One way to see higher dimensional surface
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PFIセミナー高次元の図形を見る方法
大野健太
2011年 3月 3日
大野健太
今日のテーマ
• 行列群(古典群)を幾何的に見る• 行列群:GLn(R), GLn(C)の部分群や商群
• 例:GLn(R), O(n)など
• SL2(R) =
{(a,bc, d
)|ab − cd = 1
}• R4 の中で方程式 ab − cd = 1で定義される曲面とみなす
大野健太
行列群の例
• Mn(R) : 実係数 n次正方行列全体• Mn(R) : 複素係数 n次正方行列全体• GLn(R)(一般線型群) : 可逆行列全体
= {g ∈ Mn(R) | detg ̸= 0}• SLn(R)(特殊線型群) = {g ∈ Mn(R) | detg = 1}• SLn(C)(特殊線型群) = {g ∈ Mn(C) | detg = 1}• O(n) : 直交群 = {g ∈ Mn(R) | gtg = In}• SO(n) : = {g ∈ Mn(R) | gtg = In, detg = 1}• U(n) : ユニタリ群 = {g ∈ Mn(C) | g∗g = In}• SU(n) : 特殊ユニタリ群 = {g ∈ Mn(C) | g∗g = In, detg = 1}
大野健太
準備
• Mn(R)はRn2 と同一視できる• Mn(C)は Cn2 と同一視できる
• → その部分群は Rn2, Cn2 内の曲面とみなせる
• これらの曲面の性質は?
大野健太
行列群の例
行列群のいくつかはすでに知っている図形
• Sn =
{(x1, . . . , xn+1) ∈ Rn+1 |
n+1∑i=1
(xi)2 = 1
}
大野健太
行列群の例 1
• SO(2) =
{(cos θ sin θ− sin θ cos θ
)}= S1
• O(n + 1)/O(n) = Sn =
{(x1, . . . xn+1) |
n+1∑i=1
(xi)2 = 1
}
• O(n) ∋ A 7→
0
A...0
0 · · · 0 1
∈ O(n + 1)により O(n)を
O(n + 1)の部分群とみなす• O(3, R) o R3/O(2, R) o {(0, 0, z)} = S1 × R
• oは半直積• SL2(R) = S1 × R2
大野健太
行列群の例 2(1/2)
• ハミルトンの四元数 H = {a + bi + cj + dk|a,b, c, d ∈ R}• 積構造:i2 = j2 = k2 = −1, ij = k, jk = i, ki = j, ji = −k,
kj = −i, ik = −j• 積は可換ではない (e.g. ij ̸= ji)
• z = a + bi + cj + dk ∈ Hに対して• 共役 z̄ = a − bi − cj − dk• 絶対値 |z|2 = zz̄とおくと,
• S3 = {(a, b, c, d) ∈ R4 | z = a+bi+ cj+dkとおくと |z| = 1}
大野健太
行列群の例 2(2/2)
• ハミルトンの四元数を行列群で実現する• z = a + bi + cj + dk ↔
(a + bi c + di−c + di −a + bi
)• → S3とHと SU(2)は同一視できる(環としての同型)
Figure: ブルーム橋の記念プレート
大野健太
立体射影で次元を落とす
• S3は 4次元の中に入っていて見れない→立体射影
Figure: 「Dimensions」より
大野健太
疑問 1
曲面は尖っている?• f : R2 → R;f(x, y) = x2 − y3
• f−1(0) : x = 0が特異点• {(x, y) ∈ R2|x2/3 + y2/3 = 1}(アステロイド)• http://www-history.mcs.st-and.ac.uk/Curves/Curves.html
大野健太
滑らかな曲線を作る定理
f : Rr → Rを連続微分可能な写像,a ∈ Rrとし,∂f∂xi
(a)(1 ≤ i ≤ r)のうち少なくとも一つが 0でないとする。すると,f−1(f(a))には特異点(+ 尖っている点)は存在しない。
大野健太
例 1
• f : R2 → R;f(x, y) = x2 − y2
• ∂xf = 2x, ∂yf = −2y• ∂xf = ∂yf = 0となるのは (x, y) = (0, 0)のみ
• f−1(0) : 原点で交わる 2本の直線• f−1(c) (c ̸= 0) : 双曲線
大野健太
例 2
• det : Mn(R) → R ; g 7→ detgに対して,• SLn(R) = det−1(1)で定理の仮定を満たす,SLn(R)には特異点がない
大野健太
疑問 2
• 有界集合か否か?• (Rn or Cn 内の)有界集合:ある正数 Rが存在して半径 Rの円に含まれる集合のこと
• S1 = {(x, y) ∈ R2 | x2 + y2 = 1}, 平面内の三角形:有界集合• 上半平面D = {(x, y) ∈ R2 | y ≥ 0}:非有界集合
大野健太
有界な行列群の例
• f : Mn(R) → R ; g 7→ Tr(tgg)とおくと,f(g) =n∑
i,j=1
g2ij,
• g ∈ O(n) なら f(g) = n,すなわち O(n) ⊂ f−1(n)なので,O(n)はMn(R)内の半径
√nの円に含まれる特に有界集合
(さらにコンパクト集合)
大野健太
非有界な行列群の例
• O(p, q) = {g ∈ Mn(R) | tgIp,qg = Ip,q}(p + q = n) は q > 0ならば非有界
• Ip,q =
1. . .
1−1
. . .−1
• O(1, 1) =
{(cosh θ sinh θsinh θ cosh θ
)∈ R4|0 ≤ θ < 2π
}• O(3, 1)はローレンツ群
大野健太
疑問 3
• くっついているか?分かれているか?
Figure: 和歌山県北山村
大野健太
例 1
• On(R)は「行列式−1の行列全体」と「行列式 1の行列全体の集合 (= SO(n))」に分離している
• π0(On(R)) = Z2
• dimZ π0(X) = #{X/ ∼}• x ∼ y ⇔ xと yは曲線で結ばれている
大野健太
例 (2/2)
• (証明)gが前者 g′が後者に含まれているとして,On(R)内で gと g′をつなぐ曲線 cが存在すると仮定する,すなわち cは次の条件を満たす
• c : [−1, 1] → On(R) ; c(−1) = g, c(1) = g′
• すると,det ◦ cは連続写像で次を満たす• (det ◦ c)(−1) = det(g) = −1• (det ◦ c)(1) = det(g′) = 1
• 従って中間値の定理より (det ◦ c)(a) = 0 となる a ∈ (−1, 1)が存在する。
• しかし,これは c(a) ̸∈ On(R)を意味するので,cの定義に矛盾する。
大野健太
例 2
Figure: 和歌山県北山村
• π0(和歌山) = Z2
大野健太
疑問 4
• 穴の数はいくつか?
大野健太
ホモトピー群
• π1(X, x0) = {f : [0, 1] → X|f(0) = f(1) = x0}/ ∼• f ∼ g ⇔ f と gはホモトピー同値
• ホモトピー同値な曲線は同じものとみなしたとき,曲面の中にループはどの位あるかを数える
• 参考:http://www.slideshare.net/KentaOono/pf-iseminar• π1(X, x0) = 0 ⇒ 曲面内のどんなループも 1点に縮まる
大野健太
ホモトピー同値の意味
• 道のホモトピーは「道の連続変形」のことです.位相空間Xの 1つの道は,1つの連続写像 I → Xです.その始点p = I(0) q = I(1) と終点を止めて,その道の形を徐々に変えていくことが,連続変形の意味です.その際,道より,ギターの弦をイメージすると良いかも知れません.弦をつま弾く.あるいは,川の流れをイメージすると良いかも知れません.川が蛇行する.あるいは,野球の投球をイメージすると良いかも知れません.球がカーブしてストライク.あるいは,縄跳びのヒモをイメージすると良いかも知れません.· · ·
• www.math.sci.hokudai.ac.jp/̃ishikawa/isoukika/isoukika5.pdf
大野健太
高次元ホモトピー
• πn(X, x0) = {f : [0, 1]n → X|f(a) = x0∀a ∈ ∂([0, 1]n)}/ ∼• f ∼ g ↔ f と gはホモトピー同値
大野健太
ホモトピーの計算
• 多くの行列群でホモトピーが計算されている• 例:π1(SOn(R)) = Z/2Z = {0, 1} (if n ≥ 3)
大野健太
普遍被覆 (1/2)
• su(n) = 複素係数歪エルミート行列全体= {X ∈ Mn(C)|X + ∗X = 0}
• su(2)は内積を持つ実 3次元の線型空間,これをR3と同一視する
• g ∈ SU(2),X ∈ su(2)に対し,Adg(X) = gXg−1 とおくと,gXg−1 ∈ su(2)となる。
• Adgは(上の同一視を上手く行えば)su(2)の中での向きを保つ回転
• つまり,Adg ∈ SO(3)とみなせ,次の対応が与えられる• SU(2) → SO(3) ; g 7→ Adg
• 実はこれは全射で 2対 1の写像(つまり,X = Adgとなる gはどんなXに対しても 2つある)
大野健太
普遍被覆 (2/2)
• Spin(n) → SO(n) :2重被覆
大野健太
まとめ
• 行列群は埋め込まれている次元が高い (dimR Mn(R) = n2)• 図形と見る時可視化できない
• 見える図形 (Sn など)との間に全単射(同相射像)を作る• 図形に対し代数的なもの(群,環など)を対応させてそれを調べる(X 7→ πn(X),Hn(X))
• 図形上の関数を考える• C∞(M) = {f : M → R|f 滑らか }という代数を考える• 性質の良い関数 f : M → Rを使って調べる(モース理論)
• 図形上の簡単な図形を考える• f : [−1, 1] → M,連続関数 = 図形上の曲線• f : S1 → M,連続関数 = 図形上のループ
大野健太