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日本社会事業大学報 第50号

全国の福祉リーダーを養成する

平成15年 10 月1日発行

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◇自衛消防訓練審査会に参加

     去る 9月 19日(金)に清瀬消防署が実施する平成 15年度自衛消防訓練審査会が行われ、

本学をはじめ清瀬市内の学校、病院、社会福祉施設、民間企業等多くの事業所が参加しま

した。

     この訓練は、就業中に火災が発生し、火災報知器が発報、さらにけが人 1名が発生して

いて消火器での消火は不能となり、延焼拡大している状況を想定し、2名の隊員が、けが

人の救護・誘導、119番通報、屋内消火栓による初期消火等いかに迅速かつ正確に審査事

項を遂行できるかを審査するものです。

     本学からは、池田教務課員と森田総務課員の 2名が参加し、日頃の訓練成果が十分に発

揮された結果、見事、優良賞を受賞しました。

◇平成 15 年度大学院福祉分野管理者養成コースが修了

     大学院福祉分野管理者養成コースの修了式が、9月 26日に行われました。今年度受講さ

れておりました 14名の方々全員が 6ヶ月の訓練期間を修了し、京極学長より修了証が授

与されました。

≪目  次≫

◆ 国家試験対策  社会福祉士合格体験記 ……………… 釼持 奈保(学部卒業生)……… 3

    〃     社会福祉士国家試験を振り返って … 荻野 優子(研究科卒業生)……… 4

◆ 決 算 報 告  平成 14年度決算について ………………………………………………… 5

◆ 報    告  学会賞の贈呈式、図書購入助成金、絵画の寄贈等 ……………………… 7

◆ 同 窓 会  『強くなければ生きていけない。優しくなければ

          生きている資格がない。』 ………… 法澤 奉典(埼玉県支部)……… 8

◆ か こ む 会  日社大をかこむ会に参加して ……… 和田 房子(かこむ会幹事)……… 10

◆ 社大に飛来する野鳥たち  カルガモ ………………… 渡辺 洋一(大学院修了生)……… 11

◆ 人 事 報 告 ……………………………………………………………………………………… 11

  (裏表紙 カルガモ写真)

 ※ 表紙の題字は、元学長・平田冨太郎筆。

 ※ 表紙の写真は、秋桜。

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はじめに

 私が社会福祉士を受験してみて思ったこと

を、素直に書いてみたいと思います。その中の

1つでもお役に立てれば幸いです。

4 年生になって

 初めは、卒論、社会福祉士の勉強と、就職と

どれも達成したいと意気込んでいました。

特に社会福祉士の資格は、現役のうちに取らな

ければどんどん合格率が下がってしまうと聞い

ていたので、4年生になったらすぐに勉強しな

ければと思っていました。

 まず、何人かの合格した先輩に合格した秘訣

を聞きました。その話を参考に意気込んで“必

携社会福祉士”というテキストを購入しました。

 しかし、編入生ということもあって、授業も

忙しく、卒論に追われ、結局本格的に勉強を始め

たのが卒論提出後でした。それは、学内で行われ

た模擬試験の結果があまりにも悪く、さすがに焦

りました。とりあえず、何かをしなければとい

う思いで模擬試験の見直しから始めました。

 まず、模擬試験の冊子に赤いペンで解答の重

要ポイントを記入し、間違っている文章の部分

にアンダーラインを引き、後で見た時に見直す

ことができるよう、なるべく分かりやすく書き

ました。そして、必携社会福祉士のテキストに

問題が出題された単語などをチェックしていき

ました。過去問も同じようにしてやりました。

“必携社会福祉士”と過去問などがノートであ

り、テキストでした。そのようなことを繰り返

しているうちに、日時が迫ってきました。バイ

トもやっていたので、時間には余裕がありませ

んでした。

直前に

 直前になると、本当にやることばかりが目に

付いてしまい、焦るばかりでした。私の場合、

やり残していた過去問をやってかえって不安に

なってしまったりしました。その時、初めて過

去問はもっと早くにやっていればよかったなと

後悔しました。そして、それからは、今までやっ

てきたことの見直しなどをしてやったことを頭

に叩き込みました。

おわりに

 振り返って思うことは、授業には社会福祉士

の受験に必要な内容が沢山盛り込まれていたとい

うことです。授業をしっかり聞いておけば、例

え忘れてしまっても受験勉強していて多少なり

とも頭に入りやすくなるのではと思います。そ

して、何よりも大事だと思うのは社会福祉士の

試験に合格したいという気持ちです。就職して

やりたいこと、頑張ってみたいことを考えたり

してもいいのかなと思います。私の場合、運良

く受験勉強をしている中就職が決まりました。

しかし、先輩の話などから、就職が決まってい

ても社会福祉士の資格が取れなかったために内

定が取り消しになったということを聞いていた

ので絶対合格しなくてはと思っていました。

 仕事をしてみて、資格を取るなら絶対学生の

うちに取ったほうがいい!と思います。仕事を

始めると忙しくなるし、慣れない環境に疲れて

しまうこともあると思います。また、現場に出

てみて、社会福祉士の受験勉強の語句や内容が

頻繁に使われるので、勉強する意味はあると思

います。

 自分を信じて頑張って下さい。応援していま

す。たまには生き抜きも忘れずに!

社会福祉士合格体験記

学部卒業生 釼けん

 持もち

 奈な

 保ほ

 

国 家 試 験 対 策国 家 試 験 対 策

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~私の国家試験勉強方法~

 私たちが受験した第 15回社会福祉士国家試

験から、合格基準に「各科目すべてにおいて得点

があった者」という項目が追加されました。つま

り、いくら点数がよくても一科目でも 0点があ

れば不合格になってしまうのです。そのため、

ただがむしゃらに勉強するだけでなく、偏りの

ない勉強方法や制限時間内に問題を解き終える

スピードなども考慮する必要がありました。

 上記のような合格基準の変更を受け、勉強し

なければ!との思いはあったものの、前期は授

業に忙しく、夏休みは実習や施設見学、後期は

実習報告会や就職活動などに追われ、私の国家

試験勉強はおざなりになっていました。10月

頃になると、先輩方のアドバイスなどを参考に

研究科内でいくつかの勉強会グループが結成さ

れました。勉強会の内容は、各科目ごとに分担

してまとめた資料を配付・解説するグループ、

事前に過去問を解いてきて疑問点を議論しあう

グループなど、グループによって異なっていた

と思います。私は、過去問を解きあう勉強会に

参加しましたが、忙しい中で勉強時間を作るよ

い機会になったと思っています。

 私の本格的な受験勉強は、12月の模試で惨

憺たる成績をとった直後から始まります。勉強

方法としては、①問題を解き、解説を読んで知

識を増やす、②教科書・参考書などを読み、マー

カーを引いたり追加記入して知識を増やす、の

2つの方法を使い分けました。心理学・社会学・

法学・医学一般など福祉とは直接関係ない科目

は、範囲が広く全体を網羅することも難しく、

かつそれほど時間がとれないので、①の方法を

選択しました。その際、先生自ら過去問をまと

めて下さった社会学の資料や「ソーシャルワー

ク法学」は重宝しました。~福祉論などの福祉

関連科目は、②の方法を選択しました。教科書・

参考書といっても、分厚いものは読み切ること

ができないので、「必携社会福祉士」、「国民の

福祉の動向」などの年表や一覧表、他の勉強会

のまとめた資料をコピーさせてもらったり、授

業のプリントや模試の解説を適宜利用しまし

た。これは余談ですが、試験直前にはお風呂に

プリントを持ち込み、年代など暗記しました。

(お風呂だとよく覚えられる気がします!)

 また、インフルエンザの予防接種を受けたり、

冬休み頃からうがい・手洗いを念入りに行うな

ど風邪をひかないよう気をつけました。

~おわりに~

 私は現在、病院のソーシャルワーカーとして

働いていますが、研究科の一年間で学んだこと・

経験したことすべてが役立っています。国家試

験勉強をすることも大切ですが、授業・実習・

見学などから社会福祉の現状や視点を学ぶこと

も社会福祉士として必要であり、国家試験にも

役立つのではないかと考えています。

 みなさんも、今できることを精一杯やって、

有意義な学生生活を送って下さい。

社会福祉士国家試験を振り返って

研究科卒業生 荻おぎ

 野の

 優ゆう

 子こ

 

国 家 試 験 対 策国 家 試 験 対 策

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平成14年度決算について 5月 29日開催の理事会において承認された平成 14年度決算(次頁に掲げる収支決算書及び貸借

対照表)の概要をお知らせします。

 本学の学校運営に関する会計は、①国の委託事業に係る経費を処理する「厚生労働省委託費特別

会計」、②国の委託事業を除く学校経営に関する経費を処理する「一般会計」、③教職員に係る退職

給与引当金を処理する「退職手当積立金特別会計」の 3会計に区分されています。

 この 3会計に係る平成 14年度収支決算書の総額は 1,976百万円(対前年度比 33百万円減)とな

りました。また、平成 14年度貸借対照表(平成 15年 3月 31日現在)の資産総額は 3,029百万円(対

前年度比 135百万円増)となっています。

平成 14 年度収支決算書

1.厚生労働省委託費特別会計

 ⑴  収入の部は、前年度より24百万円減の 1,062百万円となりました。主な収入は学生等納付金(入

学金・授業料)収入 556百万円と国庫委託費収入 498百万円です。

 ⑵  支出の部は、指導的社会福祉従事者の養成という国の委託目的に沿った教育・研究に要する

経費の支出として総額 1,062百万円となりました。

    この中には、特に学部においては新カリキュラムへの円滑な移行と社会福祉士実習改革に、

また大学院においては博士前期課程のカリキュラム改革の推進に充てるなど社会福祉系大学と

しての新しい教育・研究の充実のための支出が含まれています。また、教室の視聴覚機材の充

実や音響設備の改善、介護実習用器材の更新を行うなど学習環境の充実を図りました。

2.一般会計

 ⑴ 収入の部は、前年度より 18百万円減の 729百万円となりました。

 ⑵  支出の部は、前年度より 80百万円減の 514百万円となり、収入との差は翌年度に繰り越しさ

れました。

    予算の執行に当たっては、厳しい財政事情を考慮して経費削減に努める一方で、広報活動の

充実を図ったほか、経済の低迷等を背景として学生の就職が極めて厳しい状況となっているこ

とにかんがみ、就職に関する情報の提供・相談支援の充実、国家試験対策等の強化等を図るた

め「就職支援センター」を設置するなど、事業の拡充に努めました。

3.退職手当積立金特別会計

   収入の部は、前年度繰越金 153百万円に退職手当引当繰入金収入等を加え 184百万円となり、

支出の部は、教職員に係る退職手当 7百万円が支出されています。

平成 14 年度貸借対照表

 収支決算書が一定の期間の収支状況を示しているのに対して、貸借対照表はある時点における資

産、負債、基本金、消費収支差額の内容及び残高を示しています。

 平成 15年 3月 31日現在の貸借対照表(3会計全体)の概要は次のとおりです。

 資産総額は前年度よりも 135百万円増加して 3,029百万円となりました。これは、教育研究用機

器備品などの有形固定資産及びその他の固定資産の増加によるものです。

 負債総額は前年度よりも 24百万円減少して 1,053百万円となりました。これは、退職給与引当金

の固定負債が 38百万円増加し、その一方で、未払金・前受金などの流動負債が 62百万円減少した

ことによるものです。また、基本金は前年度よりも 73百万円増加して 1,678百万円となりました。

 この結果、消費収支差額(翌年度繰越消費収入超過額)は前年度よりも 86百万円増加して 298

百万円となりました。

決 算 報 告決 算 報 告

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平成14年度収支決算書(附属実習施設特別会計を除く)

1.厚生労働省委託費特別会計 2.一般会計 3.退職手当積立金特別会計(単位:千円) (単位:千円) (単位:千円)

収入の部 収入の部 収入の部科 目 金 額 科 目 金 額 科 目 金 額

学生等納付金収入 555,739 学生等納付金収入 437,441 前年度繰越金 152,619  学生等納付金収入 555,739  学生等納付金収入 437,441  前年度繰越金 152,619 委託費収入 497,777 手数料収入 81,001 退職手当引当繰入金収入 31,452  国庫委託費収入 497,777  手数料収入 81,001  退職手当引当繰入金収入 31,452 その他の収入 4,812 補助金等収入 9,337 雑収入 108  補助活動収入 4,782  補助金等収入 9,337  雑収入 108  雑収入 30 事業収入 30,394 繰入金収入 4,027  公開講座収入 757  繰入金収入 4,027  出版事業収入 1,212

 委託事業収入 28,425 寄付金収入 13,297  特別寄付金収入 3,197  一般寄付金収入 10,100 雑収入 5,230  雑収入 5,230 前年度繰越金収入 152,752  前年度繰越金収入 152,752

収入の部合計 1,062,354 収入の部合計 729,452 収入の部合計 184,179

支出の部 支出の部 支出の部科 目 金 額 科 目 金 額 科 目 金 額

人件費 589,190 人件費 155,693 職員退職手当金 7,285  人件費 589,190  人件費 155,693  職員退職手当金 7,285 管理費 210,265 管理費 47,412 次年度繰越金 176,894  一般管理費 203,776  一般管理費 46,324  次年度繰越金 176,894  厚生福利費 924  厚生福利費 1,088  保健管理費 5,565 事業費 216,953 事業費 176,149  学生募集諸費 62,652  大学 104,744  社会事業研究所費 26,487  大学院 9,435  図書館維持費 3,797  学校 61,970  実習教育費 15,936 実習施設経費 194  資格課程事業費 11,211  実習施設経費 194  学生厚生費 14,230 図書館経費 30,321  通信教育事業費 63,975  図書館維持管理費 30,321  大学院 6,365 研究所経費 42,783  法人活動費 11,089  研究所経費 42,783  出版事業費 1,210 寄宿舎経費 9,503 繰入金支出 4,026  寄宿舎経費 9,503  繰入金支出 4,026 宿泊施設経費 3,949 資産運用繰入金支出 90,000  宿泊施設経費 3,949  資産運用繰入金支出 90,000

次年度繰越金 215,368  次年度繰越金 215,368

支出の部合計 1,062,354 支出の部合計 729,452 支出の部合計 184,179

平成14年度貸借対照表(要旨)(附属実習施設特別会計を除く)平成15年3月31日現在

(単位:千円)資産の部 負債の部

科 目 金 額 科 目 金 額固定資産 2,045,527 固定負債 280,578 有形固定資産 912,727  退職給与引当金 280,578  機器備品 455,112 流動負債 772,306  図書 447,984  未払金 91,656  車両 9,631  前受金 668,969 その他の固定資産 1,132,799  預り金 11,681  退職手当引当特定預金 181,415  社会福祉教育開発基金引当特定預金等 625,150 負債の部合計 1,052,884  第4号基本金引当特定預金 140,230  その他の特定預金等 186,004 基本金の部合計 1,678,054流動資産 983,152  現金・預貯金 980,314 消費収支差額の部合計 297,741  未収金 2,838

資産の部合計 3,028,678 負債の部・基本金の部及び消費収支差額の部合計 3,028,678備考:記載金額は千円未満を四捨五入して表示しています。

決 算 報 告決 算 報 告

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◇学会(木田)賞・学生研究奨励賞の贈呈式が行われました

 6月 28日(土)・29日(日)の両日、第 42回社会福祉研究大会が行われ、暑い中延べ約 470名の参加

者があり、盛況に開催されました。初日の 6月 28日には日本社会事業大学社会福祉学会の学会(木

田)賞並びに学生研究奨励賞の贈呈式が執り行われました。

 学会(木田)賞の【文献賞】には応募者がなく、【実践賞】は新澤誠治氏(研究科 15期)、青木

秀美氏(学部 3期)、天野宗和氏(学部 12期)、武居敏氏(学部 12期)に贈呈されました。

 学生研究奨励賞には、上村勇夫氏(2002年度学部 4年)と 2002年度社会福祉調査実習移送班〔城

千聡、阿部尚子、澤本朋枝、永井可南子(いずれも 2002年度学部 3年)〕にそれぞれ贈呈されました。

 受賞者の方々には心よりお慶び申し上げます。

◇図書購入助成金をいただきました

 本年も東京都共同募金会からの配分金で、「リハビリテーション医学」の他 34冊の図書を購入で

きました。

 また、昨年に引き続き、東京メソニック協会からの助成金が決定しました。「メソニック文庫」

として相応しい大学院向けの洋書を主に選定しています。

 何れも購入後、早く利用できるよう整理を急いでおります。

◇絵画をいただきました

 本学学部 3年の青木寛子さんが、第 4回緑華会公募展で初入選し、新人賞を受賞しました。青木

さんは記念の受賞作品「公園」を、図書館に寄贈したいと希望されましたので、頂戴し、館内に掲

げることにいたしました。

 なお、美術指導の町田深海氏からも、作品「富士」の寄贈がありました。両作品とも図書館 3階

に展示してありますので、是非ご覧ください。

◇赤い羽根共同募金運動が始まりました

 毎年恒例の「赤い羽根共同募金運動」が 10月 1日から全国一斉に始まりました。本学でも教職

員と学生が協力して街頭募金活動を行っております。また、学内にも募金箱を設けておりますので、

多くの方々のあたたかいご協力をよろしくお願い致します。

 本学においても、社会福祉法人東京都共同募金会からの配分金で、図書館においては図書の購入、

附属実習施設子ども学園においては備品の購入に役立たせて頂いております。

報  告

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 72年卒といえば“紛中派”、すなわち伝説の

「幻の 48日間」体験世代です。いつのまにか 50

歳代も半ば。第 4コーナーにさしかかったあた

りでしょうか。大先輩も現役で活躍中で、まだ後

輩の皆さんに偉そうなことを言える身分でもあり

ませんが、お世話になった母校へのお礼のつもり

で拙文を寄稿することにいたしました。

 全国各地で学園紛争真っ只中、世相騒然の

68年 4月、入学式での式辞の一部を今も記憶

しています。

 「現場にいる君たちの先輩がこう言っている。

社会福祉とは何か、いまだにわからない、と。」

 実際に何年もやっている人にもよくわからな

いことを教えようとはいい加減だなあと感じた

かどうかまで憶えていませんが、後年、同世代

の三田誠広が「僕って何」という小説で芥川賞

をとったように、「~とは何か」という疑問形は、

当時の若者の流行語でしたから、その後の学生

生活に抵抗なく結びついたのでしょう。

 結局「社会福祉って何」状態のまま卒業した

私でしたが、就職先に「民」を選びました。私

の関心は障害者と施設にありました。施設とは

行政の下請業にすぎない、民間社会事業にもは

や運動体としての契機は存在しないとまで言わ

れる中で、首都圏近郊のある新設社会福祉法人

への就職を決めました。

 以降 31年間、民間施設一筋、現在 3つ目の

社会福祉法人に勤務しています。

 社大に“裏寮歌”ともいうべきものがあるの

をご存知でしょうか。その一節にこういうくだ

りがあります。学内恋愛でデキちゃったカップ

ルをこう慰めています。

  「心配するな、心配するな

  男の子なら ケースワーカー

  女の子なら 保母さんに

  どちらができても 国のため……」

 もともと社大創建時の目的に、ケースワー

カー養成というのがあったと聞いています。つ

まりケースワーカーないし福祉系公務員になる

ことは社大出身のモデルコースでした。私の在

学当時も、卒業生の多くがその道に就いておら

れましたし、同期の 6~ 7割は公務員、という

時期でしたから、民間施設就職者は公務員試験

失敗か特別の理由あってのことでした。私の場

合、父が地方の民間社会事業家、兄が民間施設

で仕事をしていたことなどに影響を受けている

と思いますが、自分の力を試すには民間が適し

ているという思いと、存在意義が疑われていれ

ばこそ「ならばやってやろうじゃないか」とい

うへそ曲がり精神から選択した結果です。

 まさに「現場」と呼ぶのにふさわしいのが施

設です。しかしケースワークの理論はあてはま

らないし、何をすれば社会福祉実践になるのか

なあと、無力感に襲われたものです。うらむわ

けじゃないけれど、施設向きのカリキュラムじゃ

なかったもの、というのは冗談で、ノウハウよ

りも問題意識と理論の重要性は叩き込まれた思

いで、静かに学生時代に区切りをつけました。

 就職したら即主任、これは専門職養成が施設

整備のテンポに追いつかない当時はよくあった

『強くなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない。』

埼玉県支部 法のり

 澤ざわ

 奉とも

 典のり

              (社会福祉法人愛光 理事長:学部第 12期)

同 窓 会

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例で、新設法人の設立準備から関わった私もそ

んな立場でした。私を含めて未経験者ばかりの

スタッフの中で、専門学校出身、という訳で、

援助プログラムの立案から任されてしまいまし

た。運営を含めて「施設」のすべてに関わるこ

とができた小規模新設民間施設での経験が、私

の学生時代からの問題意識には合致したよう

で、施設の存在意義も限界も、また措置制度の

矛盾も実感することができました。

 現場に臨む前は、早く十年くらいの経験を積

んで、多少社会福祉とは何かについて語り、「実

践」と言えるくらいの実績ももちたいものだと

密かに決意を固めてもいました。しかし、理論

は当てはまらない現実 、正確には理論が崩され

ていく現場の日常に、いつしか呑み込まれてい

きました。

 ところで今日に至る「改革」の動きは、80年

代半ばに本格化したように記憶していますが、

それ以前は、措置「費」のことは現場の話題に

はなるものの、措置「制度」にはあまり関心も

なかったように思います。逆にいえば、その現

実が行政仕様によるサービスの下請化を促進さ

せる温床でもあったわけだとわかりました。措

置制度の罪は改革推進の側からさんざん言われ

ました。しかし何か悪いことをしてきたのだろ

うかと、腑に落ちない思いをしているのは私だ

けでしょうか。

 私の現場経験三十年は、当初の十年すなわち

70年代は緊急整備五ヵ年計画による施設建設

ラッシュと「福祉元年」→オイルショック→「福

祉見直し」という、戦後つくられた枠組みが完

成し矛盾も明らかになってきた時期でした。そ

れに続く 80年代では、軌道修正のための助走

が福祉改革として始まり、おりしも「昭和」と

いう時代も終わりました。そして 90年代以降

はまさに予兆どおりの“パラダイム転換”=基

礎構造改革というわけです。

 昨今の「改革」はすべて“トップダウン”の

ように見えますが、現場の声や実践によらず、

議論の余地のない正論として制度や政策はでき

あがってきました。そんな中で「またか」と思

わされてしまったのは、特別養護老人ホームの

個室化問題でした。

 施設が雑居生活の場で、不自由を強制され、

人権が軽視されがちなところだとは、心ある関

係者は承知しています。施設無用論も根強い主

張としてあります。必要悪と言われようと、施

設は社会福祉の代名詞的存在として、私たちの

先輩の実践の舞台であったわけです。そして、

遅々たる歩みであろうと、施設処遇の改善や

専門的実力を蓄える取り組みをしてきたのだと

思っています。それはまた措置制度という行政

仕様の枠組みとの対峙、ときには政策批判と問

題提起でもありました。

 ところがいまや「改革」の旗手は中央にあり、

いつのまにか攻守所を代えて、諸悪の根源たる

措置制度の巣窟=施設が槍玉に上がっていると

いう構図です。「社会主義のミニチュア版の小

世界」などと経済学者に喩えられて、無節操に

競争の時代へと先を争うさまは、あまりに寂し

すぎます……と、これは私のボヤキです。

 かくいいつつ私も、経営改革に手を染め、人

事制度を能力成果重視型へと切り替える道を選

択しました。私の場合の改革の理念はこうです。

  「強くなければ生きていけない。

  優しくなければ生きている資格がない。」

 R .チャンドラーからの引用ですが、まった

くその通りです。あえて言うとしたら、これま

では、“優しさ”があればなんとかなった。し

かしこれからの社会福祉法人・施設経営には、

まず“強さ”が要求されるということです。

 35年前の「社会福祉とは何か」に立ち戻り

そうですが、私に残された仕事の時間を、“強

くて優しい”人材育成にあてるべきかと思って

います。

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 村川先生のお誘いで、「かこむ会」幹事会に

昨年から参加させていただいている。今回この

原稿を依頼され、改めて会の目的をよく読み求

められている役割を考えさせられた。

 目的は、利用者本位の社会福祉制度の確立に

向かって、福祉サービスの質的向上と地域福祉

の拡充のために、日本社会事業大学周辺の社会

福祉関係機関が「日社大をかこむ地域福祉連絡

会」を組織し、日本社会事業大学の協力を得て、

地域福祉の拡充の諸課題を研究・協議し、実践

しようとするものであり、そのための協議題が

8項目掲げられている。それぞれ仕事をとおし

て日々追及していることでもあるが、「かこむ

会」としてどう実現していけるのか、大変重い

課題である。

 けれども実際には、8項目めの公開講座・研

究会・研修会の開催にあたっての協議が主たる

任務として進んでいるように思ってもいる。

 いままでは、公開講座には母校でもあり、仕

事に直接関わりのあるテーマの場合は参加を

し、よい勉強の機会をいただいたことを感謝し

ていたが、「かこむ会」の存在自体、申し訳な

いことにうっすらとしか知らなかった。卒業生

の皆様はいかがなのだろうか。又、私以外の幹

事は、社会福祉の様々な業種でご活躍されてお

られる大先輩ばかりなので、参加させていただ

いている気持ちは少々重い。

 さて、現在社会福祉協議会で仕事をして 3年

目になるが、我調布においては、地域住民の参

加を得て地域福祉を進めていくという、社協と

して最も重要な目標のひとつが、長い時間をか

けて今ようやくその実りが見え始めたことを実

感している。又、調布という地域全体も、介護

保険、支援費制度等の実施もあり、様々な機関、

団体、活動グループ、ボランティアの活動は活

発である。

 ただ地域福祉という視点から見ると、これら

の多様な動きはまだまだ点であり、線で結ばれ

ていくことによるさらに有効な働きを作り出し

ていくというネットワーク、連携といいながら

ここが欠けているのが現状で、今後の大事な課

題ではないかと考えている。

 そこで「かこむ会」について同様に考えたこ

と、大学が地域にあってひとつの活動団体のよ

うに動けないものだろうか。本当に小地域での

「福祉のまちづくり」が大学が中心になって実

験的にできないだろうか。「かこむ会」として。

 社協でもまだ出来ないのに、また地域として

はいささか遠い調布にいるものが言えることで

はないかもしれないが。

日社大をかこむ会に参加して

日社大をかこむ会幹事 和わ

 田だ

 房ふさ

 子こ

            (調布市社会福祉協議会事務局長)

か こ む 会

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【 社 大 に 飛 来 す る 野 鳥 た ち 】

教室の窓から野鳥たちと親しもう!

〔カルガモ〕

大学院修了生 渡わた

 辺なべ

 洋よう

 一いち

 

 遅れた夏が 9月に到来しました。このような

夏は、野鳥の生態にどのような影響を与えるの

か心配をしています。今回の写真は、またまた、

デジタル写真だからできる作品です。鴨類のカ

ルガモです。このカルガモは、日本で夏を過ご

す鴨で、子育て鴨として有名です。他の鴨はシ

ベリアへ渡って繁殖をしています。

 カルガモは、一年を通して観察することがで

きます。この写真は、多摩川沿いの池で隠れて

休んでいる様子を撮影しました。それをパソコ

ンでクローズアップしたものです。目だけが警

戒をしていて、身体は睡眠中なのでしょうか。

不思議な雰囲気の写真となりました。野生動物

は警戒心を持ち続けて生きます。この目を見て

いるだけでも殺伐とした気持ちになります。

 私ごとですが、昨年末の父親に続いて、保育

士をしていた妹が 9月に死去しました。痴呆の

母だけが残されました。この妹が保育園で、よ

くカルガモの童話を使用していました。カルガ

モやオシドリのファミリーの話を子供に語りか

けていたようです。家族の絆は、このカルガモ

の目のような警戒心は必要がありません。でも、

老親介護の実態は、カルガモの目のような殺伐

とした気持ちにさせるのはなぜでしょうか。痴

呆の母の瞳は、このカルガモの目とは異なり穏

やかです。       【裏表紙写真参照】

◇ 人事報告

  5月 22日

 配 置 替

  学校事務室長 栁本  巌(図書館副館長)  法人事務室主幹 渡邉  一(教務課長)

  教 務 課 長 数間 文夫(教務課主幹)   教 務 課 主 幹 長島  徹(学校事務室主幹)

  6月 30日                 7月 1日

 退  職                 採  用

  事務局次長(経理担当) 青葉 繁男     事務局次長(経理担当) 小野 久男

  7月 24日

 配 置 替

  図書館副館長  関根志津子(事務局次長(総務担当))

  事務局次長(総務担当) 加藤 正行(子ども学園園長)

  子ども学園園長 長田  貢(図書館事務室長)

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【撮影】渡辺洋一

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