効果的な 保健指導のポイント - ahv.pref.aichi.jp · 保健指導のポイント...

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効果的な 保健指導のポイント あいち健康の森健康科学総合センター 津下 一代 2018.06.04 1320-1420 国立保健医療科学院 平成30年度 生活習慣病対策健診・保健指導の企画・運営・評価に関する研修

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効果的な保健指導のポイントあいち健康の森健康科学総合センター

津下 一代

2018.06.04 13:20-14:20国立保健医療科学院平成30年度 生活習慣病対策健診・保健指導の企画・運営・評価に関する研修

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Agenda保健指導の目的、達成点

保健指導の要素と必要とされるスキル

個人のスキルをサポートする仕掛け

記録様式、カンファレンス、発表

保健指導効果の評価

個人としての力量形成と組織的な対応

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保健指導と行動変容・生活習慣病予防(受診者の立場に立って)

健診

結果説明なし不十分な保健指導

押し付け型 ワンパターン保健指導一般論的・抽象的・理想論的

本人の準備度に合わせた保健指導個別的・具体的・実現可能

何も言われないまあ、いいか!

不安

偏った健康情報誤った知識

行動変容(生活習慣病予防行動)の持続

生活習慣病の予防・改善

こんなことできないまあ、いいか

実行してみる(課題多し)

続かない

挫折・罪悪感無力感

実行しやすいから実行できる

がんばって続ける

不適切な行動

適切な評価支援

自己効力感↑

(継続できる自信楽しさ)

目的

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社会人としてのマナーができていない

こちらの都合はお構いなし、待たせるのは平気

一般論を繰り返すだけ、資料を読むだけ

医学用語ばかりの説明で ちんぷんかんぷん

上から目線な雰囲気がある

できていないことのあらさがしをする

やっていることを認めてくれず、次々と新しい課題を持ち出す

できないと馬鹿にした態度をとる

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• 健康問題の解決は目的ではなく手段

自己実現・快適な生活を維持・向上するため

• 健康状態の現在の立ち位置を知る

• 本人自身が「変えやすいこと」から始める

生活習慣改善のチエは現場に!

成功事例・失敗事例から学ぶ

• 保健指導の期間だけでなく、自分の使える資源(人的・物的)を活用して継続できる方法を試す

健康上の問題を自ら認識・主体的に解決できること

本人の行動の自己選択の質を高めるための支援

【保健指導の目的】

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有益性

危機感

行動のきっかけ応援

行動変容

困難さ痛み、不安

メリット

デメリット

相手のこころのシーソーをどう動かすか?

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セルフエフィカシー(自己効力感)を高めるために

「自分はできるんだ!」という見込み感を高める

• 成功体験

対象者の能力に応じた課題⇒達成感

• 代理的体験 お互いに成功体験を披露

• 言語的説得 指導者が「あなたならできる」

• 生理的・情動的喚起:

以前より 楽にできるようになった・・

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健診結果の理解=自分の体の中で起こっている変化を理解

心のうごき気づき

行動目標設定

実行支援評価・励まし

習慣形成

Positive feedback

あっ!そうか!(納得)やらないとまずいな!(危機感)

何からはじめますか?

できた!(自信・達成感)体調がいいな!(感覚)

行動変容

食生活運動・身体活動改善のノウハウ社会資源の情報

環境

健診結果説明

保健指導

継続支援

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保健サービスを必要とする者へのアプローチ(イメージ図)

従来・・・一部の者に対して、希望に応じたサービスの提供→ 必要な者にサービスが届いていない!?

生活習慣改善の必要性

高い者

中等度の者

低い者

健 診

保健指導

主として集団指導

特定保健指導全員を対象にチェック!必要性に応じて対象者を階層化!→ 必要な者に確実にサービスを提供を!!

階層化

情報提供・普及啓発

動機付け支援

積極的支援

多くの者には、具体的な支援なし。

特定健診

呼びかけ

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メタボ戦略

• わかりやすい

• 生活のなかで 対策を考える

• 目標設定が具体的である

• セルフモニタリング(チェック可能)

• ポジティブな解釈

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メタボリックシンドロームに着目した保健指導

保健指導プロセス メタボリックシンドロームにおける着眼点

問題点の

確認

健診結果を理解して

体の変化に気づく

内臓脂肪蓄積の害、エネルギー収支

動脈硬化リスクの重複

自らの生活習慣を振り返って問題点を発見

体重増加時や現在の生活習慣の振り返り、生活習慣のひずみに気づく

行動目標設定

健康上の目標設定 減量による検査データ改善の見込みを提示。3~4%減量、腹囲○cm減少など

食事や運動、喫煙などの

日常生活における行動計画設定

実現可能な食事・運動の目標を立てる。

摂取エネルギーと消費エネルギーの収支をマイナスにする計画。

モチベーション向上 まず短期的かつ実現可能な行動目標設定。

実行支援

行動目標の実行、継続支援 体重・腹囲・歩数などのセルフモニタリング、運動プログラム等への参加

評価

継続

自走

達成感・満足感・楽しさ

自己効力感の高まり

健康状態の改善

内臓脂肪を減少させることの重要性を自分自身のデータ変化で理解、リバウンド対策、継続できる目標設定

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Agenda保健指導の目的、達成点

保健指導の要素と必要とされるスキル

個人のスキルをサポートする仕掛け

記録様式、カンファレンス、発表

保健指導効果の評価

個人としての力量形成と組織的な対応

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• 効果的な保健指導のポイント

動機づけのために

健診データをうまく活用できるか?

病態の理解と説明力、資料の活用

疑問に応えられるか?

これならできそう!を提案できるか?

対象者本人に考える時間を提供しているか?

行動変容を継続的に支援できているか?

• 毎日の保健指導を評価し、

よりよい支援に導く仕事の仕組みが大切

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基本的に求められる姿勢社会貢献のマインド、職業に対する真摯な態度、社会人としての振る舞い

医学的知識運動・栄養等の知識

制度についての理解と活用

面接技法マネジメント能力評価と改善

保健指導の専門的知識と技術

保健指導者に必要とされる能力

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動脈硬化の進展プロセス正常な血管 動脈硬化の始まり 血栓の形成

加齢 肥満喫煙 運動不足

高血圧 脂質異常症糖尿病 過量飲酒ストレス 家族歴

脳血管疾患虚血性心疾患糖尿病合併症

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血管には「血管を守る仕組み」がある

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脳卒中の危険因子Lancet2010:376:112-123

① 高血圧② 喫煙③ 内臓脂肪型肥満④ 食事⑤ 身体活動度⑥ 脂質⑦ 糖尿病⑧ 飲酒⑨ ストレス・うつ⑩ 心疾患

人口寄与リスク90%

生活習慣そのもの生活習慣に起因する疾病

17

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●肥満 (内臓脂肪型肥満)

●生活習慣病予備群(正常高値血圧、高血糖(境界領域等))

●不適切な食生活(エネルギー・食塩・脂肪の過剰等)

●身体活動・運動不足●喫煙●過度の飲酒●過度のストレス

●日常生活における支障●半身の麻痺、失明、人工透析、下肢切断●認知症

●肥満症 ●高血糖●高血圧 ●高脂血

レベル 1

レベル 3

レベル 2

●虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症等)●脳卒中(脳出血・脳梗塞等)●糖尿病の合併症(腎症、網膜症等)●下肢末梢動脈疾患

レベル 4

レベル 5

生活習慣病のイメージ

わかっちゃいるけどできないよ~

自分だけは大丈夫さ!

おっと! こんなはずじゃぁ。あの時やっておけば…

18

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動脈硬化の危険度を示す図

リスク数 リスクの重なり度をチェエック

検査データの推移

健診・検査のコメント

※自動出力

5.8倍

0個 1個 2個 3~4個

1.0倍

35.8倍

5.1倍

危険因子の数

発症の危険度

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肥満に起因ないし関連し減量を要する健康障害(減量により改善、または、進展が防止される)

1) 2型糖尿病・耐糖能障害 2) 脂質異常症 3) 高血圧

4) 高尿酸血症・痛風 5) 冠動脈疾患 6) 脳梗塞(脳血栓症、TIA)

7) 脂肪肝 8)月経異常・妊娠合併症 9) 睡眠時無呼吸症候群

10)整形外科的疾患 11) 肥満関連腎臓病

Ⅱ.診断基準には含めないが、肥満に関連する疾患

1)良性疾患:胆石症、静脈血栓症、肺塞栓症、気管支喘息、

皮膚疾患(偽性黒色表皮腫、摩擦疹、汗疹)

2)悪性腫瘍: 胆道癌、大腸癌、乳癌、子宮内膜癌

(肥満症診断基準検討委員会 2011)

Ⅰ. 肥満症の診断基準に必須な合併症

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メタボリック・シンドロームにおける各種病態の発症機序

栄養過多(過食、運動不足)

内臓脂肪蓄積

門脈血FFA↑ Adipocytokines↑

インスリン抵抗性

高インスリン血症リポタンパク質合成の増加

TNFα

PAI - 1

耐糖能異常脂質異常症 高血圧

心血管イベント喫煙

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-0.5 -0.3

-1.3

-2.3

-4.1 -4.5

-7.4 -8.0

-7.0

-6.0

-5.0

-4.0

-3.0

-2.0

-1.0

0.03%以上増 1~3%減 ±1% 1~3%減 3~5%減 5~7%減 7%以上減

0.8

-0.1

-1.2

-2.0

-3.1 -3.7

-5.8 -7.0

-6.0

-5.0

-4.0

-3.0

-2.0

-1.0

0.0

1.0

2.0

3%以上増 1~3%減 ±1% 1~3%減 3~5%減 5~7%減 7%以上減

24.9

6.3

-10.0

-27.3 -37.2

-50.4 -64.2 -80.0

-60.0

-40.0

-20.0

0.0

20.0

40.03%以上増 1~3%減 ±1% 1~3%減 3~5%減 5~7%減 7%以上減

-1.0

0.2 0.3 1.5

2.3 3.5

7.2

-2.0

0.0

2.0

4.0

6.0

8.03%以上増 1~3%減 ±1% 1~3%減 3~5%減 5~7%減 7%以上減

1.8

0.2 0.2

-1.1 -2.0

-3.1

-4.3 -5.0

-4.0

-3.0

-2.0

-1.0

0.0

1.0

2.0

3.03%以上増 1~3%減 ±1% 1~3%減 3~5%減 5~7%減 7%以上減

0.10

0.04 0.01

-0.05 -0.03

-0.15 -0.16 -0.20

-0.15

-0.10

-0.05

0.00

0.05

0.10

0.153%以上増 1~3%減 ±1% 1~3%減 3~5%減 5~7%減 7%以上減

変化量

(mg/dl) トリグリセライドの変化

体重減少率

(mmHg) 収縮期血圧の変化 (mmHg) 拡張期血圧の変化(n=6,285) (n=6,285)

(mg/dl) HDLコレステロールの変化

(mg/dl) 空腹時血糖の変化 (%) HbA1cの変化

n=500, 804, 1334, 1347, 960, 610, 730

一元配置分散分析、Bonferroni法、*±1%群と比較して有意差あり

(n=6,285)

(n=6,285)(n=6,285)

(n=5,269)

**

*

*

**

*

*

*

**

*

*

*

*

*

**

*

*

*

**

*

積極的支援後1年間の体重変化率と検査値変化

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175cm、76.8kg84.8cm

175cm、80kg88cm

保健指導期間 6ヶ月

腹囲 84.8cm (3.2cm減)

体重 76.8kg (3.2kg減)

メタボリックシンドロームの脱出には・・

体重の4%減

半年後、どんな自分をめざしますか?

目標腹囲・体重を明確に設定

体脂肪1kg減=腹囲1cm減

3cm=ベルトの穴1つ分

氏名

行動計画

その期間は?

目標は

何 kg 減?

食事と運動で

作戦をたてます

目標設定

例 ・ いつまでも子どもと野球ができる体でいる!

将来なりたい自分

× kg 7,000kcal =

÷ か月 = ÷ 30日 1 日あたりに減らすエネルギー

kcal

1 日あたりに減らすエネルギー 運動で kcal

kcal

体重1㎏(=腹囲1㎝)減=7,000kcal減

kcal ①

kcal kcal 食事で

財団法人 愛知県健康づくり振興事業団 事務局 特定健診・保健指導支援室

無断複製・転載禁止

半年後、どんな自分をめざしますか?

食事と運動でバランスよく

腹囲 ㎝ ( ㎝減)

体重 ㎏ ( ㎏減)

計画① 月 日~ ( 回/週 )

計画② 月 日~ ( 回/週 )

計画③ 月 日~ ( 回/週 )

市町村名

会社名 平成 年 月 日

「わたしライフ」表 ①あなたの生活や体重変化を振り返って見ましょう。 ☆ 体重が変動したときはどんな時でしたか?

②将来設計(将来どんな自分になりたいですか?)

ふり返り

将来設計

生活の様子や変化など

kg

kg

体   重

歳頃

kg

kg

kg

3ヵ月後 6ヵ月後 1年後 歳頃20歳頃 歳頃 歳頃 現在

目標設定用紙 担当者( )

23

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基本的に求められる姿勢社会貢献のマインド、職業に対する真摯な態度、社会人としての振る舞い

医学的知識運動・栄養等の知識

制度についての理解と活用

面接技法マネジメント能力評価と改善

保健指導の専門的知識と技術

保健指導者に必要とされる能力

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大人に新たなことを学んでもらうには?(成人学習の基本)

• 本人の気持ちを尊重する

どうして自分が呼ばれたんだろう??

• 大人としての敬意を払う

• 本人が意味があると感じる内容を提供する

• できることに着目、明確・適切な目標設定

• 指導よりも支援(サポーティブな雰囲気)

• 失敗する場面、恥をかく場面のないよう

配慮

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面接のヒント:SPIKES Robert Buckman:

• S Setting(場の設定)環境、タイミング、自己紹介

• P Perception (病状認識)

• I Invitaion (意思確認、患者の知りたいこと)

• K Knowledge (知識の共有)

• E Emotion(感情への対応)

• S Strategy and Summary(戦略、要約)

The oncologist:2000;5:302-311

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相手の状況を知るためのアセスメントとは?

• 「評価」「査定」「事前評価」

• 収集した情報を整理し、解決すべき課題を考察すること。

• 個人の状態像を理解し,必要な支援を考えたり,将来の行動を予測したり,支援の成果を調べること。

• 障害(病気)の特性やそれにより生じている困難さだけでなく,周囲の人や環境を含めた生活を理解することで,今後必要となる支援や将来の行動を予測する。

• アセスメントには,支援の成果を調べることも含まれる

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9 20歳の時の体重から10㎏以上増加している。

10 1回30分以上の軽く汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施。

11 日常生活において歩行又は同等の身体活動を1日1時間以上実施。

12 ほぼ同じ年齢の同性と比較して歩く速度が速い。

13 食事をかんで食べる時の状態はどれにあてはまりますか。

14 人と比較して食べる速度が速い。

15 就寝前2時間以内に夕食を取ることが週に3回以上ある。

16 夕食後に間食(3食以外の夜食)を取ることが週に3回以上ある

17 朝食を抜くことが週に3回以上ある。

18 お酒(清酒、焼酎、ビール、洋酒)を飲む頻度。

19 飲酒日の1日あたりの飲酒量

20 睡眠で休養が十分とれている。

21 運動や食生活等の生活習慣を改善してみようと思いますか。

22生活習慣の改善について保健指導を受ける機会があれば、利用しますか。

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検査値の変化と生活習慣

検査値の変化 考えられる生活習慣の例

BMI、腹囲 ↑ 過食(食事>運動)

血圧 ↑ 塩分過多、肥満、喫煙、過量飲酒、運動不足

中性脂肪 ↑ 過食(食事>運動) 、糖分過多、過量飲酒、高脂肪食

中性脂肪+γGTP↑

過量飲酒

HDL-C ↓ 喫煙、運動不足

ALT ↑ 過食(食事>運動)、過量飲酒

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52歳男性大切にしていること 健康観 健康エピソード 身近な人の病気

改善意欲あり

保健指導前向き

子どものころから太り気味やせたい気持ちはある

生活背景

仕事 家庭 地域 趣味、仲間

自営業(電気店)

店番・訪問

生活習慣

食生活 運動習慣 喫煙 その他

夜食・間食・朝抜き

昼コンビニ

酒のつまみ

速く歩くほう、

運動習慣なし

10分歩行1/3日

あり 睡眠OK

飲酒毎日2~3合

ビール1本焼酎

身体状況

腹囲95、BMI26.7

血圧142/92 HDL24.6TG206 GPT 55 ,GOT39FPG99

体重増減±3以内

ダイエット歴は?

アセスメントが大切

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行動変容ステージモデル

無関心期

関心期

準備期

実行期

維持期

(前熟考期)

(熟考期)

(行動期)

病識なし行動変化を考えない

必要を感じている

本人なりの行動変化

適切な行動をはじめる(6ヶ月以内)

適切な行動が6ヶ月以上継続

気づきを促す関心がない理由・抵抗する要因を整理する

行動変容による利益や価値を明確にしていく

行動目標・計画の設定支援行動変容の評価

行動の継続支援モニタリングとサポート

自立に向けた計画づくり

セルフモニタリングセルフケア

状況の変化など逸脱要因への対応結果の評価

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積極的支援開始時の生活習慣改善意欲ステージ別に1年後の体重減少率、4%減量達成率を比較(n=948)

2.6

3.4

2.6

3.2

2.6

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

体重減少率(%)

無関心期 関心期 準備期 実行期 維持期

(n= 84 196 345 73 250)

41.0

28.1 30.135.6 34.3

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

無関心期 関心期 準備期 実行期 維持期

(n= 84 196 345 73 250)

4%減量達成率(%)

2009年度 津下班 (生活習慣病予防による医療費適正化効果に関する研究)

支援開始時の生活習慣改善意欲ステージは1年後の体重減少と関連なし

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一見、同じように改善意欲が乏しい無関心期の場合でも、

• 人に指図されるのがいやだ

• 自分の健康を過信している(まだ大丈夫。。。)

• 自分なりにがんばっているのにダメ出しされた

• 偏った知識に支配されている(TVでこう言っていた)

• 前にがんばったけれど 結果が出ていない

• 自分の健康を考えるゆとりがない

• 保健・医療に対するつよい不信感がある

• 人生をあきらめている

など、さまざまな状況が考えられる。

その人の思いを語ってもらい、無関心な姿勢を示す

原因を考えよう。

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認知行動療法とは

• 感情や行動に影響を及ぼしている極端な考え(歪んだ認知)が何かを特定

• それが現実的かどうかを検討し、より現実的で幅広いとらえ方(認知)ができるように修正していく。

• 感情や行動についてセルフモニタリングをおこなうことにより、自分自身の行動を客観的にとらえることができ、認知を再構築することができる。

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運動(指導)に抵抗する人の「認知」の例

①運動に対する否定的な思い

• 子どもの頃、運動が苦手でつらい思いをした。

②運動の価値を認めていない

• 運動しなくても日常生活には不都合はない

③完全主義的な考え方

• どうせやっても続かない。棒を折ってしまうことになる。

④自己を否定的にとらえる

• 意志が弱いので、長続きしない

⑤他人の目が気になる

• やせたいから運動しているんだ」という目で見られる

⑥ 自分なりにやっているから 指導されたくない。

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認知を修整する

• 本人が当たり前と思っていることの根拠を確認したり、不快な感情をひきおこした出来事についてその状況を整理し、運動についての考え方を見直す余地がないかどうかを検討していく。

• 「よい・悪い」の2択ではなく、連続体としてものごとを評価したり、マイナス面だけでなく、プラス面にも気づくような働きかけをおこなっていく。

• 一面的にみていた運動を多角的にみられるように支援していくことで、前向きな気持ちをひきだす。

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目標設定で大切なこと

• 自己決定による目標設定

• 目標を数値化する

• 自分で書く

• 2-3個の目標に絞る

• セルフモニタリングに関する項目を1つ入れる

• 「実現可能な」目標になるように支援する

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タイプ別の目標設定

ブレイクダウン型 コツコツ型

成功のイメージを明確にする。3㎏減量できたら検査値改善

毎日の行動計画を具体化する

毎日できることから考える小さな行動変容の価値を伝える

続ければこんないいことがある・・・と期待感を伝える

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「選択」の自由度に対する認識は文化的背景に著しく影響を受ける

西欧的

• 自己決定を重視

• 日常業務を、自分の意志で選択可能なものとみなす傾向

• 選択の自由が大きいほど、意欲、満足度、業績の各スコアが高い

アジア的

• 上司等からの評価を重視

• 日常業務に自由度は低いと回答する傾向

• 日常業務が主に上司によって決められているという意識が強いほど、各スコアが高い

Sheena Iyengar.: The Art of Choosing

自己決定をうながすプロセスが重要行動目標に「あなたならでは」の

多様性が必要

会社からの期待を伝えることが重要会社の期待する生活と合致した

行動目標は実践しやすい

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継続支援の目的

初回面談時・ 短期的な目標設定が可能(とりあえず2週間できそうな目標)・ 行動目標の実行支援・・変えるとき、慣れるまでには本人にとってエネルギーが必要

2週間~1カ月後・ 行動目標の再設定・・生活の中で立て直す・ 社会資源の活用などのお試し期間、信頼関係の醸成1カ月後・ 行動のポジティブフィードバック⇒自己効力感の高まり・ 行動目標の微修正2~3カ月以降・ 行動の結果(体重・腹囲の変化)と生活習慣の関係の整理・ 自立に向けた準備、困難時の対処法、脱落の防止

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「うまくいかない」状況から抜け出す

自己防衛自己非難

行動的 性格論的

目標 努力

自分の落ち度は認めない自尊心は守られるが一時しのぎ

行動だけに焦点コントロール可能

抑うつ的非生産的

非合理な目標設定をしていないか

努力の方向や方法が適切かどうか

○ ×

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①歩数、体重、食事などの状況(記録、目標実施状況など)

②行動計画の実施状況;意識して変えている(変えようとしている)生活習慣の確認

③評価する場合には、できるだけポジティブにとらえ、小さな行動変容を見逃さないようにする(自己効力感を高めるメッセージ)

④本人が「うまくいかない」と思っていることについての相談

⑤ドロップアウト防止

⑥行動目標の実施状況について本人の思いを確認し、必要があれば目標の修正

⑦次回の支援についての約束

継続支援時のポイント

テレメンタリング 双方向ツールによるヘルスケア・コミュニケーション:2章メールでの健康相談 津下一代先生資料

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順調に減っている ・対象者の努力を賞賛

・行動目標を意識して継続できた結果であることを客観的に評価し、伝える・階段状の減量を説明し、今後の見通しを伝える

減量スピードが早い ・対象者の努力をまずは賞賛・危険な減量行動(1食しか食べない等)をしていないか確認・急激な消費スピードのリスクを伝え、維持の必要性を伝える

頑張ってるのに、変わらない

・継続して記録していること等、頑張っている行動に焦点をあてねぎらう・具体的な情報提供で、減量の見通しを伝える

体重が増えてしまった

・仕事や家庭環境などの状況に触れ、うまくいかないと感じてる気持ちに寄り添う・体重増加しやすいところに焦点をあて、対策案を提示する

体重測定していない ・体重測定できない理由に配慮する

・モニタリングのメリットを伝え、測定だけでも十分な意識・行動変化であることを強調する

体重変動について

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歩数が極端に多い、強度の高い運動をしたり頑張りすぎ

・まずは、頑張っている事実を賞賛・疲労感、膝や腰の痛みなどはないか確認・脂肪の燃焼に効果的な運動強度について情報提供

忙しくて運動ができない、歩数が増えない

・歩数が多い日に○印をつけ、客観的に週当たり何日くらいできている等を評価・具体的に歩数を増やすコツを提案する

なかなかお菓子がやめられない

・目標達成率を評価・つい気が緩む状況などを聞き出し、対策を考える

・頑張りすぎず、たまのご褒美があっても大丈夫であることを伝える

忙しくて外食が多い、夕食が遅い

・エネルギー表示を見て選ぶ、夕食を分割して食べる、野菜を先に食べるなどの食行動に注目して支援する

本当に効果があるのか心配・・・

・行動目標の達成状況と体重変化を客観的に評価し、血液検査等に及ぼす効果について見立てをする

・目標の修正が必要であると判断したら、本人の意思を確認し、修正する

行動目標について(運動&食事面)

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行動計画計画① 会社間は歩く ( 5回/週 )

計画② 夜の炭酸飲料をお茶にする ( 7回/週 )

計画③ ( 回/週 )

76

77

78

79

80

81

82

83

84

85

86

6/2

9/4

9/11

9/18

9/25

10/2

10/9

10/16

10/23

10/30

11/6

12/1

12/8

12/15

12/22

12/29

1/6

1/13

1/20

1/27

2/4

kg

炭酸飲料を飲んでいたがkcalに驚く

工場と工場の間が徒歩7分のところを皆、車で移動

●6ヶ月間の体重変化

中間

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セルフマネジメント目的 健康でいたい理由、したいこと、続けたいこと

目標設定 段階的に行動の目標を設定する。

目標は明確で数量化でき、短期的なもの。

セルフ

モニタリング

行動の記録、自己評価、言い訳・自慢

体重・歩数・行動目標の評価など

行動契約 指導者と行動契約書を交わすことにより、行動実践への拘束力を高める。

セルフトーク 内部的な対話。自分自身に教示。

肯定的思考を増やし、否定的思考を減らす。

ソーシャル

サポート

家族や友人が一緒に行動してくれたり、応援してくれる。

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基本的に求められる姿勢社会貢献のマインド、職業に対する真摯な態度、社会人としての振る舞い

医学的知識運動・栄養等の知識

制度についての理解と活用

面接技法マネジメント能力評価と改善

保健指導の専門的知識と技術

保健指導者に必要とされる能力

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保健指導がうまくいっているかどうか?

① 保健指導のプロセスをチェックする

・・自己評価、チームでの評価

② 対象者の変化を測定する

・・面接時の表情・態度、記録状況

③ 保健指導効果を検証する

対象者の生活習慣・体重や検査データの

変化

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保健指導事業を評価するための指標

肥満度、体重BW, BMI 腹囲糖代謝指標:

FPG、HbA1c脂質代謝指標:

トリグリセライド、LDL、HDL肝機能検査:

AST,ALT、γ‐GTPMetS判定

歩数

運動習慣

食事摂取

食行動

生活習慣の変化 データの変化

MetSに対する理解

自己管理に対する意欲

QOL

保健指導

医療費

理解・意欲の変化

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保健指導の評価(初回支援)・受講者の生活改善意欲が高まったか・初回支援の理解度や満足度はどうか アンケートから分析

【1】教室に参加された目的(動機)は何ですか?1. 健診結果が気になった 2. すすめられた(家族・保健師・その他)3. メタボに関心があった 4. 友人が参加した5. 検査データを改善したいと思った 6. 業務の一環7. その他( )

【6】運動や食事等の生活習慣を改善してみようと思いますか?1. 改善するつもりはない 2. 改善するつもりである(概ね6か月以内)3. 近いうちに(概ね1ヶ月以内)改善するつもりであり、少しずつ始めている4. 既に改善に取り組んでいる(6ヶ月未満)5. 既に改善に取り組んでいる(6ヶ月以上)

【8】本日の教室はいかがでしたか?1. 大変ためになった 2. ためになった3. 参加前と変わらなかった 4. ためにならなかった

【9】今日の教室に参加して感じたことをお聞かせください。1. 実践中なのでこのまま続ける 2. 今日から変えようと思う3. 明日から変えようと思う 4. 変えたいと思うが難しい5. 健康になるための努力はしていないが、今のままでよいと思う

参加動機(積極性)

支援前の関心度(ステージ)

支援直後の満足度・理解度

支援直後の

生活習慣改善意欲

支援前

支援直後

50

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0.0

0.0

31.3

68.8

0 50 100

ためにならなかった

参加前と変わらなかった

ためになった

大変ためになった

(%)

12.5 37.5

18.8

31.3

56.3

12.5

25.0

6.3

初回支援後

支援前

無関心期 関心期 準備期 実行期 維持期

今日から変えよう! 実践中なので継続!

無関心・関心期が5割であったが・・・

対象者の表情の変化は・・・朝の時点では、改善意欲が低く、表情が硬かった人も、帰りにはやる気になって笑顔が見られている?

【1】参加動機(支援前の関心度) 【8】満足度(支援直後の満足度・理解度)

0

11

2

0

3

4

2

0 5 10 15

その他

業務の一環

検査データを改善したいと思った

友人が参加した

メタボに関心があった

すすめられた

健診結果が気になった

(人)

【6】支援前の関心度 【9】支援直後の意欲

アンケートから満足度、関心度を確認

愛知県健康づくり振興事業団

51

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中間時および6か月後の自己申告による体重前後比較

※中間・6か月評価:メール、電話等の自己申告

2週間 1か月 2か月 3か月 4か月 5か月

●通信プログラム(180P) 1,926名(男性1,880名、女性46名)

初回支援

特定健診

6か月メール、電話等による継続支援

76.8 75.5 74.9

69.1 68.6 68.4

62.0

64.0

66.0

68.0

70.0

72.0

74.0

76.0

78.0

80.0

82.0

健診 中間 6か月後

男性

女性

******

***

N.S N.S

N.S

⊿-1.3kg⊿-0.6kg

⊿-1.9kg

⊿-0.2kg

⊿-0.7kg

⊿-0.5kg

(自己申告) (自己申告)

Wilcoxon符号順位検定(*p<0.05,**p<0.01,***p<0.001)Mean±SE

前後比較

52

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【通信プログラム・自己申告】中間時-2kg減量の有無別にみた6か月後の⊿体重変化量および3%減量達成率の比較(男性)

-4.7

-0.4

-7.0

-6.0

-5.0

-4.0

-3.0

-2.0

-1.0

0.0

達成群 未達成群(kg) 中間-2kg達成 6か月後3%減量達成

達成

未達成

達成

未達成

達成

未達成

649名34.5%

1,231名65.5%

123名 19.0%

526名 81.0%

989名 80.3%

242名 19.7%

***

6か月後の⊿体重変化量の比較 6か月後の3%減量達成率の比較

カイ二乗検定(*p<0.05,**p<0.01,***p<0.001)Wilcoxon符号順位検定(*p<0.05,**p<0.01,***p<0.001)

Mean±SE

***

※中間評価時(おおよそ3か月)のポイント消費量:80P~100P

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プログラム参加者の感想(6か月後)

• やればできることがわかった。

• 「あと少しがんばってみよう。」という意識を持ち続けていることが大事だと思った。

• ほぼ毎日体重計に乗り体重を意識するようになった。食べ過ぎ・飲み過ぎの後は

セーブすることを考えるようになった。

• 生活記録をつけることにより、体重の増える時がよくわかった。

• 減量することで血圧がコントロールできることを実感した。

• 途中から体重が減ってきたため面白くなり、今では当初の目標以上の運動をやって

いる。このまま続けたい。

• 家ではゴロゴロしてばかりだった私が散歩をし始めたら、娘が喜んでついてくるように

なり、家族の体調もよくなった。

• ウォーキングを実施することで、体が楽になってきたように思う。

• 夜の間食をやめるだけでも効果があると分かった。

• ダイエットしていると足を引っぱる人が必ずいるのですが「業務命令でやっている」と言うと、誘惑をやめてくれるので助かった。

54

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基本的に求められる姿勢社会貢献のマインド、職業に対する真摯な態度、社会人としての振る舞い

医学的知識運動・栄養等の知識

制度についての理解と活用

面接技法マネジメント能力評価と改善

保健指導の専門的知識と技術

保健指導者に必要とされる能力

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動機付け支援・積極的支援

初回面接

(中間評価)

評価

3ヶ月以上の継続的支援

動機付け支援

積極的

支援

①1人20分以上

の個別支援

②1グループ80分

以上の

グループ支援

①②いずれか

0カ月

3カ月以上あと

A支援160ポイント

計180ポイント以上

①電話

②e-mail

①個別支援②グループ支援③電話④e-mail

支援計画

●1グループ8人(程度)

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・第3期の変更ポイント

→ 健診・保健指導の実施率を高める方策

全保険者実施率公表、保険者インセンティブ

保健指導方法の弾力化(3か月・アウトカム評価)

→ 健診・保健指導の質を高める

詳細健診、フィードバック文例集

宿泊型保健指導、ICTの活用

57

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第3期実施計画期間(H30~35年度)の特定保健指導の運用の弾力化

(1)行動計画の実績評価の時期を、保険者の判断で「3か月以降」とすることができる。

(2)保険者が特定保健指導全体の総括・管理を行う場合、初回面接

と実績評価の「同一機関要件」を廃止する。

(3)初回面接の分割実施を可能とし、健診受診当日に対象者と見込

まれる者に初回面接をできるようにする。

(4)積極的支援に2年連続で該当した場合に、2年目の状態(腹囲、体重等)が1年目より改善していれば、2年目は動機付け支援相当(初回面接と実績評価は必須、3か月以上の継続的支援は180ポイント未満でも可)でも可とする。

(5)積極的支援対象者に対する柔軟な運用による特定保健指導のモデル実施を導入する行動計画の策定・実績評価、喫煙者への禁煙指導を行い、3か月以上の保健指導により腹囲・体重の値が改善すれば、180ポイントの実施量を満たさなくても特定保健指導とみなす

実施方法の見直し

58

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継続支援なし

特定保健指導スケジュールの変更点

初回支援

①1人20分以上の個別支援

②1G80分以上のグループ支援

初回支援 3か月以降評価可

2W 1 2 4 53

特定

健診

動機付け支援

継続支援あり積極的

支援

継続支援 (月1~2回)電話・記録表

3か月後中間評価(血液検査・講義・実技など)A支援(積極的関与)160 P

B支援(励まし)

計180ポイント以上

59

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体重の変化

「標準的な健診・保健指導プログラム(改訂版)及び健康づくりのための身体活動基準 2013 に基づく保健事業の研修手法と評価に関する研究(平成25年度厚生労働科学研究)(代表 津下一代)」において収集したデータを一部再集計している

積極的支援による体重等の変化

60

【対象】H21-H26 特定保健指導の積極的支援(血液検査を行なうプログラム)に初めて参加した者平均年齢:52.6±8.1歳

【分析対象における支援の基本パターン】①初回面接②2週後、1か月後、2か月後にメール、FAX又は電話による支援(通信支援)

③3か月後にグループ支援+血液検査④4か月、5か月後に通信支援

71.7 69.7 69.1

74.1 71.8 71.3

64.1 62.8 62.2

55.0

60.0

65.0

70.0

75.0

特定健診 3ヶ月後 6ヶ月後

(kg)

【推移】

全体(n=308) 男性(n=234) 女性(n=74)

******

***

*** ***

***

*** ***

***

-2.0

-0.5

-2.5

-2.0

-1.5

-1.0

-0.5

0.00-3M 3-6M

全体(n=308)

【健診~3ヵ月、3~6ヵ月の比

較】

***

(kg)

腹囲の変化

92.4

90.5 89.6 91.4

89.3 88.2

95.6 94.4 93.8

86.0

91.0

96.0

特定健診 3ヶ月後 6ヶ月後

(cm)【推移】

全体(n=308) 男性(n=234) 女性(n=74)

***

***

***

******

***

***

-1.9

-0.9

-2.5

-2.0

-1.5

-1.0

-0.5

0.00-3M 3-6M

全体(n=308)

【健診~3ヵ月、3~6ヵ月の比

較】

**

(cm)

Wilcoxon の符号付き順位検定***:p<0.001,**: p<0.01, *:p<0.05

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2 回目以降の支援についての留意点

○ 1 回目の支援の経過を共に確認。

○自らの行動や体重変化を意識している分、より

具体性、実践可能性をもった目標設定ができる。

本人がより主体的に目標設定に参画できるよう促す。

○前回の達成状況を勘案して、無理のない目標設定を

行うこと。

○高齢者は、保健指導判定値レベルで安定していれば

良好と考える必要がある。

○長期的な健康管理を継続して支援しているという

信頼関係が得られるようにする。

複数回指導対象者に対する苦手意識

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2回連続積極的支援該当の人の2回目の保健指導の効果

-0.6

-0.4

-0.2

-0.0

0.2

A B2回目該当年度-1回目該当年度 2回目該当年度の翌年度-2回目該当年度

2回目該当年度の翌年度-1回目該当年度

男性 50歳~54歳(kg/㎡)

-1.8

-1.4

-1.0

-0.6

-0.2

0.2

0.6

A B2回目該当年度-1回目該当年度 2回目該当年度の翌年度-2回目該当年度

2回目該当年度の翌年度-1回目該当年度

男性 50歳~54歳(cm)

-0.8

-0.4

0.0

0.4

0.8

1.2

1.6

A B2回目該当年度-1回目該当年度 2回目該当年度の翌年度-2回目該当年度

2回目該当年度の翌年度-1回目該当年度

男性 50歳~54歳(mg/dl)

-0.04

0.00

0.04

0.08

0.12

0.16

A B2回目該当年度-1回目該当年度 2回目該当年度の翌年度-2回目該当年度

2回目該当年度の翌年度-1回目該当年度

男性 50歳~54歳(%)

BMI 腹囲

HDL HbA1c

National Data Base 分析

62

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○2年連続して積極的支援該当者のうち、1年目に比べ2年目が改善している者に対して、各保険者の判断で動機付け支援相当の支援に緩和できる。

○動機付け支援相当を行える対象者は、①前年度に積極的支援に該当し、積極的支援を終了した者②前年度の特定健診の結果に比べて、(※1)BMI<30 腹囲1.0㎝以上かつ体重1.0㎏以上減少している者BMI≧30 腹囲2.0㎝以上かつ体重2.0㎏以上減少している者

(※1)日本肥満学会の肥満症診療ガイドラインでは、肥満症の減量目標を現体重の3%以上としており、特定保健指導の行動計画の目標設定でも目安として活用されている。

体重85㎏(身長170㎝、BMI30強の場合)で3%の場合、体重2.5㎏、腹囲2.5㎝が目標となる。2年連続で積極的支援に該当した場合でも、3%の目標の半分程度の減量が達成がされていれば改善の方向にあると整理し、BMIに応じて評価の要件を設定する。

2年連続して積極的支援に該当した者への2年目の特定保健指導

63

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高度肥満症

• BMI≧35㎏/m2

• 合併症:心不全、呼吸不全、静脈血栓、

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)、

肥満低換気症候群、運動器疾患、

精神的問題

• 二次性肥満(内分泌、遺伝、視床下部性、薬物等)

• 治療法:行動療法、低エネルギー食、外科治療

例:身長 170㎝の場合 101㎏160㎝の場合 90 kg

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高度肥満症における減量目標

合併症の状況減量の必要性

心理・社会面のアセスメント

方針減量目標治療法

評価

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高度肥満症になるまでの様々な要因

内的および外的要因

○遺伝的素因○経済的問題(健康的なものは高価な傾向)○交通手段の発展等による活動量の低下○神経伝達物質及びホルモンの問題

○成長発達における問題○習慣化および依存的な要素○心理社会的背景○精神病理学的要素(むちゃ食い障害等)

肥満継続状態の実態

低い自己評価

身体的・社会的活動量低下

身体疾患によるストレス

Charles, S. 2012より改変6)7)

高度肥満症

肥満

精神疾患罹患の準備状態

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高度肥満症に対する外科治療の適応と注意点

・減量を主目的とする外科手術(bariatric surgery)の適応は内科治療で有意な体重減少および肥満関連健康障害の改善が認められないBMI≧35kg/m2の高度肥満症である。・bariatric surgeryは、十分な経験のある外科医のもとで行うべきである。・長期的な術後フォローアップ体制を整える必要がある。

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〈メリット〉①快適な環境でやる気向上②集中的な保健指導で効果向上

特定健康診査等

健康増進施設・保養所・ホテル・旅館

(企業や健保組合の保養所、都心部・保養地のホテル・旅館を活性化)

健康観光

産業

全体パッケージ(イメージ)

健康増進、健康・観光産業の発展、医療費適正化を同時に実現

医師 保健師 管理栄養士 健康運動指導士理学療法士 作業療法士 etc

地元医師会や自治体との連携

旅館

保健指導プログラム

スポーツ、観光などのオプション

(一部)教育入院

宿泊型新保健指導プログラムの創設

糖尿病

糖尿病の可能性が否定できない人(HbA1c>6.0%)1,100万人

糖尿病が強く疑われる人(HbA1c>6.5%)680万人

患者数270万人

68

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起床体重・当日体調確認

食前:自己血糖測定起床 体重・当日体調確認

朝 朝食 ※ご飯の計量体験 朝 朝食 ※ご飯の計量体験

〈運動講義〉

健康づくりのための運動

食後:自己血糖測定

更衣、チェックアウト

現地着 集合:駅

昼 昼食 運動後:自己血糖測定

着替え・移動

現地発 解散

〈運動実技〉

リフレッシュストレッチング+

かんたんエクササイズ

ティータイム

〈検査結果説明〉

〈食事講義〉自分の適量を知る

〈目標設定〉グループワーク

モニタリングの方法

チェックイン 2日目の振り返り

夕食〈食事指導〉

食事バランス ワンポイント夜 夕食

星空・夜景ツアー夜

午後

〈運動実技〉

ストレッチング、歩き方チェック

ウォーキング実習

家庭でもできる筋トレ

午前

〈運動実技〉

気持ちよく体を動かそう

3日間の振り返り

行動目標の見直し実践記録表の記入方法確認

継続支援スケジュール確認

目標宣言

午前

〈アクティヒ ゙ティ〉

①そば打ち体験

昼食

↓ バスにて移動

↓ 希望者は街道ウォーキング

②地元の新鮮野菜試食

↓ バスにて移動

③清水寺参拝

↓ 希望者は散策路を

↓  歩いて登る

1日目 2日目 3日目

オリエンテーション・自己紹介

〈グループワーク〉

〈生活習慣・メディカルチェック〉

午後

宿泊型新保健指導(Smart Life Stay)プログラム

快適な環境で

短期間かつ集中的に、楽しみながらプログラムを受講

帰宅後も、目標をもとにした取組を継続

日常的な生活習慣病予防対策、(運動・食事など)継続的なサポート(メール・電話)

保健指導プログラム

運動プログラム

食事プログラム

観光・アクティビティ

宿泊施設・地元

観光資源

専門職による保健指導

○体験学習の中でより重点的な保健指導を経験できる

○参加者の疑問・実態を知る

○多職種連携により、指導の幅が広がる

○健康的な食事を管理栄養士等と考案、新たな商品になる

○身近な自然や施設の利活用

○医療保険者や保健指導実施者等とのネットワーク

69

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体重 ㎏ 75.7 ± 17.0 75.5 ± 16.5 -0.3 ± 2.0 75.2 ± 17.5 73.3 ± 17.2 -2.0 ± 2.4 **

BMI ㎏/m2 26.5 ± 5.1 26.5 ± 4.8 0.0 ± .7 26.5 ± 5.1 25.8 ± 5.1 -0.7 ± .9 *

腹囲 ㎝ 90.8 ± 11.5 90.3 ± 10.5 -0.6 ± 2.7 90.9 ± 12.1 89.3 ± 12.0 -1.6 ± 2.7 *

SBP ㎜Hg 125.4± 14.2 133.7± 15.4 8.3 ± 9.7 ** 134.5± 13.6 137.9± 16.8 3.3 ± 14.5

DBP ㎜Hg 81.5 ± 10.2 85.1 ± 10.4 3.6 ± 7.2 87.6 ± 10.8 83.7 ± 10.3 -3.9 ± 5.3 *

TG ㎎/dl 190.3±122.2 169.1±110.6 -21.1 ± 93.4 206.1±228.2 137.1± 75.3 -69.0 ± 186.8

HDL ㎎/dl 57.5 ± 11.6 57.5 ± 11.7 0.0 ± 3.4 63.9 ± 16.1 65.9 ± 18.0 2.1 ± 7.3

LDL ㎎/dl 124.6± 27.8 123.4± 30.6 -1.2 ± 21.8 124.9± 30.7 120.5± 31.4 -4.4 ± 23.7

HbA1c % 5.83 ± 0.37 5.83 ± 0.33 0.00 ± 0.26 6.15 ± 0.38 5.96 ± 0.36 -0.19 ± 0.33 *

AST IU/l 29.1 ± 10.2 26.3 ± 9.1 -2.8 ± 8.8 30.6 ± 14.4 22.9 ± 6.8 -7.7 ± 12.1 *

ALT IU/l 43.9 ± 27.9 38.1 ± 24.7 -5.8 ± 22.7 47.1 ± 30.8 28.5 ± 12.4 -18.7 ± 24.6 **

γ-GTP IU/l 66.7 ± 66.7 59.9 ± 51.9 -6.8 ± 47.1 67.4 ± 67.4 49.3 ± 36.9 -18.1 ± 42.1 *

差受講前健診 受講後健診 受講前健診 受講後健診

特定保健指導 SLS差

-1.20

-2.63-3.50

-3.00

-2.50

-2.00

-1.50

-1.00

-0.50

0.00

積極的支援(n=48) SLS(n=46)

⊿BW

(㎏)

【対象・方法】対照群:積極的支援受講者48名介入群:同一施設のSLS参加者のうち、

積極的支援該当者(46名)の比較

t検定

同一保険者(積極的支援レベル)積極的支援参加とSLS参加の比較

【対象・方法】介入群のうち、過去に特定保健指導の受講歴がある15名特定保健指導受講年、SLS受講年それぞれについて、翌年健診データの変化を比較

SLS参加者における「過去の特定保健指導」と「SLS」の効果比較(同一人物)

*

**

*Wilcoxon test, Mann-Whitney test: *P<0.05**p<0.01***p<0.001

*

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診療・保健指導で動機づけノウハウ提供

家庭での実践は本人任せセルフモニタリング

できる人・できない人継続支援コスト×

IoT を活用しモニタリング

目標設定に対してのフィードバック

(イメージで伝える)

教育入院・診療・保健指導等

日常生活

糖尿病診療・保健指導のプロセス

情報処理後の統合的な記録のフィードバック↓

医療の質の向上

71

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七福神アプリの開発

食事

大黒天

体重

布袋

全体の取り組み

弁財天

記録日数

福禄寿

血圧値

寿老人

活動量

毘沙門天

<画面例>週2回更新、状況に応じてメッセージやキャラクターが応援

<七福神キャラクター>生活習慣を6つのアイコンで表現糖尿病管理に有用な健康指標を担当

・各デバイスの測定状況・測定値に応じた、応援や注意メッセージの配信ロジックを作成

・データを蓄積し、機械学習を用いて、個別の状況に合わせたメッセージ配信を目指して検討中

測定記録の転送

デバイス等データベース

クラウド(Oracle Cloud)

データベース

歩数

恵比寿

体組成計

活動量計

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結果 糖尿病薬処方なし例のHbA1c変化

Mean±SD、群内前後比較:Wilcoxon 符号付き順位検定、群間比較:Mann-WhitneyのU検定 *:p<0.05,**:p<0.01,***:p<0.001

医療7例、保健指導機関51例

n

初回HbA1c(%)

3か月後HbA1c(%)

6か月後HbA1c(%)

3か月後-初回群内比較(p)

6か月後-初回群内比較(p)

処方なし 58 6.87 ± 0.65 6.50 ± 0.45 6.62 ± 0.50 <0.000*** 0.190

介入群 30 6.98 ± 0.82 6.43 ± 0.45 6.56 ± 0.55 <0.000*** 0.051

対照群 28 6.76 ± 0.36 6.59 ± 0.44 6.68 ± 0.44 0.008** 1.000

初回から6か月後までのHbA1c変化量(%)

-0.8

-0.7

-0.6

-0.5

-0.4

-0.3

-0.2

-0.1

0

0.1

初回 3か月後-初回 6か月後-初回

介入群

対照群

Mean±SE、群間比較:Mann-WhitneyのU検定、*:p<0.05、**:p<0.01

-0.56±0.17

-0.43±0.19

-0.16±0.08 -0.07±0.07

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0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

1週目

2週目

3週目

4週目

5週目

6週目

7週目

8週目

9週目

10週目

11週目

12週目

13週目

14週目

15週目

16週目

BMI<25

25≦BMI<30

30≦BMI<35

35≦BMI

16週の平均

n=36, 92.3%

n=33, 87.7%

n=12, 80.4%

n=11, 69.8%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

1週目

2週目

3週目

4週目

5週目

6週目

7週目

8週目

9週目

10週目

11週目

12週目

13週目

14週目

15週目

16週目

BMI<25

25≦BMI<30

30≦BMI<35

35≦BMI

16週の平均

n=36, 84.3%

n=33, 74.4%

n=12, 74.6%

n=11, 56.0%0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

1週目

2週目

3週目

4週目

5週目

6週目

7週目

8週目

9週目

10週目

11週目

12週目

13週目

14週目

15週目

16週目

SBP<130またはDBP<85

130≦SBP<140または85≦DBP<90

140≦SBP<160または90≦DBP<100

160≦SBP<180または100≦DBP<110

180≦SBPまたは110≦DBP

16週の平均n=59, 68.6%n=18, 67.6%n=8, 82.0%n=3, 60.7%n=2, 63.4%

体重の変化率(%)の推移 体重の変化量(kg)の推移

-3.5

-3

-2.5

-2

-1.5

-1

-0.5

0

0.5

0 2週間後 1ヶ月後 2ヶ月後 3ヶ月後 4ヶ月後

BMI<25(n-36)

25≦BMI<30(n=33)

30≦BMI<35(n=12)

35≦BMI(n=11)

(%)

-4

-3.5

-3

-2.5

-2

-1.5

-1

-0.5

0

0.5

0 2週間後 1ヶ月後 2ヶ月後 3ヶ月後 4ヶ月後

BMI<25(n-36)

25≦BMI<30(n=33)

30≦BMI<35(n=12)

35≦BMI(n=11)

(kg)

体組成計データ:開始から4ヶ月後までのベースラインBMI別体重推移

「歩数」週平均測定率(ベースラインBMI別)

「体重」週平均測定率(ベースラインBMI別)

「血圧」週平均測定率(ベースライン血圧値別)

備考:分析対象は介入群全て(n=92)。介入開始の翌日をday1として以降を集計。 ※測定人数は日によって若干のばらつきあり

2017.1.31時点IoTデバイス 送信データの分析(n=92)

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効果的な保健指導をおこなうために

• 対象者の特性を考慮し、ニーズに合った支援を行う(関心事、不安に対応)

• 「健康を維持・改善したい」という気持ちを引き出す

• 実行可能な方法を対象者とともに考え、

• 自己決定を支援する

• 対象者の疑問や関心にきちんと向き合う

• セルフマネジメント法の提案と支援を行う

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組織として、保健指導を効果的におこなうために・・・

準備が成功の7割を占める

保健指導者の研修(OJT)

産業保健・健保・健診/保健指導機関の連携

対象者特性の把握(年代・性別、職種、勤務体系等)

保健指導教材の検討

初回支援が大切:信頼関係・納得と動機づけ

継続支援のなかで、本人なりの目標に修正していく

事業評価によって よりよい方法を構築する必要がある

対象者から得た情報には、健康なまちづくりへのヒントがある