令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20...

68
令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評 令和234() 令和元年度東京都水道水質検査精度管理「講評会」 東京都健康安全研究センター

Transcript of 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20...

Page 1: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

令和元年度水道水質検査精度管理実施結果に関する講評

令和2年3月4日(水)

令和元年度東京都水道水質検査精度管理「講評会」

東京都健康安全研究センター

Page 2: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

本日の内容実施概要

解析方法

配付試料の均質性及び経時変化

塩素酸解析結果の概要評価基準を満たさなかった原因及び改善策告示法に基づく検査の実施状況まとめ

ホルムアルデヒド解析結果の概要評価基準を満たさなかった原因及び改善策告示法に基づく検査の実施状況まとめ

Page 3: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

実施概要

Page 4: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

精度管理の目的

検査機関における水質検査の分析技術の向上を図り、信頼性をより一層高める

精度管理用試料を各検査機関に配付し、

得られたデータを用いて、分析上の問題点やデータのバラつきの程度と正確さに関する実態を把握する

Page 5: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

参加検査機関数水道事業体:4機関厚生労働大臣登録検査機関:35機関

実施項目・無機物:塩素酸・有機物:ホルムアルデヒド

実施時期試料配付日 :令和元年9月30日(月)報告書提出期限:令和元年10月25日(金)

39機関

Page 6: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

配付試料

1. 塩素酸水道水にあらかじめ希釈した塩素酸イオン標準液を添加したものを使用

2. ホルムアルデヒド冷却したミネラルウォーターにホルムアルデヒド標準原液を添加したものを使用

項目 添加濃度(mg/L) 基準値(mg/L)

塩素酸 0.22 0.6

ホルムアルデヒド 0.060 0.08

Page 7: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

実施方法【試料の保存及び分析】

水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法(以下、告示法という)に従って、精度管理用試料から5回の測定を行う。

【検査方法】

塩素酸別表第16の2:イオンクロマトグラフ法

ホルムアルデヒド

別表第19 :溶媒抽出―誘導体化―ガスクロマトグラフ―質量分析法別表第19の2:誘導体化―高速液体クロマトグラフ法別表第19の3:誘導体化―液体クロマトグラフ―質量分析法

精度管理報告書等の提出内容報告書及び測定の詳細分析結果を得るための情報(チャート、検量線等)検査実施作業書または操作手順のフローシート等検査機関情報

Page 8: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

解析方法

Page 9: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

統計解析について

解析機関東京都健康安全研究センター薬事環境科学部 環境衛生研究科

統計解析方法各検査機関における5回分の報告値の平均値を使用

外れ値の検出・当該データを棄却…Grubbsの棄却検定

検査精度の評価…zスコア及び中央値との誤差率…各検査機関内の変動係数

Page 10: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

Grubbs(グラブス)の棄却検定

疑わしい値がxであるとき、

Tn=(x-平均値)/標準偏差

平均値:全検査機関の平均値

標準偏差:全検査機関の標準偏差

Tnの値が棄却限界値以上のとき、xは危険率(有意水準)α%で棄却することができる。

○棄却限界値は、個体数と危険率に依存

○危険率は1%水準に設定

藤森利美著分析技術者のための統計的方法 第2版

データの中に他の値とかけ離れて いる値があり、その異常値を棄却してもよいか統計学的に吟味する方法

Page 11: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

zスコア

z=(x-X)/sx:各検査機関の報告値の平均値

X:棄却後のデータの中央値

s: (データの第3四分位数-データの第1四分位数) × 0.7413

最小値 最大値中央値

第1四分位数

第3四分位数

各検査機関の平均値(x)の大きさ順に並べる

藤井賢三著(2000) 試験所認定制度における技能試験(1)環境と測定技術,27,51-56

分析技能を評価する手法の一つであり、各測定値が全体の分布の中でどのような位置にあるかを相対的に示したもの

Page 12: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

誤差率

誤差率(%)=xX

×100

x:各検査機関の報告値の平均値

X:棄却後のデータの中央値

検査機関内平均値と検査機関間中央値との比率

変動係数

C.V.(%)=σx

×100

C.V.:変動係数

σ:各検査機関の報告値の標準偏差

x:各検査機関の報告値の平均値

統計WEB「統計学の時間」https://bellcurve.jp/statistics/course/

標準偏差を平均値で割った値のことで、平均値に対するデータとばらつきの関係を相対的に評価する際に用いる数値

Page 13: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

1. 塩素酸の場合、

検査機関のzスコアが|z|<3、もしくは中央値との誤差率が

±10%以内であること。

ホルムアルデヒドの場合、

検査機関のzスコアが|z|<3、もしくは中央値との誤差率が

±20%以内であること。

2. 検査機関内変動係数が塩素酸は10%以下、

ホルムアルデヒドは20%以下であること。

評価基準

実施項目において、以下のいずれかの評価基準を満たさなかった検査機関には、原因究明及び改善報告書の提出を求める

Page 14: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

配付試料の均質性及び経時変化

Page 15: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

配付試料の均質性について

・試料配付日(配達日)に試料をランダムに10本選択し、n=2で測定。

・各試料において2回の測定値の平均値を算出した後、試料間の

標準偏差Ssを算出。

Ss≦0.3×σRSs:解析機関において、ランダムに選択した試料間の標準偏差

σR:棄却後の参加機関の平均値の標準偏差

塩素酸 ホルムアルデヒド

①σR 0.013 0.0065

②0.3×σR 0.004 0.0020

③Ss 0.002 0.0002

③≦②なので、配付試料は均質であったと言える。※ ISO/IECガイド43-1(JIS Q 00430-1)付属書A「技能試験プログラムにおける安定性試験・均質性試験手順書」

Page 16: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

配付試料の経時変化

ダネット検定の結果

0日目の各項目の濃度を対照とし、15日目の塩素酸濃度及び3日目のホルムアルデヒド濃度との有意差はなかった。

• 告示法「試料の採取及び保存」速やかに試験できない場合には塩素酸は2週間以内、ホルムアルデヒドは72時間以内に試験することと規定

• 塩素酸は、配付日(0日目)、1日目、7日目、15日目に、ホルムアルデヒドは0日目、1日目、2日目、3日目に試料を一本ずつ選択し n =5で測定

塩素酸 ホルムアルデヒド

0.00.20.40.60.81.01.2

0 10 20

0日

目の

濃度

との

経過日数 (日)

0.00.20.40.60.81.01.2

0 2 40

日目

の濃

度と

の比

経過日数 (日)

Page 17: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

解析結果の概要

塩素酸

Page 18: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

塩素酸

参加検査機関数 39 機関 標準偏差 0.013 mg/L

Grubbs棄却検定で棄却された検査機関数

1 機関検査機関内変動係数 最大値

2.8 %

棄却検定後の機関数

38 機関検査機関間変動係数

5.4 %

最大値 0.281 mg/L 平均値 0.247 mg/L

最小値0.214

(0.121)mg/L

評価基準を満たさなかった検査機関数

6 機関

中央値 0.249 mg/L 水質基準値 0.6 mg/L

( ):Grubbsの棄却検定前の値

Page 19: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

各検査機関の平均値及び変動係数(塩素酸)

0

2

4

6

8

10

12

14

0.000

0.050

0.100

0.150

0.200

0.250

0.300

0.350

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39

変動

係数

(%)

濃度

(mg/

L)

検査機関

変動係数 平均値 ヒゲ 最小値~最大値 中央値 zスコア=±3 中央値 ±10%

機関No.11の結果値はGrubbs棄却検定で棄却されたため、統計処理には使用しなかった。

Page 20: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

各検査機関におけるzスコアの度数分布(塩素酸)

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9≦

-3.

0

-3.0

<~

≦-2.

5

-2.5

<~

≦-2.

0

-2.0

<~

≦-1.

5

-1.5

<~

≦-1.

0

-1.0

<~

≦-0.

5

-0.

5<

~≦

0

0<

~≦

0.5

0.5<

~≦

1.0

1.0<

~≦

1.5

1.5<

~≦

2.0

2.0<

~≦

2.5

2.5<

~<

3.0

3.0≦

検査

機関

zスコア

Page 21: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

Grubbsの棄却検定で棄却された機関評価基準を満たさなかった機関

原因及び改善策

塩素酸

Page 22: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

機関No.11の測定詳細

中央値と比較して、値が約半分

Grubbsの棄却検定により棄却

項目

検査機関内平均値

検査機関内変動係数

誤差率zスコア

検査機関間中央値

(mg/L) (%) (%) (mg/L)

塩素酸 0.121 0.7 -51.3 -20.16 0.249

Page 23: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

<Grubbs棄却検定で棄却された原因>

○ 精度管理が重なり、検査員が混乱したことよる計算ミス

<改善策>

○ 精度管理が2つ以上同時期に実施される場合、精度管理ごとに担当者を決める。

○ 実施の進捗状況を野帳にまとめ、その都度上司に報告する。

○ 改善策を検査員に周知徹底する。

イオンクロマトグラフの精度管理を3件同時期に実施 すべての精度管理を検査員1人が担当 本試料を2倍希釈したが等倍として計算した可能性

Page 24: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

機関No.9の測定詳細

zスコアが|z|≧3かつ誤差率が±10%を超過

項目

検査機関内平均値

検査機関内変動係数

誤差率zスコア

検査機関間中央値

(mg/L) (%) (%) (mg/L)

塩素酸 0.281 2.8 12.7 4.99 0.249

Page 25: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

ベースラインのくぼみの溶出時間が早まり塩素酸のピークに影響を及ぼさなくなった。

<評価基準を満たさなかった原因>

○ 塩素酸ピーク付近にベースラインのくぼみ

塩素酸ピークを過大に積分

<改善策>

○ 溶離液の組成を変更

改善前 改善後

Page 26: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

機関No.22の測定詳細

zスコアが|z|≧3かつ誤差率が±10%を超過

項目

検査機関内平均値

検査機関内変動係数

誤差率zスコア

検査機関間中央値

(mg/L) (%) (%) (mg/L)

塩素酸 0.221 0.6 -11.4 -4.48 0.249

Page 27: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

<評価基準を満たさなかった原因>

○ 分析カラムの劣化により、塩素酸と臭化物イオンのピークが分離不良→塩素酸面積値が低く算出

〇計測データの確認不足

<改善策>○ カラムの定期的な交換、分離不良時のカラム更新と再測定○ 測定データごとにピーク形状等のダブルチェック○ 精度不良情報の共有化

カラム交換

誤差率:-11.4% 誤差率:0.97%

臭化物イオン 塩素酸臭化物イオン 塩素酸

Page 28: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

機関No.24の測定詳細

zスコアが|z|≧3かつ誤差率が±10%を超過

項目

検査機関内平均値

検査機関内変動係数

誤差率zスコア

検査機関間中央値

(mg/L) (%) (%) (mg/L)

塩素酸 0.219 0.3 -12.3 -4.83 0.249

Page 29: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

○ 検量線に使用した標準液の調製ミス

<改善策>

○ 今後、検量線作成時には他の検査員が調製した標準液も同時に測定し、各濃度点で確認を行う。

精度管理試料を再測定 精度管理で用いた混合標準液で作成した検量線で再定量

→ 0.222 mg/L(中央値との誤差率 -10.8%) 新たに購入した塩素酸標準液を用いて作成した検量線で定量

→ 0.253 mg/L(中央値との誤差率 1.6%)

<評価基準を満たさなかった原因>

<東京都健康安全研究センターのコメント>日頃から標準液ピークの面積値を記録しておき、測定の際に過去の面積値と比較する。

Page 30: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

機関No.25の測定詳細

zスコアが|z|≧3かつ誤差率が±10%を超過

項目

検査機関内平均値

検査機関内変動係数

誤差率zスコア

検査機関間中央値

(mg/L) (%) (%) (mg/L)

塩素酸 0.222 0.0 -10.9 -4.29 0.249

Page 31: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

○ カラムの劣化による不具合

<改善策>

○ 古いカラムを廃棄し、新しいカラムへ交換する

塩素酸ピークが近傍の未同定ピークと近接→塩素酸の面積値を低く定量

<評価基準を満たさなかった原因>

カラム洗浄

分析カラム洗浄前 0.222 mg/L 洗浄後 0.246 mg/L(誤差率:-1.2%)

塩素酸 未同定ピーク未同定ピーク

塩素酸

Page 32: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

<東京都健康安全研究センターのコメント>カラムの劣化について

カラムの劣化度合いを把握するために、目的成分の保持時間や他イオンとの分離状態を随時確認し、記録しておく。

カラムを洗浄又は交換する目安を設ける。

Page 33: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

機関No.28の測定詳細

zスコアが|z|≧3かつ誤差率が±10%を超過

項目

検査機関内平均値

検査機関内変動係数

誤差率zスコア

検査機関間中央値

(mg/L) (%) (%) (mg/L)

塩素酸 0.223 0.7 -10.7 -4.20 0.249

Page 34: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

○ろ過処理時のろ過器具への吸着

<改善策>

○ ろ過器具の材質の変更〇 使用年数の短い分析機器を使用する

検量線及び標準原液は問題なし 0.30 mg/L標準液をろ過処理後の測定値(n=3)

使用フィルター :0.267 mg/L別素材のフィルター:0.292 mg/L未ろ過 :0.297 mg/L

分析機器は2台使用(2007年購入、2017年購入)2007年購入機は稀に定量下限値付近の真度が若干低値

<評価基準を満たさなかった原因>

Page 35: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

<東京都健康安全研究センターのコメント>ろ過処理

当該機関と同材質のろ過装置を使用している他の参加機関の報告値では特に低い値は見られなかった。

通常ろ過操作で塩素酸濃度が減少することは考えにくい。

今回の検証では分析値の改善が認められたことから、改善策は妥当と判断した。

妥当性評価を実施するなど、検査精度を随時確認する必要がある。

Page 36: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

機関No.37の測定詳細

zスコアが|z|≧3かつ誤差率が±10%を超過

項目

検査機関内平均値

検査機関内変動係数

誤差率zスコア

検査機関間中央値

(mg/L) (%) (%) (mg/L)

塩素酸 0.214 0.6 -14.3 -5.62 0.249

Page 37: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

<評価基準を満たさなかった原因>

○ 臭化物イオン標準液の添加

臭化物イオンは標準作業書(SOP)に記載なし 他依頼のため臨時的に標準液へ添加して分析

聞き取り調査-臭化物イオン添加有無と検量線の傾きに関連が見られる

臭素イオン標準液の添加により、塩素酸標準液の面積値に正の誤差を与えたと推察

<改善策>

○ 今後は標準液に臭化物イオンを添加しない

5月 9月 10月 11月

臭化物イオン標準液の添加 × 〇 〇 ×

検量線の傾き 0.134 0.162 0.159 0.132

Page 38: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

<東京都健康安全研究センターのコメント>SOPに記載のない標準液の添加

水質基準項目の検査ではSOPを遵守して試験を実施しなければならない。

いくつかの標準液を混合する場合には、他成分の定量に影響がないことを十分確認してから使用する必要がある。

Page 39: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

告示法等に基づく検査の実施状況

塩素酸

Page 40: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

試験開始までの日数 ろ過処理速やかに試験できない場合は、冷暗所に保存し、2週間以内に試験する。

検水をメンブランフィルターろ過装置でろ過し、始めのろ液約10 mLは捨て、次のろ液を試験溶液とする。

39

2週間以内

36

3

行った 行わなかった

Page 41: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

標準原液 標準液の調製この溶液は、使用の都度調製する。

2

36

1

自己調製標準原液

市販標準原液

市販混合標準原液

38

1

用時調製

試験開始日以前に調製

Page 42: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

検量線範囲

39

1.2 mg/L以内

調製した濃度は1.2 mg/Lを超えてはならない。

検量線の濃度点数

塩素酸標準液を段階的にメスフラスコ4個以上に採り、・・・

39

4点以上

Page 43: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

空試験

空試験により検量線の濃度範囲の下限値を下回ることを確認する。

38

1

行った 行わなかった

検量線にブランク値を含むか

1本の検量線につきブランク試料を含まない4点以上の・・・ 「妥当性評価ガイドラインより」

38

1

含まない 含む

Page 44: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

まとめ

塩素酸

Page 45: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

• 参加39機関のうち、1機関がGrubbsの棄却検定により棄却された。

• 棄却後の38機関のうち、統計処理を行ったところ、 6機関が評価基準を満たさなかった。

• Grubbsの棄却検定により棄却又は評価基準を満たさなかった原因は、希釈倍率の計算ミス、ベースラインの不良、カラムの劣化、標準液の調製ミス、SOPに記載のない成分の標準液添加であった。また、ろ過器具への吸着等による試料濃度の低下が報告された。

• ほとんどの機関で告示法に基づいて検査を実施していたが、ろ過処理、標準液の調製、検量線の作成及び空試験において告示法を遵守していない機関があった。

Page 46: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

平成21年度

機関数 原因 改善策

3塩素酸に対して硝酸が高い場合、分離が不十分 別の型番のカラムに変更

1 塩素酸と臭化物の保持時間が重複

1 カラム劣化、塩素酸、臭化物、硝酸の重複

新しい同じ型番のカラムに変更

1 カラム劣化、塩素酸、塩化物の分離不良

平成26年度

1 塩素酸と硝酸のピークの分離が不十分 溶離液の流量を変更→助言1

1 クロマトグラムのベースラインの乱れ チューブ類の洗浄、新しいサプレッサーへの交換

1 塩素酸と硝酸のピークの分離が不十分 試料を2倍に希釈→助言2

1 溶離液の濃度が最適な条件ではなかった 溶離液濃度を変更

助言1:新しいカラムへの交換、または分離の良いカラムへの変更助言2:分離カラムや溶離液の組成・濃度の見直しを助言

過去の精度管理結果(塩素酸)

Page 47: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

解析結果の概要

ホルムアルデヒド

Page 48: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

ホルムアルデヒド

参加検査機関数 35 機関 標準偏差 0.0065 mg/L

Grubbs棄却検定で棄却された検査機関数

1 機関検査機関内変動係数 最大値

4.1 %

棄却検定後の機関数

34 機関検査機関間変動係数

10.8 %

最大値0.0748(0.123)

mg/L 平均値 0.0602 mg/L

最小値 0.0430 mg/L

評価基準を満たさなかった検査機関数

4 機関

中央値 0.0602 mg/L 水質基準値 0.08 mg/L

( ):Grubbsの棄却検定前の値

Page 49: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

0

2

4

6

8

10

12

14

0.0000

0.0200

0.0400

0.0600

0.0800

0.1000

0.1200

0.1400

1 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 39

変動

係数

(%)

濃度

(mg/

L)

検査機関

変動係数 平均値 ヒゲ 最小値~最大値 中央値 zスコア=±3 中央値 ±20%

機関No.11の結果値はGrubbs棄却検定で棄却されたため、統計処理には使用しなかった。

各検査機関の平均値及び変動係数(ホルムアルデヒド)

Page 50: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

0

1

2

3

4

5

6

7

8

≦-3

.0

-3.0

<~

≦-2

.5

-2.5

<~

≦-2

.0

-2.0

<~

≦-1

.5

-1.5

<~

≦-1

.0

-1.0

<~

≦-0

.5

-0.5

<~

≦0

0<~

≦0.

5

0.5

<~

≦1.

0

1.0

<~

≦1.

5

1.5

<~

≦2.

0

2.0

<~

≦2.

5

2.5

<~

<3.

0

3.0≦

検査

機関

zスコア

各検査機関におけるzスコアの度数分布

(ホルムアルデヒド)

Page 51: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

Grubbsの棄却検定で棄却された機関評価基準を満たさなかった機関

原因及び改善策

ホルムアルデヒド

Page 52: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

機関No.11の測定詳細

中央値と比較して、2倍程度高濃度

Grubbsの棄却検定により棄却

項目

検査機関内平均値

検査機関内変動係数

誤差率zスコア

検査機関間中央値

(mg/L) (%) (%) (mg/L)

ホルムアルデヒド 0.123 2.1 104.1 20.26 0.0602

Page 53: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

<Grubbs棄却検定で棄却された原因>

○報告書及び計算書への入力ミス

<改善策>

○ 報告書をまとめる際には、精度管理に携わった検査員全員でチェックし、経過を逐次上司に報告する。

○ 改善策を検査員に教育し、周知徹底する。

溶媒抽出―誘導体化―ガスクロマトグラフ―質量分析法で分析抽出作業者 :試料採取量は20 mL(2.5倍希釈)分析・報告者 :報告書及び計算書に希釈率5倍と入力

操作手順や機器の不具合がないことを確認

Page 54: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

機関No.6の測定詳細

zスコアが|z|≧3かつ誤差率が±20%を超過

項目

検査機関内平均値

検査機関内変動係数

誤差率zスコア

検査機関間中央値

(mg/L) (%) (%) (mg/L)

ホルムアルデヒド 0.0723 1.4 20.2 3.92 0.0602

Page 55: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

<評価基準を満たさなかった原因>

○ 分析に使用した分液ロートの汚染

分析に使用する分液ロートは前日に加熱処理 精度管理時は多数の検体処理のため、数日前に加熱処理 分液ロートの保管場所(局所排気付き実験台)内で、有機溶媒を

使用していた→ホルムアルデヒドを含む雰囲気下に置かれていた可能性(推定)

<改善策>

○分液ロートを使用直前に加熱処理することの徹底

Page 56: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

機関No.10の測定詳細

zスコアが|z|≧3かつ誤差率が±20%を超過

項目

検査機関内平均値

検査機関内変動係数

誤差率zスコア

検査機関間中央値

(mg/L) (%) (%) (mg/L)

ホルムアルデヒド 0.0430 2.5 -28.5 -5.55 0.0602

Page 57: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

<評価基準を満たさなかった原因>

○ 標準液調製に使用したメタノールの汚染

検量線の傾きが測定日の前後のトレンドと比較して大きい。

検量線の調製に使用したメタノールは開封済みのものを使用していた。

<改善策>

○標準液調製の際には、未開封のメタノールを使用することの徹底

○標準作業書及び試験手順等の教育○検量線の管理基準の設定及び検査時の確認

0

5

10

15

20

25

検量

線の

傾き

測定日による検量線傾きの変動

精度管理時

Page 58: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

機関No.23の測定詳細

zスコアが|z|≧3かつ誤差率が±20%を超過

項目

検査機関内平均値

検査機関内変動係数

誤差率zスコア

検査機関間中央値

(mg/L) (%) (%) (mg/L)

ホルムアルデヒド 0.0476 0.1 -21.0 -4.08 0.0602

Page 59: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

<評価基準を満たさなかった原因>

○ 添加量過多による検量線不良

検量線標準列の調製にマイクロピペットを使用 精度管理時に、通常使用しているピペットチップが在庫なし

→別メーカーのチップを使用検証:以下の3種を用いて検量線を作成し、既知濃度の試料を分析

<改善策>

○検量線作成時にはマイクロシリンジを使用する

マイクロピペットマイクロシリンジ

代替チップ 通常使用チップ

検量線の傾き 12.2 11.5 10.3

試料定量値の誤差率(%)

0.020 mg/L -11.0 -7.2 -1.7

0.060 mg/L -16.1 -11.5 -3.2

Page 60: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

機関No.29の測定詳細

zスコアが|z|≧3かつ誤差率が±20%を超過

項目

検査機関内平均値

検査機関内変動係数

誤差率zスコア

検査機関間中央値

(mg/L) (%) (%) (mg/L)

ホルムアルデヒド 0.0748 0.5 24.3 4.73 0.0602

Page 61: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

<評価基準を満たさなかった原因>

○ 作業場所の室内空気からの汚染

試験室内の空気中ホルムアルデヒド濃度が他の部屋よりも高濃度であった。

超純水を作業場所に放置したところ、ホルムアルデヒド濃度が空試験と比較して高い値が検出された。

洗瓶中の水中ホルムアルデヒド濃度が高い値を示したものがあった。

使用した器具の汚染、担当者の技術力不足

<改善策>

○室内環境の改善○試料の希釈や標準液の調製における新しい

精製水の使用○教育訓練の実施

Page 62: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

告示法に基づく検査の実施状況

ホルムアルデヒド

Page 63: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

検査方法

1815

2

溶媒抽出-誘導体化-GC/MS法誘導体化-HPLC法誘導体化-LC/MS法

33

2

72時間以内 72時間超

速やかに試験できない場合、72時間以内に試験する。

試験開始までの日数

Page 64: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

標準原液の調製 標準液の調製

標準液は、使用の都度調製する。

33

2

用時調製

試験開始日以前に調製

1

34

自己調製標準原液

市販標準原液

Page 65: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

検量線範囲 検量線の濃度点数

検量線系列の濃度:調製した濃度は0.1 mg/Lを超えてはならない。

32

3

0.1 mg/L以内 0.1 mg/L超

標準液を段階的にメスフラスコ4個以上に採り・・・

35

4点以上

Page 66: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

検量線にブランク値を含むか

空試験

検量線の作成では、ブランク試料を含まない・・・「妥当性評価ガイドライン」より

34

1

含まない 含む

35

行った

Page 67: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

まとめ

ホルムアルデヒド

Page 68: 令和元年度水道水質検査精度管理 実施結果に関する講評...1.0 1.2 0 10 20 の比 経過日数(日) 0.2 0.6 0.8 1.0 1.2 0 2 4 の比 経過日数(日) 解析結果の概要

• 参加35機関のうち、1機関がGrubbsの棄却検定により棄却された。

• 棄却後の34機関のうち、統計処理を行ったところ、 4機関が評価基準を満たさなかった。

• 棄却及び評価基準を満たさなかった原因は、人為的ミス及び分析に使用する器具及び溶媒等の汚染であった。人為的ミスはチェック体制の強化や教育訓練の実施が求められる。標準液を調製する溶媒や試料の希釈水についても、未開封の溶媒の使用や空試験により汚染の有無を確認する等の対策を行い、汚染の影響のない条件の下で検査を行う必要がある。

• ほとんどの機関が告示法に基づいて検査を実施していたが、試験開始までの日数、標準液の調製、検量線の作成において告示法を遵守していない機関があった。