北陸風景街道ルートマップの紹介

掛井孝俊 杉浩行 吉倉知成 荒木悠

国土交通省 北陸地方整備局 地域道路課（951-8550 新潟市中央区美咲町１－１－１）

日本風景街道は、「地域の魅力の再興」を目指す取組として、平成２６年６月時点では全国で

１３４ルートとなり、そのうち北陸の風景街道は１３ルートが登録されています。北陸風景街道

ルートマップは、北陸の風景街道をより一層盛り立てることを目的として作成したものであり、

本稿では、ルートマップの作成の経緯と内容について紹介します。

キーワード 日本風景街道 北陸風景街道 風景街道ルートマップ 道の駅 連携 情報発信

１．はじめに

国民の生活の豊かさに対するニーズが、「量的拡大」

から「社会の質」「生活の質」へと転換期を迎えてい

る中、景観や環境などと調和した魅力ある国土文化

を再興する取組に対する関心が高まっています。こ

れを背景に、平成１９年４月に日本風景街道戦略会

議により提言書がとりまとめられ、日本風景街道の

登録が開始されました。その後、平成２６年６月時

点では全国で１３４ルートが登録され、うち北陸風

景街道では１３ルートが活発な取組みを展開してい

ます。

２．日本風景街道とは

日本風景街道は、郷土愛を育み、日本列島の魅力・

美しさを発見、創出するとともに、多様な主体によ

る協働のもと、景観、自然、歴史、文化等の地域資

源を活かした国民的な原風景を創成する運動を促し、

以って、地域活性化、観光振興に寄与し、これによ

り、国土文化の再興の一助となることを目的として

います。この目的を達成するために、日本風景街道

の登録団体は、主に下記の取組を実施しています。

①埋もれている古道や歴史的建物を活かす地域資

源の発掘

②いい風景でもてなす舞台となる、景観・自然を

楽しむ場づくり

③楽しむ場、交流の場として道路を活用した、祭

り・イベントの実施

④標識・看板などの改善、沿道環境の維持管理に

よる景観・環境の改善

３．北陸風景街道交流会議

日本風景街道の北陸ブロックを統括する北陸風景

街道活動協議会では、各活動団体のより一層の活性

化を目的として、ブロック内の団体同士の連携促進図１ 北陸風景街道の概要

や、課題の共有化などを図る「北陸風景街道交流会

議」を毎年実施しています。

平成２５年度に富山県富山市で開催された第７回

北陸風景街道交流会議では、主に「広報」の課題に

ついて意見交換がなされ、北陸風景街道ルートマッ

プを作成することが決定しました。

＜広報に関する主な意見交換内容＞

・ブランド確立のため継続的な広報の実施が必要

・既に国民に広く定着している『道の駅』との連携

・北陸風景街道全体の魅力を発信するツールの作成

また、交流会議では毎回アドバイザーを招待し、

北陸風景街道全体に関するアドバイスや活動団体と

の意見交換を行っています。 ＜アドバイザーからのコメントの一例＞

・どのルートも地に足のついた活動を持続的に展

開しておりステップアップしている。 ・今後は、さらにルート内の質を高めたり、外部

との連携も視野に。 ・ルートの足並みが揃った段階で北陸としてのブ

ランド化、経済波及効果の検討を。 ・個々のルートそれぞれで、点検をして、課題を

見つけ、チャレンジしていくという姿勢が、大

変すばらしいことだと感じた。 ３．北陸風景街道ルートマップの作成

北陸風景街道活動協議会では、第７回北陸風景街

道交流会議を受け、観光協会、ＮＰΟ法人、自治体

など、各活動団体の協力のもと、北陸風景街道ルー

トマップを作成しました。本章では、ルートマップ

の構成について紹介します。

ⅰ）ルートマップ表紙

図２は、ルートマップの表紙であり、各活動団

体の地域を表す代表的な写真を掲載し、その配置

により北陸地方の形が分かるよう表現しています。

この表紙だけを見ても、北陸の風景街道は四季、

海、山、川、祭り、神社、伝統行事など多様で豊

かな自然や歴史に囲まれた風景が広がっているこ

とが感じられます。

ⅱ）日本風景街道の理念

図３は、日本風景街道の理念を表現したもので

す。日本風景街道は、「みち」を舞台に展開される

人と人との様々な協働の取組を通して、「地域の魅

力の再興」を目指す取組です。協働の取組は祭り・

美化活動・植樹・花植・ウォーキングなど多様で

あり、自然の美しい景色はもちろんのこと、地域

に根ざした生活様式や伝統行事がその土地固有の

景色を形成しています。このように、自然だけが

地域の景色ではなく、みちを舞台として生まれた

人と人とのつながりや、その地域活動も含めた景

色をも内包することが日本風景街道の大きな特徴

の一つです。

ⅲ）北陸風景街道『旬』カレンダー

北陸地方は、日本有数の豪雪地帯として知られ、

冬の寒さや風の強さなど、気候風土が大変厳しい

地方です。一方で、海の幸、山の幸、温泉、景勝

地など自然の恵みが豊かであり、一年を通し、見

てよし、食べてよし、巡ってよしの地域が数多く

あります。図４は、それら北陸の四季の魅力を『旬』

カレンダーとして紹介しており、それぞれの風景

街道で見どころとなる景色、食、活動内容などを

発信しています。

写真１ 第７回北陸風景街道交流会議の様子

図３ 日本風景街道の理念

図４ 日本風景街道『旬』カレンダー

図２ ルートマップ表紙

図４ 北陸風景街道『旬』カレンダー

ⅳ）北陸の風景街道の紹介

図５は北陸の風景街道の紹介ページであり、構

成する１３ルートそれぞれについて、主に下記項

目を紹介しています。 ①ルート概要 ②魅力的な地域資源 ③ルートマップ ④活動団体からの耳より情報

⑤周辺の『道の駅』情報

はじめに、「①ルート概要」「②魅力的な地域

資源」において、各風景街道の名称の由来や、

地域の歴史的経緯、景色、食、観光地などの情

報を記載しています。 次に、「③ルートマップ」では、既にブランド

力の高い『道の駅』を中心とした風景街道を形

成する地域全体の簡易地図を掲載し、各風景街

道のおおよそのエリアや地域資源の位置を示し

ています。 また、「④活動団体からの耳より情報」は、実

際、風景街道の活動に取り組む方の「顔」と「生

の声」を掲載することで、単なるルートマップ

ではなく、親しみやすく、手に取りやすい冊子

となるよう工夫しています。 最後に、「⑤周辺の『道の駅』情報」について

は、風景街道に立ち寄る際の散策拠点として、

また、その地域のランドマークとして『道の駅』

の情報を掲載することで、初めての方でも、迷

うことなく気軽に訪れることができるようにし

ています。 ４．おわりに

今年は、最初の日本風景街道が登録されてから８

年目となり、今やその取組みは全国に広がり、各地

域でそれぞれの特徴を活かした活動を展開していま

す。北陸風景街道においても、活動団体の創設期を

経て、各地域の活動の深化や連携の拡大による更な

る飛躍の時期に直面しています。今後も、毎年実施

している北陸風景街道交流会議を継続、充実し、活

動団体の課題を一つ一つ解消していきたいと考えて

います。

最後に、図６はデザイナーのコシノジュンコ氏が

作成した日本風景街道のロゴマークです。このロゴ

マークは日本風景街道の「ＰＲや品格あるイメージ」

を発信するシンボルマークとして作成されたもので

す。今後も、北陸風景街道、並びに日本風景街道の

ブランド化が推し進められるよう、ロゴマークやル

ートマップを活用しながら、各種活動を展開、支援

していきたいと考えています。

図５ 北陸の風景街道の紹介

謝辞：この度、北陸風景街道ルートマップの作成に

あたり、ご協力頂いた関係者に感謝申し上げます。

※北陸風景街道ルートマップは、北陸地方整備局や

各国道事務所の情報発信コーナーの他、関係する活

動団体が所属する自治体窓口、高速サービスエリア、

高速パーキングエリア、道の駅などで無料配布して

います。

日本風景街道のロゴマークは、優美な風貌から、

日本の象徴として国民から親しまれ、国内外に広

く知られている富士山をモチーフにし、日本の国

土が有する豊かな自然環境と融合させ、緑のグラ

デーションで表現しました。また、日本の伝統あ

る歴史や文化が、道路を介して、未来へと続いて

いくことへの願いをこめて、モチーフである富士

山を取り巻く曲線で表現しました。 このロゴマークが、「日本風景街道」のＰＲや品

格あるイメージの形成に主眼を置き、印刷物やイ

ベントなどに積極的な活用がなされ、だれもが日

本全土の自然、景観、食文化などの地方独自の風

土にまつわる多様な地域文化に感じられるシンボ

ルマークとなることを期待しております。

コシノ ジュンコ

図６ 日本風景街道のロゴマーク