令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業...

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農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける 食品ロス削減手法等に関する調査) 報告書 令和 2 2 みずほ情報総研

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農林水産省委託業務

令和元年度

食品産業リサイクル状況等調査委託事業

(スポーツイベントにおける

食品ロス削減手法等に関する調査)

報告書

令和 2年 2月 みずほ情報総研

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目次 1. 背景 ..................................................................................................................................1 2. 調査目的 ...........................................................................................................................1 3. 調査項目 ...........................................................................................................................1 4. 選手を対象とした食品ロス削減に効果的な啓発手法の検討・検証 ................................2

4.1. 検証の実施場所 ........................................................................................................ 2 4.2. 啓発手法の検討 ........................................................................................................ 2 4.3. 検証方法の検討 ........................................................................................................ 5

4.3.1. 計測方法............................................................................................................ 5 4.3.2. アンケートの設計 ............................................................................................ 11

4.4. 食品ロス削減効果の検証 ....................................................................................... 12 4.4.1. 検証の実施概要 ............................................................................................... 12 4.4.2. 計測による検証 ............................................................................................... 14 4.4.3. アンケートによる検証 .................................................................................... 54

5. イベント参加者を対象とした食品ロス削減に効果的な啓発手法の検討・検証 ............60 5.1. 検証の実施場所 ...................................................................................................... 60 5.2. 啓発手法の検討 ...................................................................................................... 60 5.3. 検証方法の検討 ...................................................................................................... 65

5.3.1. 計測方法.......................................................................................................... 65 5.3.2. アンケートの設計 ........................................................................................... 67

5.4. 食品ロス削減効果の検証 ....................................................................................... 70 5.4.1. 検証の実施概要 ............................................................................................... 70 5.4.2. 計測による検証 ............................................................................................... 71 5.4.3. アンケートによる検証 .................................................................................... 74

6. 自治体、ホテル、飲食関係事業者等を対象としたセミナーの開催 ..............................89 6.1. 開催目的 ................................................................................................................. 89 6.2. 参加対象 ................................................................................................................. 89 6.3. 募集方法 ................................................................................................................. 89 6.4. 開催概要 ................................................................................................................. 93

6.4.1. 開催情報.......................................................................................................... 93 6.4.2. プログラム ...................................................................................................... 93

6.5. 開催結果 ................................................................................................................. 95 6.5.1. 参加者 ............................................................................................................. 95 6.5.2. セミナーの様子 ............................................................................................... 95 6.5.3. 事後アンケート結果 ....................................................................................... 98

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7. スポーツイベントによって発生する食品廃棄物のリサイクル手法の検討 ................ 106 7.1. リサイクル手法の概要 ......................................................................................... 106 7.2. 選手への食事提供に伴って発生する食品廃棄物の性状・形態 ........................... 107 7.3. リサイクル手法の検討 .......................................................................................... 112

8. 東京 2020 大会において効果的な食品ロス削減手法等および、その実施上の課題の整理

...................................................................................................................................... 113

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1. 背景 東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京 2020 大会」という。)の

開催に向けて、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下「組織委員会」

という。)は、東京 2020 大会を環境を重視した持続可能な大会とするため、大会の準備・

運営を行う上での原則を示す「持続可能性に配慮した運営計画」(以下「運営計画」という。)

を策定している。 この運営計画第二版では、気候変動や資源管理など 5 つの主要テーマごとに目標とその

達成に向けた施策を示している。そのうち資源管理に関しては 9 つの目標を掲げ、目標 1 を

「食品ロス削減(食品廃棄物の発生抑制)」としており、そのための施策として選手村など

組織委員会が直接食料の提供を行う施設では食事提供のフロー(調達→調理→提供→消費)

の各段階で効果的な食品ロス対策を講じることとしており、「消費」の対策として「食品廃

棄物抑制の重要性についての意識啓発」を挙げている。 また、目標 7「食品廃棄物の再生利用」においては、食品ロスの発生抑制が重要であると

しつつも、発生してしまった食品廃棄物については再生利用を目指すとしている。

2. 調査目的 東京 2020 大会において、選手村等組織員会が直接食料を提供する施設で発生する食品ロ

スの削減に資するべく、東京 2020 大会の前に開催される国際的な大規模スポーツイベント

(以下「スポーツイベント」という。)において、「消費」段階における食品ロス削減手法の

検証をおこなうとともに、東京 2020 大会に向けた当該手法の周知および発生した食品廃棄

物のリサイクル手法の検討をおこなう。

3. 調査項目 本調査の背景と目的をふまえ、以下の調査項目を実施する。 (1) 選手を対象とした食品ロス削減に効果的な啓発手法の検討・検証 (2) イベント参加者を対象とした食品ロス削減に効果的な啓発手法の検討・検証 (3) 自治体、ホテル、飲食関係事業者等を対象としたセミナーの開催 (4) スポーツイベントによって発生する食品廃棄物のリサイクル手法の検討 (5) 東京 2020 大会において効果的な食品ロス削減手法等および、その実施上の課題

の整理

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4. 選手を対象とした食品ロス削減に効果的な啓発手法の検討・検証

4.1. 検証の実施場所

大規模スポーツイベントに出場する選手を対象とした啓発による食品ロスの削減効果の

検証は、ラグビーワールドカップ 2019 に出場する選手が宿泊する都内のホテル等にご協力

いただき、表 4.1 のとおり実施した。

表 4.1. 検証実施場所等の概要

スポーツイベント ラグビーワールドカップ 2019

検証対象チーム A 国代表チーム(アジア・オセアニア)

B 国代表チーム(ヨーロッパ)

検証場所 選手が宿泊するホテル(都内)

協力 ワールドラグビー

ラグビーワールドカップ 2019 組織委員会

日本ラグビーフットボール協会

ホテル(都内)

4.2. 啓発手法の検討

啓発資材は、一部の国への選手のみへ行うと、選手のコンディションに影響が生じる可能

性があることが考えられたため、計測を実施したホテルのみではなく、選手が宿泊する全ホ

テルで掲示した。啓発資材については、ほとんどのホテルで掲示に支障がないと考えられ、

かつ昨年度調査にて効果的と考えられた、食卓テーブルへの三角柱ポップとブッフェ台付

近へのポスターの 2 種類とした(図 4.1、図 4.2)。 三角柱ポップに関しては、言語によりポップの種類を分けず、1 つのポップに 3 言語を載

せることとし、ラグビーワールドカップ 2019 出場国の選手の使用言語を考慮した英語、仏

語、日本語の 3 言語でメッセージを提示した。 啓発メッセージは昨年度調査と同様の考え方とし、「すべてお召し上がりいただき、あり

がとうございます」というメッセージで、推奨している行動を端的に示し行動コストが下が

ることを狙った。また、「当ホテルはチームの皆様を応援しています!」というメッセージ

でスポーツ大会に臨んでいる選手の状況に配慮し受け入れてもらいやすくなるよう工夫し

た。アイキャッチとしては、昨年度調査にて三角柱ポップへの反応がよかった要因と考えら

れた笑顔の「ろすのん」を今年も配置した。これは、食品ロス削減行動を推奨するメッセー

ジのみを提示するだけでも、人々は社会規範に準じる性質があることから行動変容の効果

があると考えられるが、笑顔も加えて示すことで、行動をすると褒められるというプラスの

感情のフィードバックも与えられ、行動変容の効果がより高くなると考えられるためであ

る。今年度はメインメッセージの末尾にも、笑顔の顔文字を配置し、また 3 面違うものにす

ることで、人々がより長い時間ポップに関心を持てるよう工夫した。

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ポスターのメッセージも、「ブッフェを楽しむ秘訣は『少しずつ、何回でも』」というメッ

セージで、推奨している行動を端的に示すことで行動コストが下がることを狙い、「当ホテ

ルはチームの皆様を応援しています!」というメッセージでスポーツ大会に臨んでいる選

手の状況に配慮し受け入れてもらいやすくするよう工夫した。また、アイキャッチとしては、

三角柱ポップ同様に、笑顔の「ろすのん」を配置した。

図 4.1 三角柱ポップのデザイン

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図 4.2 ポスターのデザイン

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4.3. 検証方法の検討

4.3.1. 計測方法

選手の食事会場を事前に確認した結果および、関係各方面から提供いただいた情報にも

とづき、検証における計測方法を次のとおりとした。

(1) 計測項目 料理の量に関する計測項目は、ブッフェボードへの「①出卓量」、出卓されずに廃棄され

た料理の「②スタンバイ廃棄量」、ブッフェボードに残った料理の「④出卓後廃棄量」、選手

の食べ残した「⑦可食部の量」と「⑧不可食部」とする。また、これらをもとに、選手に提

供するために調理された料理の量「③調理後の料理量」と、選手が取り皿に取り分けた「⑤

取り分け量」、選手が食べ残した「③食べ残し量」、選手に取り分けられずに廃棄された「⑥

取り分け前の廃棄量」を算出する。 また、食事に関わる人数として、「⑪喫食数」と「⑫食事の提供を予定していた人数」を

計測する。 これら計測項目と計算項目の一覧を表 4.2 に、計測項目と計算項目の関係を図 4.3 に示

す。

表 4.2. 計測項目および計算項目の一覧

計測項目等 単位 説明

① 出卓量 g 計測値

選手に提供するために取り分ける前の大皿に盛り付け

てブッフェボードに出卓した量

② スタンバイ

廃棄量 g 計測値

調理したが出卓されずに廃棄された量

③ 調理後の料理量 g 計算値(=①+②)

提供するために調理した料理の総量

④ 出卓後廃棄量 g 計測値

取り分けられずに大皿に残った量

提供する時間が過ぎるなどして食事中に下げられたも

のを含む

⑤ 取り分け量 g 計算値(=①-④)

大皿から自分の皿に取り分けた量

⑥ 取り分け前の

廃棄量 計算値(=②+④)

調理したが取り分けられずに廃棄された量

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計測項目等 単位 説明

⑦ 食べ残し量

(可食部) g 計測値

自分の皿に取り分けた分のうち食べずに残した可食部

の量

⑧ 食べ残し量

(不可食部) g 計測値

自分の皿に取り分けた分のうち食べずに残した不可食

部の量

⑨ 食べ残し量 計算値(=⑦+⑧)

自分の皿に取り分けた分のうち食べずに残した量

⑩ 喫食量 g 計算値(=⑤-⑨)

選手が自分の皿に取り分けた分のうち実際に食べた量

⑪ 喫食数 人 計測値

実際に食事を摂った人数

⑫ 食事の提供を予

定していた人数

人 計測値

食事を提供する予定の人数(宿泊者数)

図 4.3. 計測項目と計算項目の関係

(2) 計測区分

これまでの調査から、オリンピック・パラリンピックなど世界レベルの大会に出場する選

手は食事の栄養指導を受けるとともに、自らも摂取する栄養を管理していることが多いこ

とが分かっている。したがって、提供される料理の区分によって選手の食べ残しの傾向が異

なる可能性が考えられる。これらを考慮し、提供する料理と、食べ残しの区分を表 4.3 のと

③調理後の料理量(計測値)

⑤取り分け量(計算値)

⑩喫食量(計算値)

⑨食べ残し量(計算値)

④出卓後廃棄量(計測値)

⑦可食部の量(計測値)

⑧不可食部の量(計測値)

②スタンバイ廃棄量(計測値)

⑥取り分け前の廃棄量(計算値)

①出卓量(計測値)

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おりとした。なお、食べ残しの区分で可食部と不可食部の区別が書いていないものは全て可

食部である。表 4.3 には参考として各区分に対応する料理の例を併せて示す。

表 4.3. 計測における料理と食べ残しの区分および、料理の例

料理の区分 料理の例 食べ残しの区分

野菜 ミックスリーフ 野菜

ブロッコリー

チェリートマト

オクラ

オニオンスライス

アボカド

野菜(不可食部)

魚料理 カジキマグロの照焼き 魚料理

魚(不可食部)

肉料理 豚ヒレ肉のソテー 肉料理

ビーフストロガノフ

チキンのトマト煮込み 肉(不可食部)

飯類 白米 飯類

玄米

パスタ・麺類 そば(冷製) パスタ・麺類

スパゲッティーニ

スパゲッティーニ(ミートソース)

フルーツ キウイフルーツ フルーツ

ミックスベリー

ミックスナッツ

ドライフルーツ

バナナ

フルーツ(不可食部)

乳製品 プレーンヨーグルト 乳製品

パン バケット パン

ライ麦パン

食パン

サンドイッチバー(アボカド)

サンドイッチバー(スライスチーズ)

サンドイッチバー(トマトスライス)

サンドイッチバー(蒸し鶏)

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料理の区分 料理の例 食べ残しの区分

サンドイッチバー(ツナ)

デザート スフレケーキ デザート

バニラアイスクリーム

日本食 ほうれん草ごま和え 日本食

納豆

温泉卵

冷奴

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(3) 計測資材の配置 計測のための資材は、厨房から食事会場の動線上に配置する。具体的な配置は、図 4.4 に

示すものを基本とし、計測当日の食事会場や動線上の備品の配置に応じて変更することと

する。なお、配置の変更にあたってはできるだけ配膳と下膳の動線が交差することなく計測

ができるように配慮する。

図 4.4. 計測資材の配置と動線

計測の手順は、大きく提供時の配膳と、下膳時に分かれる。下膳時は更に取り皿に取り分

けられた料理の食べ残しと、提供用の大皿に残った料理の計測に分かれる。 まず、提供時の計測は図 4.4 中の配膳の動線に沿った流れで行う。厨房からの料理もし

くはウォーマーや冷蔵庫に保管された料理は、食事会場に運び込まれる直前に計測台で提

供時の重量を計測してから食事会場に運び込む。この際、料理にはラップをし、異物混入等

に細心の注意を払った。また、重量の計測だけでなく、料理毎に重量の計測時の写真を撮る

ことで、後の検証に役立てた。 次に、取り分けられた料理の食べ残しの計測は図 4.4 中の下膳の動線に沿った流れで行

う。食べ残しが皿と共に食事会場から下げられてきたら、まず、分別台で食べ残しを料理の

種類ごとに分別する。分別後に空いた皿は使用済み皿置場に仮置きし、まとめて厨房の皿洗

い場に運ばれる。一方、分別した食べ残しは、計測台で区分ごとに重量を計測する。計測が

終わった食べ残しは、その横にあるバケツに廃棄する。なお、分別作業を速やかに行えるよ

う料理と分別区分の対応表を予め掲示しておく。 また、大皿に残った料理の計測も図 4.4 中の下膳の動線に沿った流れで行う。食事が終

わったときや差し替えのために食事会場から下げられたときに計測台で残った料理の量を

計測台(下膳)●

バケツ●

使用済み皿置場●

分別台●

食事会場

配膳の動線

下膳の動線

●計測台(配膳)

●ウォーマー

●冷蔵庫

厨房

洗い場

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計測する。計測が終わった後、残った料理をバケツに破棄するとともに、空いた皿は使用済

み皿置場に仮置きし、まとめて厨房の皿洗い場に運ばれる。なお、大皿に残った料理を分別

する必要がある場合は、分別台で料理の種類ごとなどに分別した後に計測する。 これらの計測を実施するにあたり用意した資材を表 4.4 に示す。

表 4.4. 計測資材一覧

資材 備考

ボウル 食べ残し分別用

計量器 配膳用と下膳用の 2 台

ヘラ 食べ残し分別用

記録票

クリップボード 記録用

ボールペン 記録用

ブルーシート 分別台と計測台の下を養生

養生テープ

白衣 衛生管理のため

各種ラベル・名札

分別対応表 料理の分別区分一覧

※その他計測に必要なバケツや作業台についてはホテルにご提供いただいた。

(4) 計測対象と日程

計測対象と日程は、選手のホテル滞在期間と滞在期間中の練習や試合の予定を考慮して

可能な範囲で同じ条件で計測できるよう選定した。その結果、表 4.5 のとおりアジア・オセ

アニア地域の A 国について 9 月 16 日から 18 日の昼食、ヨーロッパ地域の B 国について 9月 25 日から 27 日の昼食を対象にすることとした。

表 4.5. 計測対象と日程

対象国 計測日 大会日程

A 国 9 月 16 日 練習日

(アジア・オセアニア) 9 月 17 日 練習日

9 月 18 日 練習日

B 国 9 月 25 日 休養日

(ヨーロッパ) 9 月 26 日 練習日

9 月 27 日 練習日

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4.3.2. アンケートの設計 啓発資材の効果を確認するため、今回対象となった選手及びスタッフへアンケートを実

施することとした。アンケートの主な質問項目は下表のとおりである。アンケートは、関係

各所との調整の関係で、啓発実施からおおむね 3 か月後となる 2019 年 12 月に実施した。 なお、アンケートの実施対象は、A 国のスタッフ及び選手である。

表 4.6. アンケートの主な質問項目

主な質問項目

・属性 ・遠征先での食事方法についての学習経験、実際の考慮状況 ・過去遠征時の食べ残し傾向 ・今回滞在における食べ残し有無、食べ残した理由 ・ポップ、ポスターの認知状況、行動変容状況 ・東京 2020 大会で効果的と考えられる食べ残し対策

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4.4. 食品ロス削減効果の検証

4.4.1. 検証の実施概要

先述のとおり検討した三角柱ポップとポスターの啓発資材を選手の食事会場に掲示する

とともに、啓発資材を掲示したことによる食品ロスの削減効果を、食事の際に選手が食べ残

した料理の量などの計測と、アンケートにより検証した。 啓発資材の掲示日程は表 4.7 に示すとおりである。本調査の実施にあたり、大会組織委

員会より、公平を期すため大会期間中を通して選手が宿泊するすべてのホテルで啓発資材

を掲示するよう指示があった。そこで、本調査では、計測開始日の前日から一時的に啓発資

材を撤去して、「掲示なし」について計測した。その後、啓発資材を再び掲示して「掲示あ

り」について計測した。

表 4.7. 啓発資材の掲示日程

日付 A 国 B 国

三角柱ポップ ポスター 備考 三角柱ポップ ポスター 備考

9 月 12 日 掲示 掲示 宿泊開始

13 日 ↓ ↓

14 日 ↓ ↓ 掲示 掲示 他ホテルに泊

15 日 なし なし ↓ ↓ ↓

16 日 なし なし 計測日 ↓ ↓ ↓

17 日 掲示 なし 計測日 ↓ ↓ ↓

18 日 ↓ 掲示 計測日 ↓ ↓ ↓

19 日 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

20 日 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

21 日 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

22 日 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

23 日 ↓ ↓ 他ホテルに泊 ↓ ↓ ↓

24 日 ↓ ↓ ↓ なし なし 宿泊開始

25 日 ↓ ↓ ↓ なし なし 計測日

26 日 ↓ ↓ ↓ 掲示 なし 計測日

27 日 ↓ ↓ ↓ ↓ 掲示 計測日

28 日 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

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啓発資材の効果を検証するための計測は、表 4.8 に示すとおり、9 月 16 日から 18 日に

A 国代表チームについて、9 月 25 日から 27 日に B 国代表チームについて実施した。また、

アンケートは表 4.9 に示すとおり、インターネット方式により 12 月 17 日から 27 日の間

で実施した。

表 4.8. 計測の実施概要

検証対象チーム A 国代表チーム(アジア・オセアニア)

B 国代表チーム(ヨーロッパ)

検証期間 2019 年 9 月 16~18 日の昼食(A 国代表チーム)

2019 年 9 月 25~27 日の昼食(B 国代表チーム)

検証場所 各国代表チームが宿泊するホテル(都内)

食事の提供方法 ブッフェ形式

協力 ワールドラグビー

ラグビーワールドカップ 2019 組織委員会

日本ラグビーフットボール協会

ホテル(都内)

実施者 農林水産省

みずほ情報総研株式会社

表 4.9. アンケートの実施概要

対象チーム A 国代表チーム(アジア・オセアニア)

回答期間 2019 年 12 月 17~27 日

回答方法 インターネット方式

協力 ラグビーワールドカップ 2019 組織委員会

日本ラグビーフットボール協会

実施者 農林水産省

みずほ情報総研株式会社

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図 4.5. 計測の様子

4.4.2. 計測による検証

(1) 計測結果(A 国) ① 調理後の料理量

1) 調理後の内訳別

調理後の内訳別の料理量を図 4.6 と図 4.7 に示す。計測期間の平均が約 55kg、一人あた

りでは約 1,000g で計測日毎に大きな違いはない。スタンバイの廃棄量は、計測 1 日目(掲

示なし)から計測 3 日目に(掲示①+②)にかけて減少している。なお、グラフ横軸の「掲

示①」は①三角柱ポップを掲示した計測日、「掲示①+②」は①三角柱ポップと②ポスター

を掲示した計測日であることを示しており、以下同様である。

図 4.6. 調理後の料理量(総量)

32.2 31.9 32.2 32.0 32.1

15.7 18.7 18.6 18.7 17.7

7.6

0

10

20

30

40

50

60

70

調理後の内訳[

kg]

廃棄(スタンバイ)

廃棄(出卓後)

食べ残し(不可食)

食べ残し(可食)

喫食

56.4 54.0 52.7 53.3 54.4

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図 4.7. 調理後の料理量(一人あたり)

2) 料理種別

調理後の料理量を料理種別にまとめた結果を図 4.8 から図 4.10 に示す。計測 2 日目(掲

示①)は他の計測日に比べて飯類の割合が多く、肉料理の割合が少なくなっている。

図 4.8. 料理種別調理後の料理量(総量)

606.9 591.0 574.4 582.5 590.5

296.2 347.1 332.1 339.5 325.4

143.8

0200400600800

1,0001,2001,4001,600

調理後の内訳[

g/人]

廃棄(スタンバイ)

廃棄(出卓後)

食べ残し(不可食)

食べ残し(可食)

喫食

6.4 4.5 5.3 4.9 5.43.5 4.6 2.4 3.5 3.5

18.812.3 15.4 13.8 15.5

8.812.9 9.2 11.0 10.3

7.46.5 5.9 6.2 6.6

5.95.9 8.1 7.0 6.6

2.83.0 3.4 3.2 3.1

0

10

20

30

40

50

60

70

料理量[

kg]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

1,064.9 999.4 941.4 969.9 1,000.8

56.4 54.0 52.7 53.3 54.4

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図 4.9. 料理種別調理後の料理量(一人あたり)

図 4.10. 調理後の料理量の種別構成比

120.8 82.8 94.3 88.7 99.166.4 84.4 43.0 63.3 64.3

354.8226.9 275.8 251.8 285.3

166.4238.0 164.3 200.5 189.4

140.5120.6 106.1 113.2 122.1

111.8109.8 143.8 127.1 122.1

52.556.3 60.9 58.6 56.6

0200400600800

1,0001,2001,4001,600

一人あたり料

理量[

g/人]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

11.3% 8.3% 10.0% 9.1% 9.9%6.2% 8.4% 4.6% 6.5% 6.4%

33.3%22.7% 29.3% 26.0% 28.5%

15.6%23.8% 17.5% 20.7% 18.9%

13.2% 12.1% 11.3% 11.7% 12.2%

10.5% 11.0% 15.3% 13.1% 12.2%

4.9% 5.6% 6.5% 6.0% 5.7%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

料理の構成比[

%]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

1,064.9 999.4 941.4 969.9 1,000.8

Page 21: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

17

② 取り分け量 選手が取り分けた料理の量をまとめた結果を図 4.11から図 4.13に示す。総量が約33kg、一人あたりでは約 610g/人で計測日毎に大きな変化はない。調理後の料理について飯類が他

の計測日よりも多かった計測 2 日目(掲示①)は、取り分け量も他の計測日よりも多くなっ

ている。

図 4.11. 料理種別取り分け量(総量)

図 4.12. 料理種別取り分け量(一人あたり)

9.4 8.6 9.9 9.2 9.3

5.9 8.7 4.2 6.5 6.33.9 1.9

3.7 2.8 3.24.2 4.4 6.5 5.4 5.0

05

101520253035404550

取り分

け量[

kg]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

60.4 39.1 61.5 50.5 53.742.1 66.9 29.1 47.7 45.9

184.8 160.3 202.5 181.8 182.7

112.5 162.2 76.0 118.3 116.478.5 35.1 68.8 52.3 60.882.3 87.6 119.8 104.0 96.9

0100200300400500600700800900

1,000

一人あたり取

り分け量[

g/人]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

33.1 32.4 34.1 33.3 33.2

625.0 600.2 609.3 604.8 611.4

Page 22: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

18

図 4.13. 取り分け量の種別構成比

③ 喫食量 選手の喫食量をまとめた結果を図 4.14 から図 4.16 に示す。総量は約 32kg で、一人あ

たりの量は約 590g/人である。飯類の取り分け量が他の計測日よりも多かった計測 2 日目

(掲示①)は、喫食量も他の計測日と比べて多くなっている。

図 4.14. 料理種別喫食量(総量)

9.7% 6.5% 10.1% 8.3% 8.8%6.7% 11.1% 4.8% 7.9% 7.5%

29.6% 26.7% 33.2% 30.1% 29.9%

18.0% 27.0% 12.5% 19.6% 19.0%

12.6% 5.9%11.3% 8.6% 9.9%

13.2% 14.6% 19.7% 17.2% 15.9%

5.7% 2.2% 4.8% 3.5% 4.3%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

取り分

けの構成比[

%]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

3.2 2.1 3.4 2.8 2.92.2 3.6 1.6 2.6 2.5

9.4 8.6 9.9 9.2 9.3

5.9 8.7 4.2 6.5 6.33.9 1.9

3.7 2.8 3.24.2 4.4 6.5 5.4 5.0

05

1015202530354045

喫食量[

kg]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

32.2 31.9 32.2 32.0 32.1

Page 23: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

19

図 4.15. 料理種別喫食量(一人あたり)

図 4.16. 喫食量の種別構成比

60.2 38.9 61.1 50.2 53.542.1 66.8 28.8 47.5 45.7

177.1 159.1 176.5 167.9 170.9

111.7 161.375.2 117.4 115.6

73.0 34.766.8 51.0 58.2

78.3 81.5 115.3 98.7 92.1

0100200300400500600700800900

一人あたり喫

食量[

g/人]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

3.2 2.1 3.4 2.8 2.92.2 3.6 1.6 2.6 2.5

9.4 8.6 9.9 9.2 9.3

5.9 8.74.2 6.5 6.3

3.91.9

3.72.8 3.2

4.2 4.4 6.5 5.4 5.0

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

喫食の構成比[

%]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

606.9 591.0 574.4 582.5 590.5

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20

④ 食べ残し量(可食部) 選手が食べ残した料理のうち可食部についてまとめた結果を図 4.17 から図 4.19 に示す。

計測期間で平均すると総量は約 0.6kg で、一人あたりの量は約 11g/人である。

図 4.17. 料理種別食べ残し量(可食部)(総量)

図 4.18. 料理種別食べ残し量(可食部)(一人あたり)

0.40.1

0.4 0.2 0.3

0.3 0.10.1 0.1

0.1

0.10.1 0.1

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

食べ残し量

(可食)[

kg] 日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

7.61.3

7.6 4.5 5.5

5.4 2.01.2 2.6

0.7

2.0

1.81.9 1.5

05

101520253035404550

一人あたり食

べ残し量

(可食)[

g/人] 日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

0.8

0.3

0.8 0.5 0.6

14.7

5.0

14.0 9.6 11.3

Page 25: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

21

図 4.19. 食べ残し量(可食部)の種別構成比

⑤ 取り分け前の廃棄量 選手に取り分けられる前すなわち、出卓後の廃棄量とスタンバイの廃棄量の合計をまと

めた結果を図 4.20 から図 4.22 に示す。計測期間を平均すると総量は約 21kg で、一人あ

たりの量は約 390g/人であるが、計測 1 日目(掲示なし)から計測 3 日目(掲示①+②)に

かけて減少している。

図 4.20. 料理種別取り分け前の廃棄量(総量)

51.9%25.0%

54.4% 46.8% 49.0%

5.6%

17.5%

5.7%8.7% 7.4%

36.9%

9.3%

14.2%12.9% 23.1%

4.7%

40.5%13.0% 20.1%

13.6%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

食べ残し(

可食)の構成比[

%] 日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

3.2 2.4 1.8 2.1 2.51.3 0.9 0.8 0.9 1.0

9.0

3.6 4.1 3.85.6

2.9

4.1 4.9 4.54.0

3.3

4.6 2.1 3.43.3

1.6

1.21.3 1.3

1.4

0.92.3

1.82.0

1.7

0

5

10

15

20

25

30

廃棄量(取り分

け前)[

kg] 日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

23.3 21.6

18.6 20.1 21.2

Page 26: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

22

図 4.21. 料理種別取り分け前の廃棄量(一人あたり)

図 4.22. 取り分け前の廃棄量の種別構成比

60.5 43.7 32.9 38.2 45.4

170.066.5 73.3 70.0 102.5

53.9

75.9 88.3 82.2 73.0

62.085.5 37.3 60.9 61.3

16.643.0

31.6 37.2 30.5

0100200300400500600700800900

一人あたり廃

棄量(取り分

け前)[

g/人] 日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

13.7% 10.9% 9.9% 10.5% 11.7%5.5% 4.4% 4.2% 4.3% 4.7%

38.6%

16.7% 22.1% 19.2%26.3%

12.2%

19.0%26.6% 22.5%

18.8%

14.1%

21.4%11.2% 16.7%

15.7%

6.7%

5.5% 7.2% 6.3% 6.5%

3.8%10.8% 9.5% 10.2% 7.8%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

廃棄量(取り分

け前)の構成比[

%] 日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

439.9 399.2 332.1 365.0 389.4

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23

⑥ 喫食・廃棄・食べ残し比率 1) 計測期間合計

計測期間を通算した概要を表 4.10 に、計測期間を合計した結果を図 4.23 から図 4.25に示す。

表 4.10. 計測の概要(A 国合計)

計測期間 9 月 16 日~18 日

予定食数 168 人

喫食数 163 人

啓発資材の掲示 三角柱ポップ

ポスター

図 4.23. 喫食・廃棄・食べ残し比率(総量)(A 国合計)

喫食59.0%

食べ残し(可食)1.1%

食べ残し(不可食)1.0%

廃棄(出卓後)32.5%

廃棄(スタンバイ)6.4%

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24

図 4.24. 調理後段階(調理・喫食・食べ残し・廃棄)別料理種類比率(A 国合計)

*デザートは提供されていない

図 4.25. 料理の種類別喫食・食べ残し・廃棄比率(A 国合計)

9.9% 9.1% 14.0%0.0%

6.4% 7.7% 4.1%

7.9%

28.5% 28.9% 49.0%65.4%

19.9%59.0%

18.9% 19.6% 7.4%22.4%

12.2% 9.9% 23.1%12.3%

33.1%12.2% 15.6%13.6%

34.6%7.7%

5.7% 4.4% 2.5%9.4%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

料理の割合[

%]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

53.971.1

59.961.047.7

75.4

45.745.7 47.359.0

0.3

0.2

1.9 0.4

2.1

1.3

0.2 0.5 0.2

1.1

45.820.8

22.738.6

32.9

20.6

54.253.8 52.632.5

7.9 13.2 17.36.4

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

野菜

魚料理

肉料理

飯類

パスタ・麺類

フルーツ

乳製品

パン

デザート

日本食 計

調理後の内訳[

%]

廃棄(スタンバイ)

廃棄(出卓後)

食べ残し(不可食)

食べ残し(可食)

喫食

Page 29: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

25

2) 計測 1日目

計測 1 日目の概要を表 4.11 に、計測結果を図 4.26 から図 4.28 に示す。

表 4.11. 計測の概要(A 国 1 日目)

計測期間 9 月 16 日

予定食数 56 人

喫食数 53 人

啓発資材の掲示 なし

図 4.26. 喫食・廃棄・食べ残し比率(総量)(A 国 1 日目)

図 4.27. 調理後段階(調理・喫食・食べ残し・廃棄)別料理種類比率(A 国 1 日目)

喫食57.0%

食べ残し(可食)1.4%

食べ残し(不可食)0.3%

廃棄(出卓後)27.8%

廃棄(スタンバイ)13.5%

11.3% 9.9%20.4%6.2% 6.9%2.9%

10.8%

33.3% 29.2%51.9%

25.3%66.0%

15.6% 18.4% 5.6% 18.2%

13.2% 12.0%36.9%

9.7%

23.1%10.5% 12.9%

4.7%

100.0%

10.0%

4.9% 5.9% 5.6%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

料理の割合[

%]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

Page 30: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

26

*デザートは提供されていない

図 4.28. 料理の種類別喫食・食べ残し・廃棄比率(A 国 1 日目)

3) 計測 2日目

計測 2 日目の概要を表 4.12 に、計測結果を図 4.29 から図 4.31 に示す。

表 4.12. 計測の概要(A 国 2 日目)

計測期間 9 月 17 日

予定食数 56 人

喫食数 54 人

啓発資材の掲示 三角柱ポップ

図 4.29. 喫食・廃棄・食べ残し比率(総量)(A 国 2 日目)

49.863.5

49.967.1

52.070.0

56.768.4

53.057.0

0.1 2.2

0.5

3.9

0.6

0.0 1.4

50.013.0

21.2

32.4

20.5

26.443.3

31.647.027.8

23.526.8 23.713.5

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

野菜

魚料理

肉料理

飯類

パスタ・麺類

フルーツ

乳製品

パン

デザート

日本食 計

調理後の内訳[

%]

廃棄(スタンバイ)

廃棄(出卓後)

食べ残し(不可食)

食べ残し(可食)

喫食

喫食59.1%

食べ残し(可食)0.5%

食べ残し(不可食)0.4%

廃棄(出卓後)34.7%

廃棄(スタンバイ)5.2%

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27

図 4.30. 調理後段階(調理・喫食・食べ残し・廃棄)別料理種類比率(A 国 2 日目)

*デザートは提供されていない

図 4.31. 料理の種類別喫食・食べ残し・廃棄比率(A 国 2 日目)

8.3% 6.6% 5.2% 12.6%8.4% 11.3%

1.5%5.0%

22.7% 26.9%

25.0%13.2% 40.0%

23.8%27.3%

17.5% 21.9%

12.1%5.9%

9.3%15.6%

60.0%

11.0% 13.8%40.5%

100.0%

6.4%8.5%

5.6% 2.3%12.4%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%料理の割合[

%]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

46.9

79.270.167.7

28.7

74.2

35.323.7

55.459.1

0.3

0.10.6 0.4

0.4

1.9

0.1

0.5

52.8

20.720.131.9

44.9

20.2

64.676.3

44.634.725.9

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

野菜

魚料理

肉料理

飯類

パスタ・麺類

フルーツ

乳製品

パン

デザート

日本食 計

調理後の内訳[

%]

廃棄(スタンバイ)

廃棄(出卓後)

食べ残し(不可食)

食べ残し(可食)

喫食

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28

4) 計測 3日目

計測 3 日目の概要を表 4.13 に、計測結果を図 4.32 から図 4.34 に示す。

表 4.13. 計測の概要(A 国 3 日目)

計測期間 9 月 18 日

予定食数 56 人

喫食数 56 人

啓発資材の掲示 三角柱ポップ

ポスター

図 4.32. 喫食・廃棄・食べ残し比率(総量)(A 国 3 日目)

喫食61.0%

食べ残し(可食)1.5%

食べ残し(不可食)2.2%

廃棄(出卓後)35.3%

廃棄(スタンバイ)0.0%

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29

*この日はスタンバイの廃棄なし

図 4.33. 調理後段階(調理・喫食・食べ残し・廃棄)別料理種類比率(A 国 3 日目)

*デザートは提供されていない

図 4.34. 料理の種類別喫食・食べ残し・廃棄比率(A 国 3 日目)

10.0% 10.6% 9.9%4.6% 5.0% 4.2%

29.3% 30.7% 54.4%

87.5%

22.1%

17.5% 13.1%5.7%

26.6%

11.3% 11.6%14.2% 11.2%

15.3% 20.1%13.0%

12.5%

7.2%

6.5% 4.9% 6.0%9.5%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

料理の割合[

%]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

64.867.064.045.7

63.080.2

51.546.732.1

61.0

0.4 0.8 2.8

0.5

1.9

1.3

0.41.4

0.5

1.5

34.832.226.6

53.835.2

16.7

48.152.067.4

35.3

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

野菜

魚料理

肉料理

飯類

パスタ・麺類

フルーツ

乳製品

パン

デザート

日本食 計

調理後の内訳[

%]

廃棄(スタンバイ)

廃棄(出卓後)

食べ残し(不可食)

食べ残し(可食)

喫食

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30

(2) 計測結果(B 国) ① 調理後の料理量

1) 調理後の内訳別

調理後の内訳別の料理量を図 4.35 と図 4.36 に示す。計測期間の平均は総量が約 54kg、一人あたりでは約 1,280g だが計測日による変動が大きい。総量は A 国の約 55kg と大きな

差はないにもかかわらず一人あたりの量が A 国の約 1,000kg と差が大きい原因は、B 国の

方が喫食数が少ないためである。

図 4.35. 調理後の料理量(総量)

図 4.36. 調理後の料理量(一人あたり)

19.4

40.531.1 35.8 30.3

1.1

2.4

1.41.9

1.618.1

13.8

15.814.8

15.910.7

0.6

3.11.8

4.8

0

10

20

30

40

50

60

70

調理後の内訳[

kg]

廃棄(スタンバイ)

廃棄(出卓後)

食べ残し(不可食)

食べ残し(可食)

喫食

587.3750.5 778.4 762.4 716.9

32.944.1 34.3 39.9 38.1

548.0255.2

394.0 314.3 375.0

323.6

11.8

76.439.3 113.2

0200400600800

1,0001,2001,4001,600

調理後の内訳[

g/人]

廃棄(スタンバイ)

廃棄(出卓後)

食べ残し(不可食)

食べ残し(可食)

喫食

49.4

60.5 53.3

56.9 54.4

1,496.1

1,120.4 1,331.6

1,210.3 1,284.5

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31

2) 料理種別

調理後の料理量を料理種別にまとめた結果を図 4.37 から図 4.39 に示す。計測 1 日目(掲

示なし)はパスタ・麺類が提供されている一方で飯類は提供されていない。しかし、計測 2日目以降(掲示①と掲示①+②)は飯類が提供されている一方でパスタ・麺類は提供されて

いない。また、A 国と比較して、計測日毎の調理後の料理量の種別構成比の変動が大きく、

日によって提供される種別料理量が大きく異なった。

図 4.37. 料理種別調理後の料理量(総量)

図 4.38. 料理種別調理後の料理量(一人あたり)

11.023.0

13.5 18.3 15.92.7

3.6

3.63.6 3.3

21.98.7

15.5 12.1 15.3

9.88.3 9.1 6.07.1

3.412.3

8.7 10.5 8.1

0

10

20

30

40

50

60

70

料理量[

kg]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

334.3 426.2 337.9 388.6 374.5

80.766.0

90.4 76.4 77.5

662.3160.3 388.3 257.3 362.6182.3

206.5192.6 142.5

215.4104.2

227.0

217.6223.0

192.1

0200400600800

1,0001,2001,4001,600

一人あたり料

理量[

g/人]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

1,496.1

1,120.4 1,331.6

1,210.3 1,284.5

49.4

60.5

53.3 56.9

54.4

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32

図 4.39. 調理後の料理量の種別構成比

② 取り分け量 選手が取り分けた料理の量をまとめた結果を図 4.40 から図 4.42 に示す。取り分けられ

た料理の総量は約 21~46kg で平均すると約 34kg、一人あたりの量は約 625~860g/人で平

均すると約 800g である。取り分けられた料理の総量に幅があるのは、喫食人数の違いによ

ると考えられる。また、一人あたりの量に違いがあるのは、休養日と練習日の一人あたりの

喫食量の違いによると考えられる。

図 4.40. 料理種別取り分け量(総量)

22.3%38.0%

25.4% 32.1% 29.2%5.4%

5.9%

6.8%6.3% 6.0%

44.3% 14.3% 29.2% 21.3% 28.2%

16.3% 15.5% 15.9% 11.1%14.4%7.0%

20.3% 16.3% 18.4% 15.0%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

料理の構成比[

%]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

4.2

16.49.4 12.9 10.02.1

3.6

1.32.4

2.37.8

7.6

11.79.6

9.01.2

11.9

8.710.3

7.3

05

101520253035404550

取り分

け量[

kg]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

20.6

46.1

34.4 40.3

33.7

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33

図 4.41. 料理種別取り分け量(一人あたり)

図 4.42. 取り分け量の種別構成比

126.2303.8 234.3 274.2 235.862.8

65.931.6

51.3 54.3235.3

140.1 291.5 204.5 212.5

73.4 29.0 54.5 40.497.035.3

220.5 217.6 219.3 171.5

0100200300400500600700800900

1,000

一人あたり取

り分け量[

g/人]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

20.2%35.6% 27.2% 32.0% 29.6%

10.1%

7.7%3.7%

6.0% 6.8%

37.7% 16.4% 33.8% 23.9% 26.7%

8.6% 3.4% 6.4% 5.1%15.5%5.7%

25.8% 25.3% 25.6% 21.5%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

取り分

けの構成比[

%]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

624.5

853.4 861.1 856.7 796.3

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34

③ 喫食量 選手の喫食量をまとめた結果を図 4.43 から図 4.45 に示す。喫食量の総量は約 19~41kgで、平均すると約 30kg である。また、一人あたりの量は平均すると約 720g/人である。し

かし、計測日別にみると計測 1 日目(掲示なし)は約 590g/人だが、2 日目以降(対策①、

対策①+②)は約 760g/人である。このように一人あたりの喫食量に幅があるのは、休養日

と練習日の違いによると考えられる。

図 4.43. 料理種別喫食量(総量)

図 4.44. 料理種別喫食量(一人あたり)

3.8

15.38.4 11.8 9.22.1

3.3

1.22.3

2.27.4

7.1

11.59.3

8.7

3.4

1.02.2

1.5

2.71.2

8.8

6.77.8

5.6

05

1015202530354045

喫食量[

kg]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

114.8283.4 209.3 251.9 216.262.8

61.431.0

48.5 52.2224.5

131.8 288.2 198.4 205.2

63.1 25.9 47.3 35.082.935.3

163.4 167.2 165.0 131.3

0100200300400500600700800900

一人あたり喫

食量[

g/人]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

19.4

40.5

31.1 35.8

30.3

587.3

750.5 778.4 762.4 716.9

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35

図 4.45. 喫食量の種別構成比

④ 食べ残し量(可食部) 選手が食べ残した料理のうち可食部についてまとめた結果を図 4.46 から図 4.48 に示す。

可食部の食べ残しは総量が約 1.6kg、一人あたりの量は約 38g/人であった。

図 4.46. 料理種別食べ残し量(可食部)(総量)

19.5%37.8%

26.9% 33.0% 30.2%10.7%

8.2%

4.0%6.4% 7.3%

38.2%17.6%

37.0% 26.0% 28.6%

8.4% 3.3% 6.2% 4.9%14.1%6.0% 21.8% 21.5% 21.6% 18.3%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

喫食の構成比[

%]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

0.2

1.1 1.0 1.10.8

0.1

0.4

0.4

0.10.3

0.3

0.6

0.1

0.3

0.2

0.5

0.2

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

食べ残し量

(可食)[

kg] 日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

1.1

2.4

1.9

1.4 1.6

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36

図 4.47. 料理種別食べ残し量(可食部)(一人あたり)

図 4.48. 食べ残し量(可食部)の種別構成比

7.1

20.524.9 22.4 18.4

10.7

8.3 3.2 6.17.3

10.3

3.17.3

5.414.0

05

101520253035404550

一人あたり食

べ残し量

(可食)[

g/人] 日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

21.6%

46.4%

72.8%56.1% 48.3%

6.2%4.6%

3.6%

32.6%

18.9%

9.4%15.4%

19.3%

23.4%9.2% 18.2%

14.1%42.6%

9.6%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

食べ残し(

可食)の構成比[

%] 日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

32.9

38.1 34.3

44.1 39.9

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37

⑤ 取り分け前の廃棄量 選手に取り分けられる前すなわち、出卓後の廃棄量とスタンバイの廃棄量の合計をまと

めた結果を図 4.49 から図 4.51 に示す。取り分け前の廃棄量は、総量が約 14~29kg で、

平均すると約 21kg、一人あたりの量は約 270~870g/人で平均すると約 490g/人である。 これらの量に幅があるのは、調理する料理量は計測日によらずほぼ一定である一方で、喫

食数が日によって異なり、そのために喫食量も日によって幅があるためである。

図 4.49. 料理種別取り分け前の廃棄量(総量)

図 4.50. 料理種別取り分け前の廃棄量(一人あたり)

6.9 6.6 4.1 5.4 5.92.4

14.1

1.1 3.9 2.56.45.9

7.16.5

4.3

3.9

1.3

2.3

0

5

10

15

20

25

30

廃棄量(取り分

け前)[

kg] 日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

208.1122.4 103.6 114.4 138.7

58.8

427.0

20.296.9

52.8150.0

108.9

177.5138.1

102.2

118.568.9

0100200300400500600700800900

一人あたり廃

棄量(取り分

け前)[

g/人] 日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

28.8

14.4

18.8 16.6

20.7

548.0

255.2

394.0 314.3

375.0

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38

図 4.51. 取り分け前の廃棄量の種別構成比

⑥ 喫食・廃棄・食べ残し比率 1) 計測期間合計

計測期間を通算した概要を表 4.14 に、計測期間を合計した結果を図 4.52 から図 4.54に示す。計測期間全体の調理後段階別料理種類比率をみると、調理段階、喫食段階に対して、

食べ残し段階では「野菜」、「パスタ・麺類」の構成比が高く、計測日により傾向は異なる。

表 4.14. 計測の概要(B 国合計)

計測期間 9 月 25 日~27 日

予定食数 174 人

喫食数 127 人

啓発資材の掲示 三角柱ポップ

ポスター

23.9%

45.8%

22.0%32.4% 28.4%

12.5%7.1%

49.0% 7.6%20.6% 14.9% 30.7%

40.8% 37.7% 39.0% 20.9%13.6%

6.3%7.9%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

破棄(取り分

け前)の構成比[

%] 日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

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39

図 4.52. 喫食・廃棄・食べ残し比率(総量)(B 国合計)

図 4.53. 調理後段階(調理・喫食・食べ残し・廃棄)別料理種類比率(B 国合計)

喫食55.8%

食べ残し(可食)3.0%

食べ残し(不可食)3.2%

廃棄(出卓後)29.2%

廃棄(スタンバイ)8.8%

29.2% 30.2%48.3%

29.2% 25.8%

6.0% 7.3%

3.6%

3.6% 8.5%

28.2% 28.6%19.3%

23.0%

56.2%11.1% 4.9%

14.1%27.3%

4.4% 3.0%

9.6% 5.4%9.5%

15.0% 18.3%

1.6%

95.5%

5.5%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

料理の割合[

%]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

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40

*日本食は提供されていない

図 4.54. 料理の種類別喫食・食べ残し・廃棄比率(B 国合計)

2) 計測 1日目

計測 1 日目の概要を表 4.15 に、計測結果を図 4.55 から図 4.57 に示す。

表 4.15. 計測の概要(B 国 1 日目)

計測期間 9 月 25 日

予定食数 58 人

喫食数 33 人

啓発資材の掲示 なし

図 4.55. 喫食・廃棄・食べ残し比率(総量)(B 国 1 日目)

57.767.3

56.6

24.538.5

68.4

100.0

78.459.9 55.8

4.91.7

2.0

3.8

6.5

0.3

0.6

2.6 3.0

20.629.217.523.8

71.735.8

10.721.0

37.529.2

7.8 12.517.5 19.18.8

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

野菜

魚料理

肉料理

飯類

パスタ・麺類

フルーツ

乳製品

パン

デザート

日本食 計

調理後の内訳[

%]

廃棄(スタンバイ)

廃棄(出卓後)

食べ残し(不可食)

食べ残し(可食)

喫食

喫食39.3%

食べ残し(可食)2.2%

食べ残し(不可食)0.3%

廃棄(出卓後)36.6%

廃棄(スタンバイ)21.6%

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41

図 4.56. 調理後段階(調理・喫食・食べ残し・廃棄)別料理種類比率(B 国 1 日目)

*飯類と日本食は提供されていない

図 4.57. 料理の種類別喫食・食べ残し・廃棄比率(B 国 1 日目)

22.3% 19.5% 21.6%

100.0%

27.6%17.6%

5.4% 10.7%3.3%

44.3% 38.2%

32.6%

36.8% 69.7%

14.4% 14.1% 42.6% 14.1%

12.7%7.0%6.0% 12.6%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%料理の割合[

%]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

34.3

77.8

33.9 38.533.9

100.0

49.267.6

39.3

2.1

0.0

1.66.5

0.0

0.0

1.5

2.2

45.2

22.2

30.4

35.866.1

50.8

30.9

36.6

17.034.0

19.1 21.6

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

野菜

魚料理

肉料理

飯類

パスタ・麺類

フルーツ

乳製品

パン

デザート

日本食 計

調理後の内訳[

%]

廃棄(スタンバイ)

廃棄(出卓後)

食べ残し(不可食)

食べ残し(可食)

喫食

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42

3) 計測 2日目

計測 2 日目の概要を表 4.16 に、計測結果を図 4.58 から図 4.60 に示す。

表 4.16. 計測の概要(B 国 2 日目)

計測期間 9 月 26 日

予定食数 58 人

喫食数 54 人

啓発資材の掲示 三角柱ポップ

図 4.58. 喫食・廃棄・食べ残し比率(総量)(B 国 2 日目)

図 4.59. 調理後段階(調理・喫食・食べ残し・廃棄)別料理種類比率(B 国 2 日目)

喫食67.0%食べ残し(可食)

3.9%

食べ残し(不可食)5.2%

廃棄(出卓後)22.8%

廃棄(スタンバイ)1.1%

38.0% 37.8%46.4% 48.0%

5.9% 8.2%6.2%14.3% 17.6%

18.9%

3.3% 100.0%

16.3% 8.4%

23.4%42.7%

20.3% 21.8%

97.0%

2.5%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

料理の割合[

%]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

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43

*パスタ・麺類と日本食は提供されていない

図 4.60. 料理の種類別喫食・食べ残し・廃棄比率(B 国 2 日目)

4) 計測 3日目

計測 3 日目の概要を表 4.17 に、計測結果を図 4.61 から図 4.63 に示す。

表 4.17. 計測の概要(B 国 3 日目)

計測期間 9 月 27 日

予定食数 58 人

喫食数 40 人

啓発資材の掲示 三角柱ポップ

ポスター

66.5

93.182.2

34.6

72.0

100.098.3

68.0 67.0

4.8

4.2

5.2

5.7

1.7

5.4 3.9

25.128.75.2

59.7

2.9

26.6 22.87.4

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

野菜

魚料理

肉料理

飯類

パスタ・麺類

フルーツ

乳製品

パン

デザート

日本食 計

調理後の内訳[

%]

廃棄(スタンバイ)

廃棄(出卓後)

食べ残し(不可食)

食べ残し(可食)

喫食

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44

図 4.61. 喫食・廃棄・食べ残し比率(総量)(B 国 3 日目)

図 4.62. 調理後段階(調理・喫食・食べ残し・廃棄)別料理種類比率(B 国 3 日目)

喫食58.5%

食べ残し(可食)2.6%

食べ残し(不可食)3.6%

廃棄(出卓後)29.6%

廃棄(スタンバイ)5.7%

25.4% 26.9%

72.8%

14.7%

59.9%6.8% 4.0%7.1%

40.1%

29.2% 37.0%

9.4%

24.6%

15.5% 3.3%

9.2%

45.0%

16.3% 21.5%

5.7%

100.0%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

料理の割合[

%]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

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45

*パスタ・麺類と日本食は提供されていない

図 4.63. 料理の種類別喫食・食べ残し・廃棄比率(B 国 3 日目)

(3) 考察

① 食べ残し削減の効果 A 国について一人あたりの可食部の食べ残し量を比較すると、図 4.64 に示すとおり、掲

示しないときの食べ残しが 14.7g/人、掲示①(①卓上三角柱ポップを掲示)のときが 5.0g/人、掲示①+②(①卓上三角柱ポップと②ポスターを掲示)のときは 14.0g/人、掲示期間の

平均が 9.6g/人であった。このことから、啓発資材を掲示した後の方が一人あたりの食べ残

しの量が減る傾向にあり、啓発資材による食品ロス削減の効果の可能性が示唆された。

図 4.64. 一人あたりの食べ残し量(A 国)

61.9

34.3

74.2

12.5

76.8

100.0

75.1

41.058.5

7.4

0.6

0.8

1.5

0.9

0.9

2.6

22.3

17.1

31.1

24.9

85.9

24.9

58.129.6

13.5

33.9

5.7

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

野菜

魚料理

肉料理

飯類

パスタ・麺類

フルーツ

乳製品

パン

デザート

日本食 計

調理後の内訳[

%]

廃棄(スタンバイ)

廃棄(出卓後)

食べ残し(不可食)

食べ残し(可食)

喫食

05

101520253035404550

一人あたり食

べ残し量

(可食)[

g/人] 日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

14.7

5.0

14.09.6 11.3

掲示期間

基準日

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46

B 国については、図 4.65 に示すとおり、掲示しないときの食べ残しが 32.9g/人、掲示①

(①卓上三角柱ポップを掲示)のときが 44.1g/人、掲示①+②(①卓上三角柱ポップと②ポ

スターを掲示)のときは 34.3g/人、掲示期間の平均が 39.9g/人であった。このように、啓発

資材を掲示した後の方が一人あたりの食べ残しの量が増える傾向にあり、啓発資材による

食品ロス削減の効果はみられなかった。

図 4.65. 一人あたりの食べ残し量(B 国)

次に、啓発資材の掲示による食品ロス削減の効果について、A 国ではその可能性が示唆さ

れた一方で、B 国ではその効果がみられなかった理由について考察する。 本調査の実施にあたり、大会組織委員会より、公平を期すため大会期間中を通して啓発資

材を掲示するよう指示があった。これを受け、本調査では、計測開始日の前日から一時的に

啓発資材を撤去して、「掲示なし」について計測した。その後、啓発資材を再び掲示して掲

示①と掲示①+②について計測した。 そのため図 4.66 に示すとおり、9 月 14 日に啓発資材の掲示を開始してから 23 日までの

10 日間連続して啓発資材に接していた B 国は、11 日目に啓発資材を撤去した後も、啓発資

材の効果が残るいわゆるキャリーオーバー効果により、啓発資材の有無による効果がみら

れなかった可能性が考えられる。

05

101520253035404550

一人あたり食

べ残し量(可食)[

g/人] 日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

32.9

44.1

34.339.9 38.1

掲示期間

基準日

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47

図 4.66. 啓発資材の掲示と、計測の日程

② 食べ残しの発生要因 一人あたりの可食部取り分け量と、一人あたり食べ残し量(可食)の関係をみると図 4.67に示すとおり、A 国は取り分け量に関わらず食べ残し量はほぼ一定である。一方、図 4.68に示す B 国は、取り分け量の増加に伴い、食べ残し量も増加する傾向にある。特に、野菜

はその傾向が顕著で、かつ、食べ残しの量が他の料理に比べて多い。 また、肉料理は A 国、B 国ともに、食べ残し量が 5g/人を下回り他の料理とほぼ同程度の

ときと、5g/人を上回って他の料理よりも多いときに分かれている。

図 4.67. 一人あたりの取り分け量と食べ残し量の関係(A 国)

12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28

啓発資材開始

計測

啓発資材開始

①+② ①

計測

A国

B国

チーム 項目9月

①+② なし

なし

①+②

①+②

計測

計測

肉料理, 7.6

肉料理, 1.3

肉料理, 7.6

0

5

10

15

20

25

30

0 50 100 150 200 250 300 350

一人あたり食

べ残し量

(可食)[

g/人]

一人あたり可食部の取り分け量[g/人]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

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48

図 4.68. 一人あたりの取り分け量と食べ残し量の関係(B 国)

そこで、A 国、B 国ともに食べ残し量が 5g/人を上回り、他の料理も多い場合があった肉

料理について、その要因を次のとおり分析した。 まず、計測期間中に提供された肉料理の残り方を次の三種類に分類した。なお、「(1)肉

の赤身が主に残る」にある「赤身」は、調理した肉のうち脂身や筋が少ない部分のことであ

る。 (1) 肉の赤身が主に残る (2) 鶏の皮や脂身など赤身以外の部分が主に残る (3) ソースやスープ、付け合わせなど肉以外が主に残る 肉料理の献立と主な食べ残しの分類を表 4.18 に示す。なお、赤字で示した料理は食べ残

しが目立ったものである。

表 4.18. 肉料理の献立と主な食べ残しの分類

この表 4.18 を見ると、主な食べ残しが「(1)赤身」であった料理は、計測期間を通して

肉料理, 10.7

肉料理, 8.3

肉料理, 3.2

野菜, 7.1

野菜, 20.5

野菜, 24.9

0

5

10

15

20

25

30

0 50 100 150 200 250 300 350

一人あたり食

べ残し量

(可食)[

g/人]

一人あたり可食部の取り分け量[g/人]

日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

A国 B国計測日 9月16日 9月17日 9月18日 9月25日 9月26日 9月27日食べ残し量 7.6g/人 1.3g/人 7.6g/人 10.7g/人 8.3g/人 3.2g/人

肉料理の献立と主な食べ残しの分類

豚ヒレ肉のソテー

(1)赤身

ロースト豚肉のソテー

食べ残しなし

ビーフシチュー

(3)ソース・付合せ等

コールドミート

食べ残しなし

コールドミート

食べ残しなし

コールドミート

食べ残しなし

ビーフストロガノフ

(3)ソース・付合せ等

グリルチキン

(1)赤身

豚とキャベツのカレー炒め

(1)赤身

ミートボールとパプリカの煮込み

(3)ソース・付合せ等

ボイルエッグ

食べ残しなし

ボイルエッグ

食べ残しなし

チキンのトマト煮込み

(1)赤身

カレー食べ残し

なし

手羽元のガーリックロースト

(1)赤身

ラムシチュー

(3)ソース・付合せ等

ローストチキン

(2)皮・脂身

チキンピカタ

(1)赤身

ボイルエッグ

食べ残しなし

ブイヨンスープ(チキン)

(3)ソース・付合せ等

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49

食べ残し量が少ない。一方、主な食べ残しが「(2)皮・脂身」と「(3)ソース・付合せ等」

の料理には、食べ残しが他の肉料理と比べて多いものが散見される。 まず、主な食べ残しが「(2)皮・脂身」であったローストチキンは、鶏の皮だけが残って

いるものに加え、鶏の皮を赤身ごと切り取ったように見えるものもあった。また、スポーツ

選手の食事に関わっている管理栄養士によると、食事の際、脂質を摂りすぎないよう鶏の皮

などを極力食べないように指導しているとのことであった。これらのことをふまえると、食

べ残しが目立った肉料理のうち、「(2)皮・脂身」は脂質を摂らないようにするために残し

ている可能性が考えられる。

(食べ残しを集めたもの)

(ローストチキンで食べ残された鶏の皮)

図 4.69. ローストチキンの食べ残し

次に、主な食べ残しが「(3)ソース・付合せ等」であった料理には、食べ残し量が少ない

ものと多いものに分かれた。前者は、スープやソースにとろみがなくボウルに取り分けられ

ていたラムシチューや、ブイヨンスープ(チキン)である。一方、同じようにソースなどを

含む料理でもソースにとろみがあるビーフストロガノフやビーフシチューは、平皿に取り

分けられているものが目立った。これらの料理の食べ残しは、図 4.70 のように肉よりもソ

ースの食べ残しが多かった。これらをふまえると、後者は、ソースなどをすくい上げにくく

食べ残されることが考えられる。また、後者に含まれるものとして、野菜など肉以外の食材

が多かったミートボールとパプリカの煮込みがあった。この料理は、図 4.71 に示すように

ミートボールよりもパプリカの食べ残しが多かった。

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50

図 4.70. ビーフストロガノフの食べ残し (複数の取り皿から食べ残しを集めた状態の写真)

図 4.71. 「ミートボールとパプリカの煮込み」の食べ残し (複数の取り皿から食べ残しを集めた状態の写真)

最後に野菜についてであるが、B 国では野菜の食べ残し量が計測 1 日目は 7.1g/人であっ

たものが、2 日目が 20.5g/人、3 日目が 24.9g/人となり、2 日目以降は 1 日目の約 3 倍に増

加している。計測 2 日目以降、野菜で食べ残しが増加したのは主にブロッコリーであった。

計測 3 日目に食べ残されたブロッコリーを図 4.72 に示す。 ブロッコリーは、計測 1 日目に図 4.73 に示す冷菜(サラダ)として提供されており、こ

の日に食べ残されたものはなかった。しかし、2 日目以降は図 4.74 に示すように、冷菜に

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51

加え、温野菜としてもブロッコリーが提供されていた。

図 4.72. 食べ残されたブロッコリー(3 日目)

図 4.73. 計測 1 日目に提供されたブロッコリー(冷菜のみ)

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52

図 4.74. 計測 2 日目、3 日目に提供されたブロッコリー(冷菜(上)と温野菜(下))

選手の食事を管理する管理栄養士によると、ブロッコリーはさまざまな栄養素が豊富に

含まれるとのことであった。そのため、管理栄養士等の選手の食事にアドバイスを行う者か

ら、積極的にブロッコリーを摂取することを推奨されている可能性があり、その場合、温野

菜、冷野菜の両方で提供されたブロッコリーを選手が取り分ける機会が多くなったことが

予想される一方で、味の好みが合わない等の理由により、多く残された可能性が考えられる。

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53

③ スタンバイの廃棄 A 国の計測期間におけるスタンバイの廃棄は図 4.75 に示すとおり、計測 1 日目と 2 日目

に発生しており、その主な料理は、肉料理とパスタ・麺類である。また、B 国の計測期間に

おけるスタンバイの廃棄は図 4.76 に示すとおりであり、1 日目は、肉料理が最も多く、パ

スタ・麺類と野菜でも発生している。2 日目は、肉料理のみが、3 日目は魚料理と野菜がス

タンバイの状態で廃棄されている。スタンバイで廃棄となった料理で A 国と B 国に共通す

るのは、野菜、肉料理、魚料理の三種類である。

図 4.75. スタンバイの廃棄量(A 国)

図 4.76. スタンバイの廃棄量(B 国)

5.0

1.1 0.62.1

1.8

1.70.8

1.1

0

2

4

6

8

10

12

廃棄量(スタンバイ)

[kg] 日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

1.9 1.8 0.9 1.2

1.2

7.4

0.6

0.32.7

1.4

0

2

4

6

8

10

12

廃棄量(スタンバイ)

[kg] 日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

7.6

2.8

1.4

3.5

0.0

10.7

0.6 1.8

4.8

3.1

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54

4.4.3. アンケートによる検証

(1) アンケート結果

A 国を対象としたアンケート回答結果を以下に示す。 ① 属性と食事に関する学習経験 アンケート回答者の属性を図 4.77 に示す。アンケートの回答者の全員はスタッフであっ

た。なお、スタッフにはラグビー経験者が多く、日ごろトレーニングを行っている人も多い

と別途実施したヒアリングで明らかとなり、本回答傾向は現役選手のものではないが、近い

回答傾向にあると考えられる。 図 4.78 に示す食事に関する学習経験では、約 8 割が学習経験があると回答し、図 4.79に示す学習経験の内容では、「料理の種類と選び方」や「調理の仕方や食べ方」といった項

目が多くなっていた。 Q1 あなたの属性を教えてください Q2 あなたはこれまでに、遠征先での食

事の取り方について、専門家のアドバイ

スを受けたり、自分で学習をしたことは

ありますか?

図 4.77 属性

図 4.78 食事に関する学習経験

選手0%

スタッフ100%

(n=11)

はい82%

いいえ18%

(n=11)

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55

Q3 Q2 で「はい」の方にお伺いします。どのようなアドバイスや学習を受けましたか。 (複数回答可)

図 4.79 食事に関する学習経験の内容

② 過去遠征での食事への考慮度合いと食べ残し傾向 図 4.80 に示す遠征先で食事を摂る際のカロリーや栄養の考慮度合いは、約 46%が気を付

けていると回答した。また、過去の遠征での食べ残し傾向は、図 4.81 で示すとおり、全員

が「おおよそ毎回、食事を残さない」と回答した。 Q4 あなたは遠征先で食事を摂る際、カ

ロリーや栄養に気をつけていますか? Q5 これまで訪問した遠征先での食事の取

り方についてお伺いします。 あなたは、遠

征先で出された食事を、残すことが多いで

しょうか? それとも残さず食べることが

多いでしょうか?

図 4.80 遠征先で食事を摂る際のカロリ

ーや栄養の考慮度合い

図 4.81 過去遠征時の食べ残し傾向

100%

78%

67%

56%

33%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

料理種類の選び方(肉と野菜の量や種類)

調理の仕方や食べ方(脂身を落とす、揚げ物

の衣を避けるなど)

食事を食べるタイミング

ブッフェ(バイキング)方式の際の、料理の取

り分け方(1回で必要な量を取る)

ブッフェ(バイキング)方式の際の、料理の取

り分け方(何回かに分けて、必要な量を取る)

(n=9)

非常に気を

つけている37%

どちらかと

いえば気を

つけている9%

どちらかといえば

気をつけていない36%

ほとんど気

をつけてい

ない18%

(n=11)

おおよそ毎回、

食事を残さない100%

(n=11)

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56

③ ラグビーワールドカップ 2019 での食事に関する指導有無と食べ残し傾向 今回のラグビーワールドカップ 2019 に関しては、図 4.82 のとおり、栄養士から「料理

種類の選び方」や「調理の仕方や食べ方」、「食事を食べるタイミング」について指導を受け

たと回答した割合が多かった。また、ホテルでの食べ残し有無は、図 4.83 のとおり、約 7割が食べ残さなかったと回答し、食べ残したものがあると回答した人は図 4.84 のとおり

9%(1 名)で、その理由は「味が合わなかった」からであった。 Q6 今回のラグビーワールドカップ 2019 の期間中、チームの栄養士等から、食事に

関する具体的なアドバイスを受けましたか?(複数回答可)

図 4.82 ラグビーワールドカップ 2019 での食事に関する指導有無

82%45%

45%

27%

27%

18%

18%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

料理種類の選び方(肉と野菜の量や種類)

調理の仕方や食べ方(脂身を落とす、揚げ物

の衣を避けるなど)

食事を食べるタイミング

ブッフェ(バイキング)方式の際の、料理の取

り分け方(1回で必要な量を取る)

ブッフェ(バイキング)方式の際の、料理の取

り分け方(何回かに分けて、必要な量を取る)

料理種類の食べる順序

アドバイスは受けなかった

(n=11)

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57

Q7 今回のラグビーワールドカップ 2019大会期間中、ホテルの料理で食べ残した

ものはありますか? (ジュースなどの

飲料は除きます。覚えている範囲でお答

えください)

Q8 食べ残しをした理由を教えてください(複

数回答可)

図 4.83 ラグビーワールドカップ 2019での食べ残し有無

図 4.84 ラグビーワールドカップ 2019 で

食べ残しをした理由

④ 啓発資材認知状況 ポップについての認知状況は図 4.85 のとおり「見て、内容まで読んだ」と回答した割合

が 73%で、その後の行動変容については図 4.86 のとおり「いつも以上に、食べ残さないよ

うにした」と回答した割合が 75%であった。 ポスターについての認知状況は図 4.87 のとおり「見て、内容まで読んだ」と回答した割

合が 55%で、その後の行動変容については図 4.88 のとおり「いつも以上に食べ残さないよ

うにした」と回答した割合が 33%であった。

食べ残したもの

がある9%

食べ残さな

かった73%

覚えていない18%

(n=11)

100%

0% 20% 40% 60% 80%100%

味が合わなかった

多く量をとりすぎてし

まった

カロリーや栄養を考え

ると、残したほうがよい

と思った(n=1)

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58

Q9 ラグビーワールドカップ2019大会期間

中に滞在したホテルの食事会場で、こちらの

ポップを見ましたか?

Q10 内容まで読んだ方にお伺いします。 いつもと比べて、食事を食べ残さないように

しましたか?

図 4.85 ラグビーワールドカップ 2019 で

のポップの認知状況

図 4.86 ラグビーワールドカップ 2019 で

のポップの認知後の行動変容

Q11 ラグビーワールドカップ 2019 大会期

間中に滞在したホテルの食事会場で、こち

らのポスターを見ましたか?

Q12 内容まで読んだ方にお伺いします。い

つもと比べて、食事を食べ残さないように

しましたか?

図 4.87 ラグビーワールドカップ 2019 で

のポスターの認知状況

図 4.88 ラグビーワールドカップ 2019 で

のポスターの認知後の行動変容

⑤ 東京 2020 大会にて食べ残しに効果的と考えられる方法 東京 2020 大会にて食べ残しに効果的と考えられる方法は、図 4.89 のとおりで、最も多

かった回答は「食事会場で、日本では食べ残しを減らす運動を行っている旨を伝えるポップ

やチラシを掲示」の 82%となった。次いで、「肉の脂身は外して提供」と「食事会場でメニ

ュー名だけでなく、具体的な内容がわかるような表示」が選ばれた。

見て、内容

まで読んだ73%

見たが、内容は

読まなかった9%

見かけなかった9%

覚えていない9%

(n=11)

いつも以上に、食べ残さ

ないようにした75%

覚えて

いない25%

(n=8)

見て、内容

まで読んだ55%

見たが、内容は

読まなかった9%

見かけなかった18%

覚えていない18%

(n=11)

いつも以上

に、食べ残さな

いようにした33%

特に気にせず、

いつも通りにした67%

(n=6)

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59

Q13 2020 年に東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。 オリンピック・

パラリンピックの選手村や事前のキャンプ地のホテルなどで提供される食事の食べ残し

を減らすために、あなたはどのような対策が効果的だと思いますか?(複数回答)

図 4.89 東京 2020 大会で効果的と考えられる食べ残し対策

(2) 考察

今回の回答者は全員スタッフであったが、食事に関する学習経験は約 8 割と高く、現役

選手であればほとんど全員の選手が食事に関して学習しているものと推察される。また、学

習経験があるため、一般消費者と異なり、お皿に盛りすぎるということが少なく、自分が食

べきれる量をお皿に盛る訓練を受けているものと考えられ、今回大会でも、約 7 割が食べ

残さなかったと回答し、食べ残しがあった 1 名は、味が合わないことが原因であった。 啓発資材は、ポスターよりもポップの方の認知率が高く、また認知後の行動変容割合も大き

かったことから、どちらか一方を行うのであれば、ポップの方が好ましい可能性がある。

東京 2020 大会に向けて効果的と考えられる方法では、今回も実施した食事会場での啓発が

支持されており、可能な範囲で実施できると望ましいと考えられた。調理段階の工夫である、

肉の脂身や鶏肉の皮などは、アスリートにとっては食べないことが多い部位と考えられ、事

前に取り除くことで他の調理に利用可能であれば、事前に取り除くことが好ましい可能性

がある。また、提供段階の工夫であるメニューの表示は、食べ残しの理由として挙がってい

た味が合わなかったといったミスマッチを防止できる可能性もあり、さらに外国人選手向

けにも適した対策と考えられた。

82%

64%

64%

55%

45%

45%

45%

27%

18%

9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

食事会場で、日本では食べ残しを減らす運動を

行っている旨を伝えるポップやチラシを掲示

肉の脂身は外して提供

(ブッフェの場合)食事会場でメニュー名だけで

なく、具体的な内容がわかるような表示

肉などは大きな塊ではなく、小口サイズで切り分

けて提供

鶏肉の皮や魚の皮などは外して提供

肉や魚料理の付け合わせの野菜を別添え

肉や魚料理にかかっているソースを別添え

揚げ物は衣をつけずに素揚げにする

(アラカルトの場合)メニュー名だけでなく、写真

を用いてメニューを説明

宿泊部屋で、日本では食べ残しを減らす運動を

行っている旨を伝えるポップやチラシを掲示

(n=11)

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60

5. イベント参加者を対象とした食品ロス削減に効果的な啓発手法の検討・検証

5.1. 検証の実施場所

大規模スポーツイベントの観客などイベント参加者を対象とした啓発による食品ロスの

削減効果の検証は、ラグビーワールドカップ 2019 の試合会場の一つである横浜国際総合競

技場周辺の飲食店二店舗にご協力いただき、大会期間中に実施した。検証にご協力いただい

た飲食店の概要を表 5.1 に示す。

表 5.1. 協力飲食店の概要

協力店 1 協力店 2

店舗名 赤から新横浜店 ガスト新横浜店

業態 居酒屋 ファミリーレストラン

席数 100 席 66 席

運営者 株式会社ダイナミクス 株式会社すかいらーくホールディングス

株式会社すかいらーくレストランツ

5.2. 啓発手法の検討 啓発資材に関しては、様々な方法を検討したが、露出が高く目立った方が消費者への訴求

も大きくなると考えらえたため、ポスターと三角柱ポップの 2 種類を啓発資材とした。各

啓発資材手法と作成過程で工夫したポイントは表 5.2 及び表 5.3 のとおりで、実際に作成

したポスター及びポップと店内での掲示の様子は、図 5.1 から図 5.8 のとおりである。

表 5.2. 啓発手法

実施店舗の業態 居酒屋 ファミリーレストラン

啓発・アンケート

実施期間

2019/10/1~11/2 2019/9/20~11/3

啓発資材の数 三角柱ポップ 19 枚

ポスター22 枚

三角柱ポップ 33 枚

ポスター5 枚

啓発資材の言語 日本語と英語の併記 日本語と英語の併記

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61

表 5.3. 各啓発資材で工夫したポイント

啓発資材を置いた店舗

の業態

啓発資材の

種類

工夫したポイント

居酒屋向け ポスター 「食べ残しゼロにトライ!」というメインキャ

ッチコピーでは、店舗も消費者も一緒に取り組

む姿勢を強調

サブとなるメッセージでは、食品ロス対策に取

り組む飲食店の店員さんの気持ちを丁寧に伝

え、消費者の共感を呼ぶよう配慮

ファミリーレストラン向けの日本語メッセージ

の内容に、3010 運動*のメッセージを追加し、

宴席では食事に目が向かなくなることがあるた

め、特に訴えたいターゲットを記載した。

ポップ ラグビーワールドカップの観客が来ることを想

定し、ラグビーファンに関心を持ってもらえる

よう、東海大学ラグビー部の協力を得て、ラグ

ビーの様子の写真をアイキャッチとして利用。

店舗が実施できる対策を、具体的に 3 種類記

載。

消費者が何をすればいいのかシンプルに示し、

消費者の行動コストが下がるよう工夫。

外国人観光客を想定し、日本語と英語それぞれ

が主となる面を作成。

ファミリーレストラン

向け

ポスター ポスターのアイキャッチとして、笑顔の「ろす

のん」を配置し、食べ残し削減が社会的によい

ことだと示した。また、今後「ろすのん」を見

れば食べ残し削減キャンペーンだとわかるよう

に、認知度向上も狙い配置。

外国人観光客も想定し、サブとなるメッセージ

は英語で記載。

「食べ残しゼロにトライ!」というメインキャ

ッチコピーでは、店舗も消費者も一緒に取り組

む姿勢を強調

サブとなるメッセージでは、食品ロス対策に取

り組む飲食店の店員さんの気持ちを丁寧に伝

え、消費者の共感を呼ぶよう配慮

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62

ポップ ラグビーワールドカップの観客が来ることを想

定し、ラグビーファンに関心を持ってもらえる

よう、東海大学ラグビー部の協力を得て、ラグ

ビーの様子の写真をアイキャッチとして利用。

外国人観光客を想定し、日本語と英語それぞれ

が主となる面を作成。

食品ロスを削減することの意義を説明。

*3010 運動とは、宴会において乾杯後 30 分とお開き 10 分前は自分のお席で料理を楽しむ

ことを推奨する運動。

図 5.1 居酒屋向けのポスター

図 5.2 ファミリーレストラン向けの ポスター

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63

図 5.3 居酒屋にポスターを掲示した様子

図 5.4 ファミリーレストランに

ポスターを掲示した様子

図 5.5 居酒屋向けのポップ

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64

図 5.6 ファミリーレストラン向けのポップ

図 5.7 居酒屋でのポップ掲示の様子

図 5.8 ファミリーレストランでのポップ

掲示の様子

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5.3. 検証方法の検討

5.3.1. 計測方法

注文された料理の食べ残し量の計測に協力いただく居酒屋の厨房や客席の配置、メニュ

ー構成を確認した結果にもとづき、計測の方法を次のとおりとした。

(1) 計測項目 居酒屋のメニューは、大きく「単品メニュー」、「食べ放題コース」、「宴会コース」の三種

で構成されている。この店舗責任者への事前ヒアリングによると「食べ放題コース」または

「宴会コース」の注文があった日に食べ残しが目立つとのことであった。そこで、料理の食

べ残し量に加え、構成メニューごとの来客数を調査することとした。 また、この居酒屋周辺には大規模スポーツイベントの試合がおこなわれる横浜国際総合

競技場のほかに、横浜アリーナが立地し、これらの施設でスポーツや音楽などのイベントが

開催される日は普段よりも来客数が増えるため、周辺施設で開催されるイベントを記録す

ることとした。これらをふまえ、検証における計測項目等を表 5.4 のとおりとした。

表 5.4. 計測項目等の一覧

計測項目等 単位 説明

① 食べ残し量 g 計測値

② 来店組数 人 POS データより取得

③ 来客数 人 POS データより取得

④ うち、食べ放題コース注文人数 人 POS データより取得

⑤ うち、宴会コース注文人数 人 POS データより取得

⑥ イベント 横浜国際総合競技場 ― 施設のホームページ等よ

り取得

⑦ 横浜アリーナ ― 施設のホームページ等よ

り取得

⑧ 自由記入欄 ― 記録担当者が食べ残しな

どについて気付いたこ

と、感じたことなどを自

由に記入

(2) 計測分解能 店舗内の厨房や客席の配置を考慮すると、店舗従業員以外に計測作業員を配置すること

や、分別場所を確保することが難しいと判断した。そこで、食べ残し量は営業日ごとに総量

のみを計測することとした。

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(3) 計測手順

食べ残しの計測手順は、店舗の営業開始前、営業中、営業後に分かれる。まず、営業開始

前は、食べ残しを水切りするためのザルを洗い場に準備する。 次に、営業中は、洗い場に下げてきた皿に残っている食べ残しを水切り用のザルに空ける。

この際、紙ナプキンやおしぼりのビニール袋、お箸などの食べ物以外が混入しないよう食べ

物とそれ以外のもので分別する。 最後に、ザルに空けた食べ残しを廃棄用のビニール袋に入れて重さを計測する。また、そ

の量や来客数などを記録票に記録する。なお、鍋の汁や飲み物は計測の対象外とした。 従業員に配布したマニュアルを図 5.9 に示す。

図 5.9. 居酒屋における計測マニュアル

(4) 計測日程 ラグビーワールドカップ 2019 の大会期間中に啓発資材を掲示しない場合と掲示した場

合の両方について食べ残し量を計測できるよう、9 月 13 日から 30 日までは啓発資材を掲

食品ロスの計測にご協力いただきまして、誠にありがとうございます。以下の手順にて、食品ロスの計測をお願い致します。

農林水産省・みずほ情報総研 日程 9月13 日(金)~11月2日(土)

計測方法(営業開始前)1)皿洗いシンクに水切りするためのザルを設置します。(営業中)2)下膳のとき、残食をザルに入れ、水切りをします。 ザルに入れるとときに、残食以外の割り箸、お手拭、紙などの異物を取り除いてください。

このとき、ザルを振ったりして、食べ残しを手で押しつけて、無理に水切りをしないでください。

(終業後)3)ザルから残食をビニール袋に入れてください。4)ビニール袋を計測器に乗せて、重量を測ってください。 グラム単位までの計測をお願いします。 ビニール袋が複数ある場合は、それぞれ計測してください。

5)当日の合計重量を、記録表に記載してください。

食品ロス 計測マニュアル

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67

示せずに営業して食べ残し量を計測することとした。その後、10 月 1 日から大会最終日の

11 月 2 日までは啓発資材を店内に掲示して食べ残し量を計測した。

5.3.2. アンケートの設計

啓発手法の効果検証の一環として、イベント会場近隣の飲食店等で、イベント参加者等を

対象としたアンケート調査を実施した。 アンケートは、回答しやすさを考慮し、手書きで回答できるアンケート用紙と WEB 回答

の 2 パターンで実施した。アンケート用紙は、図 5.10、図 5.11 のとおりであり、設置の様

子は図 5.12 のとおりである。 食べ残しや啓発資材への反応の傾向が、属性や同行者(飲食店を利用した目的別)に異な

ると考えられ設定した。また、ラグビーワールドカップへの関心の有無が、ラグビー選手を

用いた啓発資材への受容に影響を及ぼす可能性があると考えられ、質問項目として設定し

た。それ以外は、ポスター、ポップの認知と行動変容、またポスター・ポップに関する印象、

今後食品ロスの取組が広がることへの印象、食べ残し削減対策で実施してほしいことを尋

ねた。なお、居酒屋とファミリーレストランの質問項目で異なる点は、設問 5 で、居酒屋の

方に宴会に関する質問項目がある点と掲示したポスター、ポップが異なる点である。

表 5.5. アンケート実施方法

実施店舗の業態 居酒屋 ファミリーレストラン

回収枚数 119 名 83 名

回答インセンティ

なし 回答者へ、次回以降の来店時に利

用できるクーポン券を配布

回答方法 回答用紙を三角柱ポップ内に設置(紙回答用)

三角柱ポップに QR コードを印刷(Web 回答用)

使用言語 日本語

英語

・回答用紙では日本語と英語を併記

・Web 回答では、日本語と英語それぞれの言語で回答用ホームページ

を作成

主な項質問目 属性情報(性別、年齢)

同行者

ラグビーワールドカップの観戦・関心有無

ポスター、ポップの認知と行動変容

ポスター、ポップに関する印象

今後食品ロスの取組が広がることへの印象

食べ残し削減対策で実施してほしいこと

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68

図 5.10 居酒屋向けの回答用紙

当店では、ラグビーワールドカップ開催に合わせて、食品ロス削減への取組を農林水産省との共同で、試験的に実施しています。この取組への感想をお聞かせください。

In conjunction with the Rugby World Cup, our restaurant is implementing trial initiatives for reducing food loss in cooperation with the Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries. Please share your opinions with us on these initiatives.

食品ロス削減への取り組みに関するアンケートご協力のお願い

Request for Cooperation to the Survey Questionnaire

on our efforts to reduce food loss

2 今日はどなたといらっしゃいましたか?Who came with you to our restaurant today?

□ 友人・知人・サークル仲間・Friends, acquaintances, teammates

□ 家族・Family members

□ 職場の人・Coworkers

□ 営業関係の人・Business acquaintances

□ 一人・By yourself

□ その他・Other

3 横浜国際総合競技場(日産スタジアム)は、ラグビーワールドカップの会場として試合が開催されています。あなたは、この大会についてどの程度関心をお持ちですか。International Stadium Yokohama (Nissan Stadium) is hosting matches of the 2019 Rugby World Cup. How interested are you in the Rugby World Cup?

□ 本大会を既に観戦した(今後観戦する予定がある)。

I have watched (or plan to watch inthe future) Rugby World Cup matches.

□ 本大会を観戦する予定はないが、ラグビーの情報は積極的に情報収集している。

I do not plan to watch any 2019Rugby World Cup matches.However, I am always on the lookoutfor information on rugby.

□ 本大会が開催されることは知っているが、積極的には、情報収集はしていない。

I am aware that the Rugby World Cupis being held, but I am not actively onthe lookout for related information.

□ 本大会が開催されることは、知らなかった。 I did not know that the Rugby WorldCup is being held.

1 あなたの性別と年齢を教えてくださいPlease tell us your gender and age.

□ 女性・Female

□ 男性・Male

□ 19歳以下・19 or younger

□ 20歳~39歳・20 to 39

□ 40歳~59歳・40 to 59

□ 60歳~79歳・60 to 79

□ 80歳以上・80 or older

2) 年齢・Age1) 性別・Gender

4 店内に食品ロス削減を呼びかけるポスターとポップを設置しました。あなたは、これらをご覧になりましたか?We have set up posters and displays in our restaurant that encourage people to reduce food loss.Did you notice these posters and displays?

見なかった・I did not noticethem.

見かけたが内容まで読まなかった・I noticed them, butI did not read them.

見かけて内容まで読んだ・I noticed them and readthem.

1)ポスター・Posters □ □ □

2)ポップ・Displays □ □ □

5 ポスターあるいはポップのどちらかでも、内容まで読んだ方にお伺いします。あなたの行動はどのように変わりましたか?実際に食べ残しがあってもかまいません。The following question is for customers who read the posters and/or displays. How did your behavior change as a result of reading them? (This question can be answered regardless of whether you had leftovers or not.)

□ 注文時に、食べきりができるよう気をつけた I was careful to order an amount thatI could finish.

□ いつもより、食べ残さないよう気をつけた I took more care than usual to finishall of my food.

□ 宴会のときは、遠慮して料理を食べられないことがあったが、積極的に食べられるようになった

I used to resist putting lots of food onmy plate during group parties, but Istarted to eat freely.

□ 食べ残しに配慮するよう、一緒に来た人に呼びかけた(2人以上で来店の場合)

I encouraged my companions to finisheverything on their plates (select whencoming to the res taurant w i thcompanions).

□ いつもと同じようにした There was no change from my usualbehavior.

ポスターPosters

ポップDisplays

⇒Q6へ

⇒To Q6

⇒Q6へ

⇒To Q6

⇒Q5へ

⇒To Q5

8 今後、食品ロス削減同様の取組が、他の飲食店で広がることについて、あなたはどのように感じますか?How do you feel about similar initiatives aimed at reducing food loss spreading to other restaurants in the future?

□ 広がって欲しい I want these initiatives to spread.

□ 条件付だが、広がって欲しい(Q9へ条件をお書きください)

I want these initiatives to spread, but withsome conditions.(P lease proceed to Q9 and l ist yourconditions.)

□ 広がって欲しくない I do not want these initiatives to spread.

□ 特に何も思わない No opinion in particular.

7 前問で「特段、好印象は持たない」と答えた方にお伺いします。その理由を教えてください。The following question is for customers who responded “No positive impression in particular” to the previous question.Please tell us the reason for your answer.

□ プレッシャーを感じ、くつろげなくなるから I feel pressured and I cannot relax withsuch expectations.

□ 食べ物が食べられないくらいにテーブルにあったほうが、贅沢に見えるから

Having more food than you can eat onyour table conveys a sense of luxury.

□ 企業自身が努力することが先だから(お客側が協力する必要を感じないから)

The restaurant operator itself should workto reduce food loss (I do not think thatcooperation from customers is necessary).

□ その他( ) Other( )

6 食品ロス削減に取り組む飲食店について、どのような印象を持ちますか。What is your impression of restaurants working to reduce food loss?

□ 好印象を持ち、そのようなお店を積極的に利用したいと思う

I am impressed with the effort and I willma ke a po in t o f c ho os i ng t ho serestaurants.

□ 好印象を持つが、特にお店の選択には影響しない

Although I am impressed with the effort, itwi ll not part icularly affect the wayI choose restaurants.

□ 特段、好印象は持たない No positive impression in particular.

9 食べ残し削減に向けて、店舗で実施して欲しいことや改善すると良い点があれば、教えてください。Please share with us any actions concerning reducing food loss you would like our restaurants to take or points that require improvement.

⇒Q7へTo Q7

⇒Q8へTo Q8

⇒Q8へTo Q8

Page 73: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

69

図 5.11 ファミリーレストラン向けの回答用紙

食品ロス削減への取り組みに関するアンケートご協力のお願い

Request for Cooperation to the Survey Questionnaire

on our efforts to reduce food loss

当店では、ラグビーワールドカップ開催に合わせて、食品ロス削減への取組を農林水産省との共同で、試験的に実施しています。この取組への感想をお聞かせください。

In conjunction with the Rugby World Cup, our restaurant is implementing trial initiatives for reducing food loss in cooperation with the Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries. Please share your opinions with us on these initiatives.

2 今日はどなたといらっしゃいましたか?Who came with you to our restaurant today?

□ 友人・知人・サークル仲間・Friends, acquaintances, teammates

□ 家族・Family members

□ 職場の人・Coworkers

□ 営業関係の人・Business acquaintances

□ 一人・By yourself

□ その他・Other

3 横浜国際総合競技場(日産スタジアム)は、ラグビーワールドカップの会場として試合が開催されています。あなたは、この大会についてどの程度関心をお持ちですか。International Stadium Yokohama (Nissan Stadium) is hosting matches of the 2019 Rugby World Cup. How interested are you in the Rugby World Cup?

□ 本大会を既に観戦した(今後観戦する予定がある)。

I have watched (or plan to watch inthe future) Rugby World Cup matches.

□ 本大会を観戦する予定はないが、ラグビーの情報は積極的に情報収集している。

I do not plan to watch any 2019Rugby World Cup matches.However, I am always on the lookoutfor information on rugby.

□ 本大会が開催されることは知っているが、積極的には、情報収集はしていない。

I am aware that the Rugby World Cupis being held, but I am not actively onthe lookout for related information.

□ 本大会が開催されることは、知らなかった。 I did not know that the Rugby WorldCup is being held.

1 あなたの性別と年齢を教えてくださいPlease tell us your gender and age.

□ 女性・Female

□ 男性・Male

□ 19歳以下・19 or younger

□ 20歳~39歳・20 to 39

□ 40歳~59歳・40 to 59

□ 60歳~79歳・60 to 79

□ 80歳以上・80 or older

2) 年齢・Age1) 性別・Gender

4 店内に食品ロス削減を呼びかけるポスターとポップを設置しました。あなたは、これらをご覧になりましたか?We have set up posters and displays in our restaurant that encourage people to reduce food loss.Did you notice these posters and displays?

見なかった・I did not noticethem.

見かけたが内容まで読まなかった・I noticed them, butI did not read them.

見かけて内容まで読んだ・I noticed them and readthem.

1)ポスター・Posters □ □ □

2)ポップ・Displays □ □ □

5 ポスターあるいはポップのどちらかでも、内容まで読んだ方にお伺いします。あなたの行動はどのように代わりましたか?なお、実際に食べ残しがあってもかまいません。The following question is for customers who read the posters and/or displays. How did your behavior change as a result of reading them? (This question can be answered regardless of whether you had leftovers or not.)

□ 注文時に、食べきりができるよう気をつけた I was careful to order an amount thatI could finish.

□ いつもより、食べ残さないよう気をつけた I took more care than usual to finishall of my food.

□ 食べ残しに配慮するよう、一緒に来た人に呼びかけた(2人以上で来店の場合)

I encouraged my companions to finisheverything on their plates (select whencoming to the res taurant w i thcompanions).

□ いつもと同じようにした There was no change from my usualbehavior.

ポスターPosters

ポップDisplays

⇒Q6へ

⇒To Q6

⇒Q6へ

⇒To Q6

⇒Q5へ

⇒To Q5

8 今後、食品ロス削減同様の取組が、他の飲食店で広がることについて、あなたはどのように感じますか?How do you feel about similar initiatives aimed at reducing food loss spreading to other restaurants in the future?

□ 広がって欲しい I want these initiatives to spread.

□ 条件付だが、広がって欲しい(Q9へ条件をお書きください)

I want these initiatives to spread, but withsome conditions.(P lease proceed to Q9 and l ist yourconditions.)

□ 広がって欲しくない I do not want these initiatives to spread.

□ 特に何も思わない No opinion in particular.

7 前問で「特段、好印象は持たない」と答えた方にお伺いします。その理由を教えてください。The following question is for customers who responded “No positive impression in particular” to the previous question.Please tell us the reason for your answer.

□ プレッシャーを感じ、くつろげなくなるから I feel pressured and I cannot relax withsuch expectations.

□ 食べ物が食べられないくらいにテーブルにあったほうが、贅沢に見えるから

Having more food than you can eat onyour table conveys a sense of luxury.

□ 企業自身が努力することが先だから(お客側が協力する必要を感じないから)

The restaurant operator itself shouldwork to reduce food loss (I do not thinkthat cooperation from customers isnecessary).

□ その他( ) Other( )

6 食品ロス削減に取り組む飲食店について、どのような印象を持ちますか。What is your impression of restaurants working to reduce food loss?

□ 好印象を持ち、そのようなお店を積極的に利用したいと思う

I am impressed with the effort and I willmake a po in t o f c ho os i ng t ho serestaurants.

□ 好印象を持つが、特にお店の選択には影響しない

Although I am impressed with the effort, itwill not particularly affect the way Ichoose restaurants.

□ 特段、好印象は持たない No positive impression in particular.

9 食べ残し削減に向けて、店舗で実施して欲しいことや改善すると良い点があれば、教えてください。Please share with us any actions concerning reducing food loss you would like our restaurants to take or points that require improvement.

⇒Q7へTo Q7

⇒Q8へTo Q8

⇒Q8へTo Q8

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70

図 5.12 ファミリーレストランでの回答用紙設置の様子

5.4. 食品ロス削減効果の検証

5.4.1. 検証の実施概要 先述のとおり検討した三角柱ポップとポスターの啓発資材を居酒屋とファミリーレスト

ランに掲示するとともに、啓発資材を掲示したことによる食品ロスの削減効果を、来店客が

食べ残した料理の量の計測と、アンケートにより検証した。 居酒屋とファミリーレストランにおける検証をそれぞれ表 5.6 と表 5.7 のとおり実施し

た。

表 5.6. 居酒屋における検証の実施概要

業態 居酒屋

実施店舗 赤から新横浜店

検証期間 2019 年 9 月 13~11 月 2 日

啓発資材の掲示 2019 年 10 月 1~11 月 2 日

アンケート 2019 年 10 月 1~11 月 2 日

食べ残し量の計測 2019 年 9 月 13~11 月 2 日

メニュー構成 単品メニュー

食べ放題コース

宴会コース

協力 株式会社ダイナミクス

実施者 農林水産省

みずほ情報総研株式会社

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71

表 5.7. ファミリーレストランにおける検証の実施概要

業態 ファミリーレストラン

実施店舗 赤から新横浜店

検証期間 2019 年 9 月 20~11 月 3 日

啓発資材の掲示 2019 年 9 月 13~11 月 3 日

アンケート 2019 年 9 月 13~11 月 3 日

メニュー構成 単品メニュー

セットメニュー

協力 株式会社すかいらーくホールディングス

株式会社すかいらーくレストランツ

実施者 農林水産省

みずほ情報総研株式会社

5.4.2. 計測による検証

(1) 計測結果

啓発資材の掲示による食べ残しの削減効果を検証するための計測を表 5.8 のとおり実施

した。

表 5.8. 食べ残し計測の実施概要

啓発資材の掲示 なし あり

計測期間 2019 年 9 月 13 日~9 月 30 日 2019 年 10 月 1 日~11 月 2 日

日数 18 日間 32 日間

備考 10 月 12 日は台風のため休業

メニュー構成 単品メニュー

食べ放題コース

宴会コース

計測期間における毎日の一人あたり食べ残し量を図 5.13 に示す。啓発資材を掲示してい

ない期間と掲示した期間それぞれの一人あたり食べ残し量の平均等は図 5.14 に示すとお

り、啓発資材の掲示していない期間が 48.4g/人であったの対して、掲示した期間は 9.2g/人少ない 39.2g/人であった。

Page 76: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

72

図 5.13. 毎日の一人あたり食べ残し量

図 5.14 啓発資材を掲示していない期間と掲示した期間それぞれの 平均一人あたり食べ残し量

(2) 考察

店舗責任者に対する事前ヒアリングでは「食べ放題コース」または「宴会コース」の注文

があった日に食べ残しが目立つとのことであったことから、それぞれのコースの注文があ

った日となかった日で一人あたりの食べ残し量を比較した。 ① 食べ放題コース注文の有無による啓発資材の効果 一人あたりの食べ残し量は、図 5.15 に示すとおり「食べ放題コース」の注文の有無にか

0

20

40

60

80

100

120

140

9/13 9/20 9/27 10/4 10/11 10/18 10/25 11/1

一人あたりの食べ残し量[

g/人]

掲示なし 掲示あり

48.4 39.2

0

10

20

30

40

50

60

70

80

掲示なし 掲示あり

全体平均

一人あたりの食べ残し量[

g/人]

-19%

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73

かわらず、啓発資材を掲示することにより減少した。 「食べ放題コース」の注文があった日の啓発資材を掲示していない期間の平均は 74.7g/人であった。一方、掲示した期間の平均は 32.5g/人であり 42.2g/人(約 56%)少なかった。 また、注文がなかった日の掲示していない期間の平均は 43.6g/人であった。一方、掲示し

た期間の平均は 40.9g/人であり 2.7g/人(約 6%)少なかった。

図 5.15. 食べ放題コース注文の有無と啓発資材の有無による一人あたり食べ残し量

② 宴会コース注文の有無による啓発資材の効果 一人あたりの食べ残し量は、図 5.16 に示すとおり「宴会コース」の注文の有無にかかわ

らず、啓発資材を掲示することにより減少した。 「宴会コース」の注文があった日の啓発資材を掲示していない期間の平均は 35.3g/人であ

った。一方、掲示した期間の平均は 32.3g/人であり 3.0g/人(約 8%)少なかった。 また、注文がなかった日の掲示していない期間の平均は 50.8g/人であった。一方、掲示し

た期間の平均は 42.7g/人であり 8.1g/人(約 16%)少なかった。

74.7

43.6

32.540.9

01020304050607080

掲示なし 掲示あり 掲示なし 掲示あり

あり なし

食べ放題の有無

一人あたりの食べ残し量[

g/人]

-56% -6%

Page 78: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

74

図 5.16. 宴会コース注文の有無と啓発資材の有無による一人あたり食べ残し量

5.4.3. アンケートによる検証

(1) アンケート結果 アンケート回答結果を以下に示す。 ① 性別

回答者の性別に関しては、図 5.17、図 5.18、図 5.19 に示すとおり、居酒屋、ファミリ

ーレストランのいずれも女性の方が多く、特にファミリーレストランでは女性で約 6 割を

占めていた。

図 5.17 性別(全体) 図 5.18 性別(居酒屋) 図 5.19 性別

(ファミリーレストラン)

② 年齢

回答者の年齢に関しては、図 5.20、図 5.21、図 5.22 に示すとおりであり、居酒屋は、

35.3

50.8

32.3

42.7

01020304050607080

掲示なし 掲示あり 掲示なし 掲示あり

あり なし

宴会の有無

一人あたりの食べ残し量[

g/人]

女性, 57%

男性, 41%

無回答, 1%

(n=202)

女性54%

男性44%

無回答2%

(n=119)

女性63%

男性37%

(n=83)

-8% -16%

Page 79: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

75

20 歳~39 歳が約 7 割を占めており、59 歳以下までで約 9 割となった。ファミリーレスト

ランは、40 歳~59 歳が約 4 割を占めているが、比較的どの年代にもばらけていた。

図 5.20 年齢(全体) 図 5.21 年齢(居酒屋) 図 5.22 年齢 (ファミリーレストラン)

③ 同行者

回答者の同行者は、図 5.23、図 5.24、図 5.25 に示すとおりであり、居酒屋は、「友人・

知人・サークル仲間」が最も多く、次いで「職場の人」が多かった。ファミリーレストラン

であるファミリーレストランは、「一人」が最も多く、次いで「家族」、「友人・知人・サー

クル仲間」が多かった。

図 5.23 同行者(全体) 図 5.24 同行者(居酒屋) 図 5.25 同行者 (ファミリーレストラン)

④ ラグビーワールドカップへの関心 回答者のラグビーワールドカップへの関心は、図 5.26、図 5.27、図 5.28 に示す通りで、

ラグビーワールドカップを実際に観戦した(する予定も含む)は、全体で約 3 割であった。

19歳以下6%

20歳~39歳52%

40歳~59歳28%

60歳~79歳7%

無回答7%

(n=202)

19歳以下0%

20歳~39歳71%

40歳~59歳23%

60歳~79歳1%

無回答5%

(n=119)

19歳以下16%

20歳~39歳23%

40歳~59歳35%

60歳~

79歳17%

無回答9%

(n=83)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

(n=202)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

(n=119)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

(n=83)

Page 80: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

76

図 5.26 ラグビーワールド

カップへの関心(全体) 図 5.27 ラグビーワールド

カップへの関心(居酒屋) 図 5.28 ラグビーワールド

カップへの関心 (ファミリーレストラン)

⑤ 啓発ポスター認知率

啓発ポスターについては図 5.29 から図 5.36 に示すとおりで、「見かけて内容まで読ん

だ」は全体で約 4 割となった。居酒屋では特に多く、約 5 割の方が「見かけて内容まで読ん

だ」と回答した。「見かけたが、内容まで読まなかった」も含めると、目にした割合は約 8割となった。性別別に見ると、ポスターの認知率に大きな違いは見られなかった。年齢別に

見ると、特に 20 歳~39 歳、40 歳~59 歳で「見かけた内容まで読んだ」と回答した割合が

高かった。同行者の種類別に見ると、友人・知人・サークル仲間、職場の人が約 4 割~5 割

と多くなっていた。

図 5.29 啓発ポスター認

知状況(全体) 図 5.30 啓発ポスター認知

状況(居酒屋) 図 5.31 啓発ポスター

認知状況 (ファミリーレストラン)

観戦した・

する予定26%

観戦しない

が、情報収集

は積極的にし

ている

28%

積極的に情報収集は

していない

39%

開催されることを知らな

かった

7%

(n=200)

観戦した・

する予定31%

観戦しない

が、情報収集

は積極的にし

ている

26%

積極的に

情報収集

はしていな

35%

開催されることを知らな

かった

8%

(n=117)

観戦した・

する予定19%

観戦しないが、

情報収集は積極

的にしている

31%

積極的に情報

収集はしてい

ない

44%

開催されることを

知らなかった

6%

(n=83)

見かけて内容

まで読んだ40%

見かけたが

内容まで読

まなかった34%

見なかった26%

(n=194)

見かけて内容

まで読んだ47%

見かけたが

内容まで読

まなかった35%

見なかった18%

(n=115)

見かけて内容

まで読んだ29%

見かけたが

内容まで読

まなかった33%

見なかった38%

(n=79)

Page 81: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

77

図 5.32 啓発ポスター認知状況

(性別) 図 5.33 啓発ポスター認知状況(年齢別)

図 5.34 啓発ポスター認知状況(同行者の種類別)

38% 42%

36% 30%

25% 28%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

見なかった

見かけたが内容まで

読まなかった

見かけて内容まで読

んだ15%

46%36%

8%

23%

39%

26%

62%

62%

16%

38% 31%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

見なかった

見かけたが内容ま

で読まなかった

見かけて内容まで

読んだ

46%35% 40% 31%

33%

30%38%

37%

21%35%

23% 31%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%見なかった

見かけたが内容ま

で読まなかった

見かけて内容まで

読んだ

Page 82: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

78

図 5.35 啓発ポスター認知状況 (店舗別、居酒屋*)

*回答数が一定以上のもののみ

図 5.36 啓発ポスター認知状況 (店舗別、ファミリーレストラン*)

*回答数が一定以上のもののみ

⑥ 啓発ポップ認知率

啓発ポップについて図 5.37 から図 5.44 に示すとおりで、「見かけて内容まで読んだ」は

全体で約 3 割となった。ファミリーレストランでは特に多く、約 4 割の方が「見かけて内

容まで読んだ」と回答した。性別別に見ると、ポスターの認知率に大きな違いは見られなか

った。年齢別に見ると、60 歳~79 歳では「見かけて内容まで読んだ」と回答した割合が低

かった。同行者の種類別に見ると、一人と家族で来店している人のポップ認知率が高く、「見

かけて内容まで読んだ」と回答した人が約 5 割となった。

図 5.37 啓発ポップ認知

状況(全体) 図 5.38 啓発ポップ認知

状況(居酒屋) 図 5.39 啓発ポップ

認知状況 (ファミリーレストラン)

50% 40%

39%38%

11%23%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

友人・知人・サークル

仲間

(n=5

4)

職場の人

(n=4

0)

見なかった

見かけたが内

容まで読まな

かった

見かけて内容

まで読んだ 31% 32% 26%

13%32% 48%

56%37% 26%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

友人

・知

人・サ

ークル

仲間

(n=1

6)

一人

(n=3

8)

家族

(n=2

3)

見なかった

見かけたが内

容まで読まな

かった

見かけて内容

まで読んだ

見かけて内容

まで読んだ32%

見かけたが内容

まで読まなかった28%

見なかった40%

(n=161)

見かけて内容

まで読んだ22%

見かけたが

内容まで読ま

なかった29%

見なかった49%

(n=88)

見かけて内容

まで読んだ44%

見かけたが内容

まで読まなかった27%

見なかった29%

(n=73)

Page 83: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

79

図 5.40 啓発ポップ認知状況(性別) 図 5.41 啓発ポップ認知状況(年齢別)

図 5.42 啓発ポップ認知状況(同行者の種類別)

34% 30%

25% 16%

29% 28%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

見なかった

見かけたが内容ま

で読まなかった

見かけて内容まで

読んだ31% 30% 35%

18%

23% 31% 21%45%

46% 40% 44% 36%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

見なかった

見かけたが内容ま

で読まなかった

見かけて内容まで

読んだ

20%

47%

16%

47%

40%

31%

22%

22%

40%22%

63%

31%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

見なかった

見かけたが内容

まで読まなかった

見かけて内容ま

で読んだ

Page 84: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

80

図 5.43 啓発ポップ認知状況 (店舗別、居酒屋*)

*回答数が一定以上のもののみ

図 5.44 啓発ポップ認知状況 (店舗別、ファミリーレストラン*)

*回答数が一定以上のもののみ

⑦ 啓発ポップ認知率(ラグビーワールドカップへの関心別) ラグビーワールドカップへの関心別に、ラグビー選手の写真を用いた啓発ポップの認知

度を図 5.45 及び図 5.46 にて比較したが、両者に大きな違いは見られなかった。

図 5.45 ラグビーワールドカップへの関心

別のポップの認知度(高関心層*) *「本大会を既に観戦した (今後観戦する

予定がある)。」、「本大会を観戦する予定は

ないが、 ラグビーの情報は積極的に情報

収集している。」

図 5.46 ラグビーワールドカップへの関

心別のポップの認知度(低関心層*) *「本大会が開催されることは知っている

が、 積極的には、情報収集はしていな

い。」、「本大会が開催されることは、知ら

なかった。」

15% 13%

45%23%

40%65%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%友人・知人・サークル

仲間

(n=4

0)

職場の人

(n=3

1)

見なかった

見かけたが内

容まで読まな

かった

見かけて内容

まで読んだ33%

46% 52%

27%

31% 24%

40%23% 24%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

友人・知人・サークル

仲間

(n=1

5)

一人

(n=3

5)

家族

(n=2

1)

見なかった

見かけたが内

容まで読まな

かった

見かけて内容

まで読んだ

見かけて内容

まで読んだ33%

見かけたが内

容まで読まな

かった29%

見なかった38%

見かけて内容

まで読んだ30%

見かけたが内

容まで読まな

かった28%

見なかった42%

Page 85: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

81

⑧ 啓発ポスター・ポップ認識後の行動変容 啓発ポスター及びポップ認識後の行動変容状況を図 5.47 から図 5.52 に示す。全体では

「注文時に配慮した」が約 3 割、「食べ残さないように気をつけた」が約 3 割、その他の行

動も含めると、7 割近くが行動を変えたと回答した。 性別にみると、男性の方が、「注文時に食べきりができるよう気をつけた」と回答してい

る割合が高かった。 年齢別では母数が少ないが、年齢が上がるにつれ、行動を変えている割合が高くなる可能

性があると考えられた。また、特に 60 歳以上では「いつもより、食べ残さないよう気をつ

けた」の割合が高くなっていた。これは、普段食べ残してしまう機会が多いことが可能性と

して考えられる。 来店時の同行者の種類別に見ると、「一人」と「家族」では特に「注文時に食べきりがで

きるよう、気をつけた」が約 4 割と多くなっていた。 また、「友人・知人・サークル仲間」、「職場の人」とでは、「いつもより、食べ残さないよう

気をつけた」と回答している割合が約 4 割と多くなっていた。 「家族」との場合は、「食べ残しに配慮するよう、一緒に来た人に呼びかけた」も選ばれて

いた。

図 5.47 啓発ポップ認知後の行動変容(全体)

注文時に

配慮した34%

食べ残さないよう

気をつけた31%食べ残しに配慮する

よう呼びかけた2%

宴会時でも遠慮せ

ず食べられた1%

いつもと同じ

ようにした32%

(n=131)

Page 86: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

82

図 5.48 啓発ポップ認知後の行動変容

(居酒屋) 図 5.49 啓発ポップ認知後の行動変容

(ファミリーレストラン)

図 5.50 啓発ポップ認知後の行動変容

(性別) 図 5.51 啓発ポップ認知後の行動変容

(年齢別)

注文時に

配慮した31%

食べ残さないよう

気をつけた37%

食べ残しに

配慮するよう

呼びかけた0%

宴会時でも遠慮せ

ず食べられた1%

いつもと同じ

ようにした31%

(n=74)

注文時に

配慮した37%

食べ残さない

よう気をつけた25%

食べ残しに配慮する

よう呼びかけた5%

いつもと同じ

ようにした33%

(n=57)

29%38%

32%

32%

1%

0%4%

0%

33% 30%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%いつもと同じようにした

食べ残しに配慮するよう、一緒に来

た人に呼びかけた

宴会のときは、遠慮して料理を食べ

られないことがあったが、積極的に

食べられるようになった

いつもより、食べ残さないよう気を

つけた

注文時に、食べきりができるよう気

をつけた

43%31%

44%

18%

0%37%

22%

55%0%

1% 0%0%

14%

0% 3%

9%43%31% 31%

18%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%いつもと同じようにした

食べ残しに配慮するよう、一緒

に来た人に呼びかけた

宴会のときは、遠慮して料理を

食べられないことがあったが、積

極的に食べられるようになった

いつもより、食べ残さないよう気

をつけた

注文時に、食べきりができるよう

気をつけた

Page 87: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

83

図 5.52 啓発ポップ認知後の行動変容(同行者別)

⑨ 食品ロスに取組む店舗への印象 食品ロスに取組む店舗への印象は、図 5.53から図 5.58 のとおりで、全体で約 9 割が「好

印象」と回答し、約 6 割が「積極的に利用したい」と回答した。特に、ファミリーレストラ

ンでは「好印象で積極的に利用したい」という回答が多く、約 7 割となった。属性別にみる

と、性別別では大きな傾向の違いは見られなかった。年齢別にみると、母数は少ないが、特

に 19 歳以下と 60 歳~79 歳で特に「好印象を持ち、そのようなお店を積極的に利用したい

と思う」と回答した割合が高かった。同行者の種類別に見ると、特に家族と一緒に来ている

場合、「好印象を持ち、そのようなお店を積極的に利用したいと思う」と回答した割合が高

かった。

図 5.53 食品ロスに取り

組む飲食店への印象

(全体)

図 5.54 食品ロスに取り

組む飲食店への印象

(居酒屋)

図 5.55 食品ロスに取り組

む飲食店への印象

(ファミリーレストラン)

24%

42%26%

43%

36%

30%

39%17%

13%

40%27%

35%26%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

友人・知人・サークル

仲間

(n=4

5)

一人

(n=3

3)

職場の人

(n=2

3)

家族

(n=2

3)

いつもと同じようにした

食べ残しに配慮するよう、一緒に来た人に呼び

かけた

宴会のときは、遠慮して料理を食べられないこ

とがあったが、積極的に食べられるようになった

いつもより、食べ残さないよう気をつけた

注文時に、食べきりができるよう気をつけた

好印象で積極

的に利用した

い62%

好印象だが

お店の選択

には影響し

ない32%

好印象はもたない6%

(n=197)

好印象で

積極的に

利用したい57%

好印象だが

お店の選択

には影響し

ない34%

好印象はもたない9%

(n=114)

好印象で積極

的に利用したい69%

好印象だ

がお店の

選択には

影響しない29%

好印象はもたない2%

(n=83)

Page 88: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

84

図 5.56 食品ロスに取り組む飲食店への

印象(性別) 図 5.57 食品ロスに取り組む飲食店への

印象(年齢別)

図 5.58 食品ロスに取り組む飲食店への印象(同行者別)

⑩ 食品ロスへ取組む店舗へ好印象をもたない理由 取組店舗へ好印象を持たない理由は図 5.59、図 5.60、図 5.61 に示すとおりで、「プレッ

シャーを感じ、くつろげなくなるから」、「食べ物が食べられないくらいにテーブルにあった

ほうが、贅沢に見えるから」、「企業自身が努力することが先だから」の 3 つが多かった。

64% 60%

32%30%

4%10%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

特段、好印象は持たない

好印象を持つが、特にお

店の選択には影響しない

好印象を持ち、そのような

お店を積極的に利用した

いと思う

69%59% 58%

73%

15% 36% 35%

27%15%

5% 7%0%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

特段、好印象は持

ない

好印象を持つが、特

にお店の選択には

響しない

好印象を持ち、その

ようなお店を積極的

に利用したいと思う

56%65% 61%

81%

35%35%

29%

17%9% 10% 3%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

友人・知人・サークル

仲間

(n=6

8)

一人

(n=4

3)

職場の人

(n=4

1)

家族

(n=3

6)

特段、好印象は持たない

好印象を持つが、特にお

店の選択には影響しない

好印象を持ち、そのよう

なお店を積極的に利用し

たいと思う

Page 89: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

85

図 5.59 食品ロスに取り

組む飲食店へ好印象をもた

ない理由(全体)

図 5.60 食品ロスに取り組

む飲食店へ好印象をもたない

理由(居酒屋)

図 5.61 食品ロスに取り組

む飲食店へ好印象をもたな

い理由 (ファミリーレストラン)

⑪ 取組が広がることに対する印象 取組が広がることについては、図 5.62 から図 5.67 のとおりで、約 9 割の方が「広がっ

て欲しい」と回答した。性別では大きな違いは見られなかった。年齢別にみると、母数は少

ないが 19 歳以下で「特に何も思わない」が選ばれた割合が高かった。同行者の種類別では

大きな違いは見られなかった。 また、店舗で実施して欲しいことや改善して欲しいことを、自由記述で尋ねた。図 5.69

は、自由記述の内容を分類しカウントしたもので、少量メニューの追加、小ロットからの注

文の受付、経済的手法、消費者への啓発・店内環境づくり、持ち帰りの促進の 4 つが多かっ

た。

図 5.62 食品ロスへの取組が広がること

に対する印象(全体) 図 5.63 食品ロスへの取組が広がることに

対する印象(居酒屋)

0

5

10プレッシャーを感じ、くつろ

げなくなるか

食べ

物が

食べ

られ

ないくら

いにテーブルにあったほ

が、贅

沢に見

えるから

企業

自身

が努

力することが

先だか

ら(お客

側が協

力す

る必

要を感

じないか

ら)

その

(n=12)

0

5

10

プレッシャーを感じ、くつろ

げなくなるから

食べ物が食べられないくら

いにテーブルにあったほう

が、贅沢に見えるから

企業自身が努力することが

先だから(お客側が協力す

る必要を感じないから)

その他

(n=10)

0

5

10

プレッシャーを感じ、くつろ

げなくなるから

食べ物が食べられないくら

いにテーブルにあったほう

が、贅沢に見えるから

企業自身が努力することが

先だから(お客側が協力す

る必要を感じないから)

その他

(n=2)

広がって欲しい88%

条件付だが、

広がって欲しい7%

広がって欲しくない0%

特に何も思わない5%

(n=196)

広がって欲しい90%

条件付だが、

広がって欲しい5%

広がって欲しくない0%

特に何も思わない5%

(n=114)

Page 90: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

86

図 5.64 食品ロスへの取組が広がることに対する印象(ファミリーレストラン)

図 5.65 食品ロスへの取組が広がること

に対する印象(性別) 図 5.66 食品ロスへの取組が広がることに

対する印象(年齢別)

図 5.67 食品ロスへの取組が広がることに対する印象(同行者別)

広がって欲しい87%

条件付だが、

広がって欲しい8%

広がって欲しくない0%

特に何も思わない5%

(n=82)

88% 89%

8% 5%0% 0%4% 6%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

特に何も思わない

広がって欲しくない

条件付だが、広がって

欲しい

広がって欲しい

69%

92% 87% 86%

8%

4% 9% 14%

0%

0% 0%0%

23%

4% 4% 0%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

特に何も思わない

広がって欲しくない

条件付だが、広がって

欲しい

広がって欲しい

84%88% 88% 92%

7%7% 10% 3%9% 2% 6%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

友人・知人・サークル

仲間

(n=6

8)

一人

(n=4

3)

職場の人

(n=4

1)

家族

(n=3

6)

特に何も思わない

広がって欲しくない

条件付だが、広がって

欲しい

広がって欲しい

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87

図 5.68 店舗で実施して欲しいことや改善して欲しいこと(自由記述)

図 5.69 店舗で実施して欲しいことや改善して欲しいこと (自由記述の内容をもとに分類し、複数カウントしたもの)

(2) 考察

① 啓発ポップ・ポスターの認知 啓発ポスターは「見かけて内容まで読んだ」と回答したが全体で約 4 割となった。特に

「居酒屋」で多く約 5 割が内容まで読んでいた。啓発ポップは「見かけて内容まで読んだ」

が全体の約 3 割で、啓発ポップは特に、一人や家族で来店している人に読まれていた。店舗

では、特にファミリーレストランで多く、約 4 割が内容まで読んでいた。ラグビーワールド

カップへの関心別に、ラグビー選手の写真を用いた啓発ポップの認知度を比較したが、両者

に大きな違いは見られなかった。 ② 啓発ポップ・ポスターの認知後の行動変容

全体では「注文時に配慮した」が約 3 割、「食べ残さないように気をつけた」が約 3 割、

その他の行動も含めると、7 割近くが行動を変えたと回答しており、啓発ポップやポスター

の効果が見られたと考えられた。また、アンケートの母数は少ないが、年齢が上がるにつれ、

行動を変えている割合が高くなる可能性があると考えられた。また、特に 60 歳以上では母

数が少ないが、「いつもより、食べ残さないよう気をつけた」の割合が高くなっていた。こ

れは、普段食べ残してしまう機会が多いためと可能性があると考えられた。来店時の同行者

の種類別に見ると、「一人」と「家族」では特に「注文時に食べきりができるよう、気をつ

けた」が約 4 割と多くなっていた。また、「友人・知人・サークル仲間」、「職場の人」とで

少量メニューの追加、

少ロットからの注文受付

消費者への啓発・店内環境づくり

持ち帰りの促進経済的手法

(食べ残したら罰金、食べきったら割引等)

• 持ち帰りを進めたらどうでしょうか。• お持ち帰りの袋がほしい。• 食べ切れない時は、持ち帰りできるよう(無料で)してほしい。

• ポスター。• 1ヶ月でどのくらい食べ残しが出るか数字orグラフにする。

• 声掛けしやすい環境にしてほしい。(いつもより少なくしてください)とか

• 食べることへのプレッシャーなどを感じたりしないなら広がってもいいと思う。

• 食べ残したら少しペナルティを設ける。• 残したら罰金とか、量を減らして金額を安くする。

• 完食したらポイントが付いてたまったらクーポンがもらえるなどがあるとよい。

• 例えば、2本で1人前とか、最低2人前からといった制約をなくしてほしい。

• 少量や普通、大盛りなど量が選べると良い。• シニア用メニューを充実させて頂きたい(それぞれの量が少なく、ヘルシーなメニューなど)ライスの量を細かく分けて欲しい。

0 5 10 15 20 25

少量メニューの追加、少ロットからの注文受付

消費者への啓発・店内環境づくり

経済的手法(食べ残したら罰金、食べきったら割引等)

持ち帰りの促進 居酒屋 ファミリーレストラン

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88

は、「いつもより、食べ残さないよう気をつけた」と回答している割合が約 4 割と多くなっ

ていた。 ③ 食品ロスへ取組む店舗への印象 全体で約 9 割が「好印象」と回答し、約 6 割が「積極的に利用したい」と回答した。同行

者の種類別に見ると、特に家族と一緒に来ている場合、「好印象を持ち、そのようなお店を

積極的に利用したいと思う」と回答した割合が高く、特に家族連れが多い店舗であれば、よ

り積極的に食品ロス対策に取り組むことが推奨されると考えられた。 ④ 取組が広がることに対する印象 今回実施した手法が回答者の念頭にあると考えられるが、取組が広がることについては、

約 9 割の方が「広がって欲しい」と回答しており、食品ロス対策の推進に関しては消費者か

らの合意は得られたと考えられ、今後は様々な対策を実施し改善していくフェーズが消費

者からも期待されていると考えられる。 ⑤ 店舗で実施して欲しいことや改善して欲しいこと 自由記述の内容を分類すると、少量メニューの追加、少ロットからの注文受付、食べ残し

たら罰金・食べきったら割引等の経済的手法、消費者への啓発や店内環境づくり、持ち帰り

の促進の 4 つの意見が多かった。これらをもとに、今後は各事業者での工夫が期待される。

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89

6. 自治体、ホテル、飲食関係事業者等を対象としたセミナーの開催

6.1. 開催目的

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、東京 2020 大会を環境を重視

した持続可能な大会とするため、「持続可能性に配慮した運営計画」及び「飲食提供に係る

基本戦略」を策定している。 これらを踏まえて、農林水産省では昨年度からスポーツイベントにおける食品ロス削減

の取組を始め、「2018 女子バレーボール世界選手権」及び「ラグビーワールドカップ 2019」において、選手等に食事を提供するホテル及びスタジアム周辺の飲食店の協力のもと、食品

ロス削減手法の検証、並びにイベント参加者に食品ロス削減に効果的な啓発手法の検証を

行った。 本セミナーでは、これらの検証結果を報告するとともに、有識者からの講演と、ホテルや

飲食関係で食品ロスの削減に積極的な事業者からその取組を報告した。

6.2. 参加対象 食品ロス削減に関心のある食品関連企業・業界団体の方、その他(地方自治体、メディア

の方)を対象とした。

6.3. 募集方法

募集にあたっては、農林水産省に報道発表していただくとともに、ポスターを作成して、

自治体や事業者等に個別に声がけ等を実施した。農林水産省の報道発表ホームページを図 6.1 に、ポスターを図 6.2 にそれぞれ示す。

また、弊社のメールマガジン(約 3000 者登録)を活用し、セミナー開催を広報すること

によって、参加者確保に努めた。 なお、参加者の申込受付は、みずほ情報総研株式会社の Web サイト上で行った。Web 画

面を図 6.3 に示す。

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90

図 6.1. 農林水産省による報道発表

Page 95: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

91

図 6.2. セミナーのポスター

令和2年

1/27(月)【午前の部】ホテル・自治体向け

10:00~12:10

: みずほ情報総研㈱安田シーケンス2階大会議室

(東京都千代田区神田錦町3-1)開催場所

参加費無料(定員:100名)

大規模スポーツイベントに向けた

食品ロス削減セミナー

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は環

境に重視した持続可能な大会とするための計画・戦略を策定しています。

そこで、農林水産省は、自治体やホテル、飲食関係事業者等を対象に、食品ロスを削減する方法に関するセミナーを開催します。

【申込み・問合せ先】

みずほ情報総研株式会社 環境エネルギー第1部担当:森口・小林・小山田

TEL:03-5281-5326 FAX:03-5281-5466〔申込URL〕https://www.mizuho-ir.co.jp/seminar/info/2020/foodloss0127.html

【午後の部】飲食店・自治体向け

13:30~15:40

Page 96: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

92

図 6.3. みずほ情報総研 Webサイトの募集画面

Page 97: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

93

6.4. 開催概要

6.4.1. 開催情報

セミナーは午前の部、午後の部に分けて、2部構成とした。開催情報は表 6.1 の通り。

表 6.1. セミナーの開催概要

開催日 令和 2 年 1 月 27 日(月)

開催時間 【午前の部】 10:00~12:10 【午後の部】 13:30~15:40

場所 みずほ情報総研㈱安田シーケンス 2 階 大会議室 (東京都千代田区神田錦町 3-1)

募集参加人数 午前の部、午後の部ともに定員 100 名

主催 農林水産省

事務局 みずほ情報総研株式会社

6.4.2. プログラム

(1) 午前の部

午前の部はホテル・自治体向けとして、東京 2020 大会組織委員会資源管理 WG 座長を務

める崎田氏の基調講演と弊社による報告の後に、日本ホテル株式会社および株式会社プリ

ンスホテルからそれぞれ企業としての取組を講演して頂いた。プログラムは表 6.2 の通り。

表 6.2. プログラム(午前の部)

時間 タイトル/発表者

10:00~

10:05

【開会】農水省ご挨拶/趣旨説明

10:05~

10:35

【基調講演】「なぜ、今、食品ロスが課題なのか?」

東京 2020 大会組織委員会 資源管理 WG 座長 崎田 裕子 氏

10:35~

11:00

【報告】「食品ロスの削減手法検討結果報告~「2018 女子バレーボール世界選手

権」と「ラグビーワールドカップ 2019」をフィールドとして~」

みずほ情報総研株式会社 チーフコンサルタント 小林 元 氏

11:00~

11:25

【講演 1】「日本ホテルの食品ロス削減の取組について」

日本ホテル株式会社 取締役総支配人 松田 秀明 氏

11:25~

11:50

【講演 2】「プリンスホテルにおける食品ロス削減の取組について」

株式会社プリンスホテル 品質管理部 次長 井口 智之 氏

11:50~

12:10

【まとめ】

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94

(2) 午後の部

午後の部は飲食・自治体向けとして、崎田氏の基調講演と弊社による報告の後に、ロイヤ

ルホールディングス株式会社および株式会社ダイナミクスからそれぞれ企業としての取組

を講演して頂いた。プログラムは表 6.3 の通り。

表 6.3. プログラム(午後の部)

時間 タイトル/発表者

13:30~

13:35

【開会】農水省挨拶/事務局趣旨説明

13:35~

14:05

【基調講演】「なぜ、今、食品ロスが課題なのか?」

東京 2020 大会組織委員会 資源管理 WG 座長 崎田 裕子 氏

14:05~

14:30

【報告】「食品ロスの削減手法検討結果報告~『2018 女子バレーボール世界選

手権』と『ラグビーワールドカップ 2019』をフィールドとして~

みずほ情報総研株式会社 チーフコンサルタント 小林 元 氏

14:30~

14:55

【講演 1】「食品ロス削減活動の共有」

ロイヤルホールディングス株式会社 CSR 推進部 部長

成田 鉄政 氏

14:55~

15:20

【講演 2】「株式会社ダイナミクスにおける食品ロス削減の取り組み」

株式会社ダイナミクス 営業部 田中 敏 氏

15:20~

15:40

【まとめ】

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95

6.5. 開催結果

6.5.1. 参加者

(1) 参加人数 参加人数を表 6.4 に示す。午前の部は 74 名、午後の部は 78 名だった。うち、両方の部

に参加した方が 31 名となった。

表 6.4. 参加人数

午前の部 74 名

午後の部 78 名

合計 延べ 152 名

(うち、両方参加 31 名)

(2) 参加者の属性

参加者の属性を表 6.5 に示す。業界関係者は、ホテル関係が 19 名、食品関係が 18 名と

ほぼ同数であった。また、自治体関係者は 42 名、その他も 42 名と、業界関係者以外の参

加者も多かった。さらに、報道関係者は 7 名で、業界紙だけでなく全国紙の新聞社や全国ネ

ットのテレビ局の取材も受け、社会的に注目の高さを伺わせた。

表 6.5. 参加者の属性

ホテル関係 19 名

食品関係 18 名

自治体関係 42 名

(都道府県 10 名、各市町村 32 名)

その他 35 名

(金融機関、シンクタンク等) 報道関係者 7 名

合計 121 名

6.5.2. セミナーの様子

セミナーは弊社竹橋シーケンス2階の大会議室で行われた。また、セミナー開催中は、会

議室内の壁や、ホワイトボード、テーブル上に、実証時に使われたポスター、ポップと講演

いただいた各社で使われているポスター、ポップを掲示した。

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96

(1) 午前の部 午前の部における各講演の様子は以下の写真に示す。

セミナー全景

崎田氏基調講演

みずほ情報総研報告

日本ホテル講演

プリンスホテル講演

Page 101: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

97

(2) 午後の部 午後の部における各講演の様子は以下の写真に示す。

農林水産省開会挨拶

崎田氏基調講演

みずほ情報総研報告

ロイヤルホールディングス講演

ダイナミクス講演

崎田氏まとめ

Page 102: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

98

6.5.3. 事後アンケート結果 午前の部、午後の部にセミナー終了後に参加者に対して、セミナーに関するアンケートを

無記名で実施した。

(1) アンケート内容

アンケート内容を表 6.6 に示す。項目としてはセミナーの満足度や参考になったプログ

ラム、今回のワークショップを何で知ったかの他に、セミナーをきっかけにして、食品ロス

削減を取り組みたいか、食品ロス削減の課題などとした。

表 6.6. アンケート内容

1.業種をお選びください。

a. ホテル関係 b. 飲食関係 c. 自治体 d. 報道関係 e.その他( )

2.セミナーの満足度について、1 つだけ選んで○を付けてください。

a. 大変参考になった b. 参考になった c. あまり参考にならなかった d. 参考にならなかった

3.参考になったプログラムすべてに○を付けてください。

a. 【基調講演】 「なぜ、今、食品ロスが課題なのか?」

b. 【報告】 「食品ロスの削減手法検討結果報告~「2018 女子バレーボール世界選

手権」と「ラグビーワールドカップ 2019」をフィールドとして~」

c. 【講演 1】 「日本ホテルの食品ロス削減の取組について」

d. 【講演 2】 「プリンスホテルにおける食品ロス削減の取組について」

4.今回のセミナーを何で知りましたか。

a. 農水省 HP b. 業界団体からの連絡 c. 自治体からの

連絡

d. 弊社メールマガジン e. その他

( )

5.今回のセミナーもきっかけに、今後、東京 2020 大会に向けて啓発資材の掲示等

食品ロス削減に取り組みたいと思いますか。1つだけ選んで○を付けてください。

a. ぜひ取り組みたい b.取 り 組

みたい

c.あまり取り組み

たいと思わない

d.取り組みたいと思

わない

e.わからない

6.具体的にどのような食品ロス削減に取り組んでみたいと思いますか(該当する

項目すべてに○を付けてください)

a.啓発資材

の掲示

b.提供する量の調整(1 口

サイズ、小盛り等)

c.お 客 様 と の 提 供 内

容・量の事前調整

d.3010 運動などの

声掛けの実施

e.持ち帰り

の実施

f.その他( )

7.食品ロス削減への取組で課題となっている点があれば教えてください。

a.何から取り組めばよ

いのかわからない

b.どのような取組が効

果的かわからない

c.取組を主導する人が

いない

d.社内の理解が得られな

f.その他( )

8.本日の感想を自由にご記入ください。

* アンケート内容は午前の部である。午後の部は講演 1、講演 2 の内容が変わるのみで、それ

以外は午前の部と同様である。

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99

(2) 回収数 アンケートの回収数を表 6.7 に示す。午前の部は 48、午後の部は 45 だった。

表 6.7. 回収数

午前の部 48 午後の部 45

合計 93

(3) 集計結果

① 業種 回答者の業種に関しては、図 6.4 に示す。午前の部はホテル・自治体向けのため、ホテル

関係と自治体関係がそれぞれ 4 割を占めている。午後の部は飲食・自体向けのため、飲食関

係が 25%、自治体が約半数を占めていた。

(全体) (午前の部) (午後の部)

図 6.4. 業種

② 今後、東京都 2020 大会に向けた啓発資材の掲示等食品ロス削減に取り組みたいか 今後、東京都 2020 大会に向けた啓発資材の掲示等食品ロス削減に取り組みたいかについ

て、全体では「ぜひ取り組みたい」、「取り組みたい」を合計すると 90%となった。また、

午前の部では 94%、午後の部では 86%と午前の部のほうが取組の意向は高かった。 なお、業界関係者でみると、ホテル関係者は「ぜひ取り組みたい」、「取り組みたい」の合

計が95%であったが、飲食関係者は89%と、ホテル関係者のほうが取組の意向は高かった。

また、自治体関係者は「ぜひ取り組みたい」、「取り組みたい」の合計が 91%だった。

a.ホテル

関係, 21%

b.飲食

関係, 15%c.自治

体, 45%

d.報道

関係, 2%

e.その

他, 17%

(n=93)

a.ホテル

関係

40%

b.飲食

関係

6%

c.自治体

40%

d.報道

関係

2%

e.その他

12%

(n=48)

a.ホテル

関係, 0%

b.飲食関

係, 25%

c.自治体, 51%

d.報道関

係, 2%

e.その

他, 22%

(n=45)

Page 104: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

100

(全体) (午前の部) (午後の部)

(ホテル関係者) (飲食関係者) (自治体関係者) 図 6.5.今後の取組

③ 具体的にどのような食品ロス削減に取り組んでみたいか 具体的にどのような食品ロス削減に取り組んでみたいかに関して、図 6.6~図 6.11 に示

す。全体では「啓発資材の掲示」が 57 件と最も多く、次いで、「3010 運動などの声掛けの

実施」が 36 件だった。午前の部では、「啓発資材の掲示」が 32 件と最も多く、次いで「3010運動などの声掛けの実施」が 21 件と全体と同様だった。午後の部では「啓発資材の掲示」

が 25 件と最も多かったが、次いで「提供する量の調整(1 口サイズ、小盛り等)」が 16 件と、

全体と午前の部と違う傾向となった。 なお、業界関係者でみると、ホテル関係者は「啓発資材の掲示」が最も多く 12 件、次い

で「お客様との提供内容・量の事前調整」が 11 件であった。一方で、飲食関係者は「提供

する量の調整(1 口サイズ、小盛り等)」が 8 件、次いで「お客様との提供内容・量の事前調

整」が 6 件となっており、業種によって取組の違いがみられた。また、自治体関係者は「啓

発資材の掲示」が最も多く 36 件、次いで「3010 運動などの声掛けの実施」が 20 件だった。 参考までに「その他」を選択した回答として、ホテル関係者では「食品ロス削減プロジェ

クト商品(メニューやプラン)」等の記載があった。また、飲食関係者は「計量」、自治体関

係者は「取り組みの呼びかけ」の記載があった。

a.ぜひ取

り組みた

い39%

b.取り組

みたい51%

c.あまり

取り組み

たいと思

わない2%

d.取り組みたいと

思わない0%

e.わから

ない8%

(n=89)

a.ぜひ

取り組

みたい, 37%

b.取り組

みたい, 57%

c.あまり取

り組みたい

と思わない, 4%

d.取り組みたいと

思わない, 0%e.わからない, 2%

(n=46)

a.ぜひ取り組

みたい, 42%

b.取り組みた

い, 44%

c.あまり取り組み

たいと思わない, 0%

d.取り組みたいと

思わない, 0%e.わからな

い, 14%

(n=43)

a.ぜひ

取り組

みたい42%

b.取り組

みたい

53%

c.あまり取り組み

たいと思わない

5%

d.取り組み

たいと思

わない0%

e.わから

ない

0%

(n=19)

a.ぜひ取

り組みた

い22%

b.取り組

みたい

57%

c.あまり取り組

みたいと思わな

い0%

d.取り組みたいと

思わない0%

e.わから

ない

21%

(n=14)

a.ぜひ取り組みた

い42%

b.取り組

みたい49%

c.あまり取り組み

たいと思わない2%

e.わから

ない7%

Page 105: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

101

図 6.6. (全体)【複数回答可】

図 6.7.(午前の部)【複数回答可】

図 6.8.(午後の部)【複数回答可】

図 6.9. (ホテル関係者)【複数回答可】

0 10 20 30 40 50 60

f.その他

e.持ち帰りの実施

d.3010運動などの声掛けの実施

c.お客様との提供内容・量の事前調整

b.提供する量の調整(1口サイズ、小盛り等)

a.啓発資材の掲示

0 5 10 15 20 25 30 35

f.その他

e.持ち帰りの実施

d.3010運動などの声掛けの実施

c.お客様との提供内容・量の事前調整

b.提供する量の調整(1口サイズ、小盛り等)

a.啓発資材の掲示

0 5 10 15 20 25 30

f.その他

e.持ち帰りの実施

d.3010運動などの声掛けの実施

c.お客様との提供内容・量の事前調整

b.提供する量の調整(1口サイズ、小盛り等)

a.啓発資材の掲示

0 2 4 6 8 10 12 14

f.その他

e.持ち帰りの実施

d.3010運動などの声掛けの実施

c.お客様との提供内容・量の事前調整

b.提供する量の調整(1口サイズ、小盛り等)

a.啓発資材の掲示

Page 106: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

102

図 6.10. (飲食関係者)【複数回答可】

図 6.11. 具体的な取組(自治体関係者)【複数回答可】

④ 食品ロス削減への取組で課題となっている点 食品ロス削減への取組で課題になっている点に関して、図 6.12~図 6.17 に示す。全体

では、「どのような取組が効果的かわからない」が 32 件と最も多く、次いで、「取り組みを

主導する人がいない」が 20 件だった。また、この傾向は、午前の部でも、午後の部でも同

様だった。 なお、業界関係者でみると、ホテル関係者は「どのような取組が効果的かわからない」が

最も多く 6 件、次いで「取組を主導する人がいない」、「その他」が 4 件であった。一方で、

飲食関係者は「取組を主導する人がいない」が 5 件と最も多く、次いで「どのような取組が

効果的かわからない」、「社内の理解が得られない」がそれぞれ 2 件であり、業種によって、

課題となっている点に違いがみられた。また、自治体関係者は「どのような取組が効果的か

わからない」が 22 件と最も多く、全体の約 6 割を占めた。参考までにその他を選択した回

答として、ホテル関係者では「取組みが加速する事で人不足のなか手間、経費がかかりすぎ

ないようバランスがむずかしい。」、「経営役員が知識不足」、「他業務もあり業務量調整が課

題」等の記載があった。また、自治体関係者は「社会全体の意識(無関心)」、「持ち帰りと保

健所の指導」等の記載があった。

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

f.その他

e.持ち帰りの実施

d.3010運動などの声掛けの実施

c.お客様との提供内容・量の事前調整

b.提供する量の調整(1口サイズ、小盛り等)

a.啓発資材の掲示

0 5 10 15 20 25 30 35 40

f.その他

e.持ち帰りの実施

d.3010運動などの声掛けの実施

c.お客様との提供内容・量の事前調整

b.提供する量の調整(1口サイズ、小盛り等)

a.啓発資材の掲示

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103

図 6.12. (全体)

図 6.13.(午前の部)

図 6.14.(午後の部)

図 6.15.(ホテル関係者)

0 5 10 15 20 25 30 35

e.その他

d.社内の理解が得られない

c.取組を主導する人がいない

b.どのような取組が効果的かわからない

a.何から取り組めばよいのかわからない

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

e.その他

d.社内の理解が得られない

c.取組を主導する人がいない

b.どのような取組が効果的かわからない

a.何から取り組めばよいのかわからない

0 2 4 6 8 10 12 14 16

e.その他

d.社内の理解が得られない

c.取組を主導する人がいない

b.どのような取組が効果的かわからない

a.何から取り組めばよいのかわからない

0 1 2 3 4 5 6 7

e.その他

d.社内の理解が得られない

c.取組を主導する人がいない

b.どのような取組が効果的かわからない

a.何から取り組めばよいのかわからない

Page 108: 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 …...農林水産省委託業務 令和元年度 食品産業リサイクル状況等調査委託事業 (スポーツイベントにおける

104

図 6.16. (飲食関係者)

図 6.17. 食品ロス削減への取組で課題となっている点(自治体関係者)

⑤ セミナーの感想 セミナーの感想に関しては、記入いただいた回答数は 18 件だった。表 6.8 に示す。これ

によれば、ホテル関係者は大変勉強になったという感想の他、「スポーツ選手の食べ残しに

ついて、さらに深堀して知識を得る必要」があるとの意見や、「メディアや電車内、スーパ

ー、コンビニ等多くの人が(ポスター、ポップ等を)見ることが必要等」の意見があった。

また、自治体からは大変参考になったという感想の他、「ポップも店舗の雰囲気により、合う、

合わないがある。すべてに効果があるとは思えない」との意見等もあった。

0 1 2 3 4 5 6

e.その他

d.社内の理解が得られない

c.取組を主導する人がいない

b.どのような取組が効果的かわからない

a.何から取り組めばよいのかわからない

0 5 10 15 20 25

e.その他

d.社内の理解が得られない

c.取組を主導する人がいない

b.どのような取組が効果的かわからない

a.何から取り組めばよいのかわからない

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105

表 6.8. セミナーの感想

部 業種 記入内容

前 ホテル関係 ・大変勉強になりました。

・大変参考になりました。ありがとうございました。 ・具体的な事例を伺えて大変参考になりました。ありがとうございました。 ・スポーツ選手関係に関する情報は既に知っているもので、今回の「スポー

ツ選手食べ残しについては更に深堀りし、知識を得る必要があるのでは」

と思いました。特に外国人スポーツ選手、日本人選手共に食べ残しは少な

い、重要なことは料理提供側とチーム側メディカルヘルスとメニューに関

して細かな打ち合わせを行うことです。 ・メディアや電車内、スーパー、コンビニ等多くの人が見ることが必要。

自治体 ・客の食べ残しがクローズアップされることが多いが調理後提供されない

ものの量を減らす方がはるかに効果的 ・とても有意義なセミナーでした。今後もさらに広めていってほしいです。

ありがとうございました。 ・卓上ポップ等の有効性を知れてよかったです。

その他 ・ポップの効果やホテルでの 3010 運動などとても参考になりました。でき

ことから取り組んでいきたいと思います。 午

後 飲食関係 ・食材ロスに資源にコスト削減に還元としての取組をしたい。 自治体 ・具体的事例を踏まえた大変参考となる取組でした。

・業者側にとっての「メリット」を「金額」で示すことが効果的であると感

じました。ありがとうございました。 ・ポップも店舗の雰囲気により、合う、合わないがある。すべてに効果があ

るとは思えない。 ・個人営業の飲食店に対し自治体として何ができるのか今後考えていく予

定です。ありがとうございました。 ・業者の方の取り組みは、行政側からだとなかなか耳にすることができない

ので大変参考になりました。 ・外食産業が食ロスを取り組むことで注文の減少=売り上げ減少にはなら

ないかがわからない。 ・消費者の意識には年齢層での差があると思われる。その反発への啓発対策

に本日の話があった「金額のムダ」を活用できないものか

その他 ・実際の取り組み事例が聞くことが出来て良かったと思います。ロイヤルホ

ールディングスの「経営側は金額で説明すればよく理解する」と言うのは

納得できた。

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106

7. スポーツイベントによって発生する食品廃棄物のリサイクル手法の検討 食品ロスを含む食品廃棄物は発生抑制が最優先ではあるが、何らかの理由で食品廃棄物

となってしまったもののうち、再資源化できるものついてはリサイクル(再生利用)するこ

とが望ましい。 食品リサイクル法におけるリサイクル手法としては、①飼料化、②肥料化、③メタン化、

④油脂及び油脂製品化、⑤炭化、⑥エタノール化、⑦きのこ菌床化※がある。一方、東京 2020大会期間中には相当量の食品廃棄物が発生することが予想される。そこで、これら手法のう

ちふすま、糠など特定の食品に限定される⑦きのこ菌床化を除き、仕向け量が比較的多い①

肥料化~④油脂及び油脂製品化について、適用可能性を検討した。

7.1. リサイクル手法の概要

(1) 飼料化 飼料の原料として食品廃棄物を利用するものである。飼料化の技術としては乾燥技術、サ

イレージ調整技術、リキッドフィーディング技術の三種類が一般的である。乾燥法は、原材

料を 70~200℃で乾燥させるもので何種類かの技術が開発されている。サイレージ調整技

術は、原材料を密閉して嫌気性発酵する技術である。最後に、リキッドフィーディング技術

は、原材料と水を混合し液状の飼料にする技術である。 適用する飼料化技術に関わらず、原料となる食品廃棄物には異物が混入しないよう分別

するとともに、保管中に腐敗しないよう冷蔵庫等で保管するなど衛生管理に配慮する必要

がある。飼料化に適さないものとしては、貝殻、卵の殻、大量の調味料がかかったものなど

がある。また、牛などの反芻動物向けの飼料の原料は、動物性以外のものに限定されている。

(2) 肥料化

微生物発酵により食品廃棄物を分解し、肥料として使用できる状態にするものである。微

生物による分解は、たんぱく質や糖分など分解しやすい成分を分解する一次発酵過程と、セ

ルロースなど分解しにくい成分を分解する二次発酵過程があり、肥料として使用するため

には、二次発酵まで必要である。 食品廃棄物を堆肥化するにあたっては、食品以外の異物が混入しないよう分別するとと

もに、腐敗しないよう冷蔵庫等での保管など衛生管理に気を付ける必要がある。また、肥料

化に適さないものは骨や貝殻、油脂が多く含まれているものなどである。

(3) メタン化 食品廃棄物を嫌気性細菌によってメタン発酵させてメタンガスを含むバイオガスを発生

させる手法である。発生させたバイオガスは、熱供給や発電用の燃料として利用する。 メタン化の原料として貝殻、卵の殻など発酵しにくいものは適さないが、先述の肥料化や

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107

飼料化ほどは分別する必要がない。

(4) 油脂及び油脂製品化

廃食油、魚腸骨、食肉から排出される生脂類などを原料として油脂や油脂製品を製造する

手法である。

7.2. 選手への食事提供に伴って発生する食品廃棄物の性状・形態 前節で示した食品廃棄物のリサイクル手法のうち、廃食油や魚腸骨、食肉から排出される

生脂類など調理後の食品に含まれていないものを対象とする油脂及び油脂製品化以外の手

法においては、その手法の適用可能性を検討する上で次の要素を考慮する必要がある。 (1) 異物の混入 (2) 動物性残渣 (3) 貝殻や卵の殻など (4) 油脂 (5) 調味料 (6) 衛生管理

先述の第 4 章における検証の際、選手の食事に伴って調理後に発生した食品廃棄物につ

いて、その量と内訳及び、様子を図 7.1 から図 7.6 に示す。なお、調理後の食品廃棄物の

量は、調理後の料理量から喫食量を除いたものであり、食べ残し(可食)、食べ残し(不可

食)、取り分け前の廃棄量の合計である。

図 7.1. 食品廃棄物量(総量)(A 国)

3.2 2.4 1.9 2.5

9.4

3.7 5.6 6.2

2.9

4.1 5.0 4.0

3.6

4.6 2.2 3.5

1.8

1.5 1.6 1.6

0.9 2.3 1.8

1.7

0

5

10

15

20

25

30

35

調理後の食品廃棄物量[

kg] 日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

24.3 22.1 20.6 22.3

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108

図 7.2. 食品廃棄物の種別構成比(A 国)

図 7.3. 選手の食事に伴って発生した食品廃棄物(9 月 17 日)(A 国)

13.2% 10.8% 9.0% 11.1%5.3% 4.3% 3.9% 4.5%

38.8%

16.6% 27.1% 27.9%

11.9%

18.8%

24.3% 18.0%

14.7%

21.0%10.7% 15.6%

7.3%

6.9% 7.8% 7.3%

2.7%7.2% 3.6% 4.5%

3.6%10.5% 8.8% 7.5%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

調理後の食品廃棄物の構成比[

%] 日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

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109

図 7.4. 食品廃棄物量(総量)(B 国)

図 7.5. 食品廃棄物の種別構成比(B 国)

7.2 7.7 5.1 6.7 2.4

14.4

1.5 4.0 6.7

6.4 7.2

4.6

4.4 2.3

3.4 2.0

2.6

0

5

10

15

20

25

30

35

調理後の食品廃棄物量[

kg] 日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

24.2%38.6%

23.2% 27.9%

10.7%

48.2%7.7% 18.1% 27.7%

32.2%32.7% 18.9%

14.6%

7.6% 17.2% 9.1% 10.7%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

調理後の食品廃棄物の構成比[

%] 日本食

デザート

パン

乳製品

フルーツ

パスタ・麺類

飯類

肉料理

魚料理

野菜

30.0

20.0 22.1

24.0

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110

図 7.6. 選手の食事に伴って発生した食品廃棄物(9 月 27 日)(B 国)

本調査で発生した食品廃棄物について上記(1)から(6)の状況は次のとおりであった。

(1) 異物の混入について

異物の混入については、図 7.3 と図 7.6 に示すとおり紙ナプキンなどの異物は入ってい

ない。これは、本調査のために逐次手作業で分別し、食品以外の異物を除去しているためで

ある。食事会場から下膳されてきた皿の中には、食べ残しと一緒に紙ナプキンやおしぼりの

ビニール袋が一緒に乗っているものも多数あった。それらの中には紙ナプキンなどが湿っ

ているため皿に張り付いていて分別に手間がかかるものもあった。

(2) 動物性残渣について 調理後の食品廃棄物には肉などの動物性のものと、野菜や果物など植物性のものとが混

在している。この原因は主に二つあり、一つ目は料理そのものが肉と野菜を一緒に調理や盛

り合わせたものであり、それらが廃棄されているためである。二つ目は動物性の食材のみを

使った料理と、植物性のもののみを使った料理を同じ場所に廃棄しているためである。

(3) 貝殻や卵の殻など(発酵しづらい部位)について

貝殻や卵の殻など発酵しにくいもの混入状況は、献立によって異なっているが、調査期間

中には、骨やアボカドの種など分解や発酵しにくいものも見受けられた。ただ、その量は全

体から比べると僅かであった。

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111

(4) 油脂について 食品廃棄物が調理後のものであることから、相当量の油脂が含まれていると考えられる。

(5) 調味料について

食品廃棄物が調理後のものであることから、相当量の調味料が含まれていると考えられ

る。

(6) 衛生管理について 食品廃棄物の保管については、冷蔵など腐敗防止措置がなされている様子は見受けられ

なかった。

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112

7.3. リサイクル手法の検討 前節までをふまえ、調理後の食品廃棄物に適用の可能性がある三種類のリサイクル手法

の原料の要件と、東京 2020 大会で発生が予想される調理後の食品廃棄物の性状をまとめる

と表 7.1 のとおりとなる。これをふまえると、東京 2020 大会で発生する調理後の食品廃棄

物は外食産業から発生する食品廃棄物と同等の性状であると考えられ、この性状のままリ

サイクルをする場合、手法としては、メタン化が考えられる。また、飼料化、堆肥化に関し

ては、食品廃棄物を受け入れる施設で異物除去の工程を設けることでリサイクルが可能で

あると考えられる。

表 7.1. リサイクルの原料の要件と、 東京 2020 大会で発生が予想される調理後の食品廃棄物の性状

項目 リサイクル手法 予想される

食品廃棄物の性状 飼料化 肥料化 メタン化

異物 不可 不可 肥料化と飼料化よ

りは許容される

混入する可能性が

高い

動物性残渣 牛など反芻動

物向けは不可

可 可 動物性残渣の分別は

困難

貝殻や卵の

殻など

不可 不可 不可 僅かに混入する

可能性あり

油脂 可 多いものは

不可

可 含まれる

塩分

(調味料)

大量に含まれ

るものは不可

大量に含まれ

るものは不可

可 含まれる

衛生管理 必要 必要 不要

(周辺施設等への

配慮は必要)

冷蔵保管等は困難

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113

8. 東京 2020 大会において効果的な食品ロス削減手法等および、その実施上の

課題の整理 東京 2020 大会で食品ロス削減の取り組みを実施するための課題について、本調査と平成

30 年度に実施した「平成 30 年度食品産業リサイクル状況等調査委託事業(スポーツイベン

トにおける食品ロス削減手法に関する調査)」(以下、「平成 30 年度調査」という。)をふま

え、東京 2020 大会の運営計画で示されている食事提供のフローの各段階のうち「消費」と

「提供」の両段階について表 8.1 のとおり整理した。これらの具体的な内容について以下

で述べる。 表 8.1. 「消費」段階及び、「提供」段階における食品ロス削減対策実施上の課題と対策

食事提供フローの段階等 課題 対策

消費 啓発資材の掲示 時機を捉えた適所への掲示 行動直前の隙間時間での啓発

啓発に対する新鮮さの維持 啓発内容や啓発資材の定期的

な変更

イベント的な啓発の実施

料理の取り分け・

注文

料理の量の調節のしやすさ

の確保

料理のスモールポーションで

の提供

目当ての食材の取りやすさ

の確保

取り分けやすい盛り付けでの

提供

取り分けやすいサービングカ

トラリーの提供

喫食 料理を食べきりやすい食器

の提供

料理の性状に合わせた食器の

提供

栄養管理に合わせた料理の

提供

積極的に食べる食材や料理の

提供

食べ残しの持ち帰りへの対

持ち帰りに対する提供側の理

解と対応の促進

提供 良い精度での喫食量の予測 提供側とチームが食事の内容

や競技スケジュールを共有

(1) 「消費」段階 本調査では、消費段階における食品ロスの削減手法として三角柱ポップとポスターを掲

示して啓発することの効果を食べ残し量等の計測とアンケートにより検証した。その結果、

計測とアンケートの両面からその効果が示された。その一方で、これらの結果を分析するこ

とで幾つかの課題が明らかになった。これらの課題を整理すると、「啓発資材の掲示」、「料

理の取り分け・注文」、「喫食」それぞれに関するものに区分できる。これらについて以下に

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114

述べる。 ① 啓発資材の掲示 スポーツイベントに出場する選手等と、スポーツイベントの試合会場周辺に立地する飲

食店への来店客を対象に実施した啓発は、食べ残しの原因となるブッフェでの過剰な料理

の取り分けや過剰な注文を抑制し料理の「適量の取り分けや注文」を促すとともに、取り分

けた料理や注文した料理の「食べきり」を促す内容となっている。 このような啓発資材の掲示による食品ロス削減の効果を検証するため、啓発の対象者に

対してアンケートを実施した。この結果、啓発資材を認知した選手等や来店客の多くが啓発

資材を認知したことで「取り分ける量や注文する量に配慮」する、「食べきりを心がける」

など食品ロスの削減につながるように行動を変化させていることが分かった。その一方で、

啓発資材が認知されずに見過ごされていることが分かった。 そこで啓発資材が認知されていない原因について分析した結果、啓発資材を効果的に認

知させるためには、啓発資材を掲示するのに適切な時すなわち「時機」と、適切な場所すな

わち「適所」が課題であることが分かった。 また、啓発資材掲示の効果を定量的に検証するため、選手等や来店客を対象に食べ残し量

等を計測した。その結果、啓発資材を掲示することにより食べ残し量が掲示前より減少した。

その一方で、計測対象によっては啓発資材の掲示による食べ残し量削減の効果が確認でき

なかった事例も存在した。この原因としては、啓発資材を目にし続けることによって生じる

キャリーオーバー効果または、馴れの効果が考えられる。この原因が後者である場合は、啓

発資材の「新鮮さを維持」することで、啓発資材の効果を維持させることが課題となる。 ここまでに上がった啓発資材に関する課題をまとめると次の二つとなる。

時機を捉えた適所への掲示 啓発に対する新鮮さの維持

これらのうち、「時機を捉えた適所への掲示」については、啓発資材の読み手に対して求

める行動がとれる場所、かつ、その行動をとる直前に啓発資材が目に入ることが望ましい。

読み手に「適量の取り分けや注文」を促すのであれば、取り分けや注文する場でその直前に

目に入るように掲示することになる。さらに、本調査と平成 30 年度調査の結果および選手

等の啓発資材に対する反応を考慮すると、これらに加え、ブッフェボードの前で順番を待っ

ているときなど、何かに集中する必要がないときに啓発資材が選手等や来店客の目に入る

ようにすることが望ましい。 例えば、平成 30 年度調査ではブッフェボードで順番を待っている選手等は啓発用のポス

ターを読む様子が見受けられた一方で、順番待ちをする必要がないときは、ポスターを読ん

でいる様子はほとんど見受けられなかった。また、来店客に対するアンケートでも、同伴者

のいない「お一人様」や「家族連れ」は啓発資材の認知度が高かった一方で、同伴者が「友

人など」や「職場の人」など、歓談や懇親が目的の来店客は啓発資材の認知度が比較的低か

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115

ったことがこのことを示していると考えられる。 これらのことから、行動直前の隙間時間での啓発が有効と考えられる。具体的には、比較

的時間や気持ちに余裕のある食事中に啓発資材が目に入るよう、卓上に三角柱ポップ等を

掲示することが考えられる。ただし、その場合でも啓発資材がメニューや他の掲示物に溶け

込まないよう、啓発資材をメニューなどから離して食卓の中央に掲示するなどの工夫が必

要になる。また、ブッフェボードに掲示する場合など何かの行動中に啓発する場合は、端的・

簡潔な文章や直感的な図を使うことが考えられる。 次に、啓発に対する新鮮さの維持についてであるが、B 国の食べ残し量の計測では啓発資

材の掲示による食べ残し量の削減効果はみられなかった。この結果については 4.4.2 項で考

察したとおり、その原因として、啓発資材の効果が継続しているキャリーオーバー効果もし

くは、馴れの効果の可能性が考えられる。仮にこの原因が後者だった場合は、啓発資材に対

する馴れにより、その効果が希薄化していることになる。特に東京 2020 大会で選手村に長

期間滞在する選手等に関しては、このようなことを避けるために、啓発資材に対する新鮮さ

を維持することが課題になる。そのための工夫としては、啓発内容や資材の定期的な変更、

「食品ロス削減の日」等を設けてイベント的に啓発するなどが考えられる。 ② 料理の取り分け・注文 ブッフェにおける料理の取り分けや、飲食店における注文段階における食品ロスの削減

に向けた課題として次の二つが挙げられる。 量の調節しやすさ 目当ての食材の取りやすさ

まず、「量の調節のしやすさ」についてであるが、選手等と来店客に対するアンケート結

果によれば、両者から食品ロスの削減にはスモールポーションでの料理提供が有効との回

答が得られている。本調査と平成 30 年度調査の範囲では、ホテルにおけるブッフェ形式の

食事では概ねスモールポーションで提供されており、量の調節も十分に可能と考えられる。

一方で、アンケート結果からは飲食店においては、来店客から店舗への要望として少量・小

ロットでの注文が挙げられており、飲食店では十分に対応できていない可能性がある。 このような少量・小ロットの注文を含め食品ロス削減に向けた取り組みが飲食店で広が

るためには、飲食店側における食品ロス削減への理解促進が必要である。さらに、本調査の

アンケート結果によると、多くの来店客が食品ロス削減に取り組んでいる飲食店に対して

好印象を持っており、この事実を周知することも有効と考えられる。 次に、「目当ての食材の取りやすさ」については、主にブッフェ形式での食事提供に関わ

るものである。本調査と平成 30 年度調査における食べ残し量の計測において、肉料理や魚

料理では肉や魚以外の付け合わせの野菜等、主となる食材以外の食材が食べ残しとなって

いる事例が散見されている。このような食べ残しを削減するためには、料理の提供する側で

目当ての食材を取り分けやすくする工夫が必要と思われる。そのための具体的な方法とし

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116

て、主となる食材と付け合わせを分けて盛り付ける、食材を選びやすいサービングカトラリ

ーの提供などが考えられる。 平成 30年度調査の女子バレーボール世界選手権に出場する選手等を対象とした計測期間

中にイカとエビを混ぜて盛り付けられた料理が提供されたことがあった。このときは、多く

のイカが取り皿に食べ残されていた。その後、差し替えでは、イカとエビが分けと盛り付け

られており、そのとき選手等は、エビを中心に取り分けており、その結果、イカが取り皿に

食べ残されることはなくなった。この事例からも上記のような対策が有効と考えられる。 ③ 喫食 本調査と平成 30 年度調査から、喫食に関わる課題として次の三つが考えられる。

料理を食べきりやすい食器の提供 体調管理に合わせた料理の提供 食べ残しの持ち帰りへの対応

喫食については、料理を取り分けたり注文した本人が食べきることが前提となる。しかし、

本調査においては、第 4.4.2 項で考察したビーフストロガノフの事例のように、食べにくい

ために意図せず食べ残しとなった可能性のある事例が幾つか存在した。このような食べ残

しを削減するためにも料理の提供側の対策として、料理の性状に合わせた食器の提供が考

えられる。 次に、「栄養管理に合わせた料理の提供」はスポーツイベントに出場する選手等に特有の

課題である。第 4.4.2 項で考察したローストチキンの皮の事例のように、脂質が多く含まれ

ているなどの理由で選手が摂ることを避ける部位や食材の提供を避け、選手が積極的に摂

る部位や食材を提供することが課題になる。また、選手の栄養管理に詳しい管理栄養士によ

ると、同じ食材や料理であっても国やレストランによって選手の食の進み具合が変わると

のことであった。 これらをふまえると、この課題に対応するためには、食事に関する情報をチームや競技団

体と交換し選手が積極的に摂る食材などを事前に把握するとともに、選手の食の進み具合

を実際に確認しながら日々メニュー構成などを調整していく必要がある。 最後に、「食べ残しの持ち帰りへの対応」については、飲食店への来店客へのアンケート

結果から得られたものであり、来店客は食べ残しの持ち帰りが食品ロスの削減に効果的で

あると考えている。一方で、飲食店側は持ち帰った料理に衛生上の問題が発生することを懸

念していることも多い。しかし、東京 2020 大会には、食べ残しの持ち帰りが一般的な欧米

からも多くの観光客が来日することが予想され、その場合、飲食店で持ち帰りを希望する観

光客が増える可能性がある。したがって、東京 2020 大会に向け、飲食店における食べ残し

の持ち帰りをどのように扱うかを検討する必要がある。

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117

(2) 「提供」段階 本調査と平成 30年度調査における選手等を対象とした食べ残し等の計測結果をふまえる

と、提供段階における食品ロス削減を削減するためには、精度よく喫食量を予測することが

課題となる。 これらの調査結果にもとづき、計測期間を通した調理後の料理量を調理後の内訳すなわ

ち、喫食・食べ残し・廃棄の比率は図 8.1 から図 8.3 のとおりとなる。これらの図が示す

ように、選手による喫食量は、調理した料理の約 60~70%であり、選手による可食部の食

べ残し量は調理した料理の約 1~3%である。一方、ブッフェボードなどに残ったままで選

手に取り分けられる前の状態で廃棄された取り分け前の廃棄量は約 25~40%を占めている。 このような取り分け前の廃棄量が発生する要因の一つに予定食数と喫食数の実績との乖

離がある。 ラグビーワールドカップ 2019 における B 国の計測期間中の予定食数、欠食数(欠食率)、

取り分け前の料理の廃棄量を表 8.2 に示す。なお、欠食数は、宿泊するホテルで食事を摂ら

なかった人数(予定食数と喫食数の差)である。また、食事を提供するホテルは、宿泊者数

(予定食数)にもとづいて調理する量を決めている。表 8.2 に示すとおり、喫食数は日によ

って大きく異なっており、喫食数が少ないと提供前の廃棄量が多くなっている。取り分け前

の廃棄量の総量は、計測期間中に、28.8kg、14.4kg、18.8kg と大きく変化しており、取り

分け前の廃棄量が調理した総量に占める割合もそれぞれ 58%、24%、35%と変化している。 また、欠食数ほどの影響はないものの、多くの競技や国の選手が集まる東京 2020 大会の

選手村などでは、一人あたりの喫食量の違いも取り分け前の廃棄量に影響を及ぼすと考え

られる。本調査と平成 30 年度調査から得られた一人あたりの喫食量を競技種目や国、競技

スケジュールで比較したものを図 8.4 と図 8.5 に示す。図 8.4 に示すとおり、バレーボー

ル女子世界選手権(主に女性)における一人あたりの喫食量は約 570g/人、ラグビーワール

ドカップ 2019(主に男性)では A 国が約 590g/人、B 国が約 720g/人となっている。また、

図 8.5 に示すラグビーワールドカップ 2019 の B 国において、休養日は約 590g/人、練習日

の平均が約 760g/人となっており、一人あたりの喫食量は、競技種目や競技スケジュール、

国などによって大きく変わる可能性がある。 これらをふまえると、取り分け前の料理の廃棄量を削減するためには、喫食数を精度よく

把握することが課題となり、そのためには、食事を提供する側がチームと食事の内容や予定

などを把握することが必要と考えられる。

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図 8.1. 喫食・食べ残し・廃棄の比率(2018 女子バレーボール世界選手権)

図 8.2. 喫食・食べ残し・廃棄の比率(ラグビーワールドカップ 2019(A 国))

喫食71.3%

食べ残し(可食)2.3%

食べ残し(不可食)0.4%

取り分け前の廃棄25.9%

喫食59.0%

食べ残し(可食)1.1%

食べ残し(不可食)1.0%

取り分け前の廃棄38.9%

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図 8.3. 喫食・食べ残し・廃棄の比率(ラグビーワールドカップ 2019(B 国))

表 8.2. 計測期間中の予定食数、欠食数(欠食率)、取り分け前の料理の廃棄量

(ラグビーワールドカップ 2019(B 国))

計測日 9 月 25日 9 月 26日 9 月 27日

予定食数 58 58 58

喫食数 33 54 40

欠食数(注)

(欠食率)

25 (43.1%)

4 (6.9%)

18 (31.0%)

取り分け前の料理の廃棄量

(調理した総量に占める割合)

28.8kg (58%)

14.4kg (24%)

18.8kg (35%)

(注)欠食数は、宿泊するホテルで食事を摂らなかった人数(予定食数と喫食数の差)。

ホテル外で食事をしていることが多い。

喫食55.8%

食べ残し(可食)3.0%

食べ残し(不可食)3.2%

取り分け前の廃棄38.0%

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図 8.4. 一人あたりの喫食量(競技種目・国による比較)

図 8.5. 一人あたりの喫食量(競技スケジュールによる比較) (ラグビーワールドカップ 2019(B 国))

570 590717

0100200300400500600700800900

バレーボール

(女子、

6ヵ国平均)

ラグビー

(男子、

A国)

ラグビー

(男子、

B国)

一人あたり喫

食量[

g/人]

587

750 778 762

0100200300400500600700800900

休養日(

B国)

練習日

1(B国

練習日

2(B国

練習日平均(

B国)

一人あたり喫

食量[

g/人]