「インドネシアの新鉱業法施行後石炭資源に係る各種規制の最新動向と今後見通し及び

石炭資源開発状況調査」

平成２６年度ＪＯＧＭＥＣ石炭開発部調査事業成果報告会海外炭開発高度化等調査

平成27年7月7日

②

インドネシアの概要

1出典:世界銀行、国連、Indonesian Energy Outlook 2014、PLN電力公社など

政治・社会

国名 インドネシア共和国

面積 約189万㎞2

人口 2.499億人

首都 ジャカルタ特別市

政治体制 二院議会制

大統領（元首）ジョコ・ウィドド（2014年に着任）

民族構成 約300種族

公用語 インドネシア語

マクロ経済指標（2013年）

国民総生産額（名目GDP） 8,683億USD

経済成長率 5.6%

一人当たりGDP（名目） 3,475 USD

インフレ率 6%

貧困率 11%

0

100

200

300

400

1950 2013 2025 2050 2100

百万

人

インドネシア人口予測

-10.00

-5.00

0.00

5.00

10.00

GDP成長率比較

インドネシア 日本 豪州

韓国 マレーシア タイ

インドネシアの資源輸出

2

金額 ％ 金額 ％ 金額 ％

石炭 25,523 12.5 24,293 12.8 22,773 12.5

ガス 22,872 11.2 20,520 10.8 18,129 9.9

原油 13,829 6.8 12,293 6.5 10,205 5.6

その他石油製品 6,698 3.3 6,278 3.3 6,306 3.5

パームオイル 17,261 8.5 17,602 9.3 15,839 8.7

ココナッツオイル 3,052 1.5 2,458 1.3 1,830 1.0

その他動物・植物油 1,342 0.7 1,239 0.7 1,557 0.9

ゴム 14,352 7.1 10,475 5.5 9,394 5.1

鉱石 7,343 3.6 5,083 2.7 6,544 3.6

紙パルプ 4,169 2.0 3,937 2.1 3,757 2.1

木材 3,375 1.7 3,449 1.8 3,635 2.0

魚類 2,440 1.2 2,753 1.4 2,856 1.6

小計 122,255 60.1 110,381 58.1 102,824 56.3

その他 81,242 39.9 79,650 41.9 79,727 43.7

合計 203,497 100.0 190,032 100.0 182,552 100.0

品目2011 2012 2013

出典：インドネシア税関統計

12.5%

12.8%

12.5%

11.2%

10.8%

9.9%

10.1%

9.8%

9.0%

3.6%

2.7%

3.6%

62.5%

64.0%

65.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

2011

2012

2013

輸出総額に占める資源の割合

石炭 天然ガス 石油・石油製品 鉱石 その他

単位：百万ドル

一次エネルギー消費・輸出の現状

3

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

一次エネルギ消費の推移

合計(右軸) 石炭 石油 天然ガス

水力 地熱等 バイオマス

万toe

(5,000)

0

5,000

10,000

15,000

20,000

一次エネルギーの純輸出量

石炭 石油 天然ガス

万toe

出典：インドネシアエネルギー鉱物資源省「Energy Handbook」各年版

エネルギー最終消費量の現状

4

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

20

00

20

01

20

02

20

03

20

04

20

05

20

06

20

07

20

08

20

09

20

10

20

11

20

12

20

13

エネルギー源別最終消費量

合計(右軸) 石炭 石油

天然ガス 電力 バイオマス

万toe

出典：インドネシアエネルギー鉱物資源省「Energy Handbook」各年版

34% 36%

19%

29%

40%

30%

3% 3%4% 2%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2000 2013

分野別のエネルギー最終消費量

工業 輸送業 家庭 商業 その他

発電燃料・電源構成の現状

5

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

2000 2005 2010 2013

発電燃料の消費量

石炭 石油 天然ガス バイオマス

万toe

増減率%

2000 2005 2010 2013 2000 2013 13/00

石炭 778 1,455 1,951 3,127 42.8 63.5 11.3

石油 469 945 859 663 25.8 13.5 2.7

天然ガス 568 403 849 1,129 31.3 22.9 5.4

バイオマス 0 1 1 2 0.0 0.0 20.8

合計 1,815 2,804 3,659 4,920 100.0 100.0 8.0

エネルギー消費（万toe） シェア％

出典：インドネシアエネルギー鉱物資源省「Energy Handbook」各年版

41%51%

14%

9%

32%27%

8% 8%

6% 4%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2008 2013

電源構成比

石炭 石油 ガス 水力 地熱等

インドネシア炭田分布

6

資源量 ：1,205億トン埋蔵量 ：313.6億トン炭田 ：11ヵ所

出典：インドネシアエネルギー鉱物資源省

インドネシアの石炭資源

7

0

20

40

60

80

100

120

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

2004 2005 2006 2007 2009 2010 2011 2012 2013

インドネシアの石炭資源

埋蔵量 資源量 可採年数(右軸)

百万トン 年

0

10

20

30

40

50

60

70

石炭資源量・埋蔵量（2013年1月1日時点）

資源量 埋蔵量

十億トン

出典：インドネシアエネルギー鉱物資源省「Energy Handbook」各年版

発熱量別の石炭賦存状況

8

5,100以

下25%

5,100 ~ 6,10065%

6,100 ~ 7,1008%

7,100以上2%

資源量

1,205億トン

熱量(kcal/kg)

5,100以下30%

5,100 ~ 6,10064%

6,100 ~ 7,1005%

7,100以上1%

埋蔵量

313.6億トン

熱量(kcal/kg)

出典：Geological Agency of Indonesia, Indonesian Coal Book 2014/2015

石炭生産量

9

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

45,000

50,000

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

石炭生産量

生産量 増加率(右軸)

百万トン

0.0

50.0

100.0

150.0

200.0

250.0

州別石炭生産量

2008 2009 2010 2011 2012 2013

百万トン

出典：インドネシアエネルギー鉱物資源省「Energy Handbook」各年版

石炭輸出量

10

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

炭種別石炭輸出量

瀝青炭 亜瀝青炭 無煙炭等 褐炭

百万トン

60%

37%

0%3%

41%

49%

0%10%

炭種別輸出構成

瀝青炭 亜瀝青炭 無煙炭等 褐炭

内円：2010年外円：2013年

出典：インドネシア税関統計

石炭輸出量

11

0

20

40

60

80

100

120

140

石炭輸出先

2000 2005 2010 2013

百万トン

0.0

50.0

100.0

150.0

200.0

250.0

州別輸出量

2008 2009 2010 2011 2012 2013

百万トン

出典：インドネシア税関統計出典：Indonesian Coal Book2014/2015

石炭消費量

12

0

20

40

60

80

100

120

分野別石炭消費量

発電 建築材料 製紙 鉄鋼 石炭加工 その他

百万トン

0

100

200

300

400

500

600

石炭輸出・消費・生産

純輸出 消費 生産

百万トン

出典：「Handbook of Energy & Economic Statistics of Indonesia」各年版、インドネシア税関統計

石炭FOB価格

13

0.0

20.0

40.0

60.0

80.0

100.0

120.0

140.0

160.0

2010 2011 2012 2013

瀝青炭輸出価格

日本 フィリピン ベトナム 台湾

タイ 香港 中国 マレーシア

インド 韓国

US$/ｔ

0

20

40

60

80

100

120

140

160

Jan

-11

Ap

r-11

Jul-

11

Oct

-11

Jan

-12

Ap

r-12

Jul-

12

Oct

-12

Jan

-13

Ap

r-13

Jul-

13

Oct

-13

Jan

-14

Ap

r-14

Jul-

14

Oct

-14

Jan

-15

Ap

r-15

石炭指標価格・基準価格

HBA 6322 Gunung Bayan I7000

Prima Coal6700

Pinang Coal6150

Indominco IM East5700

Melawan Coal5400

Envirocoal5000

Jorong J-14400

Ecocoal4200

US$/ｔ

出典：インドネシア税関統計 出典：エネルギー鉱物資源省

石炭生産量トップ10企業

14

0 10 20 30 40 50 60

PT Kaltim Prima Coal

PT Adaro Indonesia

PT Kideco Jaya Agung

PT Arutmin Indonesia

PT Berau Coal

PT Indominco Mandiri

PT Bukit Asam

PT Mahakam Sumber Jaya

PT Jembayan Muarabara

PT Trubaindo Coal Mining

トップ10企業の生産量

2013 2012 2011 2010百万トン

出典：「Indonesian Coal Book2014/2015」、その他資料

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

0

100

200

300

400

500

600

700

800

2010 2011 2012 2013

トップ10企業の占める割合

トップ10社の合計生産量 インドネシア全体生産量

トップ10社のシェア（右軸）

百万トン

高品位炭炭鉱の開発状況

15

石炭ターミナル

16

処理能力（トン／日）

積替設備

北カリマンタン州 20,000 ~ 30,000

1 ムアラ・パンタイ 12,000-20,000 沖積替地点

2 タラカン 8,000-10,000 沖積替地点

東カリマンタン州 204,000 ~ 232,000

3 バリクパパン 30,000-40,000 陸上積替地点

4 ボンタン 40,000 陸上積替地点

5 タナ・メラ 40,000 陸上積替地点

6 タンジュン・バラ 7,000-8,000 陸上積替地点

7 テロク・アダン 8,000-12,000 沖積替地点

8 テロク・アパ 8,000-10,000 沖積替地点

9 ムアラ・ベラウ／ムアラ・ジャワ 8,000-10,000 沖積替地点

南カリマンタン州 110,000 ~ 148,000

10 北プラウ・ラウト 35,000-40,000 陸上積替地点

11 南プラウ・ラウト 35,000-40,000 陸上積替地点

12 ジョロン・アンチョラゲ 8,000-12,000 沖積替地点

13 セブク・アンチョラゲ 8,000-12,000 沖積替地点

14 ムアラ・サトゥイ・アンチョラゲ 8,000-12,000 沖積替地点

15 タボネオ・アンチョラゲ 8,000-20,000 沖積替地点

16 タンジュン・ペタン・アンチョラゲ 8,000-12,000 沖積替地点

334,000 ~ 410,000

石炭ターミナル名

カリマンタン島合計

カリマンタン島沿海部の主な石炭ターミナルと取扱能力

出典： Indonesia Institute for Energy Economics“The Current and Future Situation of Coal in Indonesia”, Jan, 2015,

スマトラ島沿海部の主な石炭ターミナルと取扱能力

No. 石炭ﾀｰﾐﾅﾙ名 所有者取扱能力

（トン/日）接岸可能な船（TDW）

1 タラハン港 ブキット・アサム社 25,000 ~ 30,000 80,000

2 テロック・バユール港 ブキット・アサム社 8,000 40,000

3 プラウ・バイ港 Harbour Authority 6,000 ~ 7,000 na.

4 ケタパティ桟橋 ブキット・アサム社 5,000 ~ 6,000 8,000

5 ムアラ・サバック 6,000 ~ 7,000 5,000

石炭ターミナル位置

鉄道建設計画

17

カリマンタン島の鉄道建設計画例

路線 区間全長

（km）事業投資者 投資総額

・東カリマンタン州政府

・ロシア鉄道

ルートII ボンタン港→サマリンダ 115

・東カリマンタン州政府

・Ras Al-Khaimah Minerals

・Metals Investments (RMII)

・Uni Emirat Arab

ルートIV タバン→ルブック・ドゥトン 185 ・グヌン・バヤン社（民間） 10億ドル

ルートI 西クタイ→バリクパパン 185 18億ドル

ルートIII マ・ワハウ→ルブック・ドゥトン 135 15億ドル

鉄道区間株主

（投資額）

距離（km）

輸送能力（万トン/年）

稼働予定（年）

1タンジュン・バル炭鉱→タラハン新港

ブキット・アサム：10%

Rajawali Asia Resources: 80%

China Railway Engineering: 10%

（US$ 20億）

280 25002013年着工

2017年完成

2タンジュン・バル炭鉱→タンジュン・アピ・アピ新港

Adani Global: 98%

南スマトラ州政府: 2%270 3500

3 スカチンタ→ケタパティ PT. Bara Alam Utama

4 タンジュン・バル炭鉱→ティガガジャ Pt. Semen Baturaja

スマトラ島の鉄道による鉄道建設計画例

出典:ヒアリング調査、PT. Bukit Asam、PT KAI資料

石炭政策

18

• 基本方針：– 国内需要最優先で供給

– 国家・地方財政収入・雇用拡大

– 鉱物資源の付加価値の向上

– 監督・管理の強化

– 鉱山開発の推進

• 新鉱業法（3つのポイント）① 石炭開発に関する規制

• ライセンス方式（CCoWからの移行）

② 石炭輸出に関する規制• 国内供給義務および生産規制

• 石炭基準価格の設定

• 高付加価値化の要求

• 石炭輸出管理の強化

③ ロイヤルティ• 3％～7％（引き上げを検討）

• 課題– 投資環境の改善の必要性

– 事業者の立場の保証

– 権限の整理

• その他– 環境保護・管理法（2009年第32号）

– 森林法（1999年）（改正2004年第19号）

エネルギーミックス

19

国家エネルギー政策（2014年第79号）

優先事項：

① 再生可能エネルギーの最大化

② 石油の最小化

③ 天然ガス・新エネルギーの最適化

④ 国産石炭の利用

24%

30%

30%

25%

49%

25%

22%

20%

22%

22%

23%

24%

5%

23%

25%

31%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

2010

2025

2030

2050

国家エネルギー政策（1次エネルギーミックス）

石炭 石油 天然ガス 新・再生可能エネルギー

一次エネルギー需要予測

20

出典：KEN：国家エネルギー政策のシナリオBAU：国家エネルギー委員会のシナリオ（Indonesia Energy Outlook 2014）

25% 30% 34% 30%36% 25%

41%

35%25%

29% 22%

29%20%

28%

18%

22%

20% 23%

20%

24%

21%

21%

23%

17% 25%

15%

31%

10%

220

380448

480

570

980

1299

0

200

400

600

800

1,000

1,200

KEN/BAU KEN BAU KEN BAU KEN BAU

2013実績 2025 2030 2050

石炭 石油 ガス 新・再生可能エネルギー

百万toe

最終・発電需要予測（BAU）

21

9%9% 9%

9%

27%

29%29%

28%

27%

17%

14%

6%

11%

2%9%

169

299

379

894

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1,000

2013（実績） 2025 2030 2050

最終部門別需要予測（BAU）

工業 輸送業 家庭 商業 その他 非エネルギー

百万toe

60.3

116.8

176.1229.3

298.4

365.4

445.0

532.3

63%

65%

61%

62%

64% 64%

65%

66%

58%

59%

60%

61%

62%

63%

64%

65%

66%

67%

0.0

100.0

200.0

300.0

400.0

500.0

600.0

発電燃料需要予測（BAU）

石炭 ガス 石油

水力 地熱 その他新エネ

石炭(%)

エネルギー供給見込み

22

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

2013実績 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050

エネルギー供給見込み（KEN)

生産 輸入 輸出

百万toe

0

100

200

300

400

500

600

700

2013実績 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050

石炭供給見込み（KEN)

生産 輸入 輸出

百万toe

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

2013実績 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050

エネルギー供給見込み（BAU）

生産 輸入 輸出

百万toe

0

100

200

300

400

500

600

700

2013実績 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050

石炭供給見込み（BAU）

生産 輸入 輸出

百万toe

まとめ• インドネシア政府の主な石炭政策は、国内供給最優先、輸出管理強化、

選炭・石炭改質、鉱山開発などの推進である。しかし、新鉱業法及び最近の政策は、外国投資家の投資を減退させる可能性がある。

• 特に中国の需要低迷が影響し、短期的にはインドネシアの輸出は減少の見込み。

• 今後の国内石炭需要は主に発電とセメントで増加。DMOなどの政策による高品位炭の輸出への影響は少ない。

• 歳入、輸出入バランスなどの現状を考慮すると、石炭の輸出を大幅に減らすことは難しい。

• 高品位炭の資源量は115億トン（9.5%）、その内埋蔵量17.4億トン（約15%）

、未開発資源量が十分にある。高品位炭の増産・輸出拡大には、炭鉱開発の他、インフラ整備が不可欠。

23