pg_bigmを用いた全文検索のしくみ(前編)
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Transcript of pg_bigmを用いた全文検索のしくみ(前編)
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2013年6月8日 株式会社NTTデータ 基盤システム事業本部 澤田 雅彦
pg_bigm(ピージーバイグラム)を用いた全文検索のしくみ(前編)
第26回しくみ勉強会
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INDEX
1. 全文検索とは?
2. pg_bigmとは?
3. pg_bigmの全文検索のしくみ
4. pg_bigmの性能測定(前編)
5. まとめ
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全文検索とは?
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全文検索ってなに?
全文検索ってなに?
複数のテキストからキーワードを含むテキストを見つけ出す事
(英語辞書から特定の単語を探す、Web検索、など)
東京都・・・・ ・・・・・・・・
・・・・・・・・・図書館・・・・ ・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・オープンソース・・・
・・・・・・・・ ・・・・・
・・・・・・・・本。 ・学校・・・・・・・・・
東京都で・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・
・・・データベース・・・ ・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・ ・・・・・
・・・・・・・・
東京都・・・・ ・・・・・・・・
・・・・・・・・・図書館・・・・ ・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・オープンソース・・・
・・・・・・・・ ・・・・・
・・・・・・・・本。 ・学校・・・・・・・・・
全文検索 キーワード
「オープンソース」
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DBの全文検索ってなに?
SQL発行
DB
: :
テキスト型の列を持つテーブルから、キーワードを含むレコードを検索すること
全文検索では検索対象のデータが多い
全文検索用のインデックスを作成することで高速にできる
インデックスのキーの作り方として。。。
N-gram方式、形態素解析方式がある
キーワード:「オープンソース」
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形態素解析とN-gram
形態素解析 N-gram
分割方法 単語単位で分割 文字単位で分割
例)’今日は全文検索の日’ではどうなる?
キーワード 「今日」,「全文検索」,「日」 (2-gramの場合)
「今日」,「日は」,「は全」,「全文」,「文検」、「検索」、「索の」…
<一般的な特徴>
インデックスサイズ 小さい 大きい
表記の揺れ 類義語を定義しやすい 例)「今日」⇔「本日」を対応させる
表記の揺れに弱い
検索結果 単語の分割方法に依存する 例)「全文」と「検索」は分ける?分けない?
LIKEに近い結果を得ることができる
どういう時に有効? 整った文章(論文等)を扱う時 記号や造語を検索する時
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PostgreSQLでN-gramの全文検索をするには
(今まで)
PostgreSQLに付属しているpg_trgmを使用していた。
しかしpg_trgmには以下の弱みがある。。
→pg_bigmでは上記の2つの問題を解決しています!
1、2文字検索でインデックスを有効に使えない(SeqScanより遅くなる)
→ 例えば「車」、「日本」などの検索キーワードは日本語検索時には十分考えられる
日本語対応をさせるためには、ソースコードの変更が必要 → trgm.hの一部を変更しないといけない
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2. pg_bigmとは?
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pg_bigmとは
pg_bigmとは
→2-gramの全文検索モジュール
対応バージョン PostgreSQL9.1以降
ライセンス PostgreSQL License
開発主体 NTTデータ
公開日 2013年4月
入手元 http://pgbigm.sourceforge.jp/
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pg_bigmとその他の仲間たち
pg_bigm pg_trgm textsearch_groonga
作成方法 2-gram 3-gram N-gram
対応バージョン 9.1以降 9.1以降 9.1まで
開発主体 NTTデータ PostgreSQL コミュニティ
板垣氏 (個人)
日本語対応 ○ △ ○
依存モジュール なし なし あり
(groonga)
レプリケーション・ リカバリ対応
○ ○ ×
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pg_bigmの特徴
2-gramの全文検索モジュール
PostgreSQL内部にインデックスを持つ(GINインデックス)
PostgreSQLのレプリケーション、リカバリ対応
1,2文字検索対応
日本語検索対応
データベースエンコーディングはUTF8、ロケールはCにのみ対応
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pg_bigmの使い方
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インストール
インストールはいつも通り
$ tar zxf pg_bigm-20130405.tar.gz
$ cd pg_bigm-20130405
$ make USE_PGXS=1 PG_CONFIG=$PGHOME/bin/pg_config
$ su
# make USE_PGXS=1 PG_CONFIG=$PGHOME/bin/pg_config install
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pg_bigmの登録
pg_bigmの登録
$ initdb –D $PGDATA --locale=C --encoding=UTF8
$ vi $PGDATA/postgresql.conf
shared_preload_libraries = 'pg_bigm'
custom_variable_classes = ‘pg_bigm‘ (custom_variable_classesは9.2以降では廃止)
$ pg_ctl start -D PGDATA
$ psql -d <データベース名>
=# CREATE EXTENSION pg_bigm;
=# ¥dx
List of installed extensions
Name | Version | Schema | Description
--------+------+------+--------------------------------
pg_bigm | 1.0 | public | text index searching based on bigrams
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インデックス作成まで
テーブル定義作成
=# CREATE TABLE pg_tools (tool text, description text);
データ投入
=# INSERT INTO pg_tools VALUES ('pg_hint_plan', 'HINT句を使えるようにするツール');
=# INSERT INTO pg_tools VALUES ('pg_dbms_stats', '統計情報を固定化するツール');
=# INSERT INTO pg_tools VALUES ('pg_bigm', '2-gramの全文検索を使えるようにするツール');
=# INSERT INTO pg_tools VALUES ('pg_trgm', '3-gramの全文検索を使えるようにするツール');
インデックス作成
=# CREATE INDEX pg_tools_idx ON hoge USING gin (description gin_bigm_ops);
マルチカラムインデックス作成
=# CREATE INDEX pg_tools_multi_idx ON pg_tools USING gin( tool gin_bigm_ops, description gin_bigm_ops);
GINインデックス(転置インデックス)の詳細は 後程説明します
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実行例
=# SELECT * FROM pg_tools WHERE description LIKE ‘%全文%’;
tool | description
------+------------------------------
pg_bigm | 2-gramの全文検索を使えるようにするツール
pg_trgm | 3-gramの全文検索を使えるようにするツール
(2 rows)
簡単な実行例
=# EXPLAIN ANALYZE SELECT * FROM pg_tools WHERE description LIKE '%全文%'; QUERY PLAN ------------------------------------------------------------------ Bitmap Heap Scan on pg_tools (cost=8.00..12.01 rows=1 width=64) (actual time=0.033..0.034 rows=2 loops=1) Recheck Cond: (description ~~ '%全文%'::text) -> Bitmap Index Scan on pg_tool_idx (cost=0.00..8.00 rows=1 width=0) (actual time=0.025..0.025 rows=2 loops=1) Index Cond: (description ~~ '%全文%'::text) Total runtime: 0.094 ms (5 rows)
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pg_bigmの全文検索のしくみ
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GINインデックスとは
GINインデックス(Generalized Inverted Index)とは?
(Wikipediaより)
全文検索を行う対象からなる文章分から位置情報を格納するための索引構造。
転置索引、逆引き索引などとも呼ばれる
(PostgreSQLマニュアルより)
GINインデックスは(キー、投稿されたリスト)の組み合わせの集合を格納します。
ここで"投稿されたリスト"はキーに合う行IDの集合です。
→「キー」と、「そのキーが出現するTID」の組み合わせを格納するインデックス
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GINインデックスとは
検索キーワード:「accelerometers compensation」
「accelerometers」
5, 10, 25 ,28, 30, 36, 58, 59, 61, 73, 74
「compensation」
30, 68
「accelerometers compensation 」 →30ページにある
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pg_trgmとpg_bigmのインデックス登録時の 挙動の説明をしていきます pg_trgmではキーをINT値で持つ pg_bigmではキーを文字列で持つ
インデックス登録時の挙動
キー TID
△△P 100
△PO 100
POS 100
CRC1 100
CRC2 100
CRC3 100
①3文字分割 「△△P」、「△PO」、 「POS」、「OSぐ」、 「Sぐれ」、「ぐれ△」
②ハッシュ変換+ ソート
「△△P」、「△PO」、「POS」、「CRC1」、「CRC2」、「CRC3」
①2文字分割 「△P」、「PO」、「OS」、「Sぐ」、 「ぐれ」、「れ△」
②ソート 「△P」、「PO」、 「OS」、「Sぐ」、 「ぐれ」、「れ△」
pg_bigm
キー TID
△P 100
PO 100
OS 100
Sぐ 100
ぐれ 100
れ△ 100
TID データ
100 POSぐれ
pg_trgm
キーワード
‘POSぐれ’ INSERT
3Byte以上のtrgmは3Byteにハッシュ変
換されます
INT値で格納される
テキスト型で格納される
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インデックス検索時の挙動
①2文字分割 「OS」 「Sぐ」 「ぐれ」
キーワード‘%OSぐれ%’からTID100のデータが検索されるまでの 挙動を解説します
②インデックススキャン
TID データ
100 POSぐれ
200 POSぐる
300 ぽSぐれ
キー TID
△P 100, 200
△ぽ 300
OS 100, 200
PO 100, 200
Sぐ 100, 200, 300
る△ 200
れ△ 100, 300
ぐれ 100, 300
: :
③TID候補決定
→TID 100 ④Recheck
検索 キーワード
‘%OSぐれ%’
pg_bigmの場合
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Recheck処理の必要性
キー TID
東京 1
京都 1
京と 1
: :
検索ワード:
‘%東京都%’
「東京」 : TID1 「京都」 : TID1
TABLE
INDEX
間違った結果を取ってきてしまう
INDEXを検索 TID決定
Recheck処理で再検査!
例えばこんな時。。
1 東京と京都 : :
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Recheck処理の必要性
実際に見てみる。
postgres=# EXPLAIN ANALYZE SELECT * FROM hoge WHERE col1 LIKE ‘%東京都%';
QUERY PLAN
---------------------------------------------------------
Bitmap Heap Scan on hoge (cost=16.00..20.01 rows=1 width=32) (actualtime=0.019..0.019 rows=0 loops=1)
Recheck Cond: (col1 ~~ ‘%東京都%'::text)
Rows Removed by Index Recheck: 1
-> Bitmap Index Scan on hoge_idx (cost=0.00..16.00 rows=1 width=0) (actualtime=0.011..0.011 rows=1
loops=1)
Index Cond: (col1 ~~ ‘%東京都%'::text)
Total runtime: 0.046 ms
(5 rows)
Bitmap Index Scanでは1行検出しているが、 Rechek処理により間違った結果を排除している
ことがわかる。
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部分一致とは?
①2文字分割 「本」
②インデックススキャン
キー TID
: :
末尾 100, 200
本日 200, 300
本屋 500
本当 400
札束 200
: :
③TID候補決定 ④Recheck
キーワード
‘%本%’
2文字分割後、1文字のキーワードが生成された場合、部分一致を行う関数が実行される (例)検索キーワードが’%東%’の場合など 部分一致では1文字の検索キーワードと各キーの先頭を比較して、一致、不一致を判断する pg_bigmでは部分一致関数を実装しているため、2文字”以下”の検索ができる
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pg_bigmの性能
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性能測定の概要①
pg_bigmとpg_trgmを比較
pg_bigm
→2013年4月に新しく公開されたモジュール。
pg_trgm
→おなじみのPostgreSQL付属のモジュール。日本語対応を有効にして参加。
以下の項目の順番に検証を実施
1. インデックスサイズ → 1、2を前編で実施
2. インデックス作成時間
3. 検索時間 → 3、4を後編で実施
4. インデックス更新時間
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性能測定の概要②
テストデータ
日本語と英語が混在したテキスト
日本語 : 青空文庫より
英語 : Project Gutenbergより (単語の途中で区切られないようにしてある)
テーブル定義
CREATE TABLE hoge (col1 text);
テーブル行数
約85万行 (日本語60万行、英語25万行)
一行あたりのデータサイズ
約600Byte(日本語:200文字/行、英語:600文字/行)
テーブルサイズ
約612MB
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マシンスペック・ソフトウェア関連情報
項目 詳細
OS Red Hat Enterprise Linux 6.3(64bit)
DBMS PostgreSQL 9.2.4
項目 詳細
メーカー DELL
モデル PowerEdge C8220X
CPU Xeon(R) E5-2660 2.20GHz ×2
メモリ 24GB
ディスク HDD1本(RAID構成なし) 回転数:7200rpm、容量:1TB
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インデックスサイズと作成時間の比較 概要
データCOPY→インデックス作成の流れで、インデックスのサイズと作成にかかる時間を計測
全てGINインデックスを使用
それぞれ10回計測を行い、その平均値を結果とする
対象 インデックス作成クエリ
pg_bigm CREATE INDEX hoge_idx ON hoge USING gin (col1 gin_bigm_ops);
pg_trgm CREATE INDEX hoge_idx ON hoge USING gin (col1 gin_trgm_ops);
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インデックスサイズの比較
今回の測定条件ではpg_bigmの方がインデックスサイズが小さいという結果になった
2文字分割の方が分割後のデータが重複する確率が高い
→重複したデータは削除される
(参考) 一つのインデックスキーの大きさの比較
pg_bigm : 英語は「3byte」 ←(データ2byte+TEXT型のヘッダ1Byte)
日本語は「(2文字のバイト数の合計)+(TEXT型のヘッダ1Byte)」
pg_trgm : 4byte(INT値で格納するため。日本語はハッシュ変換される)
(例) 「this」→インデックスキーが5つできる(pg_bigm、pg_trgm共通)
pg_bigm : 3Byte×5個 = 15Byte、 pg_trgm : 4Byte×5個 = 20Byte
対象 テーブルサイズ インデックスサイズ
pg_bigm 612MB
1523MB
pg_trgm 2154MB
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インデックス作成時間の比較
対象 COPY CREATE INDEX Total
pg_bigm
15秒
589秒 604秒
pg_trgm 785秒 800秒
今回の測定条件ではpg_bigmの方がインデックス作成時間が短いという結果になった
pg_trgmの方が書き込むサイズが大きいため (インデックスサイズ結果参照)
pg_trgmはハッシュ変換のオーバーヘッドがある
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まとめ
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まとめ
まとめ
pg_bigmでは日本語に対応している
1、2文字検索に対応している
(今回の測定条件では)pg_bigmの方がpg_trgmと比べてインデックスサイズが小さく、作成時間も短かった
日本語2文字以下の検索をする要件 → pg_bigm一択か?
次回予定
pg_bigmの性能測定(後半)
様々な長さの検索キーワード(英語、日本語)での検索性能
インデックスの更新性能
pg_bigm独自機能やpg_bigmが提供しているパラメータの紹介
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