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- 1 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 更新日:2015/6/16 調査部:舩木弥和子 カナダ:オイルサンドおよび LNG プロジェクトの最近の状況 (Platts Oilgram News、International Oil Daily、Business News Americas、Business Monitor International 他) ●Alberta 州のオイルサンド生産者は 2014 年半ば以降の油価下落を理由に、相次いで新規プロジェクト や拡張計画を延期した。一方、生産中のプロジェクトは生産を継続し、建設中のプロジェクトは生産開 始に向け進行中である。その結果、 オイルサンド生産量は、その伸びは以前考えられていたより小さい ものの、増加を続ける見通しだ。 ●2015 年 5 月に Alberta 州議会総選挙が実施され、新民主党が定数 87 議席のうち 53 議席を獲得し、 Alberta 州初の革新政権を樹立することになった。新民主党は エネルギー産業の改革を公約に掲げ、ロ イヤルティの見直し、法人税率の引き上げ、環境規制強化等を実施するとしている。 ●カナダ石油生産者協会は、カナダの石油生産量が 2014 年の 374 万 b/d から 2030 年には 533 万 b/d に増加するとの見通しを示した。2014 年の見通しでは 2030 年の石油生産量を 644 万 b/dとしており、原 油価格安の影響で投資が減り、増産ペースが鈍化するとの予測になっている。なお、オイルサンド生産 量は 2030 年までに 180 万 b/d 増加し、395 万 b/d になると見ている。 ●5 月下旬、Alberta 州で発生した森林火災で、オイルサンドプロジェクト 5 件が影響を受け、オイルサン ド生産量の 1 割の供給が止まったが、設備に被害はなく、6 月に入り生産が再開されている。 ●高い資本支出、LNG 価格の下落、先住民問題、競争の激化等により、カナダ太平洋岸で新たに LNG プロジェクトを立ち上げるのは難しい状況が続いている。政府は LNG プロジェクトの財務上の競争力を 引き上げようと努めている。また、油価下落により建設コストが低減しているとの見方もある。このような状 況下で、Pacific NorthWest LNG プロジェクトの条件付最終投資決定が行われたが、これが突破口とな り、複数のプロジェクトが進展する可能性がある。 1. オイルサンドプロジェクトの状況 (1)油価下落のオイルサンドプロジェクトへの影響 Alberta 州のオイルサンド生産者は 2014 年半ば以降の油価下落を理由に、相次いで新規プロジェクト や拡張計画を延期している。中には、Southern Pacific Resource のように 2015 年 1 月に破産を申請、企 業債権者調整法 Creditors Arrangement Act (Canada) (CCAA)に基づく債権者保護を獲得し、人員削減 と生産性の改善に取り組んでいたが、5 月に 7 月末で STP-McKay の操業を停止すると発表する企業も でてきた。Connacher Oil and Gas や Grizzly Oil Sands 等の企業も資産売却を計画していると報じられて いる。これまで、先送りにされるプロジェクトはまだ建設に入っていないものばかりであったが、5 月に Shell が生産開始を 2017 年から 2019 年に 2 年先送りをするとした Carmon Creek プロジェクトのうち、第 1 期はすでに建設が開始されていた。 しかし、Canadian Energy Research Institute は、4 月末に、主要な生産者はすでに過去 4 ヶ月間に生き 残るための方法を考案しており、最悪の時期は終わったとし、今後 6~9 ヶ月油価が$50/bbl の水準で推

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- 1 - Global Disclaimer(免責事項)

本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま

れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの

投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責

任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

更新日:2015/6/16

調査部:舩木弥和子

カナダ:オイルサンドおよび LNGプロジェクトの最近の状況

(Platts Oilgram News、International Oil Daily、Business News Americas、Business Monitor International他)

●Alberta州のオイルサンド生産者は 2014年半ば以降の油価下落を理由に、相次いで新規プロジェクト

や拡張計画を延期した。一方、生産中のプロジェクトは生産を継続し、建設中のプロジェクトは生産開

始に向け進行中である。その結果、オイルサンド生産量は、その伸びは以前考えられていたより小さい

ものの、増加を続ける見通しだ。

●2015年 5月に Alberta州議会総選挙が実施され、新民主党が定数 87議席のうち 53議席を獲得し、

Alberta州初の革新政権を樹立することになった。新民主党は エネルギー産業の改革を公約に掲げ、ロ

イヤルティの見直し、法人税率の引き上げ、環境規制強化等を実施するとしている。

●カナダ石油生産者協会は、カナダの石油生産量が 2014年の 374万b/dから 2030年には 533万b/d

に増加するとの見通しを示した。2014年の見通しでは 2030年の石油生産量を 644万b/dとしており、原

油価格安の影響で投資が減り、増産ペースが鈍化するとの予測になっている。なお、オイルサンド生産

量は 2030年までに 180万b/d増加し、395万b/dになると見ている。

●5月下旬、Alberta州で発生した森林火災で、オイルサンドプロジェクト 5件が影響を受け、オイルサン

ド生産量の 1割の供給が止まったが、設備に被害はなく、6月に入り生産が再開されている。

●高い資本支出、LNG 価格の下落、先住民問題、競争の激化等により、カナダ太平洋岸で新たに LNG

プロジェクトを立ち上げるのは難しい状況が続いている。政府は LNG プロジェクトの財務上の競争力を

引き上げようと努めている。また、油価下落により建設コストが低減しているとの見方もある。このような状

況下で、Pacific NorthWest LNG プロジェクトの条件付最終投資決定が行われたが、これが突破口とな

り、複数のプロジェクトが進展する可能性がある。

1. オイルサンドプロジェクトの状況

(1)油価下落のオイルサンドプロジェクトへの影響

Alberta州のオイルサンド生産者は 2014年半ば以降の油価下落を理由に、相次いで新規プロジェクト

や拡張計画を延期している。中には、Southern Pacific Resourceのように 2015年 1月に破産を申請、企

業債権者調整法Creditors Arrangement Act (Canada) (CCAA)に基づく債権者保護を獲得し、人員削減

と生産性の改善に取り組んでいたが、5月に 7月末で STP-McKayの操業を停止すると発表する企業も

でてきた。Connacher Oil and GasやGrizzly Oil Sands等の企業も資産売却を計画していると報じられて

いる。これまで、先送りにされるプロジェクトはまだ建設に入っていないものばかりであったが、5 月に

Shellが生産開始を2017年から2019年に2年先送りをするとしたCarmon Creekプロジェクトのうち、第1

期はすでに建設が開始されていた。

しかし、Canadian Energy Research Instituteは、4月末に、主要な生産者はすでに過去4ヶ月間に生き

残るための方法を考案しており、最悪の時期は終わったとし、今後6~9ヶ月油価が$50/bbl の水準で推

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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま

れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの

投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責

任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

移すれば、これ以上プロジェクトが保留にされることはない見通しとしている1。新規プロジェクトを延期し

た Cenovus、Suncor、Canadian Natural Resources も、さらにプロジェクトを削減する必要はないとしてい

る。

新規のオイルサンドプロジェクトは、生産性の高いエリアの多くはすでに開発済みで、また、プロジェ

クト立ち上げのコストが莫大であることから、資金の確保、投資決定が難しく、このように延期されるものが

多い。しかし、Imperial OilのNabiye やKearl 第2期、HuskyのSunrise第1期、CenovusのChristina Lake

フェーズ F や Foster Creek フェーズ G、ConocoPhillip の Surmont 第 2 期、Athabasca Oil の

Hangingstoneフェーズ 1、PengrowthのLindbergh 第1期、Canadian Natural ResourcesのHorizon 第 3

期、SuncorのFort Hills 等操業中、建設中のプロジェクトについては、原油価格下落にもかかわらず、原

則的に投資が続けられている。これには、在来型のプロジェクトに比べ、オイルサンドプロジェクトの寿命

が長いことが影響していると考えられる。さらに、これらのプロジェクトでは、コストの削減が進められてい

る。SuncorやCanadian Natural Resourcesのプロジェクトは操業コストが35ドル/bbl以下で、さらに低減さ

れる傾向にあるという。2014 年末に Enbridge が、米国 Illinois 州 Pontiac と Oklahoma 州 Cushing 間に

Flanagan Southパイプライン(輸送能力58.5万b/d)を稼動させたことで、パイプラインの送油能力が拡張

され、輸送コストも削減されることとなった。

オイルサンドに関する主要企業の状況は以下のとおりである。

① Suncor Energy

Suncor Energyは、2015年の資本支出を、2014年秋の時点では 68億カナダドルから 72~78億カナ

ダドルに引き上げるとしていたが、2015年に入りこれを62~68億カナダドルに引き下げるとした。資本支

出は削減したものの、2015年第 1四半期の同社のオイルサンド生産量は前年同期の 389,300 b/dから

13%増加し、440,400b/d となった。業界全体でプロジェクト向けの支出が削減される傾向にあることから

コストが減少、ガス価格の下落やメインテナンスを最低限に抑えたこともあって、同社のプロジェクトの操

業コストは前年同期の C$35.60/bblから C$28.40 ($23.54)/bblに 20%減少した。同社の Steve Williams

社長兼CEOは、「燃料コストが下がった上に、近隣に住む質の高い労働力によって生産性が高まり、遠

くから労働者を呼びよせる必要がなくなったお陰で、プロジェクトにデフレが起きている」2としている。1

月に MacKay River拡張プロジェクト(生産能力 2 万 b/d、以下プロジェクト名の後ろの( )は生産能力)

のFIDを延期することとし、生産開始は早くても 2018年としたが、会社全体としては 2017年末までにさら

に 10万b/d増産する計画で、Fort Hillsプロジェクトは予算内で建設中、2017年末に操業開始予定とさ

れている。

1 Platts Oilgram News 2015/4/28 2 カナダ・アルバータ州 オイルサンド産業の最新動向 SPRING 2015

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任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

表1.オイルサンドプロジェクトの主な動向

(各種資料より作成 青字はプロジェクトの進展、赤字は保留、延期等を示す。)

② Imperial Oil

Imperial Oilは、以前より、長期的に恵まれた資産を保有しており、開発計画は短期の油価変動に大き

な影響を受けないとしていたが、その方針を変えず、長期的な視点に立ち投資額を削減していない。

2015年第1四半期は、Cold Lake で 152,000 b/d、Syncrudeで 73,000 b/d、Kearlで 67,000 b/dを生産

した。5月には、Cold LakeのNabiye拡張プロジェクト(4万b/d)の生産を開始し、秋には、Kearlプロジェ

クト第 2期(11万b/d)の生産を開始する予定である。同社の生産コストはC$32.40/bblとされている。

③ Shell

Shellは、2月に、Pierre Riverオイルサンドプロジェクト(20万b/d)を棚上げする意向を表明した。契約

は継続し、将来改めて開発を申請する考えであるという。また、2017年生産開始予定だった Peace River

年月 プロジェクト オペレーター 生産法 生産能力 動向

2015/1 Sunrise第2期 Husky SAGD 14万b/d 計画保留。

2015/1 Kirby North Canadian

Natural

Resources

SAGD 10万b/d 油価が安定するまで第1フェーズを延

期。

2015/1 Telephone Lake

Grand Rapids

Narrows Lake

Cenovus

Energy

SAGD

SAGD

SAGD

9万b/d

18万b/d

13万b/d

投資ペースを遅らせる。生産開始は

2017年以降。

2015/1 MacKay River拡張 Suncor SAGD 2万b/d FIDを延期。生産開始は2018年以降。

2015/2 Pierre River Shell 露天掘り 20万b/d 棚上げする意向を表明。

2015/3 Sunrise第1期 Husky SAGD 6万b/d 生産開始。

2015/4 Black Gold-1

KNOC

(Harvest

Energy)

SAGD 1万b/d 油価が 60ドル/bblになるまで生産開

始を延期。

2015/4 Taiga

Orion

Osum Oil

Sands

SAGD

SAGD

3.5万b/d

1万b/d

生産拡張計画を延期。

2015/5 Nabiye Imperial Oil CSS 4万b/d 生産開始。

2015/5 Carmon Creek Shell VSD 8万b/d 2019年まで 2年先送り。

2015/6 Surmont第2期 Conoco

Phillips

SAGD 14.8万

b/d

蒸気圧入開始。第3四半期に生産開

始。

2015/7 STP-McKay Southern

Pacific

SAGD 1万b/d 7月末で操業停止予定。

2015秋 Kearl第2期 Imperial Oil 露天掘り 11万b/d 生産開始予定。

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の Carmon Creek第 1期および第 2期(8万 b/d)を 2019年まで 2年先送りすることとした。代わりに、既

存のオイルサンドプロジェクト(25.5万b/d)の収益性引き上げに注力するとしている。

④ Cenovus Energy

CenovusはConocoPhillipsとFoster CreekとChristina Lakeで生産を行っており、2015年第1四半期

のオイルサンド生産量は、前年同期の 120,444 b/dから 20%増加し 144,372 b/dであった。

操業コストは、ガス価格の下落もあって、Christina Lake が前年同期の C$13.30/bbl から C$8.22/bbl

に 38%、Foster Creek が C$19.09/bbl から C$14.48/bbl に 24% 減少した。輸送コストも 2015 年は

C$8/bbl を予定していたが、生産増により単位あたりの輸送コストが下落したことと、Flanagan South パイ

プラインが利用可能になり鉄道利用が減ったことで、C$6.50/bblとなった。

Cenovus Energyは今後1年半の間に生産能力を 10万b/d引き上げる計画であるとしていたが、1月

に、Telephone Lake(9万b/d)、Grand Rapids(18万 b/d)、 Narrows Lake (13万b/d)プロジェクトへの

投資ペースを遅らせることとした。いずれのプロジェクトも生産開始は 2017 年以降とされているが、詳細

な日時は不明である。

⑤ Husky Energy

Husky Energy /BPは Sunriseオイルサンドプロジェクト第 1期(6万b/d)について 2014年12月に蒸

気圧入を開始、2015年 3月に生産を開始した。同プロジェクトは生産能力を 20万 b/dまで拡張すること

についてすでに認可を得、第2フェーズは 2020年以降に生産開始予定とされていた。しかし、同社は、

新規プロジェクトへの支出を遅らせ、リターンを多く期待できるプロジェクトに集中するとして、第2期を保

留することとした。3 月には、Sunrise オイルサンドプロジェクトで働いていた Saipem の労働者約 1000 人

が解雇されている。

⑥ Total

Totalは、5月に Sinopecとジョイントベンチャーを組み操業するAlberta Northern Lightsオイルサンド

プロジェクト(10 万 b/d)を先送りにした。同社は、ConocoPhillips、Suncor Energy とパートナーを組む

Surmont(14.8万b/d)、Fort Hills(16万b/d)のオイルサンドプロジェクトに専念するとしている。

⑦ ConocoPhillips

6月に、ConocoPhillips/TotalはSAGD法によるSurmontオイルサンドプロジェクト第2期の生産を予定通

り開始したと報じられた。同プロジェクトの第1期は2007年に生産を開始し、3万b/dを生産していた。2017

年までに生産量を11.8万b/dに増加させる計画だ。

⑧ PennGrowthEnergy

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PennGrowthEnergyは 2014年12月に蒸気圧入を開始したLindberghプロジェクト(SAGD)が、2015年

6月には生産能力1.25万b/dを超える 1.3万b/dを生産、2015末までに 1.6万b/dに増産する計画で

ある。

(2)Alberta州議会総選挙の石油・ガス産業への影響

①Alberta州議会総選挙結果

2015年5月5日にAlberta州議会総選挙が実施された。結果は、新民主党(NDP:New Democrat Party)

が定数 87 議席のうち 53 議席を獲得し、Alberta 州初の革新政権を樹立することになった。進歩保守党

(PC:Progressive Conservative Party)は、解散時には 70 あった議席を 10 まで減らし、当選した閣僚も

Prentice首相を含め 4名のみという結果となり、1971年以来12期44年続いた同党による一党支配体制

は終了することとなった。

表 2.Alberta州議会党別議席数

政党 解散時 選挙後

新民主党 4 53

ワイルドローズ同盟党 5 21

進歩保守党 70 10

自由党 5 1

Alberta党 0 1

(各種資料より作成)

オイルサンド約 210万 b/d、軽質原油 50万 b/d弱を生産するカナダの主要産油州である Alberta州

は、2014 年半ばからの油価下落により、約 70 億ドルの歳入不足となった。2015 年の予算案では、歳入

不足を補うために、医療保険料の再有料化、所得税やアルコール、ガソリン税等の引き上げを導入する

こととした。Prentice 首相は、この予算案について州民の承認を得る必要があるとして、州議会を解散、

総選挙を実施することとした。しかし、実は進歩保守党が、ワイルドローズ同盟党の内紛につけ込んで、

大きく負けずに政権維持を図ろうとしたことに州民は嫌気がさし、新民主党に対する支持が急伸すること

となった。4月 30日から 5月 3日に発表された 7社による世論調査の政党支持率は、新民主党が 37~

44%、進歩保守党が 20~30%、ワイルドローズ同盟党が 21~27%と、全て新民主党による過半数政権

誕生を示唆していた。2012 年の総選挙では世論調査の結果が外れ、与党進歩保守党が過半数を獲得

したが、今回は世論調査通りの結果となった。

②新民主党の石油・ガス関連の政策と石油・ガス産業への影響

新民主党(Rachel Notley党首)は エネルギー産業の改革を実施するとの公約を掲げ圧勝した。同党が

提案している石油・ガス関連の主な政策は以下の通りで、現時点でわかる範囲でそれぞれの政策が石

油・ガス産業に与える影響を記載した。長期政権を続けてきた進歩保守党前政権に対して、経験不足の

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新民主党が具体的にどのような政策をとり、それを運営していくことができるかが注目される一方、油価

下落によりすでに影響が生じている石油産業に追い打ちをかけるのではないかと懸念されている。

なお、Alberta州の新首相となる新民主党Rachel Notley党首は石油・ガス業界の懸念を和らげるため、

経営陣に接触、石油・ガス業界と協力していくとしている。

●ロイヤルティを見直す。

ロイヤルティの見直しに関しては、詳細が明らかにされていない。しかし、Bill 209が導入されることに

なれば、毎年ロイヤルティを見直し、報告を行う委員会が設置される可能性があり、Alberta州の投資環

境は不確実性、潜在的な不安定性を増すことになる。

オイルサンドのロイヤルティに関する見直しがもっとも問題となると考えられる。油価下落により延期さ

れたオイルサンドプロジェクトもあるが、これらのプロジェクトは油価が回復すれば経済的に実現可能と

なり、今後10年間でみた場合には、オイルサンド生産量増加、油価回復等の理由からロイヤルティ収入

は大幅な増加が期待できるとみられている。しかし、ロイヤルティに関して大幅な変更があれば、投資が

回復する時期や投資が回復するか否かにも影響を与えることになると考えられる。

なお、2007年に進歩保守党がロイヤルティ制度を変更し、20億カナダドルのロイヤルティ収入増を図

ろうとしたが、企業が資本を British Columbia 州や Saskatchewan州に移してしまい、投資額が減少、州

政府はすぐにロイヤルティ制度を再調整した。

●法人税率を 10%から 12%に引き上げる。

法人税率が 10%から 12%に引き上げられたとしても、カナダの州の法人税率としては最も低いもので

ある。

●より厳しい環境規制を適用する。

●Keystone XL パイプラインやNorthern Gatewayパイプライン等主要な輸出インフラストラクチャープロ

ジェクトに対して支援を行う計画はない。

Keystone XL パイプライン、Northern Gatewayパイプラインともに、すでに州政府の支援が鍵となる段

階を過ぎており、これらのプロジェクトについてのロビー活動が減少しても、プロジェクトの進展に重大な

影響はないと考えられる。

(3)生産見通し

カナダ石油生産者協会(CAPP:Canadian Association of Petroleum Producers)は、6月9日、Crude Oil

Forecast, Marketa & Transportationを公表し、カナダの原油生産量は、2014年の 374万b/dから 2030

年には 533万b/dに増加するとの見通しを示した。CAPPは 2014年の見通しでは、同国の 2030年の原

油生産量を 644万 b/dと見通しており、今回の見通しは、原油価格安の影響で投資額が減少し、増産の

ペースが鈍化するとの予測になっている。また、CAPP は、2030 年までに、在来型の原油生産量が微減

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するのに対し、オイルサンド生産量は180万b/d増加するとみており、原油生産量に占めるオイルサンド

の割合は2014年の58%から2020年に66%、2030年には74%に増加すると予測している。オイルサン

ドの内訳は、2014年は露天掘りが 91万b/d、地層内回収法が 124万b/dであったのに対し、2030年は

露天掘りが158万b/d、地層内回収法が238万b/dとなると予測されている。2014年の見通しでは、2030

年には露天掘りが 160万b/d、地層内回収法が 321万b/dになると予測されていた。

図 1.CAPPによるカナダの石油生産見通し

(出所:CAPP Crude Oil Forecast, Markets & Transportation)

表 4.CAPPによるカナダの石油生産見通し (単位:万b/d)

(CAPP Crude Oil Forecast, Markets & Transportationより作成)

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投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責

任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

図 2.CAPPによるカナダの石油生産見通し(操業中、建設中のもののみ)

(出所:CAPP Crude Oil Forecast, Markets & Transportation)

2014 年半ばより油価が大きく下落したことから、CAPP は、今回の見通しでは特別にオイルサンドプロ

ジェクトについて操業中、建設中のものだけを積み上げ、計画されている新規のプロジェクトを算入しな

い生産見通しを発表している。それによると、カナダの石油生産量は 2019 年ごろにピークを迎え、数年

後からなだらかに減少し、2030年に 430万b/dとなるとされている。

オイルサンドについては、CAPP 以外の機関も、既存のオイルサンド事業が一時的に赤字に陥ったと

しても生産が停止される可能性は低く、今後生産開始が予定されている事業についても投資がすでに

行われているために、予定通りプロジェクトが進められるだろうとの指摘をし、油価が 50 ドル/bbl 近辺で

推移してもオイルサンドの生産量は増加するであろうと見通している。Canadian Natural Resourcesなどカ

ナダのオイルサンド生産者も、投資減少や生産見通しの下方修正は必要としているが、供給は増加する

と見ているという。

一方、軽質原油は、Alberta 州の軽質原油の生産量が 2014 年の 578,000 b/d から 2015 年末には

488,000b/dに減少する見通し3とされる等、生産量が減少するとみられており、こちらもCAPPと同様の見

通しとなっている。企業の状況を見ても、例えば、Penn WestがAlberta 州とSaskatchewan州の軽質油の

生産を中止し、生産再開に関する何らかの決定をするには油価がさらに安定する必要があるとしてい

る。

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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま

れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの

投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責

任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

(4)Alberta州で発生した森林火災のオイルサンドプロジェクトへの影響

5 月 22 日、乾燥した気候と高温、落雷により Cold Lake 近郊で山火事が発生した。その後も、Alberta

州内で落雷の影響により制御不能な山火事が続々と発生した。Alberta州政府は、消防士 1,600人、ヘリ

コプター200 機を投入し、消火に当たったが、26 日には 8,000 ha であった被害地域が、27 日には

17,483haに拡大、山火事は全体で70件となり、このうち29件は手が付けられない状態となった。そこで、

州政府は住民等に安全な場所への緊急避難を求めた。その結果、Kirby、Primrose/Wolf Lake、Foster

Creek、Leismer、Christina Lakeの 5件のオイルサンドプロジェクトに影響が生じ、オイルサンド生産量の

1 割に相当する 23.3 万 b/d の供給が止まった。山火事自体は例年、頻発しており、2011 年には

FortMcMurrayでの火災によりオイルサンド設備の建設が遅れたことがあったが、今回は生産が止まって

しまったことから、懸念が高まっていた。Alberta 州政府のスポークスマンは、どのくらいの期間生産が止

まるかわからないとし、Bank of America Merril Lynchは、オイルサンドプロジェクトの閉鎖がカナダの経

済成長に影響を及ぼす可能性があり、山火事による混乱が長引けば、第 2 四半期の年率換算の成長率

が 0.1~0.3%損なわれるとの見通しを示した。一方、CAPP は火事の影響を受けているインフラはなく、

生産再開は時間の問題とした。

表 3.主要企業の火災への対応状況

企業 操業状況

MEG Energy 安全のリスクや生産設備への影響はないが、予防的な措置として Christina Lake(8 万

b/d)からEdmontonにスタッフ 900人を移動させた。5月23~24日、メインテナンスのた

め段階的に生産量を減らしていたが、スタッフ移動にともない生産量をさらに削減した。

Cenovus

Energy

5月23日、Foster Creekオイルサンドプロジェクト(13.5万b/d) 、Cold Lake Air Weapons

Range(CLAWR)のガスプロジェクトの操業停止。1,800人の従業員を避難させた。

25日、Birch Mountainガスプラントから 2人の従業員を避難させる。

26日、Narrows Lake(建設中)から 90人の従業員を避難させる。

Pelican Lake、Christina Lakeは通常通り操業。

6月1日にはFoster Creekの電力を復活させ、CLAWRを点検。

Canadian

Natural

Resources

5月24日、Primrose/Wolf Lake (同8万b/d)での操業を停止。

25日、CLAWRの施設とパイプラインの停止により、Kirby Southの生産量を 3万b/dか

ら 1.2万b/dに削減。250人のスタッフを避難させた。

6月1日、CLAWR周辺の火事の状況が改善、再開へ向けての作業を開始。

Husky Energy Muskwa天然ガス処理施設の操業を停止。従業員6人が避難。

Overlea compressor施設の操業を停止。

Imperial Oil Cold Lakeで 152,000 b/dを生産しているが、操業に影響はない。

Statoil Leimser(2万b/d)から必須ではない従業員110人を避難。従業員の75%は残っており、

操業は継続し、停止はしない。

(各種資料より作成)

3 Platts Oilgram News 2015/4/23

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6 月 1 日には Alberta 州政府が、一部を除き、火災は収束に向かっていると発表した。これを受け、

Cenovus EnergyやCanadian Natural Resourcesが生産再開に向けての活動を開始、3~4日には各プロ

ジェクトの生産が再開され、フル操業に近い状況まで生産が回復している。

2.太平洋岸LNGプロジェクトの状況

豊富な天然ガス埋蔵量、気温が低いために液化、貯蔵コストを抑えられること、アジア市場への距離

が比較的短く輸送コストを抑えられること等を背景に、数を増やしていた、British Columbia(BC)州の

LNG輸出プロジェクトだが、現在計画されているプロジェクトは 19件と 2014年秋から数は増加していな

い。BC州政府は、2020年までに 3件のLNG輸出プロジェクトが操業を開始することを目ざすとしている。

これまで、最終投資決定を行ったプロジェクトはなかったが、2015年6月に、Pacific NorthWest LNGプロ

ジェクトの条件付最終投資決定が決議された。

図3.BC州で計画されているLNG輸出プロジェクト(LNG in British Columbiaに加筆)

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最近、動きが見られたプロジェクトは以下の通りである。

①Kitimat LNG

2014年 12月 15日、Apache は、豪州のWheatstone LNGプロジェクトと Kitimat LNGプロジェクトの

権益を上流資産とともにWoodside Petroleumに 27.5億ドルで売却することで合意したと発表、2015年4

月 10 日までに売買を完了した。Woodside は、Wheatstone LNG プロジェクトの権益 13%、WA-49-L

Block (Julimar/Brunelloガス田、Balnaves油田)の権益の65%、Kitimat LNGプロジェクトの 50%とHorn

River、Liard basinの上流資産を取得した。調整額を含む取引額は 36.71億ドルとなった。

②Douglas Channel LNG

2015年1月28日、AIJVLP(出光興産/ AltaGasの JV)/EDF/ EXMARの3社からなるDouglas Channel

LNGコンソーシアムはDouglas Channel LNGプロジェクトの全所有権を取得したと発表した。

③Pacific NorthWest LNG

Pacific NorthWest LNGは、建設費用の更なる削減を図るべく協議を継続していることから、2014年12

月に予定していた最終投資決定を延期した。同じく 12 月には、三菱ガス化学が JAPEX 子会社 JAPEX

Montney Ltd.(JML)に出資、出資比率 10%の株主となり、同プロジェクトに参画することとなった。2015

年6月12日、JAPEXより同プロジェクトの条件付最終投資決定が決議されたことが明らかにされた。同プ

ロジェクトは、BC州との間におけるプロジェクト開発契約 (Project Development Agreement) が同州議会

により承認され、またカナダ連邦政府による環境影響評価の承認が得られた時点で、パートナー間にお

いて最終投資決定されることとなった。

④WCC LNG

2015年1月8日、Exxon Mobilと Imperial Oil はWCC LNGの施設建設に 150~250億ドルを投じる

計画であるとした。 両社は、2017 年末までにすべての承認を取得し、その後最終投資決定を行いたい

としている。

⑤Prince Rupert LNG

BGは、2014年 10月に、ガス価格が弱含みであること、米国からの LNG 輸出が積み上がっているこ

と、コストの上昇等から、LNG 市場が供給過剰となるリスクがあるとみて、Prince Rupert LNG プロジェク

トを休止することとした。米国からの LNG 輸出プロジェクトの動向を注視しながら、作業を継続するとして

いた。その後、2015年4月8日には、ShellがBGを約700億ドルで買収することで合意した。

⑥Aurora LNG

BC州環境評価局(BCEAO)は 2015年1月12日、CNOOC子会社のNexenが推進するAuroraLNG

プロジェクトの仕様書の改訂版を公表したが、その中で、同プロジェクトの建設候補地にPrince Rupert近

郊の Digby島が選定されたことが明らかになった。

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表 5.BC州で進行中の LNG輸出プロジェクト

(LNG in British Columbia他を基に作成。

■はKitimat、■は Prince Rupert、■はGrassy Point、*はFLNGのプロジェクトを表す。)

カナダ太平洋岸のLNGプロジェクトについては、BC州がLNG税を2014年2月に発表した当初案に

比べてプロジェクトの経済性に配慮した内容に変更したのに続き、連邦政府も 2015 年 2月 19日、LNG

プロジェクトに対する投資を促進しようと税制のインセンティブ(資本支出控除を 8%から 30%に変更)を

提案し、カナダの LNG プロジェクトの財務上の競争力を引き上げようと努めている。油価下落により、オ

プロジェクト 場所 関連会社 液化能力 状況

Kitimat LNG Kitimat

Bish Cove

Chevron

Woodside

1,000万 t/年 NEB輸出承認取得:2011/10

Douglas

Channel*

Kitimat AltaGas、出光興産、

EDFT Trading、EXMAR

180万t/年 FID:2015年末

輸出開始時期:2018年

LNG Canada Kitimat Shell、三菱商事、KOGAS、

PetroChina

2,400万t/年 NEB輸出承認取得:2013/2/4

Cedar1,2,3

LNG Export*

Kitimat Cedar LNG Export Development

(Haisla族)

1,450万 t/年 NEB輸出承認取得:2014/12/22

輸出開始時期: 2020年

Pacific

NorthWest

Prince Rupert

近郊

Lelu島

Progress Energy、JAPEX、

Petroleum Brunei、

Indian Oil Corp、Sinopec

1,800万t/年 NEB輸出承認取得:2013/12/16

FID: 2015年

輸出開始時期:2019年

WCC LNG Prince Rupert

Tuck Inlet

Imperial Oil、ExxonMobil 3,000万 t/年 NEB輸出承認取得: 2013/12/16

FID: 2018年、輸出開始時期:2023年

Prince Rupert

LNG

Prince Rupert

Ridley島

British Gas 2,100万t/年 NEB輸出承認取得: 2013/12/16

輸出開始時期: 2019年

Orca LNG* Prince Rupert Orca LNG 2,400万 t/年 NEB輸出承認申請:2014/9/4

輸出開始時期: 2019年

Watson Island

LNG

Prince Rupert Watson Island LNG - -

New Times

Energy

Prince Rupert NewTimes Energy 1,200万 t/年 NEB輸出承認申請:2015/2/11

輸出開始時期: 2019年

Aurora LNG Prince Rupert

Digby島

Nexen、INPEX、日揮 2,400万t/年 NEB輸出承認取得:2014/5/1

FID: 2017年

輸出開始時期:2021年

Grassy Point

LNG

Grassy Point

Crown Land

Woodside Energy 2,000万t/年 NEB輸出承認取得:2015/1/29

輸出開始時期: 2021年

Woodfibre

LNG*

Squamish Woodfibre LNG Export Pte. Ltd

(Pacific Energy Corporation)

210万t/年 NEB輸出承認取得:2013/12/16

FID:2015年

輸出開始時期: 2017年

Triton LNG* - AltaGas、出光興産 230万t/年 NEB輸出承認取得:2014/4/16

輸出開始時期: 2019年

Kitsault Energy Kitsault Kitsault Energy 2,000万 t/年 NEB輸出承認申請:2014/4/4

輸出開始時期: 2018年

Stewart

Energy*

Stewart

Canada Stewart Energy 3,000万 t/年 NEB輸出承認承認:2014/3/18

輸出開始時期: 2017年

WesPac Delta

Tilbury 島

WesPac Midstream Vancouver 300万t/年 NEB輸出承認取得:2015/5/7

輸出開始時期: 2016年

Steelhead LNG Alberni Inlet

Sarita Bay

Steelhead LNG

先住民部族Huu-ay-aht

2,400万 t/年 NEB輸出承認申請:2014/7/8

輸出開始時期: 2022年

Discovery LNG Campbell River Quicksilver Resources 2,000万 t/年 NEB輸出承認申請:2014/7/28

輸出開始時期: 2021年

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イルサンドプロジェクトへの投資が減少する等カナダ西部での建設市場は冷え込み始めており、LNG輸

出基地建設コストは低減しているとする向きもあるが、高い資本支出、LNG価格の下落、先住民問題、競

争の激化等により、カナダで新たにLNGプロジェクトを立ち上げるのは難しい状況が続いている。このよ

うな状況下で、Pacific NorthWest LNGプロジェクトの条件付最終投資決定が決議されたが、これが突破

口となり、複数のプロジェクトが進展する可能性がある。