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Oracle Solaris 11: アプリケーション開発者のための新機能 Oracle ホワイトペーパー 2010 11 Oracle Solaris 11: アプリケーション開発者のための新機能

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Oracle Solaris 11: アプリケーション開発者のための新機能

Oracle ホワイトペーパー

2010 年 11 月

Oracle Solaris 11:

アプリケーション開発者のための新機能

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Oracle Solaris 11: アプリケーション開発者のための新機能

はじめに .............................................................................................................................. 1

Oracle Solaris 11 Express の新機能 ................................................................................... 2

アプリケーション開発プロセスの合理化 ........................................................................... 4

Oracle Solaris Studio ....................................................................................................... 4

そのほかの組み込みツール ............................................................................................. 7

マルチメディアアプリケーション対応 ........................................................................... 8

アプリケーションテストの簡素化 ...................................................................................... 9

開発、テスト、プロダクション環境の複製 .................................................................... 9

複数環境でのアプリケーション動作の検証 .................................................................. 10

Oracle Solaris 10 アプリケーションを

Oracle Solaris 11 Express に簡単に移行する............................................................... 11

アプリケーションの動作の監視と障害の診断 .............................................................. 11

障害を早期に発見して把握する .................................................................................... 12

システムとアプリケーション配備の改善 ......................................................................... 13

更新されたインストールと構成プログラム .................................................................. 14

最新のソフトウェアパッケージモデル ......................................................................... 15

完全に統合化され、仮想化された環境を活用する ........................................................... 17

軽量な開発環境の作成 ................................................................................................... 17

資源の管理 ..................................................................................................................... 17

ネットワークの仮想化 ................................................................................................... 17

ストレージインフラストラクチャの拡張 ...................................................................... 18

エンタープライズアプリケーションにストレージ管理を統合する .............................. 21

異機種システム混在環境での作業 ................................................................................. 23

アプリケーション、サービス、システムを保護する .............................................................. 24

アプリケーションを Oracle Solaris 11 Express に移行する ........................................... 25

結論 ................................................................................................................................... 27

詳細情報 ............................................................................................................................ 27

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はじめに

エンタープライズアプリケーション開発のプロセス合理化は、ビジネス成功の鍵を握っています。

生産性を可能なかぎり向上させるためには、エンタープライズ開発者はほかの開発者と協力して複

数のタスクに同時に取り組み、より尐ない時間で最適化された並列アプリケーションの作成を実行

できる統合環境が必要です。それでも完全なアプリケーションは存在しません。しかし、開発サイ

クルの初期の段階でソフトウェアの欠陥を見つけることができれば、問題を修正するための時間と

コストが尐なくて済むことは分かっています。この状況を受けて、クオリティソリューションの構

築を可能にする高度なデバッギングと解析ツールは、エンタープライズ開発者にとって必須のもの

となりました。

過去 20 年以上にわたって、Oracle Solaris はエンタープライズ開発者に選ばれるプラットフォー

ムでした。戦略的なエンタープライズアプリケーションの作成と配備のための豊かな環境を提供し

ながら、Oracle Solaris はコンピューティングのための鍵となる OS、ネットワーク環境、ストレー

ジ管理、ユーザー環境などの要素を組み合わせ、開発者にとってはソリューション作成のための安

定した品質の高い基盤となっています。例をあげると、仮想テクノロジーの組込み、広範囲なハー

ドウェア適応性、多大なスケーラビリティ、リッチなセキュリティー機能、デバッギングと解析の

ためのさまざまなツールなど、たくさんの拡張が含まれており、Oracle Solaris 10 がミッションク

リティカルな OS として位置付けられる理由はこのあたりにあると言えます。

新しい Oracle Solaris 11 環境では、Oracle Solaris 10 で導入された機能をさらに拡張しています。

広範囲にわたるさまざまな組み込み機能とアンバンドルツールを備えており、より高いパフォーマ

ンスを実現するアプリケーション開発を、短時間、低リスクで支援するようデザインされています。

完全仮想化された初の OS として、2,700 以上のプロジェクトと 400 もの新機能が含まれ、

11,000 以上のアプリケーションに対応する Oracle Solaris 11 は、オラクルのアプリケーションか

らディスクまでというテクノロジースタックの基盤と、戦略プラットフォームをアプリケーション

開発者に提供します。

開発者による Oracle Solaris 11 への移行がスムーズに行われるように、オラクルは Oracle Solaris

11 Express をリリースしました。これは、本稼働品質の完全対応リリースで、開発者は新機能につ

いての利点を学びながら確実にアプリケーションの作成を取り組むことを可能にします。提供され

る新しい機能を使用することで、テストや配備の簡素化、最適化された仮想環境の作成、セキュア

なアプリケーション、サービス、システムの構築が可能となるため、開発者はアプリケーションの

開発プロセスを最適化して進めることができます。

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Oracle Solaris 11 Express の新機能

Oracle Solaris 11 Express の主要な設計ゴールは、テクノロジーの拡張を組み入れ、バイナリ互換

性を保証することで、開発者が信頼性のあるアプリケーションスタックをより効率的に作成できる

ようにすることにあります。これらの機能は単一の統合化されたプラットフォームとして提供され、

開発者はアプリケーションの作成とテストが可能になり、本稼働環境を形作ることができます。こ

のリリースには、以下に示す領域に固有の拡張を含む共通のソフトウェア管理タスクを合理化する

新機能が追加されています (図 1)。

図 1。Oracle Solaris 11 Express は Oracle Solaris 10 の 4 つの機能を柱に構築されています: スケーラビリティ、効率性、

セキュリティー、可用性。

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スケーラビリティ。Oracle Solaris 11 Express は、ハードウェアの発展に合わせて開発を続け

ています。何千ものスレッド、テラバイトのメモリー、何百ギガバイトものネットワーク帯域幅

への対応も API を通じてシームレスに行われるため、1 つの OS のバージョンから次のバー

ジョンへ移行する際にも一貫性が保たれます。また、仮想化ストレージとネットワーク環境の拡

張により、エンタープライズ開発者は、増加するデータセットに対応できる大きなスケーラビリ

ティの利点を生かしたアプリケーションの開発と配備が可能になり、アプリケーションのスルー

プットを向上させます。

効率性。Oracle Solaris 11 Express は、統合化の構想をより効果的に支援するために、ネットワー

ク、ストレージ、サーバー仮想化によって拡張されるテクノロジーを備えた、完全に仮想化され

た OS です。Oracle Solaris 11 Express への段階的な移行のための手順は、Oracle Solaris コ

ンテナ内でアプリケーションを実行することによって利用可能になり、開発者が既存のツールや

環境を損なうことなく Oracle Solaris 11 へ移行することを補助します。また、新しいパッケー

ジモデルの導入により、どの OS のパッチがアプリケーションにバンドルされるべきかといっ

た判断を的確に行い、本稼働環境への移行を容易にし、より信頼性の高いアプリケーションス

タックを作成することができます。

セキュリティー。完全にセキュリティー保護された環境をデフォルトで備えている Oracle

Solaris 11 Express は、Oracle Solaris ディスク上の ZFS 暗号化、委任ゾーン管理、起動時の

OS の証明書により、データとシステムの安全性を向上させます。また、Oracle Solaris 11

Express には Oracle Solaris 暗号化フレームワークの拡張が含まれており、暗号化サービスの

ための統一されたインタフェースで、組み込みソフトウェア暗号化アルゴリズムとハードウェア

ベースの暗号化アクセラレータのための自動オフロード操作を支援します。

可用性。オラクルは、サービスの可用性を向上させるために、サービス管理構成機能 (SMF) と

障害管理アーキテクチャ (FMA) の発展に継続して取り組んでいます。Oracle Solaris 11

Express には、これらのテクノロジーを支えるための膨大な拡張が組み入れられています。ま

た、クローンの作成とブート環境の以前のスナップショットへのロールバックのためのツールが

含まれているため、安全なアップグレードを可能にします。

Oracle Solaris 11 Express をリリースすることで、オラクルは、開発者による Oracle Solaris 11 へ

の移行作業を容易にします。Oracle Solaris Studio を結合することで、Oracle Solaris 11 Express は

開発者に高度で統合化された環境を提供しながら最新の機能にアクセスできるようにするため、エ

ンタープライズアプリケーション分野を率いる指導者たちからも信頼を得ています。このホワイト

ペーパーでは、開発者がアプリケーション開発プロセスを最適化するための支援となる Oracle

Solaris 11 Express の新機能を概観し、関連する詳しい情報を解説します。

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アプリケーション開発プロセスの合理化

アプリケーションのコーディングとテストは時間のかかる作業で、しばしば複雑な処理を

伴います。個々の製品はある種のタスクには有効ですが、すべての部品が動作するように

設計された統合プラットフォームでアプリケーションを構築することでワークフローが

合理化され、さらに堅牢なアプリケーションとなります。Oracle Solaris 11 Express は、こ

の開発プロセスを最適化するために、豊富なツールセットを提供します。

Oracle Solaris Studio

Oracle Solaris Studio は、高い品質のクロスプラットフォームデスクトップとして、エンター

プライズ向けの Web アプリケーション開発に必要となるものをすべて提供します。統合

化された開発環境は、C、C++、Java™、Fortran アプリケーションの作成とビルドから、

最適なパフォーマンスのためのデバッグとチューニングまで、アプリケーション開発プロ

セスを最適化します。GUI デザイン、コード生成、編集、コンパイル、デバッグ、調整

のサイクルなど、プログラマにとって必要となるこれらの手順をまとめることで、Oracle

Solaris Studio の統合された開発環境 (IDE) 上でアプリケーションを速やかにビルドする

ことができます。

図 2。Oracle Solaris Studio IDE は拡張されたツールを統合し、開発プロセスの合理化に役立ちます。

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アプリケーションのビルド

Oracles Solaris Studio は、エンタープライズアプリケーションを素早くビルドするために必

要なツールを提供します。

統合化された環境で効率性を高める。Oracle Solaris Studio スイートに含まれるコンパイ

ラ、デバッガ、コードカバレージツールなど、すべてのツールは IDE とともに提供

され、ビルド、デバッグ、解析、シングルスレッドとマルチスレッドアプリケーショ

ンのチューニングといった、エンドツーエンドプロセスの開発プラットフォームを最

適化します。開発者はアプリケーション開発のプロセスを高速化、簡素化しながら、

プラットフォームの機能を活用することができます。

高性能な C、C++、Fortran コンパイラによる高品質で高速なアプリケーションビル

ド。IDE のマルチスレッド開発をリードする開発者にとって、Oracle Solaris 11 Express

向けに調整されたハイパフォーマンスの並列化コンパイラと、その下のハードウェア

環境が提供される Oracle Solaris Studio は、オラクルシステムの中では最高の開発プ

ラットフォームとなります。実際に、Oracle Solaris Studio C、C++、Fortran コンパイラ

によるアプリケーションパフォーマンスは、そのほかのオープンソースのパフォーマ

ンスの記録を常に越えています。

Java アプリケーション開発用のプラットフォームとしての強みを最大限に活用する。

Oracle Solaris 11 Express は、Java を使ったアプリケーション開発に最高のパフォーマン

ス、スケーラビリティ、セキュリティーを提供します。Java と Oracle Solaris を組み合

わせて使用することで、エンタープライズ開発者は、すぐに使える最高のパフォーマ

ンス、高品質の仮想マシン実装、Java コードのデバッグとパフォーマンスチューニン

グのタスクを容易にするようデザインされた革新的なツール群を利用することが可能

になります。詳しい情報は、

http://www.oracle.com/technetwork/articles/servers-storage-dev/solarisforjavadevelop-168642.pdf の「Oracle

Solaris: The Platform of Choice for Java Application Development and Deployment」を参照して

ください。

クロスプラットフォームアプリケーションの作成。Oracle Solaris Studio コンパイラは、

オラクルシステム用に、堅牢でハイパフォーマンスの並列コードをビルドするために、

シングルまたはマルチコアの SPARC®、x64、x86 プロセッサ用の安定した基盤を提供

します。Oracle Solaris Studio コンパイラで提供される 32 ビット、64 ビットの広範な

オプションセットを使用することで、アプリケーションはさまざまなニーズに対応し

たプログラムとしてビルドすることが可能です。たとえば、どの SPARC プロセッサ

用にも適切なパフォーマンスでアプリケーションをコンパイルできるため、1 つのア

プリケーションバイナリを、SPARC プロセッサを使用するすべてのオラクルシステム

で利用可能になります。

また別の方法としては、最新の 64 ビット UltraSPARC® プロセッサの高度な機能を実

行するために最大限のパフォーマンスを利用するために、開発者は同じアプリケー

ションを別のコンパイラオプションを使用してコンパイルすることができます。これ

は、使用されるプロセッサのタイプを指定することにより、コンパイラが異なるプロ

セッサの命令セットとして最適化されたコードを生成するため可能になります。結果

として、SPARC 製品ライン全体にわたって最大のパフォーマンスを実現しながら、そ

れぞれの SPARC アーキテクチャに最適化されたアプリケーションバイナリを作成す

るために、同じアプリケーションのソースコードを使用することができることになり

ます。

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アプリケーションのデバッグ

Oracle Solaris Studio は、シングルスレッド、マルチスレッドのアプリケーション開発用に

強力なデバッギングソリューションを提供します。

問題の早期発見。マルチコアサーバー上で実行されるマルチスレッドプログラムのデ

バッグは、手間も時間もかかる作業になりがちです。Oracle Solaris Studio のツールは、

アプリケーション開発で最も困難とされるいくつかの問題を扱います。Sun Memory

Error Discovery Tool (Discover) は、プログラム実行中のメモリアクセスエラー発見のた

めの、高度な開発ツールです。2 つの強力なデバッギングオプション、dbx と dbxtool

は、開発者がプログラムを制御しながら、停止したプログラムの状態を検査すること

ができるように、時間をかけてテストされたインタラクティブなデバッギング機能を

提供します。また、Thread Analyzer を使用すると、デッドロックやデータレース状態

など、マルチスレッド化されたコードに共通の (共通でありながらデバッグが難しい)

問題を発見することができます。

コードカバレージを測る。Code Coverage Tool (Uncover) は、開発者がアプリケーション

のコードカバレージを測る際の補助をします。開発者はテスト中に、ソースコードの

どの領域がテストの対象となっているかを確認することができます。その情報を知っ

ていることで、プログラマはテストスイートを改良し、さらに大きな領域のテストを

より効率的に実行することが可能になります。

アプリケーションをチューニングする

組み込みの高度なプロファイリングと可観測性ツールにより、シリアルとパラレルアプリ

ケーションのパフォーマンスにおけるホットスポットを容易に特定することができ、アプ

リケーション動作を視覚化することができます。

アプリケーション動作を把握する。ある一定の動作でアプリケーションが実行される

のことを確定するには開発者にとってたくさんの挑戦があります。アプリケーション

の動作を知るために、Oracle Solaris Studio には、スレッドレベルでフルスケールのパ

フォーマンス解析を実行するためのアプリケーション解析ツールが含まれています。

Oracle Solaris Studio Performance Analyzer には、アプリケーションコードのパフォーマン

スを評価して潜在的なパフォーマンスの問題を特定し、問題が発生しているコードの

位置を突き止めるためのツールが含まれています。Performance Analyzer は MPI アプ

リケーションに対応すると同時に、ズームとフィルタ機能も備えています。Collector

ツールは、時間ベースのプロファイリングデータ、ハードウェアカウンタオーバーフ

ローのプロファイリングデータ、同期待ちトレースデータ、ヒープトレースデータな

ど、Java™ プログラミング言語で書かれたアプリケーションの関数呼出しをトレース

し、プロファイリングデータを収集することで、パフォーマンスデータを集めます。

Oracle Solaris Studio Performance Analyzer は Collector によって記録されたデータを表示

してデータを処理し、プログラム、関数、ソース行、命令レベルでパフォーマンスの

さまざまなメトリックを表示します。

アプリケーションとシステムプロファイリングを統合する。システムプロファイリン

グツールは、システムがどのように動作しているか開発者が調査することを可能にし、

たくさんのソフトウェアレイヤーにわたるパフォーマンスの問題を見つけ出して、異

常なシステムや異常なアプリケーション動作をソースレベルでピンポイントに特定で

きます。DLight は、Oracle Solaris プラットフォーム上で Oracle Solaris Dynamic Tracing

(DTrace) テクノロジーを使用して、シンプルなドラッグアンドドロップインタフェー

スでアプリケーションとシステムプロファイリングを統合する新しい GUI ツールで

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す。DLight を使用すると、開発者はユーザープログラムと OS の動作に関する、新し

くてユニークなレベルの可視情報を入手することができます。

Oracle Solaris Studio に関する詳しい情報は、http://docs.sun.com/app/docs/prod/stud.12~771.10 - hic

の Oracle Solaris Studio 12.2 コレクションを参照してください。

そのほかの組み込みツール

Oracle Solaris 11 Express には、そのほかにもオープンソースのスクリプト言語やシェルな

ど、アプリケーション開発を容易にするための広範囲なツールが備えられています。

そのほかのプログラミング言語。Oracle Solaris 11 Express には、ハイレベルなアプリ

ケーション開発のための Python、Ruby も含まれています。これらのツールは、DTrace

に統合されています。Oracle Solaris 解析ツールと新しい Image Packaging System は、デ

バッグのプロセスを容易にし、ソフトウェアの正しいバージョンを見つけ出すタスク

を簡素化します。

強力なスクリプティング。Oracle Solaris 11 Express には、よく使われている Perl 言語

が含まれており、開発者に強力なスクリプト機能とテキスト処理機能をもたらします。

新しいデフォルトシステムシェル。長年にわたって、Oracle Solaris 上では Korn シェ

ル (ksh) がデフォルトのシェル環境として利用されていました。Oracle Solaris 11

Express では、ポピュラーなシステムシェルのバージョンが ksh から ksh93 に変更

され、更新と改良がなされています。ENV 環境変数が設定されていない場合、.profile

ファイルに続いて .kshrc ファイルが読み込まれることに注意してください。

新しいデフォルトのインタラクティブシェル。ほかの OS との利便性のために、Oracle

Solaris 11 Express では Bourne-again シェル (bash) をデフォルトのインタラクティブ

シェルとしてユーザーに提供します。ログインシェルとして使用すると、bash

は .bash_profile、.bash_login、.profile が存在する場合、その最初のインスタンスを見つけて、

構成情報を使用します。非ログインのインタラクティブシェルが使用された場

合、.bashrc ファイルが代わりに読み込まれます。非ログインのインタラクティブシェ

ルが使用されると、bash は $BASH_ENV 環境変数の設定を読み込みます。bash に

関する詳しい情報は、bash(1) マニュアルページを参照してください。

環境変数とパスの拡張。GNU ライクな環境をデフォルトで開発者に提供するために、

デフォルトパスは、/usr/bin の前に /usr/gnu/bin がリストされています。また、MANPATH

環境変数は必要なくなりました。man(1) コマンドは、$PATH 環境変数の設定にもと

づいて、適切な MANPATH を決定します。MANPATH を設定することもできますが、

通常は自動的に処理されたものを上書きする必要のないことに注意してください。最

後に、以前に /usr/sfw ディレクトリに配置されていたファイルは /usr/bin ディレクト

リに配置されるようになりました。リンクが存在するため、どちらのパスも有効です

が、開発者が新しい配置を使用するためのパスの設定を簡素化しています。

Oracle Solaris 11 Express に関する詳しい情報は、次の Web ページを参照してください。

http://www.oracle.com/technetwork/server-storage/solaris11/overview/index.html

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マルチメディアアプリケーション対応

マルチメディア環境で作業することで、開発プロセスを向上させることができます。Oracle

Solaris 11 Express には、新しいサウンドシステムと、現在から未来の世代のマルチメディ

アオーディオアプリケーションとデバイスに対応するためのフレームワークが含まれて

います。主なコンポーネントには次のものがあります。

Via 82C686、Creative Sound Blaster Audigy LS、Creative SBP16X、ESS Technology Solo-1

AudioDrive PCI、Creative EMU10K オーディオデバイスなど、オーディオに対応する拡

張されたデバイスとプラットフォーム

ポピュラーな Open Sound System API

デバイスドライバを新規作成、または既存のデバイスドライバを移行する、オーディ

オデバイスドライバの新しいインタフェースの導入

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アプリケーションテストの簡素化

アプリケーションのテストは、開発プロセスの中でも重大なステップです。Oracle Solaris 11

Express には、アプリケーションが複数の OS 上で実行できるかどうか開発者が検証し、

問題を早期に発見してすぐに修正できるようにするための、複数の機能を提供しています。

開発、テスト、プロダクション環境の複製

開発、テスト、プロダクション環境のための同一インスタンスの作成は、非常に時間のか

かる作業であるとともにエラーを引き起こす傾向があります。アプリケーションは、ビル

ド、テスト、配備の一連の作業がタイムリーに行われる必要があります。Oracle Solaris コ

ンテナと Oracle Solaris ZFS により、アプリケーションは分離した環境で開発することが

でき、テストシステム用に複製してパッケージすることができます (図 3)。ビルド前、構

成前、パッチ処理前の仮想環境、そしてそれらのアプリケーションスタックは新しいマシ

ン上にレプリケートされます。共有ストレージは移行を素早く実行することを可能にし、

アプリケーションを複製する必要はありません。テストが完了すると、アプリケーション

は本稼働システムに素早く移行することができます。この機能により、組織はアプリケー

ションを短い停止時間で素早くロールアウトすることが可能になり、必要な場合には配備

とテストのための自動ロールバックが可能です。

図 3。Oracle Solaris コンテナは、アプリケーションスタック全体のシステム間の動きを促進します。

Oracle Solaris コンテナに関する詳しい情報は、http://docs.sun.com/app/docs/doc/821-1499 の

「Resource Management and Oracle Solaris Zones Developer’s Guide」を参照してください。

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複数環境でのアプリケーション動作の検証

開発者や品質管理に携わるグループは、アプリケーションをそれぞれ異なる OS やパッ

チレベルで実行できるように、複数のシステム上でテストする必要があります。Oracle

Solaris コンテナを使用すると、開発者は Oracle Solaris 11 Express が稼働するシングルサー

バー上で複数の環境を実行することができます (図 4)。このソリューションでは、サー

バーは別々の領域に分割され、それぞれの領域には同時に同じシステム上で実行される分

離されたアプリケーション実行環境の OS が稼働しています。各コンテナは以前に生成

された OS の機能とアプリケーションソフトウェアを提供し、タスクを完了するために

その下にあるハードウェアが提供するリソースやサービスも利用することができます。そ

の結果、テストされるアプリケーションに特有の構成ニーズに対して、個別に対応するこ

とができます。実際に、異なるバージョンやパッチレベルの OS をシステム上でホスト

することが可能で、各アプリケーションは、必要となる特定の OS の機能にアクセスす

ることができます。

図 4。開発者は複数の OS バージョンを Oracle Solaris 11 Express 上で実行することができます。

Oracle Solaris コンテナに関する詳しい情報は、「システム管理者ガイド: Oracle Solaris ゾー

ン、Oracle Solaris 10 コンテナと資源管理」を参照してください。

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Oracle Solaris 10 アプリケーションを Oracle Solaris 11 Express に簡単に

移行する

Oracle Solaris のバイナリ互換性によって、アプリケーションはあるリリースから別のリ

リースに変わっても実行できることが保証されていますが、Oracle Solaris 10 アプリケー

ションには、完全な実行環境が必要となる場合があります。Oracle Solaris 10 コンテナは、

Oracle Solaris 11 Express を実行している SPARC、x86、x64 サーバーで、Oracle Solaris 10

10/09 とそれ以降の環境をホストすることができます。組み込まれたツールによって、既

存の物理 Oracle Solaris 10 システムをターゲットシステム上に仮想環境として移行するこ

とが可能であり、また、Oracle Solaris 11 Express の機能を取り入れた Oracle Solaris 10 環境

に移行できます。

Oracle Solaris コンテナに関する情報は、http://docs.sun.com/app/docs/doc/821-1460 の「System

Administration Guide: Oracle Solaris Zones, Oracle Solaris 10 Containers, and Resource

Management」を参照してください。

アプリケーションの動作の監視と障害の診断

エンタープライズアプリケーションは、しばしば複数のソフトウェアからなり、必要な機

能を実行するために互いに対話するような高度で複雑な働きをします。ソフトウェアコン

ポーネントを複数のシステムに分散させている場合、問題を分離させることは困難です。

また、従来のツールでは、パフォーマンスに影響を与えることなく本稼働環境のライブデ

バッグをすることは不可能で、さらに規模と複雑さのために本稼働環境全体をレプリケー

トすることができませんでした。Oracle Solaris 11 Express に含まれる Dynamic Tracing

(DTrace) の機能により、エンタープライズ開発者は、ユーザーアクセスやアプリケーショ

ンのパフォーマンスに影響を与えることなく、本稼働配備環境をデバッグ環境に変えるこ

とができます。

DTrace は、システムの上位から下位まで可観測性を提供する動的なトレースフレーム

ワークを提供し、系統の問題のトラブルシューティングをリアルタイムに実行することが

できます。システムパフォーマンスの問題となっている根本的な原因を素早く見つけるよ

う設計されているため、DTrace は強力なスクリプト言語とシンプルでインタラクティブ

なコマンド行インタフェースを利用して、十万以上のトレースポイントを結合させます。

安全に、動的に、実行中の OS カーネルとアプリケーションを計測しながら動作し、ト

レースポイントはデータ収集のために有効化されるまで受動状態を保ちます。これらのト

レースポイントは、データ収集のために素早く有効化することが可能で、検証されようと

しているシステムへのパフォーマンスの影響を最小化したい場合には、再度無効化するこ

とができます。こうして収集された情報を使用して、開発者は素早く本稼働環境を監視で

き、パフォーマンスのボトルネックを発見し、セキュアで安全な手法で問題のトラブル

シューティングにあたることができます。

アプリケーション監視を容易にする。本稼働環境でアプリケーション監視を実行すると、

しばしばシステムに混乱を引き起こします。実際に、アプリケーション監視のためによ

く使用される多くのツールは、本稼働環境上で使用できません。アプリケーションを開

始した時に有効になっている必要のある従来のデバッグフラグとは異なり、動的な性質

を持つ DTrace では、実行時にデバッグフラグのオンとオフができるようになっていま

す。DTrace を使用することで、開発者は選択されたプローブやスクリプトを必要な場合

だけオンにでき、利用不可にしていれば診断によるオーバーヘッドは発生しません。

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QA テストエフォート対応。エラー誘発とコードカバレージテストは費用のかかる作

業です。DTrace スクリプトは、QA エンジニアがコードカバレージレートを評価する

際に役立ちます。また、DTrace は、ある状況でシステムがどのような振舞いをするか

知るためのエラーを発生させるメカニズムがあります。たとえば、chill 操作で競合

状態を呼出すことができ、copyout 操作で実行時に変数を修正することができます。

すべてのレベルのテクノロジースタックの監視。特定のデバッグタスクやアプリケー

ションレイヤーに焦点を当てたツールとは異なり、DTrace はすべてのレベルのテクノ

ロジースタックを監視するための単一のツールを提供します。たとえば、デバイスド

ライバ開発者はブート段階を監視するために匿名トレース機能を使用することができ、

システム管理アプリケーション用の遠隔測定情報を収集することができます。また、

DTrace には、シグナル、ネットワーク、iSCSI 通信や、C、C++、Java、Ruby、PHP、

Perl などで書かれたアプリケーションなど、I/O スケジューリングのためにあらかじ

め組み込まれた計器類が含まれています。

Java コードの計測。DTrace は、C、C++ アプリケーションのための埋め込みのプロー

ブを備えていますが、Java アプリケーション用のスクリプトを使用する必要がありま

す。あるいは、Java プログラム実行中に動的なトレースをするために追加のツールを

使用することができます。BTrace は、動的にターゲットのアプリケーションクラスを

調査し、トレースコードを注入します。BTrace と DTrace は、Java アプリケーション

に DTrace プローブを埋め込むために同時に使用することができるようになりました。

このフレームワークは、BTrace スクリプトを作成、コンパイルし、Java コードにその

スクリプトを埋め込みます。

新しいプロバイダと検証機能の活用。新しい DTrace プロバイダとプローブが Oracle

Solaris 11 Express に含まれています。

cpc プロバイダ。TLB や L2 キャッシュミスなどの CPU イベントをシステム上

のイベントの原因に接続するために使用します。

新しい tcp、udp、ip プロバイダ。TCP、UDP、IPv4/IPv6 ネットワークプロト

コルのトレースに使用します。

iscsi プロバイダ。iSCSI 活動のトレースのために使用します。

PHP、MySQL プローブ

DTrace に関する詳しい情報は、以下のドキュメントで参照することができます。

How to Use Oracle Solaris DTrace

http://www.oracle.com/technetwork/server-storage/solaris/solarisdtrace-wp-167895.pdf

Using DTrace with Sun Studio Tools to Understand, Analyze, Debug, and Enhance Complex Applications,

http://dlc.sun.com/pdf/820-4221/820-4221.pdf

障害を早期に発見して把握する

アプリケーションが複雑になるにつれて、エラー状態の分析も複雑さを増します。開発者

が障害を早期に発見して修復することが、引き起こされる問題の副作用を緩和することに

つながります。Oracle Solaris 11 Express には、分析とレポートができる意思決定システム

のフレームワークが含まれており、可能であれば障害に対する回避策を自動的に実行しま

す。サービス管理機構 (SMF) は、システム全体のサービス状態を展望する機能を備えて

いて、サービスとそれに対する依存性を管理することができ、障害が発生した時に自動的

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Oracle Solaris 11: アプリケーション開発者のための新機能

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にサービスを復元します。障害管理アーキテクチャ (FMA) は、データの整合性、ミッショ

ンクリティカルなアプリケーションとサービスをオンラインシステムに維持するために、

自動的に監視、レポート、ハードウェアエラーからの回復を実行します。

Oracle Solaris 11 Express では、サービス管理機構と障害管理アーキテクチャに重要な機能

拡張が加えられています。

サービス状態の移行と障害管理イベントは、SNMP トラップまたは電子メールのメッ

セージで開発者に通知されます。

新しいインストールとパッケージテクノロジーの導入により、SMF の向上したプロ

ファイルは Oracle Solaris 11 Express の主要なシステム構成メカニズムとしてインス

トール後のシステム構成用に調整されています。

FMA は、分析可能な標準形式でエラーをレポートします。根本原因は、自動的に検証

され、読み取り可能で実行可能なフォーマットで報告されます。また、オラクルは引

き続き新しいハードウェア機能に合わせて FMA を統合してリリースしていきます。

SMF、FMA フレームワークへアプリケーションを移動させる際に参考になる、いくつか

の範例を紹介します。

アプリケーションの健全性の分析とアプリケーションの再起動を行うカスタムスクリ

プトの削除。SMF は、カプセル化されて標準化されたアプリケーションの起動、停止、

再起動の簡単な方法を提供します。

可能であれば、初期の開発段階でアプリケーションに SMF を認識させます。障害の

状態を明らかにして障害ツリーを作成します。エラーメッセージを調べて、FMA イベ

ントにできるかどうかを判断します。

.rc スクリプトを SMF プロファイルに変換します。

カスタムスクリプトを SMF プロファイルに変換します。起動メソッド、停止メソッ

ド、状態確認メソッドのインスタンスを探します。これらのインスタンスが変換され

れば、残りのスクリプトの移行は容易に実行できます。

セキュリティーエクスポージャーを最小限にするために、SMF の特権を使用します。

SUID プロセス開始後は、特権を解放することを忘れないでください。

SMF と FMA に関する詳細情報は、以下のドキュメントを参照してください。

「Using the Service Management Facility」

http://www.oracle.com/technetwork/systems/articles/smf-example-jsp-136458.html

「How to Create an Oracle Solaris Service Management Facility Manifest」

http://www.oracle.com/technetwork/server-storage/solaris/solaris-smf-manifest-wp-167902.pdf

システムとアプリケーション配備の改善

Oracle Solaris 11 Express には、開発者が配備環境を簡単に作成し、ソフトウェアライフサ

イクルを管理できるように、まったく新しいソフトウェアインストールと配備ためのアー

キテクチャを導入しています。

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更新されたインストールと構成プログラム

Oracle Solaris 11 Express は、インタラクティブなインタフェースから完全に自動化された

インタフェースまで、新しくなったインストールと構成のためのプログラムが提供されて

おり、システムを準備する際、開発者に適切な制御権を与えます。

自動インストーラ。自動インストーラによって、Oracle Solaris 11 Express を複数のシス

テムに適用することが可能になります。開発者はインストールサービスを素早く作成

することができ、システムの仕様に合致するマニフェストを検索して場所を特定し、

インストールできるようにします。自動インストールイメージはブート可能で、アク

ティブなインストールサービスのあるサーバーをセットアップする必要はなく、Oracle

Solaris 11 Express を SPARC と x86 システム上に簡単にインストールできる方法を提

供します。単純に CD でブートし、インストールマニフェストに書かれているシステ

ムを指して (またはメディアに含まれている 1 つをデフォルトを指定)、システムが

ネットワークを介して自動的にインストールされるのを確認します。このツールによ

り、開発者は OS をシステム上にレプリケートして、アプリケーションテストと配備

プロセスのスピードを向上させることができます。詳細については、

http://docs.sun.com/app/docs/doc/820-6566 の「Oracle Solaris 11 Express 自動インストーラガイ

ド」を参照してください。

ディストリビューションコンストラクタ。ディストリビューションコンストラクタは、

ソフトウェアの集合体が含まれる、事前構成されてブート可能な Oracle Solaris 11

Express イメージをビルドするためのコマンド行ツールになりました。ツールは入力と

してインストールマニフェストファイルを取得し、ISO イメージや仮想マシンイメー

ジとして出力します。これにより、開発、テスト、配備環境のための完全にカスタマ

イズ可能なゴールデンイメージを作成することができます。詳細については、

http://docs.sun.com/app/docs/doc/820-6564 の「Oracle Solaris 11 Express ディストリビューショ

ンコンストラクタガイド」を参照してください。

図 5。ディストリビューションコンストラクタは、ソフトウェアの作成と構成、ターゲットメディアの作成を容易にしてくれます。

グラフィカル LiveCD。x86 用の Oracle Solaris 11 Express LiveCD を使用すると、開発者

は CD から直接ブートすることができ、システム上にインストールする前に完全なグ

ラフィカルデスクトップ環境で OS を評価することができます。LiveCD は、あらか

じめ選択されたソフトウェアをフルデスクトップ環境でインストールします。

テキストベースのインタラクティブインストーラ。新しいテキストベースのインタラ

クティブインストーラを使用すると、開発者はコンソールを使ったシステムのインス

トールが可能になります。このインストーラは、サーバー配備に適切と判断されたソ

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フトウェアを選択してインストールします。例えば、グラフィカルデスクトップ環境、

オーディオ、ワイアレスネットワークドライバなどはインストールされません。ただ

し、IPv4、IPv6 ネットワークインタフェース、DNS リゾルバ、LDAP クライアント、

ネームサービススイッチを含むいくつかの構成オプションが利用可能です。

表 1。ORACLE SOLARIS 10 と ORACLE SOLARIS 11 EXPRESS インストール機能の比較

機能 ORACLE SOLARIS 10 ORACLE SOLARIS 11 EXPRESS

インタラクティブ

インストール

可 可 LiveCD、テキストベースのインタフェース、更新され

たルックアンドフィール、ライブデスクトップ

Live Upgrade 可 Oracle Solaris Live Upgrade 可 pkg イメージアップデート、フルバックアップ

ネットワークインストール 可 可

ハンズフリーインストール 可 Oracle Solaris JumpStart 可 自動インストーラ

ユーザーが指定する

インストールパラメータ

可 Oracle Solaris JumpStart、テキ

ストファイル、更新は簡単では

ありません

可 自動インストーラマニフェスト、XML ベース、

容易に拡張可能、デフォルトで提供されています

開始、終了スクリプト 可 可 派生マニフェスト (開始)、デバイスドライバユーティ

リティ (開始)、最初のブート SMF サービス (終了)

異機種環境対応 制限付き 標準ではないプロトコル 可

ソフトウェアの

カスタマイズ

制限付き ユーザー定義の HTTP パッ

ケージレポジトリ

可 Image Packaging System を使用した統合化、

複数レポジトリが利用可能

システム構成 可 Sysidtool、sysidcfg 可 拡張 SMF プロファイル、より拡張性のある安定した

システムインタフェース、SMF プロファイル、テキス

トベースのユーティリティ

WAN ベースの

インストール

可 SPARC のみ 可 SPARC と x86

Image Packaging System リポジトリベースのインス

トール

完全に統合化された

インストールサーバー

ユーティリティ

不可 可

派生プロファイル 可 可 自動インストーラ派生マニフェスト

メディア独立のパッケージ 不可 SVR4 パッケージがメディア

含まれている

可 Image Packaging System パッケージは配布メディア

とは独立しており、イメージ格納の必要性と開発者の負

担を減らし、より良いパフォーマンスを提供、WAN

ベース

簡単なカスタマイズ

ディストリビューション

不可 可 ディストリビューションコンストラクタ

最新のソフトウェアパッケージモデル

Oracle Solaris 11 Express には、最新のソフトウェアパッケージモデル、Image Packaging

System (IPS) が採用されています。IPS は、新しいネットワークベースのパッケージ管理

システムで、ソフトウェアパッケージのインストール、アップグレード、削除を含む、完

全なソフトウェアライフサイクル管理のためのフレームワークを提供します。IPS を使用

すると、システム構成を迷うことなく実行することができます。エンタープライズ開発者

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は、どのソフトウェアがインストールされているか、必要なパッチがインストールされて

いるかを簡単に確認することができ、依存性のあるパッチが見つかると自動的にインス

トールされます。また、開発者は IPS を使用して、エンタープライズアプリケーション

を配布可能な状態にすることもできます。

新しいソフトウェアパブリッシングモデル。IPS は、ソフトウェアパッケージのパブ

リッシングの簡単な方法を提供します。パッケージの内容、メタデータ、依存するシ

ステムサービスがインストールの際にリポジトリに追加されます。ローカルソフト

ウェア配布のためにソフトウェアリポジトリを作成して管理することができ、マルチ

レポジトリ対応によって、開発者は異なるソースからソフトウェアをそれぞれ取り出

して修正できるようになります。Oracle Solaris 11 Express では IPS パッケージがデ

フォルトですが、pkgadd など関連するコマンドへのアクセスは可能であり、以前の

System V ソフトウェアパッケージとの互換性は維持されています。

新しいリポジトリセット。Oracle Solaris 11 Express は、追加のソフトウェアパッケージが含

まれる新しいリポジトリの新しいセットを定義しています (表 2)。リポジトリは、パッ

ケージマネージャーまたは pkg set-publisher コマンドにより追加することができます。

より信頼性のあるアプリケーションのインストール、バージョンコントロール、ロッ

ク、最小化。パッケージリファクタリングにより、最小化を簡素化し、バージョンコ

ントロールに対応します。また、開発者は IPS を使用してインストールされたパッ

ケージを確認し、必要な変更を実行することができます。

パッチ作業の排除。IPS は、時間のかかる複雑なパッチの作業をなくしてくれます。

プリフライトチェックと自動ダウンロードにより、異なる部分の情報のみを取得して

インストールすることが保証されます。

安全なシステムアップグレード。IPS と Oracle Solaris ZFS は、安全なシステムアップ

グレードのために同時に作用します。開発者は、ソフトウェアパッケージのインストー

ル中に必要となる可能性のある追加のライブラリがあるかどうかのチェックも含め、

完全に自動の依存性チェック機能を利用しながら、一連のネットワークベースのパッ

ケージレポジトリからソフトウェアをインストールすることができます。

インタフェースの選択。IPS は、パッケージシステムと相互作用するために 2 つの異

なるインタフェースを提供します。開発者は、コマンド行インタフェース、グラフィ

カルなパッケージマネージャーと Update Manager から柔軟に選択できます。さらに、

MIME 関連付けにより、Web やディスク上のアーカイブフォーマットをブラウズ中に、

シングルクリックのパッケージインストールが可能になります。

表 2. イメージパッケージシステムリポジトリ

リポジトリ 説明

http://pkg.oracle.com/solaris/release 新しい Oracle Solaris 11 Express ユーザーのデフォルトのリポジトリです。このリポジトリは Oracle

Solaris の新しいリリースごとにアップデートを受信します。オラクルからのリリースをインストール

する時はいつでも、ユーザーは重要なバグ修正、セキュリティーアップデート、新規ソフトウェアを取

得することができます。

https://pkg.oracle.com/solaris/support バグ修正とアップデートの提供。現在提供されているオラクルとのサポート契約でアクセス可能です。

https://pkg.oracle.com/solaris/dev 最新の開発アップデートの提供。Oracle Solaris 11 の Platinum カスタマープログラムに登録したユー

ザーと認証されたオラクルパートナーによるアクセスが可能です。

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Image Packaging System の詳細については、http://docs.sun.com/app/docs/doc/820-6572 の「Oracle

Solaris 11 Express Image Packaging System Guide」と、

http://docs.sun.com/app/docs/doc/821-1672 の「Application Packaging Developer's Guide」を参照し

てください。

完全に統合化され、仮想化された環境を活用する

Oracle Solaris 11 Express は、サーバー、ネットワーク、ストレージの仮想化を拡張し、エ

ンタープライズ開発者が利用可能な資源を最大限に活用することを可能にするテクノロ

ジーを備えた、完全に仮想化された OS です。これらのツールを使用することで、エン

タープライズ開発者は、開発、テスト、配備プロセスのために最小限の環境を作成するこ

とができ、必要に応じて追加の機能を付加することも可能です。

軽量な開発環境の作成

開発環境を小規模に保つことで、よりシンプルで安全にアプリケーションのビルドが可能

になり、ビルド、テスト、デバッグ、配備プロセスへ進めて行くことができます。IPS を

使用すると、エンタープライズ開発者は Oracle Solaris コンテナの内部に最小化した OS

を作成することができます。この軽量な開発環境には、必須の OS コンポーネントとサー

ビスのみが含まれています。コンパクトながら完全なアプリケーション開発スタック作成

のために、ツールとソースコードはコンテナ内にインストールすることができます。コン

テナは、同じサーバーに配置されているか否かに関わらず、全体をそのままテストし、本

稼働環境へ移行することが簡単にできます。そのほかの Oracle Solaris テクノロジーも、

必要に応じて最小化された環境のレイヤーに配置することができ、開発者がさまざまな機

能や多くの資源に、安全で制御された方法でアクセスすることを可能にします。

資源の管理

アプリケーションの開発やテストのフェーズにおける開発者のシステムアクセスには、し

ばしば制限があります。システムを共有した上で、開発者、ツール、アプリケーションが

十分な資源を確保することは困難が伴うものです。Oracle Solaris コンテナは、アプリケー

ションを同じシステム上で実行した際に、それぞれに資源の欠乏状態が起こらないように

保証するための、きめの細かいリソース管理制御を提供します。開発者は、排他的なアプ

リケーション、または排他的なアプリケーションのセットのために予約された複数の

CPU、物理メモリー、ネットワーク帯域幅など、資源の集合を作成することができます。

仮想環境は、ワークロードごとに固定した境界線を作り、マシン上の資源の使用率に関わ

らず、一定の資源へのアクセスを保証します。結果として、プログラマは開発とテストの

環境を分けて作成することができるためリソースの競合はなくなり、アプリケーションの

作成とシステムパフォーマンスの達成を予測できるようになります。

ネットワークの仮想化

Oracle Solaris 11 Express は、大きなオーバーヘッドと複雑さを伴う何層にもわたる機能を

追加するのではなく、OS のアーキテクチャにネットワーク仮想化とリソース制御を導入

しています。OS の範囲内でネットワーク仮想化機能がネットワークスタックの仮想化を

行い、アプリケーションが向上したネットワークパフォーマンスの利益を享受できるよう

に、きめの細かい監視と制御を実行します。複数のプロセッサにわたる、スレッドとコア

の並列化されたネットワークワークロードと、パフォーマンスペナルティなしにサービス

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とプロトコルを分離するために、特化した帯域幅と資源を提供することで、開発者は高い

パフォーマンスのマルチスレッドアプリケーションを単一のカーネル上で構築すること

が可能です。

仮想化 NIC。物理ネットワークカードはマルチ仮想ネットワークカード (VNIC) とし

てアプリケーションに渡すことができます。各 VNIC は IP インタフェースを確認す

るネットワークデバイスのような動作をします。

パフォーマンスを犠牲にすることなく柔軟性を得る。ネットワーク仮想化は、HTTP、

HTTPS、FTP、NFS を問わずさまざまなサービスプロトコルのネットワークスタック

とネットワークインタフェースカード (NIC) を仮想化し、また、SPARC 用の Oracle

Solaris コンテナや Oracle VM サーバーによる仮想環境が作成されます。各仮想スタッ

クはパフォーマンスを低下させることなく、共有 NIC 上で独自の優先度と帯域幅を

使用して割り当てられます。

ワークロードの統合化。組み込まれたネットワーク仮想化は、より効果的なネットワー

クリソースの共有を促進し、サーバーのワークロードの統合化を向上させます。仮想

ネットワークインタフェースコントローラ (VNIC) の基本の構成単位、仮想スイッチ

と相互接続、仮想 LAN (VLAN)、組み込みのルーティングとファイアウォール機能を

使用することで、開発者は分散コンピューティング環境全体を単一のシステム上で統

合することができ、プロトタイプ、テスト、開発に用いることができます。

ネットワーク使用量の制御。各 VNIC はそれぞれの優先度と帯域幅で共有 NIC 上で

割り当てることができます。1 つの VNIC のトラフィックは他の VNIC のトラ

フィックと分離させることができ、割り当ての制限、または使用できる帯域幅の量を

保証することができます。帯域幅の消費に制限を設定することにより、ネットワーク

使用量とパフォーマンスレートを向上させ、OS の仮想化、ユーティリティコンピュー

ティング、サーバー統合の作業を支援します。

モデルネットワーク環境。ネットワーク仮想化によって、開発者は物理 NIC によっ

て作成される可用性に対する制限を減尐させながら、仮想ネットワーク上で完全な

データセンターネットワークトポロジを作れるようになります。

攻撃に備えたセキュアなアプリケーション。アーキテクチャは、動的に優先度と帯域

幅の資源を管理し、特定のサービスや仮想マシンに対するサービス拒否攻撃の影響を

そのエンティティから分離することにより、より良い防御策を提供します。

ストレージインフラストラクチャの拡張

エンタープライズアプリケーションは、情報が処理可能でスループットが十分であること

を保証するために、非常に大きなデータセットでテストする必要が生じることがしばしば

あります。しかし、巨大なストレージインフラストラクチャの管理に時間を取られること

は、アプリケーション開発の作業に影響を与えます。現在、Oracle Solaris 11 Express のデ

フォルト (ルート) ファイルシステムである Oracle Solaris ZFS は、データとストレージ管

理の複雑さを緩和するためにデザインされた、エンタープライズクラスの汎用目的のファ

イルシステムです。個別にボリューム管理が必要となる従来のファイルシステムとは異な

り、Oracle Solaris ZFS は組み込みのボリューム管理技術とデータサービスで従来のファイ

ルシステムの機能を統合しています。いくつかの重要な変更がなされた結果、Oracle Solaris

11 Express ZFS がデフォルトのファイルシステムになりました。

Oracle Solaris 11 Express は Oracle Solaris ZFS ルートファイルシステム上にのみインス

トールするようになりました。

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Oracle Solaris ZFS は Solaris Volume Manager (SVM) の必要性を排除しました。

Oracle Solaris ZFS がルートファイルシステムになりました。Unix File System (UFS) は旧

バージョンのファイルシステムですが、現在も使用することは可能です。mkfs と

newfs コマンドも引き続き利用可能です。

ボリューム管理の統合

ファイルシステムと関連するストレージ間の、典型的な一対一のマッピングから開放され

ることで、Oracle Solaris ZFS は仮想メモリーが物理メモリーからアドレス領域を抽象化す

るように、ファイルシステムを物理ストレージから切り離します。これにより、より効率

的なストレージデバイスの利用が可能になります。領域は、単一のストレージプールから

複数のファイルシステムの間で動的に共有されます。

何千ものファイルシステムが、ファイルシステムそれぞれに必要なディスク領域のみを割

り当てた状態で共通のストレージプールから作成されます。物理ストレージは、アプリ

ケーションやサービスに割り込むことなく、ストレージプールに動的に追加することが可

能であり、これにより新しいレベルの柔軟性、可用性、パフォーマンスが提供されます。

プール内のあるファイルシステムの容量が解放された場合、ほかのファイルシステムが使

用することができます。このため開発者は、パーティション分割、プロビジョニング、帯

域幅の浪費、ストレージストランドなどの問題に対処する必要がなくなりました。

図 6。仮想ストレージプールにより複数ファイルシステムのストレージ領域の共有が可能です。

組み込みスケーラビリティとデータ統合性

仮想の無制限のストレージ (210 億 YB 容量まで) を提供できるため、Oracle Solaris ZFS

は大きなデータセット規模に対応できます。コピーオンライト、エンドツーエンドの

チェックサムなどいくつかの技術により、ディスクのデータの自己整合性を保ち、データ

のサイレントな破壊を防ぎます。データは、データへのポインタの変更や書き込みが行わ

れる前に、メディアの新しいブロックに書き込まれます。ファイルシステムには常に一貫

性があるため、システムが不正にシャットダウンしていない限り fsck のような時間の

かかるリカバリプロシージャを実行する必要はありません。また、正確さを保証するため

に読み取り時にデータはチェックされ、ミラー化されたプール内で何らかのエラーが発見

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されると、コストも時間もかかるデータ損失と、以前に発見されなかったサイレントな

データ破壊から守るために、自動的に修復されます。修復は RAID-Z 実装により実行さ

れます。RAID-Z 実装は、パリティー、ストライピング、原子動作を使用して壊れたデー

タを再構築し、予定されているか否かに関わらず停止時間を減尐させます。

新しいデータサービス

Oracle Solaris ZFS は、Oracle Solaris 11 Express リリースで新しいデータサービスを組み入

れています。

デデュプリケーションで容量をセーブする。最新のストレージプラットフォームでは

デデュプリケーションテクノロジーが採用されていて、共通コンポーネントを除外し

たり共有したりすることで、全体のデータ量を減らします。Oracle Solaris 11 Express で

は、Oracle Solaris ZFS はオプションの検証としてチェックサムベースのブロックの比

較を使用します。ストレージプールから共通のブロックがみつかると、コピーは 1 つ

だけ維持され、重複データに使用されていた容量を解放します。デデュプリケーショ

ンはオプションですが、仮想化イメージ、ツール、ホームディレクトリ、電子メール

ホルダなど、重複の可能性の高いデータが含まれる環境では有効に機能します。

暗号化によるデータの保護。Oracle Solaris ZFS には、暗号化されたデータセットが含

まれており、物理ストレージ攻撃や SAN 上の中間者攻撃 (man-in-the-middle attack) に

対するセキュアな削除と保護を支援します。データはデータセットレベルで暗号化さ

れているため、ユーザーは Oracle Solaris ZFS ストレージプールの最大限の柔軟性のた

めに暗号化したデータも暗号化していないデータも混在させることができます。

フラッシュデバイス対応による I/O パフォーマンスの向上

フラッシュテクノロジーの人気が高まってきています。Oracle Solaris 11 Express には、開

発者がアプリケーションのパフォーマンスを高めるために、より早いフラッシュデバイス

に正しい情報を配置するための半導体 (SSD) ディスク対応が含まれています。例えば、

ディスクの待ち時間への影響を最小限にし、アプリケーションのパフォーマンスを向上さ

せるために、開発者は SSD を使用して頻繁にアクセスされるデータを保持することがで

きます。ハイブリッドストレージプール (劇的に待ち時間を減尐させ、高容量のハード

ディスクドライブを持つ、ある種のタイプの I/O を扱うために、エンタープライズフラッ

シュデバイスを使用するストレージインフラストラクチャ) を作成することで、アプリ

ケーションは膨大なデータセットの格納とアクセスを高いパフォーマンスと低いコスト

で実現できます。

より大容量のストレージデバイス対応

開発者は、開発と配備のシステム用に、小規模で低価格のシステムから、ハイパフォーマ

ンスの大容量デバイス、またはその中間まで、容量とパフォーマンスに対するさまざまな

要求に対応できる、広範囲なストレージデバイスを活用することができます。Oracle Solaris

11 Express は、さまざまなプロトコルとインタフェースのテクノロジーに対応しており、

主要なホストバスアダプタドライバがソフトウェア配布とともに提供されます。

インターネット SCSI (iSCSI) ターゲット対応。多くのストレージ配備では、データを

イントラネット間で移動し、デバイスをリモート管理するために iSCSI プロトコルを

使用します。iSCSI ターゲット対応により、OS はネットワークを介したクライアント

に対して SCSI ストレージデバイスを利用可能にすることができます。

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Oracle Solaris 11: アプリケーション開発者のための新機能

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ファイバチャネル。Oracle Solaris 10 には、T11 FC-HBA 仕様にもとづいたライブラリ、

Emulex デバイスドライバ、QLogic デバイスドライバ、デバッグ支援、ファイバチャ

ネルドライバ経由の FCIP IP/ARP、ファイバチャネルトランスポート層など、多くの

ファイバチャネルパッケージが含まれています。

ホストバスアダプタドライバ。OS には、Adaptec AdvanceRaid Controller SCSI HBA、

Adaptec Ultra320、AHCI (Advanced Host Controller Interface) SATA、LSI MegaRAID SCSI

HBA、LSI Hardware RAID HBA、LSI MegaSAS RAID Controller HBA、Marvell 88SX SATA デ

バイスドライバなど、幅広い領域のドライバが含まれています。

マルチプロトコル対応。この OS では、SMP (Serial Management Protocol) を通じてシリ

アル接続 (SAS) 拡張カードと通信する手段を提供する SAS 用の SMP など、いくつか

のプロトコルに対応しています。SMP ターゲットドライバにより、開発者はインタ

フェースを介して SMP 要求の発行と SMP 応答の受信が可能で、特権を持つユーザー

に SAS ドメインの構成と管理を実行する役割を与えることができます。

エンタープライズアプリケーションにストレージ管理を統合する

多くのエンタープライズアプリケーションには、ストレージ管理機能をアプリケーション

に統合する必要のある独特の要求があります。ただし、データセンターでソフトウェアコ

ンポーネントを接続するためには、インテリジェントなストレージ相互接続が要求されま

す。開発者は、Oracle Solaris 11 Express に含まれる Oracle Solaris ZFS と COMSTAR

(Common Multiprotocol SCSI Target) フレームワークの機能を利用して、エンタープライズ

ストレージの要求に合わせて社内ソリューションを作成することができます。

ブロックベースのデバイスがストレージインフラストラクチャとしては一般的で、ほとん

どのエンタープライズアプリケーションはこれらのシステムと動作するように明確にデ

ザインされています。しかし、オブジェクトベース、ファイルベースアクセスへ移行する

傾向があり、データの量が増加しても利用しやすく管理とアクセスを容易にするために、

仮想化と抽象化のテクニックが使用されるようになってきました。従来のブロックベース

ストレージでも、これらの新しいデータアクセスメソッドを継続して扱うことができます。

ブロックベースとファイルベースのアクセスに対応するために、COMSTAR フレームワー

クによって、開発者は Oracle Solaris 11 Express を実行しているどんなサーバーも、ネット

ワークを介してイニシエータホストからアクセス可能なターゲットストレージデバイス

に変換することができます (図 7)。COMSTAR フレームワークの画期的なところは、ター

ゲットストレージデバイス上に Oracle Solaris ZFS ファイルシステムを使用できる機能を、

一般に入手可能なコンポーネントと結びつけて使用することで、ストレージサーバーを作

成することができるところです。ディスク、テープを含むすべての SCSI デバイスタイプ

は、すべての論理ユニット番号 (LUN) に同時アクセスするトランスポートに接続するこ

とが可能で、一元管理することができます。

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Oracle Solaris 11: アプリケーション開発者のための新機能

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図 7。COMSTAR フレームワークを実行中のターゲットホストは、SAN ファブリック経由でイニシエータホストによりアクセ

スされます。

COMSTAR は、すべてのターゲットストレージデバイス用に単一のフレームワークを提供

するため、機能拡張は一箇所で行うことができます。開発者は、問題が発生した場合や新

しい機能が実装されるたびに、各アーキテクチャを独立して更新する必要はなく、すべて

のポートはどの LUN からもアクセスすることができます。各 COMSTAR ターゲットデ

バイスにはいくつかのコンポーネントが含まれています。

論理単位 (LU) プロバイダは、SCSI LUN に備えられている機能を実装します。

ポートプロバイダは、ホストバスアダプタ (HBA) 、ネットワークインタフェースカー

ド (NIC) など、トランスポートのためのローカルポートや接続ポイントを提供します。

SCSI ターゲットモードフレームワーク (STMF) は、共通ブロック記憶機能を管理しま

す。共通ブロック記憶機能には、SCSI コマンドを実行するためのコンテキストとリ

ソース、LUN マッピング、論理単位とポートプロバイダの管理、異常コマンド終了な

どが含まれます。

管理ライブラリ (libstmf) は、COMSTAR フレームワークと通信し、設定します。

Oracle Solaris 11 Express にはいくつかのプロトコル対応が含まれています。

インターネット SCSI (iSCSI) プロトコルと RDMA (iSER) プロトコル用の iSCSI 拡張

InfiniBand ホストチャネルアダプタを含むホストのための SCSI RDMA プロトコル

(SRP)

Fibre Channel over Ethernet (FCoE) プロトコル

さらに、SCSI ターゲットモードフレームワーク (STMF) と SCSI ブロックデバイス (SBD)

コードの COMSTAR に DTrace プローブが追加されました。

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Oracle Solaris 11: アプリケーション開発者のための新機能

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異機種システム混在環境での作業

開発者は、しばしば異機種システム混在環境で作業をしたり、アプリケーションを作成し

たりする必要性が出てきます。データがストレージシステムに配置されていてサーバーに

直接接続されているか、ローカルまたはリモートエンタープライズネットワークにわたる

か、あるいは外部の Web サイト上にあるかに関わらず、アプリケーションによるデータ

利用を可能にするためには 1 つ以上のプロトコルが必要になることがあります。Oracle

Solaris 11 Express は、iSCSI、ネットワークファイルシステム (NFS)、SAMBA、共通インター

ネットファイルシステム (CIFS) など、数々のブロックレベル、ファイルレベルのプロト

コルに対応しています。

ネイティブ CIFS 対応によって、Windows 仮想マシンからのデータアクセスを容易にし

ます。カーネル内部に CIFS/SMB 実装を組み入れることで、OS は、同じ共有内のファ

イルであっても、Windows から、または UNIX 仮想マシンから、透過的なファイルアク

セスを可能にするアクセス権とアイデンティティマッピングを可能にする豊富なセット

を提供します。Windows と UNIX の相互運用性を容易にし、シームレスにファイルシス

テム資格、アプリケーション、ストレージサーバーをマッピングするため、アプライアン

スを既存の異機種システム混在環境に簡単に統合することができます。

Oracle Solaris 11 Express CIFS サービスには次のようないくつかの新しい機能が含まれて

います。

ホストベースのアクセス制御。CIFS サーバーは、IP アドレスにもとづいて特定のク

ライアントのアクセスを制限することができます。

共有上のアクセス制御リスト(ACLs)

オフラインファイルと再接続時の同期のクライアント側のキャッシング

Active Directory 統合と対になった完全な Windows ファイル共有の相互運用性

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アプリケーション、サービス、システムを保護する

Oracle Solaris 11 Express には、エンタープライズ開発者がセキュアな本稼働環境とアプリ

ケーションを作成するために利用できる、主要なセキュリティー機能が統合されています。

詳細な情報については、http://docs.sun.com/app/docs/doc/819-2145 の「Developer’s Guide to Oracle

Solaris Security」を参照してください。

環境をセキュアにする。Oracle Solaris ZFS は、ルートファイルシステムを含むファイ

ルシステムを読み取り専用で作成することができます。開発者は、セキュリティーを

強化するための Oracle Solaris Zone 内のロックダウン環境に、読み取り専用ルートファ

イルシステムを配備することができます。

情報の暗号化。ネットワーク化されたコンピューティング環境が前提となり、マルチ

メディア、リッチなインターネットアプリケーション、Web サービスなどへの要求が

増大していく中で、開発者には、価値のある情報がネットワーク上で流通する際に保

護されるように、アプリケーションにデータ暗号化の機能を実装することが求められ

ます。Oracle Solaris 11 Express には、アプリケーションレベルとカーネルレベルの暗号

化処理を提供する暗号化のフレームワークが含まれています。PKCS#11 公開鍵暗号の

標準をベースにしているこのフレームワークは、ユーザーレベルの C と Java プログ

ラミング言語ベースのアプリケーションに、高度で合理化された暗号化アルゴリズム

とハードウェアアクセラレーションを提供します。Oracle Solaris 11 Express の新しい暗

号化の機能拡張には、連邦情報処理標準 (Federal Information Processing Standard) である

FIPS 140-2、ECC 実装やそのほかの NSA Suite B プロトコルにも対応しており、厳格

な政府標準の要求を満たす機能が含まれています。

データをセキュアにする。Oracle Solaris ZFS には、データセットごとにデータの暗号化に

よる保護を可能にするための暗号化のフレームワークが OS に組み込まれています。

デフォルトでセキュアな環境を作成する。ローカルシステムの通信に対して権限のな

いアクセスの機会を制限するために、Oracle Solaris 11 Express ネットワークサービスは

デフォルトで無効になっているか、待機モードに設定されています。

監査アクセス。Oracle Solaris 監査機能は、サーバーマシン上のシステム呼出し、ネッ

トワークに送信されたパケット、あるいはディスクに書き込まれたビット列など、監

査可能な Oracle Solaris イベントに対するシステムのアクティビティを詳細なレベル

で記録すること可能にします。Oracle Solaris 11 Express における監査では、サービスと

監査記録は Oracle Solaris ZFS ファイルシステムにバイナリファイルで格納されます。

開発者は監査を有効にするためにシステムの再起動をする必要はありません。

/etc/security/audit_user ファイル、/etc/security/audit_control ファイル、bsmconv/unconv スクリプ

トは現在使用されていません。

応答性のレベルを設定する。Oracle Solaris には、データの所有者や実行者のみでなく、

応答性のレベルによってデータやアプリケーションを保護するレベルを実装する拡張

されたセキュリティー機能である Trusted Extensions 対応が含まれています。名前付き

オブジェクトには互いに明確な関連性があり、通常アプリケーションは、異なるセキュ

リティーレベルのデータを参照したりアクセスしたりすることはできません。Oracle

Solaris 11 Express には Trusted Extensions に対する 2 つの重要な更新が含まれていま

す。まず、明確な必須アクセス制御 (MAC) ポリシーのために Oracle Solaris ZFS デー

タセット上にセキュリティーレベルを作成できるようになりました。また、既存の信

頼できるネットワークプロトコルはその下のネットワークがセキュアであり、パケッ

トヘッダは転送中に操作したり、閲覧したりできないことを前提にしています。Oracle

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Oracle Solaris 11: アプリケーション開発者のための新機能

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Solaris 11 Express は名前付き IPsec が含まれており、応答性のレベルをネットワークト

ラフィックに関連付けできるようにします。異なる応答性レベルのトラフィックは分

離して配置することが可能で、名前付きネットワークは信頼できないネットワークに

取って代わることができます。

Web 対応アプリケーションの保護。ネットワークサービスをより早く作成して配備す

ることに対する期待が高いため、開発者はしばしばテストプロセスを省いたり短縮し

たりすることを余儀なくされ、そうして出来上がったアプリケーションがハッカーの

標的となり、Web サイトを破損させたり情報が盗まれたりすることにつながります。

開発者は、Web で使用されるアプリケーションを保護するために、Oracle Solaris 11

Express に組み込まれたアクセス制御のメカニズムを使用することができます。Oracle

Solaris コンテナ、ユーザーとプロセス権管理、Oracle Solaris Service Manager といったこ

れらの機能は、データや Web サーバーを分離してアクセスを制限するために使用する

ことができます (図 8)。データはコンテナによって管理され、社内イントラネットや

LAN に接続されます。別のコンテナには Web サーバーが保持され、尐ない特権のセッ

トで構成されます。Web コンテナはファイアウォールを介してパブリックインター

ネットへアクセスすることができますが、HTML とデータファイルを保護するために

データコンテナに含まれるファイルには読み取り専用のアクセス権のみが与えられて

います。この結果、システムをハッキングしようとする侵入者は IP アドレスを書き

換えたり、そのほかのシステムデータを破壊したりすることはできません。

図 8。Oracle Solaris 11 Express テクノロジーは、Web ベースの乗っ取りを防ぐことを可能にします。

アプリケーションを Oracle Solaris 11 Express に移行する

アプリケーションを 1 つの環境から別の環境へ移行することは、時間もコストもかかる

作業です。オラクルはこの 10 年以上継続して、バイナリ互換性の長期保証を提供してき

ました。このため、以前の Oracle Solaris リリース上で実行されていたアプリケーション

は、x86、SPARC など同じアーキテクチャのプロセッサ上であれば Oracle Solaris 11 Express

でも変更することなく実行することができます。さらに、Oracle Solaris のソースコード保

証は、SPARC または x86 プラットフォーム上で実行できる C、C++ アプリケーション

を開発してコンパイルできることを保証し、いずれのプラットフォーム上でもコンパイル

と実行ができるようになります。一緒に使うことで、開発やテストにかかるコストを節約

し、配備時間も短縮しながら、アプリケーションが 1 つの Oracle Solaris プラットフォー

ムから別のプラットフォームでも実行できるよう互換性が保証されます。

開発者が Linux のような UNIX 環境からアプリケーションを移行する場合、次のような

事項に注意する必要があります。

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Oracle Solaris 11: アプリケーション開発者のための新機能

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新しい環境で、ツールを類似した場所に配置することで、ソースファイルの変更を最

小限にすることができます。

ソースファイルは、Oracle Solaris ツール、ユーティリティ、ライブラリを使用するた

めに修正が必要であり、目的の機能を実行するためにオプションを確実にするための

配慮が必要です。

いくつかのコンパイラオプションは同じ名前ですが、古い環境と新しい環境とでは動

作が異なることに注意してください。同様に、いくつかのオプションは同じ機能を持

ちますが、2 つの環境では異なる名前のものもあります。

アプリケーションに使用されるどの API も Oracle Solaris 11 Express と互換性に関す

る決定が必要です。インラインソースコードの変更はできますが、オラクルは問題を

解決するために必要となる変更を実装するための互換ライブラリを作成することをお

勧めします。下位互換性を保証するために、ソースコードへの変更は条件付きコンパ

イル指令に限られます。

Linux と BSD OS との操作性を向上させ、アプリケーションを Oracle Solaris 11 Express

へ移行するためにかかる時間とコストを減尐させるために、Oracle Solaris C ライブラ

リには多数の新しいルーチンが含まれています。たとえば、asprintf()、

vsprintf()、getline()、strdupa()、strndup()などが新しいルーチンとして

提供されています。

C、C++、Fortran 言語で、意味や構文の実装方法がオラクルとほかのベンダーによっ

て異なる場合、ソースコードへの変更が必要になることがあります。オラクルのコン

パイラは、ANSI (アメリカ規格協会) のプログラミング言語 C、ANSI/ISO 9899-1990 に

従っており、以前の K&R C にも対応しています。

表 3 に、Oracle Solaris 10 と Oracle Solaris 11 環境の主な違いについて要約します。

表 3。ORACLE SOLARIS 10 と ORACLE SOLARIS 11 の違いについての要約

コンポーネント ORACLE SOLARIS 10 ORACLE SOLARIS 11

ハードウェア SPARC と x86 SPARC と x86

配布メディア CD 6 枚 または DVD 1 枚 Live CD 1 枚 (OS を最小限のコンポーネントでインストール。コンポーネ

ントを追加する場合はパッケージリポジトリを使用。)

デフォルトユーザーシェル /usr/bin/sh /usr/bin/bash

デフォルトユーザーパス /usr/bin (GNU よりも前) /usr/bin (GNU よりも後)

デフォルトデスクトップ JDS GNOME

デフォルト X Server Xsun Xorg

デフォルトファイルシステム UFS ZFS

追加ソフトウェア Companion CD Image Packaging System

CD パス /cdrom /media

アップグレードメカニズム Oracle Solaris Live Upgrade イメージの更新

バイナリ互換性の保証 保証 保証

ルートログイン 許可 ロールベースのアクセス制御 (RBAC)

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Oracle Solaris 11: アプリケーション開発者のための新機能

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結論

ミッションクリティカルな信頼性の高い OS として、Oracle Solaris は長い間エンタープラ

イズ開発者に選ばれてきました。Oracle Solaris 11 Express は統合され仮想化された環境を

この基盤の上に構築することで、エンタープライズアプリケーション開発プロセスを支援

します。スケーラビリティ、効率性、セキュリティー、可用性の拡張といった広範囲にわ

たる機能を備えた Oracle Solaris 11 Express は、信頼性の高いアプリケーションスタックの

作成と配備のために、これまでにない利便性と効率性を与えてくれます。

詳細情報

Oracle Solaris 11 Express に関する詳細については、表 4 に示す一覧を参照してください。

表 4。詳細情報の参照先

Oracle Solaris 11 Express http://www.oracle.com/technetwork/server-storage/solaris11/overview/index.html

Oracle Solaris 11 Express ドキュメント http://www.oracle.com/technetwork/serverstorage/

solaris11/documentation/productdocumentation-178191.html

Oracle Solaris Studio http://www.oracle.com/us/products/tools/050872.html

Oracle Solaris 開発者向けドキュメント http://docs.sun.com/app/docs/doc/820-0696

メモリーとスレッドの配置最適化開発者ガイド http://docs.sun.com/app/docs/doc/820-1691

マルチスレッドプログラミングガイド http://docs.sun.com/app/docs/doc/821-1601

リンカーとライブラリガイド http://docs.sun.com/app/docs/doc/819-0690

プログラミングインタフェースガイド http://docs.sun.com/app/docs/doc/821-1602

デバイスドライバチュートリアル http://docs.sun.com/app/docs/doc/819-3159

ONC+ 開発者ガイド http://docs.sun.com/app/docs/doc/821-1671

Oracle Solaris DHCP サービス開発者ガイド http://docs.sun.com/app/docs/doc/821-1604

Oracle Solaris WBEM 開発者ガイド http://docs.sun.com/app/docs/doc/821-1605

SIP API 開発者ガイド http://docs.sun.com/app/docs/doc/820-0643

資源管理と Oracle Solaris ゾーン開発者ガイド http://docs.sun.com/app/docs/doc/821-1499

Oracle Solaris モジュラーデバッガガイド http://docs.sun.com/app/docs/doc/817-2543

Oracle Solaris セキュリティーのための開発者ガイド http://docs.sun.com/app/docs/doc/819-2145

デバイスドライバの作成 http://docs.sun.com/app/docs/doc/819-3196

Oracle テクノロジーネットワーク http://www.oracle.com/technetwork/index.html

Oracle Solaris 11 Express サポート http://www.oracle.com/us/support/software/premier/index.html

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Oracle Solaris 11: アプリケーション開発者の

ための新機能

2010 年 11 月

Oracle Corporation

World Headquarters

500 Oracle Parkway

Redwood Shores, CA 94065

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電話: +1.650.506.7000

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標です。0410