卜一タルフロータービンシステムの熱力学的検討* (第2報,湿 り ... · 2017....
Transcript of 卜一タルフロータービンシステムの熱力学的検討* (第2報,湿 り ... · 2017....
-
i50s
日本 機械学 会論文 集(B編)
54巻502号(昭63-6)
論 文No.87-1095A
卜一 タル フ ロー ター ビンシステ ムの熱 力学 的検 討*
(第2報,湿 り水蒸気を作動媒体 とする場合)
赤 川 浩 爾*1,藤 井.照 重*1
太 田 淳 一*2,高 木 茂 男*3
Cycle Performance of Total Flow Turbine Systems
(2nd Report, Utilization of Wet Steam)
Koji AKAGAWA, Terushige FUJII,
Junichi OHTA, and Shigeo TAKAGI
It is important to utilize water-dominated geothermal resources and waste heat sources from factories from the viewpoint of energy saving. The cycle performance of single and double total flow turbine systems (iTS, 2TS) and a single flash turbine system (1FS) is analyzed under the condition
of wet steam at the inlet of the systems in a way similar to that described in the 1st report . First, the available energy of the systems is expressed on a T-s diagram, and an optimum intermediate temperature which maximizes the system efficiency of 2TS, 1FS, is clarified . Second, the efficiency of the two-phase flow turbine required for ITS to achieve the system efficiency higher than 1FS is shown and an increase of the system efficiency of 2TS over 1FS is estimated . Moreover, the effects of factors such as inlet pressures and temperatures on the cycle performance of 2TS are shown .
Key Words : Power Plant, Geothermal Resources , Cycle Performance, Wet Steam, Total Flow Turbine
1.緒 言
わが国は火山国であ り,.豊富な地熱資源がある.そ
の形態は熱水量の多い熱水形地熱資源の割合が多 く,
トータル数千万kWの 発電量が見込まれている(1).ま
た,熱 水の存在 しない高温乾燥岩体の場合でもこれに
き裂を人工的に形成しそこへ地上から水を還流させる
ことによりその岩体の熱エネルギを取 り出す高温岩体
発電が,注 目されている.最 近わが国でもこのき裂面
形成の研究が進展し(2),実用化 に近づいてお り,地 熱
資源の利用可能な範囲が広が りつつある.こ のような
熱水形地熱資源を利用するサイクルとしてはフラッシ
ュサイクル,バ イナ リーサイクル,ト ータルフロータービンサイクルがある(3》が
,フ ラッシュサイクル,バ
イナ リーサイクルはすでに実用化 されている.一一方,
トータルフロータービンサイクル④は省エネルギの観
点か ら熱水 をも有効に利用 し得 る点で注目され,こ の
サイクルで使用される二相流ター ビンも多種類のもの
*昭 和63年3月19日 関西支部第63期 定時総会講演会 にお
いて講演,原 稿受付 昭和62年8月31日 .*,神 戸大学工学部(㊥657神 戸市灘区六甲台町)
.*2神 戸大学大学院自然科学研究科
.*3(株)神 戸製鋼所機械技術研究所(⑰651神 戸市 中央区脇 浜
町).
が研究されている(5)卿働.し か しトータルフロータービ
ンサイクルの特性については従来特定の条件について
数値計算により性能が調べられているが詳細な検討は
まだなされていない状況にある(a)(11》.
そこで前報(12》では作動媒体 のサイクル入口状態が
飽和熱水の場合 について一段 トータルフロータービン
システム(1TS),二 段 トータルフローター ビンシステ
ム(2TS)を とりあげ,2TSに 対する最適な中間温度
を明 らかにし,1TSが1FS(一 段 フラッシュター ビ
ンシステム)よ り全体 として高効率になる条件,2TS
の1FSか らの効率改善度などを明らかにした.本 報
では,作 動媒体のサイクル入口状態が湿 り水蒸気の場
合 について,同 様 に1TS,2TS,1FSの 三つの シス
テムに対 して,そ の基本的特性を明らかにする.
2.主 な 記 号
h:比 エ ン タ ル ピ
L:仕 事
、P:圧 力
S:比 エ ン トロ ピ
t温 度
T:絶 対 温 度
Tf:無 次 元 中 間 温 度 〔(7ンー7む)/(7ト7と)〕
-
TheJapanSocietyofMechanicalEngineers
1510 トータル フロー ター ビンシステムの熱 力学的検 討(第2報)
dha:断 熱 熱 落 差
銑:シ ス テ ム 入 口 の 作 動 媒 体 の乾 き度
η:タ ー ビ ン効 率
万1シ ス テ ム 効 率
添 字
1:シ ス テ ム 入 口状 態
1FS:一 段 フ ラ ッシ ュ シス テ ム
1TS:一 段 トー タ ル フ ロー ター ビ ン シ ス テ ム
2TS:二 段 トー タ ル フ ロー ター ビ ンシ ス テ ム
c:復 水 器
ノ:フ ラ ッシ ュ し気 水 分 離 後 あ る い は 高 圧段 二 相
流 タ ー ビ ン出 口 の状 態
F:フ ラ ッ シ ュ蒸 気 タ ー ビ ン
T:ト ー タル フ ロー タ ー ビ ン(二 相 流 ター ビ ン)
3.シ ス テ ム の 構 成
トー タ ル フ ロ ー タ ー ビ ン シ ス テ ム の1段 と2段 の場
合 の フ ロ ー シ ー トを 図1(a),(b)に,ま た 比 較 の 対
象 とす る一 段 フ ラ ッシ ュ シ ス テ ム の例 を 図1(c)に 示
す.以 降,各 シ ス テ ム を1TS,2TS,1FSと 呼 ぶ.
図1(c)の1FSは 湿 り蒸 気 を フ ラ ッ シ ュ させ 気 液
分 離 器Sで 気 液 分 離 し,蒸 気 の み を タ ー ビ ン(FT)へ
導 い て発 電 させ る シ ス テ ム**1で あ る.
っ ぎ に 図1璽(a)で は湿 り蒸 気 をそ の ま ま二 相 流 タ ー
ビ ンTべ 導 く方 式 で あ る.一 方,二 相 流 タ ー ビ ンの効
率 が 低 い 場 合,シ ス テ ム 効 率 の 改 善 方 法 と し て 図1
(b)す な わ ち湿 り蒸 気 を まず 高 圧 段 の二 相 流 タ ー ビ ン
1
T
C
G
1 F},fF
T1へ 導 きこのタービンを出た湿 り蒸気 を気液分離器
で蒸気と熱水に分離 して,蒸 気タービンFTと 熱水タ
ービンT2で それぞれ発電する方式が考 えられる.こ
の方式では,地 熱坑井から噴出する湿 り蒸気の乾 き度
が比較的大 きい場合,4・2節 で述べるように,高 圧段
の二相流 タービンを設置する必要のない場合が生 じ
る.
4.熱 力 学 的 検 討
4・1シ ステム効率の定義 図2のT-s線 図 に
おいて各システムに流入する湿 り蒸気の状態を図2中
点1(乾 き度x,,温 度Ti,飽 和圧力P,)と し,復 水器圧
力 瓦(飽 和温度TC)ま で仕事をすると考 える.こ の場
合湿 り蒸気の復水器内の圧力,温 度(瓦,7Dを 外界基
準とする単位流量あた りの最大仕事(比 エクセルギ)
は(14》,次式で表 され,
Lm邸=乃1一 現一7ヒ(St_Sc)=h一 乃`α=∠砺(1)
断熱熱落差に等しい.す なわちdhaは 最大仕事量 を表
すので,本 システムの効率 万(すなわちシステムのエ
クセルギ効率)に は各システムの総出力をこの ∠砺 で
除 して表す ことにする.
万=L/dhQ (2)
S
f"
っ ぎ に各 シ ス テ ム の 有 効 仕 事 の相 互 の 関 係 を理 解 し
や す くす る た め に図2のT-s図 を用 い て 検 討 し よ
う.こ こで 図2中 の記 号 ④r⑬,… は そ の まわ りの実 線
の 囲 む 面 積 を 示 す もの とす る.た と え ば面 積 ⑧ は線 分
f'c~c'b,bf'の 囲 む面 積 で あ る.図1(a)の1TSの 有 ・
効 仕 事LiTs
LETS=4hQ・ η,≒(④+⑧+◎+⑭+⑪)η7
=② η,(3)
ぐ
Fτ⑥ ここで面積②=④+⑧+◎+⑭ ゆ である・つぎに1
C
(a)一 段 トー タル(b)二 段 トー タル(c)一 段 フ ラッ シュ
フロー タ ー ビ フー-一ター ビ ター ビン システ
ン シ ス テ ム ン シス テム ム(1FS)
(1.TS)(2TS)
C:復 水 器,FT:蒸 気 タ ー ビ ン,G:発 電 機
T;T1;T2:二 相 流 タ ー ビ ン,S:気 水 分 離 器
図1湿 り水 蒸 気 利 用 シス テ ム
r
Critics!point
lPDT1 1りi'
O⑭ 黙 ⑭P{,T{\
孟・⑪/'羽\ ⑥映
欄
⑪f"¥r
C'}δ ピ∠
訓 穐、年1
S
図2T-s線 図
**iこ こで従来 実用化 され てい るシステム の多 くは,地 熱坑 井 か ら噴 出 す る湿 り蒸 気 を気 液 分離 し蒸気 の み を発 電所 の蒸 気
ター ビンに導 いて いる(F3)が,この場合 は本論 文の1FSの フラ ッシュ圧 力(フ ラ ッシ ュ後 の圧力)を システム入 口圧 力 に等 し く
した場合(す な わち フラ ッシュしない場合)と 考 え得 る.ま た地 熱坑井 か ら噴 出す る湿 り蒸気 を気 液分離 器で分離 し蒸気 を蒸気
ター ビンへ 導 き,分 離 され た熱水 をフ ラッシ ュさせ気 液分離 して この低 圧 の蒸 気 をその蒸気 ター ビンの低圧 力 の段 落 へ注 入 す
る シス テムがダ ブル フラ ッシ ュサ イ クル と呼 ばれ て(13)実用 化 され てい るが,こ れ につい ては別報 でのべ る.
N工 工一ElectrOnicLibraryService
-
TheJapanSocietyofMechanicalEngineers
トー タル フロー ター ビ ンシステムの熱力 学的検 討(第2報)1511
FSの 有 効 仕 事L,Fsは
ム ∬≒xfF(⑮+◎+⑪+⑭+⑱+◎+⑪)η 。
(4)
xfFの つ ぎ の 関係 か ら
+⑪+⑤+
+⑬(5)鋤=◎+⑪+⑱+⑱+
式(4)は つ ぎの よ う に表 され る.
L・欝=(◎+⑪ ÷⑤+⑬+伽 ⑬)η。 … … …(6)
"`さ ら に 式(6)を 図2に お い て 前 報(13)の 式(7)を 用 い
て書 き直 す と,
ム炉[馴 ⑳謡+(婦
+-
x{TfTi≡舞}2]η・(7)
ここで⑬=④+⑬+◎Qは 温度Tiに おける蒸発潜
熱である.こ の式中で⑲は温度Tiの 飽和液の 笠 まで
の断熱熱落差であり,Qと もども蒸気表㈹ か ら求 め
られる.最 後 に2TSの 有効仕事は
L・圏二(④+⑭)η,+(1-xf)⑬ η。
+xノ(⑬+◎+⑪+⑭+⑥+◎+⑪)η 。
=② η・+τ∫⑬(η。一η。)+(◎+⑪+⑤)η 。
一(◎+⑪)η 。(8)
ここで次式(9)が
⑨号 《(◎+⑪+⑭)(・一号)
+喋 (9)
成 立 す るの で,式(8)は つ ぎの よ う に表 せ る.
L2TS② ηT
+(◎ 一#一⑪+⑭+ヱ ∫⑬)(η。一 η7)(10)
こ こ で ηF=η アな ら式(10)は 式(3),す な わ ちL,Tsと
近 似 的 に 等 し くな り,Lzzsは 中 間温 度Tfの い か ん に
か か わ らず ほ ぼ一 定 とな る.
4・2最 適 中 間 温 度7ン ,。PtlFSお よ び2TSに
お い て フ ラ ッ シ ュ また は 気 水 分 離 器 の圧 力 が低 下 す れ
ば,蒸 気 量 は増 加 す る がv蒸 気 の保 有 す る単 位 流 量 当
た りの 有 効 仕 事 は 減 少 す る.し た が っ て,シ ス テム のノ
入 口流 量 当 た りの トー タ ル の 出力 を最 大 にす る最 適 な
フ ラ ッ シ ュ圧 力 が存 在 す る こ とに な る.こ こで,'1FS,
2TSの 場 合 に つ い て 明 らか に しよ う.
4・2・11FSの 場 合 式(7)か ら計 算 した 無 次 元
最 適 中 間 温 度Tf.opt(最 適 フ ラ ッ シ ュ 圧 力 に対 応 す る
飽 和 温 度 τン,。ptの無 次 元 温 度)を 図3(a) ,(b)中 の
破 線 で 示 す.ま た 同 図 に 蒸 気 表{15}を用 い て厳 密 に数 値
計 算 した 結 果 を 実 線 で 示 す.式(7)に よ る値 は 図3
(b)のPc=5kPa,τ1=0.5の 場 合 を 除 く と よ く近 似
し得 て い る こ とが わ か る.図3(a),(b)の 比 較 か ら
最 適 中 間 温 度 は 入 口 乾 き度 に よ っ て 大 き く変 化 し,初
圧 君,復 水器 内 圧 力 瓦 に も影 響 を受 け て変 化 す る.と
ころ で 図3(a)に お い て τ1=0.2の 場 合'!が150か ら
180℃ の 間 で はTf,opt=1と な り,入 口 乾 き度 が0。4
以 上 の 場 合 す べ てTf。Pf-1と な る.す な わ ち こ の
T.r,。pt=1で は 図1(c)の1FSの フラ ッ シ ャ を設 置 せ
ず湿 り蒸 気 を直 接 に気 液 分離 器 へ 導 くほ うが シス テ ム
効 率 が 高 くな る.
4・2。22TSの 場 合 次 式(11)が 成 立 す る の で ,
式(10)は 式(12)の よ うに表 せ る.
⑧(」じ∫一τノF)《◎+⑪+⑤+必 ノ⑬+② ηT…(11)
Lars② η7
+(◎+⑪+⑭+xrF⑬)(η 。一 η。〉 … … …(12)
式(12)を 変 形 して
L2炉 ② ηr+(◎+⑪+⑤+㊦+跡 ⑬)(ηF一 η。〉
一⑤(η・一 η・)(13)
こ こで 次 式(14)が 成 立 す るな ら,式(15)が 成 立 す る.
⑧ 《◎+⑪+⑤+⑥+xsF⑬(14)
L27s≧ ② ηr
+(◎+⑪+⑭+⑰+ヱ ∫.⑬)(η一 η。)…(15)
N工 工一ElectrOnicLibraryService
-
TheJapanSocietyofMechanicalEngineers
1512 トータル フロー ター ビンシステムの熱 力学的 検討(第2報)
す な わ ち 式(15)は 式(14)の 近 似 が 妥 当 な範 囲 で成 立 す
る.こ の た め に は,⑱ が 小 さ くな らな けれ ば な らな い.
し た が っ て(a)T1と 笠 の 差 が 小 さ い こ と,(b)η7
が 小 さい こ とが必 要 で あ る.こ れ らの条 件 が満 た され
る な ら,1FSの 式(6)と2TSの 式(15)を 比 較 す る
と,式(15)中 の② η。は 中 間 温 度 に よ ら ず 一 定 な の で,
両 者 の最 適 中 間温 度 は一 致 す る こ と にな る.こ れ を確
認 す る た め0.5MPa
-
TheJapanSocietyofMechanicalEngineers
トー タル フローター ビンシステム の熱力学 的検討(第2報) 1513
図5湿 り水蒸気の最大仕事量
図61FSの シス テム効 率
と入 口温 度t、 の 関 係 を復 水 器 圧 力 と入 口乾 き度 を パ
ラ メ ー タ と して 図8に 示 す.与 え られ た タ ー ビ ン の
ηT/ηFが図8中 の(ηT1ηF)`よ り大 きけ れ ば,1TSの ほ
うが1FSよ りシ ス テ ム効 率 が 高 く有 利 と な る.た と
え ばt、=150℃,島 敲5kPa,x,=0.1の 場 合 図 よ り(η71
ηF)C-.615な の で ηFが80%と す れ ば ηTが49.2%
以 上 あれ ば1TSの ほ うが1FSよ り有 利 にな る.ま た
入 口乾 き度 が小 さ い ほ うが(η7/ηF)Cが 低 く,ト ー タ ル
フ ロー タ ー ビ ン シス テ ム の有 利 な範 囲 が 広 い.
5・42TSの 性 能 特 性
5・4・1各 ター ビ ン の 出 力2TSの 各 タ ー ビ ン に
対 す る 出 力(た だ し,シ ス テ ム 入 口 で の単 位 流 量 当 た
り)とQhQの 比 を ηF=η7=1.0,Pc=5kPa-一 定,初 圧
P,=0.5,1.5,4.5MPa,x,=0.1に 対 し て 図9(a)に 示
す.二 つ の 二 相 流 タ ー ビ ンT1,T2の 出力 は 穿 の 増
大 と と もに そ れ ぞ れ 単 調 に減 少 また は増 加 す る.つ ぎ
に 入 口 乾 き度 銑 の 影 響 を み る た め に,各 タ ー ビ ン の
出 力 と 、4島の 比 を ηF=η7=1.0,几=5kPa,n=0.5
kPa,朗=0.0,02,0.5に 対 し図9(b)に 示 す.図9よ
り,蒸 気 タ ー ビ ン 町 の 出 力 は.x,=0.0,0.2の 場 合Tf
に対 し て ピ ー ク が 存 在 す る が,苅 鵠0 .5の 場 合 は ピー
クが 存 在 しな い こ とが わ か る.図9(a),(b)か ら初
圧 の 高 圧 段 の タ ー ビ ンT1の 出 力 に及 ぼ す 影 響 は 小
さ い が,前 報(22?の 」ご戸0の 場 合 と異 な り,初 圧 の 低 圧
段 二 相 流 タ ー ビ ンT2と 蒸 気 タ ー ビ ンFTの 出 力 に
及 ぼ す影 響 は比 較 的 大 きい.さ ら に蒸 気 夕 一 ビ ンの 出
力 と 図6の 万榔 の 特 性 が 相 似 で あ る こ と か ら2TS
の 特 性 は この 中 の 蒸 気 タ ー ビ ンの 特 性 に よ り主 に 支 配
され て い る と考 え られ る.こ れ は4・2節 の 結 果 と対 応
して い る.
5・4・2シ ス テ ム 効 率
1.0
oα8ハwc
f-+0.6c
...
0.4
図71FSの 最 大 システム効率
隔q● 画軸■一 ●■■閣曝 x1器o・5
、、
顧 、 、 、、 、
イ£30.2
、 、鴨 、 ■一
一 鴨 一 一 軸 一圃
一 一 一 鱒 糟葡一 鞘::
、輌 輪 一-
O.y
o.a5
Q.0
禦
:曽幽騨■
Pe竃5kPar
-一 一一101.3kPa
聾
150 zoo
㌔ ゜C
zso
0.5t.o_z.a3.04.OP
IMPa
図81TSと1FSの 限 界 タ ー ビン 効 率 比
(1)ηT,ηFの 影 響 .η7,ηFの 万欝 に 及 ぼ す 影
響 を各 々 図10(a),(b)に 示 す.図10中 に は気 水 分 離
器 出 口 の 乾 き度xfと 各 ター ビ ン の 占 め る 出 力 割 合 が
示 さ れ て い る.ま ず 図10(a)はP1=0.5MPa,Pc=5
kPa,ηF=0.8一 定 で ηT=0.0,0.3,0.6と 変 え た 場 合 の
影 響 で あ る.η アの 増 大 と と も にT1,T2の 仕 事 量 が
増 大 す るが,町 の 仕 事 量 は あ ま り減 少 しな い.こ れ は
図10に 示 す よ う にxfす な わ ちFTへ 導 か れ る 蒸 気
量 が ηTに よ っ て あ ま り変 化 し な い か らで あ る.つ ぎ
に図10(b)の ηFに つ い て は ,加 に よ っ てFTは 比 例
して 変 化 す る が,T1,T2の 仕 事 に変 化 が な い.
(2)初 圧 の 影 響 復 水 器 内 圧 力5kPaに 対 し
て,初 圧0.5,4.5MPaに つ い て2TSとTFの 関 係 を
図11(a)に,初 圧0.5,1.5,4.5MPaに つ い て 万欝 と
¢1の 関 係 を図11(b)に 示 す.図11(a) ,(1))か らx,
が0.1程 度 で はrJ2TSへ 及 ぼ す初 圧 の 影 響 は小 さ い が,
必1が0.25か ら0.7の 範 囲 で は 前 者 の 場 合 よ り影 響 が
大 きい.
(3)復 水 器 圧 力 の 影 響 つ ぎ に 初 圧0.5MPa
に 対 し て 復 水 器 圧 力Pc=5 ,20,101.3kPaに つ い て
万27sとx,の 関 係 を図12(a),(b)に 示 す.図12(a),
(b)か ら ヱ1=0.05で は2TSへ 及 ぼ す復 水 器 圧 力 の 影
N工 工一ElectrOnicLibraryService
-
TheJapanSocietyofMechanicalEngineers
1514 ト・一タル フ ロー ター ビンシス テムの熱力学 的検 討(第2報)
響 は 小 さ い が,銑 が0.1か ら0.5の 範 囲 で 銑=0.05
よ り復 水 器 圧 力 の 影 響 が 大 き くな る.
5・4・32TSの 効 率 改 善 度2TSの1FSか ら の
効 率 改 善 度 を4η=2TS,max‐TfiFS,tn。 。に よ っ て 評 価 す
る.式(8),(11)か ら
L,欝 臨ム 碍一⑥ η。+(② 一◎ 一⑪ 一勘 ⑧)η,
f16)
さ ら に両 辺 を② で 除 して 変 形 す る と
夢 一一 馨+畢 ……(・7)こ こで⑭ と ητの 関係 を調 べ る とほ ぼ 比 例 関 係 に あ り,
∠η伽 の ⑰/η。に よ る 影 響 はo.5%以 下 な の で,右 辺
は ητの 影 響 を無 視 で き る と考 え る.そ こで ηF!η7では
な く,ηFの 関 数 と し て 、4別衡 の 結 果 を 図13(a),
(b)に 示 す.図13(a),(b)か ら ∬1が 小 さ い ほ ど,η7
が大 きい ほ ど シ ス テ ム効 率 の 増 大 が 大 きい.ま た シ ス
テ ム 効 率 の 増 大 に対 して 銑 が 支 配 的 で あ る こ とが わ
か る.ま た これ らの 図 か らP1,瓦,xz,ηFが 与 え られ れ
ば,任 意 の ηTに 対 して 効 率 改 善 度 を 読 取 る こ とが で
き る.た と え ばR=L5MPa,Pc=5kPa,ηF=・0.8,銑
=0 .2の 場 合 図13か ら ∠η1η7=0.335,で あ り,ηTが
0.4な ら4万=0.134す な わ ち13.4%の シ ス テ ム 効 率
の 増 大 とな る.
6.結 言
二相流タービンを含むシステム,一 段 トータルフロ
ーター ビンシステム(1TS)お よび二段 トータルフロ
ーター ビンシステム(2TS)の 基本的特性をシステム
入口で作動媒体が湿 り水蒸気の場合に対して一段 フラ
ッシュター ビンシステム(1FS)と 関連させて明 らか
にした.そ の要約はつぎのとお りである.
(1)各 システムの有効仕事 をT-s線 図上で図示
した.こ れからシステム効率を最大にする無次元最適
中間温度を明 らかにした.特 に η71ηF≦0.5の範囲で1
FSと2TSの 無次元最適中間温度 はほぼ等しくなる.
(2)2TSは 入口湿 り水蒸気 と復水器内圧力の条
件 によって高圧段の二相流タービンを設置しないほう
がシステム効率が高い場合があ り,η7!rlFSO.5の 範囲
でその条件は1FSの 入 口でフラ ッシュが不要な場合
とほぼ一致する.
{a)
図10
1.0一 サ1・ 。P1=° ・5瓢Pa
8:琶 碧:SRPaO.1畿
nT=o.3
03
多馨 難芸FLFha
OOO与1心
T*P
(b)
2TSに 対 する ター ビン効率 の影響
(b)
N工 工一ElectrOnicLibraryService
-
TheJapanSocietyofMechanicalEngineers
トー タル フ ー-一ター ビ ンシステム の熱 力学的検 討(第2報)1515
(a}
で
Q5
.
(b)
図122TSに 対する復水器圧力の影響
(3)1TSが1FSよ り系全体 として高効率 にな
る条件を図8に 示した.
(4)2TSの1FSか らの システム効率改善度 を
示し,こ れが二相流タービンの効率 と入口の湿 り水蒸
気の乾 き度に主 に依存することを示した.
図面作成に協力 していただいた大学院生 中村登志
君,学 部生 木村宏君,お よび卒業生 吉 田直弘君,
沢田知行君に感謝 します.
(1)
(2)
(3)
(4)
文 献
塚 倉 ヂ火 力 原 子 力 発 電,26-9(昭50),918.
阿 部,機 誌.,..1(昭61),159.
森 。陶 山,地 熱 エ ネ ル ギ 読 本,(昭60),129,オ ー ム 社.
Austin,A.L.andLundeberg,A.W.,UCRL,50fl46-77
(1978).
(b)
図132TSの1FSに 対 する効 率改 善度
(5)House,P.A.,UCID,17902(1978).
(6)Steidel,R.F.xほ か2名,Trans.ASME,IEng.Power,
104-731(1982},231.
(7)土 方 ・森,機 論,48-425,B(昭57),160.
(8)赤 川 ・ほ か4名,機 論50-452,B(昭59),1159.
(9)佐 藤 ・ほ か2名,機 論,51-464,B,(昭60),1225.
(10)谷 口 。ほ か4名,機 論52-474,B(昭61),910.
(11)House,P.A.,UCRL,52480(1978).
(12)赤 川 ・ほ か3名,機 論,52-480B(昭61),3052.
(13)相 川 ・川 口,火 力 原 子 力 発 電,26-9(昭50),967.
(14)石 谷 編,熱 管 理 士 教 本(昭52),共 立 出 版.
(15)日 本 機 械 学 会 編,1980SI日 本 機 械 学 会 蒸 気 表,(昭55),日
本 機 械 学 会 。
N工 工一ElectrOnicLibraryService