早期発見・予防・治療のために - 首相官邸ホームページ...令和元年(2019)...

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令和(2019) 620総理官邸にて 株式会社島津製作所シニアフェロー 田中耕一 認知症 特アルツハイマー病早期発見・予防・治療のために 株式会社島津製作所 田中耕一記念質量分析研究所 所長:田中 耕一 1/7 ( 重要部分赤文字青文字表示しています ) 資料8

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  • 令和元年(2019) 6月20日 総理官邸にて 株式会社島津製作所シニアフェロー 田中耕一

    認知症 特にアルツハイマー病の早期発見・予防・治療のために

    株式会社島津製作所田中耕一記念質量分析研究所

    所長:田中 耕一

    1/7( 重要な部分は 赤文字・青文字で表示しています )

    資料8

  • 令和元年(2019) 6月20日 総理官邸にて 株式会社島津製作所シニアフェロー 田中耕一

    ① 認知症の背景認知症高齢者数は、2018年で世界:5,000万人、2030年には世界:

    8,200万人 に達すると見込まれる現臨床症状診断

    は不正確医療機器検診は高額(数10万円)

    世界の製薬企業が根本治療薬を多数 研究開発ことごとく失敗

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    アルツハイマー病の経過発症より 約20年前 約10 年前 現在

    正常

    軽度認知障害

    認知症期

    異常

    未 顕 在 期

    Jack C. R. Jr. et al., Lancet Neurol., p119-128, 2010から改変

    現診断・投薬のほとんどは この時点から

    認知症を客観的・超早期に検出する指標:“バイオマーカー”が不可欠

    治療薬開発の失敗最大の要因は 簡便・安価な が確立できていない

  • 令和元年(2019) 6月20日 総理官邸にて 株式会社島津製作所シニアフェロー 田中耕一

    高性能装置で超早期発見 抗体ビーズ法 で微量アミロイド検出を!

    ② 度重なる失敗・乗り越えた壁・これからの課題 -1 2010年 国プロFIRST開始 エーザイ アルツ薬 杉本八郎氏「治療薬開

    発をタウタンパク質研究で!」⇒2年で挫折 (⇔FIRSTは組換え可)

    ビーズを磁石で凝集

    透明な液に残った吸着しなかった化合物を廃棄

    ビーズ付着物のみ残す

    抗原吸着後ビーズ

    磁石

    ビーズ を排除

    イオン化促進マトリックス添加

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    レーザ光照射MALDI-MS

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    マトリックス:

    レーザ光を吸収し、試料のイオン化を促進させる物質

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    イオン化ノーベル賞受賞対象

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    抗体ビーズ法

    ~0.01mm肉眼では 見えないビーズ

    の表面に を生やし 血液 中に

  • 令和元年(2019) 6月20日 総理官邸にて 株式会社島津製作所シニアフェロー 田中耕一

    ③ 度重なる失敗・乗り越えた壁・これからの課題 -2

    研究者心理:「だれも見た事がなければ 世界初の研究が進められる!」

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    : アミロイドβ(Aβ)関連ペプチド

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    Aβ[1

    -40]

    Aβ[1

    -42]

    この2つのみ従来法(ELISA法)で血液中から検出可能だったこれらのみ検出を想定していた

    学術界の非常識未知化合物

    n: アミロイドβ関連ペプチド以外の化合物(非特異的に吸着・検出された) 一般には、これが少ないほど良い

    3000 3500 4000 4500 5000 5500m/z

    x5 x5

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    相対強度(分子の多さ)

    *

    MA

    LDI-M

    S

    なぜ発見・実用化できたのか?

    ◎ 日本の若手による発想・地道な積上げ ◎ 失敗しても良い「場」

    ◎ FIRSTで 高性能(超微量)分析手法を創出

    「血液からの検出は無理!」 「できたとしても診断に役立たない」という学

    術界の常識を超えられたのは、医学とは異なる異分野のチームだったから

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    (分子の大きさ)

    挑戦できる

  • 令和元年(2019) 6月20日 総理官邸にて 株式会社島津製作所シニアフェロー 田中耕一

    FIRST後継プロ無し 良好多数検体探し

    ④ 度重なる失敗・乗り越えた壁・これからの課題 -3長寿研と産学官共同研究

    ボランティアからの通常の

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    SIL

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    4200 4400 4600 4800m/z

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    アミロイドが溜まっていない

    4200 4400 4600 4800m/z

    Published online: 31 January 2018

    Nature. Vol.554 (2018) 249-254

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    アミロイドが溜まった人

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    日本の英語論文に発表しかし世界には、、

    2014年日豪で共同研究

    2月nature発表 (豪州 AIBL・国内“学”AMED産学連携)アミロイドが溜まり始めた超早期検出を血液で可能

    超早期・高精度・簡便・安価な創薬・治療開発が期待

    2018年

  • 令和元年(2019) 6月20日 総理官邸にて 株式会社島津製作所シニアフェロー 田中耕一

    “ の技術”で “ の ”を作るため、研究開発・認可等をで進めなければならない事が 沢山ある

    ⑤ 度重なる失敗・乗り越えた壁・これからの課題 -4

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    米国で別のMS手法を用いた臨床試験開始 FDA承認へ世界の様々なグループが従来法ELISA改良中 ビルゲイツ財団も多額資金

    昨年8月 日本で受託分析事業開始 今年度前半 米国受託分析開始へ

    今年3月島津でバイオマーカー国際会議(長寿研・AMED主催)処理の自動化・高速化(訓練すれば誰でも) → AMED 2,000検体測定

    ① 迅速な海外展開(デファクトスタンダート確立)

    ② システムのさらなる高度化・大規模処理 世界の高齢者全てこれからさらに強化

    厚労省・PMDA・経産省の方々と交流中

    ③ 異分野の方々も含めた共同開発が容易な環境整備

    ④ 検体の整備・基礎研究からスムーズな薬事承認取り組む

    べき課題

  • 令和元年(2019) 6月20日 総理官邸にて 株式会社島津製作所シニアフェロー 田中耕一

    ⑥ 日本から世界に 社会へ貢献

    Jack C. R. Jr. et al., Lancet Neurol., p119-128, 2010から改変

    認知症期軽度認知障害期

    認知症にならないための生活習慣・ 設備 高齢者に優しい日本は課題先進国 環境問題等 率先して解決してきた

    世界にアピール・貢献できるチャンスに

    未 顕 在 期

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    医療機器認知能力テスト普段の健康診断

    分析機器

    島津も研究開発しているが、

    企業単独では全く不十分

    認知症 特にアルツハイマー病の�早期発見・予防・治療のために① 認知症の背景② 度重なる失敗・乗り越えた壁・これからの課題 -1③ 度重なる失敗・乗り越えた壁・これからの課題 -2④ 度重なる失敗・乗り越えた壁・これからの課題 -3スライド番号 6⑥ 日本から世界に 健康・長寿社会へ貢献