医療のTQM推進協議会 - 「医療廃棄物を減らしてコ …...1...

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1 「医療廃棄物を減らしてコストの削減を図ろう」 施設名:岩国市医療センター医師会病院 サークル名:チーム☆星の子 所属名:透析室・ME 管理室 発表者:對馬 つしま 真由美 <運営規模> 病床数 〔本館+東館〕 201 診療科目:血液内科、内分泌内科、腎臓内科、人工透析内科、循環器内科、総合診療科、緩和ケア内科、小児科、外科、 整形外科、脳神経外科、放射線診断科、泌尿器科、麻酔科、ペインクリニック内科、リハビリテーション科 (1)施設名 岩国市医療センター医師会病院 (2) テーマの種別 □①診断治療 □②安全 □③患者サービス/満足度向上 ④無駄削減・能率・業務環境 □⑤質管理システム □⑥その他 (3) 改善しようとした問題/課題 医療廃棄物を減らしてコストの削減を図る (4) 活動前後の指標の変化 改善の指標(透析部署の白 BOX の廃棄コスト) 目標値(30%削減) (5)実施した対策 回路廃液機能の操作手順を調べる 回路廃液手順の勉強会を開いて覚える 患者接続部キャップで AV 患者接続ラインを短絡、閉鎖回路にする 廃棄回路を小さくまとめておく ダイアライザーが横向きになるようにそろえて捨てる 患者個人のバット内の使用後の衛生材料は医療廃棄物ダンボールにすてる 返血後まで医療廃棄物用ダンボールごみはバットに入れたままにする (6)改善指標の対策実施前後の変化 実施前(患者 1 人当たりの白 BOX 廃棄料:369.8 円) 実施後(患者 1 人当たりの白 BOX 廃棄料:250 円) (7) 活動の種類 ①職場単位の活動 □②複数の職場が連携したグループ活動 □③テーマに合せて形成したチームによる活動(プロジェクト) □④組織全体で取り組んだ活動 □⑤その他 (8) チームの名称 チーム星の子 (9) 実施期間( 18 )週 (10) 所属部門(複数可) □①診療部門 ②支援部門 □③事務部門 □④その他 (11) チームリーダー 名前( 對馬真由美 )所属部署( 透析室 )職種( 看護師 ) (12) チームメンバーの人数 10(人) (13) 活動回数: 今回で( 4 )回目 (14) QCストーリー ①問題解決型 □②課題達成型 □③その他 1. 病院紹介 2. 職場&サークル紹介 透析室のスタッフ 12 医師 1 名、臨床工学技士 5 名、看護師 5 名、看護補助者 1 透析室での主な業務 外来・入院患者さんの血液透析、緊急時の血液浄化に対応している。 サークル紹介 透析室とME管理室の合同サークルで、透析に関するあらゆるテーマに挑戦!! 岩国市医療センター医師会病院は、山口県の東部に位 置し、 1993 8 月に地域支援型病院としてオープン。 近くに銘橋の五橋として知られている錦帯橋がある。 私たちは透析室で血液透析業務を担当している。 3. 要約

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「医療廃棄物を減らしてコストの削減を図ろう」

施設名:岩国市医療センター医師会病院 サークル名:チーム☆星の子

所属名:透析室・ME 管理室 発表者:對馬つ し ま

真由美ま ゆ み

<運営規模> 病床数 〔本館+東館〕 201床 診療科目:血液内科、内分泌内科、腎臓内科、人工透析内科、循環器内科、総合診療科、緩和ケア内科、小児科、外科、

整形外科、脳神経外科、放射線診断科、泌尿器科、麻酔科、ペインクリニック内科、リハビリテーション科

(1)施設名 ( 岩国市医療センター医師会病院 )

(2) テーマの種別 □①診断治療 □②安全 □③患者サービス/満足度向上

☑④無駄削減・能率・業務環境 □⑤質管理システム □⑥その他

(3) 改善しようとした問題/課題 医療廃棄物を減らしてコストの削減を図る

(4) 活動前後の指標の変化 改善の指標(透析部署の白BOX の廃棄コスト) 目標値(30%削減)

(5)実施した対策

① 回路廃液機能の操作手順を調べる

② 回路廃液手順の勉強会を開いて覚える

③ 患者接続部キャップでAV 患者接続ラインを短絡、閉鎖回路にする

④ 廃棄回路を小さくまとめておく

⑤ ダイアライザーが横向きになるようにそろえて捨てる

⑥ 患者個人のバット内の使用後の衛生材料は医療廃棄物ダンボールにすてる

⑦ 返血後まで医療廃棄物用ダンボールごみはバットに入れたままにする

(6)改善指標の対策実施前後の変化 実施前(患者1 人当たりの白BOX 廃棄料:369.8 円)

⇒ 実施後(患者1 人当たりの白BOX 廃棄料:250 円)

(7) 活動の種類

☑①職場単位の活動 □②複数の職場が連携したグループ活動

□③テーマに合せて形成したチームによる活動(プロジェクト)

□④組織全体で取り組んだ活動 □⑤その他

(8) チームの名称 チーム星の子 (9) 実施期間( 18 )週

(10) 所属部門(複数可) □①診療部門 ☑②支援部門 □③事務部門 □④その他

(11) チームリーダー 名前( 對馬真由美 )所属部署( 透析室 )職種( 看護師 )

(12) チームメンバーの人数 10(人) (13) 活動回数: 今回で( 4 )回目

(14) QCストーリー ☑①問題解決型 □②課題達成型 □③その他

1.病院紹介

2.職場&サークル紹介 透析室のスタッフ 12 名 医師 1 名、臨床工学技士 5名、看護師 5名、看護補助者1 名 透析室での主な業務

外来・入院患者さんの血液透析、緊急時の血液浄化に対応している。 サークル紹介

透析室とME管理室の合同サークルで、透析に関するあらゆるテーマに挑戦!!

岩国市医療センター医師会病院は、山口県の東部に位

置し、1993 年 8 月に地域支援型病院としてオープン。 近くに銘橋の五橋として知られている錦帯橋がある。 私たちは透析室で血液透析業務を担当している。

3.要約

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今回のQC では、透析室のコスト削減を目指して4 つのテーマ案

の中から、マトリックス図により、 「ゴミ処理コストを減らす」について取り組むことにした。

QC ストーリーは判定シートに当てはめて、問題解決型ストーリ

ーを選択した。

透析に関する廃棄物品は、血液が付着しているため感染性廃棄物

として処理しなければならない。また、廃棄物の量も多いため、

その処理にかかるコストは大きいと言われている。

過去に千葉県で数年にわたって透析施設と廃棄物に関する調査

が行われている。千葉県全体の診療所の数のうち、透析施設は

1%と少ない数である。

まず、重点思考でターゲット絞るため、ゴミ 1 個当たりの廃棄に

かかるコストを種類別に調べ (図1)、パレート図で分析した結果、

白 MCB ボックスのコストが他のゴミに比べて大きな割合を占め

ていた。更に、重さやボックス代で層別した結果(図2.3)も同様で

あり、白MCBボックスをターゲットと決めた。

しかし廃棄物の量は全体の約 90%を占めており、他科の約 22~175 倍の廃棄物がでていることになる。その為、どの程度の感染

性廃棄物が、何が原因で排出量が多くなっているかを調べた。

4.テーマ選定 5.適応判定シート

7.背景 2 6.背景 1

8.背景 3 9.現状把握~重点志向

透析 1%

内科 29%

小児科 11%

産婦人科 8%

眼科 11%

整形外科 22%

耳鼻科 7%

皮膚科 10%

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一週間の白 MCB ボックスの廃棄個数、総重量、廃棄コストを調

べたところ、廃棄コストは51,400 円 それを患者一人当たりに換

算すると369.8円となった。 一年は52週間なので単純に計算しても年間268万円になる。

透析室の白MCBボックスの廃棄コストを「6月末までに30%減少

させる」とした。 根拠として、減少幅が 30%と小さくても、改善前にかかっている

コストが大きく年間 80 万円近い削減ができるので効果は大きいと

考えた。

2015年2月末から活動を開始し、6月中旬まで活動をした。

白MCBボックスの廃棄コストが高い事について「スタッフ・患者」・「機械・材料・薬剤」・「システム」の3点からフィッシュボーン

で要因分析を行ない、要因①「回路内に液が残っている」要因②「廃棄する白ボックス内に隙間がある」を取り上げて検証を行なった。

10.現状把握

12.活動計画

11.目標

13.要因分析

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14.要因分析~重要要因の検証

 続いて、選んだ2つの重要要因の候補が正しいのかを現物を確認し、検証を行った。

  重要要因の検証① 『廃棄回路に液が残っている』

    使用前と使用後の 使う前の液の入っていない透析回路一式の重さ:約0.6kg    

    回路の重さを計ってみた 使用後に液が残っている透析回路一式の重さ:約1.1kg     

   ⇒約0.5kgの液体が残ったままになっていると推測される

 重要要因の検証②『ゴミ箱内に隙間がある』

   廃棄前の白MCBボックスの蓋を開けて観察してみた

   ⇒形も大きさもバラバラなゴミが様々な角度で重なって隙間がある

  以上より、『廃棄回路に液が残っている』と『ゴミ箱内に隙間がある』を重要要因に決定した。

15.対策立案

16.対策実施

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16-1.対策実施 No.1~4

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16-2 対策実施 No.1~4

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対策前の廃棄コストは51,400円であったのに対し、対策後は32,250円、

患者一人当たりのコストも369.8 円から 250 円へと削減されて 30%以

上削減された。 この結果を年間シュミレーションすると、なんと1,075,464 円の削減に

なった。

17.効果の確認~有形の効果

18.効果の確認~無形効果

19.効果の確認~波及の効果

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今回は、問題の解決に加えて、患者増加と共に多忙となった業務との兼ね合いが難しかった。

特に、コンソールによる廃液を行う改善は、作業が増えた分、業務圧迫にならないように、各自が手技をスムーズ

に行えるよう努力をしていきたい。

コストに関する課題は多く、今後も活動を続けていこうと思う。

20.歯止め

21.活動の反省

22.今後の課題