インフルエンサーがフォロワーのエクササイズ の意識と行動 …...また,Boyd et al.,(2010)は,ソーシャルメディアでは,スレや投稿で交流するではな
日本にはもう資源はないのか? ·...
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2 3第1章 日本は有数の資源国になれる
図1.1 わが国の都市鉱山蓄積は、世界の年間消費を地球何個分まかなえるか
日本の都市鉱山蓄積量/世界の年間消費量
Au Ag Cu Fe Pb Sn Co PGM V Li Ta In
6.8kt 60kt
38Mt
1.2Gt 5.6Mt
660kt 130kt
2.5kt
140kt 4.4kt
1.7kt
150kt
Sb Cu Au In Pb Pt Ag Ta Sn Zn
30
25
20
15
10
5
0
日本の都市鉱山蓄積量/世界の埋蔵量
(%)
①③
②
③
①
③⑤
⑥
②
④
図1.2 日本の都市鉱山蓄積量は世界の埋蔵量の何%に当たるか(番号は各国の埋蔵量と比較したときの順位)
わー、思ったよりあるんだ
世界に自慢できるね
日本にはもう資源はないのか?
かつてコロンブスは黄金の国ジパングをめざしていました。16世紀の石見銀山は世界の銀の大部分を産していたのです。かつての日本は世界もうらやむ資源大国だったのです。しかし今は、ほとんどの金属資源は海外から買っています。亜鉛やインジウムが採れた北海道の豊羽鉱山が2006年に閉山して以来、日本の天然鉱山は九州の菱刈金山など生産量では使用金属量の3%程度のものになっています。やはり日本はもう資源のない国なのでしょうか。 いいえ、資源はそもそもは自然から与えられたものですが、人間の努力で増やすこともできます。別の言い方をすると、与えられた資源を全て活用してないのが人間なのです。その未活用の資源はどこにあるか。実は私たちの身の回りにあったのです。 資源が足りなくなった日本は世界中から優れた資源を必死に集めてモノづくりをしてきました。その集められたものは、半分は海外に製品として輸出されましたが残りは日本の中に残っています。壊されたビルの鉄筋、解体された自動車、飲み終わったアルミ缶、壊れたテレビなどなど、この中に世界中から集めた資源が眠っているのです。資源は天然鉱石の中にだけあるのではなく、人間社会のなかにもある「都市鉱山」、これが大きな未利用資源です。 「といっても量的には少ないのではないか」と思う人も多いと思われます。実は、多くの人がそう思っていたため国内の蓄積量を見積もった金属の例は少なかったのです。それをやってみたのが図1.1と図1.2です。日本に蓄積している金属の量は馬鹿にできません。世界の年間消費量の数年分もある金属がたくさんあります。私たちが知らないうちに備蓄の準備が整っているのです。これを世界の天然資源の埋蔵量と比べてみると、もっと驚くべき数字になります。日本の蓄積量は世界の資源国と呼ばれる国々の埋蔵量に匹敵するどころか、金や銀などでは1位の国の埋蔵量を凌ぐほどの蓄積量があるのです。昔の天然資源国日本は、都市鉱山資源という新しい資源の資源国になりうるのです。
4 5第1章 日本は有数の資源国になれる
70
60
50
40
30
20
10
0
埋蔵量
(1000トン)
カナダ
アメリカ
中国
オーストラリア
ペルー
メキシコ
ポーランド
日本
図1.3(b) 銀:埋蔵量の23%に相当
図1.3(d) タンタル:埋蔵量の10%に相当
9,000
8,000
7,000
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
埋蔵量
(トン)
ロシア
カナダ
アメリカ
ペルー
日本
中国
41,000
39,000
9,000
8,000
7,000
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
埋蔵量
(トン)
マレーシア
ザイール
カナダ
日本
タイ
オーストラリア
図1.3(c) インジウム:埋蔵量の16%に相当
金、銀は埋蔵量1位国を凌ぐ蓄積量
日本の都市鉱山の蓄積量を世界の資源国といわれる国々の埋蔵量と比較するとどうなるかを見てみたのが図1.3です。 金の埋蔵量1位は南アフリカで6,000トンの埋蔵量がありますが、それをも凌ぐ7,000トン近くの金の量がわが国には眠っている計算になります。銀も世界の埋蔵量の23%に相当する量が国内に眠っています。これももし全部利用することができたら最大の埋蔵量国のポーランドを凌ぐ量になってしまいます。 レアメタルも同様です。LCDパネルの透明電極に使われるインジウム(In)で埋蔵量の16%、モバイル機器に使われる高性能コンデンサ用のタンタル(Ta)で埋蔵量の10%に相当する量が我が国に眠っている計算になるのです。 なぜ日本にはこんなに多くの金属が眠っているのでしょうか。 それは、いままで日本の経済活動が世界中から質の良い資源を集めて、日本の高い工業生産力で素材化、製品化を進めてきたからです。特に日本は情報産業技術などのハイテクで常に世界をリードしてきました。そのハイテクに必要な新たな素材のために多くの資源が日本に集まっているのです。 天然の鉱山は自然の火山活動などで元素が濃集されて形成される場合が多いのですが、日本の都市鉱山は日本の経済活動が作り上げてきたものです。
8,000
7,000
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
埋蔵量
(トン)
中国
カナダ
インドネシア
アメリカ
ロシア
ペルー
オーストラリア
南アフリカ
日本
図1.3(a) 金:埋蔵量の16%に相当
6 7第1章 日本は有数の資源国になれる
図1.5 原油埋蔵量の国別シェア
油価格が高騰したためにそれまで低品位でコストに合わないとされたオイルシェールからの採掘が経済的にも成り立つようになったからです。このカナダの原油の場合は価格の高騰ですが、技術やシステムの改善で経済性を増していくことで「埋蔵量」としてカウントしていけるようにできるのです。つまり、埋蔵したものを探すのではなく、積極的に鉱脈を作って埋蔵量にしていくような努力をすることこそ都市鉱山の開発なのです。
都市鉱山可能性67%
都市鉱山可能性49%
埋蔵量33%
南アフリカ4% 南アフリカ
16%
日本5%
日本4%
埋蔵量ベース51%
カナダ13%
ロシア4%
2005 年 2008 年
2005年20%
9%
7%
8%
10%6%6%
1%
13%
4%
3%1%
16%
2008年
サウジアラビア
サウジアラビア
イラク
アラブ首長国連邦
クウェート
イラン
ベネズエラ
アメリカ
メキシコ
カナダ
ロシア
リビア
中国
その他
イラク
アラブ首長国連邦
クウェート
イランベネズエラ
アメリカ
メキシコ
カナダ
ロシアリビア
中国
その他
0 10 20 30 40 50%
60 70 80 90 100
2005年
2008年
図1.4 世界の金の埋蔵量と埋蔵量ベース
原油の値段が上がってカナダのオイルシェールが掘れるようになったんだ
「蓄積量」を「埋蔵量」にできるかが問われている
ここまで述べたわが国の都市鉱山の蓄積量は、残念ながら直接蓄積された金属を量ったのではなく計算量です。どのように計算したかを知ってその金属資源のありかを見出していかなければなりません。 前の節でこの蓄積量を埋蔵量と比べましたが、実は「蓄積量」と「埋蔵量」には大きな違いがあります。それは何かというと、「埋蔵量」は、いま鉱山として採掘して経済的に成り立つ量を意味します。一方で「蓄積量」は、単にあるというだけで経済的に成り立つかどうかは考慮していない数字です。鉱山学的にいうと「埋蔵量ベース」という表現があり、これは経済的成立性を考えない資源の存在量です。つまり、都市鉱山の「蓄積量」は、この「埋蔵量ベース」に相当する量なのです。 都市鉱山の蓄積量を著者(原田)が発表した時に、あるクイズ番組から「『世界の金の1割以上は日本にある。○か×か』で○を正解にしたいが良いか?」という問い合わせが来ました。残念ながら答えは「×」です。図1.4の左のように、埋蔵量と比べたら16%ですが日本以外にも既採掘の蓄積量は存在するので、そこも加えると5%になります。そして、本当は経済成立性を考えない「埋蔵量ベース」と比べるのが妥当ですから、日本の都市鉱山蓄積量の世界中の金に対する比率は4%ということになります。しかし、それでも図1.1でみたように世界の金の年間需要の3年分近くになるのですから、全部利用できるようになればその存在感はたいしたものになります。 では、経済的にも成立する都市鉱山の「埋蔵量」はどのくらいなのか皆さん知りたいところですが、そこがまだよくわからないというのが残念ながら実情なのです。ただ、その際に考えておかなくてはならないことは、「埋蔵量」というものは固定的な量として与えられたものではなく、技術や価格で変化するものだということです。 金属ではありませんが原油でそれを表す典型的な変化が起きています。図1.5は2008年の原油埋蔵量の国別シェアです。2008年には、2005年には出てこなかったカナダが世界の13%の埋蔵量を持っています。これは、原