

(6)親水性リガンドに対する受容は、細胞内にシグナルをどのようにして伝えるか。3種類の受容体のタイプを上げてそれぞれどのような様式で細胞内を活性化するか。

(6-1)キナーゼとはどのような反応を触媒する酵素か。またその反対の作用をする酵素群はなんというか。アデニリルシクラーゼとはどのよう反応を引き起こす酵素か、その反対の作用をする酵素をなんというか。 (6-2)Gタンパクはどのようにして活性化されるか (6-3)Gタンパクはどのようにして他のタンパクを活性化させるか (6-4)セカンドメッセンジャーとはどのようなものか。どのような分子があるか。

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(6-5)RTKとはどのような作用でシグナルを伝えるか

(6-6)リン酸化されるセリン、トレオニン、チロシンにはどのような共通点があるか (6-7)PI3キナーゼとはどのような機能を持つ分子か

(6-8)リン酸化されたシグナルを迅速に停止させるにはどのような仕組みがあるか (6-9)GタンパクとRasの同じ点と異なる点について考えなさい。 (6-10)TORとは何か 16-3, 16-7, 16-8, 16-15, 16-17, 16-19, 16-23, 16-24, 16-25, 16-31, 16-32, 16-33, 16-39 を中心に(他はどうでもいいというわけではない)復習しょう。

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発展問題 次の図で、シグナル分子の産生と分解について説明できるか

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次の図を説明しなさい