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培地作成条件の変更によるペニシリンの阻止円に対する影響 俵颯太、荒井誓也、鹿野龍司、山田風太 神奈川県立厚木高等学校 2年 C 組物理 1 班 Abstract It is one of the self-evident truths that we have developed medical technology for a long time; Penicillium is a fine example. This experiment is originally carried out in order to make clear what process scientists had undergone before various medications of Penicillium were used in hospitals. In our experiment, we investigated the ideal circumstances to culture more Penicillium and compared the inhibition zone diameters from different circumstances. Regrettably, the experiment went wrong because of our mistakes of operation: failure of the sterilization of culture medium and the regulation of pH value. In conclusion, while we couldn’t probe the influence of liquid medium on Penicillium, after some consideration, we can hold that there will be correlations between the amount of Penicillium and the effect of Penicillium. 背景 人類の歴史を顧みる上で,医学という学問について考えることは避けられないことのように私たちには思われる。 フレミング博士によって20世紀に発見されたペニシリンは医学から生まれた代表的な物質の一例である。今日で も医療現場で用いられている抗菌剤の多くがペニシリンと少なからず関係を持っていることは言うまでもない。そこ で私たちはペニシリンを調べることで,人類が生んだ科学という氷山の、たとえ一角ではあっても、真髄を垣間見 ることができると考えたのだ。具体的には,ペニシリンを医療現場で使われるようになるまでに多くの科学者たちが 創意工夫を繰り返してきたと思われ,私たちの実験では培地を変えることで生じるであろうペニシリンの阻止円の 面積の違いを観察しようと思い至った。その観察をすることで,どの培地でペニシリンを作成すると最も効果の高 いペニシリンを作れるかが明らかになると考えたのである。前述した通り,今日までに多くの科学者が試みてきた であろうと思われる実験を私たちが行うことで,僭越ながら科学史という研究分野に多少の貢献ができると考え た。 目的 前期: 2014 年に県立厚木高等学校で五十嵐里奈らによって行われた実験* ではペニシリンを作成することが出 来なかったので私たちの実験では、まず第一にペニシリンを作ることでその作成手順を確認し,後期で行う実験 をより円滑に進められるようにすることを前期の目的とした。先行研究ではペニシリン製作の手順が詳細でなかっ たため,私たちの実験では製作手順をより詳しく述べる。 後期: 2種類の培地(GYP 培地と麦芽エキス液体培地)を作成し,前期同様にペニシリンを作り,それぞれの阻止 円の面積の大きさを比較する。 既知の知見及び先行研究 前述した 2014 年に行われた実験* では 29℃,16℃,6℃の環境に2つずつ Penicillium flavigenum Acremonium chrysogenum をグラム陽性菌と共に培養した。結果としてはいずれにおいても阻止円は観察さ れなかった。反省として論文の中で,1つには湿度を考慮しなかったことと,もう1つにはカビが成長しづらかった ことが挙げられている。 仮説 カビは基本的に酸性の環境下で培養されるため,私たちの実験では酸性の大きさが異なっている2種類の培地 ではどちらがよりカビが育ちやすいかということに着目した。私たちはより中性に近い培地の方が阻止円の面積は 大きくなると仮定して実験に臨んだ。

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培地作成条件の変更によるペニシリンの阻止円に対する影響

俵颯太、荒井誓也、鹿野龍司、山田風太

神奈川県立厚木高等学校 2年 C組物理 1班

Abstract

It is one of the self-evident truths that we have developed medical technology for a long time;

Penicillium is a fine example. This experiment is originally carried out in order to make clear what

process scientists had undergone before various medications of Penicillium were used in hospitals.

In our experiment, we investigated the ideal circumstances to culture more Penicillium and

compared the inhibition zone diameters from different circumstances. Regrettably, the experiment

went wrong because of our mistakes of operation: failure of the sterilization of culture medium and

the regulation of pH value. In conclusion, while we couldn’t probe the influence of liquid medium on

Penicillium, after some consideration, we can hold that there will be correlations between the

amount of Penicillium and the effect of Penicillium.

背景

人類の歴史を顧みる上で,医学という学問について考えることは避けられないことのように私たちには思われる。

フレミング博士によって20世紀に発見されたペニシリンは医学から生まれた代表的な物質の一例である。今日で

も医療現場で用いられている抗菌剤の多くがペニシリンと少なからず関係を持っていることは言うまでもない。そこ

で私たちはペニシリンを調べることで,人類が生んだ科学という氷山の、たとえ一角ではあっても、真髄を垣間見

ることができると考えたのだ。具体的には,ペニシリンを医療現場で使われるようになるまでに多くの科学者たちが

創意工夫を繰り返してきたと思われ,私たちの実験では培地を変えることで生じるであろうペニシリンの阻止円の

面積の違いを観察しようと思い至った。その観察をすることで,どの培地でペニシリンを作成すると最も効果の高

いペニシリンを作れるかが明らかになると考えたのである。前述した通り,今日までに多くの科学者が試みてきた

であろうと思われる実験を私たちが行うことで,僭越ながら科学史という研究分野に多少の貢献ができると考え

た。

目的

前期: 2014年に県立厚木高等学校で五十嵐里奈らによって行われた実験*1ではペニシリンを作成することが出

来なかったので私たちの実験では、まず第一にペニシリンを作ることでその作成手順を確認し,後期で行う実験

をより円滑に進められるようにすることを前期の目的とした。先行研究ではペニシリン製作の手順が詳細でなかっ

たため,私たちの実験では製作手順をより詳しく述べる。

後期: 2種類の培地(GYP培地と麦芽エキス液体培地)を作成し,前期同様にペニシリンを作り,それぞれの阻止

円の面積の大きさを比較する。

既知の知見及び先行研究

前述した 2014年に行われた実験*1では 29℃,16℃,6℃の環境に2つずつ Penicillium flavigenum と

Acremonium chrysogenumをグラム陽性菌と共に培養した。結果としてはいずれにおいても阻止円は観察さ

れなかった。反省として論文の中で,1つには湿度を考慮しなかったことと,もう1つにはカビが成長しづらかった

ことが挙げられている。

仮説

カビは基本的に酸性の環境下で培養されるため,私たちの実験では酸性の大きさが異なっている2種類の培地

ではどちらがよりカビが育ちやすいかということに着目した。私たちはより中性に近い培地の方が阻止円の面積は

大きくなると仮定して実験に臨んだ。

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方法

1.準備

GYP培地(ペプトン 5 g、ブドウ糖 5 g、酢酸ナトリウム 5 g、酵母エキス末 2.5 g)

cf. ジャガイモブドウ糖液体培地(ジャガイモエキス末 2 g、ブドウ糖 10 g)

麦芽エキス液体培地(麦芽エキス 10 g、ペプトン 0.5 g、ブドウ糖 10 g)

アオカビ、活性炭 10 g、1 %酢酸水溶液 500 mL、2 %炭酸水素ナトリウム水溶液 500 mL

1 L三角フラスコ、ビーカー、撹拌機、スターラー、吸引ろ過機、ろ紙(実験では 8 mm径の厚手のものを使用し

た)、セロハンチューブ、シャーレ入りの寒天培地3枚,納豆菌

2.操作

①液体培地を作成し,培地をオートクレーブにかける。

GYP液体培地(pH6.5)

前述した材料を1 L フラスコに極力壁面に付着しないように入れ,その後純水 500 mL をメスシリンダーではか

り,完全に溶解させる。この時スターラーに 30分程度かけて作業を効率化させる。

麦芽エキス液体培地(pH5.6)

GYP培地と大きく異なる点は,酢酸ナトリウムのように酸性に変える要素がないということである。そのため純水の

代わりにpH5.6の液体を 500 mL作る。クエン酸とリン酸二ナトリウム 12水和物を用意する。まず1 L ビーカーに

クエン酸 9.6 gを測りとり,純水 800 mLで溶解する(溶液1)。その一方,リン酸二ナトリウム 35.8 gを純水 80 mL

に溶かし,100 mL メスシリンダーでメスアップする(溶液2)。溶液1を溶液2と混ぜて(溶液3),pH メーターでpH

を5.6になるまで調整する。具体的には,pHが5.6よりも低かった場合にはリン酸二ナトリウムの溶液を溶液3に更

に加え,逆に高かった場合にはクエン酸を溶解して更に加えることでpHが調整できる。pHの調整はつとめて正

確に行う。

液体培地作成後,1 Lフラスコ用のシリコン製のふたをしてオートクレーブに 120℃で 30分程度かける。ここで注

意すべきことは,液体培地がコンタミネーションしてしまうので,決してアルミホイルでふたをしてはならないというこ

とである。以後は液体培地はインキュベーター内に保存する。

②アオカビを植菌し,培養する。

液体培地が十分に冷めた後,アオカビを植菌する時にはクリーンベンチ内で作業する。白金耳を使うのだが,そ

の際ガスバーナーで柄の手前まで熱してから使用する。白金耳でアオカビを採取する時には,一度アオカビ生え

ていない端の部分に付けて冷ましてからアオカビをとること。採取するアオカビの量は白金耳の先に少し付く程度

で良い。植菌後は再びインキュベーター内に保存して2~3週間培養する。

③アオカビからペニシリンを抽出する。

培養した液体培地からアオカビを取り出して,アオカビそのものは必要ないので処分する。液体培地に活性炭を

加えてスターラーでよくかき混ぜる。まず炭入り液体培地を吸引ろ過機で炭と液体にわけ液体は捨てる。次に炭

に1 %酢酸水溶液 500 mLを少しずつ注ぎながら再び吸引ろ過機で炭と液体にわける。このときも液体は捨て

る。最後に2 %炭酸水素ナトリウム水溶液 500 mLを同様に注ぎながら吸引ろ過機で炭と液体にわける。ただし,

この時は炭は処分し,必要なのは液体である。活性炭を加えてよく混ぜるのは,液体培地内にあるペニシリン等

を炭に吸着させるためである。酢酸水溶液は炭に吸着したペニシリン以外の不純物を溶かして洗浄するためであ

る。ペニシリンは塩基性の水溶液に溶解するので,炭酸水素ナトリウム水溶液はペニシリンを炭と分離するための

ものである。最終的に残ったペニシリンの溶けた炭酸水素ナトリウム水溶液をペニシリン溶液と呼ぶことにする。

④ペニシリン溶液を凍結乾燥にかける。

そもそも凍結乾燥機にかける目的はペニシリン溶液の純度を高めるためである。完全に凍結乾燥する。

⑤ペニシリン溶液を純水に溶かし,透析の後,再び凍結乾燥にかける。

④で凍結乾燥した時点では,ペニシリンの他に炭酸水素ナトもリウムも含まれてしまっているので,凍結乾燥後に

粉状になったペニシリン溶液を純粋に溶かしその溶液を透析チューブに入れて透析する。

⑥より濃度の高くなったペニシリン溶液を純粋に溶かし,ろ紙で吸着する。

ペニシリン溶液を純水で溶かす時にはろ紙で吸着するためできるだけ少量の純水で溶かす。

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⑦寒天培地ににグラム陽性菌を植え,同時に吸着したろ紙を置く。

私たちの実験ではグラム陽性菌のひとつである納豆菌を使用した。シャーレ内の寒天培地に納豆菌を入れ,そ

の後ろ紙をシャーレの中心に置く

⑧数日後,阻止円を観察する。

結果

前期: GYP培地で実験を行い,3枚のシャーレに納豆菌とろ紙を置いた結果,3枚のうち2枚は阻止円がうっすら

と観察でき,残り1枚は観察できなかった。具体的には,下の写真のペニシリン A,Bでは阻止円が観察された

が,ペニシリン Cではほとんど観察できなかった。

後期: 一度 GYP培地と麦芽エキス液体培地は作成したが,オートクレーブにかけた時に完全に滅菌されていな

くて,そのためコンタミを起こし実験が進められなかった。もう一度作成したが,麦芽エキス液体培地の方にはアオ

カビが生えなかった。

Fig.1 ペニシリン A Fig.2 ペニシリン B Fig.3 ペニシリン C

考察

前期: 観察された阻止円ははっきりとしていなかったため,原因を考えたところ,培養したアオカビの量が少なく,

それ故ペニシリンの量も少なくなってしまったことが挙げられた。

後期: 一度目はオートクレーブにかけるときにフラスコのふたをシリコンではなくアルミニウムで行ってしまったため

完全に滅菌されなかったことでコンタミを起こしたと考えられる。二度目は麦芽エキス寒天培地のpHが小さくなり

過ぎてしまってアオカビに適した酸性の値でなかったことが考えられる。

結論

ペニシリンの効能は培地の種類に因るかは確かめられなかったが,ペニシリンの効能がペニシリンの量に因る

とは考えられる。

6.参考文献

*1 「ペニシリン―効率よくペニシリンを手に入れる方法を知る―」 五十嵐里奈ら 神奈川県立厚木高等学校

ヴェリタス論文集 (2014)

『微生物基礎』 中西載慶著 (実務出版) (2004)

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コーヒー豆を再利用した水の浄化

伊藤優里 久保桜子 初鹿瑠乙

神奈川県立厚木高等学校 2年 D組物理 2班

Abstract

We usually throw away coffee grinds but actually it has a deodorant effect and disinfection. So we tried to purify

water by coffee grinds. We measured purification effect by acid-base titration, but we have not succeeded.

This time we realized that we can’t use coffee grinds as purifier because of its ingredient.

背景

コーヒー豆のかすの効果について調べた際, 2つの効能を持つことを知り, 一回使われると捨てられて

しまうコーヒー豆のかすの再利用を考えた。それにより, 廃棄物の減量が期待できると考えた。

目的

廃棄物であるコーヒー豆に水の浄化作用があるのかを知りたい。捨てられるものを使うことで経済的

かつ合理的な水質改善を行える方法を見つけたい。

既知の知見及び先行研究

コーヒー豆のかすは消臭・殺菌効果を持つことが分かっている。また炭は水質浄化に有効であり, 家

庭でも活用されている。

仮説

コーヒー豆のかすを炒り, 水分を飛ばして炭のようにすることで, 先行研究で分かっている消臭・殺

菌効果に加え, 炭の吸着効果(水に含まれる汚れを吸着する効果)も得られる。

方法

1 準備

・使用する試薬

0.005 mol/L 過マンガン酸カリウム水溶液, 0.0125 mol/L シュウ酸水溶液, 6 mol/L 硫酸

・手順

(1) コーヒー豆のかすを集める。(今回は職員室から)

(2) るつぼにコーヒー豆のかすを入れ, 炭になるまで 15分間加熱する。

(3) 加熱したコーヒーかすを 1.9 g に測り取り, ティッシュで包んで

上部を輪ゴムで結ぶ。

(4) 汚れた水(今回は生物室の水槽の水)をホールピペットで 40 mL測

ってビーカーに入れ,用意した 1.9gのコーヒーかすの包みを浸し,

10分間放置する。

(5) その後コーヒーかすの包みを取り出し, 残った溶液からホールピペ

ットで 20 mL取ってビーカーに入れる。

(対照実験用の溶液を用意するため, 汚れた水をホールピペットで

20 mL測ってビーカーに入れたものを用意しておく)

Fig.1 るつぼでコーヒー豆の

かすを加熱している様子

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3 操作(滴定の方法)

(1)コーヒー豆のかすを取り出した溶液に 6 mol/Lの硫酸を 4 mL, 過マンガン酸カリウム水溶液を 20

mL加 え, ビーカーごと 80℃のお湯で 15分間湯煎する。(対照実験用の溶液も一緒に湯煎する。)

(2)ビーカーを取り出し, そこに攪拌子 1つと 0.0125 mol/Lのシュウ酸水溶液をホールピペットで 20

mL測り 取ってそれぞれ加える。

(3)その後色が消えるのを確認し, ビュレットで 0.005 mol/Lの過マンガン酸カリウム水溶液を少しず

つ加 える。

(4)色が変化したときの滴定値を測定し, 滴定前と比較する。

<滴定後の様子>

Fig.2 滴定後の汚れた水 Fig.3 滴定後の浄化剤(コーヒーかす

の包み)を浸した水

1回目の実験結果

Table1 過マンガン酸カリウム水溶液で滴定した結果 (mL)

浄化剤を浸したものの方が汚れてしまった。

1回目の実験結果の考察

コーヒーかすを 60分間るつぼで加熱したが, 炭になりきっておらずコーヒーの色素が出てしまった

可能性がある。

2回目の実験結果

Table2 過マンガン酸カリウム水溶液で滴定した結果 (mL)

浄化剤を浸したものの方が汚れてしまった。

2回目の実験結果の考察

同じコーヒー炭を使用したため, コーヒーかすを加熱する時間を実験 1よりも長くしてコーヒー炭を

作るということができなかった。浸す時間も実験 1と同じだったが, 10分たたないうちに資料水の色が

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茶色く色付いてしまったことより, コーヒーかすが完全に炭になりきらなかったと考えられる。コーヒ

ーかすが完全に炭になれば, 長い時間資料水に浸しても茶色く色付かず資料水を浄化できると考えられ

る。

結論

コーヒーの成分や色素が環境に及ぼす害は無いと考えられるが, 今回の実験では, コーヒーかすの再

利用による水の浄化は難しい。

6.参考文献

コーヒー豆炭を利用した水質浄化に関する研究 https://www.tokyo-

kasei.ac.jp/Portals/0/data/college/kasei/kankyo/images/Laboratory/Inoue/inoue_2602.pdf

炭による河川の浄化 Purification of rivers by the charoal / Ishikawa Science

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効率的に涼めるうちわの形状

鎌野ひまり 曽根杏花 野崎純香 渡邉美玖

神奈川県立厚木高等学校 2年 CD組 物理 3班

Abstract

Our body temperature rises by fanning energy when we try to cool down with a fan. But for, a purpose is

discovering a shape of fan that can cool more efficiently even in them.We research the difference in wind speed

due to the difference in shape of fan.A circle fan with a central angle of 150 degrees is coolest most efficiently.

It is the same shape as the currently popular fan, so the structure of the fan is reasonable.

背景

暑い夏に涼むためにクーラーを使うことが多いが,それは地球

温暖化の進行を手助けしている。だから,環境のことを考えてう

ちわを使うことを勧める。しかし,うちわで涼む時,扇ぐ労力

で体温が上がってしまっては,無駄である。だからどのような

形状のうちわが1番効率的に体感温度を下げられるのか検証し

た。

目的

より効率的に涼めるうちわの形状を検証する。

既知の知見及び先行研究

① 風速と体感温度について次の関係式が分かっている。

L =t-4×√𝑣(L:体感温度,t:温度[℃],v:風速[m/s])

よって,風速が速いほど涼しさを感じることができる。

② 吹流しの角度と風速の値は数値を元にグラフ(図 1)を書き、そこから求めた関係式に当てはめて決定

する。

y=13.75x(y:角度[°],x:風速[m/s])

仮説

現在普及しているうちわの形状が 1番効率良く風を

送ることが出来る。

方法

1 準備

針金ハンガー,厚紙,ストロー,ダンボール,分度

器,セロハンテープ,割り箸,定規,糸

2 操作‐1

面積を 100π〔𝑐𝑚2〕に合わせ,中心角が異なる扇形を

5種類(60°,90°,120°,150°,180°)と円を厚紙で作成する。それらを針金ハンガーに付け,う

ちわを作成する。次に,ダンボールを土台として,割り箸とセロハンテープで分度器を取り付ける。そ

こからストローを糸で垂らし,吹流しを作成する。そして,吹流しから 30 cm 離れた所からうちわで扇

ぎ,ストローが動いた角度を記録する。扇ぐ際の速さはメトロノームで♪ 200 に統一する。

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結果-1

Table1

うちわ(度) 150 90 60 360 120 180

結果(度) 42.2 30.5 16.6 16.2 14.5 14.25

3 操作‐2

形状による風速の差を検証する。

面積を同じく 100π〔𝑐𝑚2〕に合わせた,形状の異なるうちわ(一般的な

うちわを縮小したもの,正方形,台形,長方形,中心角 150°の扇形)

を作成する。その後,操作 1と同じ手順で計測を行う。

結果-2

Table2

形状 縮小うちわ 正方形 台形 長方形 扇形

角度(度) 28.33 16.67 25 23.33 26.67

速度(m/s) 5.422 3.189 4.784 4.465 5.103

体感温度の

変化量

-5.739 -4.395 -5.394 -5.206 -5.563

考察

結果-1 より効率的に涼めるうちわは,中心角 150°のものと言える。 結果-2より実際の縮小うちわ

と比べて見たところ,縮小には及ばないものの,その他の形状よりは風が起こりやすくなっている。

結論

現在のうちわの形状は中心角 150°の扇形に近しく,実験結果もその他の形状よりは大きいことか

ら,理にかなった構造であるということができる。また,うちわによる体感温度の低下は縮小のうちわ

では 5.7℃程であるが,縮小のものですらこれだけ大きな体感温度の変化が得られるため,地球温暖化

の進む今,うちわを使用して涼をとるべきではないだろうか。

6.参考文献

[1]兵庫県立神戸高等学校総合理学科2年 『効率の良いうちわの形状』

[2]広島大学付属高校 『効率よく風を送るうちわ』

[3]田園調布学園高等部 浅原みなみ さん 『吹流しを使った風観測』

[4] 吹流し https://epa.desc.okayama-u.ac.jp/~metobs/2017/student/2017windsock.pdf

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籾殻を用いた無色透明なガラスの作成条件の検討

早瀬 海斗 熊丸 英朗 小林 俊介

神奈川県立厚木高等学校 2年 CD組 物理 4班

Abstract

The purpose of this study is to make rice husks into colorless transparent glass. In this study, we

investigated whether it is possible to make colorless transparent glass from rice husk ash. We tried

to remove metal ion, such as Fe2+ or Cu2+, by dissolving the ash in water and making it dry. As a

result, We could make light-colored transparent glass, but not colorless.

背景・目的

籾殻は,土地の改良や家畜の餌として利用されている一方で,全体の約 20%が廃棄されている。その廃

棄されている籾殻に利用価値を見出そうと考えた。

既知の知見及び先行研究

籾殻にはガラスの主成分であるケイ素が多く含まれており,籾殻の灰からガラスを作ることが出来

る。籾殻に含まれる Cu2+,Fe2+等により,生成されるガラスに色が着く。

仮説

灰を水に溶かし,Cu2+や Fe2+などの有色の金属イオンを分離させることで無色透明のガラスを作れ

る。

方法

1.準備 籾殻 四ホウ酸ナトリウ厶 酸化鉛 るつぼ

2.操作 ①籾殻を燃焼させ,灰にする。

②灰を水に溶かし,灰中に含まれる金属イオンを電離させる。

③乾燥させた灰 1.00g,四ホウ酸ナトリウム 3.08g,酸化鉛 2.57gをるつぼに入れてガスバー

ナーで 10分加熱する。

④出来上がったものを観察する。

結果

1は水に溶かさずに作ったもので,2は乾燥させずに

作り,3は水に溶かし充分に乾燥させて作り,4は 2度水

に溶かしたが乾燥が不十分だった。色を少し抜くこと

はできたが,無色透明のガラスは作ることができなかっ

た。

Fig.1 作成したガラス

考察

水を通した灰を用いてガラスを作成したところ,ガラスの色は薄くなったことから,水のみでは金属イ

オンを完全に分離させることはできないことが分かった

結論

籾殻を使い,作ったガラスは薄い黄色とオレンジ色になったが,無色透明のガラスを作ることはできな

かった。水による分離のみでは,完全な無色透明にならなかったため,灰を硫化水素に通すなど更なる動

作を加え,金属イオンを完全に分離することが今後の課題である。

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6.参考文献

[1]植物からガラスを作る ~もみ殻の再利用~

http://www.atsugi-h.pen-kanagawa.ed.jp/pdf/Veritas_20_Report_2I_4-5.pdf

石井伶奈 長田拓之 押尾新 笹貫百花 佐藤創太 西池雄大 神奈川県立厚木高等学校 2年 I 組 4班

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「3秒ルール」の検証

橋口佳明 大塚玲央 森下優一 米山隼平

神奈川県立厚木高等学校 2年 D組物理 5班

Abstract

We researched “3 seconds law”.It means when you drop your eating food,if you pick it up within

3 seconds,you can eat it,because bacteria can’t growing up.Most of people know this

superstition,So we researched this law.We did two experiments.one,we dropped cookie and

dango leave 0’s 1’s 10’s 60’s on the floor.second,we dropped only cookie 1’s 10’s 60’s on the some

places.As a result,bacteria grew up in dishes of all,and the amount of bacteria in dishes of

dango is higher than the dishes of cookie.In addition,we got a interesting results by 2nd

experiment.So it means,the longer time leave the food on the floor the smaller amount of

bacteria so much better or we can eat the food more than three seconds. In conclusion,3 seconds

law did not correct.

背景

人は食べ物を落とした時、すぐに拾えば食べられると考えることがある。しかし、そのような考えの

もとになる「3秒ルール」の信憑性は極めて低く、落とした食べ物についての安全性は保障されていな

い。そこで、我々が「3秒ルール」は本当に正しいのかを検証する。

目的

「3秒ルール」には科学的根拠があるのかを調べるために、食べ物や落とす時間、場所などの条件を

変えて確かめる。

既知の知見及び先行研究

・「3秒ルール」とは落とした食べ物でも3秒以内に拾えば食べることができるものである。

・胃酸の pHは2であり、殺菌効果がある。

仮説

・胃酸によってほとんどの菌が殺されるため、人体にはほとんど影響がない。

・落とした食べ物の性質や落とす場所によって食べ物に付着する菌の量が変わる。

方法

1準備 SCD培地をオートクレーブにかけ、できた寒天をあらかじめ滅菌しておいたシャーレに入れて

寒天培地を作る。また、落とす食べ物として実験①ではクッキーと団子を、実験②ではクッキーを用意

する。

2操作 実験①

1.開封直後のクッキーと団子を寒天培地に塗りつけ 30℃で保存し、菌が最も活性化する

3日目と 4日目に観察する。

2.食べ物を床(タイル)に落として放置する時間を 1秒、10秒、60秒に変えて1と同様に

実験・観察をする。

実験②

食べ物を落とす場所をアスファルト、グラウンドに変えてクッキーだけで実験①の1、2

と同様に実験・観察をする。

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結果

実験①

同じ食べ物であれば時間によって菌が付着する量はほとんど変わらない。しかし、床に放置した時間が

同じクッキーと団子同士を比べると、粘着力と水分量が少ないクッキーより粘着力が強く水分量が多い

団子のほうが菌の付着量が多かった。

Fig.1 ①クッキーに付着した菌(3日目)左から 1秒、10秒、60秒

Fig.2 団子に付着した菌(3日目)左から 1秒、10秒、60秒

実験②

アスファルトとグラウンドでは菌の量に変わりはあまりなかったが、落とした時間が長い方が菌の量が

少なかった。

Fig.3 ③(上)アスファルトに落としたクッキーに付着した菌 左から 1秒、10秒、60秒

Fig.4(下)グラウンドに落としたクッキーに付着した菌 左から 1秒、10秒、60秒

実験②でどちらも落とした時間が長いほど菌の量が少ないという結果が得られたため、確認のために

実験③を行った。

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実験③

食べ物をクッキー、場所をグラウンドにして、落とす時間を 30秒、45秒、120秒に変えて実験①の

1、2と同様に実験を行った。

結果

どの時間も菌の量にばらつきがあった。

Fig.5 グラウンドに落としたクッキーに付着した菌 左から 30秒、45秒、120秒

考察

クッキーよりも団子のほうが菌が多いことから、食べ物の水分量、粘着量が高いほど菌の付着量が多く

なる。場所によっては大きな変化が見られなかった。また、落とした時間が長くなるほど菌の量が少な

かったのは、地面に菌を分解する作用の何かがあり時間が長いほど分解するために菌の量が少なくなる

と考えたが、確認実験では菌の量にばらつきがあったためその仮説は立証できなかった。

結論

3秒経つと菌が急激に増えるため落としてから3秒以内に拾えば食べられるというような法則、つまり

「3秒ルール」は存在せず、どのような場所、時間でも床についた時点で菌の付着量に違いはない。

その時の付着量は食べ物の粘着量と水分量によって変わる。

6.参考文献

[1]ニュースウィークジャパン 松丸さとみ

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/03/330ok.php

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ダイラタンシー現象で物を守る

荒川 玲 岩崎 雄大 大石 翔太 牧石 倖征 山本 敦大 渡辺 航平

神奈川県立厚木高等学校 2年 CD組物理 6班

Abstract

We wondered what state of dilatancy that absorbs shocks best is like. Our purpose was discovering

the state of dilatancy that absorbs shocks best. We discovered that dilatancy whose mass ratio of

starch to water is 132:100 absorbs shocks best. In addition, we also discovered that shocks that are

absorbed are in proportion to dilatancy’s volume.

背景

ダイラタンシーは液体と固体粒子の混合物で,速い衝撃が加わると瞬間的に硬化する性質を持つ。

ダイラタンシーは物体を衝撃から保護すると考察をした先行研究を踏まえ,どのような状態のダイラ

タンシーが最も衝撃を吸収するのかと考えた。 最も衝撃を吸収する状態のダイラタンシーの状態を調

べることでダイラタンシーの衝撃吸収剤の利用が期待できる。

目的

片栗粉と水によるダイラタンシーについて、片栗粉と水の質量比を変え,最も衝撃を吸収する質量比

を求める。また,そのダイラタンシーがどれほどの衝撃を吸収するか調べる。

既知の知見及び先行研究

先行研究 2 より,ダイラタンシーは物体を衝撃から保護することがわかっている。

先行研究 1 より,コーンスターチ,片栗粉でダイラタンシーを作れること,コーンスターチは液体を多

く必要とすることがわかっている。

仮説

先行研究 1 よりもっとも手軽に作れるダイラタンシーは片栗粉と水の混合物だ。

先行研究 2 で片栗粉と水の質量比を 6:5として研究したことから,片栗粉と水の質量比が 6:5 のとき

最も衝撃を吸収する。また,吸収する衝撃の大きさは吸収に関わるダイラタンシーの体積に関係する。

方法

準備

風船 鶏卵(Mサイズ) 水 片栗粉 はかり メジャー

操作

実験 1 最も衝撃を吸収する質量比を求める

① 風船に鶏卵とダイラタンシーをいれる。

② 平らな地面に落とす操作を高さを変えて繰り返し,卵が割れる最低の

高さを調べる。

③ ①②を 片栗粉の質量を変えて行う。水の質量は 100gとする。 Fig.1 実験 1操作①の概略図

実験 2 吸収する衝撃の大きさと吸収に関わる体積の関係を調べる。

① 最も衝撃を吸収する質量比のダイラタンシーを直方体の容器に入れる。

② 卵をダイラタンシーに落とし実験 1のように卵が割れる高さを調べる。

③ ①②をダイラタンシーの体積を変えて行う。③力積を計算し体積との関係を求める。

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実験 1の結果

縦軸-高さ(cm) 横軸-片栗粉の質量(g):水の質量(g)

Fig.2 実験 1の結果

片栗粉と水の質量比 132:100 のとき,卵が割れる高さが最も高い。

実験 2の結果

縦軸-力積(Ns) 横軸-体積(10-6m3)

Fig.3 実験 2の結果

吸収する力積と吸収に関わるダイラタンシーの体積は比例する。(力積[Ns]=1.37×104×体積[m3])

考察

片栗粉と水の質量比が 132:100 のダイラタンシーが最も衝撃を吸収する。吸収する力積と吸収に関わ

るダイラタンシーの体積は比例する。(力積[Ns]=1.37×104×体積[m3])

結論

片栗粉と水の質量比が 132:100のダイラタンシーが最も衝撃を吸収する。吸収する衝撃は吸収に関わ

る体積に比例する。(力積[Ns]=1.37×104×体積[m3])

参考文献

[1]先行研究 1「ダイラタンシーに潜入!!」

https://www.jst.go.jp/cpse/jissen/pdf/houkoku/SG150144-A-16001.pdf

[2]先行研究 2「ダイラタント流体を用いた物体保護の実験」佐伯道太郎,五十嵐樹,佐久間陸,松永海,山

本海也(平成 29年度 ヴェリタス論文集 116頁)

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食物繊維を用いた紙の耐久性の検討

赤毛 政親 伊左治 丞 内山 猛仁 佐々木 八緒樹 野田 充朗

神奈川県立厚木高等学校 2年 D組物理 7班

Abstract

How can we make the strong paper from rice? We thought paper strength was related to

dietary fiber,so we had two experiments.One is the relationship between paper strength and

quantity of dietary fiber,and the other are how it affects whether dietary fiber is processed or

not.As the result,we couldn’t say our hypothesis was completely collect,and we found out it is

only important to add dietary fiber to paper strength.

背景

昨年度、本校で撥水性の高い和紙を作る実験において,タイ米粉を用いて作った撥水性のある紙

を作成できた。そこで私たちは,耐久性をプラスして,実用可能な紙を作成できるか研究した。

目的

タイ米粉を用いて作った撥水性のある紙に,耐久性をプラスして,実用可能な紙を作成する。

また、不要になったタイ米の再利用する。

既知の知見および先行研究

アミロースを多く含むほど紙の撥水性は高くなり、紙の繊維と食物繊維はともにセルロースであ

る。また、ごぼうと寒天に含まれる食物繊維量はそれぞれ 100 g当り約 5.7 g,79.0 gである。

仮説

食物繊維を多く含む紙ほど耐久性が高くなる。また、元になる材料の加工状態によって食物繊維

の強さが変わる。

方法

準備

タイ米粉(木徳神糧 ゴールデンフェニックス タイ高級香り米)9 g(6セット),水道水 300 g(6セ

ット),ごぼう 9 g(2セット),ささがきごぼう 9 g,粉寒天(山城屋 粉寒天)9 g,スタンド、お

もり(500 mLペットボトル 2 本),紙パック,ビーカー,ミキサー,紙作成キッド

操作

実験 1

1. 紙パックを湯煎した後、牛乳パックの表面にあるポリエチンをはがす

2.湯煎した紙パックを細かくちぎる

3. タイ米粉 9 gと水 300 g を混ぜる

4. 2と 3を混ぜる

5. 4を 3つ作り,2つにごぼう 9 g,粉寒天 9 gをそれぞれ混ぜる

6. はがき作成キットを使い乾燥させる

7. 紙におもりをつけ,何 g まで耐えられるかを計測する

実験 2

1.実験 1の 1~4を行う

2.1を 3つ作り,2つにごぼう 9 g,ささがきごぼう 9 gをそれぞれ混ぜる

3.実験 1の 6~7を行う

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Fig.1 実験装置 図 2 おもりをつけた紙

結果

実験 1

普通 ごぼう 寒天

325g 800g 750g

実験 2

普通 ごぼう ささがきごぼう

800g 850g 850g

ごぼう、寒天、なにもいれていない紙の順により多くの水に耐えることができた。

ごぼう、ささがきごぼうが耐える水の量に差はなかった。

考察

・寒天の方が食物繊維の量が多いが、ごぼうの方が耐久性が高かったことから食物繊維は加工に

よって強度 が変わるのではないか。

・しかし、後期の実験から加工による食物繊維の強度の変化はなく、紙の耐久性を高めるには食物

繊維を含 むかどうかが関係する。

・また、前期の実験で食物繊維と紙の耐久性が比例しなかったことから、寒天とごぼうでは繊維一

本一本の 強度が違うと考えられる。

結論

・食物繊維によって紙の耐久性は高くなる。

・食物繊維の加工状態は紙の耐久性の変化に関係がない。

参考文献

[1]厚木高校 HP 28年度 SSH 研究開発資料 2年 G組 2班「撥水性の高い和紙を作るには」

http://www.atsugi-h.pen-kanagawa.ed.jp/pg2831.html

[2]大塚製薬 食品に含まれる食物繊維量一覧

https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/fiber/intake/foods-amount/

[3]寒天の疑問 イリセン

kanten-irisen.com/gimon.html

[4]食物繊維と紙の違いは紙一重 -FITNESS IN LIFE

http://fitnessinlife.com/fiber-paper/

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アボカド抽出油脂を用いたアリへの忌避剤の作成

吉澤敬太 山口航佑 髙橋泰彦 江頭司苑

神奈川県立厚木高等学校 2年 CD組物理 8班

Abstract

We heard persin included in avocados work as poison for most of animals.Thus,we came up to

utilize this ingredient as a medicine that can send ants away .We tried to isolate persin from

avocados. Finally,we could gain oil colored reddish brown.The ants given this oil behaved

unnatural.Comparing such the effect with salad oil and beef tallow,the number of ants behaved

unnatural was larger than the situation we give salad oil and beef tallow.But,the ants didn’t die

because they were given oil we get.

背景

普段我々が日常で使用する忌避剤は完全に人体に無害なものであるとは言い難いものである。アボカ

ドの油脂に含まれているペルシンは人体には全く無害で、なおかつそれ以外の動物には毒になると聞い

た。そこで、アボカドから抽出した油脂を用いれば人体には無害の忌避剤を作成することができるので

はないかと考えた。

目的

すでに発見されているペルシンの単離方法に沿って単離を行い、それを用いて忌避剤を作成する。し

かし、既知の単離方法は、途中からは厚木高校の設備では実行不可能であるため、途中段階までの単離

の作業を行い、出来るだけ純粋な状態に近いペルシンを利用することとする。

既知の知見及び先行研究

ペルシンはヒト以外の動物に毒になり、ペルシンを含むアボカドを摂取した鳥類は即死し、哺乳類は

乳腺を傷つけられる。また、昨年度のヴェリタスの研究においてアボカドは蟻に対して何らかの影響を

与え、アボカドの葉の周りに集まったきりどれほど放置してもアボカドから離れなくなったり、あたり

を動き回ったり、触覚を触り続けたりといった不自然な行動を取るという事が分かった。

仮説

アボカドから抽出した油脂をろ紙に染み込ませてアリに与えると先行研究と同じように蟻は不自然な

行動を起こす。これを利用することによって人体に無害な忌避剤を作成することができる。

方法

使用する器具; アボカドの種、ヘキサン、エタノール、300mLのビーカー、凍結乾燥機(EYELA)、分液

漏斗、遠心分離機(KOKUSAN)(Max4000rpm)、マントルヒーター、ブフナー漏斗、すり鉢、ミキサー、ウ

ォーターバス、ろ紙、シャーレ、角砂糖、サラダ油、牛脂

実験 1 油脂の抽出

アボカドの種をミキサーとすり鉢を用いて粉末状に粉砕する。その内 20gを凍結乾燥器にかけ、50%

エタノール水溶液に漬けて放置する。その後 80℃に設定したウォーターバスでエタノールを揮発させて

から、残った液体と等量のヘキサンを分液漏斗内でよくかき混ぜ、水相とヘキサンの層を分ける。

ヘキサンと混合する工程をもう一度行い、水相のみ集め、遠心分離機で 4000rpm で沈殿物と水相を分

離した。 本来であれば、この後シリカゲルカラムクロマトクロマトグラフィー、分取 TLC(シリカゲ

ル)、分取 HPLC(ODS)を用いた工程を行うのだが、厚木高校の設備では不可能と考え、ここまでを抽

出の作業とした。

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結果 1 水相の底には赤褐色を呈す油分の様なものが沈殿していた。

実験 2 実験 1によって得られた油分が虫に対してどのような効果を示すか実験する。

一つのシャーレの中に抽出した油分を染み込ませたろ紙と、何も染み込ませていないろ紙を設置した

後、イエヒメアリを 22匹シャーレ内に放って、油分に対するアリの反応を調べる。

結果 2

Table 1 アリの行動

Fig.1 実験 2の様子

油分を染み込ませたろ紙にアリは近寄ってくるものの、アリはろ紙に触れた瞬間に体の向きを変えず

に後ずさりを始め、3cmほど後退した後立ち止まって脚で触角を触り続けるという行動をとった。また

この反応は 2分ほどの時間内で見られた。

実験 3

結果 2から、我々が抽出した油分でなくても、油脂になら同様の反応を示すのではないかと考え、も

う一つの実験を行った。ひとつのシャーレの中にサラダ油を染み込ませたろ紙とイエヒメアリを入れた

場合と、牛脂を塗りつけたろ紙とアリを入れた場合の二通りで実験を行い、この油分に対してアリが特

異的な反応を示すのかを調査した。また、アリは正確に数を数えてシャーレ内に放つのが非常に困難だ

ったため、抽出した油分と比較した時に特異的な反応を示したアリの数の割合でデータを出すこととす

る。

結果 3

Table 2 油の違いによるアリの行動

牛脂では張り付くという、これまでの実験では見られなかった反応が観察出来たためその数を記録し

た。サラダ油ではサラダ油を染み込ませたろ紙に 36.4%のアリが触れ、同割合のアリが抽出した油分と

同様に触れた後離れて、その中で 11.1%が触角をこするという反応を起こした。しかし、抽出した油分

とは異なり、方向転換をしてろ紙から離れていた。また 4分ほどの時間内でこれらの反応を観察した。

考察

ペルシンはアボカドの種子から果肉の油分を通じて果皮に届けられるので、脂溶性であると考え、今

回の実験 1で得られた油脂がペルシンを含有しているのではないかと予想した。また、実験 2,3の結果

より、アリは抽出した油分に触れると即座に離れようとしたり、離れた後に触角を擦ったりと、特異的

な反応を示した。

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結論

既に発見されているペルシンの単離方法を実行したところ、油分を抽出する事ができ、アリはその油

分を避けるような行動を示した。

6.参考文献

[1]平成 30年度ヴェリタス生徒論文集 2年 G組6班アボカドが含有物質「ペルシン」のアリへの誘因

効果の検証

[2]Nrf2活性化剤 出口潤 桑野哲矢 亀山明代

http://astamuse.com/ja/published/JP/No/2018039752

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米で製作した糊における強度の考察

-さまざまな種の米糊の耐久性-

辻 涼佑 藤代 晃太朗 細川 晴喜 森 悠哉 守屋 海威 和久田 純平

神奈川県立厚木高等学校 2 年 CD組物理 9班

Abstract

We often use glue in our everyday life. Japanese houses are used rice glue,so we want to research

rice glue about different of strength. To research ,we sticked rice glue to woods , hooked weight and

recorded them. Result, the durability of the glue made of Japonica non-glutinous rice was the

strongest.

背景

現在、家具を作る際に使用する接着剤はホルムアルデヒドが発生してしまいシックハウス症候群と

いった健康被害がある。そこで、米糊を使うことで健康被害がなくなるが、耐久性が劣るため、どの

ように作成すれば耐久性が高まるのか調べた。

目的

色々な種類の米で手製の米糊を作り、米の品種と糊の耐久性との関係を調べる。そして、どの品種

が最も耐久性が高いのか調べる。

既知の知見及び先行研究

のりの仕組み

のりの分子はひも状に構成された高分子で、お互いに絡まりやすい構造になっている。のりの分子を

水などの溶媒に溶かすと、分子同士の絡まり方が緩くなり、非接着質の分子と結びつきやすくなる。

その後、溶媒を蒸発させることにより絡まりを強くする。

米のり

熱を加え、デンプンをアルファ化(高分子化)させることで、接着力を持たせたもの。 昔から建築、

洗濯などに使われ,米のデンプンと木のセルロースが類似しているため、木材の接着に適している。

米の澱粉

インディカ米はアミロースが多く日本米はアミロペクチンが多い品種が同じならもち米のほうがうる

ち米よりもアミロペクチンが多いアミロースとアミロペクチンは混合されると分子同士が絡まりあい

接着力が強まる。

仮説

米の品種を変えることで米糊の耐久性が変化する。

方法

1準備

米(ジャポニカ・うるち, ジャポニカ・もち, インディ

カ・うるち, インディカ・もち),すり鉢,すりこぎ棒, ミキ

サー, 杉製の角材, ビーカー, 温度計, フライパン, でんぷ

ん糊, ガスバーナー,水入り 500 ml, ペットボトル, 真鍮製フ

ック, 煉瓦

Fig.1 手順 1 Fig.2 手順 3~4

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2操作

1.米をすりつぶしてふるいにかけて粉状にし、 水を入れたビーカーに入れ(米と水の比率は 1:3),

70~80℃の水が入ったフライパンに入れる

2.粘り気が出るまで混ぜる

3.米糊 0.5gを木材につける。

4.木材にフックをつけ、500g の重り 10 秒おきに ひとつずつつけ重さを量る、足りない場合は 煉

瓦の重さを量り代用物とする。

結果

表1は一回目と二回目の実験結果より計算された単位面積当たりの耐久可能な最大圧力とその平均で

ある。その結果より、米の種類によって耐久力は変化しジャポニカ米うるちが最も耐久性が高いことが

わかった。

表2

ジャポニカ米うるち ジャポニカ米もち インディカ米うるち インディカ米もち

一回目 9.6×104Pa 1.6×104Pa 1.1×104Pa 2.5×104Pa

二回目 6.2×104Pa 1.1×104Pa くっつかなかった 3.3×104Pa

平均 7.9×104Pa 1.4×104Pa 5.0×103Pa 2.9×104Pa

考察

先行研究よりジャポニカ米のみが突出していたのは、ジャポニカ米が含有するでんぷんの成分のアミ

ロースとアミノペクチンの比率が最も適していたためである。

結論

日本のうるち米が実験では最も耐えたことから、日本のうるち米のアミロースとアミロペクチンの割

合が四種の中で最適だったといえる。

参考文献

[1]ululu うるしな日々の事 http://ululu-urushi.com/how-to-make%E3%80%80rice-glue

[2]米のりの強度について 小笠原 拓紀 https://www.shizecon.net/award/detail.html?id=387

[3]アミロースの構造

https://受験理系特化プログラム.xyz/polymer/amylose-amylopectin