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1 JICA 環境社会配慮ガイドライン 審査役 松下和夫先生、金子由芳先生、早瀬隆司先生 2017 年 11 月 1 日 下記の資料を、申立人の要請に基づき提出します。 【本文書タイトル】 「申立人要請・JICA 契約問題(SOLIDARIEDADE)に関する追加資料」 【本文書の背景】 1. 申立人の要請にしたがい、申立書にある「JICA 契約問題」については、すでに「コミ ュニケーション戦略」(CV&A 社)に関する二つの契約、「ステークホルダー関与」 MAJOL 社)の一つの契約について追加資料を提出しています。 2. 時間の関係から、明確に問題であると考えられた「マスタープラン見直し」 SOLIDARIEDADE)との契約については、申立書とそこに指定されている脚注で十 分と考えましたが、申立人からは現在も進行する問題故に、しっかり追加のものを提供 してほしいとの要請を受けました。 3. 以上から、本文書と追加資料を提出いたします。 4. なお、灰色バーの部分(pp.2-3)は、現地市民社会内部の情報のため、非公開としてくだ さるようお願いいたします。 【追加資料】 1. JICA の契約相手方 SOLIDARIEDADE と PPOSC-N、MCSC、AENA の関係 JICA は、2016 年 10 月から 2017 年 5 月まで、ナンプーラ州の NGO・SOLIDARIEDADE(【添 付1】【添付2】)と、「マスタープランの見直し」に関するコンサルタント契約を締結し ています。契約相手方は、同団体の最高責任者の Antonio Mutoua(アントニオ・ムトゥ ア)です。 SOLIDARIEDADE は、ナンプーラ州市民社会プラットフォーム(PPOSC-N)の加盟団体であ るとともに、ムトゥア氏が長年にわたりPPOSC-Nの副代表を務めています。副代表職は、 以前は重要ではなかったものの、プロサバンナ事業に反対する幹部への様々な介入を受 けた「変化」により、実質的に大きな力が与えられるようになりました。具体的には、 2015 年 12 月に、PPOSC-N を運営してきた事務局長が、プロサバンナ事業への反対を理由

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JICA 環境社会配慮ガイドライン

審査役 松下和夫先生、金子由芳先生、早瀬隆司先生

2017 年 11 月 1 日

下記の資料を、申立人の要請に基づき提出します。

【本文書タイトル】 「申立人要請・JICA 契約問題(SOLIDARIEDADE)に関する追加資料」

【本文書の背景】 1. 申立人の要請にしたがい、申立書にある「JICA 契約問題」については、すでに「コミ

ュニケーション戦略」(CV&A 社)に関する二つの契約、「ステークホルダー関与」(MAJOL社)の一つの契約について追加資料を提出しています。

2. 時間の関係から、明確に問題であると考えられた「マスタープラン見直し」(SOLIDARIEDADE)との契約については、申立書とそこに指定されている脚注で十分と考えましたが、申立人からは現在も進行する問題故に、しっかり追加のものを提供

してほしいとの要請を受けました。 3. 以上から、本文書と追加資料を提出いたします。 4. なお、灰色バーの部分(pp.2-3)は、現地市民社会内部の情報のため、非公開としてくだ

さるようお願いいたします。 【追加資料】

1. JICA の契約相手方 SOLIDARIEDADE と PPOSC-N、MCSC、AENA の関係

① JICA は、2016 年 10 月から 2017 年 5 月まで、ナンプーラ州の NGO・SOLIDARIEDADE(【添

付1】【添付2】)と、「マスタープランの見直し」に関するコンサルタント契約を締結し

ています。契約相手方は、同団体の最高責任者の Antonio Mutoua(アントニオ・ムトゥ

ア)です。

② SOLIDARIEDADE は、ナンプーラ州市民社会プラットフォーム(PPOSC-N)の加盟団体であ

るとともに、ムトゥア氏が長年にわたり PPOSC-N の副代表を務めています。副代表職は、

以前は重要ではなかったものの、プロサバンナ事業に反対する幹部への様々な介入を受

けた「変化」により、実質的に大きな力が与えられるようになりました。具体的には、

2015 年 12 月に、PPOSC-N を運営してきた事務局長が、プロサバンナ事業への反対を理由

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に出身国際 NGO から解雇されるとともに、同じく反対していた別国内 NGO の幹部が理事

会に解雇されるということが同時に起こりました。

③ プラットフォームの代表は、ナンプーラ市から遠い別郡にいることと、その背景(教会

神父)から積極的な役割を果たしておらず、ほとんどのことが副代表によって采配され

る結果となっています。

④ 2016年11月のMAJOL社コンサルタントらの働きかけを受けたPPOSC-Nの一連の動きも、

PPOCS-N 代表や加盟団体との協議がないままに、一部の幹部だけで進められたために、

その後これが問題になりました。

⑤ PPOSC-N の中で最も関係する農業部門の CSOs のネットワークである(RARN)には、UPC

も参加しています。主要メンバーの中には、年末年始の休暇中であったため、事後的に

1 月 11-12 日の会議を知った者もおり、農民とともにプロサバンナ事業に一致して反対

してきた PPOSC-N としての立場変更が、いつどのような過程でなされたのか、かなりの

批判が内部で行われたとのことです。これらのメールの記録は RARN 団体すべてが保有し

ていますが、一部のみ紹介します。(*)は訳者による加筆。

(2016 年 1 月末の 2 つの加盟団体からのムトゥア氏宛メール)

• 「ムトゥアさんへ

ネットワーク(*RARN)がプラットフォーム(*PPOSC-N)の内部に位置づけられているということ

の認識は、私もあります。しかし、関与という話をするのであれば、それは違います。私は、関

与していると感じていません。私達は、このような決定が、知らぬ間に行われたことを知るに至

りました。このプラットフォームの外部の者のように扱われたのです。それは本来あるべき姿勢

ではありません。大きな問題は、すでに(*勝手に)議論されたことが、今ネットワークにもた

らされていることです。真に関与していない事柄について、議論することは困難です」

• 「実際、PPOSCN メンバーと RARN メンバーとの相互関係は曖昧なままであり、共同での計画はな

い。プラットフォームの各人が、自分の望むことや利益のために、他のメンバーの代わりに(on

behalf)利用している。このようなやり方に、吐き気をもようす。」

⑥ この後、RARN メンバーで PPOSC-N の幹部として、ムトゥア氏に協力して 12 月準備会合

から関わっているメンバーが、メールでのやり取りを止めるように伝え、その後、グル

ープ内の会議と、全団体を集めた会議が開かれたそうです。

⑦ しかし、農民団体としては、すでに立場は明確にした(プロセスのおかしさ→参加しな

い)以上、当事者団体として、中間組織らのこの議論に加わることをしないと決断した

ということです。プロセスのおかしさについては明白で、PPOSC-N の幹部自身が自覚し、

市民社会のネットワーク組織のトップとして反省すべきことで、自分たちの対応は定ま

っているとして、会議にも出なかったそうです。

⑧ 会議では、ムトゥア氏に対して多くの批判が出されたそうです。しかし、同氏は、結果

的にすでに事態が動いて、PPOSC-N の名前で様々な公的文書が出されていること、この

活動によって自分たちがやりたいと考えていたプロジェクトに資金が提供される見込み

であること、OMR などの研究機関が加わるのであれば正当性が保てるとのことで、続行

が決定されたとのことです。

⑨ そして、ムトゥア氏は、2017 年 2 月に JICA のサブ事業「ステークホルダー関与」の一

環で結成された MCSC のコーディネイターに就任しました。同年 10 月には、JICA と上記

の契約をしています。

⑩ 後述するように、ムトゥア氏が幹部を務め、ナンプーラ州を拠点とする「農業普及員協

会 AENA」(上記の PPOSC-N の農業分科会[RARN]の事務局を務める)が、2016 年 6 月に JICA

から ProSAVANA-PD の 550 万円(*通貨変動により円建てで 300 万円)もの資金提供を受

ける形で、「郡マッピング」を行っています。

⑪ AENA には、多様なメンバーがいるため、その立場は常に流動的(【添付 3】)ですが、基

本的には政府系の仕事を請け負う団体のために、団体の意思決定においては、その影響

を強く受ける傾向があります。特に、ナンプーラ州農務局 DPA の影響は予算配分という

意味でも非常に大きいです。また、トップが政府側の介入を受けて代わる傾向が、2014

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年時点から観察されているとともに、度重なる取り込み活動を、ProSAVANA-PEM 等を通

じて行われてきました(【添付 3】)。PPOSC-N や RARN の MAJOL 社への協力についても、様々

な反論があったそうですが、結果的に各種事業に JICA からの資金提供や仕事が見込める

とのことで、賛成することになったとのことです。

⑫ 同年 6 月のマッピング事業の後、同年 11 月には、JICA サブ事業「マスタープラン見直

し」の一環として、AENA が、マスタープランの要約づくりのための専門家を公募してい

ることが分かりました。ここから、SOLIDARIEDADE と JICA の契約の資金が、AENA に流れ

ていることが想定されますが、この点についての国会議員質問への回答は現在も JICA

から寄せられていません。

⑬ つい最近、以下のとおり、この AENA のトップに、ムトゥア氏が就任していることも明ら

かになりました。

⑭ つまり、ムトゥア氏は、ナンプーラ州を拠点として農業分野で活動する 2 つの団体と 2

つの市民社会ネットワークのリーダー役を果たしており、その影響力は明らかです。

⑮ これを相関図に示したものが、日本の NGO から審査役にすでに提出されています。

2. 初期からターゲットとされる PPOSC-N と反発(2013 年 6 月〜2014 年 12 月)

① 【添付3】をご覧下さい。 ② この時、PPOSC-N のムトゥア氏は、すでに政府側との会議記録などに署名しており、

その記録が JICA側にも残っています(【添付 15】)。 3. 再度の PPOSC-N(ムトゥア氏)のターゲット化と主導的役割(2015 年 11 月〜2016

年 4 月)

① この背景については、本審査のために提出した「【基本文書】契約問題(MAJOL社)「その 1」「その 2」「その 3」」をご覧下さい。

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② 上記資料でも指摘してありますが、リークされた MAJOL 社の「ファイナルレポート」では1、プロサバンナ事業の議論における UNAC(全国農民連合)・UPC-Nampula(ナンプーラ州農民連合)の農民の代表的組織としての正当性を減じるための相談を、同社

のコンサルタントとナンプーラ市民社会組織(CSOs)が行っていたことが明記されています。原文(p.20)も転載しましたが、下記の点についてご確認下さい。

(ア) UNAC がそれでも参加しない場合についての戦略 • 特に、日本の市民社会が、UNAC が小農を代表する組織だと主張することについてどう

対抗するかについての戦術(tactics)

(イ) ナンプーラ州 CSOs との相談→戦術提案 (ウ) 農民自身が選んだはずの議員の参加を確保する

“ProSAVANA team. The fact that the UNAC president and provincial representatives did not attend the final meeting should not be seen as a setback. Indeed it should be seen as progress, because UNAC was subject to intensive lobbying from a visiting Japanese delegation during the time of this meeting. The fact that there was no UNAC attendance, but also no public reaction to the meeting, shows that the UNAC position is in flux, and this creates an opportunity, with proper engagement, to bring them fully into the negotiation process. We strongly feel that such outreach should be undertaken by the ProSAVANA team. ProSAVANA should not simply let civil society dialogue with UNAC; there are tensions within civil society that might militate against success of a civil society led effort here. Even assuming a worst-case scenario, that UNAC cannot come to an agreement on participation or not, and remains outside the dialogue framework, MAJOL made calculations and shared them with the ProSAVANA team showing that at absolute maximum, UNAC represents a mere 2.5% of Mozambican farmers. We are aware that some elements of Japanese civil society see UNAC as being the largest organization of farmers and thus the de facto representative of Mozambican farmers in the Nacala corridor. The tactic of the Nampula civil society organizations to invite Provincial and National Parliamentarians, (members of the Parliamentary Committee on Agriculture and the Environment) to the February seminar goes some way towards responding to this argument. After all, who is better placed to represent farmers than their own elected representatives? The two biggest political parties both had members in attendance, thus the civil society mechanism cannot be accused of political favoritism. MAJOL strongly recommends that JICA and the ProSAVANA team engage parliamentarians throughout the ProSAVANA process. There are at least two specific roles that parliamentarians should play.” (MAJOL, Final Report, Draft 1, March 1, 2016: p.20) ③ 上記の記録には、(1)JICA が契約する MAJOL 社が積極的に、(2)UNAC(UPC)と市

民社会組織の間に介入していること、(3)直接対話を避けさせようとしていること、(4)MCSC に参加しない農民組織の正当性を低めるための様々な提案をナンプーラ州CSOsと行っていることが記されています。

④ これが、JICAの与えた業務目的と指示に沿って、MAJOL社が 2015年 11月から取り組んだ活動の帰結であったことについては、各種の文書(特に、【基本文書】契約問題

(MAJOL)「その 2」「その 3」)を通じて、明らかにしました。 ⑤ しかし、MCSC に関わるナンプーラの CSOs は、州最大の小農運動体 UPC-Nampula

の結成に尽力し、両者は PPOSC-Nの対等な構成メンバーでもあります。また、当事者(農民)や当事者団体(農民組織)を超えて、議員に代表させればよいとの「戦術」提

案を行っている段階で、市民社会の基本的な規範や存在意義を著しく傷つけることにな

りました。このことに、申立人は強く落胆しています。 ⑥ つまり、市民社会の基本的な規範が無視されるほど、JICA が経ち上げた「ステークホ

ルダー関与」事業は、ナンプーラ州内の市民社会のアクター間の対立関係を決定的なも

1 https://www.farmlandgrab.org/uploads/attachment/Final_.pdf

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のとしました。 ⑦ このような「排除の論理」は、UPC-Nampulaやその他の団体に強く感じられていたこ

とでしたが、内部告発者のリーク文書によって、実際その「感触」に根拠があったこと

が裏付けされる結果となりました。 ⑧ このリークされた「ファイナルレポート」のドラフト版の記述は、JICA が開示した最

終版から完全に削除されています。恐らく消し忘れた元のナンバリングと項目タイトル、

そして議員との連携だけが記載として残されています。この改変は、JICA として外部に知られると問題となることが予見されたためと考えますが、このような記述内容を知

った上で、最終的な契約金が支払われたことについては、日本の公共調達案件の適正運

用という意味でも問題です。 4. JICA との密室会議(資金提供問題 2016 年 4 月 12 日)

① JICAモザンビーク事務所で、2016年 4月 12日に、MCSC、JICA、MASA(食料安全保障農業省)の会合が開かれ、次の二点の話し合いがなされたことがリーク文書2から明

らかになっています(【添付 4-1】)。すでに公表されている和訳全文(【添付 4-2】)を付けましたので、ご確認下さい。

(ア) JICA から MCSC にどのように資金提供を迅速に行えるか (イ) MCSC としてどのような活動を行ってきたか(*後述)

② この会議には、MCSCの代表としてムトゥア氏が参加しています。また、後に契約主としてコンサルティング契約案件の告示を行う JICA モザンビーク事務所の須藤勝義所長も参加しています。

③ (ア)について、JICA須藤氏が、次の説明をしていることが記録されています(p.1)。 須藤氏は、プロサバンナ事業における技術協力の現段階を踏まえた時に発生するいくつかの困難に

JICA が直面していることついて説明を行った。特に、「メカニズム」に資金を提供することが、非常に

複雑化していることを強調した。これを踏まえ、(須藤氏は)次を提案した。

(1) 日本政府の「見返り資金」は、WWF に資金移転させる。そのプロセスは、MASA、MEF(経済

財務省)、MINEC(外務協力省)の許可が必要であり、少なくとも 2 ヶ月はかかる見込みである。

JICA は、このプロセスを可能な限り加速化する努力を行うことを強調した。

(2) (JICA は、)モスカ教授(*ジョアン・モスカ教授)の関与は重要であると理解し、JICA

と OMR(*モスカ教授が所長を務める研究所)との契約を実現し、最初の作業が実行に移されるよ

うにすることを提案した。(この最初の作業とは、マスタープランの見直しに関するコンサルタ

ント契約のための業務指示書/TOR の策定のことである)もし、MCSC が「見返り基金」からの資

金拠出が待てない場合は、事前に(*「見返り資金」提供の前に)、JICA として、「マスタープラ

ンの見直し」の作業遂行のためのコンサルタント契約を直接行うことが可能である。

(3) MCSC(「見返り資金」からの拠出が可能となるまでの活動)への最初の(*資金)援助は、

マスタープランのチーム(*ProSAVANA-PD を担う日本のコンサルティング企業)を通じて行う。

④ この会議とその後の契約の問題については、日本の NGO から、外務省国際協力局長と

会計検査院に資料が提供されています(【添付 5】)。その際には、上記の【添付 4-1,4-2】も提出されています。

⑤ 国際協力局長からは、一連のプロセス、そしてムトゥア氏/SOLIDARIEDADEと JICAの契約の不透明性について共感を頂き、契約を切る方向で調整するとのお返事を頂いた

ものの、理由は不明ながら契約は続けられました。この件については、日本の NGO から JICA理事長宛に出された「公開質問状」(【添付 6】)に詳細が記されています。

⑥ 上記会議の話し合いの大半が、資金提供に関するものでした。「JICA提案→MCSC報告→決定」という順序で記録は記載されています。そして、上記に転載したとおり、急ぎ

2 https://www.farmlandgrab.org/uploads/attachment/doc_2.pdf

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の資金提供のため、あらゆる方法が JICAから提案されています。 ⑦ そして、「MCSCが待てないのなら」という説明が行われており、MCSCが JICAの資

金なしには機能しない現実が明確に示されています。詳細は、原本(【添付 4-1,4-2】)をご覧下さい。

5. 申立人の主張:「市民社会が外部資金をもらえないと動かないのであればおかしい」

① 以上の点は、申立人が、審査役からのヒアリング時に指摘していた点と同様です。この

点が伝わっているかわからないので、再度伝えてほしいと要請されています。 ② 申立人が審査役に伝えたい点は、次のとおりだとのことです。

(ア) モザンビークの市民社会諸組織は、もちろん潤沢な資金を持っている訳ではないが、自らが重要なテーマだと考えることには、外部から資金がなくても、何らかの工夫

をして一生懸命取り組む。 (イ) 例えば、皆が集まる会議を開催しなければならないのであれば、何か他の会議の際

に 1,2時間を融通し、皆で別件の協議をすることは日常的になされている。 (ウ) あるいは、活動を開始して実績を作り、その活動に共感を獲得し、自ら各方面の資

金を引っ張ってくるのが、新しい活動においては普通の手順である。 (エ) その意味で、JICA の資金がなければ機能しないとの主張や現実は、関わる市民社

会組織側に自腹を切ってまでやる気がないということを意味しており、その集まり

や目的に市民社会の考える大義や真のオーナーシップがないということ。この点だ

けをとっても、MCSCが市民社会のイニシアティブだとの主張はおかしい。 (オ) 実際、プロサバンナに反対する運動は、メリットよりもデメリットの方が大きいに

もかかわらず、5年以上も活発に続けられている。この理由は、このことに大義が

あると参加者・団体が考えているからだ。 (カ) だから、ヒアリング時には、繰り返し「自己利益のため動く人達を農民は信用しな

い」と言い続けたし、農民が街に暮らす自己利益のための人達に NGOに代弁してもらう必要はないと伝えた。

③ なお、2016年 7月 21日に開催された「第 17回 ProSAVANAに関する意見交換会」でも、JICA農村開発部天目石課長は、次のように述べています(【添付 7】)。

「まだこの市民社会調整メカニズムというのが本格的に動いていないのが現状で、今少しでも早

く動き出してもらって、我々やモザンビーク政府が中心ではなくて、彼ら自身で中身を議論でき

ればと思っている…」(p.2)

④ 市民社会が自らのイニシアティブで結成したと主張する集まり(「メカニズム」)が、5

ヶ月が経過したにもかかわらず、「動いていない」ということは、モザンビークの市民社

会の事例としても極めて稀だそうです。 ⑤ また、JICA 天目石課長は、次のように発言しており、「(MCSC が)少しでも早く機能

するように」、わざわざ「(JICAが)何かできることはないか」と考え、「資金提供」を念頭においたことが確認されています。 (ア) NGO:(リークされた会議録にあるWWF経由で)お金を出している? (イ) JICA 天目石:出していない。我々がしようと思ったのは、市民社会調整メカニズムが少しで

も早く機能するように、できることはないかと議論していた。その中の一つのアイデアとし

て、資金提供ができるかどうかで、実際にはそうにはなっていない。(pp.11-12)

⑥ 7月時点でもこの状態になっている背景には、真のオーナーシップ欠落の他、MCSCへの資金提供の迂回路として WWF モザンビークが活用されることになっていたものの、一連の不透明性を問題視したWWF国際本部からの「ストップ」がかかり、結局そのルートが使えなくなったとの事情が影響しているそうです(WWF聞き取り)。

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5. 「MCSC ミッションへの同盟のためのキャンペーン支援者への精神的働きかけ」

① 上記会議録には、(ア)JICA からの資金提供の提案の次に、(イ)MCSC の活動状況がムト

ゥア氏から紹介されています。

MCSC コーディネイターのムトゥア氏は、「プロサバンナにノー キャンペーン」を支援する複数

NGO とその他の関係者に精神的な働きかけを行い、「メカニズム」のビジョンと目的と同盟を組む

ように促す活動を、マプートと各州のレベルで行ったこと明らかにした。そして、コミュニティ・

レベルでの活動への「メカニズム」の参加を可視化するために、「農業・天然資源ネットワーク」

(*RARN)を通じて、マッピング活動を開始することが出来ればと協力を要請した。(pp.1-2)

② このような別の市民社会グループに対するダメージ活動が、同じ市民社会の一員によってなされていたこと自体が問題です。しかし、それ以上に、この説明に対して同席した

JICA の須藤所長、同所の横山ひろし担当官が、何も述べていないと考えられる点が問題

です。少なくとも、上記の記録では、この点での JICA 側の反論は確認できません。 ③ つまり、現地 CSOs による他の CSOs への活動妨害ともいうべき動きを、本来中立公正で

あるべき立場の外国援助組織の JICA が、承認ないしは黙認したことになります。これは

申立人に深刻に受け止められています。 ④ さらに、このような活動内容を説明するアクターに対して、JICA は会議の最後に資金協

力を約束しています。下記に該当部分を転記します。

5. 「農業・自然資源ネットワーク」を通じて市民社会組織によって行われる「マッピング」は実施

される。その費用は、ProSAVANA-PD 事業の上記チームを通じて資金援助される。

6. 「メカニズム」への活動を支援するための費用は、プロサバンナ対象郡レベルにおける「メカニ

ズム」の「マッピング」と普及活動のための初期の活動であることを鑑み、ProSAVANA-PD 事業の

上記チームによって支払われる。

7. 「見返り資金」の意思決定に関与する(*モザンビーク政府)機関は、スピードを早める形でプ

ロセスが前進するための努力を行う。これは、可能な限り素早く、この資金を提供させるためで

ある。

8. メカニズムのアクションとコミュニティ・レベルにおけるプロサバンナ事業の現況に関して、郡

行政府、生産者、市民社会組織、民間セクターやその他の関係者と共に情報普及がなされるよう

に、ProSAVANA-PD 事業チームは資金を投入する。(p.2)

⑤ この会議記録から分かるとおり、JICA は、MCSC による「キャンペーン」支持者の支援断絶を促したり、メカニズムとの同盟を促進する活動を承認し、これを郡レベルに広

げるための活動を「メカニズムの普及」と称して支援することを約束しています。 ⑥ これは、事業に依然として反対し、MCSC に参加しない UPC-Nampula や教会の農村

部での基盤崩しの意味を持っていたと受け止められています。 ⑦ また、上記の「マプトでの活動」については、2016年 9月の日本 NGOの調査で、次の

ことが分かっています。当初 9団体で結成された「キャンペーン」でしたが、一部団体が、ムトゥア氏、WWFスタッフ、農業省元副大臣(リンバウ・ProSAVANAコーディネイター)、その他の訪問を受け、「キャンペーン脱退」を働きかけられ、実際に「キャ

ンペーン」脱退したことが分かっています。この団体は、農業省と共同事業をやってお

り、資金源を絶たれることを怖れたといいます。 ⑧ また、「キャンペーン」団体に資金を提供している国際 NGOらも、このメンバーで回っ

たとのことです(国際 NGOからのメール)。 ⑨ ムトゥア氏が JICA・MASA との会議で説明しているのは、まさにこのような活動のこ

とであり、同様の活動が郡で行われる前提にもかかわらず、JICA はその場で資金提供を約束しています。

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6. MCSC/PPOSC-N/RARN による「郡マッピング」(2016 年 5-6 月)

① 郡での活動(「マッピング」)には、ProSAVANA-PD の日本のコンサルティング企業

(JICA 契約相手方)経由で資金を提供することになっていました。後の JICA の説明によると、支払われたのは「実費」で、500万円(当時レート)の予定とのことでした。

② これを請け負ったのが、RARNであり、その事務局を AENA(1.確認)が務めました。 ③ しかし、この活動は、単なる「郡マッピング」ではありませんでした。MAJOL 社によ

る「ステークホルダー・マッピング」がそうであったように、次の点が主眼でした。

(ア) 各郡に、MCSCの設立とビジョンを伝え、プロサバンナ事業への協力を呼びかける (イ) 各郡のコミュニティや農民のリーダーが誰なのか、プロサバンナ事業にどのような

ポジションを持っているのかを探り、この情報を蓄積する (ウ) 以上の同盟できる個人・団体を特定する。その際には、プロサバンナ事業のマスタ

ープランの見直しのためのコミュニティ公聴会だけでなく、インプレメンテーショ

ンの担い手となってもらうことを念頭におく

④ 上記の「隠れたアジェンダ」は、直後(2016年 7月)に行われた UPC-Nampulaと「キャンペーン」の調査、そして同年 9月に日本の NGOと UPC-Nampulaと「キャンペーン」行われた調査で明らかになりました3。この日本のNGOによる調査結果については、すでに第 18回「意見交換会」(2016年 10月 11日)の場で、JICA・外務省に示されています(【添付 16】)。

⑤ なお、RARNの加盟団体であるにもかかわらず、UPC-Nampulaは詳細を教えてもらえ

ず、この「マッピング」が行われた郡の加盟団体には、面談時に声をかけられていない

とのことでした。 ⑥ 国会議員の繰り返しの求めに応じて、JICA・外務省は、2016 年 9 月 23 日に議員事務

所を訪れています。しかし、議員側の事前要請にもかかわらず、資料提供はなされず、

2 週間ほどの活動に、300 万円(実費積算結果。また、その後の通貨暴落のため、円建て総額が 500 万円から変動)が、「燃料代とホテル代」に使われたとの説明がなされています。300 万円の内訳の明細が求められたものの、この議員には、1 年が経過した現在も情報提供はされていません。

⑦ 別の議員からの情報照会に対しては、300万円のうち「70万円が会議費」であるということまでは明らかにされていますが、なぜ農村部の調査に会議費が 70 万円要るのかの質問への回答は届いていません。

3 http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/ProSAVANA/18kai_shiryo/ref4.pdf

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7. MCSC のブラジルでの宣伝活動(2016 年 6 月) ① 同じ 2016 年 6 月には、ブラジルでの宣伝活動が着手されています。ムトゥア氏から

RARN 主要メンバーへのメッセージ(5 月末付)では、「ブラジルで、マプートで行ったのと同様の活動を行う」との説明がなされています。

② その結果、どのような活動が行われたのかについては、ブラジリアで開催された「発表

会」に参加したブラジル市民社会の報告で明らかにされています。ブラジル市民社会か

らは、プロセスの不透明性についてすでに各種の声明が出されているとともに、UNACやその他の農民団体が参加しない「メカニズム」の正当性をブラジル市民社会は疑問視

していることが表明されました。その上で、MCSC側の「協力要請」に対しては、まずは書いたもので出すようにと伝えたとのことでした。意図としては、これを「キャンペ

ーン」と共有し、対応を相談するつもりだったとのことですが、その「協力要請」は現

在も届いていないとのことです。 ③ このブラジル行きは、JICAによると「ABCの予算で行われた」とのことです。しかし、

2016 年 4 月の上記の「資金提供会議」には、JICA と MASA しか参加していないことから、ブラジル政府関係者がどの程度、何をどこまで理解していたのかは明らかではあ

りません。 ④ いずれにせよ、このブラジルでのイベントには、JICAも参加していたとのことです。

8. JICA によるムトゥア氏/SOLIDARIEDADE との契約(2016 年 11 月)

① この状況下、JICA天目石課長が「少しでも早く機能」と述べていた 2016年 7月 21日から 2週間後の 8月 5日、JICAの調達案件の告示が新聞で行われました(【添付 18】)。同日に日本の NGO にも情報提供がありました。このタイミングから、7 月の意見交換会の時点で、JICA はこの段取りを組んでいたと考えられ、このサブプロジェクトの形成についても日本の NGOは相談を受けることはありませんでした。

② この告示後、契約相手方が誰になったのかは、9月 23日の議員訪問時にも明らかにされませんでした。その際には、わざわざ「会社」という言葉が使われています。以下、議

員事務所からの記録です。 対話を進めるためのアクションとして、MCSC の事務局機能(日程のアレンジや連絡調整、会議録

作り等) を JICA が手伝うことになり、現在現地で公募をかけて契約支援順位が決まり、

1位の会社と契約交渉に入っているとの説明がありました。

③ 10月 28日、この契約相手方が SOLIDARIEDADEというナンプーラ州の NGOであっ

たことが、MCSCの声明で明らかになりました。また、契約署名者がムトゥア氏であったことについて、石橋通宏議員が質問主意書を出すために JICA を事前説明に呼んだにもかかわらず、その事実を伝えていません。実際に、石橋議員が質問主意書を 12月 13日に提出し、一週間後に政府答弁を受ける際も同様です。その後、12月 23日に、JICAは、ようやく契約書の写しを議員事務所にファックスしています。

④ つまり、JICA は契約書も契約相手方(署名者)の名前も、質問主意書を提出する議員にすら提供しようとしませんでした。また、この契約事実や経緯について、JICA からモザンビーク市民社会(「キャンペーン側」)への説明は一切なされませんでした。むし

ろ、日本に来日した「キャンペーン」代表やナンプーラ州の農民代表に、モザンビーク

政府高官を対峙させようとしました。 ⑤ 2015 年 2 月以来、プロサバンナ事業の「内部関係者」とも呼びうる立場で共同活動を

進めてきたムトゥア氏のもとには、上記のとおり、他の競争企業には得られない有利な

情報が蓄積されていました。資金提供方法まで、JICA から直接相談を受けていたほどです。その意味で、新聞上で「告示」がされようと、公平で透明な競争になり得ない状

況であることは明白です。それにもかかわらず、このような人物を JICA の契約相手方(署名者)としてコンサルタント契約を結んだことは、公共調達の原則(競争性と透明

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性)を著しく傷つける結果となりました。 ⑥ さらに、この選定期間中の 2016 年 8 月 27 日には、MCSC やムトゥア氏の役割や言動

が問題視され、三カ国の市民社会により抗議声明が出されています(【添付 20】)4。こ

の背景には、リーク/情報開示された一連の文書の分析が終了し5、プロサバンナ事業(と

りわけ JICA)の問題が明らかになったためです。それにもかかわらず、JICAは、明らかに公平・公正さを欠いた活動を行ってきたムトゥア氏の団体にこの契約を与えました。

⑦ しかも、調達案件は、不透明性や説明責任の欠如により問題視され続けてきた「マスタ

ープラン」のコミュニティ・レベルでの意見徴収を経た「見直しと最終化」という、極

めて高い透明性・公共性・公平性・公正さが求められる公的事業のコンサルタント募集

でした。 ⑧ すでに、2015 年 4 月-6 月の「公聴会」の不透明性と公正さ、そしてその後の市民社会

への介入が大問題となったことを受けて経ち上げられた「マスタープラン見直し」事業

でした。そのことを踏まえれば、この契約は高い透明性の中で進められなければならず、

その選定においては誤解を生まないような配慮が不可欠でした。「公平なる第三者」とし

て皆に納得されるコンサルタントが選ばれるべきところを、他のステークホルダーに批

判され、実質的に「内部関係者」となっている人物・団体が選ばれました。このことが、

結果として何をもたすかについて、JICA は十分想定できたはずです。申立人は、あえて JICAが社会配慮を怠ったと考えています。

⑨ また、新聞に掲載された公告には、「MCSC の事務局的サポートを行う」とは書かれておらず、「多様なステークホルダーとの対話を促進」と書いてあります(【添付 18】)。その意味でも、社会に公示した内容と、実際に JICAが狙いとしていたことが違っており、調達案件の選定プロセスの不透明性は明らかです。

⑩ これらの批判に対して、JICAは「4社応札があったから競争は成り立っているため問題なし」との立場をとっています。しかし、この選定が社会的配慮を欠いた状態でなされ、

その結果、すでに問題状況下にあった社会関係に深刻な断絶を生み出したことについて

は、申立書に訴えられているとおりです。 ⑪ このリスクを知りながら、JICA が契約に踏み切り、丁寧な説明をしようともしなかっ

た事実に、申立人がどれほど衝撃を受けたのかについては、上記の声明や申立書にある

とおりです。

9. JICA によるムトゥア氏/SOLIDARIEDADE との契約=社会への直接介入との理解

① SOLIDARIEDADEとの契約は、MAJOL社を「第三者」と主張しようとした姿勢すら、JICA が放棄したことをも示しました。MAJOL 社や MASA/JICA と共に市民社会内部への介入と排除・分断に役割を果たし、それが既にリーク文書などで明らかになってい

るムトゥア氏とその団体を、JICAが契約相手方に選んだことは、JICAがついにモザンビーク市民社会への直接介入に乗り出したと受け止められました。

② また、この契約が、実費を含まないにもかかわらず、半年で 2200 万円を約束していること、その大半が「報酬」であることは、多くの人に衝撃を与えました(【添付 1】)6。

国際的な専門家を入れた 4 名の MAJOL 社のコンサルタントの契約総額が 4.5 ヶ月で530万円程度であったことを踏まえると、この額がいかに大きなものかは明らかです。

③ また、この時期、モザンビークでは、政府のガバナンス問題により、2016 年 4 月からIMFの融資や一般財政支援が止められ、資源価格の下落なども重なり、通貨が二分の一に暴落していました。その意味で、外貨建てのこの額がどれほど大きな意味を持ったの

かについては、指摘するまでもありません。

4 http://www.ngo-jvc.net/jp/projects/advocacy-statement/2016/08/20160829-prosavana-ticadvi.html 5 https://www.farmlandgrab.org/post/view/26449-prosavanas-communication-strategy-and-its-impact-an-analysis-of-jicas-disclosed-and-leaked-documents 6 http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/ProSAVANA/20kai_shiryo/ref2.pdf

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④ この契約に対し、2016年 11月 17日、「キャンペーン」から批判声明が出されています(【添付 8】)。論点は、プロセスの不正、不透明性、NGO・CSOの役割の逸脱などですが、詳細は原文をご確認下さい。

⑤ この事態を受けて、参議院の石橋通宏議員より、質問主意書が出されています(【添付

17】)。 ⑥ さらに、この点は、日本の国会(参議院 ODA 特別委員会)でも疑問視され、井上哲二

議員によって、外務大臣と JICA理事長の間で議論がされています(【添付 12, 13】。 10. 公共調達成果物としての MCSC「インセプション・レポート」(2016 年 10 月)の

問題 1:契約相手方と異なる主体(非法的主体)による提出と送金

① JICA は、MCSC との資金提供や活動をめぐるやり取り、あるいはこの契約に至ったプロセスにおいても、公共事業の視点を忘れ、透明性や公平性、公正さの欠如を示し続け

ました。しかし、これは契約後も継続しています。 ② 特に、契約で SOLIDARIEDADEに提出が義務づけられていた「インセプション・レポ

ート」に大きな問題が示されています。TOR では、次のように記載されています(【添付 2】p.2, 3)。

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③ 契約書 (pp.5-6)には、この「インセプション・レポート」が、JICA の契約相手方

(SOLIDARIEDADE)の最初の業務義務であり、これを 14日間以内に提出することで、契約金の 20%が支払われると記載されています。

④ JICA の公共調達の「成果物」なので、契約書上は、当然ながら契約相手方の

SOLIDARIEDADE が提出することが義務づけられています。しかし、下記のとおり、実際は MCSC から「インセプション・レポート」が提出されるという問題のある状況になっています(【添付 9】)。なお、この「レポート」は、JICAが国会議員の求めに応じて提出したものです。つまり、最終・正式な文書となります。

⑤ JICAは、この「レポート」提出を受けて、最初の送金(契約の 20%)を 11月中に行っ

たことを認めています。

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⑥ しかし、この「レポート」には、次の二点で大きな問題があります(他にも問題があり

ますが、絞ります)。

(ア) 公共調達の妥当性を示すために重要な「成果物」が、本来の契約相手方ではない別主体から提出され、それが受理され、契約金が支払われていること。→公共調達の著しい不透明な

運用/公共性・公平性を著しく傷つけた主体の関与

① このレポートの主体は、モザンビーク国内で法的存在をもたない「ネットワーク」や

「フォーラム」、「調整メカニズム」であり、責任主体となり得ないものから出された

文書を承認し、契約の対価を払っていること。→公共調達の著しく不透明な運用

② 主筆者として名前が表紙に記されている「ナカラ回廊開発市民社会調整メカニズム

(MCSC のこと)」は、プロサバンナ事業において、他の市民社会グループにダメージ

を与える活動を行い、これが JICA 文書に記録されるなど(上記)、公正な主体といえ

ないが、この公共調達事業の契約に記された「成果物」の提供者となっていること。

→公共性・公平性を著しく傷つける公共事業の運用

③ つまり、市民社会内部に立場の違う主体がいるにもかかわらず、一方の立場を公言す

る主体だけに公共事業の運営を任せていること→公共性・公平性を著しく傷つける公

共事業の運用

(イ) 公共性・公平性が求められる公共事業を計画する「インセプション・レポート」で、2016年 10 月 28 日付のレポートには、モザンビーク国内の市民社会や日本やブラジルの市民社会

の活動を詮索し、根拠を示さないままに、事実とは異なる内容のことを記している。それに

もかかわらず、契約主の JICA に承認され、契約通りに支払いがなされていること。→公共

事業の不適正な計画・実施

⑦ 上記のとおり、あらゆる面で疑問が残る契約事業となっていますが、「レポート」の冒頭

にある状況説明は、一方的で何ら根拠を示していません(注は皆無)。JICAが、このようなテキストを、ここで批判されているもう一方の側に確認することなく、日本の公共

事業の「成果物」としてレポートを受け入れた事実は、申立人らに衝撃を与えています。

⑧ 逆に、ここに記載されていることが事実として主張されるのであれば、まさしく双方の

側にとって「公平・公正」と考える主体が、当該事業のコンサルティング業務を行わな

ければならないことは明白ですが、その努力はなされていません。つまり、

SOLIDARIEDADEとの契約は継続し、MCSCの関与も同様でした。 11. 公共調達成果物としての MCSC「インセプション・レポート」(2016 年 10 月)の

問題:MAJOL 社と同様のアプローチ

① さらに、このレポートには、MAJOL 社のレポートと同様の問題設定とアプローチが明確な形で記されています。つまり、市民社会内部のポジションやその違いが詮索され、

報告されています(p.11)。また、その内容は、上記の記述と同様、一方的なもので、一切の根拠が示されていません。書き手の側の主張が記されているだけで、上記の点と同

様、公共調達の成果物としてのクオリティと妥当性を欠いています。

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② 特に、下記の p.12に示された記述は、明確に事実に反した記述となっています。例えば、パラグラフ1については、マタリア・エンプレンジメントス社の資料をご確認下さい。

さらに深刻なのは、パラグラフ 2 であり、「日本市民社社会の一部」とは、どの団体を指しているのか、どのような「別の意見」を持っているのか、具体的な事例を示さない

まま、「unconfirmed information」を流布していると主張されています。 ③ 日本の税金・市民によって支えられる独立行政法人 JICA の成果物である以上、日本の

市民社会に関する記述は正確性が求められますが、JICA はこのような不明瞭で根拠に基づかない記述をそのまま受け入れ、JICAの公文書としています。

④ また、最後の一文は主張でしかなく、本来公平性を帰するコンサルタント業務のものと

して、大変疑問が残る「成果物」となっています。

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⑤ 末尾にある参考文献一覧をみれば、この「レポート」が、必要最低限の事実確認を行う

手間すら省き、根拠なきままに他の市民社会の批判を展開していることが分かります。

7.2. 参考文献一覧

(ア) 冒頭は、PPOSC-N 自身が起草に関わった「公開書簡」で、2013 年 5 月のものです。 (イ) 二番目は、政府の発表「プロサバンナは前進する」に関する 2016 年の国内記事です。 (ウ) 三番目は、2016 年 1 月の MAJOL 社が作成した会議記録です。 (エ) 四番目は、上記 2016 年 1 月会議を受けて「キャンペーン」が発表したプロセスの不正と WWF

の関与を批判する声明です。

(オ) 五番目は、2012 年 10 月の UNAC による最初のプロサバンナ抗議声明です。 (カ) 六番目は、2012 年に出された国際 NGO/GRAIN(バルセローナ本部)の声明で、ブラジル側資

料・インタビューに基づいています。

(キ) 七番目は、英国ガーディアン紙の 2014 年 1 月の記事で、現地調査に基づいて記者が書いたものです。

(ク) 八番目は、モザンビークの宗教団体の機関誌のようですが、2015 年良くわかりません。

⑥ この「レポート」作成にあたって参照された文献は、 (1)2012年時点の土地収奪問題に

関するモザンビーク市民社会と国際 NGO の声明、(2)政府側の言い分、(3) 自らの会議記録、(4)MCSC 結成プロセスへの批判、(5)その他(新聞記事・宗教団体の機関誌)だけです。つまり、上記に紹介した「キャンペーン」や「日本の市民社会の一部」の批判

の根拠とされるべき文献は一切示されていません。

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⑦ 声明に関しては、4 年以上も前のもの、あるいは PPSOC-N と一緒に作成された 2013年の「公開書簡」が参照されています。これらの声明はいずれも3カ国の事業担当者へ

のインタビューや文献調査に基づいたものでした。また、「キャンペーン」は 2014年 6月に結成されており、それ以前のものにすぎません。なお、2016 年の「キャンペーン」によるWWFの不透明な関与に対する批判は、MCSC形成プロセスに関してのものであり、土地の問題は言及されていません。

⑧ また、「キャンペーン」の調査や声明が批判されていますが、それらに関する情報・資料

はどこにも掲載されておらず、また「キャンペーン」が批判の根拠としているデータの

クロスチェックもされていません。 ⑨ 上記のとおり、8点しか示されていない参考文献には、日本の市民社会が関わった声明、

調査報告などは、一切掲載されていません。したがって、一部の日本の市民社会が行っ

たという「unconfirmed information about the land conflicts and the program」を根拠づける文献は、一切記載されていません。

⑩ つまり、この「インセプション・レポート」は、伝聞、思い込み、あるいは一方的な断

定による他団体への誹謗中傷テキストとなっています。そのため、公的基金を支払うに

値する成果物のクオリティとして、著しく妥当性を欠くものとなっています。 ⑪ それにもかかわらず、JICA は、「14. inspection」を経た上で、この状態のものを受け

入れ、契約金の 20%(440万円)を支払っています。 ⑫ 「インセプション・レポート」は、契約相手方が、JICA に代わって援助事業を進めて

いく上で、基本認識と事業の方向性を JICA とすりあわせるために重要な文書として位置づけられています。そこで示された基本認識が根拠と妥当性を欠いていた場合、事業

に問題が生じる可能性は高くなります。つまり、せっかくの公的基金が無駄になりかね

ません。だからこそ、JICAは「レポート」をしっかりと審査をする責務があり、JICAの求めに契約相手方が応じて、書き直しをしなければならないことが契約書に明記され

ています(14-2. Inspection)。 ⑬ その意味で、JICAはこれを怠ったといえます。 12. 日本大使館の資金提供による「プレスツアー」(2016 年 12 月)時のムトゥア氏の

扱い(新聞記事、外務省文書)

① このように、JICAは、「環境社会配慮ガイドライン」や「コンプライアンス・ポリシー」を有しながら、モザンビークの他 CSOsに対して根拠を示さないまま一方的な批判を記すグループに対して、「公共事業のコンサルティング資金」を投じました。

② この「レポート」が開示されたのも、質問主意書や国会質問などの議員の努力があって

のことであり、当初 JICAは開示をしぶり、その開示には長い時間がかかりました。 ③ ムトゥア氏は、この「レポート」の提出主体・MCSCのコーディネイターであり、かつ

JICA の契約相手方(署名人)として資金の受取人となっています。つまり、これが、MCSCのものであれ、SOLIDARIEDADEのものであれ、ムトゥア氏の責任は誰よりも重いことは明白です。

④ しかし、JICA と現地の日本大使館は、これを問題とは捉えず、ムトゥア氏との契約を続け、広報戦略においても同氏を重用し続けました。

⑤ JICAが CV&A社を使って策定した「コミュニケーション戦略書」が日本で問題化していた最中の 2016年 10-12月、在モザンビーク日本大使館は、JICAと協力し、「ナカラ回廊プレスツアー」を企画しました。外務省によれば、「たまたまプロサバンナ事業が今

回の中心テーマになった」とのことです。 ⑥ これに関する情報開示請求を外務省に行い、開示された文書によると(【添付 19】)、「戦

略書」どおりの手順と対象が選ばれています。中でも、「キャンペーン」に協力してきた

新聞(Verdade紙)がターゲットとされ、重点的に情報提供されたことが分かります。 ⑦ そして、この文書では、「取材先の市民社会代表」として MCSC/PPOSC-N のムトゥア

氏の名前が記載されている一方、JICA とコンサルタント契約期間中である事実は紹介

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されていません。 ⑧ そして、JICAがアレンジした、MCSCと上記 Verdade紙とのインタビュー時も、JICA

関係者は立ち会っていたにもかかわらず、契約事実を記者には伝えませんでした。その

結果、「プロサバンナ対象 3 州(北部)の市民社会代表」による説明として、ムトゥア氏の説明が、そのまま記事に記載されています(【添付 10】)。

⑨ ムトゥア氏は、記事に何度も現れ、「キャンペーン」の団体を名指しで批判していますが、

公正・公平性が求められる JICA の契約コンサルタントの公的発言として、大変問題があります。「JICA関係者」に求められる、コンプライアンス・ポリシーに掲げられた指針が守られていないといえます。

⑩ また、ムトゥア氏は、自らが副代表を務める PPOSC-Nの加盟団体(UPC-Nampulaやカトリック教会「正義と平和委員会」)が「キャンペーン」に参加していることを知りな

がら、「キャンペーン」が首都の市民社会組織のもので「北部を支配している」との言説

を流布するなど、事実に基づかない説明を公然としています。このことに、申立人らは

ひどく傷つけられたと言います。 ⑪ この記事を問題にした日本の国会議員に対し、JICA は、インタビューの当日は伝えな

かったが、後日 Verdade紙の記者にはムトゥア氏との契約事実を伝えており、記事に記載するか否かは同紙の判断であるとの主張を行っています。疑問の残る説明ではありま

すが、これが本当であったとしても、公共調達・契約事実の透明性の促進を掲げる JICAとして、大変問題のある対応であったといえます。(*詳細ついては、「JICA による不透明契約(随意契約)」関連資料をご覧下さい)

13. 2017 年 3 月ワークショップでの「キャンペーン」の議論

① 2017年 3月に入ると、JICAの契約相手方の問題行動は、日本の国会でも問題視されるようになりました。その最中の 3月 14日に、MCSC主催の会議がマプートで計画されていることが分かりました(【添付 11】)。

② この会議の式次第を見れば分かるように、この会議は、3カ国政府とMCSCが「プロサバンナ・マスタープランの見直しプロセス」の現状と今後の戦略を話し合う場として位

置づけられています。しかし、その議題や時間の 4 分の1は、「キャンペーン」に対する戦略を議論するための現状確認と話し合いに割かれています。

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③ マプートで開催され、「キャンペーン」が議題になっているにもかかわらず、首都在住の

「キャンペーン」団体はこの会議を知らされず、また招待もされていませんでした。 ④ 上記アジェンダに勝手に名前が記載され、招待された農民団体や宗教団体からの相談で、

3 カ国の市民社会はこのワークショップの開催を知りました。詳細を JICA に照会するように要請を受けた日本の NGO は、外務省・JICA 対話窓口(国際協力局国別開発協力第三課)に問い合わせを行いました。

⑤ その結果、外務省からは「誤解を生むもの」との懸念が共有されたものの、この会合が

MCSC の「内輪」ものであり、JICA との契約範囲内のものではなく、市民社会の発意のもののため、中止は不可能との説明がなされました。また、アジェンダは、知らなか

ったとの説明がなされました。 ⑥ その後、JICA・外務省の説明は二転三転し、国会議員の追求によって、JICAモザンビ

ーク事務所の特別緊急予算(約 70 万円)で行われたことが発覚しました。そして、この予算の要請をしたのはムトゥア氏であったが、それは JICA コンサルタントとしてではないとの説明がなされています。詳しくは、すべての経緯と記録が記載されている「公

開質問状」をご確認下さい(【添付 6】)。 まとめ

① 以上から、ProSAVANA-PD 事業のサブプロジェクト「マスタープラン見直し」の運営において、JICA は、著しく不透明な対応を継続させています。対外的には、MCSC を「市民社会の主体的なイニシアティブ」と強調し、ムトゥア氏を「モザンビーク北部の

市民社会の代表」として宣伝に利用しながら、実際には、契約相手方(とその成果提出

者)として行動を縛りつつ、巨額の資金を流しています。 ② 上記のいずれの情報も、ある共通の方向性を指し示しています。それは、プロサバンナ

事業に異議を唱える農民や市民社会組織を敵視し、排除したり影響力を弱めるための戦

略戦術が練られ、これが実行に移されていることです。そして、これらの戦略・計画・

行動を JICA が承知しながら、これに様々な形で資金を投じていることも明らかになっています。

③ このような実態が可視化された理由は、事業の関係者ながら、プロサバンナ事業が当事

者を傷つけ、社会を分断する形で事業が進んでいることを疑問に思った内部告発者がい

たからでした。事業の初期の段階から関わったこの内部告発者の危険を顧みない情報提

供(リーク)がなければ、当事者はこれを知ることはできませんでした。 ④ また、ここまで紹介した情報・文書は、「伝統的ドナー」である日本が、3カ国の中で唯

一、憲法に掲げられた主権在民の原則を踏まえる形で情報公開法や JICA ガイドラインなどの法制度を整え、それを鍛えているからこそ、得られたものでした。当事者にこれ

ほど影響を及ぼす事業・活動の情報が、あまりに遠くに隠されてきた 5年間であったことも、念頭においていただければと思います。

⑤ 最後に、本文書が扱う SOLIDARIEDADEとの契約について、申立人が申立書にあるにもかかわらず、ヒアリング時にほとんど話さなかった理由は、仲間同士の悪口とも聞こ

えることを外国からきた人の前で口にすることは恥ずかしいことだという倫理観のため

だったそうです。 ⑥ 「申立書を読んでください」と繰り返し述べたのはそのためで、「お金」「利己的」とい

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う言葉を使い、あえて誰か(団体を含む)の名前を口にしなかったのは、この契約の件

が重要ではないからではなく(最も社会を傷つけたと考えていることは申立書通り)、文

化的規範と仲間への想いからであることをどうか受け止めてほしいとのことです。 以上、申立人の要請に基づき、提出いたします。