放射化学 配布資料 担当教員 井上弘樹 2010.7 - 東京...
Transcript of 放射化学 配布資料 担当教員 井上弘樹 2010.7 - 東京...
放射化学 配布資料 担当教員: 井上弘樹 2010.7.14
1
RI 教育訓練 2010
第5回: 法令�
1. 出題される法令�1. 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する 法律(法;放射線障害防止法)
2. 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する 法律施行令(令)
3. 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する 法律施行規則(則)
4. 放射線を放出する同位元素の数量等を定める件(告)
教科書p455
2. 目的�
「この法律は, 原子力基本法の精神にのっとり, 放射性同位元素の使用,販売,賃貸,廃棄その他の取扱い, 放射線発生装置の使用および放射性同位元素によって 汚染された物の廃棄その他取扱いを規制することにより, これらによる 放射線障害を防止し,公共の安全を確保することを 目的とする。」
教科書p457
3. 用語の定義�3.1 放射線 「放射線」とは,電磁波または粒子線のうち,直接または 間接に空気を電離する能力を有するもので, (1) α線,重陽子線, 陽子線,その他の重荷電粒子線及びβ線 (2) 中性子線 (3) γ線,軌道電子捕獲に伴って発生する特性X線 (4) 1 MeV以上のエネルギーを有する電子線およびX線
3.2 放射性同位元素 「放射性同位元素」とは,放射線を放出する同位元素およびその化合物並びに含有物で,放射線を放出する同位元素のの数量および濃度が文部科学大臣が定める数量(下限数量)および濃度を超えるもの。
教科書p458 p459
3. 用語の定義�3.5 管理区域 「管理区域」とは,以下のいずれかのおそれがある場所である。 (1) 外部放射線に係る線量が実効線量で3月間につき 1.3 ミリシーベルトを超える
(2) 空気中の放射性同位元素の濃度が3月間の平均濃度が空気中濃度限度の 1/10 を超える
(3) 放射性同位元素によって汚染される物の表面の放射性同位元素の密度が表面密度限度の 1/10 を超える
教科書p460
外部放射線 ... 体外からの放射線と それによる被ばく 実効線量 (Sv, J/kg) ... 放射線荷重係数と組織荷重係数で 二重に荷重された吸収線量 (Gy, J/kg) 空気中濃度限度は,核種ごとに告示別表で規定されている。 表面密度限度は,α 放出核種で 4 Bq/cm2,
β, γ 放出核種で 40 Bq/cm2
3. 用語の定義�3.6 放射線業務従事者
教科書p462
「放射線業務従事者」とは, 放射線同位元素または放射線発生装置の取扱い,管理又はこれに付随する業務に従事するものであって,管理区域に立ち入る者をいう。 ← つまり,君たちです。
管理区域に立ち入らずに取扱等業務に従事するものは放射線業務従事者ではない。
放射化学 配布資料 担当教員: 井上弘樹 2010.7.14
2
3. 用語の定義�3.7 実効線量限度
教科書p462
放射線業務従事者が被ばくできる実効線量の限度のことで, (1) 5年間で 100 ミリシーベルト (2) 1年間で最大 50 ミリシーベルト (3) 女子は,3月間に 5 ミリシーベルト (4) 妊娠中の女子は,内部被ばく 1 ミリシーベルト
3.8 等価線量限度 放射線業務従事者の各組織の線量の限度のことで, (1) 目の水晶体は,1年間で 150 ミリシーベルト (2) 皮膚は,1年間で 500 ミリシーベルト (3) 妊娠中の女子の腹部表面は, 2 ミリシーベルト
等価線量 (Sv, J/kg) ... 放射線荷重係数で荷重された吸収線量
6. 施設基準�教科書p469
6.1 使用施設
(教p468) 表5.1 原則として必要な放射線施設 許可使用者
届出使用者
届出販売業者及び 届出賃貸業者
許可廃棄業者
使用施設 貯蔵施設 廃棄施設
(使用場所) 貯蔵施設
廃棄物 詰替施設
廃棄物 貯蔵施設 廃棄施設
(3) 人が常時立ち入る場所の実効線量を1週間につき1ミリ シーベルト,事業所の境界の実効線量を3月間につき 250 マイクロシーベルト以下になるように遮蔽をもうける。
(2) 主要構造部等は耐火構造又は不燃材料で造る。
6. 施設基準� 教科書p470
6.1 使用施設 (つづき)
(9) 所定の箇所に定められた標識をつける。 放射性同位元素を 使用する室 汚染検査室 管理区域の境界
など
その他,多くの重要項目あり。教科書を参照のこと。
(4, 5) 密封されていない放射線同位元素を使用する場合には 作業室と汚染検査室をもうける。
6. 施設基準�教科書p471 p472
6.2 貯蔵施設 (1) 防火扉を有する貯蔵室または耐火性の貯蔵箱を設ける。
その他,多くの重要項目あり。教科書を参照のこと。
(2) 汚染を防止するため次のような容器を備える。 空気の汚染を防ぐ気密な容器,液体が浸透しにくい材料, 受け皿・吸収剤を設置。
6.3 廃棄施設 (1) 排気設備(例外規定あり)を設ける。 作業室内の濃度は一週間の平均濃度, 排気口の出口の濃度は3月間の平均濃度で規制。 (2) 廃水設備(例外規定なし)を設ける。 排水中の濃度は3月間の平均濃度で規制。
12. 行為基準�教科書p486
12.1 使用の基準 (4) しゃへい,距離(をとる),時間(を短く)の三原則により 被ばくを実効線量限度および等価線量限度以下にする。 (7) 作業室内での飲食および喫煙を禁止する。 (9) 作業室内では作業衣(黄衣)を着用する。 (10) 退出する際は,人体,作業衣等の汚染検査をし,汚染の ある場合はそれを除去する。
(12) 表面密度限度の1/10を超えて汚染されたものはみだりに 管理区域から持ち出さない。
その他,多くの重要項目あり。教科書を参照のこと。
12.2 保管の基準 12.3 廃棄の基準 ... (具体的には各施設のルールに従う)
→ 15. 放射線障害予防規定
14. 記帳の義務�教科書p508
14.1 記帳事項 各事業所では後述する汚染検査等の測定,健康診断の記録に加えて以下の項目について帳簿に記録(記帳)しなければならない。
(1) 受入れ(購入)又は払出しに係る放射性同位元素の年月日,種類および数量
(2) 使用に係る放射線同位元素の種類および数量 (3) 廃棄に係る放射性同位元素等の種類,数量,年月日,方法,および場所
(4) 放射線施設に立ち入る者に対する教育および訓練の実施年月日,項目,教育および訓練を受けた者の氏名
14.2 記帳の取扱い ほか。
1年ごとに閉鎖し,5年間保存する。
放射化学 配布資料 担当教員: 井上弘樹 2010.7.14
3
15. 放射線障害予防規定�教科書p511
15.1 定める項目 (1) 放射性同位元素の受入,使用,保管,廃棄に関すること。種類および数量など。
(2) 放射線の量および放射線同位元素煮よる汚染の状況の測定並びにその記録の取扱い
(3) 教育および訓練に関すること (4) 健康診断に関すること (5) 非常の措置に関すること など
「放射線障害予防規定」は,法令に基づき,各事業所の実状に合わせた詳細な管理内容を取り決めたもので,本学のRI実験施設でも独自の規定を設けている。
16. 測定�教科書p513
16.1 場所の測定
許可届出使用者は,施設および周辺の放射線量,汚染状況(「場所の測定」),並びに業務従事者の被ばく状況(「人の測定」)を測定,記録しなければならない。
16.1.1 放射線の量の測定
16.1.2 汚染の測定 16.1.3 排気・排水の測定
1cm線量当量(または70µm線量当量)を放射線測定器を用いて測定する。 1月を超えない期間ごとに1回測定し,測定結果は記帳し,5年間保存する。
16.1.1 放射線の量の測定と ほぼ同様
1cm線量当量は照射対象(人体など。正確にはICRU球)の深さ1cmでの等価線量で,眼と皮膚以外に対応。70µm線量当量は眼の水晶体に対応。
16. 測定�教科書p516
16.2 人の測定 16.2.1 外部被ばく線量の測定
16.2.3 汚染の測定
16.2.6 測定記録の保存
1cm線量当量および70µm線量当量を放射線測定器を用いて測定する。測定困難な場合は,計算による算出も可。 測定は,男子は胸部,女子は腹部に測定器を装着することで,管理区域内に立ち入っている間,常時行う。
施設退出時に汚染検査室にて放射線測定器を用いて行う。
人の測定の記録は永年保存。(場所の測定記録は5年保存)
16.2.2 内部被ばく線量の測定 吸入摂取又は経口摂取した際に計算により行う。
18. 教育訓練�教科書p524
18.1 対象者
放射線施設に立ち入る者に対して,放射線障害予防規定の周知その他を図るほか,放射線障害を防止するために必要な教育および訓練を施さなければならない。
放射線業務従事者,および 取扱い業務に従事する者で管理区域に立ち入らない者
18.2 時期,項目,時間数 初めて管理区域に立ち入る前に一度,その後は1年を超えない時期ごとに一度行う。
放射線の人体に与える影響 ... 30分 放射性同位元素等の安全取扱い ... 4時間 放射線障害防止に関する法令 ... 1時間 放射線障害予防規定 ... 30分
19. 健康診断�教科書p526
19.1 対象者 管理区域に立ち入る放射線業務従事者
19.2 時期 初めて管理区域に立ち入る前に一度,その後は1年を超えない時期ごとに行う。
19.3 健康診断の方法と項目 問診と 血液検査,皮膚および眼の検査
19.5-7 健康診断の記録の交付と保存 受診した者に対して健康診断の記録の写しを交付する。 健康診断の記録は永年保存。(人の測定と同じ。)
20. 放射線取扱主任者�教科書p528
20.1 放射線取扱主任者の職務 放射線施設と利用者の安全管理 具体的には,利用者間の使用核種・使用量の調整
施設の安全点検,管理 汚染検査の実施,廃液の管理・放流など 廃棄物のアイソトープ協会への引き渡し 外部立入検査への立ち会い 健康診断,購入・使用記録等の帳簿の管理 教育訓練の実施など
許可届出使用者,届出販売業者,届出賃貸業者及び許可廃棄業者は放射線障害の防止のために事業所ごとに少なくとも1名放射線取扱主任者免状を有する者を「放射線取扱主任者」に選任しなければならない。
放射化学 配布資料 担当教員: 井上弘樹 2010.7.14
4
20. 放射線取扱主任者�教科書p528
20.2-3 放射線取扱主任者免状の種類と選任区分 第1種放射線取扱主任者
国家資格試験に合格 (¥13,900) 物化生,物理学,化学,生物学,測定・管理技術,法令の6科目。 合格ラインは全科目60%以上正解。 合格率は例年25%前後。
↓ 合格者講習会を受講,修了試験に合格(¥170,205)
すべての放射性同位元素,放射線発生装置の安全管理が可能 (第2種は密封された放射性同位元素のみ)。 放射線実験施設がある研究機関(大学など),会社(製薬,放射線発生装置・医療機器メーカー等)への就職に有利?
27. 危険時の措置�教科書p541
放射線傷害を受けた者又は受けたおそれのある者がいる場合には,速やかに救出し,避難させる。
放射性同位元素による汚染が生じた場合には,速やかに,その広がりの防止及び除去を行う。
放射性同位元素等を他の場所に移す余裕がある場合には,必要に応じてこれを安全な場所に移し,その場所の周囲には,縄を張り,又は標識等を設け,かつ,見張り人をつけることにより関係者以外の者が立ち入ることを禁止する。
火災の際は直ちに消防署へ,汚染・被ばく事故の場合は直ちに警察官又は海上保安官に通報するとともに,遅延なく文部科学大臣に届け出なければならない。
東京薬科大学 八王子キャンパス 放射性同位元素実験施設�
ココ!
おわり�