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― 143 ― 【 背景および目的 】現在、高精度放射線治療を行うう えでは 6 軸システムが必須となりつつあるが、6 軸シ ステムの基礎データの報告は少ない。そこで、本研究 では、6 軸システムの基礎データを収集し、臨床使用 における注意点を検討することで、高精度放射線治療 を安全に施行できることを目指して行った。 【 使用機器 】 ・Linac Novalis Tx(BrainLAB、Varian) ・放射線治療寝台 Exact couch base(BrainLAB) ・EPID:Portal imaging(Varian) ・画像誘導装置 ExacTrac X-ray [ ExacTrac ] (BrainLAB) ・6 軸対応カウチトップ imaging couch top (BrainLAB) ・Winston Lutz test ファントム(BrainLAB) ・ファントム isocenter phantom(BrainLAB) 【方法】Winston Lutz テスト(WLT)では、Novalis Tx 付属の WLT キットを使用し、Linac および Ex- acTrac による中心位置精度の検証を行った。ガント リ角度4方向(0, 90, 180, 270)とテーブルアングル6 方向(0, 30, 60, 270, 300, 330)を組み合わせて行った。 但し、Linac および ExacTrac 双方で、ガントリと治 療寝台が接触するような角度については除外して行っ た。ExacTrac の不確かさの検証では、ExacTrac 付 属の isocenter phantom を使用し、テーブルアング ル 0 度で位置照合を行い、初回位置照合の結果をもと に 6 軸で治療寝台の移動。そして、再度テーブルアン グル 0 度で位置照合を行った結果を基準座標とした。 また、テーブルアングルについては、WLT と同様の 角度で証を行った。 6 軸治療寝台を含む ExacTrac の不確かさの検証で は、ロール方向とピッチ方向を変化させ、ExacTrac の不確かさの検証と同様の検証を行った。 【 結果 】 WLT の結果を Fig.1 に ExacTrac の不確かさ の検証結果を Fig.2 に6軸治療寝台を含む ExacTrac の不確かさの検証結果を Fig.3 に示す。 【 結論 】 6 軸システムを使用した IGRT では最大 2.5 ㎜ の誤差が生じる可能性があり、臨床使用には基礎検討 を行ったうえで開始する必要がある。 ○増田 圭吾 1) 、富永 正英 2) 、生島 仁史 2) 、福良 亮介 1) 、岸 太郎 3) 、佐々木 幹治 3) 1 )徳島大学保健学科 2 )徳島大学大学院保健科学教育部 3 )徳島大学大学院診療支援部放射線技術部門 6 軸治療寝台システムを用いた位置精度に関する基礎的検討 24- 103 Fig.1 Fig.3 Fig.2

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【背景および目的】 現在、高精度放射線治療を行ううえでは6軸システムが必須となりつつあるが、6軸システムの基礎データの報告は少ない。そこで、本研究では、6軸システムの基礎データを収集し、臨床使用における注意点を検討することで、高精度放射線治療を安全に施行できることを目指して行った。【使用機器】・Linac Novalis Tx(BrainLAB、Varian)・放射線治療寝台 Exact couch base(BrainLAB)・EPID:Portal imaging(Varian)・ 画像誘導装置 ExacTrac X-ray [ExacTrac](BrainLAB)・ 6軸対応カウチトップ imaging couch top(BrainLAB)・Winston Lutz test ファントム(BrainLAB)・ファントム isocenter phantom(BrainLAB)【方法】 Winston Lutz テスト(WLT)では、Novalis Tx 付属のWLTキットを使用し、Linac およびEx-acTrac による中心位置精度の検証を行った。ガントリ角度4方向(0, 90, 180, 270)とテーブルアングル6方向(0, 30, 60, 270, 300, 330)を組み合わせて行った。但し、Linac およびExacTrac 双方で、ガントリと治療寝台が接触するような角度については除外して行った。ExacTrac の不確かさの検証では、ExacTrac 付属の isocenter phantomを使用し、テーブルアングル0度で位置照合を行い、初回位置照合の結果をもとに6軸で治療寝台の移動。そして、再度テーブルアングル0度で位置照合を行った結果を基準座標とした。また、テーブルアングルについては、WLTと同様の角度で証を行った。 6軸治療寝台を含むExacTrac の不確かさの検証では、ロール方向とピッチ方向を変化させ、ExacTracの不確かさの検証と同様の検証を行った。【結果】 WLTの結果を Fig.1にExacTracの不確かさの検証結果を Fig.2に6軸治療寝台を含むExacTracの不確かさの検証結果を Fig.3に示す。

【結論】 6軸システムを使用したIGRTでは最大2.5 ㎜の誤差が生じる可能性があり、臨床使用には基礎検討を行ったうえで開始する必要がある。

○増田 圭吾1)、富永 正英2)、生島 仁史2)、福良 亮介1)、岸 太郎3)、佐々木 幹治3)

1)徳島大学保健学科2)徳島大学大学院保健科学教育部3)徳島大学大学院診療支援部放射線技術部門

6軸治療寝台システムを用いた位置精度に関する基礎的検討24-103

Fig.1

Fig.3

Fig.2

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【背景】 当院では中枢神経系の腫瘍と上顎腫瘍に対して回転型強度変調放射線治療(Volumetric Modulated Arc Therapy:以下、VMAT)を実施する場合、CBCTによる平行移動3軸(X軸、Y軸、Z軸)と回転方向軸Yaw角の4軸の位置補正を行っている。Roll 角と Pitch 角は位置誤差としては表示されるが、現有システムでは補正できない。【目的】 2010年5月~2012年5月の間に中枢神経系の腫瘍と上顎腫瘍においてVMATを施行した11症例15プラン(2ARCは1ARCずつに分けた)をレトロスペクティブに解析し、Roll 角及びPitch角の回転誤差が線量分布に及ぼす影響とその許容範囲を求めること。【方法】1. 治療計画装置(Pinnacle3)で計画されたプランを多列半導体検出器線量検証システム(Delta4)に転送し、Roll 角及びPitch角が0°の状態で照射する。

2. 水等価ファントムと角度計を用いて、Delta4の Roll角及びPitch角を±2.5°まで0.5°刻みで変化させて照射する。このとき、Delta4はアイソセンタを中心として回転させる。3. Roll 角及びPitch角が0°の場合を対照群とし、±2.5°まで0.5°刻みで変化させた場合を処理群とする。4. 対照群と処理群とでDose Diff erence(DD)、Dis-tance To Agreement(DTA)、γindexのパス率とDose Volume Histogram(DVH)の変化について比較検討を行う。5. γindex において線量域を10%刻みで分けて、どの線量域においてRoll 角及び Pitch 角の影響が大きいかを調べる。

【結果及び考察】 Roll 角及びPitch 角とも回転誤差が大きくなるにつれて、DD・DTA・γindexのパス率は低下した。γindexにおける角度ごとのパス率の変化を Fig.1に示す。Fig.1よりPitch 角の方が回転誤差によるパス率の低下が大きいことがわかる。これはRoll 角の誤差は回転中に相殺されているためと考える。

γindexのパス率ではFriedman検定の結果、Roll 角及びPitch角とも回転誤差が±1.5°以上で有意差を認めた。(p<0.05)Friedman検定の結果を Table 1に示す。DVHで比較すると -1.0°と -1.5°ではほとんど差は見られなかった。しかし、-2.5°になると顕著に乖離が見られた。角度によるDVHの相違を Fig.2に示す。線量域ごとに見てみると、γindexにおいて50%以下の線量域のパス率が大きく低下していた。このことより、50%以下の低線量域において回転誤差の影響がより大きいことがわかる。これらのことより、セットアップ時のRoll 角及び Pitch 角の回転誤差を±1.5°までに抑えれば、計画時の線量分布が許容できる範囲で再現できていると考える。しかし、今回はあくまで対象はファントムで、Roll 角及びPitch角それぞれの回転誤差だけの検証結果であり、実臨床のようなRoll 角及び Pitch 角の両方向が複雑に組み合わさる条件下での更なる検討が必要であると考える。

【結語】 Roll角及びPitch角の回転誤差が頭部VMATの線量分布に及ぼす影響について評価を行った。セットアップ時の回転誤差±1.5°が当院での計画時の線量分布の再現性をみる一つの指標になると考える。

○小林 仁、鐵原 滋、西谷 仁博、石割 美香、松本 純、小野 康之、山田 聖、山根 武史、 平田 吉春鳥取大学医学部附属病院

Roll, Pitch角の回転誤差による影響―回転型強度変調放射線治療の線量分布において―

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【Introduction】 Real-time tumor-tracking radiother-apy(RTRT) system is one of the effective tech-niques of image guided radiotherapy(IGRT). In our institution, the RTRT system is used to set up the patients implanted three fi ducial markers for in-tensity-modulated radiotherapy(IMRT) of prostate cancer. The purpose of this study is to evaluate planning target volume(PTV) margins for prostate IMRT with and without correction of intra-fraction motion during treatment using the RTRT system.【Methods】 The nineteen supine patients who un-derwent IMRT for prostate cancer using the RTRT system were enrolled in this study. The patients were positioned based on skin markers. After that, those were repositioned in left-right(LR), anteri-or-posterior(AP) and superior-inferior(SI) direc-tions after the differences between actual and planned isocenter positions were calculated and cor-rected using the RTRT system. Those diff erences were acquired before treatment delivery and dur-ing treatment course. Three set-up methods of IMRT for prostate cancer were simulated using ac-quired data for the following situation (1) skin-based set-up, (2) pretreatment set-up using three fi ducial markers and (3) pretreatment set-up using three fiducial markers and correct intra-fraction motion for each beam. Systematic and random er-rors were calculated for these situations. PTV mar-gins were calculated using Van Herk’s formula and compared.【Results】 For skin-based set-up, the required PTV margins were 5.0 mm, 13.2 mm and 9.0 mm in LR, AP and SI directions, respectively. For pre-treatment set-up using three fi ducial markers, the required PTV margins were 1.4 mm, 3.4 mm, and 2.5 mm in LR, AP and SI directions, respectively. For pretreatment set-up using three fi ducial mark-ers with intra-fraction motion correction for each beam, the required PTV margins were 0.6 mm, 1.5 mm, and 1.3 mm in LR, AP and SI directions, re-spectively. Figure 1 shows the isocenter placement errors(in mm) of three methods, along (a): SI

and AP axes, and (b): SI and LR axes. The outer box shows PTV margins. (1) set-up based on skin markers (2) set-up using three fiducial markers with inter-fraction motion (3) set-up using three fi ducial markers and correct intra-fraction motion for each beam.

【Conclusion】 Our research has shown that correc-tion of intra-fraction motion of prostate in each beam using the RTRT system and PTV margins were reduced, suggesting that further investigation may be required to apply the PTV margins in clini-cal setting.

○Takuya Uehara1), Takehiro Shiinoki2), Yuki Yuasa1), Masahiro Koike1), Ryuji Kanzaki1), Shinji Kawamura1), Keiko Shibuya2)

1)Department of Radiological Technology, Yamaguchi University Hospital

2)Department of Theraputic Radiology, Graduate School of Medicine, Yamaguchi University

Planning target volume margins for prostate intensity-modulatedradiotherapy using the real-time tumor-tracking radiotherapy system

Fig.1 The isocenter placement errors of three methods

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【背景および目的】 前立腺に対するIMRT及びVMATについては、3D-CRTと比較した場合に臨床成績の優位性を示す報告が多い。 しかし、現在、IMRT・VMATの治療計画手法は、過去の報告を参考にして、施設独自の方法によって線量制約を決定し、施行されているのが一般的である。 そこで、本研究では過去に徳島大学病院で治療計画を行った症例を対象とし、それらの計画をレトロスペクティブに評価を行うことで計画指標を導き出すことを目的とした。【使用機器】・Linac Novalis Tx(BrainLAB、Varian)・治療計画装置 Eclipse version 8.9.17(Varian)【対象および方法】 対象患者は、徳島大学病院で過去に前立腺に対して IMRTおよびVMAT計画を行った53名とした。76Gy処方による IMRTを行った症例が16名、78Gy処方による IMRTを行った症例が20名。VMATは全て78Gy処方で17名。線量制約をFig.1に示す。

 評価方法は、PTV体積および直腸体積を集計し、PTVおよび直腸のDVH形状の違いを評価した。前立腺 IMRT計画を行う際には、CTVからPTVマージンを付加させた場合には必ず直腸と重なりあう体積である overlap 領域が発生する。本研究では overlap領域と直腸との比(O/R比)においてPTVの最低線量との相関関係を評価した。

【結果】 直腸体積の違いによるPTVのDVH形状の結果を Fig.2にPTV体積の違いによる直腸のDVH形状の結果を Fig.3にO/R比とPTVの最低線量との相関関係を Fig.4に示す。

【結論】 前立腺 IMRTおよびVMATの計画指標としてO/R比を用いることができると示唆された。

○福良 亮介1)、富永 正英2)、生島 仁史2)、増田 圭吾1)、岸 太郎3)、佐々木 幹治3)

1)徳島大学保健学科2)徳島大学大学院保健科学教育部3)徳島大学大学院診療支援部放射線技術部門

前立腺 IMRTおよびVMAT計画評価におけるレトロスペクティブ解析24-106

Fig.1

Fig.2

Fig.3

Fig.4

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【背景および目的】 前立腺の IMRTでは金属マーカーによる位置照合で高精度な治療を行っているが、放射線治療計画装置(RTPS)による線量計算では金属などの高原子番号・高密度物質の存在下では線量が正しく計算されないことが報告されている1)。今回我々は、線量計を用いた実測、RTPSでの線量計算、ガフフィルムを用いた解析の3つの測定方法を用いて金属マーカーからの散乱線が臨床に影響を及ぼすか否かを比較検討した。【使用機器・実験方法】 リニアックは SIMENS PRI-MUS-MD2で10MV X線(300MU/min)を使用した。線量計N30013型 -0.6 ㎖(PTW)、電位計RAMTEC 1000plus(東洋メディック)、RTPS は XioVer.4.70(ELEKTA)、ガフフィルムはEBT2(ISP)を用いてDD-System Ver.9.0(R-Tech)から解析し以下の実験を行った。1. 1門照射での各測定方法で得た線量からの検討 ① 測定はMix-DPファントム5 ㎝深(SSD 95 ㎝)で、

線量計およびEBT2をセットして、金属マーカー(Ag-Au:Φ 0.28×5 ㎜)をビーム入射側に+0.35, +1, +2 ㎝、出射側に-0.35, -1, -2 ㎝に1個ずつ配置して、MU値を2, 4, 6, 8, 10, 30, 50, 100, 250と変化させた時の線量計、EBT2、Xioでの各々で得られた線量を比較する。

② 線量計の実測値に対するEBT2とXioで得られた計算値の誤差率を求める(いずれもマーカー有り)。

③ 金属マーカー無しの各々の測定法で得られた線量に対する金属マーカー有りで得た線量の誤差率を算出する。

2. 臨床例を用いた多門照射からの検討 検証用I’mRTファントム(SCANDITRONIX WELL-HOFER)のアイソセンターから1 ㎝の距離で互いに重ならないX, Y, Z 方向3か所に金属マーカーを配置し、当院で前立腺 IMRTを施行した7症例の治療計画から、金属マーカー無しでの各線量に対して、金属マーカーを配置した場合の各々で得られた線量の誤差率を求めた。

【結果と考察】 1. ①に関する検討では、線量計を用いた場合に100MU, 250MUの -0.35 ㎝, +0.35 ㎝の位置にマーカーを挿入した場合の測定値にのみ若干の増減を認めた(Fig.1)。1. ②の結果は低MU値における誤差率が+5%を上回る結果となった。1. ③での誤差率は全ての測定法で±5%以内だった(Fig.2)。3つの測定法の中でもXio では誤差がほとんど見られなかったのは、Xioが後方、前方、側方散乱による線量の増加、線量の減少を正しく計算できていないため

と考えられる。また、EBT2を用いた測定で低 MU 値での誤差にばらつきが見られたのは、測定が1回のみのため、ガフフィルム特有の感度斑が原因と考えられる。多門照射を行った臨床例での金属マーカー無しに対する誤差率を Table.1に示す。IMRTのガイドラインではRTPSと実測の誤差率が±3%以内の精度で行われる必要がある。今回の結果では、金属マーカーを装着した全ての臨床例による照射を行った。 結果でも許容範囲内であった。【結語】 今回の研究では、各測定法でバラつきはあるが、金属マーカーによる人体への影響はない結果が示された。しかし今後、モンテカルロ等の計算による比較を行いさらなる追加検討が必要と考えられる。

【参考文献】1) 羽原幸作,他: 外部放射線治療における腫瘍位置確認用金マーカーからの散乱線による人体への影響の検討:日本放射線技術学会雑誌67(9), 1164-1173, 2011

○長谷 和樹1)、川島 歩1)、松本 未希1)、角場 幸記2)、長瀬 尚巳2)、谷 忠司2)、 樋口 真樹子2)、柳元 真一2)

1)川崎医療短期大学 放射線技術科2)川崎医科大学附属病院 中央放射線部

前立腺 IMRTにおける位置確認用金属マーカーからの散乱線が及ぼす影響についての基礎的検討

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Fig.1 金属マーカー挿入時の各測定法による吸収線量の変化

Fig.2 1門照射での金属マーカー無しに対する線量誤差率

Table.1 臨床例での金属マーカー無しに対する線量誤差率

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【背景】 照射位置精度に影響を及ぼす因子としてはSetup Error と臓器の internal motion が考えられる。 Setup Error は適切な固定具の選択および使用により低減が可能であり、また前立腺は膀胱・直腸の状態によって移動するため前処置を行う必要がある。当院では金マーカー留置下前立腺治療を対象とし、固定具および前処置の変更を行ってきた。【目的】 金マーカー留置下前立腺治療時の固定具および前処置の変更によって照射精度の改善を行う。【方法】 当院で治療を行った以下の3種類の固定具と前処置の組み合わせを対象とした。A) 体幹部定位用天板+ECRバキュームクッション(LEIBINGER)/排尿後 /27人 /205回

B) Vac-Lok+Kneefi x(CIVCO)/排尿後 /20人 / 205回

C) 自作かかと台/蓄尿1時間 /18人 /205回 それぞれ治療直前に撮影した正側二方向のLGとDRRを骨構造で比較し、X(L-R)、Y(A-P)、Z(S-I)方向の setup error、setup margin(stroomらの式より算出)を求めた。また、LGとDRRを骨構造と金マーカーの重心位置で比較し、骨修正量と金マーカー修正量から前立腺のみの位置誤差(internal error)を算出し、internal error の平均値、標準偏差を求め比較した。※ 自作かかと台は左右のかかとの位置を固定するためスタイロフォームを加工して作成。

【結果】①Inter-fraction Setup error  結果を図1に示す。すべての固定具および方向で平均値は1 ㎜以内となっていた。 X、Z方向のばらつきは固定具の変更によって小さくなっていた。Y方向は固定具Bでばらつきが大きくなっていた。X, Y, Z 方向の Setup margin(㎜)は固定具A(6.6、3.7、5.6)、固定具B(4.7、6.7、4.6)、固定具C(3.3、3.4、3.5)となった。

②Inter-fraction prostate motion(internal error)  結果を図2に示す。前立腺の変動が大きいのはY、Z方向で排尿直後から蓄尿1時間とすると各方向でSDの低減がみられた。特にY方向においてばらつきが小さくなっていた。

【考察】①Inter-fraction Setup error  結果よりSetup error の平均値はすべて1 ㎜以内で

固定具によるかたよりはなかった。  固定具AはLR、SI 方向のばらつきが大きくローテーション、ピッチングの影響が大きいと考えられる。固定具Bに変更し、体に線を書くことでLR、SI方向の改善は見られたが、膝台位置の再現性や膝の開きに対して固定ができないため骨盤が安定せずAP方向のばらつきが大きくなったと考える。かかと台の使用により足の開き、膝の高さを一定に保つことが可能となりマージンの縮小につながった。

②Inter-fraction prostate motion  排尿直後の場合、患者毎の平均位置のばらつきが大きく、蓄尿1時間とした方が特にAP方向の前立腺位置のばらつきの低減が見られた。治療期間中の管理が前立腺の位置再現性において重要である。今回の検討ではフィルムによる二方向での照合のため、体の回転に対して骨と金マーカーの関係を正確に評価できていない。

【結論】 自作かかと台を使用し、前処置は蓄尿1時間としたことで照射精度が改善した。

○片山 博貴1)、大久保 正臣1)、續木 将人1)、高橋 洋輔1)、加藤 耕二1)、高橋 重雄2)、 戸上 太郎2)、柴田 徹2)

1)香川大学医学部附属病院 放射線部2)香川大学医学部附属病院 放射線治療科

前立腺癌に対する金マーカー留置下放射線治療の精度改善24-108

図1 固定具によるSetup error(Mean ± SD)

図2 前処置による前立腺の Internal error(Mean ± SD)