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編集委員長 稲田 義久 (本日の説明) 編集副委員長 猪木 武徳 編集副委員長 本多 佑三 編集委員 後藤 健太 編集委員 松林 洋一 アジア太平洋研究所 ~アジア太平洋と関西~ 関西経済白書2020 Part Ⅱ 概要

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編集委員長 稲田 義久 (本日の説明)

編集副委員長 猪木 武徳

編集副委員長 本多 佑三

編集委員 後藤 健太

編集委員 松林 洋一

アジア太平洋研究所

~アジア太平洋と関西~関西経済白書2020

Part Ⅱ 概要

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Part Ⅱ 関西経済の直面する問題と回復へのシナリオ

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成果報告2016 ―転換期、新たな道筋を示す

第3章:日本・関西経済の回顧と予測• 日本・関西経済の現況と短期予測・府県別動向を分析

• 対中貿易構造と関西経済

第4章:関西経済の課題と展望• 災害時のリスク管理、日本型雇用システムの現状と課題、産業構造の変化など中長期的な

課題について分析

第5章:関西経済とインバウンド戦略-ポストコロナを見据えて• 新型コロナウイルスの関西経済への影響

• 今後のインバウンド戦略-ポストコロナを見据えて-

第6章:スポーツと関西経済-産業連関表による分析• 大規模スポーツイベントと関西経済

Part Ⅱ 関西経済の直面する問題と回復へのシナリオ

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◆ 需給一致式による1-3月期の調整:供給サイド⇒国内総生産、中国の生産停止による財貨輸入の減少に対し、需要サイド⇒サービス輸出、民間最終消費支出、財貨輸出の減少で調整。

◆ 4-6月期の調整:供給サイド⇒国内総生産の減少に対し、需要サイド⇒緊急事態宣言により民間最終消費支出の減少、ロックダウンによる海外経済の停滞で財貨輸出の減少で調整。

◆ コロナ禍からの調整は同時に一様に起こったのではない。月次指標でみると、 2月に国境が封鎖されたため、影響はインバウンド・アウトバウンド需要(訪日外客統計)や、貿易統計にあらわれた。まず、財貨の輸入が大きく減少した(中国を中心としたGVCに深く組み込まれた結果)。3月には自粛の影響による民間最終消費支出関連指標が、また海外経済の減速につれ、財貨の輸出も減少した。

Chapter 3 Section 1 UPDATE

日本経済の現況と短期予測

単位:10億円、%

全産業活動

指数

実質輸入額

指数

出国日本

人数

消費総合指

資本財出荷

指数

実質輸出額

指数

訪日外客

2019M10 102.8 105.8 99.4 101.8 102.0 109.3 94.0

2019M11 103.4 104.0 98.1 102.9 93.1 108.2 91.9

2019M12 103.5 105.2 102.3 101.7 101.9 109.2 95.1

2020M01 104.1 102.7 82.5 103.0 98.7 106.8 100.2

2020M02 103.4 93.9 78.7 102.3 98.2 108.9 40.8

2020M03 99.8 106.6 16.3 98.5 88.9 105.2 7.3

2020M04 92.1 111.5 0.2 91.1 87.3 90.4 0.1

2020M05 88.3 100.9 0.3 89.2 78.1 85.1 0.1

2020M06 93.7 98.3 0.6 97.6 88.3 86.4 0.1

総供給 総需要

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◆ 消費税増税時における消費総合指数(内閣府)の動態を比較。今回を1年前の平均水準(104.4)と比較すると、2020年7月実績はそれより10.4ポイント低く、90%の水準。消費活動指数(日銀)は88.8%、総消費動向指数(総務省)は95.9%の水準。消費関連指標は89%~96%に停滞。

◆ 消費総合指数の足下の水準が今後1年間続くと、民間消費(GDPシェア55%)は実質GDPを5%程度押し下げる 。参照:成長率予測

◆ 4-6月期の消費総合指数は前期比-8.3%、消費活動指数は同-11.9%、総消費動向指数は同-8.0%低下。 いずれも3四半期連続のマイナス。

Chapter 3 Section 1 UPDATE

日本経済の現況と短期予測

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◆ 関西の実質GRP成長率を2020年度-5.2%、21年度+3.3%と予測(8/28予測)し、日本経済と同様に20年度は記録的な大幅マイナス21年度には回復に転じるが、以前の水準に戻るのは22年度以降になる

◆ 消費税率引き上げとCOVID-19感染拡大のショックを関西も全国と同様の形で受けるただし中国向け輸出のウェイトの高い関西では、対中輸出の回復から20年度の落ち込みは全国に比べると小幅となる

Chapter 3 Section 2 UPDATE

関西経済の現況と短期予測関 西

日 本

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◆ 3月予測と5月予測の水準を比較し、緊急事態宣言等が関西経済全体に与えた影響をみれば、2020年度に民間最終消費支出は2兆1,543億円、民間企業設備は8,252億円、輸出は3兆2,118億円、GRP 全体で3 兆7,537 億円となる

◆ また雇用への影響では、追加的な失業者数は20年度に15万7,966人にのぼり、失業率は4.1%にまで上昇すると予測

Chapter 3 Section 2

関西経済の現況と短期予測

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◆ 1989年の関西の輸入額の内訳をみれば、衣類及び同附属品や織物用糸および繊維製品という品目が上位だが、2019年には通信機、事務用機器、音響・映像機器などの電気製品が急増

◆ 1989年の関西の対中輸出のうち、鉄鋼や織物用糸および繊維製品が多いしかし、2019年になると、関西の対中輸出首位は半導体等電子部品にかわり、全国シェアも67.7%を占めており圧倒的である

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対中貿易構造と関西経済

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◆ 関西の貿易構造は関西から輸出した半導体等電子部品が、中国の工場で最終製品として加工され、製品化された携帯電話やパソコン、音響機器などが再輸入される構造となっている

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◆ 1989年の中部の対中輸入をみると、原油及び粗油や織物用繊維及びくずなどが上位のランクに位置している2019年になると、衣類及び同附属品やその他の雑製品の輸入が増加し、金属製品などの輸入も多くなっている

◆ 1989年の中部の対中輸出をみると、鉄鋼や非金属鉱物製品が輸出の上位品目であったが、2019年には自動車の部分品や原動機など、自動車産業に関連する輸送用機器類の輸出が多い

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対中貿易構造と関西経済

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◆ 中部の貿易構造は、自動車の部分品は輸出入するものの、最終財としての自動車の輸入はランク外にある

◆ このように一方通行の貿易構造となっていることが中部の特徴

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対中貿易構造と関西経済

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◆ 関東の対中輸入をみれば、1989年の段階では他地域に比べ原油及び粗油、衣類及び同附属品に加え魚介類及び同調整品等の食料品を多く輸入していることが特徴しかし、2019年には事務用機器や通信機などの電気機器の輸入が上位に占めており、30年間で大きな変化がみられる

◆ 関東の1989年の対中輸出をみれば、上位品目は鉄鋼や半導体等電子部品、映像機器、2019年には半導体等製造装置や再輸出品等が上位

Chapter 3 Section 4

対中貿易構造と関西経済

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◆ 関東の貿易構造を要約すれば、中国は半導体産業への設備投資として、関東から半導体等製造装置を輸入し、その設備を用いて製造したパソコンをはじめとする事務用機器やスマホ等の通信機を関東へ輸出する、という貿易パターンが成り立っているといえる

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対中貿易構造と関西経済

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◆ 最近の対中貿易を振り返れば、足下2020年3月の輸出を見るとコロナ禍の影響もあり、3地域ともマイナスではあるが、特に関西(前年同月比-0.2%)や関東(同-10.2%)に比べ、中部(同-15.3%)の減少が大きいその要因としては、自動車の部分品の輸出の落ち込みであると考えられる

◆ また、関西における直近の対中輸入に注目してみれば、マスクと通信機の輸入がコロナショックによる影響を大きく受けた

Chapter 3 Section 4

対中貿易構造と関西経済

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◆ 関西や関東では2000年代以降、中国との貿易取引を急速に高めていき、貿易構造が変化こうした貿易構造の変化で、電気機械産業の最終財の生産は日本から中国へとシフト

◆ 関東では、従来型の製造業の生産拠点から、金融サービス、ITサービス等の知識集約型の最終財供給の拠点へと産業構造は着実に進化一方、関西では、産業構造の高度化がスムーズに行われているとは言い難く、電気機械に代わる新たな牽引産業も現時点では特に現れていない

Chapter 3 Section 4

対中貿易構造と関西経済

関西経済は、中国への経営資源のシフト、関東への経営資源のシフトという、二重の意味

での空洞化を余儀なくされつつある

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Chapter 5 Section 1

新型コロナウイルスの関西経済への影響

◆ コロナショックによるインバウンドの影響

◆ 2月1日に政府による水際対策が講じられて以降、訪日外客数は激減し、その影響でインバウンド需要は消失している

◆ 対象となった国及び地域は中国の湖北省から欧州へ拡大され、その後、北米や新興国地域にも拡がり、世界各国に水際対策の措置がとられている

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Chapter 5 Section 1

新型コロナウイルスの関西経済への影響

◆ 水際対策の強化により、訪日外客は激減し、2020年5月の訪日外客数は1,700人(前年同月比-99.9%)となり、同月の関空入国者も181人(同-100%)と過去最低値を記録

◆ 結果、足下の訪日外客はほぼ蒸発した状況となり、特にアジアへの依存度が高い関西ではその影響が強くあらわれている

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Chapter 5 Section 1

新型コロナウイルスの関西経済への影響

◆今回のコロナショックによる影響は、訪日外客のみならず、日本人の国内観光についても影響を与えている

◆2019年の日本人の国内観光消費の内訳をみれば、国内旅行が約80%を占めており、海外旅行は約20%弱

◆2020年以降は、渡航制限の強化によりまず海外旅行から影響を受け、外出自粛による影響が国内旅行に出ている

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Chapter 5 Section 1

新型コロナウイルスの関西経済への影響

◆今回のCOVID-19ショックを、リーマンショック期、東日本大震災期の3つの時期で比較

◆リーマンショック期では二桁を超える大幅なマイナスはあまりみられなかったが、東日本大震災期では発生した当月から大幅なマイナスとなった

◆COVID-19ショックでは世界で感染者が確認された翌月(2020年2月) に大幅なマイナスを記録以降はマイナス幅が拡大し、過去に例をみないほどの落ち込みとなった

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◆ 入国緩和に向けた動き政府は感染者が少ない国から、ビジネス客の往来の緩和について検討をはじめているその際は、PCR検査の陰性証明や2週間の行動計画書の提出を求める等の諸条件があるものの、幾分入国後の行動が緩和されることになろう

◆ 訪日外客回復の課題仮に今後、ビジネス客が全面緩和されたとしても、観光客の入国が緩和されない限り、大幅な回復は期待しづらいまた、有効なワクチンが開発されていないこともあり、以前の訪日外客数の水準に戻るには相当の時間を要することが考えられる

Chapter 5 Section 1

新型コロナウイルスの関西経済への影響

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◆ 2019年11月21日、自主研究プロジェクトの成果をもとに、産官のインバウンド関係者、観光問題の有識者を招いてシンポジウムを開催

◆ 稲田研究統括による課題提起では「今後の関西におけるインバウンド拡大にはブランド力、広域・周遊化、イノベーションの『三位一体』の分析が重要」と指摘

◆ この3つをテーマにパネルディスカッションを展開急増する訪日客によって噴出する課題を、さまざまな分野におけるイノベーションによって乗り越えようという認識で一致

◆ シンポジウム概要は小冊子にまとめ関係者に配布また、APIRウェブサイトに掲載

Chapter 5 Column A

APIR シンポジウム インバウンド先進地域としての関西

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Chapter 5 Section 2

今後のインバウンド戦略 -ポストコロナを見据えて

◆ポストコロナを見据えた戦略として、今後はこれまでに示した3つの視点、「ブランド力」「イノベーション」「広域・周遊化」に加えて、基層に「安全・安心・安堵」の視点を加えた分析が重要

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◆Box1.外国人目線から見た日本の観光インフラの課題

インバウンド戦略を考えていく上で外国人目線が重要APIR所属の外国人研究員やインターンシップ生に日本のインバウンドについてヒアリングを行い、課題を抽出

例えば、薬の名前の違い、現金の引き出しの不自由さ等、日本人では気づきにくい注目すべき指摘も含まれている

Chapter 5 Section 2

今後のインバウンド戦略 -ポストコロナを見据えて

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Chapter 5 Section 3

関西におけるオーバーツーリズム認識の解読 -ヨーロッパとの比較

◆ 外国人目線で京都のオーバーツーリズムをみれば、以下の2種類の根本的な決定要因があるといえる

(1)訪問者の旅行形態(グループツーリズムと日帰り旅行)

(2)宿泊施設の位置と公共交通機関への高依存度

◆ (1)はインバウンド観光客の特性につながっているため「需要側の問題」、(2)は観光施設(インフラ)および国内の輸送容量と法的規制につながっているため「供給側の問題」と呼ぶことができる

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Chapter 6 Section 3

大規模スポーツイベントと関西経済

◆ 関西に影響が大きい大規模スポーツイベントをまとめた

◆ 選抜高等学校野球大会や全国高等学校野球選手権大会などは開催地である兵庫県だけでなく、広く関西地域に経済効果が生じると考えられる

◆ 関西地域ではゴールデン・スポーツイヤーズに関連する大規模スポーツイベントだけでなく、毎年各地域においてスポーツイベントが開催されており、地域の社会・経済にとって欠かせないものとなっている

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Chapter 6 Section 3

ワールドマスターズゲームズ2021関西の経済効果

◆ 「APIR2011年関西地域間産業連関表」を用いて、ワールドマスターズゲームズ2021関西の経済波及効果を試算すると、関西では1,243億円となった

◆ 産業別では対個人サービス、運輸・情報通信等、製造業の順に誘発額が大きく、大会参加者の宿泊費、交通費、買い物代等の効果が出ている

◆ 関西各府県・政令市で広範に競技が開催されるため、経済効果が広い範囲で生じている

◆ 欧米豪を中心に多くの競技参加者や同行者が訪れることで、長期滞在と活発な消費が期待される

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Chapter 6 Section 4

コロナ禍後のスポーツ振興戦略の展望

◆ コロナ禍後のスポーツ戦略について、感染症リスクに対する安全・安心という基盤の構築が必要である

◆ またコロナ禍で急速に拡大したデジタル化の流れがスポーツ分野にもさらに普及するだろう。電気電子機器や電子部品を製造する企業やIoTへ取り組む企業も多い関西にとって、スポーツ分野でのデジタル化、デジタルトランスフォーメーションで大いに貢献できるだろう

◆ 海外からのアスリートや観戦客の訪日促進では、インバウンド誘客策とのタイアップがこれまで以上に重要となる

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Appendix

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◆ 災害発生は、利便性や効率性を求める人間行動が深く関与

◆ 近年、人口・資産が災害発生危険度の高い地域に集積する傾向(東京一極集中等)

◆ そのため、被害の防止・軽減を図る社会システム(法律・制度)のあり方を提案第1に、災害保険(地震保険、水害保険)の強化保険料にリスクを反映し対策強化を促す第2に、災害リスクの高い地域での土地利用規制第3に、空き家を応急借上げ住宅に活用拡大、住宅バウチャーによる迅速な入居第4に、国家の常設防災専門組織として、防災省、西日本防災庁の設置

◆ 巨大災害に備え、平時からの準備、初動、復旧、復興を切れ目なく担う防災省の早期設置が必要

Chapter 4 Section 1

災害リスク管理の視点からの社会システムのあり方

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◆ 経済環境の変化に伴い、「長期雇用」、「年功賃金」、「企業別労使関係」を特徴とする日本型雇用システムへの批判が強まっている

◆ ここでは、経済環境の変化とそれに伴う労働需要・供給の変化を述べ、各論として①企業内人材制度の課題、②労働者層(女性、シニア、外国人)に対する課題、③技術革新の雇用に及ぼす影響について述べ、まとめ・提言を示す

◆ 新しい日本型雇用システムの方向性を以下に示す①企業は様々な背景や能力を持った人材の活躍を図るマネジメントにより、企業の成長・優秀な人材を確保する②個人、組織、そして社会の成長は、個人の自律的な選択と成長を基盤とする③日本の労働社会における個人と社会、政府の役割を再構築する

Chapter 4 Section 2

日本型雇用システムの現状と課題

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Chapter 4 Section 3

産業構造からみた地域創生-各地域の強みと課題

◆ 関西・関東・中部の産業構造を就業者1人当たりの付加価値額からみた収益力で比較すると、関西は、製造業では中部に、サービス業では関東に、その差を拡げられつつあり、基幹産業の不在が目立つ

◆ 大阪府、東京都、愛知県の全要素生産性(TFP)の推計からも明らかのように東京都や愛知県と比べて、大阪府は1990年代後半以降、明らかに鈍化

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◆ 20年度の建設投資額はマイナス成長に転じ、特に店舗、工場、宿泊施設への建設投資がCOVID-19による影響を大きく受ける

◆ 今後オフィス需要の低下が懸念される中、大規模な開発プロジェクトが多数見込まれており、オフィス需給のバランスが大きく崩れる可能性がある

Chapter 4 Section 4

建設投資の今後について -大阪のオフィス需給推移

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◆ 急速に進む高齢化の進行により、社会保障支出が増加を続け、社会保障制度そのものの持続可能性の維持に大きな懸念が生じている

◆ 日本は「中福祉・低負担」の域にあり、将来も他の先進国と遜色ない社会保障サービスを維持するためには、国民負担率の引き上げについて、正面からの議論が避けられない税財源の拡充、自己負担増は不可避だろう

◆ 社会保障制度は、与野党の政争の材料とせず、超党派による議論と改革実行が重要財政と社会保障は表裏の関係にあり、社会保障制度は財政健全化にも目配りした改革が必要財政・社会保障一体の長期推計のもと、給付の水準をどうするか、その負担をどう賄うかについて、国民的議論が必要

Chapter 4 Column A

社会保障の給付と負担の一体改革

Page 34: Part Ⅱ 概要...2020/10/05  · 4-6月期の消費総合指数は前期比-8.3%、 消費活動指数は同-11.9%、総消費動向 指数は同-8.0%低下。いずれも3四半期

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◆ ICTによる都市の課題を解決する「スマートシティ化」が国内外で進んでいる交通機関の予約・決済などを統合していく「MaaS」、医療から予防への政策シフトに伴う「健康計測と予防介入」がその例社会に対しても、地域や共同体の価値が見直される、都市計画のあり方が変わる等の影響が予想される

◆ コロナ禍に対応する中で、ICTやプライバシーデータの利用に国民性の違いが表れた、シビックテックの参加が対応を加速した、等の新たな経験をしたことにより、データの活用に対する抵抗感が幾分緩和される、課題解決に市民が参画する、デジタル化に対する制約が取り払われる等の形で、ICTが社会により浸透していくだろう

◆ 変化を経た社会を持続可能なものとすることが、今後の課題となる

Chapter 4 Column B

スマートシティ化の進展と関西

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Chapter 4 ColumnC

関西企業の特徴と強み

◆ 2025年大阪・関西万博の開催決定IR誘致と併せて関西経済への波及効果が期待される

◆ 改めて関西の経済、企業の特徴を認識し大型イベントに頼らない成長を検討すべき

◆ 関西2府4県は、独自の産業の発展の歴史を有する経済活動の盛んな地域現在は、「豊富な人材」「積極的なビジネス環境設備」「知恵の集積地」という特徴を持つ世界でも屈指の先進科学技術エリアに成長し、多くのイノベーションが生み出される可能性を持つ

◆ 関西は、京都の代表的企業に見られるよう、高付加価値・オンリーワンという独自色を強化し、個性を伸ばすことで存在感を示すべき

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ご清聴、ありがとうございました