日本におけるCCS実用化への取組み状況...•ダイバーやROVによる底生生物の撮影...

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1 Copyright 2015 Japan CCS Co., Ltd. 日本におけるCCS実用化への取組み状況 -苫小牧CCS大規模実証試験- -二酸化炭素貯留適地調査- 2015年6月22日 日本CCS調査株式会社 技術企画部 庄司 一夫

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日本におけるCCS実用化への取組み状況

-苫小牧CCS大規模実証試験- -二酸化炭素貯留適地調査-

2015年6月22日

日本CCS調査株式会社 技術企画部

庄司 一夫

OYAC2000
テキストボックス
次世代火力発電協議会 第2回会合 参考資料1

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CCS/CO2-EOR:世界の大規模プロジェクト

※大規模:年間 80万t以上(石炭火力) 年間40万t以上(その他の排出源)

運転中: 13件 建設中: 9件 精査中: 14件 評価中: 13件 構想: 6件

北米: 26件 欧州: 8件 アフリカ: 1件 中東: 2件 アジア: 14件 オセアニア: 3件 南米: 1件

大規模プロジェクト55件(2014年11月)

出典:Global CCS Institute, “The Global Status of CCS 2014” に基づいて作成、一部追記

国際エネルギー機関(International Energy Agency:IEA)と炭素隔離リーダーシップフォーラム(CSLF:Carbon Sequestration

Leadership Forum)の勧告 : 「2010 年までに世界全域で開始される大規模なCCS 実証プロジェクト20 件を立ち上げる」

海外のCCS、CO2-EORの動向

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諸外国の火力発電へのCCS導入今後の見通し

= 1MtpaのCO2 (円の面積は貯留量に比例)

海外のCCS、CO2-EORの動向

石油精製

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苫小牧CCS大規模実証試験

-苫小牧の現況-

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1990 2000 2010 2020

長岡プロジェクト

CO2地中貯留

苫小牧二酸化炭素削減技術

実証試験CO2 海底下貯留

CCS

実用化

CO2貯留 適地調査

日本でのCCS実用化への取組み

2015/6/22

東京

苫小牧

苫小牧CCS 大規模実証試験

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区分

要素

長岡 CO2圧入実証試験

2003-2006年圧入

合計1万トン規模

苫小牧 大規模実証試験

2016-2018年圧入予定

10万トン/年以上

実用化段階で想定されるCCSプロジェクト

2020年以降

100万トン/年規模

排出源

(市販のCO2を利用)

製油所 発電所、工場等

分離・回収 化学吸収法 化学吸収法、膜分離法等

輸 送 分離・回収箇所直近から

CO2圧入 パイプライン、タンクローリー、

船舶等

貯 留

陸域 海底下 海底下/陸域

帯水層 (構造性)

帯水層 (構造性/非構造性)

帯水層 (構造性/非構造性)

生産終了油・ガス層

圧 入 1坑井 2坑井 複数の坑井

CO2挙動把握のための 主要モニタリング手法

観測井 3坑 弾性波探査 観測井 3坑

弾性波探査

観測井 複数坑

苫小牧CCS実証試験の位置付け 苫小牧CCS 大規模実証試験

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CCS大規模実証プロジェクトのスケジュール

■2008-2011年度は調査期間

■2012-2015年度は準備期間 設備の設計・建設、坑井の掘削、操業の準備などを実施

■2016-2020年度はCO2 圧入・モニタリング期間 年間10万トン以上のCO2を3年間(2016-2018年度)圧入

H20

年度

H21

年度

H22

年度

H23

年度

H24

年度

H25

年度

H26

年度

H27

年度

H28

年度

H29

年度

H30

年度

H31

年度

H32

年度

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

準 備 CO2圧入

モニタリング

調 査

苫小牧CCS 大規模実証試験

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【2020年頃の実用化を目指す】

分離・回収から貯留までのCCS全体を、一貫システムとして実証する

CCSが、安全かつ安心できるシステムであることを実証する

CCSの実用化に向けて、必要な技術・安全基準の作成に資するデータを収集する

実用化へ向けて、改善すべき課題、解決すべき課題を明らかにする

実証試験の情報およびデータを開示し、苫小牧市民のみならず広く国民にCCSを理解してもらう

実証試験の目的と課題 苫小牧CCS 大規模実証試験

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・商業運転中の製油所の水素製造装置を排出源として、CO2を分離・回収、圧入に必要な圧力

まで昇圧(最大23MPa)し、10万トン/年以上のCO2を苫小牧沖の2つの貯留層に圧入する。

・2012~2015年度は、これら地上設備の設計・建設の構築、圧入井掘削、およびモニタリン

グシステムの構築とベースライン観測等のCO2圧入に向けた準備を実施。

(設備仕様: 最大20万トン/年のCO2に対応)

圧入 貯留

圧縮

ガス供給基地

CO2含有ガス 10万トン/年以上 ※排出源の操業状況等による

圧入井(2坑)

送出

PSA下流ガス送出

排出装置

分離・回収

《新設》

CO2分離・回収/圧入基地 《新設》

昇圧・分離

【貯留層】萌別層砂岩層 海底下・深度1,100~1,200m

【貯留層】滝ノ上層T1部層 海底下・深度2,400~3,000m

《新設》

送出配管

PSA(Pressure Swing Adsorption、圧力スイング吸着): 水素製造装置の生成ガスから高純度水素ガスを得る装置。 PSA装置(排出装置)からの下流ガスには高濃度CO2が含まれる。

苫小牧実証試験設備の全体概要 苫小牧CCS 大規模実証試験

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三次元弾性波探査 作業範囲

• OBC (Ocean Bottom Cable: 海底受振ケーブル) 微小振動、自然地震観測、二次元弾性波探査に使用。 • OBS (Ocean Bottom Seismometer: 海底地震計) 微小振動、自然地震観測に使用。

OBS

OBS

OBS

OBS

滝ノ上層観測井 OB-3 (鉛直)

高感度陸上地震計

萌別層観測井OB-2 (鉛直)

圧入井 2坑 (坑口)

滝ノ上層観測井OB-1 調査井を改修(坑口)

ガス供給基地 《出光興産様製油所内》

CO2分離・回収/圧入基地 《製油所に隣接》

© Google Image © 2013 DigitalGlobe Data SIO, NOAA, U.S. Navy, NGA, GEBCO Image © 2013 TerraMetrics

実証試験設備の位置関係(1) 苫小牧CCS 大規模実証試験

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フレア・ベントスタック

圧入井 アミンタンク

CO2吸収塔

CO2放散塔

低圧フラッシュ塔

PSAオフガス圧縮機

高圧ボイラー

低圧ボイラー

冷却塔

純水製造設備

純水タンク

燃料油タンク

排水処理水槽

工業用水受水槽

蒸気タービン発電機

計装空気設備

窒素設備

第1低圧CO2圧縮機

第2低圧CO2圧縮機

高圧CO2圧縮機

正門

駐車スペース

管理棟

高純度CO2の流れ

PSA下流ガスの流れ

CO2分離・回収/圧入基地のイメージ図 苫小牧CCS 大規模実証試験

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滝ノ上層T1部層(火山岩類)

滝ノ上層泥岩層

振老層(泥岩)

平取+軽舞層(泥岩)

荷菜層(泥岩)

萌別層(砂岩)

萌別層(泥岩)

鵡川層(礫岩、砂岩、泥岩)

第四系

貯留層

貯留層

遮蔽層

遮蔽層

※この断面図は、滝ノ上層圧入井坑跡における断面図

萌別

層観

測井

m

m

m m

圧入対象層 苫小牧CCS 大規模実証試験

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モニタリングシステムの概要

萌別層砂岩層

滝ノ上層T1部層

陸上設置 地震観測点

観測データ →

萌別層 圧入井

滝ノ上層 圧入井

:温度・圧力センサー

:3成分地震計

:CO2流量センサー

←観測データ 観測データ →

観測データ

観測データ

CO

2 圧入→

CO

2 圧入→

OBS OBS

常設型OBC

観測データ

←観測データ

観測データ

OBS OBS

Hi-netデータ (自然地震)

←観測データ

滝ノ上層 観測井OB-1

(調査井CCS-1を改修)

萌別層

観測井OB-2

滝ノ上層

観測井OB-3

圧入基地管理棟

苫小牧CCS 大規模実証試験

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CCS大規模実証試験の実施に際しては、「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(海洋汚染防止法)」に則り、海洋環境調査を実施しなければならない。

海洋環境調査

1. 調査範囲(右図)

• 苫小牧港港湾区域内12観測点

3. 三段階にわたる調査

2. 調査方法

• サイドスキャンソナー/サブボトムプロファイラー

• 流向・流速計による測定(海水の流れの方向と速さを調査)

• 採水器での採集(塩分濃度等、およびプランクトンの状況を調査)

• 採泥器での採集(海底堆積物の状況を調査)

• 網や簡易ドレッジによる採捕(底生生物の種類、数などを調査)

• ダイバーやROVによる底生生物の撮影

0 1 2km

想定調査海域

現地海洋環境調査範囲(案)

苫小牧港港湾計画図に加筆

海洋環境調査範囲

準備・建設段階 - ベースライン調査実施済 (2013年8月・11月、2014年2月・5月)

• 実証試験実施段階 - CO2 圧入運転中 - CO2 圧入運転後

• 実証試験終了後

苫小牧港湾計画図に加筆

Side-Scan Sonar

Bottom Sampler

Water Sampler

Dredge Unit

ROV

調査海域

苫小牧CCS 大規模実証試験

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広報活動

市民へのアンケート結果を 踏まえた広報活動 ③展示会への出展

■パネル展の開催:計54回(苫小牧市、及び周辺地域) ■ミニ講演会の開催:計30回以上(苫小牧市を含む、全国地域) ■CCS講演会の開催:計3回、700名以上の参加 (苫小牧市内) ■子供向け科学実験教室の開催:計13回(苫小牧市内) ■現場見学会の開催並びに、環境系展示会への出展

*:2015年1月末日時点(過去3年間)

(1)情報公開 情報提供をしっかり行うこと。 CCSをもっと知りたい。広報紙にも載せてほしい。 地元に対するこまめで丁寧な対応を望む。

(3)若年層への周知 フォーラムの参加者の8割が50代以上であり参加 者に若い人が少ないのは残念。 もっと若い人たちが集まるような呼びかけを考えて ほしい。

(2)安全・漏れについて 経済効果だけでなく安全面にも十分 配慮してほしい。 CO2の漏えいに関するリスクをもう 少し詳細に教えてほしい。

モニタリング 計画の

策定と公開

①パネル展の継続・拡充 事業の進捗をふまえて、より広範囲かつ 高い頻度で市内各所で開催

②講演会の継続 引き続き、多くの方にCCSを理解して いただくことを目的に開催

③現場見学会 建設現場や圧入井の掘削現場を広く公開

④ライブカメラの設置 ライブカメラを設置し、建設現場をリア ルタイムで公開 (日本CCS調査(株)のHP上で公開中)

⑤若者層向けミニ講演会 引き続き、市内の大学や高専を対象に 開催するとともに、周辺4町を含む学校 にも拡充

⑥子供向け実験教室 主に、小中学生を対象とした実験教室を 開催実験を通じて、地球温暖化やCCS の仕組みの理解を促進

苫小牧CCS 大規模実証試験

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二酸化炭素貯留適地調査

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(Natural gas

field) (More than 800

m in thickness)

shallower

than 200 m in

depth

Water depth: 200 m

地質データカテゴリーA

(背斜構造への貯留)

カテゴリーB(層位トラップなどを有する

地質構造への貯留)

既存油ガス田

坑井・震探データ豊富 A1:35億トン B1:275億トン

(水溶性ガス田)基礎試錐坑井・震探データあり A2:52億トン

基礎物探震探データあり、坑井なし A3:214億トン B2 :885億トン(16海域)

既存データによる貯留可能量 A1+A2+A3+B1+B2:1461億トン

地質調査

データ

ベース

地質データカテゴリーA

(背斜構造への貯留)

カテゴリーB(層位トラップなどを有する

地質構造への貯留)

既存油ガス田

坑井・震探データ豊富 A1:35億トン B1:275億トン

(水溶性ガス田)基礎試錐坑井・震探データあり A2:52億トン

基礎物探震探データあり、坑井なし A3:214億トン B2 :885億トン(16海域)

既存データによる貯留可能量 A1+A2+A3+B1+B2:1461億トン

地質調査

データ

ベース

※内陸盆地、内湾(瀬戸内海、大阪湾、伊勢湾など)は対象外 ※地下800m以深、かつ4000m以浅を対象

坑井 坑井

出典:(公財)地球環境産業技術研究機構

既存の調査例:沿岸域の貯留可能量と帯水層分布

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2013年4月 経済産業省と環境省による「東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議とりまとめ」

「(Ⅱ)国の目標・計画との整合性

(2)2050年目標との関係

(ア)国は、当面は、火力発電設備の一層の高効率化、2020年頃のCCS

の商用化を目指したCCS等の技術開発の加速化を図るとともに、

CCS 導入の前提となる貯留適地調査等についても早期に結果が得

られるよう取り組む。」

二酸化炭素貯留適地調査

経済産業省と環境省との連携による「二酸化炭素貯留適地調査事業」が、2014年度から実施されている。

(目標)

• 2020年頃までに、複数の貯留適地を選定する。

(適地の選定に当たっては、候補地から、段階的な絞り込み、優先順位付

けを行う。)

CCSの導入に向けて

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ご清聴ありがとうございました。