医用画像表示用モニタの品質管理に関するガイドラ …JESRA X-0093-2005...
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JESRA X-0093-2005
医用画像表示用モニタの品質管理に関するガイドラインQuality Assurance (QA) Guideline for Medical Imaging Display Systems
略称:QAガイドライン
(社)日本画像医療システム工業会
モニタ診断システム委員会
西 嘉一
作成の経緯
• H15年度– 国内外(韓国含む)の病院でモニタ診断の実情を調査(9月~12月)
– モニタ診断システム委員会WG1発足
– JRS、JSRTにJR3Cを通じて協力依頼
• H16年度– WG1活動開始(国内有力モニタべンダ4社含む10社)
– JRS、JSRT(アドバイザー)と合同討議
• H17年度– JRS、JSRTと合同討議– 標準化部会にJESRA申請– 8月8日にX-0093-2005として登録
• 連携– IEC61223-3-6(→JIS)
• JIRAの窓口に委員参加• 国際会議に委員参加
– 厚生労働省/文部科学省委託の石垣班「液晶モニタの安全性と精度管理に関する研究」
• 液晶モニタのガイドライン• JIRA窓口、班員参加
QAガイドライン
作成組織
• (社)日本画像医療システム工業会 モニタ診断システム委員会 WG1– 相葉貞志・山内 浩 NECディスプレイソリューションズ株式会社– 毛利岳志 三菱電機株式会社– 中村達司 株式会社東陽テクニカ– 浅田友親・西 嘉一 東京特殊電線株式会社– 比良浄敬・安田哲也 株式会社ナナオ– 小野陽一 コニカミノルタエムジー株式会社– 松井典久 株式会社島津製作所– 朝倉和浩・古島信正 日本電気株式会社– 田中 弘 富士写真フイルム株式会社– 五十嵐昭人・俣野公志 富士フイルムメディカル株式会社– 河端義弘 横河電機株式会社– 赤松明博 (社)日本画像医療システム工業会
• (社)日本医学放射線学会 (JRS)アドバイザー– 石垣武男 名古屋大学– 安藤 裕 放射線医学総合研究所
• (社)日本放射線技術学会 (JSRT)アドバイザー– 奥田保男 岡崎市民病院– 梅田徳男 北里大学– 松田恵雄 埼玉医科大学総合医療センター– 大橋三男 株式会社スペクトラテック
QAガイドライン
モニタベンダ5社8名
SI社6社8名
JRS2名
JSRT4名
2004/10/15~16:都市センターホテルで合宿討議
QAガイドライン
ガイドラインの全体説明
QAガイドライン
• 2005年8月8日に正式発行– JESRA X-0093-2005
医用画像表示用モニタの品質管理に関するガイドラインQuality Assurance (QA) Guideline for Medical Imaging Display Systems
– 略称:QAガイドライン
QAガイドライン
医用モニタの試験規格
毎日、1/3、6ヶ月
不変性:03年12月
不変性:医療機関
2003年12月
不変性試験
QS Guideline
毎日、3、6/12ヶ月
モニタ品質管理者
QAガイドライン
3ヶ月
規定無し
2005年8月
受入試験+不変性試験
毎日、1/3、12ヶ月
毎日、3ヶ月試験間隔
IECの和訳法制化受入:02年7月備考
医学物理士受入:ベンダー規定無し試験実施者
2001年6月2005年4月2001年2月1994年制定
不変性試験受入試験+不変性試験
受入試験不変性試験内容
JIS Z 4752-2-5AAPM O.R.03DIN V 6868-57IEC 61223-2-5規格名
精度管理
日本独自にガイドラインを纏めた理由
• JIS Z 4752-2-5が古くなっている– 基になったIEC 61223-2-5は1994年に作成された不変性試験規格– CRTモニタが対象で、液晶モニタが主流の現状には合わない– 最新のAAPM-TG18とIEC 61223-3-6をベースに規格をまとめることが必要
• IEC 61223-3-6のスケジュール– 制定までに後2年ほど必要で、それがJISになるには更に1年程度必要– 基準値を纏めたIEC 60601-2-5Yが否決– 日本国内でもモニタ診断はどんどん導入されつつあり、早急に医用モニタの管理基準をまとめる必要がある(モニタの品質管理がきちっと行われていないにも関わらず、読影に使われ始めている実態に憂慮し、JRS,JSRTと一緒に品質管理のガイドラインをまとめた)
• 医療機関の制度の違い– 日本の病院の制度は欧米と異なっており、医学物理士制度が確立していない– 読影環境も欧米の様に整っているわけではない– 欧米の規格をそのまま使用しても運用が困難
QAガイドライン
全体の流れ不変性試験
使用日ごとの試験/定期試験受入試験/基準値作成
モニタの種類
グレード1、グレード2
受入試験結果報告書
不変性試験結果報告書
QAガイドライン
適用範囲と組織
• 適用範囲と方針– モノクロ画像を表示することによって読影を行なうカラー及びモノクロ医用モニタに適用する
– 臨床に関する基準はJRSのデジタル画像の取り扱いに関するガイドラインに拠る
– 基準はAAPM-TG18、IEC 61223-3-6から引用する• 基準が変わったらガイドラインも見直す
– 基準に、グレード1とグレード2を設ける、どのグレードのモニタをどの部門に使用するかは、医療機関が判断する
– 試験項目は必要最低限とし、液晶モニタでは試験の必要が無い項目を明記する
• 組織– 医療機関の中に品質保証委員会(仮称)を作る– 品質保証委員会に任命されたモニタ品質管理者の責任において、医用モニタの受入試験・不変性試験を行う
QAガイドライン
受入試験
• 外部光– 外部光を含まないで評価
• 出荷試験報告書– 納入メーカの「出荷試験報告書」を確認・承認→受け入れ試験に代替可能
– 但し、表示システムの検査データに再現性が有る場合
• 不変性試験の基準値作成– 全体評価と定期試験で使用する輝度計での最大輝度測定が必要
QAガイドライン
検査データの再現性
• 出荷試験データを活用できる条件– 納入メーカによって、表示システムとしての出荷試験データが準備されていること
– ビデオボードとモニタ間のI/Fがデジタルであること
• 表示システム– GSDFカーブをモニタに描画できる範囲
QAガイドライン
不変性試験
• 外部光– 目視試験は外部光を含む– 測定は外部光を含まない
• 使用日毎に行う試験– 全体評価
• 定期試験の間隔– CRTモニタは3ヵ月毎– 液晶モニタは6ヵ月毎– 輝度安定化回路の付いている液晶モニタは12ヶ月毎
QAガイドライン
受入試験、不変性試験の詳細
試験一覧
• 受入試験• 仕様確認• 目視試験• 測定試験
• 不変性試験– 使用日ごとの試験
• 全体試験
– 定期試験• 目視試験• 測定試験 ○輝度偏差
マルチモニタ
マルチモニタ
一部CRTのみ
CRTのみ
CRTのみ
備考
色度
輝度比
最大輝度
コントラスト応答
輝度均一性
輝度均一性
アーチファクト
解像度
幾何学的歪
グレースケール
全体評価
解像度
分類
測定
目視
仕様
方法
○
○○
○○
○○
○
○
○○
○○
○○
○○
○○○
○
定期試験
使用日試験
受入試験
全体評価
• TG18-QCパターンを使用する
• 16段パッチの輝度差が明瞭に判別できること
• 5%95%パッチが視認できること
• 基準臨床画像の判定箇所が問題なく見えること
試験内容
グレースケール評価
• TG18-QCパターンを使用する
• 滑らかな単調連続表示であること
試験内容
幾何学的歪み(CRTのみ)• TG18-QCパターンを使用する
• 画面全体が確認できて直線性が保たれていること。
• X/Yのアスペクト比が適切なこと。
試験内容
解像度(CRTのみ)• TG18-QCパターンを使用する
• Cxスコア 0≦Cx≦4• ナイキストラインが見えること。
試験内容
44
0
アーチファクト評価
• フリッカー– TG18-UNL80パターンを使用する
– フリッカーが視認できないこと• カラーアーチファクト(CRTのみ)
– TG18-QCパターンを使用する– 著しいミスランディング・ミスコンバージェンスがないこと
• クロストーク– TG18-QCパターンを使用する– クロストーク要素が正常に表示されること
• ビデオアーチファクト– TG18-QCパターンを使用する– 過度な尾引きやオーバーシュート、シャドー、ゴーストなどがないこと
試験内容
最大輝度と輝度比
• TG18-LN8-01~18パターンを使用する
• 輝度計で18ステップの輝度を測定する
• 最大輝度Lmax≧170cd/m2
– グレード2≧100cd/m2
• 輝度比Lmax/Lmin≧250– グレード2≧100
• マルチモニタ間の最大輝度偏差– ≦10%
試験内容
コントラスト応答
• 18ポイントの輝度をJND値に変換する
• 輝度測定値からJNDあたりの輝度変化率(ΔL/L)/JNDを求める
• 横軸をJND、縦軸をJNDあたりのΔL/Lを順次プロットする
• DICOMのGSDFのプロットカーブからの偏差を求める
• 基準≦±15%– グレード2≦±30%
• 膨大な労力がかかるので、通常は自動測定、自動計算される
GSDFカーブからの偏差(ガンマ特性の精度)を示している
30% limit15% limit
試験内容
輝度均一性(受入試験)
• TG15-UNL80パターンを使用する
• 中心と4隅の輝度を輝度計で測定する
• 基準≦30%
試験内容
輝度均一性(定期試験)
• TG18-UNL80パターンを使用する
• 著しい非一様性がないこと
試験内容
色度均一性(受入試験のみ)
• グレード1の受入試験に適用• TG18-UNL80パターンを使用する
• 中心と4隅の色度を色度計で測定する
• 各色度ポイントを下記で計算し最大値をデータとする。
• D ={(u’1-u’2)2 + (v’1-v’2)2}1/2
• モニタの平均値をu’m、v’mとしたときマルチモニタ間を下記で計算し最大値をデータとする。
• Dm ={(u’m1-u’m2)2 + (v’m1-v’m2)2} 1/2
• 基準D≦0.01
試験内容
受入試験が合格したら
• 試験結果報告書を作成– 定められた期間保存する– 保存形式は問わない
• 不変性試験の基準値作成– 実際に使用する環境・端末と輝度計使用
– 全体評価– 最大輝度Lmax0測定
– 照度チェック
試験内容
使用日ごとに行う試験
• 全体評価• 試験結果は履歴として保存
– 最終の不変性試験から3年間– 保存形式は問わない
試験内容
定期的に行う試験受入試験と異なる点
• 解像度確認– 不要
• 輝度均一性試験– 測定→目視評価
• 基準値からの最大輝度偏差– ≦10%
• 照度チェック• 合格したら、試験結果報告書を作成– 最終の不変性試験から3年間保存
– 保存形式は問わない
試験内容
普及に向けて
モニタ診断システム委員会
WG5
Web公開• JIRAホームページの
Topics• 医用画像システム部会→情報提供→モニタ診断システム委員会
• QAガイドラインで検索• http://www.jira-
net.or.jp/commission/system/fr_information_03.html
普及に向けて
http://www.jira-net.or.jp/commission/system/fr_information_03.html
• JESRA X-0093.pdf• テストツール
– Manual.pdf– テストパターン
• 1M,2M,3M,5Mの縦横.bmp– 基準臨床画像
• 4kx4kx12bit.dcm– 試験結果報告書
• 測定値入力→結果計算
• リンクを張って下さい– 窓口:JIRA赤松部長
普及に向けて
JESRA X-0093.pdf Manual_v1.1.pdf
普及に向けて
普及に向けて
1MH.zip JRS Image.zip
Report_v1.1.zip
入力方法:グレード1のモニタはD10セルに○印を入力、グレード2はブランクにする 入力可能セル
医療機関 承認 担当設置場所機種名Sr.No. Sr.No.試験日
確認項目計算式|単位
仕様 仕様 解像度|pixel OK
グレースケール OK
幾何学的歪み:CRTのみ
OK
解像度:CRTのみ
Cxスコア|- OK
フリッカークロストークビデオアーチファクトカラーアーチファクト:CRTのみ
輝度均一性{(Lmax-Lmin)÷(Lmax+Lmin)}×200|%
10.5
コントラスト応答 18ポイントのκδ|% -3.2
Lmax|cd/m2 386.7
{(Lmax1-Lmax2)
÷Lmax2}×100|%6.0
輝度比 Lmax÷Lmin|- 784.4
{(u'1-u'2)2
+(v'1-v'2)2}1/2|-
0.001
u'm|- 0.196v'm|- 0.454
{(u'm1-u'm2)2
+(v'm1-v'm2)2}1/2|-
0.005
総合判定 OK目視判定が合格で、測定値が表示されていること。
≦±30
0≦Cx≦4ナイキストラインが見えること。
画面全体が確認できて直線性が保たれていること。X/Yのアスペクト比が適切なこと。
色度
アーチファクト
マルチ医用モニタ偏差≦0.01
出荷時の画面内平均値
≧100
アーチファクトが確認できないこと。
≦±15
測定
≦30
最大輝度
-
マルチ医用モニタ偏差≦10
≧170 ≧100
≧250
画面内偏差≦0.01
輝度計型名
照度計型名
Sr.No.色度計型名
OK
判定方法○
≧1k×1k
目視
OK
Sr.No.
滑らかな単調連続表示であること。
分類
全体評価
16(11)段階のパッチの輝度差が明瞭に判別できること。5%95%パッチが見えること。基準臨床画像の判定箇所が問題なく見えること。
グレード1判定
グレード2
入力方法:グレード1のモニタはD10セルに○印を入力、グレード2はブランクにする 入力可能セル
医療機関 承認 担当設置場所機種名Sr.No.試験日
確認項目計算式|単位
グレースケール OK
幾何学的歪み:CRTのみ
-
解像度:CRTのみ
Cxスコア|- -
フリッカークロストークビデオアーチファクトカラーアーチファクト:CRTのみ
輝度均一性 OKコントラスト応答 18ポイントのκδ|% -3.2
Lmax|cd/m2 386.7
-5.7{(Lmax1-Lmax2)
÷Lmax2}×100|%6.0
輝度比 Lmax÷Lmin|- 784.4照度(参考値) 画面鉛直照度|lux
総合判定 OK
OKアーチファクト アーチファクトが確認できないこと。
グレード1
目視判定が合格で、測定値が表示されていること。
OK
判定方法○
判定分類
全体評価
輝度計型名
照度計型名
Sr.No.色度計型名Sr.No.
Sr.No.
≦±15
測定最大輝度
マルチ医用モニタ偏差≦10
≧170 ≧100
≧250 ≧100
グレード2
目視
輝度偏差≦±10
≦±30
0≦Cx≦4ナイキストラインが見えること。
画面全体が確認できて直線性が保たれていること。X/Yのアスペクト比が適切なこと。
滑らかな単調連続表示であること。
著しい非一様性がないこと
16(11)段階のパッチの輝度差が明瞭に判別できること。5%95%パッチが見えること。基準臨床画像の判定箇所が問題なく見えること。
Accept_Report_v1.1.xls Constancy_Report_v1.1.xls
旧版はコントラスト応答の計算式にミスが有りました。必ずv1.1を使ってください。
普及に向けて
JSRT学術調査研究班
• 2006年5月から活動–名古屋大学の市川先生が班長–医師、技師、ベンダーで構成
• 医療施設でQA/QCを担務とする部署や人の問題
• 医療施設でQA/QCを遂行するのに必要な測定器の問題
謝辞
• 長期に渡り討議に参加していただいた、WGのメンバーおよびアドバイザーとしてWGに参加していただいた先生方にお礼を申し上げます。
• モニタ診断システム委員会では、ガイドラインの普及・啓発活動を行っています。– QAガイドラインの普及啓発活動にご協力下さい
ご質問やご要望は下記までお寄せ下さい。