化学工学III17 ミッション:...

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1 講義時間:火曜4限/木曜2場所 :C-2A/C-3C 担当 :山村 化学工学III

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講義時間:火曜4限/木曜2限場所 :C-2A/C-3C

担当 :山村

化学工学III

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角速度w

蒸発螺旋状の下降流れ

流れがない場合とは異なる分子運動

流れ場での物質移動(2)スピンコーティング例

遠心力による外向き流れ

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流れに沿った分子運動

分子

ランダムな分子運動

流れ場での物質移動(3)-基本的な考え方

濃度C2 [mol/m3]

一定速度の流れ 界面濃度C1 [mol/m3]

速度分布

濃度境界層

厚みd

典型的な厚み液相d~10mm

ガス相d~mm

2つの領域に分けて考える

B.分子拡散領域A.濃度一定領域

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物質移動係数(1)ー物質移動係数の定義-

d

流速U

物質移動係数kcはJA = kc(C1 – C2)で定義される。

濃度境界層厚みが非常に薄ければ、境界層内の濃度分布は直線と近似できる。このときモル流束は

界面濃度C1 [mol/m3]

濃度C2 [mol/m3] モル流束JA [mol/(m2s)]

従って境界層厚みとkcの関係は次のように書ける。

kc= DAB/d

JA =DAB(C1 – C2)/d

(教科書p.121)

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物質移動係数(2) 物質移動係数の単位-

物質移動係数kc = DAB/d

モル流束JA = kc(C1 – C2)

[m2/s]

[m]=[m/s]

[m/s][mol/m3]=[mol/(m2s)]

単位のチェック

d

流速U 界面濃度C1 [mol/m3]

濃度C2 [mol/m3] モル流束JA [mol/(m2s)]

「速度」の単位を持つ

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物質移動係数(3) シャーウッド数の定義-

AB

c

D

DkSh

物質移動係数代表長さ

(例えば円板直径)

成分B中の成分Aの拡散係数

dAB

c

Dk

境界層内の濃度分布が直線近似できるなら

d

d D

D

DD

D

DkSh

AB

AB

AB

c )/(

シャーウッド数

シャーウッド数は長さの比(無次元)

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次元解析(1)

Q. 回転円板上の物質移動係数kc[m/s]に影響を与える因子は?

回転速度U

拡散係数DAB

直径D

粘度μ

流体密度ρ

もし1つの変数を10通り変化させて実験式を見つけると

5変数だから105通り10回測定/1日として所要日数は105/10=104日=27年

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次元解析(2)

ρ3m

kg

μ sPams

kg

s

m2

各変数の単位を整理すると

s

mkc U

D

s

m

m

DAB

kc =Aρa μb DABc (U)d De

物質移動係数が各変数のべき乗で表現できるものと仮定する

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kc =Aρa μb DABc (U)d De

次元解析(3)

に各単位を代入すると

dcbedcbaba

e

dcba

smkg

ms

m

s

m

ms

kg

m

kg

s

m

23

2

3

単位ごとに整理すると

kg : 0=a+b

m : 1=-3a-b+2c+d+e

s : -1=-b-c-d

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各べき乗数をa,dの関数として表わすとb=-a

c=a-d+1

e=d-1

これをkc =Aρa μb DABc (U)d Deに代入すれば

次元解析(4)

ad

AB

d

d

AB

a

ABAB

c

AB

d

AB

a

AB

ddda

AB

aa

c

D

DUA

DU

DDA

D

Dk

D

D

D

DU

DA

DUDAk

m

m

m

m

m

m

m 11)(

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次元解析(5)

シャーウッド数Sh= kcD/DAB

レイノルズ数Re=ρDU/μ

シュミット数Sc= μ/(ρDAB)と定義すれば

Sh=A RedScd-a

(例)直径Dの回転円板上における実験式

(A=0.4, d=0.5, d-a=0.5に対応)

ad

AB

d

AB

c

D

DUA

D

Dk

m

m

5.05.02

4.0

ABAB

c

D

D

D

Dk

m

m

w

詳しくは甲藤好郎、伝熱概論、養賢堂 (1994)p165 (8.28)式を参照

円板直径D

速度U

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物質移動係数の求め方(1)

• 伝熱実験(表面温度、気流温度、熱流束の測定)• 決定した伝熱係数(温度境界層厚み)を

レイノルズ数Reとプラントル数Prの関数として整理• Prをシュミット数Scに置き換える

熱移動と物質移動のアナロジーを活用

物質移動流束の測定

電気化学的方法

原理

対象物質を水溶液に浸漬し、表面でイオン反応印可電圧を増加すると、表面イオン濃度がゼロ(拡散律速)となるその電流値(限界電流値と呼ぶ)より流束を算出

ナフタリン昇華法 対象物質の一部にナフタリン片を埋設昇華による質量減少量から流束を算出

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0.001

0.01

1 10 100

ω [rad/s]

kc [

m/s]

Sc=0.8

Sc=0.4

物質移動係数を求め方(2):生データ

異なるガス中(異なるシュミット数Sc)で角速度を変化させて測定

D

w

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物質移動係数を求め方(3):無次元数

1

10

100

1000

1000 10000 100000 1000000

Re

Sh Sc=0.8

Sc=0.4

傾き0.5

シャーウッド数Shをレイノルズ数Reに対して両対数プロット⇒Sh Re 0.5 レイノルズ数Re=ρD2ω/μ

5.05.02

4.0

ABAB

c

D

D

D

Dk

m

m

w

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物質移動係数を求め方(4)

0.1

1

0.1 1 10Sc

Sh/Re^0

.5

Sc=0.8

Sc=0.4

Sh/Re 0.5をシュミット数Scに対して両対数プロット⇒Sh /Re 0.5 Sc 0.5

傾き0.5の直線

シュミット数Sc= μ/(ρDAB)

5.05.02

4.0

ABAB

c

D

D

D

Dk

m

m

w

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物質移動係数を求め方(5)

0.1

1

0.1 1 10Sc

Sh/Re^0

.5/Sc^0

.5

Sc=0.8

Sc=0.4

Sh/Re 0.5 / Sc 0.5をシュミット数Scに対して両対数プロット⇒Sh /Re0.5/Sc0.5 =0.4

0.4

5.05.02

4.0

ABAB

c

D

D

D

Dk

m

m

w

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ミッション:

□ 質量平均速度とモル平均速度を質量分率とモル分率の関数として記述することができる□ 質量流束とモル流束を固定座標系および質量(モル)平均速度基準で記述することができる□ 濃度場のシェルバランスを取ることができる□ フィルム中への等モル相互拡散の濃度分布を求めることができる□ フィルム中への一方拡散の濃度分布を求めることができる□ 均一反応を伴う拡散の濃度分布を求めることができる□ 表面反応を伴う拡散の濃度分布を求めることができる□ 円柱面上における拡散の濃度分布を求めることができる□ 球面上における拡散の濃度分布を求めることができる□ 物質移動係数の物理的意味を述べることができる□ 等モル相互拡散および一方拡散の物質移動係数を記述することができる□ 異相界面を横切る質量流束を記述することができる□ 総括物質移動係数を用いて質量流束を記述することができる□ ガス吸収装置内の物質収支を取ることができる□ 設計条件を満たすガス吸収装置の高さを求めることができる□ 吸着装置内の物質収支を取ることができる□ 設計条件を満たす吸着装置の高さを求めることができる□ 膜分離装置内の物質収支を取ることができる□ 設計条件を満たす膜分離装置の長さを求めることができる□ 乾燥装置内の物質収支を取ることができる

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直径d [m]の気泡が密度ρL[kg/m3]、粘度μL [Pa∙s(=kg/(ms))]、表面張力σ[N/m(=kg/s2)]の液体中を浮力を受けて上昇している。拡散係数がDAB[m2/s]、重力加速度がg[m/s2]のとき気泡周りの物質移動係数kc [m/s]を表す式を次のように次元解析によって求めよ。(1)次のような各変数のべき乗で表される関数形を考える。

指数a~fの間に次式が成り立つことを示せ。ただしAは定数である。

(2)上の式(2)-(4)から変数b,c,dはa,e,fを用いて次のように書けることを示せ。

(3)これらの変数b,c,dを(1)に代入しシャーウッド数Shを表す式を導くと、Shは浮力(及び慣性力)と粘性力の比であるグラスホフ数Gr、浮力と表面張力の比であるボンド数Bo、およびシュミット数Scの関数として表される。べき指数x,y,zを指数a,e,fを用いて表せ。。

)1(f

AB

ed

L

c

L

ba

c DdAgk m

zyx ScBoAGrSh

氏名:気泡周りの物質移動係数(次元解析)report8

)4(122

)3(123

)2(0

feda

fdcba

edc

122

12

13

fead

feac

eab

ABL

LL

L

L

AB

c

DSc

gdBo

gdGr

D

dkSh

m

m

シュミット数ボンド数

グラスホフ数ただしシャーウッド数

,

,

2

2

23