これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向...

30
これからのネットワークとICN 2016年4月20日 早稲田大学国際情報通信研究センター 津田俊隆

Transcript of これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向...

Page 1: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

これからのネットワークとICN

2016年4月20日

早稲田大学国際情報通信研究センター 津田俊隆

Page 2: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

本日のお話の概要

• これからのコアネットワークに関して、個人的に注目している動き・側面について紹介する。

• この観点から、ICNについて整理してみる。加

えてITU-Tにおける関連の動きを紹介する。

• 早稲田の取り組みの例を紹介する。

Page 3: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

本日のテーマ

1. これからのネットワークとICN

2. 早稲田における取組

3. まとめ

Page 4: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

ネットワークに関連する社会動向

• 災害に強いResilientな社会実現のためのイン

フラとしての期待

• 情報通信トラフィックの主役がコンテンツに

• Cyber/Physical融合社会への進展(IoT, Big

data処理)

• 移動通信の益々の進展(第5世代方式)

• 日本の通信関連の産業が元気がない

Page 5: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

2011年東日本大震災

NTT courtesy

Page 6: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

復旧期 (~3ヶ月未満)

初動緊急期 (発生~3日)

応急期 (~1ヶ月)

再建・復興期 (4ヶ月以降~)

先進技術で解決する問題は多くあるが、考えられていないのは、初動緊急期の対応をどうするか?

避難時の所持品の約8割は携帯電話、安否確認手段の約6割強が携帯電話

被害状況

人命救助優先。通信ケーブル破断。電源消失。バイクと人は入れる。

“高” “中”

通信ケーブル一部破断。無線通信機で 繋がる。小型車は入れる可能性あり。

通信ケーブル破断なし。大型車両が入れる。

復旧期~通常期 (~3ヶ月未満)

応急対応期(~1ヶ月) 傷者の増加

初動緊急期(発生~3日) 生存率“高”

6 08/23/2012 クライシス・・先導的研究開発委員会

Page 7: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

電子情報通信学会での議論

• 携帯電話が通信手段として頼りにされた。

• 連絡手段として、電話の繋がりが悪かったためIP系サービスが広く使われた。

–ネットワーク資源の各種サービスへのダイナミックで柔軟な割り当ての必要性

• 通信網の被害に加えて、電力供給問題、発電機の燃料確保が問題になった。

–社会システム全体をみた設計の必要性

Page 8: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

移動アクセスの変遷予測

8

出典

Page 9: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

第1章 検討の背景 1.1 ICT の発展動向 現在、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の登場や、人工知能の高度化により、ネットワークに接続されたセンサー等のIoT デバイスから得られたビッグデータの分析結果(「知識」)に基づき、将来予測等の新たな価値(「知性(インテリジェンス)」)を創出することが可能となってきている。これにより、ICT は、実空間とサイバー空間を連携させ、「人・モノ・コトと知性を繋ぐ」ことを可能とし、様々な分野・業界において、新たな価値を創出する役割が期待されている。 今後の超高齢化、厳しい国際競争の時代において、このような新たな価値を創出し経済・社会システムの変革につなげていくためには、ビッグデータ・人工知能・IoT・ロボット等のICT 分野の技術が重要な役割を果たすものと考えられる。

総務省27年6月発技術戦略委員会答申案

Page 10: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

10 電力制御 オフィス 健康・医療 農業 ITS

Middleware Server

Network

Cloud

Data center

Super computer

Human centric intelligent societyの基本構造

データ収集

実世界

Human centric computing 実時間状況把握

自動的に適切なサービス提供

Human centric systemによる新しい価値の創造

移動端末

センサー

Copyright FUJITSU LABORATORIES LIMITED

適応的サービス提供

Page 11: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

今後のネットワークを考える上で

• より柔軟性を持たせる

• ビデオコンテンツ効率提供の仕組み

• 情報処理との融合

• 第5世代無線システム要求との整合

• 通信ノードのサーバーによる実現が進展

Page 12: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

現在のネットワークは適切か?

機能別の個別装置形態では、柔軟性は限定的

コンテンツサーバによる配信サービスは非効率。特に人気があるコンテンツについて顕著

DC中心のデータ 処理は、特にセンサデータのような

膨大な小粒度データに対して、ネットワーク効率が非常に悪い

5Gの一つの要件として高速応答が上がっているが、DCでの処理・応答では間に合わない.

新しいネットワーク、ICTシステムの形態が必要

Page 13: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

考えられるアプローチ

• 柔軟性を上げる ネットワークのソフト化 (SDN, NFV, Network Softwarization)

• 効率的なコンテンツ配信 新しいネットワーク (ICN等)

• 情報処理との融合 ネットワーク側からの ICT実現への取り組み

• ネットワークノードでの 情報処理提供

• 新サービス主導の 取り組み

高速応答

通信産業を元気に

Page 14: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

ICNにとっての意味

• 柔軟性を上げる: SliceとしてICNを早期に実現する チャンス

• 効率的なコンテンツ配信: ICN本来の強み

• 情報処理との融合: NFN等の新しい方向性と合致

• 高速応答: コンテンツに関しては本来の特徴

NFNを上手く使えば可能

• 通信産業を元気に: 新しいチャンスを提供

Page 15: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

光パス/パケット網

仮想ネットワーク

新世代ネットワークの例 Data Center

Delay Tolerant Net slice

物理ネットワーク

ICN slice Cache server

IP slice

Page 16: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

ITU-Tでの審議状況

• 将来ネットワークを議論するSG13/ Q.14で、SDNとして議論中(Y.SDN-REQ)

• 5Gのコアネットワークを議論するFG IMT-2020での中心議題の一つ(Network Softwarization:東大中尾先生中心)

– Data Plane progarammability の例としてICN Sliceを議論

– ICN WGではPoCの準備進行中

• 日本勢が積極的に寄与。

Page 17: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

ITU-T FG IMT-2020

-Network Softwarization-

出典 ITU-T FG IMT-2020 I.063

Page 18: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

ICNに関連した注目している動き

• 実際のサービス提供を考えて、必要機能を追加する(サービス起点アプローチ)

• 名前はコンテンツだけではなく、サービスも指定。ICNを基盤とした、NFN(Named Function

Networking), SCN(Service Centric Networking)の考え方の台頭(NFVの進化系とも考えられる)(真のICTシステム)

• 地域を意識したアーキテクチャ(Edge computing/

Local Area Computing)に向けての取り組み

Page 19: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

NFNの動作概念例

Interest(機能C/機能K/機能A)

機能A

機能K

機能C

結果

NFFネットワーク

Page 20: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

All Rights Reserved, copyright © Fujitsu Laboratories Ltd. 2004

Object finding network • Provides the user with easy access to the object by a simple

and natural indication method (semantic routing), and also hiding the complexity of heterogeneity.

• Role of Network Servers and Gateways becomes much more important.

User client

Target

GW Enterprise network

Data forwarding network

Router

Carrier network

Home network

GW (IPCOM)

Switch

Router (GeoStream)

NW server

NW server

NW server

NW server (GeoServe)

Home domain Multi-domain server network

Job domain Passenger domain

Router

Semantic/context based routing

Route ID-based routing

Send delayed time to passengers families.

2004 WTC keynote speech

Page 21: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

Fog Computing概念図

Page 22: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

ITU-Tでの審議状況

• 将来ネットワークを議論するSG13/ Q.15で、FNDAN(Data Aware Networking)として議論中

– NICTを中心とした日本勢が活発寄書

• 効果的な適用例(Use Case Scenario)が提示されている。(Y.supFNDAN)

• ネットワークへの要求条件や、アーキテクチャ議論に進展中。(Y.FNDAN req-arch)

– In-Network Processing の概念も入っている

• SG13/Q.18でも、クラウドサービスの一つとして提案されている(Y.CCNaaS-arch)

– ETRIが活発寄書

Page 23: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

現在意識している事

多くの研究課題解決が重要であることは勿論だが、本当に実用化されるためには; • 実際にICNのメリットが示せるサービスを具現化してみる – ICNの魅力をアピール – 不足している機能の明確化、開発

• ネーミング構造についてのより深い研究

• マイグレーションシナリオ

• 標準化への貢献

Page 24: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

本日のテーマ

1. これからのネットワークとICN

2. 早稲田における取組

3. まとめ

Page 25: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

早稲田での取り組み状況

• 多くの研究室で多面的な取組を行っている。

• 関連するプロジェクトを受託 – 新世代ネットワークの実現に向けた欧州との連携による共同研究“コンテンツ指向ネットワーキングによる省エネルギーコンテンツ配信の研究開発”

– 総務省殿先進アプリケーションプロジェクト“移動体向けコンテンツ先回配信”

• CCNテストベッド構築

• 大学間・企業連会推進

Page 26: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

指向しているアプローチ

• サービス起点で考えて見る。 – メリットがでると思われるサービスの搭載を考えて見る。

• 基本機能の充実

• 将来ネットワークに相応しく、Big data処理向けの視点も入れる。 –エッジノードでの情報処理, In Network Data

Processing等

• ICNコンソーシアム設立 –分散している研究パワーを集める場

Page 27: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

仮想ネットワーク

早稲田のアクティビティ

物理ネットワーク

NDN slice

IP slice

センサーネットワーク

エッジエリア処理

サービス提供

新しいノード

• IP/NDN Hybridサービス(先回りコンテンツ配信) • NDN上でのEdge処理(Social Big Data)

連携

Page 28: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

交通機関を活用したコンテンツ配信システム

• 先回り配信 – 停車駅に事前に配信

– 停車時に駅から列車へ

– 列車内はWiFiで

• オフローディング – 輻輳(災害)地域のトラヒックを収集して非輻輳(非災害)地域へ

Interest Data

InterestData

InterestData

DataInterest

CCN backbone

commandcommand

command

Users

Stations

Transportation system

Content servers

Interest Data

Interest

Data

CCN backbone

Congestionor Disaster

Non-congested / Safe Area

train

Congested / Disaster Area

Cloud system

Page 29: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

まとめ

• 今後のネットワークについて、重要と思える観点を取り上げ、関連の動きの紹介を行った。

• その中で、CCNを位置付けてみた。

• 既に標準化が始まっており、この面でも広い貢献をお願いしたい。

Page 30: これからのネットワークとicn/wp-content/uploads/2016/04/...ネットワークに関連する社会動向 •災害に強いResilientな社会実現のためのイン フラとしての期待

ご静聴有難うございました