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安全作業ハンドブック (工場共通編) 海部地区環境事務組合

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安全作業ハンドブック

(工場共通編)

海部地区環境事務組合

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目次

安全に対する基本

第1章 ハンドブックの基本的な考え方

1 「安全作業ハンドブック」の目的

2 安全作業を行うための日常の心構え

3 作業の指示系統

4 災害発生時の処置緊急処置

1)緊急処置

2)救急処置(応急手当)

5 工場の維持管理に関する法定資格

第2章 安全作業の基本

1 被服及び保護具の着用

2 作業の基本的な心得

第3章 各作業等の安全確保

1 工具の取扱い

2 運搬作業

1)人力運搬

2)チェンブロック作業

3)ホイストクレーン作業

3 機械作業

1)グラインダの取扱い

2)工作機械による作業

4 高所作業

1)脚立での作業

2)はしごでの作業

5 高熱作業

6 蒸気系統作業

7 ばいじん及び焼却灰その他の燃え殻を取り扱う作業

8 酸素欠乏等危険作業

9 電気関係の作業

1)電気作業の基本

2)作業責任者の遵守事項

3)運転操作及び点検時の注意事項

4)作業の一般的注意事項

5)停電作業の特記事項

6)高圧活線近接作業

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7)責任分界点開閉器にかかわる作業

8)具体的電気作業

(1) 接地操作

(2) 絶縁抵抗測定

(3) 検電測定

(4) コンデンサの放電操作

10 アーク溶接作業

1)服装、保護具

2)災害防止

3)感電防止

11 ガス溶接作業

1)服装、保護具

2)作業の一般的注意事項

3)ガス漏れに対する処置

4)逆火に対する処置

12 高圧ガス容器の取扱い

1)容器の設置、使用、貯蔵

2)取扱い上の注意

3)ガスの種類

13 危険物による災害の防止

1)危険物の種類

2)危険物の取扱い方

14 有機溶剤による災害の防止

15 有毒ガスによる災害の防止

16 薬品類の取扱い

1)対象薬品の種類

2)保護具の着用

3)作業中の注意事項

4)補修、修理

5)流出等による処置

6)人体に飛散した場合の処置

第4章 特殊作業 (別冊)

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安全に対する基本

1 「不注意」で片づけるのではなく、危険要因の一つ一つを正していく活動

を職場に生かす災害は人間の不注意によって発生するという考え方が一般

にありますが、人間の不注意だけでは災害になりません。

機械設備の安全化がはかられていたか、安全研修・実地訓練が日常的にや

られていたか、災害の原因など情報が正しく職員に伝えられていたか、保

護具が着用されていたか、又着用されるよう指導していたか、安全への指

導および認識が職場全体に形成されていたか、自信過剰による安全手段の

省略がなかったかなどなど不注意やミスを形成する要因が必ずひそんでい

るものです。

災害は、体が外部の物に触れてはじめて発生するのが実際です。災害にあ

った時だけに人間が不注意になったとするのは、原因を正しく見ない考え

方です。

人間のミス・不注意は不可避です。従って、災害はその人がとった行動の

原因、行動の周辺の障害物など、たえず職場での危険箇所の点検をし、危

険素因をなくしていく又は、防護していく取組みが重要です。職場および

安全衛生委員会が一体となって努力しましょう。

2 このハンドブックに示された安全作業の規律(作業標準)を確立する

このハンドブックは、先輩の貴重な経験や教訓の上に、事故や怪我の防止

上、大切な動作や作業の基本的な手順・方法、並びに注意事項などをまと

めたものです。

器具や道具も適切に使用し、少々面倒でも基本を忠実に実施するよう習慣

づけ、安全作業の規律を確立することが災害防止にとってもっとも重要で

す。

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第1章 ハンドブックの基本的な考え方

1 「安全作業ハンドブック」の目的

作業の安全を確保することは、職場における災害をなくして、工場で働く

職員の生命はもとより心身の安全を守ることであり、快適な作業環境を

作るために不可欠なことです。

職場における災害の原因としては、大きく分けて、「不安全な状態」と

「不安全な行動」によるもの、及びこの両方が組み合わされることによる

とされています。

「不安全な状態」とは、物自体の欠陥、防護措置の欠陥、物の置き方、

作業場所の欠陥等があることです。工場でいえば設備の不良、防護不十分、

物の置き方の不適切とか通路が確保されていないとかいろいろあります。

この点については日常の保守・点検を通じて不安全な状態を無くする必要

があります。

「不安全な行動」とは、たとえばせっかく備えられた安全装置を使わなか

ったり、機械・装置等の指定外の使用をしたり、必要な保護具を用いなか

ったりすることです。工場においては、作業の手順を無視することが多く

の場合、災害に結びつくことにもなります。

この「安全作業ハンドブック」は、特に安全な行動を確立するための標準

的な作業手順を定めたものです。作業をするときは、この「安全作業ハン

ドブック」の手順に従って行い、無災害かつ作業能率の向上に努めること

が必要です。また、このハンドブックにない作業を行う場合は、ハンドブ

ックの基本に基づいて、その作業に最も適した安全な方法で実施すること

で、このハンドブックの目的が達成されることになります。

2 安全作業を行うための日常の心構え

安全な行動は、健全な心身をもって初めて可能なことです。睡眠時間の不

足や疲労のたまった状態のままで作業をすれば、とうてい安全な行動が保

障されません。

安全な行動を取るためには、まず日頃から次のことを心掛けることが必要

です。

1) 明るい家庭を築き、特に心身の疲労を職場に持ち込まないため、節度あ

る生活を営む。

2) 快適な職場環境を作るために、境律を守ることはもちろん、周囲を清潔

にしたり、整理整頓をして、お互いに和やかな気持で働けるよう 1人 1人

が努める。

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3) 身体の具合が悪いときは、自発的にそのことを上司に申し出て、その指

示を受ける。

3 作業の指示系統

2名以上で共同作業を行う場合は、作業者の中から作業責任者を選び、そ

の指示のもとに実施する。

作業の指示系統は、通常次のとおりとする。

系 統 説 明

所長 作業計画の決定

係長・技師長 所長の指示により、作業を総括指揮する。

作業責任者 係長の指示により、作業者に作業内容・方法を説明し、

作業場所で指揮する。

作業者 作業責任者の指揮に基づいて作業をする。

4 災害発生時の処置

1) 緊急処置

(1)災害の原因となった機械設備等の運転を停止する。

(2)被災者を救出する。この際、二次災害の防止について特に注意する。

酸素欠乏症、硫化水素中毒による被災者の救助にあたる職員は、必ず酸

素呼吸器等を正しく装置する。

(3)近くの職員の協力により、上司等に連絡する。

(4)被災者の応急手当をする。緊急を要する場合は、救急車の出動を要請す

る。または、指定病院へ連れていく。指定病院は別表のとおり。

(5)災害調査に備え、災害発生場所の保存に努める。

2) 救急処置(応急手当)

(1)被災者は、むやみに動かさず仰向けに寝かせておく。顔が赤ければ頭を

少し上げ、青ければ足を少し上げ、吐き気があれば顔を横に向けて寝か

せる。

(2)呼吸停止は、口に手をあてて調べる。停止していればただちに気道の確

保をして、人工呼吸を行う。

(3)心臓停止は、心臓または脈の上に手をあてて調べる。停止していれば直

ちに心臓マッサージを行う。

(4)大出血は、ただちに指圧法、緊縛法(止血帯法)により止血に努める

(5)頭、胸、腹部の傷はよく調べる。

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(6)被災者の保温に注意する。

(7)被災者に傷を見せない。

(8)被災者を元気づける。ただし、ゆさぶってはいけない。

(9)被災者にむやみに水を飲ませない。

(10)関係者以外は遠ざける。

<窒息(ガス中毒)>

(1)救助

○1 無防護で飛び込んではならない。防毒マスク、酸素呼吸器等を着用して

救助に向かう。

○2 事故現場の換気を十分に行う。

○3 暗い場所での救助では、必ず懐中電灯(特化物には爆発性のものがある

から、それには防爆構造のもの)を用い、けっしてマッチ、裸火等を使

用してはならない。

(2)処置

○1 通風のよいところに寝かせる

○2 衣服を緩める

○3 人工呼吸を行う。

○4 自力で呼吸するようになったら、茶、コーヒー等を与える。

<有害物による急性中毒>

窒息と同じ手段が必要であるが、作業着が薬液で汚れていたらハサミ等

で衣服を切りさき、身体を清潔に洗ったうえ毛布などでくるみ、暖かく

しておく。医師が来たら必ず有害物の名称を報告する。

<加熱した液体によるやけど>

(1)小範囲のやけど

できるだけ早く受傷部分を水やほう酸水で冷やす。痛みが消失するまで

冷やしたのち軽度な場合には、抗生物質軟こうを塗ってもよいが、水泡

を生ずるような場合は、軟こう類は塗らず、水泡を破らないようにして

消毒ガーゼをあて、包帯をゆるく巻いて医師の手当を受けさせる。

(2)広範囲のやけど

○1 局所の手当もさることながら、全身の手当、すなわちショックの予防に

注意する。ただちに医師にゆだねる。

○2 衣服を取り去るときは、傷面に付着している衣服をはがさないで残し、

その周囲の部分だけを切りとる。

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○3 油類を塗ると、かえって医師の治療の妨げとなることが少なくないので、

傷面には、消毒ガーゼをあててすみやかに医師にゆだねる。

○4 医師が来たら有害物の名称を必ず報告する。

○5 患者が水をほしがるときには、コップ半杯ぐらいずつを適当な間隔で飲

ませる。

<眼の異物>

眼の中に有害物の粉じんや飛末が入ったときは、次のような処置をする。

○1 目をこすらない。たいてい上まぶたの裏側にくっついているので涙とと

もに自然に出てくる。

○2 出ないときは、親指と人差指とでまぶたをひっくり返し、ぬらした清潔

なガーゼまたは脱脂綿で静かにふきとる。

○3 飛末が目に入ったときは、清水で洗眼をしたあと軽く包帯し、必ず医師

の手当を受けさせる。

<骨 折>

(1)症状

激しい痛みがある。形が変わってくる。急激にはれてくる。皮膚の色が

変わってくる。表面に傷がなくても骨折していることがある。

(2)処置

○1 骨折していると思われる場合は不用意に動かさない。

○2 副木は2関節にわたるよう固定する。

○3 骨折部を動かさない。

○4 変形しているときも、そのままの状態で固定する。

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別表 指 定 病 院

・ 海 南 病 院 (八穂クリーンセンター)

弥富町大字前ケ須新田

電話 (65) 2511

・ 海 南 病 院 (上野センター)

弥富町大字前ケ須新田字南本田

電話 (65) 2511

・ 津 島 市 民 病 院 (新開センター)

津島市橘町三丁目73番地

電話 (28) 5151

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5 工場の維持管理に関する法定資格

区分 法令 説明 資格

総括安全衛

生管理者

安衛法第 10 条

同施行令第 2 条

常時100人以上の労働者を使用

する工場では総括安全衛生管

理者を選任し、当該事業場の安

全衛生に関する業務の総括管

理を行う。

選任

当該事業場にお

いてその事業の

実を統括管理す

安全管理者 安衛法第 11 条

同施行令第 3 条

常時 50 人以上の労働者を使用

する工場では安全管理者を選

任し、安全に係る、技術的事項

を管理する。

1大学又は高専

で理科系を卒業

し 3 年以上産業

安全の実務を経

験した者

2高校で理科系

を卒業し 5年以

上産業安全の実

務を経験した者

3労働大臣が定

める

安全推進員 安全管理者の補佐 選任

衛生管理者 安衛法第 12 条

同施行令第 4 条

常時 50 人以上の労働者を使用

する工場では衛生管理者を選

任し、衛生に係る技術的事項を

管理する。(労働者の数が 50 人

以上 200 人以下の場合は 1 名)

1都道府県労働

基局長の免許を

受けた者

2労働省令で定

める資格を有す

る者

3医師4歯科医

師 5 労働大臣が

定める者

産業医 安衛法第 13 条

同施行令第 5 条

常時 50 人以上の労働者を使用

する工場では医師のうちから

産業医を選任し、健康管理など

を行う。

医師

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ボイラ取扱

作業主任者

安衛法第 14 条

同施行令第 6 条

同規則第 16 条

ボイラの取扱作業に関して、作業

の区分に応じて、その者が取扱う

ことができる資格を有する者の

うちからボイラ取扱作業主任者

を選任し、指揮その他労働省令で

定める事項などを行う。

特級ボイラ免許

一級

二級

ボイラ取扱技能

講習

第 1 種圧力

容器取扱作

業主任者

安衛法第 14 条

同施行令第 6 条

同規則第 16 条

第 1種圧力容器に関し上記と同

様の内容

技能講習

酸素欠乏危

険作業主任

安衛法第 14 条

同施行令第 6 条

同規則第 16 条

法令で定める酸素欠乏等危険

場所における作業については、

第2種の酸素欠乏危険作業主任

者を選任し、当該作業に従事す

る労働者の指揮、点検、測定な

どを行う。

技能講習

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区分 名称 法令 説明 資格

特定化学物

質等作業主

任者

安衛法第 14 条

同施行令第 6 条

同規則第 16 条

法令で定める特定化学物質等

を取扱う作業については、特

定化学物質取扱主任者を選任

し、当該作業についての作業

方法の決定、指揮、点検、監

視などを行う。

技能講習

有機溶剤作

業主任者

同上 法令で定める場所、業務で有

機溶剤を取扱う作業について

は、有機溶剤作業主任者を選

任し、当該作業についての作

業方法の決定、指揮、点検、

監視などを行う。

技能講習

アーク溶接

作業者

安衛法第 59 条

同規則第 36 条

アーク溶接器を用いて行う金

属の溶接、溶断等の業務

特別教育

研削といし

作業者

安衛法第 59 条

同規則第 36 条

研削といしの取替または取替

時の試運転の業務

特別教育

玉掛作業者 安衛法第 61 条

同施行令第 20条

吊上げ荷重 1t以上の玉掛け

の業務

技能講習、免許

(クレーン、移

動式クレーン、

デリック)

安衛法第 59 条

同規則第 36 条

吊上げ荷重 1t未満の玉掛け

の業務

特別教育

ショベルロ

ーダ運転者

安衛法第 61 条

同施行令第 20条

最大荷重 1t以上のショベル

ローダの運転

技能講習

同規則第 36 条 最大荷重 1t未満のショベル

ローダの運転

特別教育

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フォークリ

フト運転者

安衛法第 61 条

同施行令第 20条

最大荷重 1t以上のフォーク

リフトの運転

技能講習

同規則第 36 条 最大荷重 1t未満のフォーク

リフトの運転

特別教育

クレーン作

業運転者

安衛法第 59 条

同規則第 36 条

吊上げ荷重 5t未満のクレー

ンの運転業務、床上で運転し

かつ当該運転をする者が荷の

移動とともに移動するクレー

ンまたは路線テルハで吊上げ

荷重 5t以上のものの運転業

特別教育

ゴンドラ操

作者

ゴンドラの操作業務 特別教育

車輌系建設

機械運転者

安衛法第 61 条

同施行令第 20条

車輌系建設機械の運転 技能講習

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区分 名称 法令 説明 資格

電気主任技

術者

電気事業法

第 72条

自家用電気工作物を設置する

ものは、この工作物の工事、

維持および運用に関する保安

の監督をさせるため、主任技

術者を選任しなければならな

い。

電気主任技術者免許

ボイラ・タ

ービン主任

技術者

同上 ボイラ・タービンに関し、上

記と同様の内容

ボイラ・タービン主任

技術者免許

防火管理者 消防法第 8条

同施行令第 1

常時 50 人以上の労働者を使

用する工場では、政令で定め

る資格を有する者のうちから

防火管理者を定め、消防計画

の作成など防火管理上必要な

業務を行う。

防火管理者講習

一定の実務経験者

危険物保安

監督者

消防法第13条

危険物の規制

に関する政令

第 31条の 2

改令で定める危険物の貯蔵所

または取扱所では、危険物取

扱者(甲種または乙種)のうち

から、危険物の保安を監督す

るものを定め、危険物の取扱

作業について保安の監督を行

う。

危険物取扱者免状

(甲種、乙種)

廃棄物処理

施設及びし

尿処理施設

技術管理者

廃棄物の処理

及び清掃に関

する法律21条

一般廃棄物処理施設

し尿処理施設

大気特定工

場等につい

て選任すべ

き公害防止

担当者

愛知県公害防

止条例第 41条

の 3、愛知県公

害防止条例施

行規則第 21条

14

大気特定工場等から発生する

公害の防止業務を行う。

1公害防止主任管理

2公害防止管理者(大

気関係第 1~3 種有資

格者)

3実務経験 3 年以上

の者

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水質特定工

場等につい

て選任すべ

き公害防止

担当者

同上 水質特定工場から発生する公

害の防止業務を行う。

1公害防止主任管理

2公害防止管理者(水

質関係第 1~3 種有資

格者)

3実務経験 3 年以上

の者

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第1章 安全作業の基本

安全作業を実施するには、個々の作業を適切に行うほか、作業着手前、

作業中、作業終了時のそれぞれにおいて、常に守るべき基本的な事をあ

らかじめ知っておくことが必要です。

作業にあたっては次のことを必ず実行しましょう。

1 被服及び保護具の着用等

1)作業服等は、貸与された被服及び保護具等を着用する。

2)作業服のポケットには、あまり大きな物を入れない。また、刃物や他の

危険物を入れない。

3)常に長袖の作業服を着用し、暑い時期や暑い場所でも腕まくりなどして

腕や脚を露出させたり、裸になったりしない。

4)作業中は安全帽を必ず着用しあごひもは確実にしめる。ただし、事務所、

中央操作室、クレーン操作室等はこの限りでない。

5)定められた安全靴を着用する。水処理等の作業は必要に応じて所定のゴ

ム長靴を着用する。

6)作業内容に応じて、次の手袋を使用し、あるいは手袋を使用しない。

作業の種類 手袋の種類等

高熱系統の作業 皮手袋

薬品を取扱う作業 ゴムまたはビニール手袋

回転機械を用いる作業 原則として手袋を使用しない

ハンマーを用いる作業 破片や火花が飛び散るなど、危険があるとき以外

は手袋を使用しない。

ばいじん及び焼却灰その他

の燃え殻を取り扱う作業

化学防護手袋

7)前記1)~6)以外の場合でも、作業に必要な保護具は必ず着用する。

8)被服や保護具は、常に点検・整備をし清潔に努め、それらの性能を維持

する。

9)腰手ぬぐいや首巻きはしない。特に機械を操作する場合は絶対にしては

ならない。

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2 作業の基本的な心得

<作業着手前>

1)作業の目的、範囲、手順、方法及び所要時間等を確実に理解する。

2)保護具、工具及び材料等をあらかじめ準備して、機能を十分に点検する。

3)関係の作業責任者へ確実に連絡をする。

4)作業に関係する操作盤等には、状態標示札を取付ける。

中央操作室に操作端がある場合は、これに確実に表示する。

例:「点検中」 ○○時○○分 責任者○○他○○名

<作業中>

1)作業は原則として2名以上で行う。

2)中央操作室との連絡を密にして作業場所の状態が中央管制室で把握でき

るようにする。

3)作業に関連する規則や標識を守り、作業責任者の指示のもとに作業を行

う。

4)作業は安全第一に考えて行い、冒険的行為や省略した行動を取らない。

5)危険場所へ立入るときは、事前に必ず安全を確認する。

6)無断で安全装置等を取りはずしたり、機能を停止させない。

7)共同作業時の合図は、相手にわかるよう確実に行う。

8)関係者以外作業場所に立入らない。やむをえず立入る場合は、作業責任

者へ連絡をする。

<作業終了時>

1)作業責任者は、人員及び作業終了の確認をする。

また、確実に設備の復旧がされているかどうか確認する。

2)保護具や工具等の点検をし、異常があれば整備する。また、器材や工具

等の数量を確認する。

3)作業場所の整理整頓及び清掃を行う。

4)交代時等の引継ぎや連絡は、交代後の作業が円滑に実施されるよう確実

に行う。

5)作業終了後無断で作業場所に近寄らない。特に炉内、煙道内、減温塔内、

バグフィルタ内には、無断で入らない。

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第2章 各作業等の安全確保

1 工具の取扱い

1)それぞれの作業に適した工具を使う。

(大き過ぎたり小さ過ぎたりしたものを使用しない)

2)使用前に工具を必ず点検し、不完全なものは絶対に使わない。作業中に

工具が破損したときは、完全なものと取替える。

3)工具をていねいに取扱い、その用途以外には使わない。

4)作業中、工具は常に一定の場所に置く。

(作業場所に散らかして置かない)

5)機械、材料、足場及び作業台の端等、落ちやすい場所に工具を置かない。

また、作業場所から階下へ落ちるおそれのある場合は、特に落下に注意

する。

6)工具に油が付着したときは、完全にふき取ってから使用する。

7)工具を手渡すときは、相手に確実に渡す。決して投げたりしない。

8)作業終了後は、必ず工具の数や破損の有無を点検し、所定位置に戻して

おく。

2 運搬作業

1)人力運搬

物を持ち上げるときは、つぎの原則に従って行う。これらの作業には、

それぞれ作業に適した姿勢があって、その良否によっては、肩を痛めた

り、腰痛になったり、その他思わぬ災害を起こすことがあるので注意す

る。

(1)物の持ち上げ方

○1 身体に急激な負担をかけないため軽い準備運動をする。

○2 一人で持ち上げられるかどうか、重さを確認する。(少し持ち上げてみる)

重い場合は二人以上で共同して作業する。

○3 両足を開き、片足をやや前に出して、足もとを固める。

○4 ひざをほぼ直角に曲げ、できるだけ身体を荷物に近づけて背筋を伸ばす。

○5 一端を少し上げ、荷物をしっかりつかんで背筋を張ったままひざを伸ば

して持ち上げる。

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(2)運搬にあたっての注意事項

○1 荷物を持ち上げたり、降ろしたりする高さは、できるだけ少なくする。

○2 荷物を降ろすときは、まず片側を先に降ろし、手足をはさまないように

注意をする。(投げ降ろしをしない。特に物の上に投げない。)運搬に支

障のない限り手袋を使用する。

○3 安定の悪い場所や高い所へ無理に荷物を置かない。

○4 下積みのものを抜きとったり、中抜きはしない。

○5 荷物をなるべく傾けず、最短距離で運搬する。(途中での不必要な持替え

はしない。)

○6 頭上での運搬はさける。

○7 引きずって物を運搬しない。

○8 小さな物は、箱や袋に入れてから運搬する。

○9 中継ぎ運搬は、なるべくさける。

○10積み上げた物の上に乗って、運搬をしない。

○11運搬通路は、障害物がなく安定している所を選ぶ。

○12運搬物や足元がよく見えるように、照明を明るくする。

○13<長尺物>

長尺物を運ぶときは、振り廻さない。数人でかついで運ぶときは全員が

同じ側の肩でかつぎ、調子を合わせて運ぶ。

○14<危険物>

危険物や有害物質を運搬するときは、保護具を着用し、細心の注意を払

って行う。

○15<重量物>

重量物を2人以上で運ぶときは、体力や身長の似かよった者を組んで行

う。また、合図者を決め、合図に従って行う。

○16人力で運びきれない荷物は、吊り具や運搬車等を用いる。

2)チェンブロック作業

(1)チェンブロックを掛ける三又は、十分な強度で組み、支点が移動しない

ようにする。はりを使用する場合は、その強度に注意する。

(2)チェンブロックにワイヤを掛けるときは、安全かつ確実に行う。

(3)1本づりはできるだけ避け、ワイヤロープが傷つき易い箇所には必ず「当

てもの」をする。

(4)2名以上でチェンブロックの操作をする場合は、合図をしながら行う。

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3)ホイストクレーン作業

(1)玉掛け作業は資格を有する者が行い、次の点に注意する。

○1 ワイヤロープが張るとき手をはさまれないようにする。

○2 荷のくずれ、脱落、転倒による危害をうけないため、つり荷から目を離

さない。

○3 つり荷の横ずれ、位置の修正には足をはさまれないようにする。

○4 つり上げるとき、つり荷の上に乗ってはならない。

○5 つり下げるとき、ひざやつまさきをつり荷にはさまれないようにする。

○6 力を入れて、つり荷を押したり引きよせたりしてはならない。

○7 つり荷や当木に手をあてたり、身体を入れない。

○8 当木を直すときは、上面にも下面にも手をやらない。

○9 一度に下ろさず、安全性を確かめながら徐々に下ろす。

○10ワイヤロープは人力で抜き取れるよう注意する。クレーンで抜き取るよ

うなことはしない。

○11玉掛者は荷が動く方向を避け、かつ運転者からよく見えるところへ位置

を変える。

○12玉掛者が運転者に合図するときは、身振りを大きくし、笛等を使用して

確実に行う。

(2)クレーン運転者は次の点に注意する。

○1 運転者が荷物を移動させるときは、玉掛者の合図(玉掛標準合図法等)に

従って、つり荷から目を離さないで安全を確認しながら操作する。

○2 つり荷付近または、移動場所付近に人がいる場所では、運転者は笛を鳴

らす等合図をしてから操作する。

○3 運転者は、荷物をつり上げたままの状態で操作場所を離れない。

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玉掛標準合図法

本合図は、全日本産業安全連合会が作成した手による合図と建設業災害

防止規程に定めたものを統合したものである。

1 手による合図

・ 呼出し 片手を高く上げる

・ 位置の指示 なるべく近くの場所に行き指で示す。

・ 巻上げ 片手を上にあげ輪をかく。または腕をほぼ水平に上げ手のひらを

上にして上方に振る。建設業の場合、手でまたの上をたたいた後、片手

を上げて輪を描く。

・ 巻下げ 腕をほぼ水平に上げ手のひらを下にして下方に振る。建設業の場

合、手でまたの上をたたいた後、腕をほぼ水平に上げ手のひらを下にし

て下方に振る。

・ 水平移動(走行、横行、旋回を含む) 腕をみやすい位置に伸ばし手のひら

を移動する方向に向け数回動かす。

・ 微動 小指または指示で巻上げ、巻下げ、水平移動の場合に応じて、それ

ぞれの合図をつづける。建設業の場合、先ず両手で間隔を指示した後、

巻上げ又は巻下げる。

・ 転倒 両手を平行に延ばして転倒の方向にまわす。

・ 停止 節度をつけて手のひらを高く上げる。ただし微動の場合はそのまま

で指を握りしめてもよい。

・ 急停止 両手をひろげて高く上げ、激しく左右に大きく振る。

・ 作業完了 挙手の礼、または両手を頭の上に交差させる。

笛による補助合図

○1 呼出し ―――――――――

○2 巻上げ ― ― ― ―

○3 巻下げ ― ― ― ― ― ―

○4 停止 ――――――――

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3 機械作業

1)グラインダの取扱い

(1)砥石の取替えと取替時の試運転は、必ずその安全または衛生のための特

別教育を受けた者が行い、次の事項を守る。

○1 砥石車は軸に静かに入れる。(無理にたたきこまない。)

○2 フランジは必ず左右同じ大きさで、砥石車の直径の 1/3 以上とする。

○3 砥石車は、規定の大きさのものを規定の速度で使用する。

○4 砥石車の取付けが終ったら、少なくとも3分以上試運転をして、安全を

確かめる。その際、身体を砥石車の正面からかわしている。

(2)グラインダを使用する者は次の事項に注意する。

○1 使用前に点検し、使用後には手入れをする。

○2 その日の作業を開始する前には1分以上試運転をする。

○3 安全カバーを取りはずさない。カバーのないグラインダは絶対に使用し

ない。

○4 砥石車と研磨台のすき間は、3㎜以内に保つ。

○5 透明板のついていないグラインダの作業では、防じんメガネを必ず使用

する。

○6 側面を使うときは、側面使用グラインダを用いる。

○7 研磨台の調節をするときは、必ず運転を止めてから行う。

○8 研磨面に凸凹のある砥石車を使用しない。

○9 砥石車に目づまりがあるときは、ドレッサーで落としてから使用する。

○10 移動式グラインダを置くときは、回転を止め、カバーを下にして置く。

○11 グラインダを使った後は、スイッチを確実に切る。コードを差込んでい

る場合は、コンセントから抜取る。

○12 グラインダ作業において、火傷のおそれがあるときには、皮手袋等を用

する。

○13 グラインダの作業中は、付近に燃えやすい物を置かない。

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2)工作機械による作業

(1)作業前に安全装置を必ず点検し、機械に注油してから使用する。

(2)機械に巻込まれるような服装をしない。また手袋、腰手ぬぐい、首巻き

は絶対にしない。

(3)機械の周囲や足もとには物を置かない。

(4)機械を運転したままの状態で、掃除、注油、修理及び加工物の寸法を測

ったりしない。

(5)運転中はその場を離れない。

(6)機械を運転しているときに、手や指先で刃に触れない。

(7)機械のスイッチを切った後、手や足あるいは工具等でブレーキをかけな

い。

(8)加工材や刃物の取付けは確実に行う。

(9)チャックハンドルを付けたままの状態で、運転をしない。

(10)チャックやバイスで加工材が固定しにくい場合は、治具を用いる。

(11)切粉や削りくず等が飛散するときは、防じんメガネを使用する。

(12)切粉や削りくず等は、ブラシ、手ぼうき及びその他の道具を使って取払

う。

(13)作業終了後機械各部を点検、清掃する。また、電源が確実に切られてい

ることを確認する。

(14)手持ち機械を使用するときは、次の点に注意する。

○1 先にスイッチを入れた後、加工材に直接密着させて作業をする。

○2 機械の回転に振り廻されないようしっかり腰を入れて持つ。

○3 スイッチを入れたまま(回転状態のまま)で手渡しをしない。

○4 機械にはできるだけ接地をつける。どうしても接地できない場合には、

漏電しゃ断器を使用し、人体の感電に注意する。

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4 高所作業

高所作業とは、労働安全衛生規則による2m以上の場所での作業をいう。

ただし2m以下の作業であっても、作業条件により危険のおそれのある

ときは、高所に準ずる作業とする。高所作業を減らすため地上でできる

作業はできるだけ地上で行う。

<作業着手前>

(1)スソ等が引掛からないよう、スソ口やそで口のすっきりしている服装で

行う。

(2)適当な広さを持ち、手すりの設けられている安全な足場を確保する。安

全な足場が確保できない場合は、安全ベルトを必ず着用して、近くの頑

強な物に命綱を取付ける。状況によってはつい落防止用ネットを張るな

ど、安全処置をとる。

(3)足場の構造や材料に応じて作業床の最大積載重量を定め、これを越えな

いよう注意する。

(4)作業をするのに十分な照度を確保する。

(5)作業中の安全帯の脱着回数を少なくするため、工具や資材等の必要品を、

あらかじめきちんと用意する。

(6)グレーチング上の作業では、工具が落下しないようにシート等を張る。

(7)資材等が落下するおそれのある場所では、下方に立入禁止区域を設け、

その区域を明示する立札を立てる。

(8)油、水及び砂が足場に付着している場合は、滑らないように清掃してか

ら作業を始める。

<作業中>

1)作業は原則として2名以上で行う。

2)高所では不安定な行動をとったり、無理な姿勢で長時間の作業はしない。

3)足場の通路上に物を置かない。やむをえず置くときは、整理して箱や袋

に入れ固定しておく。

4)工具や資材を落とさないよう注意して作業する。

5)作業中は工具や材料等を投げ渡ししない。

6)大きな物の取りはずしを行う場合は、ロープ等で吊上げて落下防止をす

る。

7)残ったボルト・ナット類、溶接棒は現場に放置しない。

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<脚立、はしご上での作業>

1)脚立での作業

○1 使用する脚立は、丈夫な構造で、著しい損傷、腐食等がないものを使用

する。

○2 脚立は開き止め金具が付き、踏み面が適切な面積を有するものを使用す

っる。

○3 すべったり、傾いたりしないよう据付け、開き止めを確実にかける。

○4 脚立の上では無理な姿勢で作業をしない。

2)はしごでの作業

○1 はしごは、丈夫な構造で著しい損傷、腐食のないものを使用する。

○2 はしごにはすべり止めを付け、他の作業者が脚部をしっかり押さえる。

○3 はしごは水平に対し 75 度にかけることを原則とし、はしごの上部は 60

㎝以上上方に出るようにする。

○4 はしごを昇降するとき、手に工具等を持たない。

○5 はしごの上では、無理な姿勢で作業をしない。

○6 安全帯の使用が可能な場所での作業では、安全帯を使用する。

○7 通路に面した所にはしごを立てかけるときは、通行者にわかるように

安全標識を取付ける。

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5 高熱作業

作業の基本は、冷却を確認してから行うことである。冷却ができない

場合の作業については、注意してすばやく行う。

1) 高温物が飛散するおそれのあるときは、防護板等を用いる。また、危険

区域を設ける。

2) 危険区域内では、他の作業をしない。

3) 引火性のあるものを近づけない。

4) 服装は開口部を少なくし、皮手袋等を使用する。

5) 灰等の吹出しのおそれがある作業は、炉内圧等の圧力に注意し、必要に

応じて防護面を用いる。また、吹出す方向に身体を置かない。

6) あらかじめ退避路を確認し、障害物があれば取除いておく。

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6 蒸気系統作業

1) 蒸気系統の作業は、管路の冷却・ドレン抜きを行ってから実施する。

2) 管路の冷却は次のように行う。

(1)ボイラ本体から主蒸気弁までの作業のときは、炉を停止する。

(2)主蒸気弁から高圧蒸気だめまでの管路の作業のとき。

○1 炉を理火し、蒸気発生量をおさえる。

○2 ボイラ主蒸気弁、高圧蒸気だめ入口弁を閉とする。

○3 上記配管中のエアー抜き弁、ドレン弁を開け、ドレンの放出を確認する。

○4 管路の冷却を確認する。ドレンを完全に抜いてから周囲温度や管路温度

を、手を触れるなどして確認する。

(3)蒸気ヘッダー以降の管路の作業のとき。

○1 作業箇所前後の弁を閉とする。

○2 閉鎖された管路のエアー抜き弁、ドレン弁を開け、ドレンの放出を確認

する。

○3 管内の圧力が零であることを確認する。

○4 閉鎖された管路の冷却を確認する。ドレンを完全に抜いてから、周囲の

温度や管路の温度を手で触れる等で確認する。

(3)上記(2)、(3)によっても冷却が不可能なときは、炉を停止または

埋火する。

3) 服装は開口部を少なくし、皮手袋を必ず着用する。

4) 蒸気の吹出す方向に身をおかない。

5) あらかじめ退避路を確認し、退避路の障害物を取除いておく。

6) 作業者以外の者を作業場所に近づけない。

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7 ばいじん及び焼却灰その他の燃え殻を取り扱う作業

ばいじん及び焼却灰その他の燃え殻を取り扱う作業(以下「粉じん環境に

おける作業」という。)とは労働安全衛生規則第 36 条第 34 号、35 号に

規定される作業をいう。ばいじんの多い場所の作業は、粉じん環境に

準ずる作業という。

1) 粉じん環境における作業では、作業指揮者の指示により作業内容に応じ

た保護具を着用する。

2) 作業指揮者は、粉じん環境における作業に従事する職員の保護具の着用

状況及びダイオキシン類を含む物の発生源の湿潤化の確認をする。

3) 作業は、特別教育を終了した職員が行う。

4) 女性職員については、極力作業に従事させない。

5) 粉じん環境における作業が行われる作業所での喫煙及び飲食を禁止する。

6) 整備用集じん機を使用できる場所では、集じん機を作動させて作業する。

7) 粉じんの舞上り防止として、散水ができる場所では、散水し十分湿潤化

させてから作業を開始する。

8) 作業が長時間にわたる場合は、時々休憩をとるか、交代しながら作業を

する。

9) 作業終了後は、必ずエアシャワールームで保護衣等に付着したばいじん

等を払い落とし、手洗いや洗顔、うがいをし、必要に応じて入浴する。

10) 作業中に、気分が悪くなったときは、ただちに作業を中止し、エア

シャワールームでばいじん等を払い落とした後、風通しのよい場所等に

移動する。

11) 昼食時や休憩時にも作業終了時に準じた措置をする。

12) 脱いだ保護衣は、飛散しないよう袋等に収納してごみピットに捨てる。

13) 粉じん環境に準ずる作業では、労働省確認簡易防じんマスクを使用し、

必要に応じて保護衣、防じんメガネを着用する。

14) 粉じん環境に準ずる作業終了後は、粉じん環境作業に準じた措置をする。

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8 酸素欠乏等危険作業

酸素欠乏等危険作業とは、酸素欠乏症にかかるおそれ及び硫化水素中毒

にかかるおそれのある場所における作業をいう。

酸素欠乏等危険場所以外でも危険と思われる場所では、必ず酸素欠乏等

危険作業に準じる。

酸素欠乏等危険作業主任者は、酸素及び硫化水素濃度測定を行い、作業

を指揮する。

<作業着手前>

1) 作業場所の環境測定

作業開始前の、酸素及び硫化水素濃度の測定は、垂直方向に2~3点と

水平方向に2~3点とし、合計5箇所以上とする。なおメタンガス濃度

も同時に測定し、火気等にも注意を払う。

2) 測定結果が酸素濃度 18%未満、硫化水素濃度が 10ppm 以上の場合は、

その危険箇所へ立入らない。作業をする場合には、換気を行い、再度

濃度を測定し、酸素濃度 18%以上、硫化水素濃度 10ppm 以下を確保し、

換気装置をそのまま稼働させておく。

3) 作業者の安全を監視するために監視者を配置し、作業中は、絶対に現場

を離れない。

4) 作業は2名以上で行い、作業開始及び終了時間を明確にし、中央操作室

または上司に必ず連絡する。

5) 作業をするときは、あらかじめ退避用具の機能点検をして、安全なもの

を用意する。

<作業中>

1) 酸素濃度及び硫化水素濃度を連続測定する。

2) 換気装置は、作業終了まで連続運転とする。

作業場所には、関係者以外の者の立入りを禁止する。

3) 密閉に近い状態の場所で溶接作業等を行う場合は、酸素欠乏になるおそ

れがあるので十分な換気を常時行う。

4) 作業場所の酸素濃度が下がったり、硫化水素濃度が上がった場合は、

ただちに作業を中止し、退避する。

5) 作業が長時間にわたる場合は、時々休憩を取るか、交代しながら作業を

する。

6) タンクやマンホール等のようにはしごを使って降りてゆく場合は、必ず

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親綱に命綱をつけ安全を確保する。

7) 作業場所へ入場または退避させるときには、人員の確認をする。

酸素欠乏症の症状

段階 酸素濃度(%) 症状

1 16~12 脈拍、呼吸数の増加、精神集中力の低下、計算まちがい、

こまかい筋肉作業の少化、頭痛、耳鳴、吐き気

2 14~9 判断力の低下、発揚状態不安定な精神状態、傷の痛みを感じな

い状態、頭痛、耳鳴、吐き気、嘔吐、当時の記憶なし、全身脱

力、体温上昇、チアノーゼ、意識もうろう

3 10~6 意識消失、昏倒、中枢神経障害、チアノーゼ、全身の筋けいれ

4 6以下 一瞬のうちに失神、昏睡、呼吸緩徐、呼吸停止、心臓停止

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硫化水素の毒作用

濃度

PPM

部位別作用、反応

嗅覚 呼吸器 眼 脳神経

0.025 鋭敏な人は特有

の臭気を感知で

きる

0.2 誰でも臭気を

感知できる

3~5 不快に感じる

中程度の臭気

10 許容濃度 (眼の粘膜の刺激

下限界)

20~30 耐えられるが

臭気の慣れでそ

れ以上の濃度に

感じなくなる

肺を刺激する

最低限度

50

100 ~

200

2~15 分で感覚

神経麻痺でかえ

って不快臭は減

少したと感じる

ようになる

8~48 時間連続

ばく露で気管支

炎、肺炎、肺水腫

による窒息死

結膜炎、眼のかゆ

み、角膜破壊とは

く離、視野のゆが

みとかすみ、光に

よる痛みの増強

170 ~

300

気道粘膜の灼熱

的な痛み、1時間

以内のばく露な

らば重篤症状に

至らない限界

350 ~

400

1時間のばく露で

生命の危険

600 30 分のばく露で

生命の危険

700 短時間で呼吸麻

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9 電気関係の作業

電気災害には、充電部分や漏電箇所に接触して発生する感電災害のほか、

アーク等による火傷、溶接による電火性眼炎、あるいは、過熱、スパー

ク、漏電等による火災や爆発災害等がある。

共同作業で行う場合は、その作業を指揮する作業責任者を定める。作業

責任者は電気技術職員または電気技術に経験のある者があたる。作業者

は作業責任者の指揮に従って作業を行う。

1) 電気作業の基本

(1)活線作業は、絶対に行ってはならない。

(2)作業は原則として二人以上で行う。

(3)作業を行うにあたっては、あらかじめ指示された連絡方法や合図を厳正

に守る。

(4)接地用具、長い導体等を運搬する場合には、周囲の状態をよく確認し、

充電部分に接触、または接近しないよう注意する。

(5)湿気の多い場所では、漏電の危険が大きいので注意する。汗をかいたら

拭取り、ぬれた手や身体で電気設備に触れない。

(6)身体や被服等に、金属製の物を着けない。

(7)作業場所では、十分な明るさを確保し、陰やちらつき等がないよう注意

する。

(8)変圧器、開閉器等の充電部には、接触、または接近しない。また充電中

の導体には下記に示す距離以内に接近しない。

充電電路の電圧と接近限界距離

充電電路の電圧(KV) 接近限界距離(cm)

6を超え22以下 20

22を超え33以下 30

33を超え66以下 50

66を超え77以下 60

(9) 電気機器の接地不良個所及び絶縁不良個所の発見に努める。

(10) 感電事故は作業終了間際に発生することが多いから、作業が終了して

もその場から離れるまで心をゆるめない。

(11) 作業中に発生した疑問は、自分だけで解決せず、ただちに作業責任者、

または上司に報告する。

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(12) 工具、計器、保護具、操作用具等は定期的に点検、整備して良好な

状態にしておく。

(13) 感電事故が発生したときは、ただちに電源を切り、被災者を救助する

こと電源を切る前に、いきなり被災者に触れて救助しないこと。

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2) 作業責任者の遵守事項

<作業着手前>

(1) 作業の目的、範囲、手順、無充電部の範囲、作業時間及び停電時間を

作業者に説明し作業者の分担を決める。

(2) 人員及び工具等の確認をする。

(3) 関係部所への連絡は確実に行う。

(4) 作業範囲、無充電部の範囲、しゃ断した開閉器の管理状態、接地器具

の取付け状態について安全であることを確認し、状態標示札を取付け

たのち作業着手を確実に指示徹底する。

<作業中>

作業中常に作業進行状況を把握して、適時適切な指示を与える。万一

作業場所を離れる場合には、代務者を定める。

<作業終了時>

(1)作業に手落ちがないこと、電源を投入しても安全であることを確認する。

(2)作業に従事した人員、工具数等を確認する。

(3)接地用具、状態標示札等の取りはずしを確認する。

(4)作業終了を作業者に指示徹底する。

(5)絶縁抵抗を測定し、この結果が良好であること。測定結果は記録してお

く。

(6)作業終了の連絡を関係部所へ確実に行う。

3) 運転操作及び点検時の注意事項

<一般的事項>

(1)電気設備の操作にあたっては、関係ある受電配電系統、単線結線図、

シーケンス、機器の構造、動作及びその目的を理解し、必ず関係機器の

状態を確認してから行う。

(2)主要な電気設備及び電気安全上特に留意すべき電気設備の運転、操作、

点検は原則として二人で行い、一人は操作または点検し、他の一人は

事故防止のため及び誤操作防止のために監視を行う。

(3)高圧電路開放等の作業は(電気用ゴム手袋、電気用帽子及び電気用ゴム

長靴等)感電防止用保護具を着け、ゴムシート等を敷いて作業をする。

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<操作前>

機器の操作にあたっては、作業責任者の指示に従って、特に次の事項に

注意して行う。

(1)しゃ断器及び断路器の入切操作前には、現場と中央操作室は連絡しあっ

て安全を確認する。

(2)機器の操作前には、機器の状態、関係計器の指示値及び標示等を確める。

(3)停電させる場合の開閉器等の操作手順は、まず負荷側から開路し、順次

受電側を開路して停電する。この場合、しゃ断器(または負荷開閉器)

の操作を優先し、その後断路器を開路する。電路の断路器の開路は、当

該電路が無負荷であることを確認してから行う。

(4)復電させる場合の開閉器等の操作順序は、まず受電側から閉路し、順次

負荷側を閉路する。この場合、断路器の閉路を優先し、その後しゃ断器

(または負荷開閉器)を閉路する。

(5)安全上特に留意すべき電気設備の運転操作をするときは、安全確保のた

めに一斉放送を実施する。

(6)修理、改造などを行った電気設備を運転する場合には、操作前に必ず点

検及び測定を行い安全を確認する。

<操作後>

機器の運転操作直後は、運転状態計器の指示値等を十分監視する。

4) 作業の一般的注意事項

<作業着手前>

(1)保護具、工具、服装の点検

作業に必要な保護具、フック棒、接地用具、工具等を準備し、損傷や少

化の有無を点検し不良と思われるものは絶対に使用しない、また作業服

のポケット等に不必要なものがないことを点検する。

(2)作業目的等の理解

作業者は作業の目的、範囲、手順、無充電部の範囲等を十分理解してか

ら作業に着手する。

(3)状態標示札の使用

配電盤の電源開閉器等の操作機構に「電源投入厳禁」等の表示札を取付

ける。状態標示札には作業内容(点検中等)、作業時間等を記入する。

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(4)作業範囲等の明示

作業場所に隣接して活線の電路がある場合は、トラロープ等を張って活

線電路部分を区画し、さらに危険標示をして、作業者が危険区画へ不用

意に進入接近することを防止する。

(5)接地操作、放電操作の実施

所定の接地操作、放電操作を行う。

(6)関係部所への連絡

関係部所への連絡は確実に行う。必要に応じて放送をする。

<作業中>

(1)作業者は安全装置を無断で取りはずしたり、機能を停止させたりしない。

(2)予定外作業の禁止

○1 作業者は作業責任者から指示された以外の作業及び指示された手順によ

らない作業を行わない。

○2 やむをえず、計画手順の変更や予定外の作業を行う必要が生じた場合に

は、作業責任者に報告し、その指示をうける。

(3)連絡合図

作業を行うにあたっては、あらかじめ指示された連絡方法や合図を守る。

<作業終了時>

(1)作業終了の確認

○1 作業が終了したときには、作業者の人員、作業に手落ちがないこと、

接地をはずしたこと、絶縁測定をしたこと、状態標示札をはずしたこと、

工具等の置忘れがないこと等を確認し、後始末を確実に行う。

○2 作業終了後無断で作業個所に近寄らない。

(2)保護具・工具等の点検整備

作業が終了したときには、保護具、工具等の数量及び異常の有無を点検

し、整備して所定の位置に戻しておく。

(3)関係部所への連絡

作業が終了したら、関係部所への連絡は確実に行う。必要に応じて放送

する。

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5) 停電作業の特記事項

(1)開停状態の開閉器等が作業中誤操作されないよう、その制御回路を切っ

ておくとともに、当該開閉器に施錠(キユービクル内設備である場合は

その扉をも施錠)をする。また「電源投入厳禁」等の標示をする。解錠

キーは、作業終了まで作業責任者が保管する。

(2)開路した電路が電力ケーブル、電力コンデンサ等を有する電路で、残留

電荷により危険を生ずるおそれのあるものについては、安全な方法によ

り当該残留電荷を確実に大地に放電させる。コンデンサの放電及び接地

操作は、所定の方法で行う。

(3)開路とした電路が、高圧または特別高圧である場合は誤通電や他の電路

との混触あるいは他の電路からの誘導による感電の危険を防止するため、

必ず自分で検電して無電圧を確認したのち接地用具を用いて大地に放電

する。

(4)検電及び接地用具の接続が完了していない電停は、活線と同等に扱う。

6) 高圧活線近接作業

高圧電路の充電電路に対し、頭上距離 30cm 以内または、体側距離もしく

は足下距離 60cm 以内に接近することにより、感電危害を生ずるおそれの

ある場所での作業を高圧活線近接作業という。

(1)特別高圧電路の活線近接作業は行ってはならない。

(2)作業責任者は作業場所の状況をよく観察できる適切な場所に位置し、作

業者の動作に注意して、充電部分への接近に対して適切な警告を出す。

(3)この作業は、次の場合以外は行ってはならない。

○1 感電防止用保護具を着用して所定の絶縁棒を用い断路器等を操作する

場合。

○2 充電部分が接地された金属または絶縁物でしゃへいされている場合、

あるいはそれらと同等の防護措置を施した場合。

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7) 責任分界点開閉器にかかわる作業

(1)責任分界点開閉器にかかわる作業は他の電力需要家及び電力会社に影響

をおよぼすので事前に電力会社と協議する。

(2)責任分界点開閉器にかかわる作業は、電気主任技術者、または同技術者

が指名した代務者が立合う場合以外は行ってはならない。

(3)停電する場合は、電力会社と事前に次のことを打合せる。

○1 作業内容の説明、月日、時間、停電操作の確認方法。

○2 停電中における受電線への接地用具の取付け、取りはずしの確認。

○3 打合せ担当者相互の氏名及び作業当日の作業責任者名の確認。

(4)作業責任者は、作業終了予定時刻の1時間前までに、電力会社にその事

を申入れ、復電予定時間を再打合せする。さらに復電予定時間の少なく

とも 15 分前までにすべての作業を完了させ、開閉器解錠、絶縁抵抗の

確認を終了し、電力会社に復電連絡するとともに工場内にも放送等で

周知させる。

8) 具体的電気作業

(1)接地操作

○1 接地用具の着脱には次の言葉を用いる。

「接地をつける」 「接地をはずす」

○2 接地装置・接地用具は使用前に、点検する。

○3 接地をつける前に、関係断路器の開路及び必要なロックを確認し、さら

に検電器等で充電されていないことを確認するとともに、状態標示札を

取付ける。

○4 接地個所は、作業場より見やすくかつ作業に支障のない個所とする。

○5 接地用具をつける場合には、最初に接地側金具を接地線に接続し、次に

電線側金具を機器または電線に確実に接続させる。

○6 接地用具をはずす場合には、最初に電線側金具をはずし、次に接地側

金具をはずす。

○7 接地用具を着脱する場合には、接地線が自分や他人の身体はもちろん他

の機器、電線等に接触または接近しないように注意する。

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(2)絶縁抵抗測定

作業後は次の事項に注意して絶縁抵抗の測定をする。

○1 測定時は、測定用導線が身体や他の機器に接触しないよう注意する。

○2 電路及び機器が無電圧であること。

○3 測定中の電路及び機器には、手等で触れない。

○4 測定器の Eと L端子を短絡して零点を確認する。

○5 測定器の Eと L端子を開放して指示が∞(無限大)になることを確認

する。

○6 測定導線の接続は、接地側を先に測定側を後からする。またはずす時は

測定側からはずす。

○7 電池式測定器は、スイッチを入れたままにしない。

○8 測定直後は、残留電荷を放電させる。

(3)検電測定

○1 検電器は、電路の電圧に応じたものを使用し、使用前には必ず機能

テストを行う。

○2 検電は、必ず各相または各端子ごとに行う。

○3 電路が、検電によって充電されていると認められるときは、再度開閉器

等の確認を行う。

(4)コンデンサの放電操作

コンデンサの放電は下記の要領で行う。ただし放電コイル付コンデンサ

は所定の放電時間経過後に行う。

○1 接地用具または先端部に接地線を取付けたジスコン棒を使用する。

○2 最初に接地側金具を機器の接地線に接続する。

○3 接地用具の先端をコンデンサの各端子に接触し、順次放電する。なお1

回の接触で完全に放電しきれない場合があるので接触操作を反復し、

火花音が完全になくなるまで行う。

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10 アーク溶接作業

1) 服装、保護具

(1)作業服は、開口部をできるだけ少なくし、油脂等で汚れたものは着用

しない。

(2)保護メガネ、皮手袋、腕カバー、前掛け、マスク、安全靴等の保護具

を着用する。

(3)湿気の多い場所での作業は、絶縁用保護具を着用する。

2) 災害防止

(1)危険物及び可燃物の近くでの作業は行わない。やむをえず行うときは、

しゃへい板等を設置する。

(2)作業場所には、消火器を用意する。

(3)アーク溶接の光線は、作業者ばかりでなく、周囲の者にも電気性眼炎を

起こさせやすいので、しゃこう板を設置するか、保護メガネ等を着けさ

せる。

(4)溶接火花が、落下するおそれのある高所で作業を行う場合は、次の処置

をする。

○1 火花の落下点付近には、トラロープ、安全サク、標識等で落下点付近に

人を近づけない処置をする。

○2 火花の落下経路中に、可燃物、電線ケーブル等がある場合は、防災シー

ト等で保護する。

(5)作業終了時や中断するときは、ホルダーを木箱等の絶縁物の中に置き、

溶接機の電源を切る。

(6)通風の悪い場所では、換気を行いながら作業をする。

3) 感電防止

(1)アーク溶接機は、自動電撃防止器を取りつけたものを使用し、作動を

点検し電源容量を確認する。

(2)溶接機容量に合った太さや、絶縁強度のあるケーブルを使用し、芯線の

露出しているものは使用しない。

(3)溶接棒ホルダーは、充電部分が露出していない規定のものを使用する。

(4)溶接機出力側回路のうち、母材又は定盤に接続される二次側帰線に、

溶接機端子部分で接地をつけ、衝撃等ではずれないようにする。

(5)溶接棒をつけたままのホルダーを放置しない。

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11 ガス溶接作業

1) 服装、保護具

(1)作業服は、開口部をできるだけ少なくし、油脂等で汚れたものは着用

しない。

(2)保護メガネ、皮手袋、腕カバー、前掛け、マスク、安全靴等の保護具を

着用する。

2) 作業の一般的注意事項

<作業着手前>

(1)器具は逆火防止装置付のものを使用する。

(2)ガス器具やホース、ホースバンド等を点検し、不備のある器具は修理

または交換する。

(3)圧力調整器、吹管及びホース相互の連結には、継手に合ったホースを

用い、ホースバンド等の金具で確実に締めつけ、石けん水等でガス漏れ

を点検する。

(4)酸素、アセチレンとも、専用の調整器が取りつけてあり、正常である

こと。

(5)作業に適した能力の火口を選び、トーチヘッドに確実に取りつける。

(6)火花が飛散しないよう、火花受けまたは火花防止処置をする。

(7)危険物及び可燃物の近くでの作業は行わない。やむをえず行うときは、

しゃへい板等を設置する。

(8)作業場所には、消化器等を用意する。

<作業中>

(1)点火は専用のライターで行い、作業に合った炎に調整する。

(2)火口の手入れは、専用の掃除針で行う。

(3)吹管はていねいに取扱い、ネジ部及び連結部等に附著した油脂類を完全

に除去する。

(4)容器弁の開閉は、規定のハンドルで静かに行う。

(5)ハンドルは、容器弁につけた状態とし、圧力調整ネジをゆっくりまわし

所定の圧力範囲内で使用する。

(6)溶接部に錆等がついていると、火花が飛ぶので事前に錆を落とす。

(7)コンクリート等に直接火炎が当たると、火花が飛ぶので溶断するとき

には床面との間に空間をつくり、さらに鉄板等を敷く。

(8)通風の悪い場所では、換気を行いながら作業をする。

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<作業終了時>

(1)容器、圧力調整器、吹管の弁等を確実に閉める。

(2)圧力調整器の減圧弁はゆるめておく。

(3)ゴムホース内のガスは完全に抜く。

(4)溶接器、溶断器、専用レンチは必ず取りはずして所定の場所に保管する。

3) ガス漏れに対する処置

(1)ガス漏れを検知した場合は、ただちに容器弁を締める。弁を締めても

止まらないときには、安全な所へ容器を速やかに移動させる。

(2)付近の火気の使用を禁止する。

(3)大量に漏れた場合は、風下に対しても火気の使用を中止させる。

(4)室内のときは、窓等を開放して漏れたガスを完全に排除する。

(5)弁のグランドナット部やスピンドル部、薄板安全弁、圧力調整器等の

取付部、圧力調整器とホースとの連結部分等を、石けん水等で検査する。

(6)爆発及び火災等の発生する危険が生じた場合は、速やかに避難する。

(7)酸素が容器から漏れたときは、可燃物を遠ざけ、素手をさらさないよう

にし、容器を安全な方向にまわす。

4) 逆火に対する処置

(1)吹管内で起こったとき

○1 酸素容器弁を閉じる。

○2 アセチレン容器弁を閉じる。

○3 酸素を少し出しながら水中に火口を入れ冷却する。

○4 原因を調べてそれに対する処置をする。

(2)ゴムホースに起こったとき

○1 酸素容器弁を閉じる。

○2 アセチレン容器弁を閉じる。

○3 ゴムホースを取替えるか、部分的に切って補修する。

○4 原因を調べてそれに対する処置をする。

(3)容器弁や可溶栓に着火したときは、状況を判断し危険を感じたら、連呼

して避難する。

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12 高圧ガス容器の取扱い

1) 容器の設置、使用、貯蔵は次の場所とする。

(1)容器は直射日光を受けず、通気性のよい周囲温度 40℃以下の場所に置く。

(2)火気を使用する場所及びその付近には置かない。

(3)可燃性ガスの容器は、電気のスイッチ等火災の発生するおそれのある

場所に置かない。

(4)容器設置場所には「火気厳禁」の標示をし、消化器を設置する。

2) 取扱い上の注意

(1)各容器には「充填」「空」の区分をして、これらの標札を個々の容器に

かけておき、区分を明確にする。

(2)容器は中味の種類ごとにまとめて置き、品名を銘記した札等で標示する。

(3)充填された容器や使用中の容器は常に立てておき、転倒、転落等の防止

のため、鎖等で固定する。また、容器には衝撃を与えない。

(4)使用中以外の容器は、弁を締めてキャップを装着する。特に移動時には

十分注意する。

(5)容器を運ぶときは、運搬車を使用する。転がしたり、引きずったりしな

い。また、危険箇所(高熱を出している所、アークを出している所等)

を通らない。

(6)容器運搬中、危険と思われるときは速やかに避難する。

(7)使用するときは、容器の口金に付着している油類及びじんあいを除去

する。

3) ガスの種類

ガスボンベの種類 ボンベ圧力(kg/cm2) ボンベの首部の色 用途

酸素 150 黒 溶接 溶断用 その他

アセチレン 15 かっ色 溶接 溶断用 その他

炭酸 57 緑 消火用(炭酸ガス消火設備

水素 150 赤 分析用 その他

窒素 150 ねずみ 加圧用(高温水系統)

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13 危険物による災害の防止

1) 危険物の種類

種別 性質 説明及び主な品名例 指定数量

酸化性

固体

固体であって、酸化力の潜在的な危険性を示すもの又

は衝撃に対する敏感性を示すもの。

塩素酸塩類、過塩素酸塩類、

無機過酸化物、亜塩素酸塩類、

臭素酸塩類、硝酸塩類、よう

素酸塩類、過マンガン酸塩類、

重クロム酸塩類、政令で定め

るもの

第1種酸化性固体 50 kg

第2種酸化性固体 300kg

第3種酸化性固体 1000kg

可燃性

固体

固体であって、火災による着火の危険性を示すもの又

は引火の危険性を示すもの。

硫化りん、赤りん、硫黄 100kg

鉄紛 500kg

金属紛(アルカリ金属、アルカ

リ土類金属を除く)、マグネシ

ウム、政令で定めるもの

第1種可燃性固体 100kg

第2種可燃性固体 500kg

引火性固体(固体アルコール等) 1000kg

自然

発火性

物質及

び禁水

性物質

固体又は液体であって、空気中での発火の危険性を示

すもの又は水と接触して発火し、若しくは可燃性ガス

を発生する危険性を示すもの

カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウム、

アルキルリチウム

10kg

黄りん 20kg

アルカリ金属及びアルカリ土類

金属、有機金属化合物、金属の

水素化物、金属のりん化物、

カルシウム又はアルミニウム炭

化物、政令で定めるもの

第1種自然発火性

物質及び禁水性物

10kg

第2種自然発火性

物質及び禁水性物

50kg

第3種自然発火性

物質及び禁水性物

300kg

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引火性

液体

液体であって、引火の危険性を示すもの

特殊引火物 ジエチルエーテル、二硫化炭素 50 ㍑

アルコール類 メチルアルコール、エチルアルコ

ール

400 ㍑

第1

石油類

引火点

21℃未満

アセトン、ガソリン 非水液体 200 ㍑

水性液体 400 ㍑

第2

石油類

引火点

21~70℃

灯油、軽油 非水液体 400 ㍑

水性液体 1000 ㍑

第3

石油類

引火点

70~

200℃

重油、クレオソート油 非水液体 2000 ㍑

水性液体 4000 ㍑

第4

石油類

引火点

200℃

以上

ギヤ-油、シリンダー油 6000 ㍑

動植物油類 10000 ㍑

自己反

応性物

固体又は液体であって、爆発の危険性を示すもの又は

加熱分解の激しさを示すもの。

有機過酸化物、硝酸エステル類、

ニトロ、ニトロソ、アゾ、ジアゾ

化合物、ヒドラジン誘導体、

政令で定めるもの

第1種自己反応性

物質

10kg

第2種自己反応性

物質

100kg

酸化性

液体

液体であって、酸化力の潜在的な危険性を示すもの。

過塩素酸、過酸化水素、硝酸、政令で定めるもの 300kg

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2) 危険物の取扱い方

工場で使用頻度の多い第4類の危険物について、その取扱いは下記に

よる。なお、分析室等では少量であるが、第4類以外も貯蔵し取扱って

いる。これら危険物の取扱いについては、熟達した化学技術者があたる。

(1)危険物の取扱いは、危険物取扱者の資格を有する者が行う。他の者が

取扱うときは、危険物取扱者の立合いを受けなければならない。

(2)危険物を使用するときは、必要最小限の量とする。

(3)危険物には、火気やその他点火源となるおそれのあるものを接近させな

い。

(4)危険物容器は、使用するとき以外は密閉し、みだりにガスを発生させな

い。

(5)危険物の詰替えは、火気のない所で行う。

(6)容器の転倒、衝撃、落下、及び温度上昇を防止し、危険物を漏らしたり、

あふれさせない。

(7)危険物を取扱うときは、あらかじめ消火器等を近くに置いて防火措置を

講じておく。

(8)空の容器であっても放置しないで、所定の場所に片付ける。また、漏油

のおそれがある所では、油受けを設け、常に清掃する。

(9)油ボロは、専用のドラム缶か、不燃性の有蓋容器に納める。

(10)危険物には、品名札を掛け、整理、整頓する。

(11)危険物に引火した場合は、近くにある他の危険物を遠ざける。また、

消火器、砂等で消火する。

(12)危険物の爆発のおそれがある場合は、連呼して、速やかに退避する。

(13)ストーブの燃料油を、一般室内に保管するときは、20 ㍑以下とし、火気

より 1.5m 以上離れた安全な場所におくこと。

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14 有機溶剤による災害の防止

有機溶剤とは、シンナー類、塗料、接着剤、薬品、合成樹脂及び油脂等

の溶剤であって、中毒のおそれがあり人体に有害なものをいう。

1) 取扱うときには、換気を十分行う。

2) 有機溶剤の入った容器は、使用時以外は、必ず蓋をしておく。

3) 使用するときは、必要最小限の量とする。

4) できるだけ風上で作業を行い、有機溶剤のガスを吸込まないよう気を

つける。

5) 有機溶剤が皮膚に触れないように注意し、付着したときは身体を洗浄

する。

6) タンク内等で作業をするときは、保護具等を着用し強制換気を行う。

作業中は、監視人をおく。

7) 作業中に気分が悪くなったときは、ただちに作業を中止して風通しの

よい場所に移動する。

8) 有機溶剤を取扱うときは、あらかじめ消火器等を近くに置いて防火措置

を講じておく。

15 有毒ガスによる災害の防止

塩酸、硫酸のガスに触れたり吸ったりした場合には、いろいろな身体

障害が発生するので、十分注意する必要がある。

障害としては、眼や皮膚の刺激、気管支炎、肺炎、皮膚炎等がある。

1) 塩酸、硫酸の貯槽、配管及び弁等からの漏えいに十分注意する。

2) 塩酸、硫酸の漏えい場所の状況により、次の処置を取る。

(1)漏えいが少量で、ガスの発生がほとんどないときは、風上からホース

で水をかけ、洗い流す。

(2)漏えいが多量で、ガスの発生があるときは、速やかに退避して、その

付近にロープや貼紙等で立入禁止区域を設け、関係者以外の立入りを

禁止する。

3) 補修は、ガスの発生がある程度収まってから行う。中和剤、送水、

エアラインマスク及び工業用扇風機等の準備をして、適切な方法で行う。

4) メタンガス濃度 0.25%以上、硫化水素濃度 10ppm 以上等が発生する

おそれのある場所で行う作業は、「酸素欠乏等危険作業」による。

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16 薬品類の取扱い

1) 対象薬品の種類

薬品名 性状 有害性 用途

硫酸

(H2SO4 )

1強酸性の液体

2水と混合すると発熱する。

水を加えると爆発のおそれが

ある。

3中和の際には、かなりの中

和熱を生じる。

1皮膚に付くと火傷する

2目に入ると、失明する

ことがある。

3誤って飲むと気管支、

肺、胃等に炎症をおこす。

1pH調整

2中和

塩酸

(HCI)

1水溶液で強酸性。

2水と混合すると発熱する。

3発煙(塩化水素ガス)し刺

激臭。

1皮膚・粘膜に付くと炎

症をおこす。

2目に入ると、失明する

ことがある。

3塩化水素ガスを吸入す

るとせきがでる。多量に

吸入すると肺水腫をおこ

す。

4誤って飲むと気管支・

肺・胃等に炎症をおこす。

1pH調整

2中和

3イオン交換

樹脂の再生

苛性ソーダ

(NaOH)

1強アルカリ性

2中和の際にはかなりの中和

熱を生ずる。

3水と混合すると発熱する。

4吸湿性をもつ白色の粉末又

は水溶液。

1皮膚に付くと皮膚炎を

おこす。

2目に入ると失明するこ

とがある。

3誤って飲むと気管支・

肺・胃等に炎症をおこす。

4粉じんやミストを吸入

すると、気道粘膜が侵さ

れる。

1pH調整

2中和

3イオン交換

樹脂の再生

塩化第二鉄

(FeCI2)

水溶液で強酸性。 1皮膚に付くと炎症をお

こす。

2誤って飲むと気管支・

胃等に炎症をおこす。

3目に入ると刺激が強

い。

凝集沈殿

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薬品名 性状 有害性 用途

硫酸バンド

(AI2(SO4 )

3)

弱酸性の液体 皮膚に付くと炎症をお

こす。

凝集沈殿

固形塩素

(サラシ粉)

ハイクロン

(Ca (CIO) 2)

1 吸湿性をもつ白色の粉末

2常温で分解・発熱し酸素

を放出。

3水と反応し塩化水素ガス

を発生する。

4強い酸化力がある。

5アンモニア及びその塩類

との混合・接触は爆発性の

危険あり。

1皮膚に付くと激しい

炎症をおこす。

2目に入ると激しい傷

みを感じ角膜が侵され

る。

処理水の減菌

消毒

次亜塩素酸

ソーダ

(NaIO)

ハイクロン

(Ca(CIO)2)

1強アルカリ性の固体。

2塩素ガスを発生すること

もある。

1苛性ソーダの項に同

じ。

2塩素ガスを吸入する

と、せきがでる。多量

に吸入すると肺水腫を

おこす。

塩化水素ガスより強

力である。

1減菌消毒

2汚水中の酸

化剤

清缶剤

ポリコン HPW

(リン酸イオ

ン)

強アルカリ性の液体 苛性ソーダの項に同じ ボイラのpH

調整。リン酸

イオン保持、

硬度成分の除

去。

脱酸素剤

MCC-OX(ヒド

ラジン)

1弱アルカリ性の液体。

2ウエス等に浸みこむと発

火するおそれがある。

1皮膚に付くと皮膚炎

をおこす。

2目に入ると刺激が強

い。

3誤って飲むと気管支

・肺・胃等に炎症をお

こす。

1溶存酸素の

除去。

2二酸化鉄の

還元。

3給水系統の

常食防止

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薬品名 性状 有害性 用途

スケール防止

RCC-507

(ポリマレイン

酸)

弱アルカリ性の液体。 1皮膚に付くと皮膚炎を

おこす。

2目に入ると刺激が強い。

3誤って飲むと気管支・肺

・胃等に炎症をおこす。

1冷却水のス

ケール防止

2冷却水のス

ライム防止

高分子凝集剤

ファインフロ

ック

1弱アルカリ性の粉体

2水溶液は粘性が高い

1水溶液は粘りがあるの

で床にこぼすと滑る。

2目に入ると刺激がある。

3粉体を吸入すると気道

粘膜に刺激がある。

凝集沈殿

重金属捕集剤

エポフロック

弱アルカリ性の液体。 皮膚及び目に付くと刺激

が強い。

凝集沈殿

消石灰

(Ca(OH)2)

弱アルカリ性の液体。 1吸い込むと、粘膜を刺激

2皮膚に付くと荒れる。

塩化水素及び

硫黄酸化物

低減。

アンモニア水

(25%)

アルカリの液体。 1皮膚に付くと皮膚炎を

おこす。

2目に入ると失明するこ

とがある。

3吸入すると肺水腫を起

こすことがある。

窒素酸化物の

低減

灰キレート

(アルサイト

L-301)

1アルカリ性の液体。

2酸との反応で強引火

性で有害な二硫化炭素

硫化水素を発生する。

1皮膚に付くと皮膚炎を

おこす。

2目に入ると失明するこ

とがある。

集じん灰の重

金属固定剤

消泡剤

(高分子電解

質)

弱酸性の液体。 皮膚及び目に付くと刺激

がある。

排水の発泡に

よる処理阻害

の防止。

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2)保護具の着用

保護メガネ、防じんマスク、ゴム手袋等の保護具を着用し、薬品類が

皮膚付着したり眼に入ったりしないようにする。

3)作業中の注意事項

(1)薬品のガスや粉末等を、口や鼻から吸込まないように注意する。

(2)仕込時は液面計を常時監視し、現場を絶対に離れない。

(3)固体や液体薬品を溶解したり希釈する場合は、必ず水を先に入れ、そ

の後薬品を徐々に投入する。

4)補修、修理

薬注ポンプ及び配管等の補修等は、内部に薬品が潜っているので十分注

意するとともに、水洗いをしてから行う。

5)流出等による処置

(1)貯蔵タンク付のバルブ、風管フランジ、液面計等より漏れがあった場

合は、タンク内の薬品の移送を考える。また立入禁止区域を設定する。

(2)薬品が流出した場合には、土砂または中和剤を用いるか、水による

希釈方法で処理する。ただし、強酸(濃硫酸等)、強アルカリ(苛性

ソーダ等)には水をかけてはならない。また、高分子凝集剤が漏れた

所は、滑りやすいので水洗いを十分行う。

6)人体に飛散した場合の処置

(1)皮膚についたときは、衣服を脱ぎ、多量の水で皮膚及び衣服を洗浄

する。特に、苛性ソーダ、清缶剤(ポリコン、キレート)、次亜塩素酸

ソーダ、アンモニア等は、皮膚を強く侵すから長時間の洗浄が必要で

ある。

(2)眼に入ったときは、ただちにまぶたを開いて水で 15 分間以上洗浄する

こと。特に、苛性ソーダ、清缶剤(ポリコン、キレート)、次亜塩素酸

ソーダ、アンモニア等が眼に入った場合は、失明のおそれがあるから、

洗浄後ただちに専門医の手当を受ける。

(3)飲み込んだときは、多量の水や牛乳(卵白をまぜるとよい)を飲ませ

て吐かせただちに医師の手当を受ける。

(4)ガスを吸込んで気分が悪くなった場合は、ただちに風通しの良い場所

に移動する。なお、塩酸、硫酸、次亜塩素酸ソーダ、減菌剤、アンモ

ニア水は、薬品の性質から、有害ガスを発生する可能性が高い。

Page 52: 安全作業ハンドブック第1章 ハンドブックの基本的な考え方 1 「安全作業ハンドブック」の目的 作業の安全を確保することは、職場における災害をなくして、工場で働く