北上市における第三セクター等 改革推進債の活用について - JFM · 2015. 12....

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北上市 岩手県北上市 北上市における第三セクター等 改革推進債の活用について 秘湯・夏油温泉 日本さくらの名所100/みちのく三大桜名所 市立公園 展勝地 民俗芸能・鬼剣舞

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北上市

岩手県北上市

北上市における第三セクター等改革推進債の活用について

秘湯・夏油温泉

日本さくらの名所100選/みちのく三大桜名所 市立公園 展勝地

民俗芸能・鬼剣舞

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北上市1 北上市の概要

北上市

■人口 93,138人(H22国調、県内5位)

■歳出決算額345億円(H24)

■財政力指数 0.63(H24、県内2位)

■産業構造内陸型工業都市(H22製造品出荷額4,301億円、県内1位)

■工業団地等工業団地(8)、流通センター(1)、産業業務団地(1)■立地企業数

208社(H24年度末)■企業誘致の効果・雇用の創出・市民所得の向上・税収への寄与

北上市は岩手県の中央部、北上盆地の中程に位置しています。東西に約38㎞、南北約34㎞で面積は約437.55k㎡。北上川と和賀川が合流する肥沃な美しい田園地帯が広がり、豊かな自然に恵まれています。

岩手県

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北上市2 北上地区広域土地開発公社の概要

■設立時期 昭和48年3月■設立団体 北上市(構成団体として西和賀町)■事業実績主に北上市からの依頼を受け、工業団地用地を取得、造成■解散時の状況① 未分譲地面積 約60ha② 長期借入金残高 約97億円③ 時価簿価差損額 約37億円

用地 造成 造成地 分譲地

地権者 土地開発公社北上市

(工業団地特別会計)

立地企業

代金 = 代金 代金金融機関からの借入

債務保証

■事業スキーム

市の債務負担行為議決により、機動的に資金調達が可能 ただし、地価の上昇を前提として成り立つ仕組み

市内の地価動向(住宅・工業、準工業地域)

鍛冶町2-5-27

村崎野14-432-57

北工業団地2-33

北鬼柳19-24-1

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

1980

1981

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1998

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2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

北上工業団地

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北上市3 解散時の土地開発公社を取り巻く状況

① 分譲地の処分が進まず、借入金の元金償還を先延ばしせざるを得ないことから、公社において多額の利払費が継続すること(償還期限が確定できない→利払総額が確定不能)。② 簿価上昇を抑制するため、利払費相当額を市から補助しており、元金返済が進まない状況では市の負担も減らすことができないこと。③ 市(工業団地会計)は公社から用地を簿価で購入し、企業に対しては時価で売却していることから、地価下落局面では時価簿価差損を生じるため、用地処分の都度、一般会計から工業団地会計への補てんが必要なこと。大ロット売却時には、一時的に財政負担が高まる恐れ。

北 上 市 の 工 業 団 地

時価

取得時

土地価格

売却時時間

〔上昇局面〕

簿価造

〔下降局面〕

土地価格

時間分岐点 売却時

簿価

時価

差損

造成費を上乗せしても、地価上昇により費用を吸収。

売却まで時間を要さなければ金利負担の影響も小さい。

長期間土地が売却できない状況(塩漬け)では、金利負担と地価下落の影響で、差損が生じる。

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北上市4 三セク債活用の検討経過

時期 項目 内容

平成19年度 財政健全化研究会を庁内に設置し、財政健全化法の施行を踏まえて、財政運営のあり方を検討

公社借入金の継続的解消の必要性が指摘され、行政経営者会議に報告される

平成21年5月8日 三セク債の制定を受けて対応方針を内部協議 特例期間内での活用を前提に、諸課題の解決に向けて1年程度検討することとした

平成21年5月26日 市議会主催で土地開発公社(三セク債関連)の研修会を開催

講師から特例期間内で解決を図るべきとの指摘を受ける

平成21年7月7日 市議会第三セクター等調査専門委員会 公社を取り巻く現状、三セク債について説明

平成21年9月9日 岩手県(市町村課)協議 三セク債借入に係る諸課題の打合せ

平成22年1月1日 北上市経営改革プロジェクトチーム設置 今後見込まれる大幅な収支不足に対応するため、行財政全般の改革に着手

平成22年4月8日 岩手県(市町村課)協議 三セク債借入について本格協議開始

・地方財政健全化法が公布され、平成19年度決算に基づく指標の公表が義務・工業団地会計、下水道会計等で赤字となり、連結実質赤字比率が0.47・議会でも早くから公社への問題意識を持ち、研修会などにより認識を深める

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北上市

① 公社解散同意、財産処分方法確認、清算人選任【土地開発公社】

② 三セク債起債議決、公社解散議決(12月議会)【市⇔市議会】

③ 三セク債許可申請、許可【市⇔県】、借入【金融機関⇒市】

④ 公社債務の代位弁済【市⇒金融機関】、求償権行使【市⇒土地開発公社】

⑤ 公社から代物弁済【土地開発公社⇒市】

⑥ 債権放棄に係る議決(3月議会)【市⇔市議会】

⑦ 知事へ公社解散認可申請【市⇒県】

⑧ 公社解散認可【県⇒市】、清算法人へ移行【土地開発公社】

土地開発公社

長期借入金 96億円

①公社解散同意

財産処分方法確認

清算人選任

⑤代物弁済

⑧清算法人へ移行

②予算(三セク債起債96億

円)、 公社解散

③起債許可申請、借入

④代位弁済、求償権行使

⑥債権放棄

⑦公社解散認可申請

金融機関(公社借入先)

④公社借入金返済 96億円

市議会

②予算(起債)

公社解散

⑥債権放棄

提 案

議 決

代位弁済

代物弁済

代位弁済による

求償権行使

③三セク債起債許可

⑧公社解散認可

申 請 許可・認可

金融機関(市借入先)

③三セク債借入 96億円

借入

5 土地開発公社解散スキーム

公社理事会において、公社の解散、財産処分方法、清算人の選任の同意

地方債議決を得て起債申請し、許可後、借入実行

併せて、公社解散議決を得る

三セク債により公社債務を代位弁済し、土地の代物弁済を受ける

弁済額と土地の時価との差額を債権放棄

総務大臣の同意

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北上市6 三セク債借入までの経過三セク債許可・借入事務 公社解散事務

H22.8.23 総務省協議①H22.9.3 ①土地開発公社経営健全化対策

委員会→公社の存廃検討②二役説明:今後の方針を確認

H22.9.22 起債計画書提出(2次分) 〔理事会〕公社解散基本方針確認H22.9.24 〔全員協議会〕

三セク債活用による土地開発公社解散についてのスキームを説明

H22.10.4 総務省協議②H22.10.12 〔庁議〕三セク債を活用した公社解

散についてH22.11.9 〔理事会〕公社解散同意H22.11.18 〔全員協議会〕三セク債発行・公社

解散について事前説明H22.12.17 〔12月議会〕

三セク債起債議決・公社解散議決H23.2.17 〔全員協議会〕

債権放棄について事前説明H23.2.23 三セク債許可内諾(国→県)H23.2.23 借入施行起案(市長決裁)H23.2.24 金融機関へ入札通知H23.3.7 入札会H23.3.9 三セク債許可予定額通知H23.3.10 三セク債許可申請H23.3.11 三セク債許可H23.3.14 借入申込書提出完了(契約)H23.3.16 借入実行 ①債務保証の履行、②公社に対

する求償権の行使(民法501条)、③公社から代物弁済(民法482条)

市に公社保有地を代物弁済(公社→市)

H23.3.24 公社に対する債権放棄確定 〔3月議会〕債権放棄に係る議決(自治法96条1項10号)

H23.3.28 〔理事会〕①代表清算人選任の同意、②残余財産の処分方法確認(公拡法22条の2)、③22年度決算報告

H23.3.28 公社解散認可申請(公拡法22条1項) 公社→知事

H23.3.31 公社解散認可(認可日:実質解散)(公拡法22条1項) 知事→公社

日程北上市

議会 公社

H22.4月~県との本格協議

東日本大震災発生

公社解散プランを説明

内諾後、借入事務開始

以後、清算事務

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北上市7 三セク債借入に係る留意点

• 借入金額が巨額の場合、公債費の抑制や財政への影響を考慮して、償還年数の延長を認めてもらう必要

• 一定の行財政改革を行う前提に立ち、償還年数を複数パターン設定(10年、20年、30年)したうえで、財政見通しを説明する必要

国・県に対して

• これまで公社が果たしてきた役割とその成果、経営が悪化した要因等について、丁寧な説明が必要

市民・議会に対して

• 公債費負担の増加に対応した財政運営が必要となることから、行政改革部門との連携が必要→北上市経営改革(歳入歳出一体改革)

庁内に対して

• 債務保証の履行に伴う代位弁済について、事前のすり合わせが必要

• 三セク債借入にあたっては、これまで公社に融資してきた金融機関への影響も予想されることから、早い段階で借入手法について検討を行う必要

金融機関に対して

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北上市8 北上市経営改革

【全ての行政サービスは「受益者負担」と「税」により費用が賄われている】

視点1:公益性視点2:必需性

視点3:受益者負担水準

(税)

 ※ 矢印は

 必要な方向性

財源不足

財政全体

税(全市民で負担)

歳入

(受)

費用(受益)

受益者負担

(上図の「税」は国・県財源を含むものであり、「受益者負担」は使用料・手数料・分担金等)

歳出

税負担(広く市民に負担してい

ただくこと)に、概ね市民の理解

と納得を得られていることが必

特定の人だけが受益するような

場合等、サービスを利用しない人

との公平性を確保するため、受

益者の負担を求める

全てを現在と同じように税を投入

して維持できる財政状況ではなく、

見直しが必要

■経営改革の必要性を次の図で住民へ説明

【歳入改革】 減額免除規定の新設…北上市公の施設の使用料等減免条例の制定 使用料等の見直し…使用料についてはすべて原則1.5倍に改定(高校生以下は据え置き) 補助金等の見直し…廃止、休止、退会(49件) 見直し(24件) 完了等(24件) 市税の見直し…平成24年度以降7年間税率を引上(法人市民税法人税割12.3%→14.7%、固定資産税1.4%→1.5%)

【歳出改革】 土地開発公社

の解散と有利子負債の計画的償還

工業団地会計の繰上充用の解消

公の施設の見直し(自治公民館的施設は地域へ移管)

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北上市9 三セク債の資金調達

○平成22年9月 三セク債借入に係る基本方針を庁内説明→入札方式を軸に検討するが、具体的手法についてさらに研究を行うことを確認

○平成22年10月 三セク債借入に係る基本方針を庁内決定→コンベンショナル方式での入札とする

① 検討経過

② 借入方式の検討

項目 相対交渉方式 入札・引合方式

メリット

・1対1で交渉することから、事務手続きが簡素であり、機動的かつ柔軟な借入が可能。・条件決定が円滑に行われ、継続して資金調達を行うことができる場合が多い。

・公正な競争が担保され、条件決定過程の透明性が確保でき、また、安定した市場環境下では低利での調達が可能。

デメリット

・特定の金融機関とのみ交渉させている場合は、競争性を欠き、透明性が低くなるおそれがある。

・市場の環境変化の影響を受けやすく、札割れや極端に条件が悪化する場合があるなど、安定的な調達に懸念がある。

(出典:地方財政・平成22年7月号)

② 地域金融機関への影響の検討

○経営規模の小さい金融機関は、全額一括入札の場合、応札できない可能性→それぞれの経営判断に応じ入札額を決定でき、競争性等が確保されるコンベンショナル方式を採用

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北上市10 地方公共団体金融機構の実務支援 当市の財政規模からすると借入額が巨額であることから、確実に借入実行できる手法で、かつ、借入に係

る競争性、透明性が確保できる手法を検討していたところ、地方公共団体金融機構の実務支援をいただき、コンベンショナル方式を採用した。

実務支援の内容は、実際の事務に有用な実施要領や各種様式の提供等、細やかに対応いただき、スムーズな事務手続きを行うことができた。

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北上市11 当市における資金調達① これまでの考え方

○償還期間 長 期 > 短 期 元金償還の平準化

○金利方式 固 定 > 変 動 金利上昇リスクを忌避

○資金区分 公 的 > 民 間 長期・固定を優先

② 課題

金利水準が超低利で推移する状況で、リスクを回避しながら利子負担を最小化するために、長期・短期、

固定・変動などの組み合わせを検討する必要

中小自治体ではノウハウに乏しく、専門的アドバイスをいただく必要

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