本誌“初”SXSWレポート1987年生まれ インディーズのイベントだった...

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1987年生まれ インディーズのイベントだった SXSWは1987年、インディーズの音 楽祭として始まったと伝えられている。 1994年に映画祭を始め、1998年からイ ンタラクティブフェスティバルを同時開 催(当時は「SXSWマルチメディア」) し、2007年にツイッターがブログ関連 の賞を受けたことで世界的に注目を集 めるきっかけとなった。現在は〔〕イ ベントスケジュールにあるように、テー マがいくつものトラックとなって同時に 多発している。参加者は20万人以上で、 街中でSXSWの看板があふれる。 SXSWの源流は一説によると、たっ た3人のインディーズ音楽関係 者が集まった勉強会だったとい う。そこにはメジャーを否定せず、 また拒まずの精神が流れており、 30年を経てSXSWというビッグなイベ ントになっている。インディーズ精神が 底流にあるから、多くの人を引きつける のだろう。 オースティンにはテキサス州立大学 の広いキャンパスがあり、SXSWのメ イン会場であるコンベンションセンター (OCC)の近くにはオシャレなホテルが 並んでいる。その一方で、1857年から 続く古い2階建ての中央消防署などが あって、南部の歴史を感じさせてくれる。 empathy2018年のキーワード SXSWが終わって早々の3月23日、 都内で元WIRED編集長の若林恵氏が 「『本当に欲しい未来』とは ?」をテー マに、三者対話「trialog」を聞く集まり を渋谷で開催。150人ほどが参加した。 trialogでは若林氏のほかに、フリーラ イターの佐久間裕美子氏、ソニーの SXSWプロジェクトリーダーの森繁樹 氏が登壇した。 若林氏や佐久間氏は対談で、今年の SXSWのキーワードは「empathy」にあ ったと印象をまとめた。empathyについ て、「日本語でどう表現するのか難しい よね」と言いながら、「共感というので は的確ではないし……」と考え込んだ。 筆者は最近よく使われる表現の「寄り 添う」はどうか、と思いながら聞いた。 なぜ、empathyがキーワードなのか。 来年は本誌“発”SXSW本格ツアー決行を目指すゾ 本誌 “初” SXSWレポート SXSWが熱い ! SXSWとは、イベント「South by Southwest (サウス・バイ・サウスウエスト)」の略 称で、アメリカ・テキサス州オースティン市で、今年 は 3 月9日から18日まで開催。日本のメディア関係者 から「行ってみたい」という羨望の声が大きいイベント であり、本誌でツアーを企画したが参加希望者は 1人。 それでも決行。来年に期するために、ツアー事前調査 を兼ねてオースティンに乗り込んだ。 (レポート・写真:吉井 勇・本誌編集部) 元WIRED編集長の若林恵氏がSXSWを振り返る ために呼びかけた三者対話「trialog」(渋谷で開催) キーワード empathy

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Page 1: 本誌“初”SXSWレポート1987年生まれ インディーズのイベントだった SXSWは1987年、インディーズの音 楽祭として始まったと伝えられている。1994年に映画祭を始め、1998年からイ

1987年生まれインディーズのイベントだった

 SXSWは1987年、インディーズの音楽祭として始まったと伝えられている。1994年に映画祭を始め、1998年からインタラクティブフェスティバルを同時開催(当時は「SXSWマルチメディア」)し、2007年にツイッターがブログ関連の賞を受けたことで世界的に注目を集めるきっかけとなった。現在は〔表〕イベントスケジュールにあるように、テーマがいくつものトラックとなって同時に多発している。参加者は20万人以上で、街中でSXSWの看板があふれる。 SXSWの源流は一説によると、たっ

た3人のインディーズ音楽関係者が集まった勉強会だったという。そこにはメジャーを否定せず、また拒まずの精神が流れており、30年を経てSXSWというビッグなイベントになっている。インディーズ精神が底流にあるから、多くの人を引きつけるのだろう。 オースティンにはテキサス州立大学の広いキャンパスがあり、SXSWのメイン会場であるコンベンションセンター(OCC)の近くにはオシャレなホテルが並んでいる。その一方で、1857年から続く古い2階建ての中央消防署などがあって、南部の歴史を感じさせてくれる。 「empathy」2018年のキーワード

 SXSWが終わって早々の3月23日、都内で元WIRED編集長の若林恵氏が「『本当に欲しい未来』とは ?」をテーマに、三者対話「trialog」を聞く集まりを渋谷で開催。150人ほどが参加した。trialogでは若林氏のほかに、フリーラ

イターの佐久間裕美子氏、ソニーのSXSWプロジェクトリーダーの森繁樹氏が登壇した。 若林氏や佐久間氏は対談で、今年のSXSWのキーワードは「empathy」にあったと印象をまとめた。empathyについて、「日本語でどう表現するのか難しいよね」と言いながら、「共感というのでは的確ではないし……」と考え込んだ。筆者は最近よく使われる表現の「寄り添う」はどうか、と思いながら聞いた。 なぜ、empathyがキーワードなのか。

来年は本誌“発”SXSW本格ツアー決行を目指すゾ !本誌“初”SXSWレポート

SXSWが熱い! SXSWとは、イベント「South by Southwest(サウス・バイ・サウスウエスト)」の略称で、アメリカ・テキサス州オースティン市で、今年は3月9日から18日まで開催。日本のメディア関係者から「行ってみたい」という羨望の声が大きいイベントであり、本誌でツアーを企画したが参加希望者は1人。それでも決行。来年に期するために、ツアー事前調査を兼ねてオースティンに乗り込んだ。

(レポート・写真:吉井 勇・本誌編集部)

元WIRED編集長の若林恵氏がSXSWを振り返るために呼びかけた三者対話「trialog」(渋谷で開催)

キーワード「empathy」

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