保・配特€¦ · 保・配特 次の場合には、配偶者特別控除を受けることができません。 配偶者の合計所得金額(見積額)を次の表により計算してください。
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1 配偶者控除の改正 合計所得金額が1,000万円を超える居住者については、配偶者控除を適用しないこととされました。また、合計所得金額が900万円超950万円以下の居住者については配偶者控除の額が26万円(老人控除対象配偶者は、32万円)とされ、合計所得金額が950万円超1,000万円以下の居住者については配偶者控除の額が13万円(老人控除対象配偶者は、16万円)とされました。
2 配偶者特別控除の改正 38万円の配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額の上限額が40万円未満から85万円以下に引き上げられました。また、合計所得金額が900万円超950万円以下の居住者については配偶者特別控除の額が 3 分の 2 相当額とされ、合計所得金額が950万円超1,000万円以下の居住者については配偶者特別控除の額が 3 分の 1 相当額とされました。
3 障害者控除の改正 上記 1 の改正に伴い、従来の控除対象配偶者に代わり、居住者の同一生計配偶者(居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもののうち、合計所得金額が38万円以下である者)が障害者である場合には、その居住者は障害者控除の適用を受けることができることとされました。
4 配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しに伴う源泉徴収等に関する改正⑴ 配偶者控除に係る所得制限の導入及び配偶者特別控除の対象となる配偶
者の合計所得金額の引上げ等に伴い、給与等に係る源泉徴収の際には、従来の控除対象配偶者に代えて、給与所得者の扶養控除等申告書に記載された源泉控除対象配偶者(合計所得金額が900万円以下である居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもののうち、合計所得金額が85万円以下である者)に該当する者を扶養親族等の数に 1 人加えて税額の計算をすること等とされました。
⑵ 年末調整の際に配偶者控除の適用を受けようとする場合には、給与所得者の配偶者控除等申告書を給与等の支払をする者に提出しなければならな
所得税法(配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し)の改正 本 文参照頁
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いこととされました。⑶ 従たる給与についての扶養控除等申告書は、二以上の給与等の支払者か
ら給与等の支払を受ける給与所得者が、源泉控除対象配偶者について控除を受ける配偶者控除又は配偶者特別控除その他の人的控除の額の合計額を主たる給与等の支払者から受ける給与等からでは控除しきれない場合に提出できることとされました。
⑷ 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書には、従来の控除対象配偶者に代えて、源泉控除対象配偶者に該当する者の有無等を記載することとされました。
1 非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置の改正⑴ 非課税累積投資契約に係る非課税措置が、次のように創設されました。
① 配当所得の非課税措置 金融商品取引業者等の営業所に非課税口座を開設している居住者等が、その非課税口座に累積投資勘定を設けた日から同日の属する年の 1 月 1日以後20年を経過する日までの間に支払を受けるべきその累積投資勘定に係る公募等株式投資信託の配当等(その金融商品取引業者等が国内における支払の取扱者である配当等に限ります。)については、所得税を課さないこととされました。
② 譲渡所得等の非課税措置 金融商品取引業者等の営業所に非課税口座を開設している居住者等が、その非課税口座に累積投資勘定を設けた日から同日の属する年の 1 月 1日以後20年を経過する日までの間にその累積投資勘定に係る公募等株式投資信託の受益権の非課税累積投資契約に基づく譲渡をした場合には、その譲渡による譲渡所得等については、所得税を課さないこととされました。また、その公募等株式投資信託の受益権の譲渡による損失金額は、ないものとみなすこととされました。
③ 非課税累積投資契約 非課税累積投資契約とは、上記の非課税措置の適用を受けるために、居住者等が金融商品取引業者等と締結した累積投資契約により取得した公募等株式投資信託の受益権の振替口座簿への記載等に係る契約で、そ
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の契約書において、次に掲げる事項が定められているものをいいます。イ 公募等株式投資信託の受益権の振替口座簿への記載等は、累積投資
勘定において行うこと。ロ その累積投資勘定においては、その居住者等の公募等株式投資信託
の受益権のうち、累積投資勘定が設けられた日から同日の属する年の12月31日までの期間内にその金融商品取引業者等への買付けの委託等により取得をした受益権(その期間内の取得対価の額の合計額が40万円を超えないものに限ります。)のみを受け入れること。
ハ 累積投資勘定に受け入れる公募等株式投資信託の受益権は、その受益権を定期的に継続して取得することにより個人の財産形成が促進されるものとして一定の要件を満たすものに限られること。
ニ その他一定の事項⑵ 5 年間の非課税期間の満了時に移管される上場株式等でその満了時に設
けられる非課税管理勘定に移管するものについては、移管時の上場株式等の上限額を撤廃し、全ての上場株式等を移管することができることとされました。
⑶ 非課税管理勘定に受入れ可能な上場株式等の範囲に、非課税口座内上場株式等を発行した法人の行った株式分配(個人の株式譲渡益課税の繰延べの対象となるものに限ります。)により取得するその完全子法人の株式が追加されました。
2 未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置の改正⑴ 5 年間の非課税期間の満了時に移管される上場株式等でその満了時に設
けられる非課税管理勘定に移管するものについては、移管時の上場株式等の上限額を撤廃し、全ての上場株式等を移管することができることとされました。
⑵ 非課税管理勘定又は継続管理勘定に受入れ可能な上場株式等の範囲に、未成年者口座内上場株式等を発行した法人の行った株式分配(個人の株式譲渡益課税の繰延べの対象となるものに限ります。)により取得するその完全子法人の株式が追加されました。
3 特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例の改正⑴ 特定口座に受入れ可能な上場株式等の範囲に、特定口座内保管上場株式
等を発行した法人の行った株式分配(個人の株式譲渡益課税の繰延べの対象となるものに限ります。)により取得するその完全子法人の株式などが追加されました。
⑵ 確定申告書又は損失申告書に添付すべき特定口座年間取引報告書の範囲
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に、特定口座年間取引報告書に記載すべき事項を記録した電子証明書等の情報の内容を、国税庁長官の定める方法によって出力することにより作成した書面が追加されました。
4 特定中小会社が発行した株式に係る特例等の改正 特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等、特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等及び特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例について、適用対象となる沖縄振興特別措置法の指定会社に係る同法の規定に基づく指定期限が平成31年 3 月31日まで 2 年延長されました。
5 勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄の利子所得等の非課税の改正 財産形成非課税住宅(年金)貯蓄申告書を提出した個人が、災害等の事由により、その災害等の事由が生じた日から同日以後 1 年を経過する日までの間に財産形成住宅(年金)貯蓄の目的外払出しを行う場合には、その貯蓄に係る利子等に対する遡及課税等を行わないこととされました。
6 配当所得の改正 株式分配を配当所得の対象となる剰余金の配当又は利益の配当から除外した上、法人の株主等が適格株式分配に該当しない株式分配により金銭その他の資産の交付を受けた場合において、その金銭その他の資産の価額の合計額がその法人の資本金等の額のうちその交付の基因となったその法人の株式等に対応する部分の金額を超える場合におけるその超える部分の金額は、配当等とみなすこととされました。
7 一般株式等に係る譲渡所得等の課税の特例及び上場株式等に係る譲渡所得等の課税の特例の改正 法人の株主等がその法人の行った株式分配(その法人の株主等に対して、完全子法人の株式又は出資のみが、現物分配法人の各株主等の有するその現物分配法人の発行済株式等の数又は金額の割合に応じて交付されたものを除きます。)により交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額については、配当等とみなされる部分の金額を除き、一般株式等に係る譲渡所得等又は上場株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなして課税することとされました。
8 株式分配により取得した株式等の取得価額の計算規定の創設 法人の行った株式分配(個人の株式譲渡益課税の繰延べの対象となるものに限ります。)により取得した完全子法人の株式の取得価額及び株式分配を行った法人の株主等が所有するその法人の株式の取得価額の付替え計算の方法が定められました。
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9 交付金銭等の受領者の告知及び支払調書の改正 適用対象となる交付金銭等の範囲に、法人の株主等がその法人の行った株式分配(個人の株式譲渡益課税の対象となるものに限ります。)により交付を受ける金銭その他の資産が追加されました。
10 国外転出をする場合の譲渡所得等の特例等の改正 本特例の適用を受けた株式を発行した法人が行った株式分配(個人の株式譲渡益課税の繰延べの対象となるものに限ります。)により、国外転出の時後に完全子法人の株式を取得した場合における国外転出時評価額の調整計算の方法が定められました。
11 特定の取締役等が受ける新株予約権等の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等の改正 分割等株式の範囲に、特定新株予約権等の権利行使により取得をした株式につき取得することとなる株式分配(個人の株式譲渡益課税の繰延べの対象となるものに限ります。)に係る完全子法人株式が追加されました。
1 特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例等の改正(耐久性向上改修工事等に係る特例)⑴ 特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除
の控除額に係る特例の改正 適用対象となる工事に特定断熱改修工事等と併せて行う特定耐久性向上改修工事等を加えるとともに、控除率 2 %の対象となる住宅借入金等の範囲に、特定断熱改修工事等と併せて行う特定耐久性向上改修工事等に要した費用に相当する住宅借入金等が加えられました。 この「特定耐久性向上改修工事等」とは、①小屋裏、②外壁、③浴室、脱衣室、④土台、軸組等、⑤床下、⑥基礎若しくは⑦地盤に関する劣化対策工事又は⑧給排水管若しくは給湯管に関する維持管理若しくは更新を容易にするための工事で、認定を受けた長期優良住宅建築等計画に基づくものであることなど一定の要件を満たすものをいいます。
⑵ 既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除の改正 適用対象となる工事に耐久性向上改修工事等で住宅耐震改修又は一般断熱改修工事等と併せて行うものを加えるとともに、その控除額を住宅耐震改修又は一般断熱改修工事等に係る標準的な工事費用相当額及び耐久性向
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上改修工事等に係る標準的な工事費用相当額の合計額(250万円(一般断熱改修工事等と併せて太陽光発電装置の設置工事を行う場合には、350万円)を限度)の10%に相当する金額とすることとされました。 また、住宅耐震改修及び一般断熱改修工事等と併せて耐久性向上改修工事等を行った場合における控除額は、その住宅耐震改修に係る標準的な工事費用相当額、一般断熱改修工事等に係る標準的な工事費用相当額及び耐久性向上改修工事等に係る標準的な工事費用相当額の合計額(500万円
(一般断熱改修工事等と併せて太陽光発電装置の設置工事を行う場合には、600万円)を限度)の10%に相当する金額とすることとされました。 この「耐久性向上改修工事等」とは、①小屋裏、②外壁、③浴室、脱衣室、④土台、軸組等、⑤床下、⑥基礎若しくは⑦地盤に関する劣化対策工事又は⑧給排水管若しくは給湯管に関する維持管理若しくは更新を容易にするための工事で、認定を受けた長期優良住宅建築等計画に基づくものであることなど一定の要件を満たすものをいいます。
2 土地の譲渡等に係る事業所得等の課税の特例の改正 適用停止期間が平成32年 3 月31日まで 3 年延長されました。
3 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の改正⑴ 適用対象に、土地開発公社に対する次に掲げる土地等の譲渡で、その譲
渡に係る土地等が独立行政法人都市再生機構が施行するそれぞれ次に定める事業の用に供されるものが追加されました。① 被災市街地復興推進地域内にある土地等 被災市街地復興土地区画整
理事業② 住宅被災市町村の区域内にある土地等 第二種市街地再開発事業
⑵ 特定非常災害に基因するやむを得ない事情により予定期間内に優良住宅地等のための譲渡に該当することが困難となった場合には、税務署長の承認等の要件の下、その予定期間を、その予定期間の末日後 2 年以内の日であって税務署長が認定した日の属する年の12月31日まで延長することとされました。
⑶ 適用期限が平成31年12月31日まで 3 年延長されました。4 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例等の改正
⑴ 被災市街地復興土地区画整理事業等に係る措置① 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例
イ 適用対象に、次に掲げる土地等が次に定める事業の用に供するために地方公共団体又は独立行政法人都市再生機構(土地開発公社を含みます。)に買い取られ、対価を取得する場合が追加されました。
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イ 地方公共団体又は独立行政法人都市再生機構が被災市街地復興推進地域において施行する減価補償金を交付すべきこととなる被災市街地復興土地区画整理事業の施行区域内にある土地等 公共施設の整備改善に関する事業
ロ 地方公共団体又は独立行政法人都市再生機構が住宅被災市町村の区域において施行する第二種市街地再開発事業の施行区域内にある土地等 第二種市街地再開発事業
ロ 個人の有する土地等が下記②イに該当することとなったことに伴い、その土地の上にある資産が土地区画整理法の規定により除却される場合において、その資産の損失に対して同法の規定による補償金を取得するときは、その土地の上にある資産について収用等による譲渡があったものとみなすこととされました。
② 換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例イ 個人が、その有する土地等で被災市街地復興推進地域内にあるもの
につき被災市街地復興土地区画整理事業が施行された場合において、その土地等に係る換地処分により代替住宅等を取得したときは、その換地処分により譲渡した土地等の譲渡がなかったものとみなすこととされました。
ロ 個人が、その有する土地等で被災市街地復興推進地域内にあるものにつき被災市街地復興土地区画整理事業が施行された場合において、その土地等に係る換地処分により代替住宅等を取得したときは、上記イの適用を受ける場合を除き、その換地処分により取得した住宅又は住宅等は換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例の清算金に該当するものとされました。
③ 収用交換等により取得した代替資産等の取得価額の計算 上記②イにより取得した代替住宅等に対応する部分の金額としてその代替住宅等の取得価額とされる金額は、譲渡資産の取得価額等のうち、その譲渡資産について譲渡がなかったものとみなされた部分に対応する金額とされたほか、所要の規定の整備が行われました。
⑵ 特定非常災害に基因するやむを得ない事情により取得指定期間内に代替資産の取得をすることが困難となった場合における取得指定期間の延長の特例 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例及び交換処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例について、特定非常災害に基因するやむを得ない事情により取得指定期間内に代替資産の取得をすることが困難となった場合には、税務署長の承認等の要件の下、その取得指定期間を、
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その取得指定期間の末日後 2 年以内の日であって税務署長が認定した日まで延長することとされました。
5 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除の改正 適用対象となる都市緑地法の規定により土地等が買い取られる場合について、適用対象となる買取りを行う者から特定緑地管理機構を除外するとともに、都市緑地法の改正後の緑地保全・緑化推進法人を引き続き適用対象となる買取りを行う者とすることとされました。
6 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除の改正 適用対象に、被災市街地復興推進地域内にある土地等が次に掲げる場合に該当することとなった場合が追加されました。⑴ その土地等が被災市街地復興特別措置法の買取りの申出に基づき都道府
県知事等に買い取られる場合⑵ その土地等につき被災市街地復興土地区画整理事業が施行された場合に
おいて、保留地が定められたことに伴い、その土地等に係る換地処分によりその土地等のうち保留地の対価の額に対応する部分の譲渡があったとき
7 農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の800万円特別控除の改正 農村地域工業等導入促進法の改正による対象業種の拡大等の後も引き続き、実施計画における産業導入地区内の一定の土地等を一定の施設用地に供するために譲渡した場合を適用対象とすることとされました。
8 特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例の改正 特定非常災害に基因するやむを得ない事情により取得期限までに買換資産の取得をすることが困難となった場合には、税務署長の承認等の要件の下、その取得期限を、その取得期限の属する年の翌々年12月31日とすることとされました。
9 特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例等の改正 次の見直しが行われた上で、適用期限が平成32年12月31日(一部は同年 3月31日)まで 3 年延長されました。⑴ 既成市街地等の内から外への買換えに係る措置について、譲渡資産から
事務所及びその敷地の用に供されている土地等が、買換資産から立地適正化計画を作成した市町村のその立地適正化計画に記載された都市機能誘導区域以外の地域内にある誘導施設に該当するものに係る土地等、建物及び構築物が、それぞれ除外されました。
⑵ 所要の経過措置を講じた上で、市街化区域又は既成市街地等の内から外
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への農業用資産の買換え及び認定農業者又は認定就農者が農用地利用集積計画の定めるところにより行う農用地区域内にある土地等の買換えが適用対象となる買換えから除外されました。
⑶ 日本船舶から一定の日本船舶への買換えに係る措置について、次の見直しが行われました。① 譲渡資産及び買換資産から漁業の用に供される船舶を除外② 譲渡資産となる船舶のうち建設業又はひき船業用のものの進水の日か
ら譲渡の日までの期間の上限を40年(改正前:45年)に引下げ③ 買換資産のうち沿海運輸業の用に供される船舶(総トン数が2,000ト
ン以上の船舶に限ります。)の要件の見直し⑷ 特定非常災害に基因するやむを得ない事情により取得指定期間内に買換
資産の取得をすることが困難となった場合には、税務署長の承認等の要件の下、その取得指定期間を、その取得指定期間の末日後 2 年以内の日であって税務署長が認定した日まで延長することとされました。
10 既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例の改正 特定非常災害に基因するやむを得ない事情により取得指定期間内に買換資産の取得をすることが困難となった場合には、税務署長の承認等の要件の下、その取得指定期間を、その取得指定期間の末日後 2 年以内の日であって税務署長が認定した日まで延長することとされました。
11 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の改正 特定非常災害に基因するやむを得ない事情により取得期限までに買換資産の取得をすることが困難となった場合には、税務署長の承認等の要件の下、その取得期限を、その取得期限の属する年の翌々年12月31日とすることとされました。
12 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除(住宅ローン税額控除)等の改正⑴ 災害により居住の用に供することができなくなった場合の住宅ローン税
額控除の継続適用及び重複適用① 住宅ローン税額控除の適用を受ける家屋(以下「従前家屋」といいま
す。)が災害により居住の用に供することができなくなった場合には、災害により居住の用に供することができなくなった年に限り住宅ローン税額控除を適用できることとする改正前の措置に代えて、災害により居住の用に供することができなくなった年以後の従前家屋に係る適用年
(次に掲げる年以後の各年を除きます。)について住宅ローン税額控除の適用を受けることができることとされました。
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イ 従前家屋若しくはその敷地の用に供されていた土地等又はその土地等に新たに建築した建物等を事業の用若しくは賃貸の用又は親族等に対する無償による貸付けの用に供した場合(災害に際し被災者生活再建支援法が適用された市町村の区域内に所在する従前家屋をその災害により居住の用に供することができなくなった者(以下「再建支援法適用者」といいます。)がその土地等に新築等をした家屋について、住宅ローン税額控除又は認定住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除の適用を受ける場合を除きます。)における事業の用若しくは賃貸の用又は貸付けの用に供した日の属する年
ロ 従前家屋又はその敷地の用に供されていた土地等の譲渡をし、その譲渡について居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除又は特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の適用を受ける場合におけるその譲渡の日の属する年
ハ 災害により従前家屋を居住の用に供することができなくなった者(再建支援法適用者を除きます。)が取得等をした家屋について住宅ローン税額控除又は認定住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除の適用を受けた年
② なお、再建支援法適用者が家屋の再取得等をした場合には、従前家屋に係る住宅ローン税額控除と再取得等をした家屋に係る住宅ローン税額控除を重複して適用できることとし、その重複して適用できる年における税額控除額は、改正前の 2 以上の住宅の取得等に係る住宅借入金等の金額を有する場合の控除額の調整措置によることとされました。
⑵ 適用対象となる省エネ改修工事の範囲の拡充 住宅ローン税額控除等の適用対象となる省エネ改修工事に、居室の窓の断熱改修工事等又は居室の窓の断熱改修工事等と併せて行う天井、壁若しくは床の断熱改修工事等で、改修後の住宅全体の断熱等性能等級が改修前から一段階相当以上向上し、改修後の住宅全体の省エネ性能が「断熱等性能等級 4 」又は「一次エネルギー消費量等級 4 以上及び断熱等性能等級3 」となること等の要件を満たすものを加えることとされました。
⑶ 増改築等工事証明書等の改正 住宅ローン税額控除等の適用対象となる増改築等に該当することを証明する書類(増改築等工事証明書)及び既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除の適用対象となる耐震改修に該当することを証明する書類(住宅耐震改修証明書)の様式を統一することとされました。
⑷ 住宅ローン税額控除の対象とならない「給与所得者等が使用者等から使用人である地位に基づいて貸付けを受けた住宅借入金等」に係る利率の引
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下げ 給与所得者等が使用者等から使用人である地位に基づいて貸付けを受けた住宅借入金等のうち、住宅ローン税額控除の適用対象とならない住宅借入金等に係る利率を0.2%未満(改正前: 1 %未満)に引き下げることとされました。
⑸ 消費税率の10%への引上げ時期の変更を踏まえた住宅ローン税額控除等の適用期限の延長 消費税率10%への引上げの実施時期が 2 年 6 月後の平成31年10月 1 日に変更されることと併せて、住宅ローン税額控除等の適用期限が平成33年12月31日まで 2 年 6 月延長されました。
第一 租税特別措置法関係1 試験研究を行った場合の所得税額の特別控除制度の改正
⑴ 試験研究費の総額に係る特別税額控除制度① 税額控除割合が、次の増減試験研究費割合の区分に応じ次に定める割
合(その年が事業を開始した日の属する年であるとき又は比較試験研究費の額が零であるときは、8.5%)とされました。イ 増減試験研究費割合が 5 %超の場合…… 9 %+(増減試験研究費割
合- 5 %)×0.3(上限:10%(平成30年及び平成31年の 2 年間は14%))
ロ 増減試験研究費割合が 5 %以下の場合…… 9 %-( 5 %-増減試験研究費割合)×0.1(下限: 6 %)
② 平成30年及び平成31年の 2 年間の時限措置として、試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合には、税額控除額の上限を、調整前事業所得税額の25%相当額に、調整前事業所得税額に試験研究費割合から10%を控除した割合に 2 を乗じて計算した割合(上限:10%)を乗じて計算した金額を加算した金額とする措置が講じられました。
⑵ 中小企業基盤強化税制① 平成30年及び平成31年の 2 年間の時限措置として、増減試験研究費割
合が 5 %を超える場合には、次の措置が講じられました。イ 税額控除割合に(増減試験研究費割合- 5 %)×0.3を加算(上限:
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租税特別措置法等(所得税関係の事業所得等の課税の特例その他) の改正
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17%)ロ 税額控除額の上限を調整前事業所得税額の35%相当額に拡充
② 上記⑴②と同じ措置が講じられました。⑶ 特別試験研究費の額に係る特別税額控除制度
大学等又は他の者との共同研究に係るその共同研究に係る個人の試験研究費の額及び大学等又は特定中小企業者等への委託研究におけるその委託研究に係る個人の委託試験研究費の額について、大学等、他の者又は特定中小企業者等が支出するこれらの試験研究に要した費用の項目の限定(改正前:原材料費、人件費、旅費、経費及び外注費に限定)が撤廃され、これらの研究に要した費用で個人が負担したものに係るものとされました。
⑷ 試験研究費の増加額又は平均売上金額の10%相当額を超える試験研究費の額に係る特別税額控除制度 試験研究費の増加額に係る特別税額控除制度が適用期限(平成29年)の到来をもって廃止されるとともに、平均売上金額の10%相当額を超える試験研究費の額に係る特別税額控除制度の適用期限が平成31年まで 2 年延長されました。
⑸ 試験研究費の範囲について、対価を得て提供する新たな役務の開発に係る試験研究のために要する一定の費用が追加されました。
2 エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除制度の改正 適用除外となる「新エネルギー利用設備等を電気事業法の電気事業の用に供した場合」が、「新エネルギー利用設備等を電気事業法の発電事業者に該当する個人のうち、小売電気事業者、一般送配電事業者、送電事業者若しくは特定送配電事業者のいずれかに該当するもの又は大規模な発電を行うものが発電の用に供した場合」とされました。
3 中小事業者が機械等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除制度の改正 次の見直しが行われた上で、適用期限が平成31年 3 月31日まで 2 年延長されました。⑴ 特定生産性向上設備等に係る上乗せ措置が適用期限(平成29年 3 月31
日)の到来をもって廃止されました。⑵ 対象資産から器具備品が除外されました。⑶ 税額控除額の上限が、この制度、特定中小事業者が経営改善設備を取得
した場合の所得税額の特別控除制度及び特定中小事業者が特定経営力向上設備等を取得した場合の所得税額の特別控除制度における税額控除額の合計でその年分の調整前事業所得税額の20%相当額とされました。
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4 地域経済牽けん
引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除制度の創設 青色申告書を提出する個人で地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律の承認地域経済牽引事業者であるものが、企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律の施行の日から平成31年 3 月31日までの間に、その個人の行う承認地域経済牽引事業に係る促進区域内においてその承認地域経済牽引事業に係る承認地域経済牽引事業計画に従って特定地域経済牽引事業施設等の新設又は増設をする場合において、その新設又は増設に係る特定事業用機械等の取得等をして、これをその承認地域経済牽引事業の用に供したときは、その用に供した年においてその特定事業用機械等の取得価額(その特定事業用機械等に係る 1 の特定地域経済牽引事業施設等を構成する機械等の取得価額の合計額が100億円を超える場合には、100億円にその特定事業用機械等の取得価額がその合計額のうちに占める割合を乗じて計算した金額。以下「基準取得価額」といいます。)の40%(建物等及び構築物については、20%)相当額の特別償却とその基準取得価額の 4 %(建物等及び構築物については、2 %)相当額の税額控除との選択適用ができることとされました。
5 地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除制度の改正 平成29年 4 月 1 日から平成30年 3 月31日までの間に地方活力向上地域特定業務施設整備計画について認定を受けた個人の税額控除割合が特定建物等の取得価額の 4 %(その地方活力向上地域特定業務施設整備計画が移転型計画である場合には、 7 %)とされました。
6 特定の地域において雇用者の数が増加した場合の所得税額の特別控除制度の改正 地方事業所基準雇用者数に係る措置について、地方事業所税額控除限度額が次に掲げる金額の合計額(改正前:20万円(基準雇用者割合が10%以上であること等の証明がされた場合には、50万円)にその個人の適用年の地方事業所基準雇用者数(その適用年の基準雇用者数を限度とします。以下同じです。)を乗じて計算した金額)とされました。⑴ 30万円(基準雇用者割合が10%以上であること等の証明がされた場合に
は、60万円)に、その適用年の地方事業所基準雇用者数のうちその個人が受けた地域再生法の認定に係る特定業務施設においてその適用年に新たに雇用された次に掲げる要件を満たす雇用者でその適用年の12月31日においてその特定業務施設に勤務するものの数として証明がされた数(以下「特定新規雇用者数」といいます。)に達するまでの数を乗じて計算した金額
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① その個人との間で労働契約法の有期労働契約以外の労働契約を締結していること。
② 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の短時間労働者でないこと。
⑵ 20万円(基準雇用者割合が10%以上であること等の証明がされた場合には、50万円)に、その個人が受けた地域再生法の認定に係る特定業務施設においてその適用年に新たに雇用された雇用者でその適用年の12月31日においてその特定業務施設に勤務するものの総数として証明がされた数(以下「新規雇用者総数」といいます。)から特定新規雇用者数を控除した数のうちその新規雇用者総数の40%相当数に達するまでの数とその地方事業所基準雇用者数からその新規雇用者総数を控除した数とを合計した数を乗じて計算した金額
⑶ 10万円(基準雇用者割合が10%以上であること等の証明がされた場合には、40万円)に、新規雇用者総数から特定新規雇用者数を控除した数のうちその新規雇用者総数の40%相当数を超える部分の数を乗じて計算した金額
7 特定中小事業者が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除制度の改正 税額控除額の上限が、この制度、中小事業者が機械等を取得した場合の所得税額の特別控除制度及び特定中小事業者が特定経営力向上設備等を取得した場合の所得税額の特別控除制度における税額控除額の合計でその年分の調整前事業所得税額の20%相当額とされた上で、適用期限が平成31年 3 月31日まで 2 年延長されました。
8 特定中小事業者が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除制度の創設 特定中小事業者が、平成29年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に、特定経営力向上設備等の取得等をして、これを国内にあるその特定中小事業者の営む指定事業の用に供した場合には、その指定事業の用に供した年においてその特定経営力向上設備等の取得価額から普通償却額を控除した金額に相当する金額の特別償却(即時償却)とその取得価額の10%相当額の税額控除との選択適用ができることとされました。
9 雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除制度の改正⑴ 中小事業者で平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金
額のその比較平均給与等支給額に対する割合が 2 %以上であることとの要件を満たすものの税額控除限度額が、雇用者給与等支給増加額の10%相当額に、その雇用者給与等支給増加額のうち雇用者給与等支給額から比較雇
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用者給与等支給額を控除した金額に達するまでの金額に12%を乗じて計算した金額を加算した金額(改正前:雇用者給与等支給増加額の10%相当額)とされました。
⑵ 中小事業者以外の個人の平均給与等支給額に係る要件が、平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額のその比較平均給与等支給額に対する割合が 2 %以上であること(改正前:平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えること。)とされた上、税額控除限度額が雇用者給与等支給増加額の10%相当額に、その雇用者給与等支給増加額のうち雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額に達するまでの金額に 2 %を乗じて計算した金額を加算した金額(改正前:雇用者給与等支給増加額の10%相当額)とされました。
10 特定設備等の特別償却制度の改正⑴ 公害防止用設備の特別償却について、取得価額要件が600万円以上(改
正前:300万円以上)に引き上げられた上で、適用期限が平成31年 3 月31日まで 2 年延長されました。
⑵ 船舶の特別償却について、環境への負荷の低減に係る要件の見直し等が行われた上で、適用期限が平成31年 3 月31日まで 2 年延長されました。
⑶ 自動車の運転に関する技能及び知識の教授に係る学習支援業を営む青色申告書を提出する中小事業者で指定自動車教習所を設置するものが、平成29年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に、その指定自動車教習所においてその学習支援業の用に供される自動車教習用貨物自動車の取得等をして、これをその学習支援業の用に供した場合には、その学習支援業の用に供した年においてその自動車教習用貨物自動車の取得価額の20%相当額の特別償却ができることとされました。
11 被災代替資産等の特別償却の創設 個人が、特定非常災害に係る特定非常災害発生日からその特定非常災害発生日の翌日以後 5 年を経過する日までの間に、次に掲げる減価償却資産でその特定非常災害に基因してその個人の事業の用に供することができなくなった建物等、構築物若しくは機械装置に代わるものの取得等をしてこれをその個人の事業の用に供した場合又は次に掲げる減価償却資産の取得等をしてこれを被災区域及びその被災区域である土地に付随して一体的に使用される土地の区域内においてその個人の事業の用に供した場合には、その用に供した年において、これらの減価償却資産の取得価額に次に掲げるその取得等の時期に応じたそれぞれ次に定める割合を乗じて計算した金額の特別償却ができることとされました。① 建物等又は構築物
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イ 特定非常災害発生日からその特定非常災害発生日の翌日以後 3 年を経過した日(以下「発災後 3 年経過日」といいます。)の前日までの間に取得等をしたもの……15%(中小事業者にあっては、18%)
ロ 発災後 3 年経過日以後に取得等をしたもの……10%(中小事業者にあっては、12%)
② 機械装置イ 特定非常災害発生日から発災後 3 年経過日の前日までの間に取得等を
したもの……30%(中小事業者にあっては、36%)ロ 発災後 3 年経過日以後に取得等をしたもの……20%(中小事業者にあ
っては、24%)12 特定地域における工業用機械等の特別償却制度の改正
過疎地域に係る措置の対象事業について農林水産物等販売業の追加・コールセンター業の除外が行われた上で、適用期限が平成31年 3 月31日まで 2 年延長されました。
13 医療用機器の特別償却制度の改正 対象となる医療用機器の見直し(追加:14機器、除外:29機器)が行われた上で、適用期限が平成31年 3 月31日まで 2 年延長されました。
14 事業再編計画の認定を受けた場合の事業再編促進機械等の割増償却制度の創設 青色申告書を提出する個人で農業競争力強化支援法の認定事業再編事業者
(同法の施行の日から平成31年 3 月31日までの間に同法の事業再編計画の認定を受けた個人に限ります。)であるものが、その認定事業再編計画の実施期間内において、事業再編促進機械等の取得等をして、これをその個人の事業再編促進対象事業の用に供した場合には、その事業再編促進対象事業の用に供した年から 5 年間(その用に供している期間に限ります。)、その事業再編促進機械等の普通償却額の40%(建物及びその附属設備並びに構築物については、45%)相当額の割増償却ができることとされました。
15 サービス付き高齢者向け賃貸住宅の割増償却制度の廃止 適用期限(平成29年 3 月31日)の到来をもって廃止されました。
16 特定都市再生建築物等の割増償却制度の改正 次の見直しが行われた上で、適用期限が平成31年 3 月31日まで 2 年延長されました。⑴ 都市再生特別措置法の認定計画等に基づく都市再生事業により整備され
る建築物に係る措置について、特定都市再生緊急整備地域を除く都市再生緊急整備地域内において行われる都市再生事業の要件のうち、その都市再生事業の施行される事業区域内に整備される建築物の延べ面積要件が
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75,000㎡以上(改正前:50,000㎡以上)に引き上げられました。⑵ 中心市街地の活性化に関する法律の認定特定民間中心市街地経済活力向
上事業計画に基づく特定民間中心市街地経済活力向上事業により整備される建築物及び構築物に係る措置が除外されました。
⑶ 雨水貯留利用施設に係る措置の対象資産から雨水貯留利用施設と併せて設置される減菌装置及びろ過装置が除外されました。
17 農業経営基盤強化準備金制度の改正 適用期限が平成30年 3 月31日まで 1 年延長されました。
18 肉用牛の売却による農業所得の課税の特例の改正 適用期限が平成32年まで 3 年延長されました。
19 山林所得に係る森林計画特別控除制度の改正 この制度の対象となる森林経営計画に、木材の安定供給の確保に関する特別措置法の改正により創設された森林経営計画の認定の特例により認定又は変更の認定がされた森林経営計画が加えられました。
20 公益法人等に対して財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税措置の改正 承認手続の特例の対象となる贈与等の範囲について、公益社団法人、公益財団法人、都道府県知事所轄の学校法人又は社会福祉法人に対する贈与等で一定の要件を満たすものが追加されるとともに、一定の株式等の贈与等が除外されました。
21 公益社団法人等に寄附をした場合の所得税額の特別控除制度の改正 この制度の対象となる社会福祉法人の情報公開要件について、社会福祉法の改正に伴う整備が行われました。
第二 所得税法関係1 所得税の納税地の異動届出書等の提出先のワンストップ化
所得税の納税地の異動の届出書等の異動前後の双方の納税地の所轄税務署長に提出することとされていた届出書について、異動前の納税地の所轄税務署長等にのみ提出すれば良いこととされました。
2 確定拠出年金制度等の改正等に伴う所得税法施行令等の改正 確定拠出年金法の改正等に伴い、退職所得控除額に係る勤続年数等について整備が行われました。
3 特定譲渡制限付株式等に関する改正 特定譲渡制限付株式等の範囲に、役務提供を受けた法人以外の法人が交付する一定の株式が追加されました。
4 移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入制度の改正 この制度の対象となるやむを得ない事由の範囲に、被災市街地復興土地区画整理事業が施行された場合の換地処分により譲渡した土地の上にある資産
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の除却等が加えられました。5 医療費控除(特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特
例を含む。)の添付書類の改正⑴ 医療費控除の適用を受ける者は、医療費の明細書又は医療保険者等の医
療費通知書を確定申告書の提出の際に添付しなければならないこととされました。この場合において、税務署長は、その適用を受ける者に対し、確定申告期限等から 5 年間、その明細書に係る医療費の領収書(次に掲げるものを除きます。)の提示又は提出を求めることができることとし、その求めがあったときは、その適用を受ける者は、領収書の提示又は提出をしなければならないこととされました。① 確定申告書の提出の際に、医療保険者等の医療費通知書を添付した場
合における医療費通知書に係る医療費の領収書② e -Tax により確定申告を行った際に、医療保険者等から通知を受け
た医療費通知情報でその医療保険者等の電子署名及びその電子署名に係る電子証明書が付されたものを送信した場合における医療費通知情報に係る医療費の領収書
⑵ 特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)の適用を受ける者についても、医療保険者等の医療費通知書に関する事項を除き、上記⑴と同様の改正が行われました。
⑶ 上記⑴及び⑵の改正は、平成29年分以後の確定申告書を平成30年 1 月 1日以後に提出する場合について適用されますが、平成29年分から平成31年分までの確定申告に限り、改正前と同様に、領収書の添付又は提示による控除の適用もできることとされています。
第三 震災税特法関係1 復興産業集積区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は所得税
額の特別控除制度の改正 復興居住区域に係る措置について、被災者向け優良賃貸住宅のうち認定地方公共団体の指定を受けた個人が取得等をしてその認定に係る認定復興推進計画に定められた復興居住区域内において賃貸住宅供給事業の用に供したものの特別償却限度額及び税額控除限度額が次のとおりとされた上で、適用期限が平成33年 3 月31日まで 4 年延長されました。⑴ 特別償却限度額……その取得価額の25%(平成32年 4 月 1 日から平成33
年 3 月31日までの間に取得等をしたものについては、17%)相当額⑵ 税額控除限度額……その取得価額の 8 %(平成32年 4 月 1 日から平成33
年 3 月31日までの間に取得等をしたものについては、 6 %)相当額 なお、認定を受けた福島県又は福島県の区域内の市町村の指定を受けた個
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人が取得等をしてその認定に係る認定復興推進計画に定められた復興居住区域内において賃貸住宅供給事業の用に供したものの特別償却限度額及び税額控除限度額は、従前どおりとされています。
2 避難解除区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除制度の改正 この制度の適用期間の始期に特定復興再生拠点区域復興再生計画につき認定があった日が追加され、適用期間が避難等指示が解除された日又は特定復興再生拠点区域復興再生計画につき認定があった日のいずれか早い日からその避難等指示が解除された日又は居住等制限指示が解除された日のいずれか遅い日以後 5 年を経過する日までの期間とされる等の見直しが行われました。
3 避難解除区域等において避難対象雇用者等を雇用した場合の所得税額の特別控除制度の改正 この制度の福島県知事の確認を受けることができる期間(確認期間)の始期に特定復興再生拠点区域復興再生計画につき認定があった日が追加され、確認期間が避難等指示が解除された日又は特定復興再生拠点区域復興再生計画につき認定があった日のいずれか早い日からその避難等指示が解除された日又は居住等制限指示が解除された日のいずれか遅い日以後 3 年を経過する日までの期間とされる等の見直しが行われました。
4 被災者向け優良賃貸住宅の割増償却制度の改正 次の見直しが行われた上で、適用期限が平成33年 3 月31日まで 4 年延長されました。⑴ 対象となる特定激甚災害地域から認定復興推進計画に定められた復興居
住区域が除外されました。⑵ この制度の割増償却割合が、次に掲げる被災者向け優良賃貸住宅の区分
に応じそれぞれ次に定める割合に引き下げられました。① 被災者向け優良賃貸住宅のうちその新築の時における耐用年数が35年
未満であるもの……40%(平成31年 4 月 1 日から平成33年 3 月31日までの間に取得し、又は新築したものについては、20%)(改正前:50%)
② 被災者向け優良賃貸住宅のうちその新築の時における耐用年数が35年以上であるもの……56%(平成31年 4 月 1 日から平成33年 3 月31日までの間に取得し、又は新築したものについては、28%)(改正前:70%)
第四 その他 申告要件に係る所要の見直し等が行われました。
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1 確定申告書の提出期限の延長の特例⑴ 内国法人が会計監査人を置いている場合で、かつ、その定款等の定めに
より各事業年度終了の日の翌日から 3 月以内にその事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあると認められる場合には、確定申告書の提出期限について、その定めの内容を勘案して 4 月を超えない範囲内において税務署長が指定する月数の期間延長することができることとされました。
⑵ 延長月数の変更手続を定める等の所要の措置が講じられました。2 役員給与等
⑴ 利益連動給与(改正後:業績連動給与)の見直し① 支給額の算定方法の基礎とすることができる指標の改正
イ 給与の支給額の算定方法の基礎とすることができる指標に、株式の市場価格の状況を示す指標及び売上高の状況を示す指標が追加されました。
ロ 利益の状況を示す指標の要素となる利益の額、費用の額等の算出期間について、職務執行期間開始日以後に終了する事業年度とされました。
ハ 損金経理要件について、給与の見込額として損金経理により引当金勘定に繰り入れた金額を取り崩す方法により経理していることとの要件を満たす場合にも損金算入できることとされました。
② 株式又は新株予約権による給与が、損金算入できる業績連動給与の範囲に追加されました。
③ 同族会社のうち同族会社以外の法人との間にその法人による完全支配関係がある法人の支給する給与が、損金算入できる業績連動給与の範囲に追加されました。
⑵ 退職給与及び新株予約権による給与の見直し 退職給与で業績連動給与に該当するもの及び新株予約権による役員給与について、法人税法第34条第 1 項の損金算入要件を満たさないものは、損金不算入とされました。
⑶ 事前確定届出給与の見直し 事前確定届出給与の範囲に、所定の時期に確定した数の株式又は新株予約権を交付する旨の定めに基づいて支給する給与が追加されました。
⑷ 定期同額給与の見直し 定期給与の各支給時期における支給額から源泉税等の額を控除した金額
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が同額である場合には、その定期給与の各支給時期における支給額は、同額であるものとみなすこととされました。
⑸ 確定申告書の提出期限の延長の特例の改正に伴う見直し 確定申告書の提出期限の延長の特例に係る延長期間の指定を受けている内国法人について、定期同額給与の改定期限、事前確定届出給与の届出期限及び業績連動給与における報酬委員会の決定等の手続期限の見直しが行われました。
⑹ 譲渡制限付株式を対価とする費用の帰属事業年度の特例の見直し① 個人から役務の提供を受ける法人以外の法人が発行した特定譲渡制限
付株式が交付される場合にも本特例の対象となる特定譲渡制限付株式とされました。
② 特定譲渡制限付株式について、給与等課税額が生ずることが確定した日(改正前:給与等課税事由が生じた日)において役務の提供を受けたこととすることとされました。
③ 非居住者に対して交付されている特定譲渡制限付株式又は承継譲渡制限付株式については、その非居住者が居住者であるとしたときにおける給与等課税額が生ずることが確定した日に役務の提供を受けたものとすることとされました。
④ 特定譲渡制限付株式による給与が確定数給与に該当する場合には、その特定譲渡制限付株式の交付が正常な取引条件で行われた場合におけるその役務の提供に係る費用の額は、交付決議時価額に相当する金額とされました。
⑺ 新株予約権を対価とする費用の帰属事業年度の特例の見直し① 権利の譲渡についての制限その他特別の条件が付されている新株予約
権(以下「譲渡制限付新株予約権」といいます。)で次のいずれかに該当するものが本特例の対象となる特定新株予約権とされました。イ その譲渡制限付新株予約権と引換えにする払込みに代えて役務の提
供の対価としてその交付を受ける個人に生ずる債権をもって相殺されること。
ロ 上記イのほか、その譲渡制限付新株予約権が実質的に役務の提供の対価と認められるものであること。
② 個人から役務の提供を受ける法人以外の法人が発行した特定新株予約権が交付される場合にも本特例の対象となる特定新株予約権とされました。
③ 非居住者に対して交付されている特定新株予約権又は承継新株予約権については、その非居住者が居住者であるとしたときにおける給与等課
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税事由が生じた日に役務の提供を受けたものとすることとされました。④ 特定新株予約権による給与が確定数給与に該当する場合には、その特
定新株予約権の交付が正常な取引条件で行われた場合におけるその役務の提供に係る費用の額は、交付決議時価額に相当する金額とされました。
3 組織再編税制⑴ 独立して事業を行うための分割の適格分割への追加
一の法人のみが分割法人となる分割型分割に係る分割法人のその分割前に行う事業をその分割により新たに設立する分割承継法人において独立して行うための分割が、適格分割とされました。
⑵ 株式分配に係る措置の創設 完全子法人の株式のみが移転する株式分配のうち、完全子法人と現物分配法人とが独立して事業を行うための株式分配として一定の要件に該当するものが、適格株式分配とされ、完全子法人の株式の移転が適格株式分配の直前の帳簿価額による譲渡とされるほか、他の適格組織再編成に準じた措置が講じられました。
(注) 株式分配とは、現物分配(剰余金の配当又は利益の配当に限ります。)の
うち、その完全子法人の発行済株式等の全部が移転するものをいいます。
⑶ 吸収合併及び株式交換における対価要件の見直し 吸収合併及び株式交換の適格要件について、合併法人又は株式交換完全親法人の被合併法人又は株式交換完全子法人に対する持株割合が 3 分の 2以上の場合には、金銭その他の資産の交付がある場合にも適格合併又は適格株式交換の要件のうち対価要件を満たすこととされました。
⑷ 完全子法人化の課税関係の統一 全部取得条項付種類株式の端数処理、株式併合の端数処理及び株式売渡請求について、組織再編税制の下に位置づけ、株式交換と同様の適格要件に該当しない場合にはその有する資産の時価評価課税の対象とする一方、その適格要件に該当する場合には連結納税への欠損金の持ち込みを可能とすることとされました。
⑸ 時価評価資産の範囲の見直し 非適格株式交換等に係る株式交換完全子法人等の有する資産の時価評価について、時価評価の対象となる資産の範囲から、帳簿価額が1,000万円に満たない資産が除外されました。
⑹ 全部取得条項付種類株式の端数処理に係るみなし配当 みなし配当の額が生ずる事由となる自己の株式の取得から除外される特定の事由による取得における事由に、全部取得条項付種類株式を発行する旨の定めを設ける定款等の変更に反対する株主等の買取請求に基づく買取
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りが追加されました。⑺ 適格要件の見直し
① 完全支配関係又は支配関係がある法人間で行われる分割型分割に係る株式の保有関係に関する要件について、支配株主と分割法人との間の完全支配関係又は支配関係が継続することが見込まれていることが不要とされました。
② 共同で事業を行うための合併、分割型分割、株式交換及び株式移転に係る株式継続保有要件について、交付される合併法人の株式等のうち支配株主に交付されるもの(対価株式)の全部が支配株主により継続して保有されることが見込まれていることとされました。
③ 当初の組織再編成の後に他の組織再編成が行われることが見込まれている場合における当初の組織再編成の適格要件について、所要の整備が行われました。
④ 株式交換及び株式移転に係る株式の保有関係に関する要件及び支配関係継続要件について、所要の整備が行われました。
⑻ 欠損金の引継ぎの制限及び切捨て並びに特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入における対象資産の取得時期等の見直し① 適格合併等が行われた場合の欠損金の引継ぎの制限
被合併法人等の未処理欠損金額に含まないこととされる欠損金額(引継対象外未処理欠損金額)の計算について、特定資産譲渡等損失額に相当する金額の基因となる資産が、支配関係発生日の属する事業年度開始の日前から有していた一定の資産(改正前:支配関係発生日において有する一定の資産)とされました。
② 適格組織再編成等が行われた場合の欠損金の切捨て 内国法人の欠損金額からないものとされる欠損金額(制限対象欠損金額)の計算について、上記①と同様の改正が行われました。
③ 特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入イ 特定保有資産の範囲が、支配関係発生日の属する事業年度開始の日
前から有していた一定の資産(改正前:支配関係発生日前から有していた一定の資産)とされました。
ロ 特定引継資産から除外される資産に、支配関係法人が支配関係発生日の属する事業年度開始の日以後に有することとなった資産が追加されました。
⑼ 営業権の償却限度額並びに資産調整勘定及び差額負債調整勘定の損金及び益金算入額の計算方法の見直し① 事業年度の中途において事業の用に供した営業権のその事業年度の償
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却限度額について、月割計算を行うこととされました。② 資産調整勘定の金額及び差額負債調整勘定の金額について、これらの
金額が生じた非適格合併等の日の属する事業年度において減額して損金の額及び益金の額に算入しなければならない金額は、月割計算を行うこととされました。
4 災害に関する税制上の措置⑴ 災害損失欠損金の繰戻しによる還付制度の創設
災害のあった日から同日以後 1 年を経過する日までの間に終了する各事業年度又は災害のあった日から同日以後 6 月を経過する日までの間に終了する中間期間において生じた欠損金額のうち、災害損失欠損金額がある場合には、その事業年度又は中間期間開始の日前 2 年(白色申告である場合には、 1 年)以内に開始した事業年度の法人税額のうちその災害損失欠損金額に対応する部分の金額の還付を受けることができることとされました。
⑵ 仮決算による中間申告における所得税額の還付制度の創設 災害のあった日から同日以後 6 月を経過する日までの間に終了する中間期間において生じた災害損失金額がある場合には、その中間期間に係る仮決算による中間申告において、その災害損失金額を限度として、その課された所得税の額で法人税の額から控除しきれなかった金額を還付することとされました。
⑶ 中間申告書の提出不要 国税通則法第11条の規定による申告期限の延長により、中間申告書の提出期限とその中間申告書に係る確定申告書の提出期限とが同一の日となる場合には、その中間申告書の提出を要しないこととされました。
5 法人税の納税地の異動届出書等の提出先のワンストップ化 法人税の納税地の異動の届出について、異動後の納税地の所轄税務署長への提出が不要とされました。また、連結子法人の本店等所在地の異動の届出について、異動後の本店等所在地の所轄税務署長への提出が不要とされました。
6 設立等の届出書の添付書類の簡素化 法人設立届出書、収益事業開始届出書等について、登記事項証明書の添付が不要とされました。
7 その他⑴ 公共法人となる独立行政法人の範囲並びに法人及び根拠法の名称につい
て、所要の改正が行われました。⑵ 公益法人等の範囲に外国人技能実習機構が追加されました。また、収益
事業から除外される事業について、請負業から除外される「学校法人がそ
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の設置している大学に対する他の者の委託を受けて行う研究に係るもの」の要件が、「その委託に係る契約又は協定において、その研究の成果の全部若しくは一部がその学校法人に帰属する旨又はその研究の成果について学術研究の発展に資するため適切に公表される旨が定められている」こととされました。
⑶ 森林組合法の改正に伴い、生産森林組合が認可地縁団体に組織変更する場合には、特定普通法人が公益法人等に該当することとなる場合と同様に、解散及び設立があったものとみなす等により課税関係を清算することとされました。
⑷ 特定株主等によって支配された欠損等法人の欠損金の繰越しの不適用及び資産の譲渡等損失額の損金不算入制度について、制度の適用を判定する期限を繰り上げる事由から解散後に他の者による完全支配関係がある法人の残余財産の確定の見込みがある場合のその解散を除外するとともに、評価損資産の判定時点が特定支配日の属する事業年度開始の日(改正前:特定支配日)とされました。
⑸ 連結納税の開始又は連結グループへの加入に伴う資産の時価評価制度について、時価評価資産の範囲から、帳簿価額が1,000万円に満たない資産が除外されました。
8 地方法人税法関係⑴ 地方法人税の税率の10.3%(改正前:4.4%)への引上げの実施時期が、
平成31年10月 1 日(改正前:平成29年 4 月 1 日)以後に開始する課税事業年度とされました。
⑵ 法人税法の改正に伴う所要の改正が行われました。
1 税額控除等関係⑴ 中小企業者等の法人税率の特例の適用期限が、平成31年 3 月31日まで 2
年延長されました。⑵ 研究開発税制について、次の見直しが行われました。
① 試験研究費の総額に係る税額控除制度イ 税額控除割合が、増減試験研究費割合の次の区分に応じたそれぞれ
次の割合(その事業年度が設立事業年度であるとき又は比較試験研究費の額が零であるときは、8.5%)(改正前:試験研究費割合に応じて
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租税特別措置法等(法人税関係)の改正 本 文参照頁
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8 ~10%)とされました。イ 増減試験研究費割合が 5 %を超える場合: 9 %に、その増減試験
研究費割合から 5 %を控除した割合に0.3を乗じて計算した割合を加算した割合(上限:10%) なお、上記の上限は、平成29年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に開始する各事業年度においては、14%とする措置が講じられています。
ロ 増減試験研究費割合が 5 %以下である場合: 9 %から、 5 %からその増減試験研究費割合を減算した割合に0.1を乗じて計算した割合を減算した割合(下限: 6 %)
ロ 平成29年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に開始する各事業年度における試験研究費割合が10%を超える場合のその10%を超える事業年度において、税額控除額の上限を、当期の調整前法人税額の25%相当額に、その調整前法人税額に試験研究費割合から10%を控除した割合に 2 を乗じて計算した割合(上限:10%)を乗じて計算した金額を加算した金額とする措置が講じられました。
② 中小企業技術基盤強化税制イ 平成29年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に開始する各事業
年度における増減試験研究費割合が 5 %を超える場合のその 5 %を超える事業年度において、次の措置が講じられました。イ 税額控除割合を、12%に、増減試験研究費割合から 5 %を控除し
た割合に0.3を乗じて計算した割合を加算した割合(上限:17%)とする措置
ロ 税額控除額の上限を当期の調整前法人税額の35%相当額とする措置
ロ 上記①ロと同じ措置が講じられました。③ 特別試験研究費の額に係る税額控除制度
大学等又は他の者との共同研究におけるその共同研究に係る法人の自社外試験研究費の額及び大学等又は特定中小企業者等への委託研究におけるその委託研究に係る法人の委託試験研究費の額について、大学等、他の者又は特定中小企業者等が支出するこれらの試験研究に要した費用の項目の限定が撤廃され、これらの試験研究に係る試験研究費の額のうち、これらの試験研究に要した費用であってこれらの法人が負担したものに係るものとされました。
④ 試験研究費の増加額又は平均売上金額の10%相当額を超える試験研究費の額に係る税額控除制度
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試験研究費の増加額に係る税額控除制度がその適用期限(平成29年 3月31日)の到来をもって廃止されるとともに、平均売上金額の10%相当額を超える試験研究費の額に係る税額控除制度の適用期限が平成31年 3月31日まで 2 年延長されました。 ただし、この制度の対象となる事業年度からは、上記①ロ若しくは②ロの措置又は上記②イロの税額控除割合の上限に係る措置の適用を受ける事業年度は除外されます。
⑤ 試験研究費に対価を得て提供する新たな役務の開発に係る一定の試験研究のために要する費用が追加されました。
⑶ 環境関連投資促進税制について、対象から除外されている電気事業の用に供した場合が、発電事業者に該当する法人のうち、小売電気事業者、一般送配電事業者、送電事業者若しくは特定送配電事業者のいずれかに該当するもの又は発電用の電気工作物の出力の合計が200万 kW を超えるものが発電の用に供した場合とされました。
⑷ 中小企業投資促進税制について、次の見直しが行われた上、その適用期限が平成31年 3 月31日まで 2 年延長されました。① 特定生産性向上設備等に係る措置は、その適用期限(平成29年 3 月31
日)の到来をもって廃止されました。② 対象資産から器具備品が除外されました。③ 税額控除額の上限が、この制度における税額控除、下記⑼の制度にお
ける税額控除及び下記⑽の制度における税額控除の合計(改正前:この制度における税額控除のみ)で当期の調整前法人税額の20%相当額とされました。
⑸ 沖縄の特定地域において工業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除制度について、観光地形成促進地域に係る措置における特定民間観光関連施設から野球場等の 9 施設が除外された上、制度の適用期限が平成31年 3 月31日まで 2 年延長されました。
⑹ 青色申告書を提出する法人で地域経済牽けん
引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律の承認地域経済牽引事業者であるものが、企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律の施行の日から平成31年 3 月31日までの間に、その法人の行う承認地域経済牽引事業に係る促進区域内においてその承認地域経済牽引事業に係る承認地域経済牽引事業計画に従って特定地域経済牽引事業施設等の新設又は増設をする場合において、その新設又は増設に係る特定事業用機械等の取得等をして、これをその承認地域経済牽引事業の用に供したときは、その承認地域経済牽引事業の用に供した日を含む事業
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年度において、その特定事業用機械等の基準取得価額の40%(建物等及び構築物は、20%)相当額の特別償却とその基準取得価額の 4 %(建物等及び構築物は、 2 %)相当額の税額控除(税額控除額は、当期の調整前法人税額の20%相当額が上限とされています。)との選択適用ができる制度が創設されました。
⑺ 地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度について、地方活力向上地域特定業務施設整備計画について認定を受けた日が含まれる期間が平成29年 4 月 1 日から平成30年3 月31日までの期間である場合の税額控除割合が、 4 %(改正前: 2 %)
(その地方活力向上地域特定業務施設整備計画が移転型計画である場合には、 7 %(改正前: 4 %))とされました。
⑻ 雇用促進税制のうち地方事業所基準雇用者数に係る措置について、地方事業所税額控除限度額が次の金額の合計額(改正前:20万円又は50万円にその法人のその適用年度の地方事業所基準雇用者数を乗じて計算した金額)とされました。① 30万円(その法人の基準雇用者割合が10%以上であること又はその適
用年度開始の日の前日における雇用者のうちその適用年度終了の日において高年齢雇用者に該当しない者の数が零であることにつき証明がされた場合(以下「証明がされた場合」といいます。)には、60万円)に、その法人のその適用年度の地方事業所基準雇用者数のうちその法人が受けた認定に係る特定業務施設においてその適用年度に新たに雇用された次の要件を満たす雇用者でその適用年度終了の日においてその特定業務施設に勤務するものの数として証明がされた数(以下「特定新規雇用者数」といいます。)に達するまでの数を乗じて計算した金額イ その法人との間で労働契約法の有期労働契約以外の労働契約を締結
していること。ロ 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の短時間労働者でな
いこと。② 20万円(証明がされた場合には、50万円)に、その法人が受けた認定
に係る特定業務施設においてその適用年度に新たに雇用された雇用者でその適用年度終了の日においてその特定業務施設に勤務するものの総数として証明がされた数(以下「新規雇用者総数」といいます。)から特定新規雇用者数を控除した数のうちその新規雇用者総数の40%相当数に達するまでの数とその地方事業所基準雇用者数からその新規雇用者総数を控除した数とを合計した数を乗じて計算した金額
③ 10万円(証明がされた場合には、40万円)に、新規雇用者総数から特
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定新規雇用者数を控除した数のうちその新規雇用者総数の40%相当数を超える部分の数を乗じて計算した金額
⑼ 特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度について、税額控除額の上限がこの制度における税額控除、上記⑷の制度における税額控除及び下記⑽の制度における税額控除の合計(改正前:この制度における税額控除のみ)で当期の調整前法人税額の20%相当額とされた上、その適用期限が平成31年 3 月31日まで 2 年延長されました。
⑽ 中小企業者等が、平成29年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に、特定経営力向上設備等の取得等をして、これを国内にあるその中小企業者等の営む指定事業の用に供した場合には、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、その特定経営力向上設備等の取得価額から普通償却限度額を控除した金額に相当する金額の特別償却(即時償却)とその取得価額の 7 %(中小企業者等のうち資本金の額又は出資金の額が3,000万円以下の法人がその指定事業の用に供したその特定経営力向上設備等は、10%)相当額(以下「税額控除限度額」といいます。)の税額控除との選択適用ができる制度が創設されました。 なお、税額控除限度額は、この制度における税額控除、上記⑷の制度における税額控除及び上記⑼の制度における税額控除の合計で当期の調整前法人税額の20%相当額が上限とされ、税額控除限度超過額は 1 年間の繰越しができることとされています。
⑾ 所得拡大促進税制について、次の見直しが行われました。① 中小企業者等の税額控除限度額について、平均給与等支給額から比較
平均給与等支給額を控除した金額のその比較平均給与等支給額に対する割合が 2 %以上であることとの要件を満たす中小企業者等にあっては、雇用者給与等支給増加額の10%相当額に、その雇用者給与等支給増加額のうちその中小企業者等の雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額に達するまでの金額に12%を乗じて計算した金額を加算した金額(改正前:雇用者給与等支給増加額の10%相当額)とされました。
② 中小企業者等以外の法人の平均給与等支給額に係る要件及び税額控除限度額について、それぞれ次の見直しが行われました。イ 平均給与等支給額に係る要件が、平均給与等支給額から比較平均給
与等支給額を控除した金額のその比較平均給与等支給額に対する割合が 2 %以上であること(改正前:平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えること)とされました。
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ロ 税額控除限度額について、雇用者給与等支給増加額の10%相当額に、その雇用者給与等支給増加額のうちその法人の雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額に達するまでの金額に 2 %を乗じて計算した金額を加算した金額(改正前:雇用者給与等支給増加額の10%相当額)とされました。
⑿ 当初申告の確定申告書等に適用金額を記載した場合等に限り適用を受けることができる税額控除等制度のうち調整前法人税額の一定額を上限とするものについて、要件を満たす場合に税額控除額を変更できることを明らかにするための所要の改正が行われ、更正の請求によらない更正による法人税額の増加に伴い反射的に税額控除上限額が増加した場合にはその更正で税額控除額を増加させることができることとされました。
⒀ 認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附をした場合の法人税額の特別控除制度等について、地方法人課税の偏在是正措置の実施時期の変更に伴う所要の改正が行われました。
2 特別償却関係⑴ 特定設備等の特別償却制度について、次の見直しが行われました。
① 公害防止用設備の特別償却について、取得価額要件が600万円以上(改正前:300万円以上)に引き上げられた上、その適用期限が平成31年
3 月31日まで 2 年延長されました。② 船舶の特別償却について、環境負荷低減に著しく資する内航船舶に航
海支援システムを有している船舶が追加されるとともに、環境負荷低減に係る要件の見直しが行われた上、その適用期限が平成31年 3 月31日まで 2 年延長されました。
③ 自動車の運転に関する技能及び知識の教授に係る学習支援業を営む青色申告書を提出する中小企業者等で指定自動車教習所を設置するものが、平成29年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に、その指定自動車教習所においてその学習支援業の用に供される自動車教習用貨物自動車の取得等をして、これをその中小企業者等のその学習支援業の用に供した場合には、その学習支援業の用に供した日を含む事業年度において、その自動車教習用貨物自動車の取得価額の20%相当額の特別償却ができる措置が追加されました。
⑵ 法人が、特定非常災害に係る特定非常災害発生日からその特定非常災害発生日の翌日以後 5 年を経過する日までの間に、次の減価償却資産のうちその特定非常災害に基因してその法人の事業の用に供することができなくなった建物等、構築物若しくは機械装置に代わる一定のものの取得等をして、これをその法人の事業の用に供した場合又は次の減価償却資産の取得
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等をして、これを被災区域及びその被災区域である土地に付随して一体的に使用される土地の区域内においてその法人の事業の用に供した場合には、その用に供した日を含む事業年度において、これらの減価償却資産の取得価額に、これらの減価償却資産の次の区分に応じたそれぞれ次の割合を乗じて計算した金額の特別償却ができる制度が創設されました。① 建物等又は構築物(増築された建物等又は構築物のその増築部分を含
みます。)で、その建設の後事業の用に供されたことのないもの:次の区分に応じたそれぞれ次の割合イ 下記ロ以外のもの:15%(その法人が中小企業者等である場合には、
18%)ロ 発災後 3 年経過日以後に取得又は建設をしたもの:10%(その法人
が中小企業者等である場合には、12%)② 機械装置でその製作の後事業の用に供されたことのないもの:次の区
分に応じたそれぞれ次の割合イ 下記ロ以外のもの:30%(その法人が中小企業者等である場合には、
36%)ロ 発災後 3 年経過日以後に取得又は製作をしたもの:20%(その法人
が中小企業者等である場合には、24%)⑶ 関西文化学術研究都市の文化学術研究地区における文化学術研究施設の
特別償却制度について、研究所用の施設の取得等資金に係る要件が 3 億円以上(改正前: 2 億円以上)に引き上げられた上、その適用期限が平成31年 3 月31日まで 2 年延長されました。
⑷ 共同利用施設の特別償却制度について、取得価額要件が200万円以上(改正前:100万円以上)に引き上げられた上、その適用期限が平成31年 3月31日まで 2 年延長されました。
⑸ 特定地域における工業用機械等の特別償却制度について、次の見直しが行われました。① 過疎地域に係る措置について、対象事業につき農林水産物等販売業の
追加及びコールセンター業の除外がされるとともに、対象資産等の見直しが行われた上、その適用期限が平成31年 3 月31日まで 2 年延長されました。
② 特定地域における工業用機械等の特別償却における産業高度化・事業革新促進地域に係る措置、国際物流拠点産業集積地域に係る措置、経済金融活性化特別地区に係る措置及び沖縄の離島の地域に係る措置並びに特定地域における産業振興機械等の割増償却の適用期限が、平成31年 3月31日まで 2 年延長されました。
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⑹ 医療用機器の特別償却制度について、高度な医療の提供に資する機器につき対象機器の追加及び除外がされた上、その適用期限が平成31年 3 月31日まで 2 年延長されました。
⑺ サービス付き高齢者向け賃貸住宅の割増償却制度は、その適用期限(平成29年 3 月31日)の到来をもって廃止されました。
⑻ 青色申告書を提出する法人で農業競争力強化支援法の認定事業再編事業者(同法の施行の日から平成31年 3 月31日までの間に認定を受けた法人又はその認定に係る事業再編計画に従って設立された法人に限ります。)であるものが、その認定事業再編計画に係る実施期間内に、事業再編促進機械等の取得等をして、これをその法人の事業再編促進対象事業の用に供した場合には、その用に供した日以後 5 年以内の日を含む各事業年度において、その事業再編促進機械等の普通償却限度額の40%(建物等及び構築物は、45%)相当額の割増償却ができる制度が創設されました。
⑼ 特定都市再生建築物等の割増償却制度について、次の見直しが行われた上、その適用期限が平成31年 3 月31日まで 2 年延長されました。① 特定都市再生建築物等から次の建築物及び構築物並びに機械装置が除
外されました。イ 中心市街地の活性化に関する法律の認定特定民間中心市街地経済活
力向上事業計画に基づく特定民間中心市街地経済活力向上事業により整備される建築物及び構築物
ロ 雨水貯留利用施設と併せて設置される滅菌装置及びろ過装置② 都市再生特別措置法の認定計画(国家戦略特別区域法による認定を受
けた区域計画を含みます。)に基づく都市再生事業により特定都市再生緊急整備地域を除く都市再生緊急整備地域内において整備される建築物に係る都市再生事業の要件のうち都市再生事業の施行される事業区域内に整備される建築物の延べ面積要件が、75,000㎡以上(改正前:50,000㎡以上)に引き上げられました。
3 準備金等関係⑴ 新事業開拓事業者投資損失準備金制度について、積立割合が50%(改正
前:80%)に引き下げられた上、その適用期限が平成30年 3 月31日まで 1年延長されました。
⑵ 特定事業再編投資損失準備金制度は、その適用期限(平成29年 3 月31日)の到来をもって廃止されました。
⑶ 青色申告書を提出する法人で廃炉等実施認定事業者であるものが、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律の施行の日から平成32年 3 月31日までの期間内の日を含む各事業年度において、特定原子力施
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設に係る炉心等除去費用の支出に充てるため、その特定原子力施設ごとに、その特定原子力施設につき原子力損害賠償・廃炉等支援機構に廃炉等積立金として積み立てた金額に相当する金額以下の金額を損金経理の方法により特定原子力施設炉心等除去準備金として積み立てたときは、その積み立てた金額をその事業年度において損金の額に算入できる制度が創設されました。 この準備金は、その特定原子力施設炉心等除去準備金に係る特定原子力施設につき炉心等除去費用の額を支出した場合には、その支出した日におけるその特定原子力施設に係る特定原子力施設炉心等除去準備金の金額のうちその支出した金額に相当する金額をその支出した日を含む事業年度において益金の額に算入することとされています。
⑷ 中小企業等の貸倒引当金の特例について、公益法人等又は協同組合等の繰入限度額の割増率の適用に関する特例の割増率が10%(改正前:12%)に引き下げられた上、その適用期限が平成31年 3 月31日まで 2 年延長されました。
⑸ 農業経営基盤強化準備金制度の適用期限が、平成30年 3 月31日まで 1 年延長されました。
4 土地税制関係⑴ 土地の譲渡等がある場合の特別税率について、次の見直しが行われた上、
その適用停止措置の期限が平成32年 3 月31日まで、優良住宅地等のための譲渡に該当する土地等の譲渡に係る適用除外措置及び確定優良住宅地等予定地のための譲渡に該当する土地等の譲渡に係る適用除外措置の期限が平成31年12月31日まで、それぞれ 3 年延長されました。① 土地の譲渡等のうちその有する資産が主として土地等である法人の発
行する株式又は出資の譲渡から適格株式分配による移転が除外されました。
② 優良住宅地等のための譲渡に該当する土地等の譲渡に係る適用除外措置の対象となる土地等の譲渡に、土地開発公社に対する次の土地等の譲渡で、その譲渡に係る土地等が独立行政法人都市再生機構が施行するそれぞれ次の事業の用に供されるものが追加されました。イ 被災市街地復興特別措置法により都市計画に定められた被災市街地
復興推進地域内にある土地等:同法による被災市街地復興土地区画整理事業
ロ 被災市街地復興特別措置法の住宅被災市町村の区域内にある土地等:都市再開発法による第二種市街地再開発事業
③ 確定優良住宅地等予定地のための譲渡に該当する土地等の譲渡に係る
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適用除外措置に、その適用を受けた土地等の譲渡の全部又は一部が、特定非常災害に基因するやむを得ない事情により、予定期間内に優良住宅地等のための譲渡に該当することが困難となった場合において、その予定期間の初日からその予定期間の末日後 2 年以内の日のうち一定の日までの間にその譲渡の全部又は一部が優良住宅地等のための譲渡に該当することが確実であると認められることにつき証明がされたときは、予定期間をその初日からその一定の日までの期間とする措置が講じられました。
⑵ 短期所有に係る土地の譲渡等がある場合の特別税率の適用停止措置の期限が、平成32年 3 月31日まで 3 年延長されました。
⑶ 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例等について、次の見直しが行われました。① 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例の対象となる場合
に、次の土地等が次の事業の用に供するために地方公共団体又は独立行政法人都市再生機構(土地開発公社を含みます。)に買い取られ、対価を取得する場合が追加されました。イ 地方公共団体又は独立行政法人都市再生機構が被災市街地復興特別
措置法により都市計画に定められた被災市街地復興推進地域において施行する減価補償金を交付すべきこととなる被災市街地復興土地区画整理事業の施行区域内にある土地等:公共施設の整備改善に関する事業
ロ 地方公共団体又は独立行政法人都市再生機構が被災市街地復興特別措置法の住宅被災市町村の区域において施行する第二種市街地再開発事業の施行区域内にある土地等:第二種市街地再開発事業
② 法人が、特定非常災害に基因するやむを得ない事情により、収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例及び換地処分等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例の代替資産の指定期間内における取得をすることが困難となった場合において、その指定期間の初日からその指定期間の末日後 2 年以内の日のうち一定の日までの間に代替資産の取得をする見込みであり、かつ、納税地の所轄税務署長の承認を受けたときは、指定期間をその初日からその一定の日までの期間とする措置が講じられました。
⑷ 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除制度における古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法、都市緑地法等の買取請求に基づき地方公共団体等に土地等が買い取られる場合について、対象となる買取りを行う者から特定緑地管理機構が除外されるとともに、都市緑地法の改正後の緑地保全・緑化推進法人が引き続き対象
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となる買取りを行う者とされました。⑸ 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除
制度について、対象となる場合に次の場合が追加されました。① 土地等が被災市街地復興特別措置法の買取りの申出に基づき都道府県
知事等に買い取られる場合② 土地等につき被災市街地復興土地区画整理事業が施行された場合にお
いて、保留地が定められたことに伴い、土地等に係る換地処分により土地等のうち保留地の対価の額に対応する部分の譲渡があったとき
⑹ 特定の資産の買換えの場合等の課税の特例について、次の見直しが行われた上、その適用期限が平成32年 3 月31日まで 3 年延長されました。① 既成市街地等の内から外への買換えに係る措置について、譲渡資産か
ら事務所として使用されている建物等及びその敷地の用に供されている土地等が、買換資産から都市再生特別措置法の立地適正化計画を作成した市町村のその立地適正化計画に記載された都市機能誘導区域以外の地域内にあるその立地適正化計画に記載された誘導施設に係る土地等、建物等及び構築物が、それぞれ除外されました。
② 市街化区域又は既成市街地等の内から外への農業用資産の買換えに係る措置が、制度の対象から除外されました。
③ 農用地区域内にある土地等の買換えに係る措置が、制度の対象から除外されました。
④ 所有期間が10年を超える国内にある土地等、建物等又は構築物から国内にある一定の土地等、建物等若しくは構築物又は国内にある鉄道事業用車両運搬具への買換えに係る措置について、買換資産のうち鉄道事業用車両運搬具の範囲が貨物鉄道事業用の電気機関車に限定されました。
⑤ 日本船舶から日本船舶への買換えに係る措置について、次の見直しが行われました。イ 譲渡資産から漁船が除外されるとともに、譲渡資産のうち建設業又
はひき船業の用に供されている日本船舶の船齢要件における船齢が40年(改正前:45年)に引き下げられました。
ロ 買換資産から漁船が除外されるとともに、買換資産のうち沿海運輸業の用に供される船舶(総トン数が2,000トン以上の船舶に限ります。)につき環境負荷低減に係る要件の見直しが行われました。
⑥ 法人が、特定非常災害に基因するやむを得ない事情により、買換対象資産の特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例の取得指定期間内における取得をすることが困難となった場合において、その取得指定期間の初日からその取得指定期間の末日後 2 年以内の日のう
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ち一定の日までの間にその買換対象資産の取得をする見込みであり、かつ、納税地の所轄税務署長の承認を受けたときは、取得指定期間をその初日からその一定の日までの期間とする措置が講じられました。
⑺ 木材の安定供給の確保に関する特別措置法の改正による森林経営計画の認定の特例の創設に伴い、農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合の所得の特別控除制度における林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法の規定による都道府県知事のあっせんにより同法の認定を受けた者に一定の山林に係る土地の譲渡をした場合の措置について、その適用に係る確定申告書等への添付書類につき所要の改正が行われました。
⑻ 収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例等について、法人税法等の改正によって、全部取得条項付種類株式の端数処理、株式併合の端数処理及び株式売渡請求により対象法人が他の法人との間に完全支配関係を有することとなることが株式交換等として非適格株式交換等に係る完全子法人等の有する資産の時価評価制度等の対象とされたことに伴う改正が行われました。
5 その他の特別措置関係⑴ トン数標準税制について、その適用を受ける法人が有する外航船舶のう
ち日本船舶に該当するもの及びその法人の子会社に該当する法人が有する外航船舶のうち日本船舶に該当しないものに対する不適用措置に特定船舶に係る特別修繕準備金制度、特定の資産の買換えの場合の課税の特例等が追加されるとともに、平成32年 3 月31日までに日本船舶・船員確保計画の認定を受けた法人につきこの制度を適用することとされました。
⑵ 沖縄の認定法人の所得の特別控除制度(改正後:沖縄の認定法人の課税の特例)の適用期限が、平成31年 3 月31日まで 2 年延長されました。
⑶ 中小企業者等以外の法人の欠損金の繰戻しによる還付の不適用措置(改正後:中小企業者の欠損金等以外の欠損金の繰戻しによる還付の不適用措置)について、次の措置が講じられました。① 災害損失欠損金の繰戻しによる還付制度の常設化に伴い、この措置の
対象となる欠損金額から災害損失欠損金額が除外されました。② 認定事業再編事業者である法人の農業競争力強化支援法の施行の日か
ら平成30年 3 月31日までの間に終了する事業年度において生じた一定の設備廃棄等欠損金額がこの措置の対象から除外され、中小企業者等以外の法人であっても、その繰戻しによる還付ができることとされました。
⑷ 農地所有適格法人の肉用牛の売却に係る所得の課税の特例の適用期限が、平成33年 3 月31日まで 3 年延長されました。
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⑸ 協同組合等の各事業年度において、その有する連合会等に対する出資のうち優先出資以外のもの(以下「普通出資」といいます。)につき支払を受ける配当等の額がある場合には、その普通出資に係る受取配当等の益金不算入額は、その普通出資が完全子法人株式等、関連法人株式等及び非支配目的株式等のいずれにも該当しないものとして計算することとされました。
⑹ 投資法人に係る課税の特例について、特例特定資産に係る措置における特例特定資産の取得期限が平成32年 3 月31日まで 3 年延長されました。
⑺ 課税所得の範囲の変更等の場合の特例について、対象となる特定普通法人に生産森林組合が追加され、特定普通法人が特定普通法人等に名称変更されました。
⑻ 退職年金等積立金に対する法人税の課税の停止措置の期限が、平成32年3 月31日まで 3 年延長されました。
⑼ 中小企業向けの租税特別措置(要件の特例を含みます。)について、中小企業者のうち事業年度開始の日前 3 年以内に終了した各事業年度の所得の金額の年平均額が15億円を超える法人に該当するものの事業年度においては、その適用等を停止することとされました。
⑽ 使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例等について、地方法人課税の偏在是正措置の実施時期の変更に伴う所要の改正が行われました。
6 震災税特法関係⑴ 復興産業集積区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は法人
税額の特別控除制度のうち復興居住区域内における賃貸住宅供給事業に係る措置について、被災者向け優良賃貸住宅のうち認定地方公共団体の指定を受けた法人が取得又は建設をしてその認定に係る認定復興推進計画に定められた復興居住区域内において賃貸住宅供給事業の用に供したものの特別償却限度額及び税額控除率が次のとおりとされた上、その適用期限が平成33年 3 月31日まで 4 年延長されました。① 特別償却限度額:次の区分に応じたそれぞれ次の金額
イ 平成32年 3 月31日以前に取得又は建設をしたもの:その取得価額の25%相当額
ロ 平成32年 4 月 1 日から平成33年 3 月31日までの間に取得又は建設をしたもの:その取得価額の17%相当額
② 税額控除率:次の区分に応じたそれぞれ次の割合イ 平成32年 3 月31日以前に取得又は建設をしたもの: 8 %ロ 平成32年 4 月 1 日から平成33年 3 月31日までの間に取得又は建設を
したもの: 6 %
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なお、認定を受けた福島県又は福島県の区域内の市町村の指定を受けた法人が取得又は建設をしてその認定に係る認定復興推進計画に定められた復興居住区域内において賃貸住宅供給事業の用に供したものの特別償却限度額及び税額控除率は、従前どおりとされています。
⑵ 避難解除区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度について、適用期間の始期に特定復興再生拠点区域復興再生計画につき認定があった日が追加され、適用期間が避難等指示が解除された日又は特定復興再生拠点区域復興再生計画につき認定があった日のいずれか早い日からその避難等指示が解除された日又は居住等制限指示が解除された日のいずれか遅い日以後 5 年を経過する日までの期間とされる等の見直しが行われました。
⑶ 避難解除区域等において避難対象雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度について、福島県知事の確認を受けることができる期間の始期に特定復興再生拠点区域復興再生計画につき認定があった日が追加され、確認期間が避難等指示が解除された日又は特定復興再生拠点区域復興再生計画につき認定があった日のいずれか早い日からその避難等指示が解除された日又は居住等制限指示が解除された日のいずれか遅い日以後 3 年を経過する日までの期間とされる等の見直しが行われました。
⑷ 被災者向け優良賃貸住宅の割増償却制度について、次の見直しが行われた上、その適用期限が平成33年 3 月31日まで 4 年延長されました。① 対象となる特定激甚災害地域から認定復興推進計画に定められた復興
居住区域が除外されました。② 割増償却割合が、次の被災者向け優良賃貸住宅の区分に応じそれぞれ
次のとおり引き下げられました。イ 被災者向け優良賃貸住宅のうちその新築の時における耐用年数が35
年未満であるものイ 平成29年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に取得し、又は
新築したもの:40%(改正前:50%)ロ 平成31年 4 月 1 日から平成33年 3 月31日までの間に取得し、又は
新築したもの:20%ロ 被災者向け優良賃貸住宅のうちその新築の時における耐用年数が35
年以上であるものイ 平成29年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に取得し、又は
新築したもの:56%(改正前:70%)ロ 平成31年 4 月 1 日から平成33年 3 月31日までの間に取得し、又は
新築したもの:28%
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⑸ 福島再開投資等準備金制度について、適格分割が行われた場合における期中準備金積立額の損金算入措置及び準備金の引継ぎ措置が創設されました。
⑹ 当初申告の確定申告書等に適用金額を記載した場合等に限り適用を受けることができる税額控除等制度のうち調整前法人税額の一定額を上限とするものについて、要件を満たす場合に税額控除額を変更できることを明らかにするための所要の改正が行われ、更正の請求によらない更正による法人税額の増加に伴い反射的に税額控除上限額が増加した場合にはその更正で税額控除額を増加させることができることとされました。
⑺ 特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例について、法人税法等の改正によって、全部取得条項付種類株式の端数処理、株式併合の端数処理及び株式売渡請求により対象法人が他の法人との間に完全支配関係を有することとなることが株式交換等として非適格株式交換等に係る完全子法人等の有する資産の時価評価制度等の対象とされたことに伴う改正が行われました。
⑻ 復興産業集積区域等において機械等を取得した場合の法人税額の特別控除制度等について、地方法人課税の偏在是正措置の実施時期の変更に伴う所要の改正が行われました。
1 相続税及び贈与税の納税義務の見直し⑴ 国内に住所を有しない者であって日本国籍を有する相続人等に係る相続
税及び贈与税の納税義務について、国外財産が相続税又は贈与税の課税対象外とされる要件が、被相続人等及び相続人等が相続開始前又は贈与前10年(改正前: 5 年)以内のいずれの時においても国内に住所を有したことがないこととされました。
⑵ 被相続人等及び相続人等が出入国管理及び難民認定法別表第一の在留資格をもって一時的滞在をしている場合等の相続若しくは遺贈又は贈与に係る相続税又は贈与税については、国内財産のみを課税対象とすることとされました。
⑶ 国内に住所を有しない者であって日本国籍を有しない相続人等が国内に住所を有しない者であって相続開始前又は贈与前10年以内に国内に住所を有していた被相続人等(日本国籍を有しない者であって一時的滞在をして
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相続税法の改正 本 文参照頁
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いたものを除きます。)から相続若しくは遺贈又は贈与により取得した国外財産が、相続税又は贈与税の課税対象に加えられました。
2 相続税の物納制度の見直し 相続税の物納に充てることができる財産の順位について、社債、株式及び証券投資信託等の受益証券のうち金融商品取引所に上場されているもの等が国債及び不動産等と同順位(第 1 順位)とされ、物納財産の範囲に投資証券等のうち金融商品取引所に上場されているもの等が加えられ、これらについても第 1 順位とされました。
1 特定土地等及び特定株式等に係る相続税の課税価格の計算の特例等の創設 特定非常災害の指定を受けた災害が発生した場合において、その特定非常災害発生日前の相続若しくは遺贈又は贈与により取得した財産に係る相続税又は贈与税でその特定非常災害発生日以後に申告期限が到来するものについて、その課税価格の計算上、その災害により被災者生活再建支援法が適用される区域内の土地等及び一定の非上場株式等でその特定非常災害発生日に有していたものの価額は、その災害の発生直後を基準とした価額とすることができることとされました。 この特例の適用を受ける場合において、特定日(国税通則法の規定により延長された申告期限とその災害発生日の翌日から10月を経過する日とのいずれか遅い日をいいます。)の前日までに申告期限が到来するものについては、その申告期限が特定日まで延長されました。
2 医療法人の持分の放棄があった場合の贈与税の課税の特例の創設等⑴ 平成18年医療法等改正法に規定する移行計画の認定を受けた医療法人の
持分を有する個人がその持分の全部又は一部の放棄をしたことによりその医療法人がその認定移行計画に記載された移行期限までに持分の定めのない医療法人への移行をした場合には、その医療法人がその放棄により受けた経済的利益については、贈与税を課さないこととされました。 この適用を受けた医療法人について、持分の定めのない医療法人への移行をした日以後 6 年を経過する日までの間に移行計画の認定要件に該当しないこととなった場合には、上記の経済的利益については、その医療法人を個人とみなして、贈与税を課すこととされました。
⑵ 医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度等の適用期限が 3 年延長
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租税特別措置法等(相続税・贈与税関係)の改正 本 文参照頁
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されました。3 非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予制度の改正
⑴ 災害等の被災者等がこの特例の適用を受ける場合について、適用対象となる会社の認定等の時期に応じ、次の措置が講じられました。① 災害等の発生前に相続若しくは遺贈又は贈与により非上場株式等を取
得し、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(以下、円滑化法といいます。)の認定を受けている、又はその認定を受けようとしている会社 災害等により受けた次に掲げる被害の態様に応じ、その認定承継会社等の雇用確保要件の免除(次のハの場合については、災害等の発生後の売上高の回復に応じて緩和)等をするとともに、これらの被害を受けた会社が破産等した場合には、経営承継期間等内であっても猶予税額を免除することとされました。イ 災害により被害を受けた資産が総資産の30%以上である場合ロ 災害により被災した事業所で雇用されていた従業員数が従業員総数
の20%以上である場合ハ 一定の災害等の発生後 6 月間の売上高が前年同期間の売上高の70%
以下である場合② 災害等の発生後に相続又は遺贈により非上場株式等を取得し、円滑化
法の認定を受けようとしている会社 上記①の措置に加え、事前役員就任要件を緩和することとされました。
⑵ 納税猶予の取消事由に係る雇用確保要件について、相続開始時又は贈与時の常時使用従業員数に100分の80を乗じて計算した数に 1 人に満たない端数があるときは、これを切り捨てる(改正前:切り上げる)こととされました。ただし、相続開始時又は贈与時の常時使用従業員数が 1 人の場合には、 1 人とされました。
⑶ 相続時精算課税制度に係る贈与が、贈与税の納税猶予制度の適用対象に加えられました。
⑷ 非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予制度における認定相続承継会社の要件について、中小企業者であること及びその会社の株式等が非上場株式等に該当することとする要件が撤廃されました。
4 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の特例の改正⑴ 住宅取得等資金の贈与を受けて住宅用家屋の新築等をした者が、贈与を
受けた年の翌年 3 月15日後遅滞なくその住宅用家屋を居住の用に供することが確実であると見込まれることによりこの特例の適用を受けた場合において、その住宅用家屋が災害により滅失等をしたことによってその居住の用に供することができなくなったときは、居住要件を免除することとされ
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ました。⑵ 住宅取得等資金の贈与を受けて住宅用家屋の新築等をした者が、贈与を
受けた年の翌年 3 月15日後遅滞なくその住宅用家屋を居住の用に供することが確実であると見込まれることによりこの特例の適用を受けた場合において、災害に基因するやむを得ない事情によりその住宅用家屋を同年12月31日までにその居住の用に供することができなかったときは、その居住期限を贈与を受けた年の翌々年12月31日まで延長することとされました。
⑶ 贈与により金銭を取得した者が、その金銭を住宅用の家屋の新築等の対価に充てて新築等をする場合において、災害に基因するやむを得ない事情により贈与を受けた年の翌年 3 月15日までに新築等ができなかったときであっても、その贈与を受けた年の翌々年 3 月15日までに新築等をしたときは、この特例の適用を受けることができることとされました。
⑷ この特例の適用を受けた者の住宅用家屋が被災者生活再建支援法が適用される自然災害により滅失等をした場合において、その者がその直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けて住宅用家屋の新築等をするときは、再度この特例の適用を受けることができることとされました。
5 山林についての相続税の納税猶予制度の改正⑴ 猶予期間中に身体障害等のやむを得ない事情により林業経営の継続が困
難となったときは、一定の推定相続人に林業経営の全てを委託した場合であっても、納税猶予を継続することができることとされました。
⑵ 災害による森林被害のため経営の規模の拡大を行うことが困難である場合には、当初認定起算日等から15年(改正前:10年)を経過する日までに経営の規模の拡大が完了していれば、納税猶予の取消事由に該当しないこととされました。
⑶ 森林経営計画に定められている区域に存する山林のうち同一の小流域内に存するものの面積が 5 ha 未満である一定の山林が、納税猶予の適用対象に加えられました。
6 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税の改正 この特例における金融機関への領収書等の提出について、書面による提出に代えて電磁的方法により提供することができることとされました。
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1 自然災害の被災者等が新築等をした建物に係る所有権の保存登記等の非課税措置の創設 被災者生活再建支援法が適用される自然災害の被災者等がその自然災害により滅失等をした建物に代わるものとして新築等をした建物の所有権の保存登記等及びその敷地の用に供する土地の所有権等の移転登記等並びにこれらの登記と同時に受けるこれらの建物及び土地の取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記で、その自然災害の発生した日から 5 年を経過する日までに受けるものに対する登録免許税を免税とする措置が講じられました。
2 農業競争力強化支援法に係る認定事業再編計画に基づき行う登記の税率の軽減措置の創設 農業競争力強化支援法に規定する認定事業再編計画の認定(同法の施行の日から平成31年 3 月31日までの間にされたものに限ります。)を受けた事業者が、その認定事業再編計画に基づき行う株式会社の設立又は増資の登記に対する登録免許税の税率を1,000分の3.5(本則1,000分の 7 )に軽減する等の措置が講じられました。
3 特例事業者が不動産特定共同事業契約により不動産を取得した場合の所有権の移転登記等の税率の軽減措置の改正 次の措置が講じられた上、その適用期限が 2 年延長されました。⑴ 小規模不動産特定共同事業及び適格特例投資家限定事業のうち一定のも
のが適用対象に加えられました。⑵ 特例事業における特定建築物の要件が一定の耐火建築物又は準耐火建築
物で耐震基準を満たしたものとされました。4 租税特別措置等の適用期限の延長等
⑴ 利用権設定等促進事業により農用地区域内の農用地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、軽減税率が1,000分の10(改正前:1,000分の 8 )に引き上げられた上、その適用期限が 2 年延長されました。
⑵ 以下に掲げる租税特別措置の適用期限が、平成32年 3 月31日まで 3 年延長されました。① 住宅用家屋の所有権の保存登記の税率の軽減(措法72の 2 )② 住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減(措法73)③ 住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記の税率の軽減(措法
75)⑶ 以下に掲げる租税特別措置等の適用期限が、平成31年 3 月31日まで 2 年
租税特別措置法等(登録免許税関係)の改正 本 文参照頁
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延長されました。① 土地の売買による所有権の移転登記等の税率の軽減(措法72)② 信用保証協会等が受ける抵当権の設定登記等の税率の軽減(措法78)③ 経営強化計画に基づき行う登記の税率の軽減(措法80の 2 、震災税特
法41の 2 )④ 認定民間都市再生事業計画に基づき建築物を建築した場合の所有権の
保存登記の税率の軽減(措法83)⑤ 特定目的会社が資産流動化計画に基づき特定不動産を取得した場合等
の所有権の移転登記の税率の軽減(措法83の 2 )5 租税特別措置の廃止
認定公社管理道路運営事業に係る公共施設等運営権の設定登録の税率の軽減措置は、適用期限の到来をもって廃止されました。
1 特定外国子会社等に係る所得の課税の特例等の改正 外国子会社合算税制について、「外国子会社の経済実態に即して課税すべき」との BEPS プロジェクトの基本的な考え方等に基づき、日本企業の健全な海外展開を阻害することなく、より効果的に国際的な租税回避に対応する観点から、次のとおり見直しが行われました。⑴ 外国関係会社の範囲
① 外国関係会社の判定における間接保有割合について、内国法人等との間に50%超の株式等の保有を通じた連鎖関係がある外国法人の判定対象となる外国法人に対する持分割合等に基づいて算定することとされました。
② 居住者又は内国法人と外国法人との間にその居住者又は内国法人がその外国法人の残余財産のおおむね全部について分配を請求する権利を有している等の関係がある場合におけるその外国法人が外国関係会社の範囲に追加されました。
⑵ 制度の適用を受ける内国法人等(納税義務者) 居住者又は内国法人と外国法人との間にその居住者又は内国法人がその外国法人の残余財産のおおむね全部について分配を請求する権利を有している等の関係がある場合におけるその居住者又は内国法人が本税制による合算課税の対象となる者に追加されました。
⑶ 特定外国関係会社又は対象外国関係会社の適用対象金額に係る合算課税
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国際課税関係の改正 本 文参照頁
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(外国関係会社単位の合算課税)① 外国関係会社単位の合算課税の対象とされる金額は、特定外国関係会
社又は対象外国関係会社の所得に相当する金額のうち内国法人等が有するその特定外国関係会社又は対象外国関係会社の株式等の数又は金額につきその請求権の内容を勘案した数又は金額及びその内国法人等とその特定外国関係会社又は対象外国関係会社との間の実質支配関係の状況を勘案して計算した金額に相当する金額とされました。
② 特定外国関係会社 次の外国関係会社について、特定外国関係会社に該当することとされました。イ 次のいずれにも該当しない外国関係会社
イ その主たる事業を行うに必要と認められる事務所等の固定施設を有している(保険業を営む一定の外国関係会社にあっては、これらを有している場合と同様の状況にある場合を含みます。)外国関係会社
ロ その本店所在地国においてその事業の管理、支配及び運営を自ら行っている(保険業を営む一定の外国関係会社にあっては、これらを自ら行っている場合と同様の状況にある場合を含みます。)外国関係会社
ロ その総資産の額に対する下記⑸③イからヌまでに掲げる金額に相当する金額の合計額の割合(下記⑹②の外国金融子会社等に該当する外国関係会社にあっては、総資産の額に対する下記⑹③イに掲げる金額に相当する金額又は下記⑹③ロからニまでに掲げる金額に相当する金額の合計額のうちいずれか多い金額の割合)が30%を超える外国関係会社(総資産の額に対する有価証券等の資産の額の合計額の割合が50%を超える外国関係会社に限ります。)
ハ 租税に関する情報の交換に関する国際的な取組への協力が著しく不十分な国又は地域として財務大臣が指定する国又は地域に本店等を有する外国関係会社
なお、税務当局が、その外国関係会社が上記イイ又はロに該当することを明らかにする書類等の提示又は提出を求めた場合において、その書類等の提示又は提出がないときは、その外国関係会社は上記イイ又はロに該当しないものと推定することとされました。
③ 対象外国関係会社 外国関係会社単位の合算課税制度における適用除外基準について次の見直しを行った上で、外国関係会社が会社全体としていわゆる「能動的
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所得」を得るために必要な経済活動の実体を備えているかを判定する基準(以下「経済活動基準」といいます。)に改めることとし、経済活動基準のいずれかに該当しない外国関係会社について、対象外国関係会社に該当することとされました。イ 事業基準
航空機の貸付けを主たる事業とする外国関係会社のうち、その役員又は使用人がその本店所在地国において航空機の貸付けを的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事していること等の要件を満たすものについては、事業基準を満たすこととされました。
ロ 実体基準及び管理支配基準 保険業を営む一定の外国関係会社(以下「保険委託者」といいます。)の実体基準及び管理支配基準の判定について、その保険委託者の保険業に関する業務を受託する者で一定の要件を満たすもの(以下
「保険受託者」といいます。)が実体基準及び管理支配基準を満たしている場合には、その保険委託者は実体基準及び管理支配基準を満たすこととされました。
ハ 非関連者基準イ 航空機の貸付けを主たる事業とする外国関係会社については、非
関連者基準を適用することとされました。ロ 取引対象となる資産等が外国関係会社から非関連者を介して関連
者に移転等をされ、又は関連者から非関連者を介して外国関係会社に移転等をされることがあらかじめ定まっている場合には、外国関係会社と非関連者との取引は関連者取引とみなすこととされました。
ハ 保険業を主たる事業とする外国関係会社が保険受託者に該当する場合における非関連者基準の判定について、その外国関係会社がその外国関係会社に係る保険委託者との間で行う取引は関連者取引に該当しないものとされました。
ニ 所在地国基準 製造業を主たる事業とする外国関係会社について、主として本店所在地国において製品の製造を行っている場合には、所在地国基準を満たす旨が明確化されました。また、製造業を主たる事業とする外国関係会社について、本店所在地国において製造における重要な業務を通じて製造に主体的に関与している場合にも、所在地国基準を満たすこととされました。
なお、税務当局が、その外国関係会社が経済活動基準に係る要件に該当することを明らかにする書類等の提示又は提出を求めた場合において、
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その書類等の提示又は提出がないときは、その外国関係会社は経済活動基準に係る要件に該当しないものと推定することとされました。
④ 適用対象金額の計算 適用対象金額に算入しない受取配当等に係る持分割合要件(25%以上)について、化石燃料の採取を行う一定の外国法人から受ける配当等にあっては、その持分割合要件が10%以上に緩和されました。
⑷ 特定外国関係会社又は対象外国関係会社の適用対象金額に係る合算課税の適用免除 特定外国関係会社の各事業年度の租税負担割合が30%以上である場合又は対象外国関係会社の各事業年度の租税負担割合が20%以上である場合には、その該当する事業年度の適用対象金額について、合算課税の適用を免除することとされました。
⑸ 部分適用対象金額に係る合算課税(部分合算課税)① 部分対象外国関係会社(下記⑹②の外国金融子会社等に該当するもの
を除きます。)の部分合算課税の対象とされる金額は、特定所得の金額に係る部分適用対象金額のうち内国法人等が有する部分対象外国関係会社の株式等の数又は金額につきその請求権の内容を勘案した数又は金額及びその内国法人等と部分対象外国関係会社との間の実質支配関係の状況を勘案して計算した金額に相当する金額とされました。
② 部分対象外国関係会社 外国関係会社のうち経済活動基準に係る要件の全てに該当するものについて、部分対象外国関係会社に該当することとされました。
③ 特定所得の金額 特定所得の金額は、次に掲げる金額とされました。イ 剰余金の配当等の額(次に掲げる法人から受ける剰余金の配当等(その支払を行う法人において損金算入される配当等を除きます。)の額を除きます。)の合計額からその剰余金の配当等の額を得るために直接要した費用の額の合計額及びその剰余金の配当等の額に係る一定の費用の額を控除した残額イ 持分割合が25%以上であること等の要件に該当する法人ロ 持分割合が10%以上であること等の要件に該当する外国法人(化
石燃料を採取する事業(自ら採取した化石燃料に密接に関連する事業を含みます。)を主たる事業とする外国法人で我が国が締結した租税条約の相手国に化石燃料を採取する場所を有するものに限ります。)
ロ 受取利子等の額(本店所在地国において金銭の貸付けの事業を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事しているこ
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と等の要件を満たす部分対象外国関係会社がその関連者等に対して行う金銭の貸付けに係る利子、金銭の貸付けを主たる事業とする部分対象外国関係会社(金銭の貸付けを業として行うことにつきその本店所在地国において免許等を受けているものに限ります。)でその本店所在地国において金銭の貸付けの事業を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事しているものが行う金銭の貸付けに係る利子、部分対象外国関係会社の行う事業に係る業務の通常の過程において生ずる預金又は貯金の利子の額及び一定の取引等に係る利子の額を除きます。)の合計額からその受取利子等の額を得るために直接要した費用の額の合計額を控除した残額
ハ 有価証券の貸付けによる対価の額の合計額からその対価の額を得るために直接要した費用の額の合計額を控除した残額
ニ 有価証券の譲渡に係る対価の額(持分割合が25%以上の株式等の譲渡に係る対価の額を除きます。)の合計額からその有価証券の譲渡に係る原価の額の合計額及びその対価の額を得るために直接要した費用の額の合計額を減算した金額
ホ デリバティブ取引に係る利益の額又は損失の額(損失を減少させるために行った一定のデリバティブ取引に係る利益の額又は損失の額、本店所在地国の法令に準拠して商品先物取引を業として行う部分対象外国関係会社(その本店所在地国においてその事業を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事しているものに限ります。)が行う一定の商品先物取引に係る利益の額又は損失の額及び部分対象外国関係会社が行う一定のデリバティブ取引に係る利益の額又は損失の額を除きます。)
へ その行う取引又はその有する資産若しくは負債につき外国為替の売買相場の変動に伴って生ずる利益の額又は損失の額(その行う事業
(外国為替相場の変動に伴って生ずる利益の額を得るための投機的な取引を行う事業を除きます。)に係る業務の通常の過程において生ずる利益の額又は損失の額を除きます。)
ト イからヘまでに掲げる金額に係る利益の額又は損失の額を生じさせる資産の運用、保有、譲渡、貸付けその他の行為により生ずる利益の額又は損失の額(損失を減少させるために行った一定の取引に係る利益の額又は損失の額を除きます。)
チ 固定資産の貸付けによる対価の額(主としてその本店所在地国において使用に供される固定資産の貸付けによる対価の額及びその本店所在地国において固定資産の貸付けを的確に遂行するために通常必要と
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認められる業務の全てに従事していること等の要件に該当する部分対象外国関係会社が行う固定資産の貸付けによる対価の額等を除きます。)の合計額からその対価の額を得るために直接要した費用の額の合計額を控除した残額
リ 工業所有権その他の技術に関する権利、特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるもの(これらの権利に関する使用権を含みます。)又は著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含みます。)(以下「無形資産等」といいます。)の使用料(自らが主として行った研究開発の成果に係る無形資産等の使用料等を除きます。)の合計額からその使用料を得るために直接要した費用の額の合計額を控除した残額
ヌ 無形資産等の譲渡に係る対価の額(自らが主として行った研究開発の成果に係る無形資産等の譲渡に係る対価の額等を除きます。)の合計額からその無形資産等の譲渡に係る原価の額の合計額及びその対価の額を得るために直接要した費用の額の合計額を減算した金額
ル 次のイからヌまでに掲げる金額がないものとした場合のその部分対象外国関係会社の各事業年度の所得の金額からその各事業年度に係る次のルに掲げる金額を控除した残額イ 支払を受ける剰余金の配当等の額ロ 受取利子等の額ハ 有価証券の貸付けによる対価の額ニ 有価証券の譲渡に係る対価の額の合計額からその有価証券の譲渡
に係る原価の額の合計額を減算した金額ホ デリバティブ取引に係る利益の額又は損失の額ヘ その行う取引又はその有する資産若しくは負債につき外国為替の
売買相場の変動に伴って生ずる利益の額又は損失の額ト イからヘまでに掲げる金額に係る利益の額又は損失の額を生じさ
せる資産の運用、保有、譲渡、貸付けその他の行為により生ずる利益の額又は損失の額
チ 固定資産の貸付けによる対価の額リ 支払を受ける無形資産等の使用料ヌ 無形資産等の譲渡に係る対価の額の合計額からその無形資産等の
譲渡に係る原価の額の合計額を減算した金額ル 総資産の額に人件費等の費用の額を加算した金額に50%を乗じて
計算した金額
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④ 部分適用対象金額 部分適用対象金額は、上記③イからハまで、チ、リ及びルに掲げる金額の合計額と、上記③ニからトまで及びヌに掲げる金額の合計額(その合計額が零を下回る場合には、零)を基礎として前 7 年以内に開始した各事業年度において生じた上記③ニからトまで及びヌに掲げる金額の合計額が零を下回る部分の金額につき調整を加えた金額とを合計した金額とされました。
⑹ 金融子会社等部分適用対象金額に係る合算課税(部分合算課税)① 部分対象外国関係会社(外国金融子会社等に該当するものに限りま
す。)の部分合算課税の対象とされる金額は、特定所得の金額に係る金融子会社等部分適用対象金額のうち内国法人等が有する部分対象外国関係会社の株式等の数又は金額につきその請求権の内容を勘案した数又は金額及びその内国法人等と部分対象外国関係会社との間の実質支配関係の状況を勘案して計算した金額に相当する金額とされました。
② 外国金融子会社等 部分対象外国関係会社のうち本店所在地国の法令に準拠して銀行業、金融商品取引業(第一種金融商品取引業と同種類の業務に限ります。)又は保険業を行う部分対象外国関係会社でその本店所在地国においてこれらの事業を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事しているもの及びこれに準ずる部分対象外国関係会社について、外国金融子会社等に該当することとされました。
③ 特定所得の金額 特定所得の金額は、次に掲げる金額とされました。イ 一の内国法人等によってその発行済株式等の全部を直接又は間接に
保有されている部分対象外国関係会社で一定の要件を満たすもの(その純資産につき一定の調整を加えた金額(以下「親会社等資本持分相当額」といいます。)の総資産の額に対する割合が70%を超えるものに限ります。)の親会社等資本持分相当額が一定の金額を超える場合におけるその超える部分に相当する資本に係る利益の額
ロ 上記⑸③チに掲げる金額に相当する金額ハ 上記⑸③リに掲げる金額に相当する金額ニ 上記⑸③ヌに掲げる金額に相当する金額ホ 上記⑸③ルに掲げる金額に相当する金額
④ 金融子会社等部分適用対象金額 金融子会社等部分適用対象金額は、次に掲げる金額のうちいずれか多
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い金額とされました。イ 上記③イに掲げる金額ロ 上記③ロ、ハ及びホに掲げる金額の合計額と、上記③ニに掲げる金
額(その金額が零を下回る場合には、零)を基礎として前 7 年以内に開始した各事業年度において生じた上記③ニに掲げる金額が零を下回る部分の金額につき調整を加えた金額とを合計した金額
⑺ 部分適用対象金額等に係る合算課税の適用免除 部分対象外国関係会社につき次のいずれかに該当する事実がある場合には、部分合算課税の適用を免除することとされました。① 各事業年度の租税負担割合が20%以上であること。② 各事業年度における部分適用対象金額又は金融子会社等部分適用対象
金額が2,000万円以下であること。③ 各事業年度の決算に基づく所得の金額に相当する金額のうちに部分適
用対象金額又は金融子会社等部分適用対象金額の占める割合が 5 %以下であること。
⑻ 一定の外国関係会社の財務諸表等の確定申告書への添付 内国法人等は、その内国法人等に係る次に掲げる外国関係会社の各事業年度の貸借対照表及び損益計算書その他の書類を確定申告書に添付しなければならないこととされました。① その各事業年度の租税負担割合が20%未満である外国関係会社(特定
外国関係会社を除きます。)② その各事業年度の租税負担割合が30%未満である特定外国関係会社
⑼ 外国子会社合算税制の適用に係る税額控除 内国法人が上記⑶、⑸及び⑹の合算課税の適用を受ける場合には、その内国法人に係る外国関係会社に対して課される所得税の額及び法人税の額の合計額のうち合算対象とされた金額に対応する部分の金額に相当する金額について、その内国法人の法人税の額から控除することとされました。
⑽ 特定課税対象金額等を有する内国法人が受ける剰余金の配当等の益金不算入 特定目的会社等が合算課税の対象となった外国法人から配当を受けた場合、その外国法人に係る特定課税対象金額等に達するまでの金額は、益金の額に算入されないこととされました。
⑾ 特殊関係株主等である内国法人等に係る特定外国法人の課税の特例(コーポレート・インバージョン対策合算税制)の改正 特殊関係株主等である内国法人等に係る特定外国法人に係る所得の課税
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の特例について外国子会社合算税制と同様の改正が行われました。2 非永住者の課税所得の範囲の改正
非永住者の課税所得の範囲から、有価証券でその取得の日がその譲渡の日の10年前の日の翌日からその譲渡の日までの期間(その者が非永住者であった期間に限ります。)内にないもの(その取得の日がその期間内にあるもののうち平成29年 4 月 1 日前に取得したものを含みます。)のうち、次に掲げるものの譲渡により生ずる所得(国内において支払われ、又は国外から送金されたものを除きます。)を除外することとされました。⑴ 外国金融商品市場において譲渡がされるもの⑵ 外国金融商品取引業者への一定の売委託により譲渡が行われるもの⑶ 外国金融商品取引業者等の国外にある営業所等に開設された口座に係る
国外における振替口座簿に類するものに記載等がされ、又はその口座に保管の委託がされているもの
3 外国金融機関等の債券現先取引等に係る利子等の課税の特例の改正⑴ 本特例の対象となる所得の範囲に、特定外国法人が、平成29年 4 月 1 日
から平成31年 3 月31日までの間において開始した振替国債に係る特定債券現先取引につき、特定金融機関等から支払を受ける利子等を加えることとされました。ただし、利子等の支払を受ける特定外国法人が、その利子等を支払う特定金融機関等の国外関連者に該当する場合には、本特例は適用されません。
⑵ 外国金融機関等及び特定金融機関等の範囲について次のとおりその範囲が拡充されたほか、非課税適用手続等について所要の整備が行われました。① 外国金融機関等の範囲に、外国において金融商品債務引受業と同種類
の業務を行う一定の外国法人を加える。② 特定金融機関等の範囲に、短資会社及び一定の金融商品取引清算機関
を加える。4 100%子法人株式の現物分配に係る組織再編税制の見直しへの対応
⑴ 合併等により外国親法人株式の交付を受ける場合の課税の特例の改正 非居住者株主又は外国法人株主に対して一定の株式分配により外国法人である完全子法人の株式が交付される場合には、課税の繰延べを認めずその交付の時点で課税することとされました。
⑵ 事業譲渡類似の株式の譲渡益課税制度の改正 非居住者又は外国法人がその有する株式を発行した内国法人の行った株式分配により完全子法人の株式その他の資産の交付を受けた場合において、一定の方法により計算した割合が 5 %以上であるときは、非居住者又は外
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国法人を含む内国法人の特殊関係株主等が譲渡株数に関する要件を満たす株式の譲渡を行ったものとして事業譲渡類似の株式の譲渡に該当するか否かの判定を行うこととされました。
5 外国税額控除の申告要件 外国税額控除の申告要件について、更正の請求によらない更正による法人税額等の増加に伴い反射的に控除限度額が増加した場合には、その更正で控除額を増加させることができることとされました。
6 租税条約の相互協議手続の改正に伴う国内法の整備⑴ 相互協議の申立て等の手続
相互協議の申立手続について、居住者及び内国法人に加え、非居住者及び外国法人についても、国税庁長官に対して相互協議の申立てを行うことができることとされるとともに、仲裁の要請手続について、国税庁長官に対して相互協議の申立てをした者に加え、条約相手国等の権限ある当局に対して相互協議の申立てをした者についても、国税庁長官に対して仲裁の要請をすることができることとされました。
⑵ 国外関連者との取引に係る課税の特例(移転価格税制)等に係る納税猶予制度 国外関連者との取引に係る課税の特例等に係る納税猶予制度について、内国法人が国税庁長官に対して相互協議の申立てをした場合及び外国法人が条約相手国等の権限ある当局に対して相互協議の申立てをした場合に加え、内国法人が条約相手国等の権限ある当局に対して相互協議の申立てをした場合及び外国法人が国税庁長官に対して相互協議の申立てをした場合についても、その適用を受けることができることとされました。
7 国税犯則調査手続の見直しに伴う租税条約等実施特例法の整備 租税条約等の相手国等から犯則事件の調査に必要な情報の提供要請があった場合における租税条約等の相手国等への情報提供のための調査手続について、国税犯則調査手続の見直しに伴う所要の整備が行われました。
8 その他の国際課税の改正⑴ 外国法人の法人税の確定申告書の提出期限の延長の特例
内国法人の法人税の確定申告書の提出期限の延長の特例について、各事業年度終了の日の翌日から 3 月以内に決算についての定時総会が招集されない常況にあると認められる場合には、 4 月を超えない範囲内において税務署長が指定する月数の期間延長することができることとされ、外国法人についてもこれと同様とされました。
⑵ 外国法人の法人税に係る災害に関する税制上の措置
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① 災害損失欠損金の繰戻しによる還付 災害のあった日から同日以後 1 年を経過する日までの間に終了する各事業年度又は災害のあった日から同日以後 6 月を経過する日までの間に終了する中間期間において生じた災害損失欠損金額がある場合には、その事業年度又は中間期間開始の日前 2 年(白色申告である場合には、 1年)以内に開始した事業年度の法人税額のうちその災害損失欠損金額に対応する部分の金額の還付を請求することができることとされました。
② 仮決算による中間申告における所得税額の還付 災害のあった日から同日以後 6 月を経過する日までの間に終了する中間期間において生じた災害損失金額がある場合には、その中間期間に係る仮決算による中間申告において、その災害損失金額を限度として、その課された所得税の額で法人税の額から控除しきれなかった金額を還付することとされました。
③ 外国法人の法人税の中間申告 外国法人の法人税の中間申告書の提出について、国税通則法第11条の規定による申告期限の延長により、中間申告書の提出期限とその中間申告書に係る確定申告書の提出期限とが同一の日となる場合は、その中間申告書の提出を要しないこととされました。
⑶ 外国普通法人となった旨の届出書 恒久的施設を有しない外国法人である普通法人が恒久的施設を有することとなった場合等に所轄税務署長に提出することとされている届出書について、登記事項証明書の添付が不要とされました。
⑷ 納税地の異動の届出 納税地に異動があった場合に提出することとされている届出書について、異動後の納税地の所轄税務署長への提出が不要とされました。
⑸ 地方法人税法関係 地方法人税の税率の10.3%(改正前:4.4%)への引上げの実施時期が平成31年10月 1 日(改正前:平成29年 4 月 1 日)以後に開始する課税事業年度とされたことに伴い、所要の改正が行われました。
⑹ 非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度に係る報告金融機関等の範囲の整備 再編強化法の改正による農協改革に伴い、報告金融機関等の範囲に特定承継会社を追加することとされました。
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1 日本・スロベニア租税条約の締結 我が国とスロベニア共和国との間の租税条約が新たに署名されました。条約の主な内容は以下のとおりです。⑴ 投資所得(配当、利子及び使用料)に対する源泉地国における限度税率
等を以下のように規定しています。
配 当 5 %
利 子 免税:政府受取等5 %:その他
使用料 5 %
⑵ 条約を濫用した租税回避行為を防止するため、取引が条約の濫用を目的とすると認められる場合には条約の特典を認めないことを規定しています。
⑶ 2010年に改正された OECD モデル租税条約を踏まえ、外国法人・非居住者の支店等(恒久的施設)に帰属する事業利得に対する課税について、本支店間の内部取引を認識し、独立企業原則を適用して恒久的施設に帰属する利得を計算することを規定しています。
⑷ 条約の規定に適合しない課税に関する相互協議手続に関して、両国の税務当局間の協議により 2 年以内に事案が解決されない場合には、納税者からの要請に基づき、第三者から構成される仲裁委員会の決定に基づき事案を解決することを規定しています。
⑸ 両国の税務当局間において、全ての国税及び地方税に関して国際標準に基づく情報交換を実施することを規定しています。
⑹ 両国が相手国の滞納租税債権の徴収を相互に支援することを規定しています。
⑺ 条約は、両国においてそれぞれの国内手続(我が国においては国会の承認を得ることが必要)を経た後、国内手続が完了したことを相手国に通告し、遅い方の通告が受領された日の翌日から30日目の日に効力を生ずることとなります。
2 日本・ベルギー租税条約の全面改正 我が国とベルギー王国との間の租税条約が全面改正されました。新たな条約の主な内容は以下のとおりです。⑴ 投資所得(配当、利子及び使用料)に対する源泉地国における限度税率
等を以下のように規定しています。
租税条約等の締結・改正 本 文参照頁
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改正前 改正後
配 当
5 %: ベルギー法人支払配当、持株25%以上
10%: 日本法人支払配当、持株25%以上
15%:その他
免税:親子会社間、議決権10%以上免税:年金基金受取10%:その他
利 子 10% 免税:企業間受取等10%:その他
使用料 10% 免税
⑵ 条約を濫用した租税回避行為を防止するため、条約の特典を受けることができる者を一定の要件を満たす者に限定すること、及び取引が条約の濫用を目的とすると認められる場合には条約の特典を認めないことを規定しています。
⑶ 2010年に改正された OECD モデル租税条約を踏まえ、外国法人・非居住者の支店等(恒久的施設)に帰属する事業利得に対する課税について、本支店間の内部取引を認識し、独立企業原則を適用して恒久的施設に帰属する利得を計算することを規定しています。
⑷ 条約の規定に適合しない課税に関する相互協議手続に関して、両国の税務当局間の協議により 2 年以内に事案が解決されない場合には、納税者からの要請に基づき、第三者から構成される仲裁委員会の決定に基づき事案を解決することを規定しています。
⑸ 両国の税務当局間において、全ての国税及び地方税に関して国際標準に基づく情報交換を実施することを規定しています。
⑹ 両国が相手国の滞納租税債権の徴収を相互に支援することを規定しています。
⑺ 条約は、両国においてそれぞれの国内手続(我が国においては国会の承認を得ることが必要)を経た後、国内手続が完了したことを相手国に通告し、遅い方の通告が受領された日の翌日から30日目の日に効力を生ずることとなります。
3 日本・ラトビア租税条約の締結 我が国とラトビア共和国との間の租税条約が新たに署名されました。条約の主な内容は以下のとおりです。⑴ 投資所得(配当、利子及び使用料)に対する源泉地国における限度税率
等を以下のように規定しています。
配 当 免税:個人以外受取10%:その他
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利 子 免税:個人以外受取10%:その他
使用料 免税
⑵ 条約を濫用した租税回避行為を防止するため、条約の特典を受けることができる者を一定の要件を満たす者に限定すること、及び取引が条約の濫用を目的とすると認められる場合には条約の特典を認めないことを規定しています。
⑶ 条約の規定に適合しない課税に関する相互協議手続に関して、両国の税務当局間の協議により 2 年以内に事案が解決されない場合には、納税者からの要請に基づき、第三者から構成される仲裁委員会の決定に基づき事案を解決することを規定しています。
⑷ 両国の税務当局間において、全ての国税及び地方税に関して国際標準に基づく情報交換を実施することを規定しています。
⑸ 両国が相手国の滞納租税債権の徴収を相互に支援することを規定しています。
⑹ 条約は、両国においてそれぞれの国内手続(我が国においては国会の承認を得ることが必要)を経た後、両国間で外交上の公文の交換を行った日に効力を生ずることとなります。
4 日本・オーストリア租税条約の全面改正 我が国とオーストリア共和国との間の租税条約が全面改正されました。新たな条約の主な内容は以下のとおりです。⑴ 投資所得(配当、利子及び使用料)に対する源泉地国における限度税率
等を以下のように規定しています。
改正前 改正後
配 当 10%:株式資本割合50%超20%:その他
免税:親子会社間、議決権10%以上免税:年金基金受取10%:その他
利 子 10% 免税
使用料 10% 免税
⑵ 条約を濫用した租税回避行為を防止するため、条約の特典を受けることができる者を一定の要件を満たす者に限定すること、及び取引が条約の濫用を目的とすると認められる場合には条約の特典を認めないことを規定しています。
⑶ 条約の規定に適合しない課税に関する相互協議手続に関して、両国の税務当局間の協議により 2 年以内に事案が解決されない場合には、納税者か
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らの要請に基づき、第三者から構成される仲裁委員会の決定に基づき事案を解決することを規定しています。
⑷ 両国の税務当局間において、全ての国税及び地方税に関して国際標準に基づく情報交換を実施することを規定しています。
⑸ 両国が相手国の滞納租税債権の徴収を相互に支援することを規定しています。
⑹ 条約は、両国においてそれぞれの国内手続(我が国においては国会の承認を得ることが必要)を経た後、両国間で外交上の公文の交換を行い、交換の日の翌日から30日目の日に効力を生ずることとなります。
5 日本・パナマ租税情報交換協定の締結 我が国とパナマ共和国との間の租税情報交換協定が新たに署名され、平成29年(2017年) 3 月12日に発効しました。協定の主な内容は以下のとおりです。⑴ OECD が策定した国際基準に基づく金融口座の情報交換に必要な自動
的情報交換の規定を含む両国の税務当局間における情報交換を実施するための規定が設けられました。
⑵ 協定は、犯則租税事案に関しては、平成29年(2017年) 3 月12日から適用されます(課税年度を問いません。)。また、その他の全ての事案に関しては、平成25年(2013年) 1 月 1 日以後に開始する各課税年度の租税等について適用されます。
6 日本・バハマ租税情報交換協定の一部改正 我が国とバハマ国との間の租税情報交換協定を改正する議定書が署名されました。改正議定書の主な内容は以下のとおりです。⑴ OECD が策定した国際基準に基づく金融口座の情報交換に必要な自動
的情報交換の規定が追加されました。この自動的情報交換の規定は、平成29年(2017年) 1 月 1 日以後に開始する各課税年度の租税等について適用されます。
⑵ 改正議定書は、両国においてそれぞれの国内手続(我が国においては国会の承認を得ることが必要)を経た後、両国間で外交上の公文の交換を行い、交換の日の翌日から30日目の日に効力を生ずることとなります。
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一 消費税率引上げ時期の変更及びそれに伴う改正 平成29年 4 月 1 日に予定していた消費税率7.8%への引上げ時期が平成31年10月 1 日に変更されるとともに、軽減税率制度や適格請求書等保存方式の実施時期が 2 年半延期されました。
二 仮想通貨の譲渡に係る課税関係の見直し 消費税が非課税とされる支払手段に類するものの範囲に、資金決済に関する法律に規定する仮想通貨を加えることとされました。
三 災害に対応するための特例措置の常設化 特定非常災害の被災事業者について、指定日までに消費税の課税事業者選択届出書等を提出した場合には、本来の提出期限までに提出したこととし、課税事業者等を選択した場合の 2 年間の継続適用等の要件は適用しないこととする等の特例が設けられました。
四 その他の改正1 消費税が非課税とされる行政手数料等の範囲に、独立行政法人等非識別加
工情報の提供を行う際の役務の提供に係る手数料を加えることとされました。2 消費税の納税地の異動届出書について、その異動後の納税地の所轄税務署
長への提出は不要とされ、異動前の納税地の所轄税務署長にのみ提出すればよいこととされました。
3 消費税が非課税とされる身体障害者用物品について、盲人用秤及び視覚障害者用拡大読書器の対象範囲が拡大されるとともに、個別商品について所要の見直しが行われました。
4 到着時免税店の設置が可能となったことに伴い、輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律に規定する「携帯品免税制度」及び「再輸入免税制度」の規定の適用関係を明確にする観点から、所要の見直しが行われました。
消費税法等の改正 本 文参照頁
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一 酒税法等の改正1 酒類間の税率格差の縮小・解消
⑴ 類似する酒類間の税率格差が商品開発や販売数量に影響を与えている状況を改め、酒類間の税負担の公平性を回復する等の観点から、酒税の税率について次の見直しが行われました。① 発泡性酒類のうちビール系飲料(ビール、発泡酒、新ジャンル)の税
率を 1 ㎘につき155,000円に統一することとされました。② 発泡性酒類のうちその他の発泡性酒類(新ジャンルを除きます。)に
ついて、その範囲をアルコール分11度未満に拡大した上で、その税率を1 ㎘につき100,000円に引き上げることとされました。
③ 醸造酒類の税率を 1 ㎘につき100,000円に統一することとされました。④ 混成酒類の基本税率を 1 ㎘につき200,000円(アルコール分が21度以
上のものにあっては、200,000円にアルコール分が20度を超える 1 度ごとに10,000円を加えた金額)に引き下げることとされました。
⑤ 発泡性を有しない低アルコール分の蒸留酒類等に係る酒税の特例について、下限税率が適用される範囲をアルコール分11度未満に拡大した上で、下限税率を 1 ㎘につき100,000円に引き上げることとされました。
⑵ 上記⑴の税率改正に伴い、消費者及び酒類製造者への影響を緩和する観点から、発泡性酒類及び醸造酒類の税率改正を段階的に実施するために、平成32年10月 1 日から平成38年 9 月30日までの間に適用される経過的な税率が定められました。
平成32年10月 1 日 平成35年10月 1 日 平成38年10月 1 日発泡性酒類 200,000円 /㎘ 181,000円 /㎘
155,000円 /㎘
発泡酒(25%以上50%未満) 167,125円 /㎘ 155,000円 /㎘
発泡酒(25%未満) 134,250円 /㎘134,250円 /㎘その他の発泡性酒類
(新ジャンル) 108,000円 /㎘
その他の発泡性酒類(新ジャンル以外) 80,000円 /㎘ 80,000円 /㎘ 100,000円 /㎘
醸造酒類 120,000円 /㎘100,000円 /㎘ 100,000円 /㎘清酒 110,000円 /㎘
果実酒 90,000円 /㎘混成酒類
(アルコール分21度未満) 200,000円 /㎘ 200,000円 /㎘ 200,000円 /㎘
低アルコール分の蒸留酒類等 80,000円 /㎘ 80,000円 /㎘ 100,000円 /㎘
(注) 発泡酒の( )書きは麦芽比率です。
酒税法等の改正 本 文参照頁
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⑶ 税率改正の実施日(平成32年10月 1 日、平成35年10月 1 日及び平成38年10月 1 日)に、酒類の製造場又は保税地域以外の場所で酒税額が引き上げられる酒類(引上対象酒類)を販売のために一定数量以上所持する酒類の製造者又は販売業者に対して、手持品課税を行うこととされました。 また、手持品課税の適用を受ける酒類の製造者又は販売業者が、税率改正の実施日に、酒類の製造場又は保税地域以外の場所で酒税額が引き下げられる酒類(引下対象酒類)を販売のために所持する場合には、手持品戻税を行うこととされました。
⑷ 税率改正の実施日前に未納税移出等がされた引上対象酒類が、税率改正の実施日以後に条件不履行などにより酒税が課されることとなった場合の酒税額は、税率改正の実施日に適用される税率引上げ後の税率によることとする経過措置が講じられました。
2 酒類の定義の改正⑴ ビールの定義について次の見直しが行われました。
① ビールの副原料として、果実又はコリアンダーのほか、ビールに香り又は味を付けるために使用する香辛料、ハーブ、野菜等の一定の物品が追加されました。ただし、これらの物品を使用する場合の重量は麦芽の重量の100分の 5 を超えない範囲とされました。
② ビールの麦芽比率の要件を100分の50以上に引き下げることとされました。
③ ビールの範囲に、ビールにホップ等の一定の物品を加えて発酵させた酒類が追加されました。
⑵ 発泡酒の範囲に、次の酒類が追加されました。① 麦芽及び麦を原料に使用しない発泡性を有する酒類のうち、ホップを
原料の一部としたもの② 麦芽、麦及びホップを原料に使用しない発泡性を有する酒類のうち、
香味、色沢その他の性状がビールに類似するものとして、一定の方法により測定・算出した苦味価の値と色度の値がそれぞれ一定数値以上のもの
⑶ 果実酒の範囲に、果実酒にオークチップを浸してその成分を浸出させた酒類が追加されました。
⑷ 上記⑴から⑶までのビール、発泡酒及び果実酒の定義の改正に伴い、酒類の製造免許又は販売業免許について所要の経過措置が講じられました。 また、酒類業組合法に基づく酒類の容器等への品目の表示義務について所要の経過措置が講じられました。
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3 酒税制度の簡素・合理化等⑴ 未納税移出の事前承認を必要としない酒類の製造場から移出する酒類の
範囲に、次の目的で酒類の製造場から移出する酒類が追加されました。① 他の酒類製造者の酒類の製造場又は蔵置場に移入するための酒類のう
ち、酒類製造者から酒類の製造の委託を受けた酒類製造者が、当該委託を受けて製造した酒類を容器に詰めるため当該他の酒類製造者の酒類の製造場又は蔵置場へ移入するもので、当該他の酒類製造者が当該移入をした後に当該委託をした者の酒類の製造場又は蔵置場へ更に移出することが明らかなもの
② 上記①により移入して容器に詰められた酒類を容器詰めの委託を受けた者の酒類の製造場又は蔵置場から上記①の製造の委託をした者の酒類の製造場又は蔵置場に移入するためのもの
⑵ 未納税引取の範囲に、酒類製造者が自己の酒類の製造場又は蔵置場へ引き取る酒類で当該酒類製造者が当該酒類の製造場又は蔵置場で容器に詰めて更に移出することが明らかなものが追加されました。
⑶ 酒類の製造行為等のうち、次の場合については、事前に承認を受ける義務が廃止されました。① リキュールの製造免許と清酒、合成清酒又はみりんの製造免許とを受
けている製造場において清酒、合成清酒又はみりんを原料の一部としてリキュールを製造しようとする場合
② 税率の適用区分が異なる発泡酒を混和しようとする場合⑷ 酒類の製造方法等の申告書の提出期限が、酒類の製造の開始の日までと
されました。二 災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律(酒税関係)の
改正1 災害が発生した場合において、国税通則法の規定により申告期限等の延長
が適用される地域の指定があり、かつ、国税庁長官がその地域に所在する被災酒類に係る酒税の納税義務者に代わる酒類の製造者を指定したときは、その指定された酒類の製造者を被災酒類に係る酒税の納税義務者とみなして、その指定された酒類の製造者において一元的に酒税相当額の控除又は還付の手続を行うこととする還付制度の特例が創設されました。
三 沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律(酒税関係)の改正1 沖縄県産酒類に対する酒税の軽減措置の適用期限が 2 年延長されました。2 沖縄県産酒類に対する酒税の軽減措置の適用を受けた酒類に係る差額課税
について、沖縄県の区域から当該区域以外の本邦の地域に移出する目的で継
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続的に船舶又は航空機に積み込む者として主たる積込み場所の所在地の所轄税務署長の承認を受けた者は、その承認を受けた日の属する月の翌月以降に船舶又は航空機に積み込む沖縄軽減酒類に係る酒税の差額課税の申告書については、その月分に製造場から移出したものとみなされた沖縄軽減酒類の合計数量に対する酒税につき、翌月末日までに提出することができることとされました。
3 酒販組合に関する経過措置の適用期限が 2 年延長されました。四 その他の制度改正1 構造改革特別区域法における酒税法の特例の改正
構造改革特別区域法における酒税法の特例として、構造改革特別区域内において生産された特産農産物等を原料として単式蒸留焼酎を製造しようとする者又は原料用アルコールを製造しようとする単式蒸留焼酎の製造免許を受けている者が、単式蒸留焼酎又は原料用アルコールの製造免許を申請した場合には、一定の要件の下、これらの製造免許に係る最低製造数量基準を適用しないこととされました。
2 酒税法及び酒類業組合法の一部を改正する法律(議員立法)による改正⑴ 酒類業組合法について、次の見直しが行われました。
① 財務大臣は、酒類に関する公正な取引の基準を定めるとともに、この基準を遵守しない酒類業者があるときは、この基準を遵守すべき旨を指示し、その指示に従わないときは、その旨を公表することができ、また、その場合において酒税の円滑かつ適正な転嫁が阻害され、又は阻害されるおそれがあると認めるときは、この基準を遵守すべきことを命令することができることとされました。
② 酒類小売業者は酒類販売管理研修を受けた者のうちから酒類販売管理者を選任するとともに、一定の期間( 3 年)ごとに、酒類販売管理者に酒類販売管理研修を受けさせなければならないこととされました。
③ 財務大臣の質問検査権の対象に、酒類業組合等、酒類製造業者又は酒類販売業者とその事業に関して関係のある事業者を追加することとされました。
④ 公正取引委員会又は財務大臣が、上記①の基準に違反する事実又は酒類の取引に関して不公正な取引方法に該当する事実があると思料するときは、相互にその事実の報告を行うこととされました。
⑤ 酒類業組合法第86条の 4 又は第86条の 9 第 8 項の規定による命令に違反した者は、50万円以下の罰金に処することとされました。
⑵ 酒税法について、次の見直しが行われました。
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① 酒類業組合法第84条又は第86条の 4 の規定による命令に違反した場合は、酒類の製造免許等を取り消すことができることとされました。
② 免許の申請者が上記①により酒類の製造免許等を取り消された場合を製造免許等の拒否要件に加えるほか、免許の申請者が一定の事由により酒類の製造免許等を取り消された者である場合の製造免許等の拒否要件を当該酒類の製造免許等を取り消された日から 3 年を経過するまでの者である場合とされました。
一 酒税関係の改正1 低アルコール分の蒸留酒類等に係る酒税の税率の特例について、次の見直
しが行われました。⑴ 下限税率が適用される範囲をアルコール分11度未満に拡大した上で、下
限税率を 1 ㎘につき100,000円に引き上げることとされました。⑵ 平成32年10月 1 日から平成38年 9 月30日までの間は、上記⑴にかかわら
ず、下限税率の適用範囲をアルコール分 9 度未満とし、下限税率を 1 ㎘につき80,000円とする経過措置が講じられました。
2 入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例措置の適用期限が撤廃されました。
3 輸出酒類販売場制度(酒蔵ツーリズム免税制度)の創設 輸出酒類販売場(消費税の輸出物品販売場の許可を受けた酒類の製造場であることその他の要件に該当する販売場として、当該酒類の製造場の所在地を所轄する税務署長の許可を受けた販売場をいいます。以下同じです。)を経営する酒類製造者が、非居住者に対し、下記⑴から⑶までの要件の全てを満たす酒類で最終的に輸出するために所定の手続により販売されるものについては、当該輸出酒類販売場である酒類の製造場からの移出に係る酒税を免除することとされました。 ただし、輸出酒類販売場を経営する酒類製造者が、免税手続(非居住者により購入されたことを証する書類(購入者誓約書等)の保存や酒税の免税申告手続)を遵守しない場合には、酒税が免除されません。また、非居住者が輸出酒類販売場において酒税の免除を受けて購入した酒類を出国の時までに輸出しなかった場合や国内で譲渡をした場合等には、その者から酒税が徴収
租税特別措置法等(間接税関係)の改正 本 文参照頁
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されることとなります。⑴ 輸出酒類販売場を経営する酒類製造者が製造免許を受けた酒類と同一の
品目の酒類であること。⑵ 輸出酒類販売場を経営する酒類製造者が製造した酒類であること。⑶ 消費税法第 8 条第 1 項の規定により消費税が免除される酒類であること。
二 たばこ税関係の改正1 入国者が輸入する紙巻たばこに係るたばこ税の税率の特例措置の適用期限
が 1 年延長されました。三 石油石炭税関係の改正1 地球温暖化対策のための石油石炭税の税率の特例に係る免税・還付措置の
延長等⑴ 特定の用途に供する石炭に係る石油石炭税の軽減措置の適用期限が 3 年
延長されました。⑵ 特定の石油製品を特定の運送又は農林漁業の用に供した場合の石油石炭
税の還付措置について、適用対象に苛性ソーダの製造業者(子会社等を含みます。)が発電(苛性ソーダの製造に使用する電気に係るものに限ります。)の用に供した重油、天然ガス及び石炭を加えた上、その適用期限が3 年延長されました。
2 輸入農林漁業用A重油に係る石油石炭税の免税措置の適用期限が 3 年延長されました。
3 国産農林漁業用A重油に係る石油石炭税の還付措置の適用期限が 3 年延長されました。
4 非製品ガスに係る石油石炭税の還付措置の適用期限が 3 年延長されました。四 航空機燃料税関係の改正1 航空機燃料税の税率の特例措置の適用期限が 3 年延長されました。2 沖縄路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率の特
例措置の適用期限が 3 年延長されました。3 特定離島路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率
の特例措置の適用期限が 3 年延長されました。五 自動車重量税関係の改正1 自動車重量税の免税等の特例措置(いわゆる「エコカー減税」)について、
燃費性能に関する要件の見直し等を行った上、その適用期限が 2 年延長されました。
2 自動車重量税の納付不足額が生じた原因が、偽りその他不正の手段により国土交通大臣の認定等を受けたことを事由として国土交通大臣が当該認定等
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を取り消したことによるものであるときは、当該認定等の申請者(自動車メーカー等)に対して当該納付不足額に係る自動車重量税を課すこととする等の措置を講ずることとされました。
3 車両安定性制御装置等を装備した乗合自動車等に係る自動車重量税率の特例措置について、適用対象に車両総重量が12tを超えるバス等であって車線逸脱警報装置を装備したものを加えることとされました。
4 一定の自然災害により被災した自動車(被災自動車)の所有者が当該自然災害の発生した日から同日以後 5 年を経過する日までの間に一定の手続を行った場合には、当該自然災害の発生した日から自動車検査証に記載された有効期間の満了する日までの月数に応じた自動車重量税を還付することとされました。
六 印紙税関係の改正1 一定の自然災害の被災者が、当該自然災害により滅失等した建物に代わる
建物を取得又は新築する場合、当該自然災害により滅失等した建物に代わる建物の敷地の用に供する土地を取得する場合及び当該自然災害により損壊した建物を修繕する場合等において作成する「不動産譲渡契約書」又は「建設工事請負契約書」のうち、当該自然災害の発生した日から同日以後 5 年を経過する日までの間に作成するものについて、印紙税が非課税とされました。
2 公的貸付機関等又は金融機関が一定の激甚災害により被害を受けた者に対して行う特別貸付けに係る消費貸借契約書のうち、当該激甚災害の発生した日から同日以後 5 年を経過する日までの間に作成されるものについて、印紙税が非課税とされました。
一 国税犯則調査手続の見直し 国税犯則調査手続について、次のとおり見直しを行うとともに、国税犯則取締法を廃止し、その規定が国税通則法に編入されました。
1 電磁的記録に係る証拠収集手続の整備⑴ 記録命令付差押えの整備
電磁的記録を保管する者等に命じて、必要な電磁的記録を記録媒体に記録又は印刷させた上、その記録媒体を差し押さえることができることとされました。
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⑵ 接続サーバ保管の自己作成データ等の差押えの整備 差し押さえるべき物件が電子計算機であるときは、その電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であって、その電子計算機で作成等をした電磁的記録等を保管するために使用されていると認めるに足りる状況にあるものから、その電磁的記録をその電子計算機等に複写した上、その電子計算機等を差し押さえることができることとされました。
⑶ 通信履歴の電磁的記録の保全要請の整備 差押え等をするため必要があるときは、電気通信を行うための設備を他人の通信の用に供する事業を営む者等に対し、通信履歴の電磁的記録のうち必要なものを特定し、30日(特に必要があって延長する場合には通じて60日)を超えない期間を定めて消去しないよう求めることができることとされました。
⑷ 電磁的記録に係る記録媒体の差押えの執行方法の整備 差し押さえるべき物件が電磁的記録に係る記録媒体であるときは、その差押えに代えて、電磁的記録を他の記録媒体に複写、印刷又は移転の上、その記録媒体を差し押さえることができることとされました。
⑸ 臨検等を受ける者への協力要請の整備 臨検すべき物件等が電磁的記録に係る記録媒体であるときは、臨検等を受ける者に対し、電子計算機の操作その他の必要な協力を求めることができることとされました。
2 関税法に基づく犯則調査手続等を踏まえた国税犯則調査手続の整備⑴ 犯則事件に係る任意調査手続の整備
犯則事件を調査するため必要があるときは、犯則嫌疑者等に対して出頭を求めることができることを法令上明確化するとともに、犯則嫌疑者等が置き去った物件を検査又は領置することができることとされました。
⑵ 犯則事件に係る強制調査手続の整備 許可状を請求する場合には、犯則事件が存在すると認められる資料を提供しなければならないこととするほか、許可状について、臨検すべき物件、捜索すべき場所、有効期間経過後は執行に着手することができずこれを返還しなければならない旨及び交付の年月日をその記載事項として法令上明確化するとともに、犯則事実に代えて罪名を記載することとされました。
⑶ 通信事務取扱者に対する差押えの整備 許可状の交付を受けて、通信事務取扱者が保管等をする郵便物等について差し押さえることができることとし、その処分をした場合には、その旨を発信人等に通知しなければならないこととされました。
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⑷ 現行犯事件に係る臨検等の規定の整備 現行犯事件に係る臨検等の規定については、犯則行為と臨検等との時間的近接性について、現に犯則を行う(行い終わった)者がある場合における現行の運用上の取扱いを明確化する形で整備されました。
⑸ 許可状の提示手続の整備 臨検等の許可状については、これらの処分を受ける者に提示しなければならないこととされました。
⑹ 身分証明書の提示手続の整備 質問等をする場合に携帯する身分を示す証明書について、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならないこととされました。
⑺ 臨検等における立会いの整備 住居の所有者等の立会いを必要とする処分の範囲に臨検及び差押えが、住居の所有者等を立ち会わせることができない場合の代替的な立会人の範囲に都道府県職員が、それぞれ加えられました。
⑻ 領置目録等の謄本交付等の整備 領置等をしたときは、その目録を作成し、所有者等にその謄本を交付しなければならないこととされました。
⑼ 領置物件等の腐敗等がある場合の手続の整備 領置物件等の腐敗等がある場合に行う公売について、その公告事項を整備するほか、その性質に反しない限り、国税徴収法の公売手続に準ずることとされました。
⑽ 領置物件等を還付できない場合の手続の整備 領置物件等の返還を受けるべき者の住所が不明等の事由によりこれを還付することができない場合には、その旨を公告した上で、その公告の日から 6 月を経過しても還付の請求がないときは、これらの物件は国庫に帰属することとされました。
⑾ 鑑定、通訳又は翻訳の嘱託の整備 犯則事件を調査するため必要があるときは、鑑定、通訳又は翻訳を嘱託することができることを法令上明確化するとともに、鑑定人は、裁判官の許可を受けて、鑑定に係る物件を破壊することができることとされました。
⑿ 臨検等の夜間執行の整備 許可状に夜間でも執行することができる旨の記載がある場合には、日没後においても臨検等を開始することができることとされました。
⒀ 執行を中止する場合の処分の整備 臨検等の許可状の執行を中止する場合において必要があるときは、執行
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が終わるまでその場所を閉鎖し、又は看守者を置くことができることが法令上明確化されました。
⒁ 捜索証明書の交付の整備 捜索をした場合において証拠物等がないときは、捜索を受けた者の請求により、その旨の証明書を交付しなければならないこととされました。
⒂ 調書の作成手続の整備 質問に係る調書について、質問を受けた者に閲覧又は読み聞かせて、質問を受けた者が増減変更の申立てをしたときは、その陳述を調書に記載しなければならないこととされました。
⒃ 管轄区域外における職務執行の整備 犯則事件を調査するため必要があるときは、所属する国税局又は税務署の管轄区域外において、その職務を執行することができることとされました。
3 間接国税に係る犯則調査手続の整備⑴ 通告処分の対象範囲等の見直し
通告処分について、申告納税方式による間接国税に関する犯則事件を対象範囲から除外するほか、通告に計算違い等の明白な誤りがあるときは、国税局長等は職権でその通告を更正することができることとするとともに、公訴時効を停止制度(現行:中断制度)に改めた上で、通告を受けた日の翌日から起算して20日を経過した時からその進行を始めることとされました。
⑵ 告発が訴訟条件であることの明確化 通告処分の対象となる間接国税に関する犯則事件について、国税局長等の告発が訴訟条件であることが法令上明確化されました。
⑶ 犯則の心証を得ない場合の手続の整備 通告処分の対象となる間接国税に関する犯則事件の調査により犯則の心証を得ない場合における解除命令の対象範囲に、物件の領置が加えられました。
4 その他の国税犯則調査手続に関する整備⑴ 法令の現代語化等の整備
国税犯則調査手続に係る規定について、平仮名・口語体表記に規定を改めるとともに、現代では用いられていない用語について、適当な用語に置き換えることとする現代語化が行われました。
⑵ 間接国税に係る重加算税の導入 申告納税方式が適用される酒税等の間接国税について、重加算税制度が
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導入されました。⑶ 間接国税に係る取引先に対する質問検査権の整備
酒税等の間接国税に係る課税調査について、取引先に対する質問検査権が整備されました。
⑷ 国税徴収手続における立会いの整備 国税徴収法に基づく捜索において住居の所有者等を立ち会わせることができない場合の代替的な立会人の範囲に、都道府県職員が加えられました。
⑸ 犯則事件に係る検査拒否に対する罰則の廃止 間接国税に関する犯則事件に係る検査拒否に対する罰則が廃止されました。
二 災害等による期限延長制度における延長手続の拡充 災害等による期限延長制度について、国税庁長官は、災害等の理由により、申告等の行為をすべき者であって期限までに特定の税目に係る申告等の行為をすることができないと認める者(対象者)が多数に上ると認める場合には、対象者の範囲及び期日を指定してその期限を延長することができることとされました。
三 口座振替納付に係る納付情報の提供等の電子化 税務署長が納税者からの依頼に基づき金融機関へ提供する口座振替納付に必要な納付の情報について、納付書の送付によるほか、納付書記載事項を記録した記録媒体の送付や納付書記載事項に係る電磁的記録の送信をすることができることとされました。
四 無限責任社員の第二次納税義務の整備 無限責任社員の第二次納税義務について、第二次納税義務の対象となる社員の範囲に、士業法人の社員が加えられました。
五 その他の納税環境整備関係の改正1 電子申告手続に係る識別符号等の入力の省略
e-Tax を使用して申請等を行う場合において、マイナンバーカードを用いて当該申請等の情報への電子署名及び電子証明書の送信を行うときは、識別符号(ID)及び暗証符号(パスワード)の入力を要しないこととされました。
2 学資支給金に係る国税滞納処分による差押禁止措置の整備 独立行政法人日本学生支援機構法の改正により新たに支給されることとなる学資支給金について、国税の滞納処分による差押えを禁止する措置が講じられました。
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1 個人住民税⑴ 配偶者控除等の見直し
① 配偶者特別控除について、配偶者控除と同じ控除額33万円の対象となる配偶者の前年の合計所得金額(改正前:38万円超45万円未満)の上限を90万円(給与収入155万円)に引き上げるとともに、改正前の制度と同様に、世帯の税引き後の手取り収入が逆転しないような仕組みとすることとされました。
② 配偶者控除及び配偶者特別控除について、控除額を納税者本人の合計所得金額に応じて逓減・消失させていく仕組みとすることとされました。
③ 上記の配偶者控除等の見直しに伴い、納税義務者本人への所得制限の導入により所得税額との控除差が減少する部分について、調整控除へ反映させることとされました。
⑵ 県費負担教職員の給与負担事務が道府県から指定都市へ移譲されたことに伴い、指定都市の区域内に住所を有する納税義務者に係る個人住民税所得割(総合課税)の税率を道府県民税 2 %、市民税 8 %(改正前:道府県民税 4 %、市民税 6 %)に変更することとされました。
⑶ 特定上場株式等の配当所得等について、所得税の確定申告書が提出された場合であっても、その後に個人住民税の申告書が提出された場合には、後者の申告書に記載された事項を基に課税できること等が明確化されました。
⑷ 所得税において、家計の安定的な資産形成を支援する観点から、少額からの積立・分散投資を促進するための「積立 NISA」が創設されたことに伴い、譲渡所得等の計算方法等について、所要の規定の整備を行うこととされました。
2 地方法人課税⑴ 電力の小売自由化や送配電部分の法的分離等に伴い、電気供給業に係る
法人事業税の分割基準を見直すこととされました。 また、昭和57年改正(発電所用固定資産の価額の比重を高める改正)時に、改正による急激な税収の変動を避けるために講じられていた経過措置についても廃止することとされました。
⑵ 法人事業税の資本割の課税標準の特例措置① 株式会社民間資金等活用事業推進機構に係る法人事業税について、資
本金等の額を銀行法に規定する銀行の最低資本金の額(20億円)とみな
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す資本割の課税標準の特例措置を 5 年間に限り講ずることとされました。② 銀行等保有株式取得機構に係る法人事業税について、資本金等の額を
10億円とみなす資本割の課税標準の特例措置の適用期限を平成32年 3 月31日まで 3 年延長することとされました。
⑶ 電気託送供給に係る託送料金を控除する収入割の特例措置について、その適用期限を平成32年 3 月31日まで 3 年延長することとされました。
⑷ 原子力損害賠償・廃炉等支援機構法上の廃炉等実施認定事業者に係る法人事業税の課税標準の算定にあたって廃炉等積立金に係る交付金額を控除する特例措置を創設することとされました。
⑸ 法人事業税付加価値割における所得拡大促進税制の適用要件を、平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額のその比較平均給与等支給額に対する割合が 2 %以上であることとの要件に見直すこととされました。
⑹ 法人事業税の確定申告書の提出期限の延長及び延長に伴う中間申告納付に係る規定の整備を行うこととされました。
⑺ 法人税における申告要件の見直しに伴い、外国税額控除制度、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)及び付加価値割の所得拡大促進税制等について、その適用に係る申告要件につき、納税者の立証すべき事項及び当初申告の要否を明確化し、要件を満たす場合には控除額を変更できることを明らかにすることで、地方団体の長が増額更正をする場合において連動的に控除額を増加できることとされました。
3 地方消費税 地方消費税の清算基準について次のとおり見直しを行うこととされました。① 平成26年商業統計の小売年間販売額へのデータ更新を行う際に、事業者
の所在地で計上されていると考えられる通信・カタログ販売、インターネット販売を除外する。
② 人口及び従業者数を用いている割合について、人口17.5%、従業者数7.5%(改正前:人口15%、従業者数10%)に変更する。
4 自動車取得税⑴ 都道府県の条例に定める路線を運行する乗合バス車両の取得に係る非課
税措置について、その適用期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
⑵ 排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車で初めて新規登録等を受けるものの取得に係る非課税・軽減措置(エコカー減税)について、対象範囲を見直した上で、その適用期限を平成31年 3 月31日まで
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2 年延長することとされました。⑶ 中古の環境対応車に係る特例措置(環境性能に応じて課税標準額から最
大45万円~最小 5 万円を控除)について、控除額及び軽減対象を見直した上で、その適用期限を平成31年年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
⑷ バリアフリー性能の優れた自動車(新車に限ります。)に係る課税標準の特例措置(取得価額から最大1,000万円~最小100万円を控除)について、その適用期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
⑸ 先進安全自動車(ASV)(トラック又はバス等。いずれも新車に限ります。)に係る課税標準の特例措置(課税標準から525万円又は350万円を控除)について、その適用期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
⑹ 平成28年 1 月に発生した軽井沢スキーバス転落事故を受けて、貸切バス車両に係る安全性を高める観点から、車線逸脱警報装置を備えたバス等
(新車に限ります。)の取得について、当該取得が平成31年 3 月31日までに行われたときに限り、取得価額から175万円を控除する特例措置を創設することとされました。
⑺ 自動車メーカーによる不正行為に起因して納付不足額が生じた場合における賦課徴収の特例を創設することとされました。
⑻ 被災代替自動車に係る自動車取得税の非課税措置について、その適用期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
5 自動車税⑴ 排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車は税率を軽
減し(軽課)、新車新規登録から一定年数を経過した環境負荷の大きい自動車は税率を重くする(重課)特例措置(グリーン化特例)について、燃費基準要件を見直した上で、その適用期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
⑵ 自動車メーカーによる不正行為に起因して納付不足額が生じた場合における賦課徴収の特例を創設することとされました。
6 軽自動車税⑴ 排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車は税率を軽
減する(軽課)特例措置(グリーン化特例)について、燃費基準要件を見直した上で、その適用期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
⑵ 自動車メーカーによる不正行為に起因して納付不足額が生じた場合にお
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ける賦課徴収の特例を創設することとされました。7 軽油引取税
重要影響事態安全確保等に基づき平成29年 4 月 1 日以後に行う免税軽油の提供時における課税免除の特例措置の創設等を行うこととされました。
8 固定資産税・都市計画税⑴ 居住用超高層建築物(いわゆる「タワーマンション」)に係る固定資産
税・都市計画税について、各区分所有者ごとの税額を算出する際に用いる専有床面積を、実際の取引価格の傾向を踏まえて補正するよう見直すこととされました。
⑵ 中小事業者等が取得した一定の機械及び装置に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、その対象資産に一定の器具・備品及び建物附属設備等が追加されました。
⑶ 税負担軽減措置等の創設等① 企業主導型保育事業・家庭的保育事業等の用に供する家屋に係る固定
資産税・都市計画税の課税標準の特例措置への地域決定型地方税特例措置(わがまち特例)を導入することとされました。
② 緑地保全・緑化推進法人が設置・管理する一定の市民緑地の用に供する土地に係る固定資産税・都市計画税の課税標準の特例措置を創設することとされました。
⑷ 税負担軽減措置等の拡充① 心身障害者を多数雇用する事業所の事業主が障害者の雇用の促進等に
関する法律に規定する助成金等の支給を受けて取得した一定の家屋に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、当該支給に係る要件を緩和した上で、その対象資産の取得期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
② 鉄道事業者等が政府の補助を受けて取得した車両の運行の安全性の向上に資する一定の償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、当該補助の範囲を拡充した上で、その対象資産の取得期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
③ 浸水防止用設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、その対象区域を拡充した上で、その適用期限を平成32年 3 月31日まで 3 年延長することとされました。
④ 耐震改修を行った既存住宅に係る固定資産税の減額措置及び省エネ改修を行った既存住宅に係る固定資産税の減額措置について、減額割合を拡充することとされました。
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⑸ 税負担軽減措置等の延長① 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が一定の都市計画区域
において都市鉄道等利便増進法に規定する都市鉄道利便増進事業により整備したトンネルに係る固定資産税の非課税措置について、その対象資産の整備期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
② 大規模地震対策特別措置法に規定する地震防災対策強化地域等において地震防災対策の用に供する一定の償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、その対象資産の取得期限を平成32年 3 月31日まで 3 年延長することとされました。
③ 鉄道事業者等が取得により事業の用に供する新造車両で高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる一定の構造(踏段を用いずに乗降可能である等の低床型の構造)を有するものに係る固定資産税の課税標準の特例措置について、その対象資産の取得期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
④ 都市再生特別措置法に規定する認定事業者が同法に規定する認定事業により取得した一定の公共施設等の用に供する家屋及び償却資産に係る固定資産税・都市計画税の課税標準の特例措置について、その対象資産の取得期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
⑤ 公益社団法人又は公益財団法人が所有する文化財保護法に規定する重要無形文化財の公演のための施設の用に供する一定の土地及び家屋に係る固定資産税・都市計画税の課税標準の特例措置について、その適用期限を平成30年度分まで 2 年延長することとされました。
⑥ 港湾法に規定する港湾運営会社が、国際戦略港湾及び一定の国際拠点港湾において、政府の補助等を受けて取得した一定の港湾施設の用に供する家屋及び償却資産に係る固定資産税・都市計画税の課税標準の特例措置について、その対象となる施設の取得期限を平成31年 3 月31日まで2 年延長することとされました。
⑦ 鉄道事業者等が既設の鉄軌道に係る一定の耐震補強工事によって新たに取得した一定の鉄道施設に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、その対象資産の取得期限を平成30年 3 月31日まで 1 年延長することとされました。
⑧ 特定貨物取扱埠頭機能高度化事業を実施する者が特定貨物輸入拠点港湾において、政府の補助を受けて取得した一定の港湾施設に係る固定資産税・都市計画税の課税標準の特例措置について、その対象資産の取得期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
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⑨ 北海道旅客鉄道株式会社等が所有し、又は借り受けている一定の固定資産に係る固定資産税・都市計画税の課税標準の特例措置について、その適用期限を平成33年度分まで 5 年延長することとされました。
⑩ 北海道旅客鉄道株式会社等又は日本貨物鉄道株式会社が日本国有鉄道から承継した一定の固定資産に係る固定資産税・都市計画税の課税標準の特例措置について、その適用期限を平成33年度分まで 5 年延長することとされました。
⑪ 市街地再開発事業の施行に伴い、従前の権利者に与えられた一定の新築された施設建築物に係る固定資産税の減額措置について、その対象となる施設建築物の新築期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
⑫ 防災街区整備事業の施行に伴い、従前の権利者に与えられた一定の新築された施設建築物に係る固定資産税の減額措置について、その対象となる施設建築物の新築期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
⑬ 建築物の耐震改修の促進に関する法律に規定する要安全確認計画記載建築物等に該当する一定の家屋のうち政府の補助を受けて一定の耐震改修を行い、一定の基準に適合することにつき証明がされたものに係る固定資産税の減額措置について、その対象資産の改修期限を平成32年 3 月31日まで 3 年延長することとされました。
⑹ 税負担軽減措置等の整理合理化① 電気自動車に水素を充填するための設備等に係る固定資産税の課税標
準の特例措置について、当該設備等に係る要件に一定の政府の補助を受けて取得したものに限ることとした上で、その対象資産の取得期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
② 鉄道事業者等が取得して事業の用に供する一定の新造車両に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、対象となる新造車両から旧来型の VVVF インバータを用いた車両を除外した上で、その対象資産の取得期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
③ エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律に掲げる機械類でエネルギー消費量との対比における性能の向上に著しく資する一定の設備(コージェネレーション設備)に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、対象となる設備要件について、 1 基当たりの発電容量が10kW 以上であることを追加した上で、その対象資産の取得期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
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④ 高齢者の居住の安定確保に関する法律に規定するサービス付き高齢者向け住宅である一定の貸家住宅に係る固定資産税の減額措置について、戸数要件及び床面積要件を見直した上で、その対象資産の新築期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
⑺ 税負担軽減措置等の廃止① 特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律における一定の基準適
合表示の付された特定特殊自動車に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、廃止することとされました。
② 都市再生特別措置法の規定による管理協定に係る協定倉庫に係る固定資産税・都市計画税の課税標準の特例措置について、廃止することとされました。
③ フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律に掲げる一定の機器で冷媒としてアンモニア、空気、二酸化炭素又は水のみを使用するもの(ノンフロン製品)に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、廃止することとされました。
9 不動産取得税⑴ 居住用超高層建築物に係る課税の見直し
居住用超高層建築物(いわゆる「タワーマンション」)に係る不動産取得税について、各区分所有者ごとの税額を算出する際に用いる専有床面積を、実際の取引価格の傾向を踏まえて補正するよう見直すこととされました。
⑵ 税負担軽減措置等の創設 不動産特定共同事業法に規定する小規模不動産特定共同事業者等が取得する一定の不動産に係る課税標準の算定において、当該不動産の価格の 2分の 1 に相当する額を控除する特例措置を創設することとされました(不動産特定共同事業法の一部改正法において措置)。
⑶ 税負担軽減措置等の拡充① 信託会社等が投資信託により取得する不動産及び投資法人が取得する
不動産に係る課税標準の特例措置について、その対象資産の範囲を拡充した上で、その適用期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
② 不動産特定共同事業法に規定する特例事業者が不動産特定共同事業契約に基づき取得する一定の不動産に係る課税標準の特例措置の要件に建築物の耐震化を追加した上で、その対象不動産の取得期限を平成31年 3月31日まで 2 年延長することとされました。
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③ 心身障害者を多数雇用する事業所の事業主が障害者の雇用の促進等に関する法律に規定する助成金等の支給を受けて取得する一定の事業の用に供する施設に係る税額の減額措置について、当該支給の要件を緩和した上で、その適用期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
⑷ 税負担軽減措置等の延長① 預金保険法に規定する協定銀行が協定の定めにより取得する不動産に
係る非課税措置について、その適用期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
② 農業経営基盤強化促進法に規定する農用地利用集積計画に基づき取得する農用地区域内にある土地に係る課税標準の特例措置について、その適用期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
③ 特定目的会社が資産流動化計画に基づき取得する一定の不動産に係る課税標準の特例措置について、その適用期限を平成31年 3 月31日まで 2年延長することされました。
④ 都市再生特別措置法に規定する認定事業者が認定計画に基づき取得する不動産に係る課税標準の特例措置について、その適用期限を平成31年3 月31日まで 2 年延長することとされました。
⑤ 公益社団法人又は公益財団法人が取得する文化財保護法に規定する重要無形文化財の公演のための施設の用に供する一定の不動産に係る課税標準の特例措置について、その適用期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
⑥ 買取再販業者(宅地建物取引業者)が、改修工事対象住宅の取得後 2年以内に、一定の改修工事を行った後、当該住宅を個人に対し譲渡し、当該個人がその者の居住の用に供した場合における当該宅地建物取引業者による取得に係る税額の減額措置について、その適用期限を平成31年3 月31日まで 2 年延長することとされました。
⑦ 東日本大震災による被災鉄道施設に代わるものとして復興まちづくり計画に従って鉄道線路が移設等される際に取得される鉄道用地に係る課税標準の特例措置について、その適用期限を平成30年 3 月31日まで 1 年延長することとされました。
⑧ 東日本大震災の津波被災区域を含む地域における土地改良法の規定による換地計画に基づき、事業実施地区外の農業者が取得する創設農用地換地に係る課税標準の特例措置について、その適用期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
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⑸ 税負担軽減措置等の整理合理化① 農業協同組合等が農業近代化資金等の貸付けを受けて取得する共同利
用施設に係る課税標準の特例措置について、対象要件を見直した上で、その適用期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
② 高齢者の居住の安定確保に関する法律に規定するサービス付き高齢者向け住宅である一定の新築貸家住宅に係る課税標準の特例措置について、戸数要件及び床面積要件を見直した上で、その適用期限を平成31年 3 月31日まで 2 年延長することとされました。
⑹ 家庭的保育事業等の用に供する家屋に係る課税標準の特例措置について、地域決定型地方税特例措置(わがまち特例)を導入することとされました。
10 事業所税⑴ 保育の受け皿の整備等を促進するための特例措置として、一定の政府の
補助を受けた者が行う企業主導型保育事業の用に供する施設に係る課税標準を 4 分の 3 控除する措置を創設することとされました。
⑵ 沖縄振興特別措置法に基づく一定の事業の用に供する施設に係る資産割の課税標準の特例措置について、その適用期限を平成31年 3 月31日まで 2年延長することとされました。
11 国民健康保険税 国民健康保険法の改正により、平成30年 4 月より国民健康保険制度は、都道府県が財政運営の責任主体となるため、この改正に合わせ、地方税法における所要の措置を講ずることとされました。
12 災害に関する税制上の措置⑴ 個人住民税の居住用財産の買換えの特例について、特定非常災害のため、
その買換資産を取得期限内に取得することが困難となった場合には、一定の要件の下、その取得期限を 2 年の範囲内で延長するものとすることとされました。
⑵ 個人住民税の優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得に係る課税の特例について、特定非常災害のため、定められた期間内に土地等の譲渡に該当することが困難となった場合には、一定の要件の下、その期間を 2 年の範囲内で延長するものとした上で、その適用期限を平成32年度まで 3 年延長することとされました。
⑶ 法人事業税の中間申告書の提出について、地方税法の規定による申告期限の延長により、その提出期限と確定申告書の提出期限とが同一の日となる場合は、その中間申告書の提出を要しないこととされました。
⑷ 固定資産税・都市計画税の被災住宅用地特例について、震災等に際し、
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被災市街地復興推進地域が定められた場合には、特例措置を適用できる期間を被災後 4 年度分に拡充することとされました。
⑸ 固定資産税について、震災等により滅失し、又は損壊した償却資産に代わる償却資産を震災等が発生した年から 4 年を経過する年の 3 月31日までの間に取得又は改良した場合には、最初の 4 年度分に限り、課税標準となるべき価格を 2 分の 1 とする措置を創設することとされました。
⑹ 固定資産税・都市計画税について、震災等により滅失し、又は損壊した家屋に代わる家屋を震災等が発生した年から 4 年を経過する年の 3 月31日までの間に取得又は改築した場合には、最初の 4 年度分に限り、課税標準となるべき価格を 2 分の 1 とする措置を創設することとされました。
13 納税環境整備⑴ 合名会社等の社員の第二次納税義務の対象となる社員の範囲に、税理士
法人、弁護士法人、外国法事務弁護士法人、監査法人、特許業務法人、司法書士法人、行政書士法人、社会保険労務士法人又は土地家屋調査士法人の社員を追加することとされました。
⑵ 国税犯則調査手続の見直しに伴い、地方税犯則調査手続について、基本的に国税犯則調査の見直しと同様の見直しを行うとともに、全ての税目を犯則調査手続の対象とすることとされました。
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