港区低炭素まちづくり計画 <概要版>港区低炭素まちづくり計画...

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港区低炭素まちづくり計画 <概要版> 計画の基本的事項 [P.1~28] <計画策定の背景> [P.2~10] ○国は、社会経済活動に伴って発生する二酸化炭素の相当部分が都市において発生して いるものであることから、都市の低炭素化の促進を図るため、都市の低炭素化の促進 に関する法律(エコまち法)を平成24年(2012年)12月に施行しました。このエコ まち法では、国は「都市の低炭素化の促進に関する基本的な方針」を定めなければな らないこと、区市町村は低炭素まちづくり計画を作成することができることなどが規 定されました。 ○また、「都市の低炭素化の促進に関する基本的な方針」では、エネルギー使用の削減 やヒートアイランド現象の緩和につながるまちづくりを進めること、環境への負荷が 小さく、緑豊かで美しく風格あるまちづくりを進めることなど都市の低炭素化を図る ための目標が示されました。 ○港区は、二酸化炭素排出量が東京都の中で最も多く、とりわけ民生業務部門 ※1 の排出 量が、その多くを占めています。区内では、今後も大規模開発が多数予定されており、 事務所ビルの延床面積が増加し続けると予想されます。このため都市の更新に合わせ、 最先端の環境技術による先進的な取組を先導するなど、まちづくりの上で総合的に対 策を強化していく必要があります。 ※1 民生業務部門:産業部門、運輸部門に属さない企業・法人の事業活動から排出 <二酸化炭素排出量から見た港区の特徴> [P.11~25] ○区全体の二酸化炭素排出量は、平成2年度(1990年度)と比較して46.8%増加しています。 ○部門別二酸化炭素排出割合は、民生業務部門が最も多く約7割を占めています。 ○昼間人口は夜間人口の約4倍となっており、二酸化炭素の排出量に影響がある事務所ビル等の建物 延床面積も着実に増加しています。 ○今後も大規模建築物の増加が見込まれており、建築物の省エネ性能を高める技術や高効率熱源シ ステムなどの導入が求められます。 ○区全体の緑被率は20%を超え、増加傾向にありますが、商業・業務系の建築物が集積した地域で は、ホットスポットが形成されておりヒートアイランド現象の緩和が求められます。 <計画策定の目的と計画の位置づけ> [p.26~27] ○都市の低炭素化の促進を図ることにより、都市の健全な発展に寄与することを目的とし、 「港区低炭素まちづくり計画」に掲げる施策を実行します。 ○「港区低炭素まちづくり計画」は、「港区地球温暖化対策地域推進計画」に適合し、都市計 画区域マスタープランや港区まちづくりマスタープランとの調和、港区緑と水の総合計画と の整合を図ります。 <計画区域と計画期間> [p.28] ○計画区域は、区全域とします。 ○計画期間は、平成27年度~平成32年度(2015年度~2020年度)とします。 ○エネルギーの効率的利用の促進、緑の保全・創出とヒートアイランド対策の推進、環境に配慮し た交通環境の整備など3つの施策を実施し、区民・事業者・区が協働して都市の低炭素化に取り 組むことで、環境負荷の少ない都市が形成されています。 ○水辺や緑に囲まれ、やすらぐことができる、すべての人にとってやさしいまち、人がいきいきと かがやいて社会経済活動を行うことができる魅力ある持続可能なまち、低炭素社会を先導する世 界に誇れる環境都心を実現します。 人にやさしく かがやくまち 環境都心 みなと 基本方針1 先進技術の導入による、活発な経済活動と環境配慮の両立 基本方針3 利便性の高い公共交通網を活かした、環境負荷の少ない交通環境の実現 基本方針2 臨海部から丘陵まで豊かな緑が繋がる、快適で潤いある都心部の形成 ○港区の平成32年度(2020年度)の二酸化炭素排出量(総量)を平成19~21年度(2007~2009年度)の平均 と同水準にとどめます。 ○「港区地球温暖化対策地域推進計画」では、国・都・区の施策により二酸化炭素排出削減目標を約61万t-CO 2 と設定し、まちづくり部門の当初削減効果については、約20万t-CO 2 と試算していました。「港区低炭素まち づくり計画」に掲げる施策では、新たに強化・計上した削減目標を約22万t-CO 2 と設定します。 めざすべきまちの将来像と基本方針 [第2章] [p.29~34] <めざすべきまちの将来像> [p.30~31] 協働による 取組 区民 まちづくり部門が担うべき削減量 約22万t-CO 2 ※2 ※2 2009年度の二酸化炭素排出係数を用いて算出 <基本方針> [p.32~34] 部門別の二酸化炭素排出割合 (2012年) スギ人工林 約25,000ha (港区面積の約12.3倍) 1年間の二酸化炭素吸収量 区民 事業者 計画の目標 [第3章] [p.35~40] -1- 2% 2% 2% 18% 17% 14% 21% 45% 69% 16% 30% 12% 33% 6% 2% 3%7% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 特別区 港区 廃棄物 運輸部門 民生業務部門 民生家庭部門 産業部門 工業プロセス 港区環境基本計画 部門別計画 港区緑と水の総合計画 関連する他の計画 (まちづくりガイドライン等) 港区基本構想 港区基本計画・港区実施計画 港区環境基本条例 港区まちづくりマスタープラン 都市計画法 都市の低炭素化の促進に関する法律 港区低炭素まちづくり計画 港区地球温暖化 対策地域推進計画 地球温暖化対策の 推進に関する法律 都市緑地法

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Page 1: 港区低炭素まちづくり計画 <概要版>港区低炭素まちづくり計画 <概要版> 計画の基本的事項 [P.1~28] <計画策定の背景> [P.2~10]

港区低炭素まちづくり計画 <概要版> 1 計画の基本的事項 [P.1~28]

<計画策定の背景> [P.2~10] ○国は、社会経済活動に伴って発生する二酸化炭素の相当部分が都市において発生して いるものであることから、都市の低炭素化の促進を図るため、都市の低炭素化の促進 に関する法律(エコまち法)を平成24年(2012年)12月に施行しました。このエコ まち法では、国は「都市の低炭素化の促進に関する基本的な方針」を定めなければな らないこと、区市町村は低炭素まちづくり計画を作成することができることなどが規 定されました。 ○また、「都市の低炭素化の促進に関する基本的な方針」では、エネルギー使用の削減 やヒートアイランド現象の緩和につながるまちづくりを進めること、環境への負荷が 小さく、緑豊かで美しく風格あるまちづくりを進めることなど都市の低炭素化を図る ための目標が示されました。 ○港区は、二酸化炭素排出量が東京都の中で最も多く、とりわけ民生業務部門※1の排出 量が、その多くを占めています。区内では、今後も大規模開発が多数予定されており、 事務所ビルの延床面積が増加し続けると予想されます。このため都市の更新に合わせ、 最先端の環境技術による先進的な取組を先導するなど、まちづくりの上で総合的に対 策を強化していく必要があります。

※1 民生業務部門:産業部門、運輸部門に属さない企業・法人の事業活動から排出

<二酸化炭素排出量から見た港区の特徴> [P.11~25] ○区全体の二酸化炭素排出量は、平成2年度(1990年度)と比較して46.8%増加しています。 ○部門別二酸化炭素排出割合は、民生業務部門が最も多く約7割を占めています。 ○昼間人口は夜間人口の約4倍となっており、二酸化炭素の排出量に影響がある事務所ビル等の建物 延床面積も着実に増加しています。 ○今後も大規模建築物の増加が見込まれており、建築物の省エネ性能を高める技術や高効率熱源シ ステムなどの導入が求められます。 ○区全体の緑被率は20%を超え、増加傾向にありますが、商業・業務系の建築物が集積した地域で は、ホットスポットが形成されておりヒートアイランド現象の緩和が求められます。

<計画策定の目的と計画の位置づけ> [p.26~27]

○都市の低炭素化の促進を図ることにより、都市の健全な発展に寄与することを目的とし、 「港区低炭素まちづくり計画」に掲げる施策を実行します。 ○「港区低炭素まちづくり計画」は、「港区地球温暖化対策地域推進計画」に適合し、都市計 画区域マスタープランや港区まちづくりマスタープランとの調和、港区緑と水の総合計画と の整合を図ります。

<計画区域と計画期間> [p.28] ○計画区域は、区全域とします。 ○計画期間は、平成27年度~平成32年度(2015年度~2020年度)とします。

○エネルギーの効率的利用の促進、緑の保全・創出とヒートアイランド対策の推進、環境に配慮し

た交通環境の整備など3つの施策を実施し、区民・事業者・区が協働して都市の低炭素化に取り

組むことで、環境負荷の少ない都市が形成されています。

○水辺や緑に囲まれ、やすらぐことができる、すべての人にとってやさしいまち、人がいきいきと

かがやいて社会経済活動を行うことができる魅力ある持続可能なまち、低炭素社会を先導する世

界に誇れる環境都心を実現します。

人にやさしく かがやくまち 環境都心 みなと 基本方針1

先進技術の導入による、活発な経済活動と環境配慮の両立

基本方針3

利便性の高い公共交通網を活かした、環境負荷の少ない交通環境の実現

基本方針2

臨海部から丘陵まで豊かな緑が繋がる、快適で潤いある都心部の形成

○港区の平成32年度(2020年度)の二酸化炭素排出量(総量)を平成19~21年度(2007~2009年度)の平均

と同水準にとどめます。

○「港区地球温暖化対策地域推進計画」では、国・都・区の施策により二酸化炭素排出削減目標を約61万t-CO2

と設定し、まちづくり部門の当初削減効果については、約20万t-CO2と試算していました。「港区低炭素まち

づくり計画」に掲げる施策では、新たに強化・計上した削減目標を約22万t-CO2と設定します。

2 めざすべきまちの将来像と基本方針 [第2章] [p.29~34]

<めざすべきまちの将来像> [p.30~31]

協働による

取組

区民

まちづくり部門が担うべき削減量 約22万t-CO2

※2

※2 2009年度の二酸化炭素排出係数を用いて算出

<基本方針> [p.32~34]

部門別の二酸化炭素排出割合(2012年)

スギ人工林 約25,000ha

(港区面積の約12.3倍) 1年間の二酸化炭素吸収量

区民

事業者

3 計画の目標 [第3章] [p.35~40]

-1-

2%

2%

2%

18%

17%

14%

21%

45%

69%

16%

30%

12%

33%

6%

2%

3% 7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

特別区

港区

廃棄物 運輸部門 民生業務部門

民生家庭部門 産業部門 工業プロセス

港区環境基本計画 部門別計画

港区緑と水の総合計画

関連する他の計画 (まちづくりガイドライン等)

港区基本構想

港区基本計画・港区実施計画

港区環境基本条例

港区まちづくりマスタープラン 都市計画法

都市の低炭素化の促進に関する法律

港区低炭素まちづくり計画 港区地球温暖化 対策地域推進計画

地球温暖化対策の推進に関する法律

都市緑地法

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○PDCAサイクルに基づくマネジメントを実施するとともに、今後の社会情勢の変化を踏まえ、新たな施策に取り組むなど計画の見直し・更新を実施していきます。 ○「港区地球温暖化対策地域推進計画」と連携し、平成29年度(2017年度)には見直しの際に中間評価を実施します。また、計画期間の最終年度となる平成32年度(2020年度)に達成状況の 評価を実施します。

4 具体的施策 [第4章] [p.41~92]

(図-2)家庭における太陽光発電システムの仕組み

基本方針に基づく施策全体の二酸化炭素削減効果 : 224,260 t-CO2 (約22万 t-CO2)

(図-1)スマートエネルギーネットワークのイメージ

(図-3)大型街路灯、商店街装飾灯LED照明の導入

(図-6)コミュニティバス「ちぃばす」

※こうなん星の公園自転車駐車場 ※みなとパーク芝浦 シェアリングポート

(図-5)高輪地区総合支所の緑のカーテン

※保護樹木 ※建物低層部の壁面緑化 ※建築物の前面の植樹帯 ※質の高い豊富な緑化空間

(図-4)緑のネットワークのイメージ

※自転車通行専用帯

(図-7)自転車利用環境の整備

基本方針1 先進技術の導入による、活発な経済活動と環境配慮の両立

基本方針2 臨海部から丘陵まで豊かな緑が繋がる、快適で潤いある都心部の形成

基本方針3 利便性の高い公共交通網を活かした、環境負荷の少ない交通環境の実現

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5 進捗管理と評価 [第5章] [p.93~94]

施策 1 エネルギーの効率的利用の促進

(1)「港区民間建築物低炭素化促進制度」による個々の建築物の省エネ化の推進 p.46 →区内の建築面積の過半を占める事務所用途の民間建築物について、東京都の定める基準より高いレベルの環境配慮を誘導

(2) エネルギーの面的管理・利用の促進(図-1) p.48 →自立分散型エネルギーシステム等の高効率なエネルギー面的利用の導入、スマートエネルギーネットワークの構築を推進

(3) 「港区区有施設環境配慮ガイドライン」の運用による区有施設の省エネ化の推進 p.58 →区有施設における建物の「熱負荷抑制」、「設備システムの高効率化」、可能な限りの「再生可能エネルギーの導入」を推進

(4) 新エネルギー・省エネルギー機器等設置の促進(図-2) p.59 →住宅やビルへの太陽光発電システムやガスコージェネレーションシステム等の設置に要する経費の一部を助成等

(5) 大型街路灯へのLED照明の導入(図-3) p.62 →水銀ランプに比べ消費電力が低く、二酸化炭素の排出削減効果が期待できるLED照明の導入

(6) 低炭素化に資する建築物に対する認定制度等の運用 p.64 →低炭素建築物新築等計画認定制度、建築基準法第52条第14項第1号の規定に基づく容積率の特例に係る許可制度の情報提供及び活用

(7) 「港区開発事業に係る定住促進指導要綱」による生活に便利な施設の普及促進(移動に係るエネルギーの削減) p.65 →開発事業に係る定住促進指導要綱等を活用した移動に係るエネルギーの削減とエネルギーの面的・効率的利用等に係る施設の位置づけ

施策 2 緑の保全・創出とヒートアイランド対策の推進

(1)大規模開発の機会をとらえた緑のネットワーク形成の誘導(図-4) p.66 →緑のネットワーク形成に向けて、再開発等の大規模開発の機会をとらえた事業者の緑化を指導・誘導並びに支援

(2)緑のカーテンプロジェクトの推進(図-5) p.69 →区有施設に緑のカーテンや緑のマットを設置するとともに、緑のカーテンの育成に関する講習会や苗の配布を実施

(3) 遮熱性舗装等の推進 p.70 →道路整備にあわせて、路面温度を低減させ、ヒートアイランド現象の緩和効果が期待できる遮熱性舗装等の整備を推進

(4)都市計画公園整備の推進 p.71 →ヒートアイランド現象への対策や二酸化炭素吸収源としての高木による緑化を都心部で保全・創出

(5) 「みなとモデル二酸化炭素固定認証制度」による自治体連携を基にした森林整備の促進 p.73 →適切な森林管理・整備が約束された木材(協定木材)の使用を推奨

(6) 東京湾の海風を都市に取り込むための風の道の確保 p.75 →都市空間の地上付近の通風・換気に有効な海や山、緑地等の地域の冷熱源からの風を都市空間内に導く連続したオープンスペースを確保

施策 3 環境に配慮した交通環境の整備

(1) 港区コミュニティバス「ちぃばす」台場シャトルバス「お台場レインボーバス」の運営・運行と利用促進(図-6) p.77 →コミュニティバスの利用促進、天然ガス自動車等の導入等

(2) 自転車利用環境の整備(自転車走行空間の整備、自転車等駐車場の整備、自転車シェアリング実証実験)(図-7) p.79 →自転車走行空間や自転車等駐輪場の整備、新たな交通手段として区内での自転車シェアリングの導入

(3) クリーンエネルギー自動車の普及促進 p.82 →電気自動車、プラグインハイブリッド車の充電設備の導入支援及び普及啓発

(4) 駐車場の設置に関する配慮や駐車場の集約 p.83 →環状2号線周辺地区や品川駅北周辺地区等を対象に駐車場機能集約区域の設定等の調査・検討を行い、駐車施設の集約化を推進

(5) 快適な歩行環境の確保 p.85 →歩行者目線から見た街並み景観や沿道の活性化、うるおいのある緑豊かなまちづくりの実現に向けた指導・誘導

(6) 道路交通の円滑化に向けた都市計画道路整備の推進 p.87 →自動車の走行速度の向上及び燃費の改善に向けた都市計画道路の未整備区間の拡幅等の整備を推進

(7) カーシェアリング制度の普及促進 p.88 →カーシェアリングの普及促進策の検討及び普及拡大

(8) BRT(バス高速輸送システム)の導入 p.90 →新たに整備された環状2号線を利用したBRTの導入検討、クリーンエネルギー車両の導入等の提案

非常用発電機