24

青木・津田・高橋=

「チフス」「パラチ

フス」菌増菌用

Kauffmann

氏培養基ニ

就

テ

八

一六

「チ

フ

ス」「パ

ラ

チ

フ

ス」菌

一増

菌

用

Kauffmann氏

培

養

基ニ

就

テ

(本論丈

ノ大要

ハ第十囘

長崎醫

學會総會及

ビ第

八囘聯合微

生物學會ニ

於

テ發表

セリ)。

長崎井科大學細菌學教室(主任、内藤教授)

青

木

義

勇

津

田

傳

高

橋

庄

四

郎

目

次

第

一出早

緒

舌口

第

二章

實

際的材

料

二於

ケル検

査成績

第

一節

糞

便

第

二節

尿

第

三節

血

液

第

四節

本章

ノ概括

第

三章

本培地

ノ増菌機輻

二關

スル實験的考

察

第

三節

各種腸性細菌

ノ本培地、膿汁及ビ

「ブ

イ

ヨン」中

二於

ケ

ル

登育曲線

第

二節

本培地、膿汁及

ビ「ブ

イ

ヨソ」中

二於

テ各種腸性病原菌

二

封

スル大腸菌

ノ拮抗係数

第

四章

総括蛇

二考察

主要文献

第

一章

緒

言

糞便

ヨリ腸

性病原

菌

ヲ分離

スル

ニ際

シ、

大腸

菌

ノ旺盛

ナ

ル發

育

及ピ變

形

菌

ノ異

常ナ

ル集

落形

成

ハ屡

ー甚

ダ

シキ困

難

ヲ與

フ。

加之

、

近時Ivanovicsノ説

二據

レバ單發

育

ノ強弱三

件

フ

障

碍

以外

二大腸

菌、「ア

ルカリ」性

糞

便菌、

「エロ

ゲ

ー

子

ス」及

ビ

「パラ

コリ」等

ハ病原菌

ノ發

育

ヲ阻止

スル拮抗作

用

ヲ

モ有

スト

イ

フ。

是等

ノ事

障

ヲ抑制

シ、他方

病原菌

ノ發

育

ヲ助長

ス

ル

ハ所

謂増

菌培

養基

ノ主旨

ト

スルト

コロナ

ルモ

、理想

ノ域ニ

達

シタ

ルモノ未

ダ之

ナ

シト稻

スペ

シ。

25

一九

三

○年Fritz Dauffmann

ハ興

味

アル一

新

「チ

フス」「パラチ

フ

ス」菌

増菌

法

ヲ公表

セリ。

氏

ハ

ζ麟--erノ

「テ

トラ

チ

オナー

ト」培

地

及

ビ

K凶二すn

ノ「ブ

リ

・ア

ソトグ

リ

ユン」培

地

二關

スル

S凶-びers樽ein

ノ経瞼

ニ立脚

シ、

之

ニ膿汁

ヲ添

加

セ

ル所謂

複

合増

菌培養

基

ヲ創

製

シタル

屯ノ

ニシテ、實

地慮用

上甚

ダ

シキ良結

果

ヲ得

タリ。

同培

養基

ノ製

法左

ノ如

シ。

「テ

ト

ラ

チ

オ

ナー

トブ

イ

ヨ

ン」(製

法

後

起

一〇

○

○

。○

蝿

「ブ

リ

・ア

ント

グ

リ

ユン」溶

液

二

〇〇

○

倍

)

三○

.○蝿

純

梓

牛

膿

汁

五

○

.○

竓

右

混

和、

充

分

振

盈、

分

注

、

三

○

分

間

滅

菌

。

「テ

ト

ラ

チ

オ

ナー

トブ

イ

ヨ

ン」

第一

液

「ブ

イ

ヨ

ン」九

〇琵

二炭

酸

「カ

ルシウ

ム」四

.五

瓦

テ加

へ滅

菌

シ置

ク。

第二液

豫

メ滅菌

シ置キタル五○%次亜硫井

達溶液

三〇琵

二沃度加里液(沃度二

○%、沃度加里二五%三

琵茄

ヘタルモノ。

第

一液

九容量

二封

シ第二液

三容量テ混和

ス。

(附)原法

二據ル増菌手技。

培地約

一○竓

ニ濃厚糞便浮游液、或

ハ尿ノ數滴

テ投入シ、三乃至六時間増菌後、及ビ其後更ニ

二○時間テ経タル後、各

一枚ノDrigalsk

i

平板ニ塗抹。以下普通分離培養法施行。

コテト

ラチ

オナー

トブ

イ

ヨ

ン之

一關

シテ

ハ

ζ昌

er

ノ創

案

以來

多歎

ノ追試

者

アリ。

各

々良

好ナ

ル結果

ヲ得

タ

リト報

ズ

(von der hoden,Ivanovics,

Pesch und

Kartenhaus, Ro

sen und Sobolewa, Ros

en, Wagnese, Sacharowa und Sobol

ewa,

Sollaz

zo)。Schustowa

ハ之

ヲ平板培養基

二應用

シ、其特異ナル大腸菌發育

阻止作用

ハ比較的大量

ノ材料ノ塗擦

ヲ可能

ナ

ラ

シメ、從

ッテ病

原

菌槍

出率

ヲ著

シク増

加

セ

シメ得

ト報

ジ、二三追

試者

亦之ニ

賛

セリ

(Seidenglanz、蟹

江及

ビ太

田)。

反之、Kauffman氏培地

(以下刻

氏培地

ト略稽

ス)ノ追試比較的寡

シ。カ

氏自身

ノ報告以外僅ニKleiner及ビ島津ノ

業

報

ア

ルノ

ミ。カ

氏

ハ

一○

二九例

ノ糞

便及

ピ尿

二就

キ、Drigalsk平板直

接塗

抹、「テ

ト

ラチ

オ

ナ

ー

トブ

イ

ヨン」及

ぜ

青

木・津

田・高橋=

「チフス」「パラチ

フス」菌増菌

用

Kauffmann

氏培養

基ニ

就

テ

八

一七

26

青本・津田・高橋=「チフス」「パラチフス」菌増菌用Kauffmann

氏培養基ニ就テ

八一八

同氏培地

ヲ平行使用

シ(内

四〇九例

ハ「ブリ

・アントグリ

ユン」法

ヲモ施行

ス)、

全法ヲ通

ジ「チフ

ス」或

ハ「パラチフ

ス」ト決定

セラレタル

モノ七五例

内

力氏法

ヲ除

ク

三法

ニョル成績五六例陽性ナ

ル

ニ比

シ、刺氏法ト直接塗抹法

ト

ノ組合

セヲ以テ全七五陽性例

ノ七

一例

マデ決定

スルヲ得

タリト云

フ。Kleinerノ實驗三

ヨルモ刻氏法

ハ全陽性例ノ

六八%

二一致

シ、Muller

法

ノ五○

%、遠

藤平板直接二塗抹法ノ

一一%

二比

シ二格段

ノ差異

アヲ。島津

ハ牛乳中

「チフス」

及「パラチフス」菌

ノ證明

ニ本法ヲWohlfiel

及ビMullerノ増菌法、Schustwa平板ト共

二使用

シ、カ

氏法ノ

特

二

「パラチフス」B菌

ノ増菌上意義深

キヲ主唱

セリ。

本報

ハ昭和八年

一月以來我教室

二於テ施行

セル刺氏法追試成績

ニシテ、之

二、主

トシテ高橋三

ヨリテ實

施セラ

レタ

ル本培地増菌機輻ニ關

スル實驗

的研究ヲ附随

セシメタリ。實地鷹用

二關

スル部分

ハ津田ノ分澹

スルト

コロニシテ、

其糞

便及ピ尿

二關

スル

一部

ハ即

二同人

ニヨル報告

アリ。

第

二章

實際的材料ニ

於ケル検査成績

第一

節

糞

便

本節

及ゼ次節尿

ヲ材料トスル場合

ハ、同

一材料

二就キ同時

ニ左記五法ヲ施行

セヲ。

一、遠藤李板直接塗抹法

二、Schustowa平

板直接塗抹法

三、膽汁増菌法

四、

カ氏培地五時間増菌法

五、同

二四時間増菌法

増菌後

二使用

スル分離培地

ハ何

ソモ遠藤李板

ニシ

、試験的疑集反應

.定量的凝集反應

、鑑別培養

ノ順

ニヨリ分離

菌

ノ診断

ヲ行

フ事型

ノ如

シ。是等術式ニ

關

スル詳細

ハ津田ノ前報ニ

譲

ル。

27

糞便ヲ

材料

トセル場合各法各

々ノ陽

性率

ヲ擧グ

レバ第一

表ノ

如

シ。

第一

表

糞便ニ於ケル各個陽性數

各法

ヲ實地ニ應

用

シ得

ベキ種々ナ

ル組合

セトナ

セシ場合

ハ第

二表ニ

示

セリ。

第

二

表

糞便ニ於ケル組合セ陽性數

第二節

尿

可検尿

ヲ遠心

シ、沈渣

ノ數

「エーゼ

」ヲ塗抹、或

ハ増菌用培地

二移植

ス。其他糞

便

ノ場合ト同様

(第三表、第四

表)。

青木・津田

・高橋=

「チ

フス」「パラチフス」菌増菌用

Kauffmann

氏培養基ニ

就

テ

八

一九

28

青木・津田・高橋=

「チフ

ス」「パラチフス」菌増菌用

Kauffmann

氏培養

基ニ就

テ

八二○

第三

表

尿ニ於ケル各個陽性數

第

四

表尿ニ於ケル

組合セ陽性

數

第三節

血

液

第五表

血液ニ於ケル各個及ビ組合セ陽性率

増菌法

ノミヲ行

フ(カ氏法

ハニ四時間法

ノミ)。

―○竓

ノ培地

二

一竓ノ新鮮血液

ヲ混和、

二四時間後遠藤平

板

二塗抹。

成績第

五表

二掲グタリ。

第四節

本章

ノ概括

29

全三四一

例

(糞便一一

九、尿

一二九、血液九三)

二就

キ検査ヲ施行

シ、全五法ヲ綜合

シ九四

ノ陽性

ヲ得タリ。陽性

率

ニスレバ二八%

ニシテ菌種別ニ

スンバ「チフス」菌五五、

「パラチフス」B菌

三九

ナリ。

今検査材料

ノ種類

ヲ考慮

スルナ

ク、各法

ノ陽性數

ヲ掲グ

レバ第⊥ハ表

ノ如

ク、其組合

セ

ハ第七表

二明ナリ。

第六

表

全例=於ケル各個陽性數

第七

表

全例=於ケル組合セ陽性

數

各

法相

互

ノ比較

ノ爲

、

材

料

別

二陽性率

ヲ求

メ、

確率

誤差

ヲ

モ附記

セ

ル

ハ第

八

及第九

表

ナ

リ。

第九

表

ハ各

二法

ノ組

合

セノ場合

ヲ示

ス。

青木・津田・高橋=「チフス」「パラチフス」菌増菌用Kauffma

nn氏培養基ニ就テ

八二一

30

青木・津田・高

橋=

「チ

フス」「パラチ

フス」菌増菌用

Kauffmann

氏培養

基ニ就

テ

八二二

第 八 表 各個陽性率ノ比較

第 九 表 組合セ陽性率ノ比較

以上各5表

ニ就テ観

ガ

如ク、カ

氏法乱特ニ二四時間法

ハ

「チフ

ス」及ビ

「パラチフス」菌

ノ検出ニ

最モ優越

ニシテ、

全陽性

例九四中七三例即

チ約八〇%

ハ本法

ニヨリ決定

シ、從來

ノ

膽汁培養基

ノ三八例、即

チ全陽性例

二樹

スル四〇%

二比

ス

レバ實

二其二倍

二相當

ス。遠藤李板直接塗抹法ノ最下位

二

在

ル

ハ首肯

シ得、

Schustow

法

ノ糞便

二於

テ成績良好ナル

ハ、Seideng-anz蟹江等

ノ追試

ト共

二注目

二値

ス。

材料ヲ異

ニスル

ニヨリカ氏法及膽汁増菌法間

二著明ナ

ル陽

性率

ノ懸隔

アリ。夾雑菌

ノ混在最

モ多數ナ

ルペキ糞

便

二於

テカ氏法ガ牛膽汁ニ

比

二特

二優秀ナル

ハ、其増菌機轉ノ

一

端ヲ

モ推察

シ得

ベクシテ艦ハ味深

シ。

原著者力氏

ハ、

(一)全陽性例ノ大部分

ハ既

二五時間増菌法

ニヨリ陽性トナジ引績キニ四時間

マデ槍出

可能、

(二)二四

時間法

ニヨリ陰性ナリシモノ

ニシテ五時間法

ニヨリ陽性ナ

ル

モノアリ、

(三)變形菌類

ノ發生

ハニ四時間法ニ於

ケルヨ

リ五時間法

二於

テ僅少ナリシトノ成績

ニヨリ、五時間法

ヲ

推奨

セルモ余等

ノ成績

ハ明

カ

ニ二四時間法ノ

優越

セルヲ示

セリ。又成績

ヲ菌種別

二界

チテ考察

スル

ニ陽性率

二於テ格

段

ナ

ル差異

ヲ見

ズ。即

チ島

津

ノ唱

ヘタ

ルガ如

ク特ニ

「パラチ

フ

ス」B菌ニ

特

殊

性

アリト

ハ思考

シ難シ

。

31

各法諸種組合

セノ際ノ陽性率

ノ比較ヲ第九表

ニ就テ

ミルニ、糞

便

ノ場合

ハ,刺氏法及ビ

Schusto平

板法、尿

ノ場合

バカ氏法及ビ遠藤李板法、血液

ノ場合

ハ膽汁及ビカ氏兩増菌法ノ組合

セ最

モ高率ヲ示

セリ。

第三

章

本培地

ノ増菌機轉ニ關

スル實驗

的考察

力氏培地

中

二於ケ

ル各種腸性細菌ノ發育経過ヲ攻究

シ、兼

子テ實地應

用成績ニ

現

レタル本培地

ノ増菌的特殊性

ノ本

態

ヲ明

ニセント欲

シテ以下實驗

的研究

二項ヲ途行

セリ。

第

一節

各種腸性細菌

ノ本培地、膽汁及ゼ『ブイ

ヨン」中

二於ケ

ル發育曲線

先ヅ「チ

フス」菌、

「パラチフス」菌、赤痢菌及ビ大腸菌ガカ氏培地、膽汁竝

ニ「ブイ

ヨン」中ニ

於テ示

ス初期發

育

ノ状

態

ヲ観察

シ、

力氏培地

ガ各個細菌

ノ發育ニ對

スル態度ヲ明確

ニセ

ントセリ。

鼓

二初期登育

ト

ハ移植後二四時間以内

ノ増殖

ノ意

ニシテ、

増殖

ノ上昇期

ノ観察

ヲ以テ

増菌能カ

ノ全般

ヲ推サ

ント

スル期待ト共ニ、

實際上採用

セル増菌時間

ノ意義

ヲ窺知

セムトセシナソ.實験

ニアタリテ

ハ細菌

ノ量的關係

ヲ比較

的簡單

ニシテ観察

二便ナラ

シムルト共

ニ、移植時菌數毎常

一定ナ

ルヤウ萬全

ノ注意

ヲ要

スル

ハ言

ヲ挨

タズ。此目的

ノ爲菌食鹽

水浮游液

ヲ極度

二稀釋

シ、

M方寒天李板注加法

ヲ併試

シテ、其

一竓ガ約

一○○個

ノ菌

ヲ含

ムガ

如ク

ニ

シ、同

一竓ヲ可検培地九

竓

二混和

ス。

移植後二時間毎

二培地

ノ○・二竓ヲ正確

二採取

シ、

注加平

板ト

シ、四八時間

培養後

ノ集落

ヲ計算

ス。増殖

ノ度加

バリ菌數過多トナリ計算不能

二墜

ル時

ハ適宜食鹽

水ヲ以テ

一○○倍乃至一

○○

○倍

二稀釋

シ、改

メテ李板トナ

ス。何

レ

ニシテ

モ別圖曲線

ニァリテ

ハ原培地

一竓中

ニ含

マル

・菌數

二換算

シテ表示

セリ。曲線

ニョリ代表

セシメラ

ル・ハ反覆施行

セル實験例中卒均値

ニ最

モ近接

セ

ル數値

ヲ示

セ

ルモノヲ探ジ

シナ

リ。

膽汁

ハ純梓牛膽汁

ニシテ

「ブイ

ヨン」ト共

二PH七・六ニ

調正セシモノヲ用

フ。使用菌株

ハ次

ノ如

シ。

「チフス」菌

(長)

業室菌株番號

三五

青木・津田・高橋=「チフス」「パラチフス」菌増菌用

Kauffmann

氏培養基ニ就テ

八二三

32

青木・津

田・高橋=

「チフス」「パラチフス」菌増

菌用Kauffmann氏培養基ニ

就

テ

八二四

第 一 圖

「パラチ

フス」A菌

(傳研)

同

一四八

「パラチフス」B菌

(長)

同

四○

赤痢

本型菌

(花房)

同

四八

普通

大腸菌

(古井)

同

二三八

實地検査成績

ヨリ演繰

シ得

ル期待

二反

シ、カ

氏培地ガ特ニ

「チフス」、

「パラチ

フス」菌發

育

ノミ

ニ選擇

的ニ

適當

セル

ガ如

キ事實

ヲ認

メズ。刺

氏培地、膽汁及ビ「ブイ

ヨン」ニ於

ケル各菌發

育曲線相互間ノ關係

ハ大體

相似

ニシテ、僅

ニ

23

上昇

度

ノ時

間的差

異

ヲ示

スノ

ミナ

リ、

即

チ、

「ブ

イ

ヨン」二於

テ

ハ八

時間、

膽汁

ニ於

テ

ハ

一○

時間、

力氏

培地

二於

テ

ハ

一四時

間頃

ヨリ急激

二上

昇

ス。

赤痢

菌

ノ

ミ

ハ刺

氏

及

ゼ膽

汁培

地

二於

ヶ

ル發

育

甚

ダ不良

ナ

リ。

第

二節

本培

地、

膽

汁及

ビ

「ブ

イ

ヨン」中

ニ於

ケ

ル各

種腸

性病

原菌

二封

スル

大腸菌

ノ拮抗係數

前節

二於

ケ

ル實験

ハ各

培

地

二於

ケ

ル各

菌株

個

々

ノ發

育

ニシテ、

混合

培養

ノ際

二於

ケ

ル菌種

間

ノ拮抗作

用

ハ之

ヲ考

慮

ノ外

二置

ケリ。

本節

ハ各穂

腸性

病原

菌

各別

二大腸菌

ト混

合培

養

セル場

合、即

チ、

大

腸菌

ノ拮抗

作用

下

二於

ケ

ル病原

菌

ノ

培

地内

増殖

ノ如

何

ヲ

観

察

セ

ムト

スル

毛ノ

ニシテ、Nissleノ所謂

大腸菌拮

抗係

數

ノ

原

理及

ビ術式ニ

範

リ實

施

セ

ラ

レタリ。

實験方法左ノ如シ。

前節

二使用セルト同様ナル「チフス」、「パラチフス」及ビ赤痢本型菌ノ各菌液

(一○竓ニ

二瓱ラ含ム)テ直径二粍ノ白金耳ヲ以テー白金耳

(菌計量

二際

シテハ量的關係テ可及的

一定ナラシムルタメ容器テ完全二飽満セル最大量テ探取スル様留出日心セリ)各培地一○竓ニ移植、七

時間培養

ス。而

ル後各別同様

二大腸菌

々液

百

金耳ヲ追加移植

ス。其後

西

時間、二四時間及三昌

二同混会、培養

ノ言

金耳テGassner

三色培養基

二塗抹ス。塗抹

二先ダチ細菌

ノ浮游ラ牢等ナラシムル爲充分振盗シ、且塗擦

二際

シテモ平板ノ全面

二重日ク、可及的平等細密

ナルヤウ留意シ、叉同

一材料

二就

キ少

クトモ三枚

ノ平板ヲ使用

シテ對照観察セリ、二四時間培養後同平板上ニ發

現セル病原菌及ビ大

腸菌ノ集落テ計算シ、大腸菌

一○○個

二封

スル病原菌

ノ數ラ以テ拮抗係數トナス。

茲

ニ注

意

ヲ要

スル

ハ供

試大

腸菌

ノ撰釋

ナリ。Nissle, Langer

草

野、Koch und Kramer

ノ業

績ニ

據

レ

バ

大腸

菌

ノ拮

抗

作用

ハ菌株

ニョリ高

低

雑

多ナ

リ

ト云

フ○

本槍

索

ノ目的

ニハ比較考

察

ヲ明瞭

ナ

ラ

シムル爲所

謂強

力株

ヲ釋

ブ

ペキ

ハ

自

明

ノ理

ナリ。余

等

ガ

豫

メ點

検

セ

ル大

腸菌六

株中、古井

株

(業室

菌株番

號

二三八)ニアリテ

ハ、Koch und Kramer

ノ

著ニ

見

ユル最強力

株、即

チ

「ブ

イ

ヨ

ン」中

「チ

フ

ス」菌

ノ發

育

ヲ數時

間

ニシテ抑壓

スル程度

ニハ至

ラザ

ル

モ、余

等

ノ目的

青木・津田・高橋=「チフス」「パラチフス」菌増菌用Kauffman

n氏培養基ニ就テ

八二五

34

青木・津田・高橋=「チフス」「パラチフス」菌増菌用Kauffman

n

氏培養基ニ就テ

八二六

ニ甚

ダ適切

ナ

ルヲ認

メ

タリ。即

チ

一四時

間後

二於

ヶ

ル拮抗

係數

ハ「ブ

イ

ヨン」二於

テ100:2,膽

汁

ニ於

テ100:5

,カ氏倍

第 二 圖

地

ニ於

テ0:100ニシテ、

所期

ノ關係

ヲ窺

フ

ニ適

當

ナ

ル條

件

ヲ

具備

セリ。

而

シテ余等

ハニ三八

號株

ノ強

キ

ニ過

グ

ルヲ思

ヒ、

且

強度

異

ナ

ル場合

ノ

一例

ヲ

モ観察

セ

ムト

シテ別

二業

室菌番

號

三三ナ

ル普蓮

大腸

菌

ヲ使用

セリ。

コ

ハ強度

中等

度

ニシテ前

株

二及

バズ。

二三八號株

ヲ以

テ

セ

ル實驗

ノ結

果

ハ之

ヲ第

二圖

ニ圖

示

セリ。

即

チ

カ氏培

地

ニアリテ

ハ、

一四時間

目

ニ

ハ殆

ド

「チ

フ

ス」及

ビ

「パラ

チ

フ

ス」菌

ノ集

落

ヲ以

テ覆

ハレ大腸

菌集

落稀少

ナリ。

而

シテ更

ニ培

養時

間

ノ加

フ

ルニ

伴

ヒ、

「チ

フ

ス」及

ビ

「ハラ

チ

フ

ス」A菌

ハ漸

次大

腸菌

ノ増殖

ニ厘

セラ

レ曲線

下降

シ來

り、100:

100-500ノ位

置

ヲ示

シ、培

養

三

日目

ノ

モノ

ハ集落數

大

約同

數

ナ

リ。

唯

「パラ

チ

フ

ス」B菌

ノ

ミ

ハ大

腸菌

ノ増

値

ヲ塵制

ス

ル

コト強

ク本観察

時

間中

ニ

ハ絡

二曲線

ノ下

降

ヲ見

ズ。膽

汁

二於

テ

ハ「チ

フ

ス」及

ビ

「.ハラ

チ

フ

ス」A菌

ハ既

二

一四

時間

ニシテ甚

ダ

シク大

腸菌

二抑遏

セ

ラル、

モ多少

増菌

ノ傾向

ヲ示

ス。

而

シ

テ「パラチ

フ

ス」B菌

ノ

ミ

ハヵ氏培

地

ノ場合

ト同

様終

始

ソノ後

大

腸

菌

ノ増

殖

ヲ許

テズ

。

「ブ

イ

ヨン」中

ニテ

ハ「チ

フ

ス」及

ビ

「パラ

チ

フ

ご

A菌

ハ最

初

ヨリ殆

ド全

ク厘

セラ

レ遂ニ

増菌

ノ徴

ヲ看

取

シ得

ズ。

「パラ

チ

フス」B菌

亦逐

次壓

迫

セラ

ル、ノ

状

ヲ示

セリ。

赤痢

菌

ハ三培

地

ヲ通

ジ全

然

最初

ヨリ抑

制

35

セラレテ増菌

ノ傾向

スラ認

メズ。

以上

ノ成績

ニヨリ各培地

ノ増菌的償値

ヲ論ズ

レバ先ヅカ

氏培地

ハ特ニ一

四時間後

ノ成績

ヨリ「チフス」菌族三菌ニ

最

モ適切ナルヲ識

ル。膽汁

ハ「パラチフ

ス」B菌

ニノミ適用

シ得

ベク、

「ブイ

ヨン」ハ前二者

二比

シ其償値格段

二劣

ル。

余等

ハ本實驗

ヲ行

ヒタル事數回

ニシテ常

二同

一材料同

一培地

ヲ使用

セル

ニ拘

ラズ、毎常

ノ成績

必ズ

シモ相互

一二

致

セズ。

大腸菌株ヲ鍵

ジタ

レ時

ハ更ニ甚

ダシ。故

二右實驗

例

ヨリ推

シテ全般

ヲ論

ズル

ハ余等

ノ躊躇

ス

ル

}

コ

ロナ

ル

モ、全實驗

例

ノ概括的傾向

ヲモ参考ト

シ、右例ニ

於テ顯著ナリ

シ刻氏培地内培養初期ニ

於

ケル「チフス」菌族發

育

ノ

優越性

ハ肯定

シテ

モ可ナリト信ズ

ルモノナリ。

第四章

総括戴

口国考察

三四

一例ノ實地

「チフス」性材料

二就

キ、遠藤及Schustowa平

板直接塗抹法、膽汁増菌法ト共

二

Kauffm

ann

氏複合

増菌培養基

ヲ追試

シ、其

二四時間増菌法ガ特

二糞

便ヲ材料ト

スル場合

二於テ最優秀

ニシテ、從來

ノ膽汁増菌法

ノ略

二倍

ノ陽性率

ヲ示

スヲ確認

セリ。

本培地

ノ増菌機轉ヲ明

ニセムト欲

シテ實験的考察

ヲ行

ヘリ。

本培地、膽汁及ビ「ブイ

ヨン」ニ「チ

フス」「パラチフス」及ビ赤痢菌ヲ個々ニ移植

シ

一定時間發育

ヲ観察

シタ

レド

モ、

本培地

ガ特ニ

「チフス」菌族

二選擇

的

二史好ナリト

ハ認

メズ。

右各病原菌

ヲ各別

二大腸菌ト混合培養

シ、

一定時間

ニ於

ケル相互

ノ増殖

ニ樹

スル拮抗状態ヲNissleノ大腸菌拮抗係

數

ノ原理及ビ術式ニ

從

ヒ観察

セル

ニ、本培地

ハ少クトモ混合培養

ノ初期

二於テ、

「チフス」菌族

ガ大腸菌

ノ發育ヲ著

明

二抑歴

スル事實

アルヲ認

メタリ。從

ッテ本培地

ノ實地上ノ優越性

ノ

一因子

トシテ、大腸菌

ノ病原菌

二樹

スル拮抗

作用

ヲ抑制

スル能カ

アルヲ肯定

シ得

タリ。而

シテ本培地

ノ病原菌自禮ノ増菌、竝ニ

大腸菌

二樹

スル發育阻止作用

ノ

如何ニ

關

シテ

ハ明確

ナル證左

ヲ得ザリキ。

青木・津田・高橋=「チフス」「メラチフス」菌増菌用

Kauffmann

氏培養基ニ就テ

八二七

36

青木

・津

田・高橋=

「チフ

ス」「パラチフ

ス」菌増菌用

Kauffman

n

氏培養

基ニ

就

テ

八三八

稿

ヲ終

ル

ニ臨

ミ、恩

師内藤

教授

ノ御指導

ト御

校閲

ヲ深謝

シ、

材料蒐集

上

ノ便宜

ヲ忝

ウ

セル、平

井、角尾兩

教授、内科小見科醫

局諸賢、中山

長崎市

伊藤福岡市荒

津兩傳

染病

院長、及ビ

一部

作業

上

ノ加援

ヲ得

タル本學

々生守昌之、

大野

堅太郎兩

君ニ

謝意

ヲ表

ス。

主

要

文

献

1) Ivanovics, Zbl. Bakter. I Orig., Bd. 118, S. 2:9, 1930. 2) Kauffmann, Ebenda, Bd. 119, S. 148, 1930. 3) Silberstein, Z. Hyg.,

Bd.

110. S. 129, 1929. 4) Muller, C. r. Soc. Biol., t. 89. p. 434, 1929. 5) Killian, Z. Hyg., Bd. 103, S. 193, 1924. 6) van der Hoeden,

Zbl.

Bakter. I Orig., Bd. 104, S. 477, 1927. 7) Ivanovics, Ebenda, Bd. 118, S. 101, 1930. 8) Pesch u. Kartenhaus, Ebenda, Bd. 112, S.

396,

1929. 9) Rosen u. Sobolewa, Zbl. Bakter. I Ref., Bd. 98, S. 1.57, 1929. 10) Rosen, Wagnese, Sacharowa u. Sobolewa, Zbl. Bakt

er.

I

O

rig., Bd. 100, S. 293, 1926. 11) Sollazzo, Zbl. Bakter. I Ref., Bd. 98. S. 157, 1929. 12) Schustowa, Zbl. Bakter. I Orig., Bd. 122,

S.

403, .1931. 13) Seidenglanz, Ebenda, Bd. 125, S. 535, 1932.14) 蟹江, 東京醫事新誌. 第二八三二頁. 昭和六年. 15) 蟹江, 日本傳染病

學

會雑誌. 第六巻. 第一〇七〇頁. 昭和七年. 16) 太田, 十全會雑誌. 第三七巻. 第三八七一頁. 昭和七年.17) Kleiner, Zbl. Bakter. I Orig., B

d.

123 S. 388, 1932. 18) Shimazu, Ebenda, Bd. 126, S. 560, 1932.19) 津田, 長崎醫學會雑誌. 第一一巻. 第六六八頁. 昭和八年. 20)Nissle,

Dtsch. med. Wschr., S. 1181. 1916. 21) Gassner, Zbl. Bakter. I Orig., Bd. 80, S. 219, 1917. 22) Langer,Dtsch. med. Wschr., S. 131

7.

1917. 23) 草野, 衛生學傳染病學雑誌. 第三四巻. 第一五三頁. 昭和三年. 24) Koch u. Kramer, Zbl. Bakter, I Orig., Bd. 123, S. 308, 19

32.