日本製造業の海外進出...

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日本製造業の海外進出 立地要因分析 進出先国及び企業の財務情報に基づく 二点からの分析 横浜国立大学 経営学部 一藤龍太郎 1 January 2013 1 横浜国立大学経営学部国際経営学科 4

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日本製造業の海外進出

立地要因分析 進出先国及び企業の財務情報に基づく

二点からの分析 横浜国立大学 経営学部

一藤龍太郎1

January 2013

1 横浜国立大学経営学部国際経営学科 4 年

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Abstract

本論文では、日本製造業の海外進出立地要因を明らかにするため、コンディショナル・

ロジット・モデルを用いて実証分析を行った。本論文の貢献は、最新のデータを用いて海

外進出立地要因を分析し、先行研究との比較により 2000 年前後の長期的な決定要因の変化

を明らかにした点、及び企業内部の情報を会計学の分野まで踏み込んでモデルに組み入れ、

進出先国の要因だけでなく進出する企業の財務要因も分析した点である。

分析対象は 2000 年から 2009 年までの 10 年間における世界 62 カ国へ海外進出を行った

上場企業に関するパネルデータである。進出先国の要因として、為替水準、国の安全度、

為替変動を想定し、これらに対して企業内部の財務情報を、交差項を取る形で分析に組み

込んだ。

分析の結果、2000 年前後を問わず、賃金水準、国の安全度、為替変動は重要な決定要因

であることが明らかになった。しかし、2000 年以降は国の安全度の低い国に進出する傾向

があり、企業がリスクを取って積極的に海外進出を行うようになっていることが明らかに

なった。また、賃金水準、国の安全度、為替変動などの進出先国の要因を企業の海外進出

のリスクと捉えたとき、それらリスクを抑える企業側の要因がそれぞれあることも明らか

になった。

Acknowledgement

本論文は、横浜国立大学経営学部の卒業論文として筆者が執筆したものである。論文執

筆にあたっては、清田耕造横浜国立大学経営学部准教授には、指導教官として終始ご指導

を頂いた。ここに深謝の意を表する。また、同先生のゼミナール所属の方々及び卒業生、

中島賢太郎東北大学経済学部准教授、本庄裕司中央大学商学部教授、及び同先生のゼミナ

ール所属の方々には有益なご助言を頂いた。ここに感謝の意を表する。なお、論文に残る

誤りは全て筆者個人によるものである。

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目次

Abstract .............................................................................................................................. - 1 -

Acknowledgement ............................................................................................................... - 1 -

1. イントロダクション ...................................................................................................... - 3 -

2. 日本の直接投資の概説 .................................................................................................. - 4 -

3. 先行研究の概説 ............................................................................................................. - 5 -

4. データと分析のフレームワーク ................................................................................... - 6 -

4.1 データ .......................................................................................................................... - 6 -

4.2 分析モデル ................................................................................................................... - 7 -

4.3 説明変数と仮説 ............................................................................................................ - 8 -

4.3.1 進出先国の属性......................................................................................................... - 8 -

4.3.2 企業固有の属性......................................................................................................... - 9 -

4.3.3 交差項に関する仮説 ............................................................................................... - 10 -

5. 分析結果 ...................................................................................................................... - 11 -

5.1 進出先国の属性における分析結果 ............................................................................ - 11 -

5.2 企業固有の属性における分析結果 ............................................................................ - 12 -

5.3 分析結果の頑強性 ...................................................................................................... - 13 -

6 結論 ............................................................................................................................... - 13 -

参考文献 ........................................................................................................................... - 14 -

図表 ................................................................................................................................... - 17 -

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1. イントロダクション

21 世紀になり、経済のグローバル化は国レベル、企業レベルでますます進展している。

その一例として、国レベルでは自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)の締結が盛ん

に行われるようになったことが挙げられる。2000 年以前までは世界の FTA、EPA の数は約

65 件であったのに対し、2011 年では、200 件以上もの FTA、EPA が存在している。また、

二国間による FTA だけでなく、AFTA(ASEAN 自由貿易地域)や NAFTA(北米自由貿易協

定)など数カ国による地域 FTA など様々な形態があり、これらが重層的な貿易システムを

形成している。日本でも 2002 年のシンガポールとの EPA 締結を始めとして他の多くの国と

EPA の締結や交渉を進めている。また、2011 年、日本の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)

の参加交渉も決定した。今後も FTA や EPA といった協定の数は増え続けると予想される。

一方、企業レベルでは、国際的に統一された会計基準である、IFRS の導入が進んでいる。

多国籍企業の増加やグローバルな資金調達、リスクヘッジといったニーズから、資本市場

のグローバル化が進み、財務諸表の比較可能性の必要性が求められた。2005 年、EU 諸国で

の IFRS 強制適用を始めとして、今後アメリカや日本でも適用されていく方針である。この

ように、経済のグローバル化に伴う経済環境の変化は、国レベルにとどまらず、企業レベ

ルにまで及んでいる。

こうした国単位から企業単位にまで及ぶ経済環境の変化の中で、日本企業の海外進出は

依然として増え続けている。海外進出企業総覧によると 1990 年における海外現地法人数は

1 万 1484 社であるのに対し、2010 年においては 2 万 2708 社と約 2 倍に増えている。また、

進出国も 1990 年においては、115 カ国であるのに対し、2010 年には 132 カ国とネットで増

加している。それでは、日本の企業はどのような要因に基づいて海外進出、すなわち海外

直接投資を行う対象国を選択・決定してきたのだろうか。以下では日本企業の海外直接投

資に焦点を絞ることとする。

日本企業が海外直接投資を行う際、その決定はどのような要因に基づくのだろうか。本

論文では、海外直接投資の投資先決定要因を、投資先国による要因と企業内部の要因の二

点から分析する。

先にも触れたとおり 2000 年に入り企業を取り巻く経済事情が大きく変化している。FTA

や EPA の増加、途上国の急成長やそれに伴う途上国の賃金上昇、リーマンショックから始

まる金融危機による海外投資リスクの増大や急激な円高やドル安、ユーロ安といった為替

変動など話題は尽きない。これらの点から、2000 年以降の日本企業の直接投資の決定要因

を分析することは直接投資の決定に大きく影響を与えている要因を明らかにするという点

で有意義であると言える。また、投資先国による要因と企業内部の要因を分析することに

よって、直接投資を誘致したい国や、今後直接投資を行おうとしている企業にとっての重

要な要因を明らかにすることもでき有意義であるといえる。

本論文のオリジナリティーは二点ある。第一に 2000 年以降の海外直接投資の立地要因分

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析を行う点である。2000 年以前の直接投資先国の決定要因分析については、深尾・程(1996)

を中心に多くの研究がなされている。しかし、直接投資先国の決定要因分析については 2000

年以降の研究は少ない。2000 年以降経済環境は大きく変化しており、それに伴って決定要

因も変化していることが予想され、これらを明らかにすることが本論文の目的である。さ

らに、本論文と先行研究を比較することで、2000 年前後を境に、長期的な観点からどのよ

うに決定要因が変化したかについても言及したい。第二に、本論文では、企業内部の情報

を会計学の分野まで踏み込んでモデルに組み入れていることにある。直接投資先国の決定

要因分析は一般的に、企業外部の要因のみを用いる研究がほとんどである。本論文では、

企業内部の売上高や研究開発費といった一般的なデータに加え、財務諸表分析で用いられ

る、企業の安全性や収益性、生産性を示す指標を用い、企業内部の要因に基づく立地要因

を明らかにする。投資先国のカントリーリスクに対して、投資企業の倒産リスク等を分析

モデルの上で組み合わせることにより、多角的に分析することを可能にする。より詳しい

説明は 3 節で示す。

本論文の構成は次の通りである。まず 2 節でこれまでの日本の海外直接投資の概要につ

いて説明し、3 節で日本企業の直接投資の決定要因について研究した先行研究を紹介、説明

する。その後 4 節で分析のフレームワークを説明し、5 節で分析の結果およびその考察を述

べる。最後にまとめとして 6 節で結論を述べる。

2. 日本の直接投資の概説

図 1 は『海外進出企業総覧』各号から作成した、企業の海外投資の目的に関する調査を

まとめたものである。この調査は出資比率の合計が 10%以上の日本企業を対象とし、それ

ぞれの企業の投資目的(複数回答可)を調査したものである。縦軸は全投資目的に占める各投

資目的の割合で、横軸はそれぞれの投資目的を示す2。図 1 より、1990 年代は、直接投資の

主な目的は「第三国への輸出」や「情報収集」であったのに対し、2000 年代は「現地市場

の開拓」を主な目的としている。2010 年では依然として「現地市場の開拓」が高い一方で、

新たに「国際的な生産・流通網構築」が大きな目的となってきていることが分かる。この

ように企業の目的は、海外の情報収集・市場開拓から国際的な生産・流通網を構築するこ

とに変化しており、企業のグローバル戦略が進展しているということがうかがえる。

これらの目的の変化とともに、企業が海外に立地するときに重要と考える要因も変化し

ていることが予想できる。以下の分析では、このような企業の投資目的の変化の影響も考

慮に入れつつ分析、考察を行っていく。

<挿入 図 1 企業の海外投資の目的>

2 1990 年のデータについては一部調査項目がその他のデータと異なっていいたため修正した。具体的には、ロイヤリテ

ィを「情報収集」、現地生産を「労働力の利用」に分類した。

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3. 先行研究の概説

これまで、主に 2000 年以前を対象にした日本の製造業の直接投資先国の決定要因分析に

関する研究は数多く行われている。ここでは本論文を作成するにあたって特に参考にした 3

つの論文について簡単な概要と結論を紹介する。

深尾・程 (1996) では 1978 年から 1992 年という長期にわたって日本の製造業における直

接投資先の決定要因について分析している。対象国は 37 カ国で EU、北米、ASEAN、NIES

といった幅広い地域の国々に対して分析を行っている。筆者は製造業を、一般・精密機械、

電気、輸送機、繊維の 4 業種に分類している。分析の結果としては、①賃金水準の上昇は

投資にマイナスに働く、②国の安全度はどの産業においても投資先決定の重要な要因であ

ることが分かった。

また、古井 (2001) では、1980 年代後半から 90 年代初頭の急激な円高の時期を対象とし、

日本の製造業における対東アジア直接投資の立地選択に影響を与える要因を分析している。

分析結果としては①賃金水準の上昇は投資にマイナスに働く、②為替変動に関しては、変

化率が少ない、つまり安定的に維持されていることが望ましいという結果を得ている。

一藤・木村・布施 (2011)3 では、2000 年から 2008 年までの 9 年間における、アジアの製

造業のうち特に海外進出件数が多い、電気機器・化学・輸送機械・機械の 4 部門を対象に

分析を行っている。分析結果としては①賃金水準の上昇は投資にマイナスに働く、②国の

安全度は重要な要因ではなく一部の部門では、逆に安全でない国を選好する傾向がみられ

る、③為替変動の小さい国が望ましい、という結果が得られた。当論文及び古井 (2001) で

は、分析対象国をアジアに絞っているため、サンプルに先進国のデータが相対的に少ない

という問題がある。この問題に対処するため、本論文では実際に進出したすべての国を対

象とする。

<挿入 表 1 先行研究まとめ>

以上の論文の結果を表 1 にまとめた。いずれの研究でも分析対象年に関わらず、賃金水

準や為替変動についてはマイナスの結果を得ている。一方で国の安全度に関しては 2000 年

以前の研究では立地において重要な要因であったのに対し、2000 年以降の研究では重要で

は無いという結果を得ている。

本論文では、賃金水準、国の安全度、為替変動という主に 3 点の投資先国のリスクに焦

点を絞り分析を行う。古井 (2001) や一藤・木村・布施 (2011) では分析対象国をアジアに

3一藤・木村・布施 (2011) は 2011 年横浜経営学会賞、優秀賞受賞論文である。本論文は、一藤・木村・布施 (2011)に

おいて指摘されている問題点を改善しつつ、新たな問題意識及び視点から執筆された。具体的には、分析対象国をアジ

アから進出したすべての国に拡大し、また新たに入手可能となった 2009 年の最新のデータも反映させた。一方で本論文

では海外直接投資の立地選択における安全性とリスクについて特に焦点をあて、分析モデルに企業固有の情報(例えば

売上高など)を加えた。さらに会計学の分野から財務諸表分析の手法を取り入れ、企業固有の安全性、収益性、生産性

といった視点からも分析を行っている。

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限定していたのに対し、本論文では対象国を日本企業が実際に進出したすべての国に拡大

して分析を行う。分析対象国に、欧州や北米といった賃金水準や国の安全度、為替変動が

アジアに比べ安定していると考えられる国が反映されることによって上記先行研究の結果

にどのような影響を及ぼすのか検証を行う。

また、これら 3 つの説明変数に、企業固有の情報4を反映させることでより多角的に分析

を行う。表 1 でわかるとおり、2000 以前の研究では、国の安全度は投資において重要な要

因であった。それに対し、2000 年以降は国の安全度は立地選択に影響しないという結果を

得ている。一藤・木村・布施 (2011) ではこの結果に対して、2000 年以降、リスクがあって

も積極的に海外に進出しようという企業が増加する傾向にあると結論付けている。この結

論を受け、本論文では、時代の変化とともに企業にとっての国の安全度の重要性が下がっ

てきたことに対して、企業の持つ固有のリスクがどのように影響しているのかを明らかに

する。会計学における財務諸表分析で用いられる、企業の安全性、収益性、生産性の指標

を用い、企業固有のリスクと国の安全度との関係を分析する。さらに、国の安全度以外の

賃金水準や為替変動といった、その他の投資先国のリスクについても同様の分析を行い、

投資先国のリスクと投資企業のリスクとの関係を明らかにする。

4. データと分析のフレームワーク

4.1 データ

本論文の分析において用いる日本の対外投資先は表 2 の通りである。これは、『海外進出

企業総覧 2010 (国別編)』の地域区分におけるもので、データの入手可能なものを選択した。

また、サンプルに用いた進出企業の数および業種の内訳は表 3 に示した。本論文で行う分

析では、企業固有の情報も用いるため、分析企業は有価証券報告書等を提出している上場

企業に絞って行うものとする。会計データについては、親会社の日本基準で作成された単

独決算のデータを用いた。また、データに欠損のあるサンプルはすべて取り除いている。

分析の対象とする期間は 2000 年から 2009 年までの 10 年間である。

本論文で対象とする現地子会社、親会社を以下の通り定義する5。

1) 日本側出資比率が 10%以上の外国法人を現地子会社とする。

2) 日本側出資比率が最も高い現地子会社が最も高い出資を行っている外国法人を現地子

会社とする。

3) 日本側出資会社が 2 社以上の場合、もっとも多く出資している会社を親会社とする。

4) 日本側出資比率が 2 社以上で等しい場合、出資会社のうち資本金額が大きい会社を親

会社とする。

4 本論文で扱う企業固有の情報の詳細な説明は 4 節で行う。

5 経済産業省「海外事業活動基本調査」の定義を参考とした。

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<挿入 表 2 分析対象国・地域>

<挿入 表 3 業種別現地法人数(2009 年)>

4.2 分析モデル

企業がどこに立地するかは、どの国で最大利潤を得られるかによって決まるとする。す

なわち、企業は高い利潤が獲得できる国に立地選択をおこなうものと仮定する。ここで、t

年における企業の立地選択について考える。選択の対象となる国は L 個あるとする。この

企業は合理的であり、利潤最大化できる国を選択する。t 年に国 l を選んだときの利潤関数

の対数値を lnπl, t と表すと、この企業は以下を満たす国を選択する。

lnπ l, t = Max{ lnπl, t ; l=1, 2, …, L, t =1,2…, T } (1)

上式の対数値は次のような形で表わされるとする。

lnπl, t =αXl, t + εl,t (2)

ここで Xl, tは t 年における国 l の属性を表す。α は当該企業について推定したい係数である。

εl, t は観測不可能な国・地域の属性および当該企業に固有の観測不可能な特性を表す。

Mcfadden (1973)によれば、誤差 εl, tが互いに独立で均一に分布し、その累積分布関数が二重

指数分布に従うとすると、t 年において企業が L 個の直接投資先として選択しうる国からあ

る国 l を選択する確率は

P l, t = exp (αXl, t) / ΣLl=1 exp (αXl, t) (3)

で表される。ここで、t 年に企業が国 l を選択する回数を Wl, t (l = 1,2 …, L , t =1,2…, T )と表

すと、立地パターンが観測される確率 F は

F = ΠL

l=1 ΠT

t=1 P l, t W l, t (4)

で得られる。このタイプの推定モデルはコンディショナル・ロジット・モデルと呼ばれる。

推定においては、上式を最大にするように(最尤法)、α を選ぶ。

また、以下では、企業固有の情報を当該立地選択モデルに組み込むモデルを説明する。

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まず、企業固有の情報を Ym, t とする。これは t 年における企業 m の属性を表す。ここで立地

国の属性と企業固有の属性の両方を反映させた変数 Zl, m,tを(5)式のように表す。

Zl, m,t = Xl, t × Ym, t (5)

(1)式、(5)式から t 年に企業 m が国 l を選んだときの利潤関数の対数値を

lnπl,m, t =βZl,m, t + εl,m,t (6)

と表す。以下同様にコンディショナル・ロジット・モデルを導出すると、(7)式のようにな

る。

F* = ΠL

l=1 ΠM

m=1ΠT

t=1Pl, m,tWl, m,t (7)

ここで、F*は t 年に企業 m(m =1,2…, M)が国 l を選択する時の立地パターンが観測される

確率を表す。推定においては、上式を最大にするように(最尤法)、β を選ぶ。

4.3 説明変数と仮説

4.3.1 進出先国の属性

(1) 市場規模 (対数値)と市場の成長性

立地選択においては、市場規模が大きい、または市場の成長性が見込まれる国は投資

先国として非常に魅力的である。また、市場が大きければ、現地工場を建設した時など

に生じた固定費用の回収もより短い期間で行うことができると考えられる。たとえば清

田 (2001)では立地国の市場規模が日本企業の立地選択にプラスの要因を及ぼすことが

示されている。本論文では立地国の市場規模の代理変数として実質 GDP を用い、成長

性については過去 3 年間の実質 GDP 成長率の平均を用いる。予測される結果はプラス

である。データは WDI から入手した。

(2) 賃金水準 (対数値)

立地選択において低賃金と豊富な労働力は非常に重要な要因であると考えられる。立

地先国の労働生産性を一定と考えると、企業は生産コストを抑える点で、より賃金の低

い国へ立地する誘因が生じる。賃金水準を示す代理変数として、投資先国の一人当たり

GDP を用いる。予測される結果はマイナスである。データは WDI から入手した。

(3) 国の安全度

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直接投資のような長期的に多くの資金を投資国に置くこととなる場合、個々のプロジ

ェクトの収益性以外にも、その国の将来性や安定性に対する見通しを立てる上で国の安

全度を考慮に入れると考えられる。立地国の政治や経済、治安などのカントリーリスク

が高まれば企業はこれらのリスクを回避するために立地を抑制する誘因が生じる。安全

度の代理変数としては、深尾・程 (1996)に習い、米国の投資専門誌である Institutional

Investor が発行する『Institutional Investor』のデータを用いる。ここで用いるデータは世

界 75 カ国の国の 100 銀行が世界 112 カ国に対して行う債務不履行の可能性を勘案した

信用度評点をもとに各国の安全度を示した指標であり、数値が高ければより安全度が高

いことを示している。予測される結果はプラスである。本論文では 2001 年までに調査

されていないカンボジア、ラオス、ウクライナの 3 カ国については 2002 年のものを代

用した。

(4) 為替変動

一般的に通貨価値の低い国で生産、輸出を行うことで企業は価格競争力を高めること

ができるため、立地選択において為替レートが重要な要因となることが考えられる。こ

れはコスト削減という点において合理的な行動であるといえる。しかし、一方で為替レ

ートの変化が激しい国においては将来の見通しや安定性を考える上でリスクが伴うと

もいえる。これらのことを踏まえると、相対的に通貨価値が低く、かつ立地先国の為替

レートが安定的な国で、国際生産は起こりやすいと予測することができる。本論文では

後者の要因を分析対象とし、為替変動が立地選択に及ぼす影響を分析する。予測される

結果はマイナスである。データは Kiyota, Matsuura and Urata (2008) に習い、過去三年間

の月毎の平均対円為替レートの変動係数6をとることで求めた。データの出所は IFS で

ある。

4.3.2 企業固有の属性

(1) 企業規模

企業規模の拡大は、一般的には経営資源の蓄積をもたらす。規模拡大を通じて蓄積さ

れた経営資源は企業の海外進出を可能にするものと考えられる。本論文では企業規模の

代理変数として売上高を用いる。予測される結果はプラスである。

(2) 研究開発能力

研究開発能力は企業の経営資源の中でも最も重要な要素のひとつである。研究開発に

よって競合他社より優れた生産技術や製品技術を獲得することができれば、その企業は

より多くの利益を獲得できることが予想される。こうした研究開発能力は海外で事業の

拡大をする上でも重要な要因となることが考えられる。本論文では研究開発能力を、企

業の計上する研究開発費を売上高で除した値を用いる。予測される結果はプラスである。

6 変動係数は標準偏差を平均で割ったもので、平均に対する相対的なばらつき度を表すものである。

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(3) 総資産事業利益率(ROA)

総資産事業利益率(ROA)は、企業が経営活動で使用する資本の全体から生み出される

利益額を、用いられた総資本額で除すことにより算定する。これは企業の行う営業活動

と財務活動に対する総資本の収益性の指標として用いられる。企業の経営活動において

高い収益性を持っていることは、海外で事業を拡大するに当たり重要な要因であると考

えられる。予測される結果はプラスである。

(4) 流動比率

流動比率は、通常の営業循環の中で現金化して負債の返済に充当しうる資産の倍率を

表すもの。流動資産を流動負債で除すことで算定される。これは短期の債務返済能力す

なわち短期の安全性を示す指標である。債務不履行を起こさず正常な企業活動を行える

ということは、企業の海外進出にも影響することが予想される。予測される結果はプラ

スである。

(5) 自己資本比率

自己資本比率は、他人資本と自己資本の関係に基づき、長期的な観点から他人資本の

安全性を評価するための指標である。自己資本を総資本で除すことで算定される。自己

資本と他人資本の合計によって調達された資産が返済に充当されるとき、他人資本の返

済に優先順位が与えられることから、自己資本の割合が大きいほど他人資本の返済がよ

りいっそう保障され、安全性が増すと考えられる。海外進出は多くのリスクを伴う投資

であるため、長期的な安全性を持っていることは、海外進出という選択においても重要

な要因であると考えられる。予測される結果はプラスである。

(6) 労働生産性

企業の一側面として、外部から購入した原材料やエネルギーに対し、労働力や技術力

などの企業内資源を投下して生産を行い、付加価値を追加して外部に販売するという面

がある。労働生産性は企業活動によって生み出された付加価値を、それを生み出す最も

重要な源泉である従業員の労働と関係づけ、従業員一人あたりの付加価値額として計算

される。7生産性の高い企業が、事業拡大を図って海外に進出するというケースが予想

される。予測される結果はプラスである。

4.3.3 交差項に関する仮説

以下で行う分析では企業固有の属性に関して、4.2 節(5)式の通り、進出先国の属性と

の交差項を用いることにより結果を得る。そのため推定結果における交差項の符号の正負

は、進出先国の属性と企業固有の属性の両方の影響を受けて決定される。本分析で特に注

目したい点は、「賃金水準」や「為替変動」といった進出先国の属性としてマイナスと予想

7 労働生産性は具体的に以下の通り計算される。

労働生産性 = 付加価値額 / 平均従業員数

付加価値額 = 人件費 + 賃貸料 + 税金 + 他人資本利子 + 税引後利益

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される項目についてである。これらマイナスの要因となる項目に対し、プラスの影響を与

えると予想される各企業固有の属性との交差項をとることでマイナスの要因をどれだけ打

ち消すことができるかに着目したい。

賃金水準や為替変動といった海外進出においてリスクと成り得る要因について、企業は

自らの企業努力を持ってそのリスクを克服しようとする。本分析で用いる企業固有の属性

はその企業努力を客観的に測る指標である。つまり、企業の規模や技術力、財務の収益性、

安全性、生産性といった企業側の持つ属性が、海外進出時のリスクを克服する要因となる

ということが予想される。

以下、説明変数の要約及び交差項に関する仮説を表4、表 5 にまとめた。

<挿入 表 4 予想される結果と説明変数の要約>

<挿入 表 5 交差項に関する仮説まとめ>

5. 分析結果

5.1 進出先国の属性における分析結果

4.2 節で説明したコンディショナル・ロジット・モデル(4)式を用いて、進出先国の属性と

なる各説明変数を用いて分析を行った。分析結果は表 6 にまとめた。

表 6 からわかるとおり、「国の安全度」を除きほとんどの説明変数は予想通りの結果とな

った。「市場規模」と「市場成長性」は正で有意という結果を得た。企業が海外進出先国を

選択する際に、より大きな市場や市場の成長が期待される国を選好することがわかる。ま

た、「賃金水準」、「為替変動」は負で有意という結果を得た。企業がより低賃金で労働力を

獲得できる国や、為替変動の少ない国を選好することがわかる。「国の安全度」は今回の分

析では、式によって正負両方の符号が得られ、その値も極めて小さいという結果となった。

「国の安全度」については、一藤・木村・布施 (2011) においても先行研究と比べ、極め

て小さい値が導き出され、海外進出における「国の安全度」の影響力が 2000 年以前に比べ、

低下していることが指摘されている。一藤・木村・布施 (2011) は分析対象国をアジアに絞

った研究だが、本論文は全地域を分析対象としている。したがって、「国の安全度」の海外

進出における影響力の低下は、アジアに限定的なものではなく、全地域において低下して

いることが明らかとなった。また、符号が負で有意という結果は、リスクを取って安全で

はない地域に進出する傾向があるというひとつの仮説を立てることができる。

<挿入 表 6 進出先国の属性における分析結果>

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5.2 企業固有の属性における分析結果

5.1 説に引き続き、コンディショナル・ロジット・モデル(7)式を用いて、企業固有の属性

となる各説明変数を用いて分析を行った。分析結果は表 7 にまとめた。表 7 の(1)式は、

4.2 節(5)式の通り、各企業固有の情報と「市場規模」の交差項を用いて、企業固有の属

性を分析している。以下(2)式から(5)式も同様にそれぞれの交差項を用いて分析した

結果を表している。以下では各式について結果を述べる。

(1)式「市場規模」と企業固有の属性との間には特別な関係性は見つけられなかった。

(2)式「市場成長性」と企業固有の属性との間では、「研究開発能力」、「労働生産性」

との交差項が負で有意という結果を得た。表 6、表 7 で示される結果では市場成長性は海外

進出にプラスの影響をもたらす要因であると明らかになったが、その効果を企業の「研究

開発能力」、「労働生産性」という要因が打ち消すという結果を得た。これは、分析前の予

想とは逆の結果を示している。「研究開発能力」や「労働生産性」が「市場成長性」の効果

を打ち消してしまう一つの仮説として、市場成長性の高い国のほとんどが発展途上国であ

るということが挙げられる。発展途上国に直接投資をする企業の多くが、高い技術力を要

する製品や労働力を必要としていない場合、ここで出た結果を説明することができる。

(3)式「賃金水準」と企業固有の属性との間では、「研究開発能力」、「自己資本比率」、

「労働生産性」との交差項から正で有意という結果を得た。表 6、表 7 で示される結果では

「賃金水準」は負で有意であり、高賃金は海外進出にマイナスの影響を与えるということ

が明らかになった。しかし、本分析では「研究開発能力」、「自己資本比率」、「労働生産性」

といった企業の要因がマイナスの影響を打ち消すという結果を得た。つまり、「研究開発能

力」、「自己資本比率」、「労働生産性」といった要因が高い企業は、賃金水準の高い国にも

進出する傾向にあるということが推測できる。

(4)式「国の安全度」と企業固有の属性との間では、「流動比率」、「自己資本比率」、「労

働生産性」との交差項から正で有意という結果を得た。表 6、表 7 で示される結果では「国

の安全度」はほとんどがマイナスで有意になるが、一部プラスで有意という結果もあるた

め、変数の頑強性という点では他の要因に劣る。しかし、「流動比率」、「自己資本比率」、「労

働生産性」との交差項がすべてプラスになっていることから、これら企業固有の要因は、

企業が安全度の低い国に進出する際のプラス要因になっていることが推測できる。

(5)式「為替変動」と企業固有の属性との間では、「企業規模」、「研究開発能力」との

交差項が正で有意、「総資産事業利益率」との交差項が負で有意という結果を得た。表 6、

表 7 で示される結果では「為替変動」は負で有意であり、企業は為替変動の大きな国への

進出を抑える傾向にあることが明らかとなっている。しかし、本分析では「企業規模」、「研

究開発能力」という企業の要因が、為替変動の持つマイナスの影響を打ち消すという結果

を得た。つまり、「企業規模」、「研究開発能力」といった要因の高い企業は、為替変動の大

きな国にも進出する傾向にあるということが推測できる。

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<挿入 表 7 企業固有の属性における分析結果>

5.3 分析結果の頑強性

本分析で用いた説明変数の基本統計量と各交差項の相関係数を表 8、表 9 にそれぞれまと

めた。表 9 より、説明変数の中には相関の強い変数があるため、企業固有の属性に関する

結果について頑強性を調べる必要がある。各交差項について頑強性を検証した結果を表 10

に示した。頑強性を調べた結果、表 7 で示された分析結果と大きく相違する結果は得られ

なかった。したがって 5.2 節で示された結果が支持されたと言える。

<挿入 表 8 基本統計量>

<挿入 表 9 相関係数>

<挿入 表 10 頑強性チェック>

6 結論

日本企業が海外直接投資を行う際、その決定はどのような要因に基づくのだろうか。本

論文では、海外直接投資の投資先決定要因を、進出先国による要因と企業の財務要因の二

点から分析した。企業の財務要因を分析に組み入れたことが本論文の最大のオリジナリテ

ィーであり、企業の海外進出における進出先国のリスクを抑える企業内部の財務要因につ

いて得られた結論を以下述べる。また、先行研究も含めた 2000 年前後の長期的な海外進出

の決定要因の変化にも言及する。

まず進出先国の要因としては、賃金水準、国の安全度、為替変動すべてにおいて重要な

要因であることが明らかとなった。2000 年以前の研究である深尾・程 (1996) や古井 (2001)

と比較すると、これら要因は年度を問わず企業の海外進出において重要な要因であったこ

とがわかる。一方で国の安全度の海外進出に与える影響については変化がみられる。深尾・

程 (1996)では、国の安全度は正で有意であったが、本分析では、多くが負で有意という結

果を示した。このことから 2000 年以降になり、企業はリスクを取ってでも海外に積極的に

進出しようとしていることがわかる。この点は、2 節図 1 で示した、2000 年前後での日本

企業の投資目的の変化とも整合的であると言える。また、アジアに焦点を当てて 2000 年以

降を研究した一藤・木村・布施 (2011) でも同様の結果が示されているが、本論文では対象

国を全世界に広げているため、この変化はアジアに限定したものではないことが明らかと

なった。

次に、進出先国のリスクを抑える企業内部の財務要因について述べる。以下では進出先

国の要因である、賃金水準、国の安全度、為替変動を海外進出のリスクとして捉える。

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賃金水準におけるリスクは、企業の研究開発能力、自己資本比率、労働生産性を高くす

ることで抑えられることがわかった。すなわち、技術力のある企業、自己資本の割合が高

く他人資本の返済に対して長期的に安定している企業、従業員の生産性の高い企業が進出

先国の賃金水準の上昇等のリスクに強いことが明らかとなった。

次に、国の安全度におけるリスクは、流動比率、自己資本比率、労働生産性を高くする

ことで抑えられることがわかった。先行研究を含め、本論文で用いている国の安全度は、

世界 75 カ国の国の 100 銀行が世界 112 カ国に対して行う債務不履行の可能性を勘案した信

用度評点をもとに各国の安全度を示した指標8を用いている。したがって国の安全度におけ

るリスクに対して、短期的な資金力や長期的な資産の安全性を示す流動比率や自己資本比

率が対応することは妥当な結果であると言える。

最後に、為替変動リスクは、企業規模、研究開発能力を高くすることで抑えられること

がわかった。企業規模の代理変数として本論文では売上高を用いている。したがって、大

きな売上を出す企業、確かな技術力のある企業は、為替変動リスクに対して強いことが明

らかとなった。

本論文では、海外進出の要因として、進出先国の要因だけでなく、進出する企業側の要

因を分析モデルに組み込んだ。その結果、立地要因としては、進出先国の要因のみならず、

進出する企業の要因も大きな影響を持つことが統計的に明らかとなった。今後の課題とし

ては、進出地域の特性や進出企業の投資目的を分析に組み入れることでより詳細な実証分

析をしていくことである。本論文では、全世界を対象に企業の海外進出の要因を調べたが、

それだけでは海外進出先としての地域の特性や投資する企業側の目的といったミクロの点

を観測することができない。こうした詳細な分析を併せて行うことで立地要因をより多角

的に研究できるようになる。また、本論文の分析結果の頑強性を高めるという点でも重要

である。

参考文献

[日本語参考文献]

一藤龍太郎・木村沙也・布施尚樹 (2011) 「日本企業の対アジア進出に関する立地要因分析」

2011 年横浜経営学会優秀賞受賞論文

五十嵐則夫(2009)『国際会計基準が変える企業経営』日本経済新聞出版社

清田耕造 (2001) 「100%出資とジョイントベンチャーの違いについて -日系多国籍企業に

ついての実証分析-」, 『三田学会雑誌』, 93 巻 4 号, pp. 107-139

経済産業省 2012/11/7 access, http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kaigaizi/index.html

桜井久勝(2007)『財務諸表分析』 中央経済社

深尾京司・程勲 (1996) 「直接投資先国の決定要因について -わが国製造業に関する実証

8 詳しくは 4.3.1 進出先国の属性を参照

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分析-」, 大蔵省財政金融研究所『ファイナンシャル・レビュー』Feburuary-1996, pp.1-31

深尾京司・岳希明 (1997) 「電機メーカーの立地選択」,『三田学会雑誌』,90(2),pp.209-237

古井仁 (2001) 「日本の製造業にみる対東アジア直接投資の決定要因 ―集積効果、経験効果

からの考察―」,『亜細亜大学国際関係紀要』,10(2),pp.119-146

JETRO 2012/11/7 access, http://www.jetro.go.jp/theme/wto-fta/basic/

[英語参考文献]

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Production and Distribution Networks: The Case of Japanese Manufacturing MNCs. The

Singapore Economic Review, Vol. 53, No.3 (2008) 523-538

Marshall, A. (1920) Principles of Economics, London, U.K.: Macmillan

Mcfadden,Daniel (1973) “Conditional Logit Analysis of Quantitative Choice Behavior,” in

Zarembka, Paul eds. (1974) Frontiers in Econometrics, New York : Academic Press

Keith Head, John Ries, Deborah Swenson (1995) “Agglomeration benefits and location choice :

Evidence from Japanese manufacturing investments in the United States” Journal of

International Economics 38 (1995) , 223-247

[データベース]

東洋経済新報社 (2011) 会社財務カルテ CD-ROM2011 年版、東洋経済新報社

東洋経済新報社 (1990) 海外進出企業総覧 1990、東洋経済新報社

東洋経済新報社 (2000) 海外進出企業総覧 2000(会社別編)、東洋経済新報社

東洋経済新報社 (2010) 海外進出企業総覧 2010(会社別編)、東洋経済新報社

東洋経済新報社 (2010) 海外進出企業総覧 2010(国別編)、東洋経済新報社

東洋経済新報社 (2010) 海外進出企業 CD-ROM2010 年版、東洋経済新報社

東洋経済新報社 (2011) 海外進出企業総覧 2010(国別編)、東洋経済新報社

International Monetary Fund (IMF) (2010) International Financial Statistics (IFS) (CD-ROM),

Washington, DC: IMF.

Institutional Investor (2000) Institutional Investor, International Edition, New York: Institutional

Investor.

Institutional Investor (2001) Institutional Investor, International Edition, New York: Institutional

Investor.

Institutional Investor (2002) Institutional Investor, International Edition, New York: Institutional

Investor.

Institutional Investor (2003) Institutional Investor, International Edition, New York: Institutional

Investor.

Institutional Investor (2004) Institutional Investor, International Edition, New York: Institutional

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Investor.

Institutional Investor (2005) Institutional Investor, International Edition, New York: Institutional

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Institutional Investor (2006) Institutional Investor, International Edition, New York: Institutional

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Institutional Investor (2007) Institutional Investor, International Edition, New York: Institutional

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Institutional Investor (2008) Institutional Investor, International Edition, New York: Institutional

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Institutional Investor (2009) Institutional Investor, International Edition, New York: Institutional

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“United Nations” 2011/12/29 access,

http://unstats.un.org/unsd/demographic/products/dyb/dyb2008/Table03.pdf

World Bank (2010) World Development Indicators (WDI) 2010 (CD-ROM), Washington, D.C.:

World Bank.

World Bank (2010) World Development Indicators (WDI) 2010 (On-Line), Washington, D.C.: World

Bank.

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図表

図 1 企業の海外投資の目的

(出所) 海外進出企業総覧 1990, 海外進出企業総覧 2000 (会社別編), 海外進出企業総覧 2010 (会社別編)

表 1 先行研究まとめ

深尾・程 (1996) 古井 (2001) 一藤・木村・布施

(2011)

分析年 1978 年~1992 年 1980 年後半~90 年初頭 2000 年~2008 年

賃金水準 - - -

国の安全度 + 0(影響なし)

為替変動 - -

0

0.05

0.1

0.15

0.2

0.25

0.3

0.35

0.4

0.45

0.5全回答に占める割合(

%)

投資目的

企業の海外投資目的(全世界・全産業を対象)

2010年

2000年

1990年

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表 2 分析対象国・地域

アジア インド インドネシア カンボジア シンガポール

タイ フィリピン ベトナム マレーシア

ラオス 韓国 香港 中国

中近東 アラブ首長国連邦 イラン サウジアラビア

ヨーロッパ アイルランド イギリス イタリア ウクライナ

エストニア オーストリア オランダ ギリシャ

スイス スウェーデン スペイン スロベニア

チェコ デンマーク ドイツ トルコ

ノルウェー ハンガリー フィンランド フランス

ブルガリア ベルギー ポーランド ポルトガル

ラトビア ルーマニア ルクセンブルク ロシア

アイルランド イギリス イタリア ウクライナ

中南米 アルゼンチン コロンビア チリ パナマ

ブラジル ペルー メキシコ

北米 アメリカ カナダ

アフリカ エジプト コートジボワール タンザニア 南アフリカ

モロッコ

オセアニア オーストラリア ニュージーランド

(計 62カ国)

表 3 業種別現地法人数 (2009 年)

現地法人数 比率製造業 電気機器 528 0.186

輸送機器 488 0.172

機械 450 0.159

化学 406 0.143

精密機器 165 0.058

その他製造業 133 0.047

繊維・衣服 99 0.035

ゴム製品 94 0.033

食料品 87 0.031

ガラス・土石 77 0.027

非鉄金属 75 0.026

医薬品 72 0.025

金属製品 65 0.023

鉄鋼 63 0.022

パルプ・紙 24 0.008

石油石炭 7 0.002

計 2833 1

(出所) 海外進出企業総覧 2010 (国別編)

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表 4 予想される結果と説明変数の要約

表 5 交差項に関する仮説まとめ

進出先国の属性 予想される符号 企業固有の属性 予想される符号 交差項において予想される符号

Ln 賃金水準 (-) 売上高 (+) (+)

研究開発費/売上高 (+) (+)

総資産事業利益率 (+) (+)

流動比率 (+) (+)

自己資本比率 (+) (+)

労働生産性 (+) (+)

為替変動 (-) 売上高 (+) (+)研究開発費/売上高 (+) (+)総資産事業利益率 (+) (+)流動比率 (+) (+)自己資本比率 (+) (+)

労働生産性 (+) (+)

表 6 進出先国の属性における分析結果

説明変数 予想される符号 変数 資料出所

進出先国の属性 Ln 市場規模 (+) 実質GDP WDI

市場成長性 (+) GDP成長率 WDI

Ln 賃金水準 (-) 一人当たりGDP WDI

国の安全度 (+) 債務不履行の起こりにくさInstitutional Investor

為替変動 (-) 為替レートの対円変動率 IFS

企業固有の属性 Ln 企業規模 (+) 売上高 会社財務カルテ

研究開発能力 (+) 研究開発費/売上高 会社財務カルテ総資産事業利益率 (+) 総資産事業利益率 会社財務カルテ流動比率 (+) 流動比率 会社財務カルテ自己資本比率 (+) 自己資本比率 会社財務カルテLn 労働生産性 (+) 労働生産性 会社財務カルテ

(1)式 (2)式 (3)式 (4)式 (5)式 (6)式 (7)式

Ln 市場規模 0.70 0.80 0.70 0.70 0.71

(44.26)*** (51.92)** (42.99)*** (44.31)*** (44.48)***市場成長性 0.12 0.23 0.20 0.12 0.13

(15.69)*** (30.90)*** (34.17)*** (15.55)*** (16.65)***Ln 賃金水準 -0.37 -0.14 -0.58 -0.34 -0.39 -0.37

(-17.88)*** (-9.02)*** (-39.92)*** (-24.33)*** (-20.49)*** (-18.11)***

国の安全度 -0.17 0.18 -0.07 0.18 -1.95 -0.15(-2.26)** (6.36)*** (-1.54) (7.12)*** (-14.41)*** (-2.18)**

為替変動 -1.05 -1.31 -1.67 -3.14 -1.15 -1.03(-4.81) (-5.71)*** (-6.55)*** (-9.81)*** (-5.18)*** (-4.75)***

Log-Likelihood -14522.06 -15718.37 -14641.27 -16148.67 -14627.58 -14526.17 -14526.17

サンプルサイズ 2833 2833 2833 2833 2833 2833 2833注: ()内の数値は t値 、***, **, *はそれぞれ1, 5, 10%有意であることを表す。

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表 7 企業固有の属性における分析結果

(1)式 (2)式 (3)式 (4)式 (5)式進出先国の要因

Ln 市場規模 0.89 0.70 0.70 0.71 0.70

(6.47)*** (44.03)*** (44.11)*** (43.93)*** (44.21)***市場成長性 0.12 0.26 0.13 0.13 0.12

(15.69)*** (4.64)*** (15.96)*** (15.80)*** (15.23)***Ln 賃金水準 -0.37 -0.37 -0.74 -0.35 -0.37

(-17.89)*** (-17.90)*** (-5.54)*** (-14.94)*** (-17.93)***国の安全度 -0.16 -0.17 -0.17 -1.81 -0.17

(-2.26)** (-2.27)** (-2.28)** (-2.42)** (-2.30)**為替変動 -1.05 -1.06 -1.03 -1.07 -5.98

(-4.80)*** (-4.84)*** (-4.73)*** (-4.84)*** (-2.84)***

企業固有の要因との交差項 ×市場規模 ×市場成長性 ×賃金水準 ×国の安全度 ×為替変動

企業規模 -0.01 -0.01 0.01 0.00 0.39(-1.10) (-1.26) (0.89) (1.56) (2.60)***

研究開発能力 -0.05 -0.81 2.14 0.00 12.01(-0.10) (-3.74)*** (4.22)*** (0.01) (3.78)***

総資産事業利益率 -0.30 -0.16 0.31 0.00 -30.55(-0.82) (-1.06) (0.87) (0.27) (-4.36)***

流動比率 -3.11 -0.46 -3.26 -0.21 25.49(-1.39) (-0.49) (-1.46) (-1.92)* (1.31)

自己資本比率 0.83 1.70 22.33 1.63 242.25(0.06) (0.33) (1.80)* (2.39)** (1.43)

労働生産性 0.03 -0.05 0.19 0.00 -0.49(1.24) (-4.20)*** (6.03)*** (2.36)** (-0.94)

Log-Likelihood -14518.97 -14487.58 -14463.17 -14513.99 -14499.1サンプルサイズ 2833 2833 2833 2833 2833

注: ()内の数値は t値 、***, **, *はそれぞれ1, 5, 10%有意であることを表す。

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表 8 各説明変数の基本統計量

表 9.1 進出先国の属性における相関係数

平均 標準誤差 中央値 最頻値 標準偏差 分散 尖度 歪度 範囲 最小 最大市場規模 27.501 0.028 27.979 28.170 1.482 2.197 -0.351 -0.303 8.429 21.660 30.088市場成長性 6.012 0.063 5.846 9.133 3.354 11.248 -0.929 -0.065 15.594 -2.861 12.733賃金水準 8.366 0.027 7.693 7.188 1.443 2.083 -1.509 0.339 4.963 5.934 10.897国の安全度 0.707 0.005 0.671 0.646 0.277 0.077 611.802 20.063 8.996 0.160 9.156為替変動 0.082 0.002 0.069 0.048 0.105 0.011 88.703 8.599 1.388 0.026 1.414企業規模 12.100 0.028 12.045 13.609 1.491 2.224 -0.389 0.160 8.823 7.768 16.591研究開発能力 0.035 0.001 0.029 0.000 0.032 0.001 20.242 3.505 0.307 0.000 0.307総資産事業利益率 0.070 0.001 0.064 0.035 0.043 0.002 4.083 1.485 0.292 0.000 0.292流動比率 0.017 0.000 0.015 0.011 0.009 0.000 15.239 2.954 0.107 0.004 0.111自己資本比率 0.005 0.000 0.005 0.004 0.002 0.000 -0.565 0.147 0.009 0.000 0.009労働生産性 0.671 0.010 0.555 0.437 0.555 0.309 26.625 4.205 7.700 -1.485 6.216

市場規模 市場成長性 賃金水準 国の安全度 為替変動市場規模 1市場成長性 0.195 1賃金水準 0.204 -0.659 1国の安全度 0.306 -0.188 0.508 1為替変動 -0.078 -0.195 0.118 0.025 1

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表 9.2 市場規模交差項(1)式における相関係数

表 9.3 市場成長性交差項(2)式における相関係数

表 9.4 賃金水準交差項(3)式における相関係数

市場規模 市場成長性 賃金水準 国の安全度 為替変動 企業規模 研究開発能力 総資産事業利益率流動比率 自己資本比率 労働生産性企業規模 0.394 0.025 0.132 0.156 -0.008 1研究開発能力 0.050 -0.106 0.151 0.088 0.066 0.190 1総資産事業利益率 0.072 -0.060 0.119 0.069 -0.069 0.082 0.185 1流動比率 0.068 -0.028 0.073 0.049 0.026 -0.211 0.296 0.296 1自己資本比率 0.124 -0.014 0.106 0.085 0.005 -0.216 0.260 0.385 0.765 1労働生産性 0.074 -0.115 0.188 0.111 -0.025 0.162 0.319 0.395 0.221 0.227 1

市場規模 市場成長性 賃金水準 国の安全度 為替変動 企業規模 研究開発能力 総資産事業利益率流動比率 自己資本比率 労働生産性企業規模 0.183 0.968 -0.634 -0.179 -0.187 1研究開発能力 0.059 0.434 -0.242 -0.059 -0.058 0.454 1総資産事業利益率 0.090 0.614 -0.383 -0.106 -0.149 0.611 0.366 1流動比率 0.114 0.662 -0.418 -0.117 -0.114 0.591 0.478 0.547 1自己資本比率 0.138 0.794 -0.497 -0.135 -0.150 0.723 0.477 0.643 0.872 1労働生産性 0.109 0.557 -0.285 -0.054 -0.121 0.574 0.467 0.616 0.477 0.545 1

市場規模 市場成長性 賃金水準 国の安全度 為替変動 企業規模 研究開発能力 総資産事業利益率流動比率 自己資本比率 労働生産性企業規模 0.161 -0.554 0.822 0.425 0.108 1研究開発能力 0.027 -0.216 0.299 0.154 0.090 0.350 1総資産事業利益率 0.040 -0.239 0.348 0.167 -0.036 0.309 0.268 1流動比率 0.029 -0.240 0.347 0.167 0.071 0.145 0.371 0.399 1自己資本比率 0.063 -0.305 0.473 0.242 0.064 0.242 0.358 0.496 0.801 1労働生産性 0.042 -0.231 0.338 0.175 -0.003 0.349 0.385 0.450 0.318 0.341 1

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表 9.5 国の安全度交差項(4)式における相関係数

表 9.6 為替変動交差項(5)式における相関係数

市場規模 市場成長性 賃金水準 国の安全度 為替変動 企業規模 研究開発能力 総資産事業利益率流動比率 自己資本比率 労働生産性企業規模 0.281 -0.190 0.483 0.957 0.029 1研究開発能力 0.093 -0.162 0.286 0.454 0.069 0.485 1総資産事業利益率 0.146 -0.167 0.348 0.467 -0.049 0.461 0.401 1流動比率 0.152 -0.151 0.341 0.563 0.049 0.479 0.501 0.517 1自己資本比率 0.196 -0.162 0.403 0.733 0.031 0.647 0.519 0.598 0.849 1労働生産性 0.114 -0.184 0.346 0.377 -0.014 0.393 0.423 0.500 0.395 0.414 1

市場規模 市場成長性 賃金水準 国の安全度 為替変動 企業規模 研究開発能力 総資産事業利益率流動比率 自己資本比率 労働生産性企業規模 -0.078 -0.196 0.120 0.027 0.989 1研究開発能力 -0.056 -0.155 0.126 0.046 0.767 0.764 1総資産事業利益率 -0.078 -0.167 0.110 0.021 0.743 0.736 0.687 1流動比率 -0.079 -0.163 0.111 0.030 0.886 0.855 0.717 0.775 1自己資本比率 -0.076 -0.168 0.116 0.033 0.934 0.908 0.758 0.808 0.952 1労働生産性 -0.058 -0.185 0.150 0.051 0.787 0.790 0.817 0.792 0.749 0.786 1

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表 10.1 市場規模交差項(1)式の頑強性チェック

(1)式 (2)式 (3)式 (4)式 (5)式 (6)式 (7)式

Ln 市場規模 0.89 0.75 0.74 0.75 0.74 0.76

(6.47)*** (17.82)*** (17.88)*** (21.91)*** (23.13)*** (22.32)***市場成長性 0.12 0.13 0.12 0.12 0.12 0.12 0.12

(15.69)*** (16.01)*** (15.69)*** (15.69)*** (15.69)*** (15.69)*** (15.69)***Ln 賃金水準 -0.37 -0.36 -0.37 -0.37 -0.37 -0.37 -0.37

(-17.89)*** (-17.82)*** (-17.89)*** (-17.89)*** (-17.89)*** (-17.89)*** (-17.89)***国の安全度 -0.16 -0.16 -0.16 -0.17 -0.16 -0.17 -0.17

(-2.26)** (-2.20)** (-2.26)** (-2.26)** (-2.26)** (-2.26)** (-2.26)**為替変動 -1.05 -1.05 -1.05 -1.05 -1.05 -1.05 -1.05

(-4.80)*** (-4.82)*** (-4.80)*** (-4.80)*** (-4.80)*** (-4.80)*** (-4.80)***

企業規模 -0.01 0.05(-1.10) (16.70)***

研究開発能力 -0.05 -0.69 -0.18 -0.18 -0.18 -0.05(-0.10) (-1.49) (-0.39) (-0.38) (-0.40) (-0.11)

総資産事業利益率 -0.30 -0.47 -0.35 -0.35 -0.32 -0.19(-0.82) (-1.31) (-0.97) (-0.97) (-0.92) (-0.59)

流動比率 -3.11 -2.17 -2.84 -2.95 -2.35 -2.66 -2.26(-1.39) (-0.97) (-1.28) (-1.34) (-1.54) (-1.79)* (-1.48)

自己資本比率 0.83 31.43 3.78 3.63(0.06) (2.65)*** (0.30) (0.29)

労働生産性 0.03 0.02 0.03 0.03 0.03 0.02(1.24) (0.80) (1.13) (1.06) (1.12) (0.87)

Log-Likelihood -14518.97 -14540.01 -14519.57 -14519.65 -14519.62 -14520.05 -14520.26サンプルサイズ 2833 2833 2833 2833 2833 2833 2833

注: ()内の数値は t値 、***, **, *はそれぞれ1, 5, 10%有意であることを表す。

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表 10.2 市場成長性交差項(2)式の頑強性チェック

(1)式 (2)式 (3)式 (4)式 (5)式 (6)式 (7)式

Ln 市場規模 0.70 0.70 0.70 0.70 0.70 0.70 0.70

(44.03)*** (44.23)*** (44.04)*** (44.10)*** (44.04)*** (44.04)*** (44.10)***市場成長性 0.26 0.19 0.18 0.20 0.19 0.19

(4.64)*** (10.81)*** (10.39)*** (13.16)*** (13.50)*** (12.65)***Ln 賃金水準 -0.37 -0.38 -0.37 -0.37 -0.37 -0.37 -0.37

(-17.90)*** (-18.49)*** (-17.90)*** (-17.90)*** (-17.90)*** (-17.90)*** (-17.90)***国の安全度 -0.17 -0.16 -0.17 -0.17 -0.17 -0.17 -0.17

(-2.27)** (-2.25)** (-2.27)** (-2.27)** (-2.27)** (-2.27)** (-2.27)**為替変動 -1.06 -1.08 -1.06 -1.06 -1.06 -1.06 -1.06

(-4.84)*** (-4.90)*** (-4.84)*** (-4.83)*** (-4.84)*** (-4.84)*** (-4.83)***

企業規模 -0.01 0.01(-1.26) (9.83)***

研究開発能力 -0.81 -1.00 -0.87 -0.87 -0.87 -1.05(-3.74)*** (-4.68)*** (-4.16)*** (-4.15)*** (-4.17)*** (-5.19)***

総資産事業利益率 -0.16 -0.21 -0.18 -0.18 -0.16 0.00 -0.38(-1.06) (-1.38) (-1.21) (-1.23) (-1.10) (-2.76)

流動比率 -0.46 -0.16 -0.32 -0.85 0.08 -0.07 -0.03(-0.49) (-0.17) (-0.35) (-0.92) (-0.13) (-0.11) (-0.05)

自己資本比率 1.70 10.55 3.08 2.55(0.33) (2.17)** (0.60) (0.50)

労働生産性 -0.05 -0.06 -0.06 -0.07 -0.06 -0.06(-4.20)*** (-4.48)*** (-4.37)*** (-5.37)*** (-4.37)*** (-5.00)***

Log-Likelihood -14487.58 -14498.31 -14488.38 -14497.42 -14488.56 -14489.16 -14498.89サンプルサイズ 2833 2833 2833 2833 2833 2833 2833

注: ()内の数値は t値 、***, **, *はそれぞれ1, 5, 10%有意であることを表す。

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表 10.3 賃金水準交差項(3)式の頑強性チェック

(1)式 (2)式 (3)式 (4)式 (5)式 (6)式 (7)式

Ln 市場規模 0.70 0.69 0.70 0.70 0.70 0.70 0.70

(44.11)*** (44.05)*** (44.11)*** (44.14)*** (44.11)*** (44.11)*** (44.18)***市場成長性 0.13 0.13 0.13 0.13 0.13 0.13 0.13

(15.96)*** (16.66)*** (15.96)*** (15.91)*** (15.95)*** (15.95)*** (15.86)***Ln 賃金水準 -0.74 -0.63 -0.60 -0.59 -0.57 -0.54

(-5.54)*** (-14.48)*** (-14.10)*** (-15.98)*** (-16.28)*** (-15.36)***国の安全度 -0.17 -0.20 -0.17 -0.17 -0.17 -0.17 -0.17

(-2.28)** (-2.41)** (-2.28)** (-2.28)** (-2.28)** (-2.28)** (-2.27)**為替変動 -1.03 -1.03 -1.03 -1.03 -1.03 -1.03 -1.04

(-4.73)*** (-4.75)*** (-4.73)*** (-4.74)*** (-4.73)*** (-4.73)*** (-4.76)***

企業規模 0.01 -0.04(0.89) (-13.39)***

研究開発能力 2.14 2.66 2.25 2.27 2.28 2.84(4.22)*** (5.27)*** (4.55)*** (4.59)*** (4.59)*** (6.06)***

総資産事業利益率 0.31 0.44 0.34 0.34 0.48 1.23(0.87) (1.24) (0.98) (0.96) (1.41) (3.89)***

流動比率 -3.26 -4.21 -3.49 -2.11 -0.84 -0.39 -0.40(-1.46) (-1.88)* (-1.58) (-0.98) (-0.56) (-0.27) (-0.27)

自己資本比率 22.33 -2.47 20.02 21.23(1.80)* (-0.21) (1.65)* (1.76)*

労働生産性 0.19 0.20 0.19 0.22 0.19 0.21(6.03)*** (6.33)*** (6.17)*** (7.17)*** (6.16)*** (6.98)***

Log-Likelihood -14463.17 -14478.58 -14463.56 -14474.54 -14464.94 -14465.92 -14487.35サンプルサイズ 2833 2833 2833 2833 2833 2833 2833

注: ()内の数値は t値 、***, **, *はそれぞれ1, 5, 10%有意であることを表す。

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表 10.4 国の安全度交差項(4)式の頑強性チェック

(1)式 (2)式 (3)式 (4)式 (5)式 (6)式 (7)式

Ln 市場規模 0.71 0.71 0.71 0.71 0.71 0.71 0.71

(43.93)*** (44.08)*** (43.96)*** (43.96)*** (44.03)*** (44.12)*** (44.09)***市場成長性 0.13 0.13 0.13 0.13 0.13 0.13 0.13

(15.80)*** (15.74)*** (15.77)*** (15.77)*** (15.72)*** (15.73)*** (15.72)***Ln 賃金水準 -0.35 -0.36 -0.35 -0.35 -0.36 -0.36 -0.36

(-14.94)*** (-16.37)*** (-15.36)*** (-15.33)*** (-16.17)*** (-16.66)*** (-16.52)***国の安全度 -1.81 -0.77 -0.82 -0.40 -0.33 -0.41

(-2.42)** (-2.78)*** (-2.98)** (-2.45)** (-2.33)** (-2.48)**為替変動 -1.07 -1.06 -1.06 -1.06 -1.06 -1.06 -1.06

(-4.84)*** (-4.82)*** (-4.84)*** (-4.84)*** (-4.82)*** (-4.82)*** (-4.82)***

企業規模 0.00 0.00(1.56) (-2.35)**

研究開発能力 0.00 0.01 0.01 0.01 0.01 0.02(0.01) (1.85)* (0.93)* (1.39) (1.49) (2.62)***

総資産事業利益率 0.00 0.01 0.01 0.01 0.02 0.00 0.02(0.27) (0.71) (0.57) (0.58) (1.18) (1.60)

流動比率 -0.21 -0.17 -0.21 -0.19 -0.05 -0.02 -0.02(-1.92)* (-1.53)* (-1.83)* (-1.84)* (-0.69) (-0.26) (-0.31)

自己資本比率 1.63 0.76 1.37 1.43(2.39)** (1.33) (2.05)** (2.25)**

労働生産性 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00(2.36)** (2.41)** (2.42)** (3.27)*** (2.07)** (2.45)**

Log-Likelihood -14513.99 -14517.17 -14515.16 -14515.58 -14517.24 -14517.85 -14518.52サンプルサイズ 2833 2833 2833 2833 2833 2833 2833

注: ()内の数値は t値 、***, **, *はそれぞれ1, 5, 10%有意であることを表す。

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表 10.5 為替変動交差項(5)式の頑強性チェック

(1)式 (2)式 (3)式 (4)式 (5)式 (6)式 (7)式

Ln 市場規模 0.70 0.70 0.70 0.70 0.70 0.70 0.70

(44.21)*** (44.22)*** (44.22)*** (44.22)*** (44.22)*** (44.24)*** (44.22)***市場成長性 0.12 0.12 0.12 0.12 0.12 0.12 0.12

(15.23)*** (15.35)*** (15.30)*** (15.39)*** (15.32)*** (15.50)*** (15.32)***Ln 賃金水準 -0.37 -0.37 -0.37 -0.37 -0.37 -0.37 -0.37

(-17.93)*** (-17.93)*** (-17.92)*** (-17.91)*** (-17.92)*** (-17.90)*** (-17.92)***国の安全度 -0.17 -0.17 -0.17 -0.17 -0.17 -0.17 -0.17

(-2.30)** (-2.29)** (-2.29)** (-2.28)** (-2.29)** (-2.28)** (-2.29)**為替変動 -5.98 -0.89 -0.58 -0.52 -1.56 -0.56

(-2.84)*** (-1.35) (-0.90) (-1.10) (-3.52)*** (-1.24)

企業規模 0.39 -0.03(2.60)*** (-0.54)

研究開発能力 12.01 13.30 13.71 13.72 16.15 12.95(3.78)*** (4.29)*** (4.47)*** (4.48)*** (5.24)*** (4.68)***

総資産事業利益率 -30.55 -29.27 -28.17 -29.93 -27.11 -28.95(-4.36)*** (-4.18)*** (-4.06)*** (-4.35)*** (-3.93)*** (-4.73)***

流動比率 25.49 23.80 19.88 23.15 31.92 28.77 31.98(1.31) (1.25) (1.04) (1.27) (2.78)*** (2.24)** (2.75)***

自己資本比率 242.25 36.06 140.84 146.61(1.43) (0.24) (0.85) (0.92)

労働生産性 -0.49 -0.36 -0.33 0.15 -0.29 -1.22(-0.94) (-0.67) (-0.64) (-0.33) (-0.56) (-2.62)***

Log-Likelihood -14513.99 -14503.24 -14502.41 -14508.6 -14502.77 -14511.38 -14502.94サンプルサイズ 2833 2833 2833 2833 2833 2833 2833

注: ()内の数値は t値 、***, **, *はそれぞれ1, 5, 10%有意であることを表す。

Page 30: 日本製造業の海外進出 立地要因分析user.keio.ac.jp/~kiyota/kozo/Courses/papers/Ichifuji2013.pdf · 立地要因分析 進出先国及び企業の財務情報に基づく

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