No. 75 - IPSJ/ITSCJ · nfc-wiは,nfcip-1を実現することを専らにしてい...

22
No. 75 2007 年 9 月 標準活動トピックス: 近距離通信(NFC)規格の国際標準化動向 ............................................... 2 高山 佳久(ソニー(株)) 最近の国際会議から: SC 6(Telecommunications and Information Exchange Between Systems)総会報告................. 5 向井 幹雄(ソニー(株)) SC 7(Software Engineering)総会報告 ....................................................... 6 山本 喜一(慶應義塾大学) SC 27(IT Security Techniques)総会報告 .................................................... 7 寳木 和夫((株)日立製作所) SC 28(Office Equipment)総会報告 .......................................................... 9 三橋 慶喜(科学技術振興機構) SC 29(Coding of Audio, Picture, Multimedia and Hypermedia Information)総会報告...........10 金子 格(東京工芸大学) SC 31(Automatic Identification and Data Capture Techniques)総会報告 .....................12 小橋 一夫(松下電器産業(株)) SC 37(Biometrics)総会報告 ...............................................................14 瀬戸 洋一(産業技術大学院大学) 2007 年 9 月以降 国際会議開催スケジュール ............................................. 15 解説:モバイルインタフェース......................................................... 16 松原 幸行(キヤノン(株)) 国際規格開発賞の表彰 ................................................................ 18 声のページ: 会議・審議文書の電子化に思う ..............................................................19 高橋 光裕((財)電力中央研究所) 国際化の混迷 ..............................................................................19 石畑 清(明治大学) 2007 年度 標準化功績賞および貢献賞の表彰 ............................................. 20 第 22 回規格総会の報告 ............................................................... 22 編集後記 ............................................................................ 22

Transcript of No. 75 - IPSJ/ITSCJ · nfc-wiは,nfcip-1を実現することを専らにしてい...

No. 75 2007 年 9 月

目 次 標準活動トピックス:

近距離通信(NFC)規格の国際標準化動向 ............................................... 2 高山 佳久(ソニー(株))

最近の国際会議から:

SC 6(Telecommunications and Information Exchange Between Systems)総会報告.................5 向井 幹雄(ソニー(株))

SC 7(Software Engineering)総会報告 .......................................................6 山本 喜一(慶應義塾大学)

SC 27(IT Security Techniques)総会報告 ....................................................7 寳木 和夫((株)日立製作所)

SC 28(Office Equipment)総会報告 ..........................................................9 三橋 慶喜(科学技術振興機構)

SC 29(Coding of Audio, Picture, Multimedia and Hypermedia Information)総会報告...........10 金子 格(東京工芸大学)

SC 31(Automatic Identification and Data Capture Techniques)総会報告 .....................12 小橋 一夫(松下電器産業(株))

SC 37(Biometrics)総会報告 ...............................................................14 瀬戸 洋一(産業技術大学院大学)

2007 年 9 月以降 国際会議開催スケジュール ............................................. 15

解説:モバイルインタフェース......................................................... 16 松原 幸行(キヤノン(株))

国際規格開発賞の表彰 ................................................................ 18

声のページ:

会議・審議文書の電子化に思う ..............................................................19 高橋 光裕((財)電力中央研究所)

国際化の混迷..............................................................................19 石畑 清(明治大学)

2007 年度 標準化功績賞および貢献賞の表彰 ............................................. 20

第 22 回規格総会の報告 ............................................................... 22

編集後記 ............................................................................ 22

<標準活動トピックス>

近距離通信(NFC)規格の国際標準化動向

SC 6/WG 1 小委員会

主査 高山 佳久(ソニー(株))

1. 近距離無線通信規格

近距離無線通信規格の英語の題名は,Near Field

Communication(NFC)である.13.56 MHz の ISM 帯を利

用しており,通信距離の規定は無いがおよそ 10cm 程

度の距離を想定し,そのデータ伝送速度は,数百キロ

ビット毎秒である.飛ばなくて遅いことを特徴とする

通信仕様である.飛ばないという事は,遠くで通信内

容を傍受しづらいという特徴になり,データ伝送速度

が遅いということは,なりすましの通信を行おうとす

る者が通信電文を取り出したり注入したりすること

に挑戦する時間を長引かせてその作業効率が比較的

下がるという期待につながる.

NFC 規格は,毎日持ち歩いて使う鉄道の電子乗車券

Suicaに象徴されるようなタッチアンドゴーというス

タイルを現実のものにする技術として,当初の想定ど

おり,家電製品の中へ組み込まれる方向にある.特に

携帯電話での応用に注目が集まっていることは周知

である.

NFC では,国際標準規格が存在するだけではなく,

NFC技術を実際の製品へと応用可能にするために必要

な,いわゆる実装規約に当たる仕様群の策定や,その

デバイスのインタフェース互換性やセットの相互運

用性の検証,宣伝普及促進活動などを行う NFC Forum

という団体が出来ており,100 社以上の企業や団体が

加わって NFC を推進している.2007 年第 1 四半期に

NOKIA 社から 6131NFC という型式の GSM専用の NFC 携

帯電話端末が一般向けに発売された.今後は,これを

素材として様々な応用サービスが登場するだろう.た

とえばその NOKIA 自身も, Field Force Solution と

いうサービスを打ち出している.今後の NFC 応用の幅

の広がりが楽しみである.

NFC 規格は,ISO/IEC 18092(NFCIP-1)の開発で始ま

った.その RF 試験規格として ISO/IEC 22536 が,プ

ロトコル試験規格として ISO/IEC 23917 がある.そし

て 13.56 MHz を利用する IC カードシステム(ISO/IEC

14443 の PCD)及び RF ID システム(ISO/IEC 15693 の

VCD)と NFCIP-1 デバイスとの共存を可能にするため

の規格 ISO/IEC 21481(NFCIP-2)がある.規格の開発

経緯と個々の技術については,以前(NL 62 号 2004

年 6 月),「近距離無線通信規格の標準化動向」と題し

て,ここに報告させて頂いた通りである.JIS 原案作

成委員会のメンバ並びに情報処理学会,JSA 等多くの

関係者の方々の努力により,ISO/IEC 18092 は JIS X

5211 として,ISO/IEC 21481 は JIS X 5212 として,

ISO/IEC 22536 は JIS X 5213 として,原案の審議が

完了した.2007 年のうちに経産省の専門委員会の審

議を経て順次公示の見込みである.ちなみに ISO/IEC

23917 の JIS 原案作成委員会は 2007 年 8 月からの始

動となる.

NFC シリーズの国際標準規格は,歴史的経緯から,

Ecma TC32-TG19 に専門家らが集まって審議している.

Ecma 総会での承認プロセスを経て, JTC1 へ

Fast-Track 手続きにて提案されてきた. Ecma

TC32-TG19 で最近完成させた仕様は,Near Field

Communication Wired Interface (NFC-WI)規格である.

そして現在取り組んでいるのが NFC-SEC (NFCIP-1 の

ための Security オプション)である.

2. NFC-WI の誕生と BRM

NFC規格という観点からの最近のホットニュースは,

NFC Wired Interface (ISO/IEC 28361)である.(図 1

参照)NFC とは,無線通信規格であるのに,どうして

Wired Interface なのかを先ず説明する.そもそも

NFCIP-1 という規格は, RF のアナログ信号処理部と,

完全にデジタルのプロトコル処理部とから成るが,実

装を行う立場から言えば,NFCIP-1 規格を実装するに

は必ずアナログとデジタルの混在をやらねばならな

いという意味である程度の難易度がある.よって,デ

ジタル部分とアナログ部分とを分けることができる

ように切り口を用意することは,NFCIP-1 技術の利用

しやすさを提供することになり,普及に役立つと考え,

その切り口を NFC-WI として規定することにしたわけ

である.だから,無線規格なのに Wired Interface と

いうものが登場することになるのである.

NFC-WI は,Ecma International 内の通信技術委員

会TC32のサブコミッティーであるTG19(NFCIP-1を産

み出したところ)に専門家が集まり,標準仕様の開発

活動を行っている.そこで開発された仕様は,

Ecma-373 として Ecma 総会にて承認された後,

Fast-Track 手続きにて JTC 1 へ提案された.

国際投票の結果ISO/IEC 28361として承認を得たが,

France/ Germany/ Italy/ Poland/ Spain が反対票を

投じていたので,それらのコメントを可能な限り取り

込むために,Ecmaがコンビーナとなり,JTC 1のBallot

Resolution Meeting (BRM)を開催した.筆者は,Ecma

TC32-TG19 で NFC-WI 標準仕様の開発に深くかかわっ

図 1 NFC-WI

ていることと Ecma が日本にて BRM を開催すること,

及び BRM の直後に同じ場所で Ecma TC32-TG19 の会議

が設定されていたということもあり,日本からは賛成

票を入れていたのであるが BRM に参加した.Japan/

US/ UK/ France/ Netherland/ Singapore からの参加

があった.一方,反対票を投じたにもかかわらず,

Germany/ Italy/ Poland/ Spain は不参加であった.

Spain から事前に要望があったので,電話会議の回線

を開いて 1 時間以上 BRM と接続しておいたが,Spain

は電話会議に現れなかった.France 代表の一員であ

る技術担当が,ご自分の勤務先企業が有する実装技術

を利用することを前提にした場合に,NFC-WI 仕様に

問題があるという France コメントを説明した.これ

について US 代表は,標準仕様という観点で仕様を点

検するべきであり,特定の実装方法だと不都合がある

からといってその標準仕様自体を否定するというの

はいかがなものかという見解を述べた.France の技

術担当者とSingaporeの 2名の代表のうち1名の方が

反発していたが,他の国々の代表は,US の考え方を

支持した.

3. NFC-WI とその応用

NFC-WI は,NFCIP-1 を実現することを専らにしてい

るため,オプションが無く単純である.そのおかげで

NFC Front-end を単純なモデムにすることができるの

で安く作れる.Signal-in と Signal-out は,アナロ

グ信号ではなくてデジタル信号なので,配線経路や配

線距離への配慮が比較的楽である.図 2 参照.NFC

Front-end回路をアンテナの極めて近くに置くことが

可能になるので,アンテナ側の RF 信号を引き回さず

に済む.

NFC は,コンシューマー用途の他に工業用途にも活

躍の場がある.非接触メモリ素子搭載の情報交換媒体

(例えば JIS X 6148)のチェンジャーロボットへの

応用例を紹介しておきたい.(図 3 及び図 4 参照)

NFC-WIはアナログ信号ではなくデジタル信号なので,

ロボットの内部というノイズの多い環境の中でも比

較的長い配線を引き回せる.

図 2 NFC Transceiver and Front-end

4. NFC-FEC の計画

Ecma TC32-TG19 の専門家らは,NFCIP-2 を実現する

ための NFC-WI のオプションを計画した.それは,NFC

Front-end として,NFCIP-1 だけでなく,NFCIP-2 も

実現したいという要望が市場からあったからだ.その

ようなシステムでアナログ部分とデジタル部分とを

分けて作ろうとすれば,NFC-WI のような標準のイン

タフェース仕様が欲しくなる.基本的に NFC-WI は,

NFC Front-end に NFCIP-2 を想定するシステムに対応

することが可能である.NFC-WI だけでは NFCIP-1 に

しか対応しないが,NFC-WI には,Front-end がまたは

Transceiverがエスケープ手順を開始する仕様を備え

てあるので,エスケープ後に独自仕様を利用して

NFCIP-2 に対応するといった応用も可能だ.ただし,

Full digitalusual LSIin Consumer Electronics apparatus

Modem

Antennacoil

Analogue Module (NFC Front-end)

Digital Module (NFC Transceiver)

Fully Digital Signal (NFC-WI)

Full digitalusual LSIin Consumer Electronics apparatus

Modem

Antennacoil

Analogue Module (NFC Front-end)

Digital Module (NFC Transceiver)

Fully Digital Signal (NFC-WI)

NFC Wired Interface (NFC-WI)

NFC Transceiver

NFCFront-end

Signal-out

Signal-inDevice

(e.g. NFCIP-1)

図 3 クオルスター社製

テープ交換ロボット内部(試作)

図 4 スペクトラロジック社製

テープ交換ロボット内部(試作)

それらのコンフィグレーションについては,全て独自

としておくよりも,むしろどのようなユースケースに

おいても共通に使われるコマンドだけは,標準化して

おいた方が便利だろうということで,NFC-WI と共に

使うことを想定した NFC Front-end Configuration

Command (NFC-FEC)仕様が計画され,2007 年 8 月現在

そのユースケースと要件を Ecma で募集中なので,後

述する Open-NFC 宛意見を寄せて欲しい.

5. NFC-SEC の概要

NFCIP-1の PDUの中にカプセル化して暗号をかけた

PDUを格納して情報交換する仕組みをNFC-SECとして

Ecma にて策定中である.NFC-SEC 仕様は,策定の途中

なので最終的にどのような形で完成するかについて

は,参加する専門家次第である.現状のスナップを紹

介すると,2つのユースケースに対応させようとして

いる.(図 5参照)1つ目は,NFC-SEC の存在を全く意

識していない上位層に対して透過的にセキュアーチ

ャネルを提供する機能.もう 1つは,NFC-SEC 層とい

う存在を意識的に使いたい上位層のために,鍵生成サ

ービスやセキュアチャネルサービスを提供する機能

である.ただし,暗号化アルゴリズムやアーキテクチ

ャー・プロトコルについては,JTC 1/SC 27 の専門家

らによって策定された情報セキュリティ標準仕様を

参照し,それらを NFCIP-1 に適用するケースを

NFC-SEC 仕様で規定する方向だろうと思われる.

6. オープンネス

昨今,さまざまな情報技術が社会基盤に応用されて

きている.一般に,社会基盤に利用される情報技術は,

標準技術でありなおかつ広く開示されていることが

好ましいと言われる.すなわち ISO/IEC 標準規格とし

て開示されていることが望ましいということである.

また,WTO という観点もあろう.

この流れは,結果として標準仕様であればよいとい

うことでなく,そのプロセスについてオープンネスを

求める声となって上がり始めている.なぜならば,仕

様作成者の想定を越えて,多方面に渡り利用者が居る

場合が出てきているからである.仕様策定プロセス自

体のオープンネスまで求められるということである.

たとえば,原案作成団体が,関係しそうな別の団体に

対し,早い時期から意見を求めたり,最終段階に近い

仕様書のレビューをお願いするといった努力のプロ

セスを求められるようになってきている.もちろん,

生煮えの段階での意見照会は,混乱をもたらすだけな

ので,国際標準規格作成団体は,タイミングよくオー

プンネスに配慮して仕事を進めなければならなくな

ってきている.

会員制の Ecma は,JTC 1 の SC 等と比較すると,比

較的クローズだと言われている.しかし昨今 Ecma で

も,世の中のオープンネスの要望に応える努力を始め

た.例えば Ecma TC32-TG19 では,Ecma のホームペー

ジ(http://www.ecma-international.org/)に次の情

報を開示している:作業項目(Protocol Alignment),

Ecma-373 (NFC-WI)規格書,NFC 概要解説プレゼン資

料,NFC White Paper,Ecma-340 (NFCIP-1)規格書,

Press Release,Ecma-352 (NFCIP-2)規格書,Ecma-356

(NFC RF Test Methods),Ecma-362 (NFC Protocol Test

Methods).また,Ecma ホームページに Open-NFC とい

うリフレクタを立てているので,NFC にご興味をお持

ちの通信標準規格開発関係者並びに情報セキュリテ

ィ標準規格開発関係者は,登録してコメントを寄せる

とよいと思う.

NFC-WI Front-end with antenna

RS-232C

NFCIP-1 passive device inside

NFC-WI Transceiver

Conne

cted b

y NFC

-WI

Conne

cted b

y NFC

-WI

Robot hand NFCIP-1 passive device insideNFCIP-1 passive device inside

NFC-WI TransceiverNFC-WI Transceiver

NFC-WI Front-endWith antenna

RS-232C

Robot hand

Connected by N

FC-W

IC

onnected by NFC

-WI

図 5 検討中の NFC-SEC 基本構造

<最近の国際会議から>

■ SC 6 ( Telecommunications and Information

Exchange Between Systems/通信とシステム間の情報

交換)総会報告

SC 6 専門委員会

委員 向井 幹雄(ソニー(株))

1. 開催場所: 西安(中)

2. 開催期間: 2007-04-13

3. 参加国数/出席者数:10 カ国,2リエゾン/45 名

HK(1),英(2),米(2),独(1),中(25),仏(2),シ

ンガポール(1),チェコ(1),日(1),韓(7,議長と

Secretary 含む),ITU-T(1),IEEE(1)

4.報告事項

4.1 SC 6 総会概要

今回の国際会議である SC 6 の WG 及び総会は,

IWNCOMM1のある中国の西安で開催された.中国は,

WAPI ( Wireless Local Area Networks (WLAN)

Authentication and Privacy Infrastructure)の国

際標準化への推進を今なお重視しており,総力を挙げ

て取り組んでいる.本総会には WG 出席者を含め全体

として 70 名以上の参加があり,その内 6 割以上が中

国からの参加であった.特に今回の総会は中国国家標

準 化 委 員 会 で あ る SAC (Standardization

Administration of China)により組織され,中国電

子技術標準化研究所 CESI 及び SC 6 Mirror 委員会を

受け持つ IWNCOMM で運営されていた.また,中国のホ

ームネット標準連盟の ITopHome(e 家佳)がスポンサ

ーとなって,国際会議を資金面から支援していた.会

議場では,希望者には WAPI のアダプターの無料貸し

出しもされていた.その故,WAPI と IEEE との駆け引

きがまだまだ強く会議運営に影響しており,幹事国の

韓国も相当気を使って会議運営にあたっていた.なお,

総会決議数は,全部で 45 個あり,WG 1 関係が 5 個,

WG 7 関係が 8 個,WG 8 関係が 8 個,WG 9 関係が 13

個,SC 6 全体に関わるものが 11 個あった.

4.2 主な決議と議論等

(1)中国標準 WAPI 関連の案件の状況

IEEE と SC 6 との協調体制についての検討及びその

扱いが Resolution 6.1.1,6.1.2 として決議された.

特に本件の扱いについて,中国と IEEE との駆け引き

が強くでていた.Resolution 上は,無難な表現にな

っているが,BRM の扱いについて,中国,IEEE,韓国

1 西安西電捷通無線網路通信有限公司

とで,この BRM 会議の議長になるかなどについて議論

の応酬があり,今のところ議長の引き受け先が決まっ

ていないなど,WAPIの扱いの影響が強く残っており,

今も議論が続いている.

Resolution6.1.5 にあるように,まだ中国はISO/IEC

8802-11 DAM 7でのProject Editorの削除及びProject

の扱いについて強くこだわっており,Resolution

6.1.5 の note のコメントや Resolution 6.05 の With

Abstain〔China〕にその影響が現れている.

(2) Ad-hoc Meeting on Future Networks の提案につ

いて

将来的なネットワークのあり方を見据えた"Future

Networks"について検討し,近い将来の SC 6 のテーマ

としたいとの提案があった.参加者からは,本件のス

コープが他の機関などとのオーバーラップの可能性

について危惧するとの発言があり,Ad-hoc 会議の案

内を関係諸機関へも呼びかけることになった.

(3) NFC 関係の進捗について

Ecma からの一般報告及び DIS 28361(Near Field

Communication Wired Interface (NFC-WI))BRM 報告

は,Ecma 代表者が他の会議と重なり欠席したため,

SC 6 での議論として取り上げられなかった.

日本として,SC 6 総会及び SC 6/WG 1 会議にて NFC

シリーズ国際標準規格の開発進捗報告を行った.その

中で NFC-WI の DIS 投票結果を報告すると同時に,

NFC-WI の応用例として AIT-3 様式及び LTO 様式テー

プチェンジャーロボットの非接触メモリ R/W サブシ

ステムを紹介し,幹事国,フランス,シンガポール,

中国,米国,英国関係者らからも理解を得た.

本件は,SC 6/WG 1 の内部決議に,"presented and

acknowledged"として,明記されている.

(4) 中国 NP 提案の件

中 国 か ら "Access Control Method based on

Tri-element structure and peer Authentication"

に関する NP 提案があった.IETF 及び SC 27 と関係が

ありそうだとのコメントがなされ,今後の協調の可能

性についてそれぞれの団体へコンタクトすることに

なった.

(5) SC 25 のスコープ改定についての SC 25 からの確

認要請

SC 25 から,スコープ改定の確認要請(6N13252)が

きている.SC 25のスコープには,"intelligent" homes

という表現になっており,この"intelligent"の定義

があいまいであり,スコープに使う場合には,

Intelligent の定義を明確にすべきであろう.2007 年

5月 31日締めの各国へのコメント要請扱いになった.

(6) 会議運営についてのコメント

フランス代表からのISO/IEC及び JTC 1 Directives

のルールに則った会議運営,たとえばドキュメントを

会議の直前に提出するのではなく,1ヶ月までに提出

し,各国が十分審議できるようにするなどのコメント

がたびたびあった.今後の会議においては,ルールに

沿っての対応がより重要となってくるであろう.

5. 今後の国際会議について

5.1 SC 6 総会の日本開催要請について

2009 年度総会を日本で開催して欲しいとの打診が

あった.時期的には,2009 年 6 月ないしは 7 月頃を

希望されている.1ヶ月位で,見通しをつけ日本での

開催の可否を答える必要がある.

5.2 今後の開催予定

2008-04-07/11 ジュネーブ(スイス)

■ SC 7(Software Engineering/ソフトウェア技術)

総会報告

SC 7 専門委員会

委員長 山本 喜一(慶應義塾大学)

1. 開催場所:モスクワ(ロシア)

2. 開催期間:2007-05-20/25

3. 参加国数/出席者数:25 ヵ国/149 名

議長(F. Coallier,加),セクレタリ(W. Suryn,加)

ⅰ) P メンバ(21 ヶ国/142 名)

豪(14),ベルギー(1),加(13),中(2),デンマー

ク(1),フィンランド(6),仏(8),独(3),印(1),

伊(4),日(21),韓(10),ルクセンブルグ(3),ニュ

ージーランド(3),南ア (4),スペイン(3),スウェ

ーデン(4),タイ(2),トルコ(2),英(13),米(25)

ⅱ) O メンバ(4ヶ国/7名)

メキシコ (2),露(3),ベラルーシ(1),シンガポ

ール(1)

ⅲ)日本からの参加者詳細

山本喜一(HOD),東基衞(早大,WG 6 コンビーナ),

加藤重信(コンサルタント,WG 23 コンビーナ),村

上憲稔(富士通),込山俊博(NEC,WG 6 セクレタリ),

山田淳(東芝),谷津行穂(日本 IBM),江崎和博(荏原

製作所),小川清(名古屋技工研),岡崎靖子(日本

IBM),福地豊(日立),小山清美(日立),篠木裕二(日

立),銀林純(富士通),塩谷和範(SRA),岡崎毅久(日

本 IBM),伏見諭(情報数理研),平野芳行(NEC),

吉田弘倫(日本 IBM),向山博(IPA),牧野睦子(JAB)

4. 議事内容

4.1 Advisory Group 会合

20 日(日)10:00~14:30 と 24 日(木)18:00~20:00

に開催され,日本からは山本,小川が出席し,WG 6

コンビーナとして東,WG 23 コンビーナとして加藤が

出席した.20 日の会合は,現地組織委員会が手配し

たモスクワオリンピックの選手村跡のホテルで開催

され,総会の議事予定を確認し決定すべき事項の洗出

しと WG への割当てを行った.24 日の会議は,翌日の

総会に提出する決議案の審議を行ったが,問題となる

点は Benchmarking の NP を割り当てる WG についてだ

けであり,オフラインで米と交渉することとした.

4.2 総会

21 日(月)午前,及び 25 日(金)の午後に開催さ

れた.例年通り事前の AG において議案審議が尽くさ

れていたため,総会自体は円滑に進行し,70 件の議

決案をほぼ全会一致で決議した.日本は NP: IT

Service Management Benchmarking Framework が承認

された際に WG 10にアサインする決議 990に棄権した.

なお,決議をまとめる Drafting Committee のメン

バに銀林が参加し,日本意見の反映の正確性を期した.

以下に主要な決議を示す.

Conveners

加藤重信を WG 23 のコンビーナに再任.

Project Editors

新たに任命された日本からのエディタとプロジェ

クトを次に示す.

(1) 吉田健一郎(日本品質保証機構)をISO/IEC 20000-2.

Liaison

(2) 加藤重信を ISO TC176/SC2 及び SC3

(3) 小川清を JTC 1/SC 22

(4) 伏見諭を JTC 1/SC 27

Work Items

(5) 32 件を次のステージに進める.

NP

(6) 11 件の NP をつくる.

Study Group

(7) 4 件の Study Group を継続又は新設する.

(ⅰ) Relationship of processes and IT services

(WG 7,10,25)

(ⅱ) ICT governance(継続)

(ⅲ) Market interest in assessing the SAM

process(WG 21,10)

(ⅳ) Agent technology

Organization

(8) WG 12を解散し,残りのプロジェクトをWG 6に移す.

(9) Terms of Referenceの修正に必要な手続きを行う.

Standardization of processes, methods and

supporting technologies for the engineering and

management of software and systems throughout

their life cycles.

Note: The processes and technologies are within

the scope of JTC1 terms of reference and exclude

specific technologies that have been assigned by

JTC1 to other of its SCs.”

5. 今後の開催予定

2008-05-18/23 ベルリン(独)

6. その他

(1) 参加国は前回より 1カ国増え,参加者も微増した.

(2) 今回の会議は参加者のほとんどが,モスクワオリ

ンピック選手村として利用されたホテルの宿泊であ

ったが,会場までバスで 1時間かかり毎朝時間に追わ

れてしまった.

(3) 会議場の ICIE は国立機関で本館は有線,無線の

LAN をはじめ空調,プロジェクタなど設備は整ってい

たが,別館には冷房がない会議室もあり今年の暑さは

耐えられなかった.

(4) 高額な設備費,会場費を徴収した割には昼食,

Social dinner はお粗末で,昨年の Bangkok 総会を経

験した参加者からは不評であった.また,ホテルと会

議場が離れていたため主催者の用意したバスを利用

したが全員のスケジュールが必ずしも一致しないこ

とから不満が出ていた.地下鉄を利用しても 1時間近

くかかり,しかも歩く距離が長いことも原因であった.

(5) 2010 年の日本での開催は約束しているわけでは

なく,可能性を示唆しただけであるが,各国の反応は

良好であった.

■ SC 27(IT Security Techniques/セキュリティ技

術)総会報告

SC 27 専門委員会

委員長 寳木 和夫((株)日立製作所)

1. 開催場所:サンクトペテルブルグ(露)

2. 開催期間: 2007-05-11/12

3. 参加国数/出席者数: 22 カ国/40 名

議長(W. Fumy,独),各国代表(加,独,韓,シンガ

ポール,スウェーデン,スペイン,スイス,英,米,

他),日(8: 寳木和夫[HoD],竜田敏男[情報セキュリ

ティ大学院大],中尾康二[KDDI],櫻井幸一[九大],

佐藤慶浩[日本 HP],平野芳行[NEC],苗村憲司[WG2 コ

ンビーナ,情報セキュリティ大学院大],近澤武[WG2

セクレタリ,IPA/三菱電機)以降,同じ参加者名が表

われるとき氏のみを記す.

4. 概要

SC 27 は複数の TC/SC に共通する情報セキュリティ

技術の標準化を担当している.今回,日本からの提案

は概ね受け入れられ順調に進展した.ただし,一部,

新規に提案された暗号の扱い等について課題が残っ

た.WG 5 コンビーナ選出では,米国候補が辞退し,

ドイツ Kai Rannenberg 氏に決定した.

5. 主なプロジェクトの進捗状況

5.1 WG 1(情報セキュリティ要求条件と統合技術)

(1) 情報セキュリティマネジメント関連の標準化

(a) 情報セキュリティマネジメントシステム ISMS の

うち,ISO/IEC 27001,ISO/IEC 17799,ISO/IEC 27006

はそれぞれ 2005 年,2005 年,2007 年に IS 文書が出

版されている.ただし,ISO/IEC 17799 は 2007 年 4

月から ISO/IEC 27002 に改番された.

以下の記述において,ISO/IEC 番号を示すとき,

ISO/IEC を省略して単に番号のみを記す.

(b) 27000 “ISMS fundamentals and vocabulary”は

2nd CD に進む.コエディタは原田敬(日立).

(c) 27003 “ Information Security Management

Systems -- Implementation Guidance”は,4th WD

を作成する.コエディタは山崎哲(IBCS).

(d) 27004 “ Information Security Management

Measurement”は, 2nd CD が作成される.

(e) 27005 “Information Security Risk Management”

は,2nd FCD が作成される.

(f) 27007 “Guidelines for Information Security

Management Systems Auditing”は NP 投票に付される.

(g) 27011 “ Information Security Management

Guidelines for Telecommunications”については,

FCD を作成する.エディタは中尾.

(2) その他の WG 1 標準化項目

特定分野向け ISMS 標準として World Lottery

Association 及び Automotive Industry に関する

Study period は 6 ヶ月延長する.

5.2 WG 2(セキュリティ技術とメカニズム)

(1) 14888-3 “Digital signature with appendix --

Part 3: Discrete logarithm based mechanisms”に

関して,ロシアの楕円曲線暗号利用方式を追加するこ

とが提案され,Amendment の作成に着手する.

(2) 18033-3 Corrigendum “Encryption algorithms --

Part 3: Block ciphers”に関して,暗号アルゴリズ

ムの安全性に関する事例をStanding Document (SD12)

に記述する.

(3) 18014-1 "Time stamp services -- Part 1:

Framework"は, FDIS に進展した.市川桂介(アマノ)

および宮地充子(北陸先端大)がコエディタ.

(4) 15946-1/5 “Cryptographic Techniques Based on

Elliptic Curves -- Part 1: General / Part 5:

Elliptic Curve Generation”はそれぞれ FDIS,CD に

進展した.宮地がエディタ.

(5) 9798-2 “Entity Authentication -- Part 2:

Mechanisms Using Symmetric Encipherment

Algorithms”は,CD に進んだ.エディタは竜田.

(6) 13888-3 “ Non-repudiation -- Part 3:

Mechanisms Using Asymmetric Techniques”は,2nd CD

に進んだ.エディタは渡辺創(産総研).

(7) 10118-2 “ Hash-functions -- Part 2:

Hash-functions Using an n-bit Block Cipher”に日

本提案のアルゴリズム(DHF1)を追加することが議論

され継続検討となった.改版を担当するエディタに吉

田博隆(日立),コエディタに近澤を指名.

(8) 18033-4 “Encryption Algorithms -- Part 4:

Stream Ciphers”にストリーム暗号のアルゴリズム

(KCipher-2)を追加提案が日本のエキスパート(KDDI)

からあり,議論の後,継続審議となった.

(9) その他の WG 2 標準化項目

(a) 中国からエンティティ認証に関する追加提案(3

者間エンティティ認証プロトコル)がなされ Study

Period として検討を開始することとなった.

(b)サインクリプション技術およびディジタル署名規

格(9796, 14888)の統合は Study Period を継続.

(c) 暗号メカニズムの形式検証技術について,日本か

ら寄書が提案された.その内容が WG 3 の担当範囲に

近く,WG 3 での作業項目となった.

(d) JTC 1 から指示された低電力暗号技術について引

き続き寄書を募集する.

5.3 WG 3(セキュリティ評価基準)

(1) 15408-1 “Evaluation Criteria for IT Security

-- Part 1: Introduction and General Model”につ

いてエディタに FCD 文書を出すよう要請する.

(2) 15292 “ Protection Profile Registration

Procedures”について,継続要求があったため見直す.

Protection Profile の登録機関を再募集する.

(3) 15443-3 “A Framework for IT Security Assurance

(FRITSA) -- Part 3: Analysis of Assurance Models”

は,DTR 投票時のコメント処理が行われ,TR 文書に反

映させる.

(4) 24759 “Test Requirements for Cryptographic

Modules”は FCD へ進む.

(5) 19792 “Security Evaluation of Biometrics”

は FCD に進む.三村昌弘(日立)がコエディタ.

(6) その他の WG 3 標準化項目

(a) セキュアシステムデザインについて新たにStudy

Period を起こす.

(b) WG 2 で提案された日本寄書を Verification of

Cryptographic Protocols として規格化作業を開始す

る.Acting Editor に宮崎邦彦(日立)を指名.

5.4 WG 4(セキュリティの管理とサービス)

(1) 24762 “Guidelines for ICT Disaster Recovery

Services”は FDIS へ進む.

(2) 18028 “IT Network Security”について,新た

な技術進歩等に対応するため,新 Part 1 および 2 に

分けて WD が作成される.

(3) その他の WG 4 標準化項目

Application Security,ICT Readiness for Business

Continuity,および,Cyber Security の Study Period

が終了し,NP に進む.

5.5 WG 5(ID 管理とプライバシー技術)

(1) 24745 “Biometric Template Protection”につ

いて,実現の困難性の観点等から見直しが必要となっ

た.これに対し SC 37 に必要性を問いかけた後,さら

に要請がなければ打ち切る方向となった.

(2) 24761 “Authentication Context for Biometrics”

は 3rd CD が作成される.エディタは才所敏明(東芝

ソリューション)から山田朝彦(東芝ソリューション)

に交代.

(3) 29100 “Privacy Framework”は,2nd WD が作成

される.

(4) 29101 “Privacy Reference Architecture”は,

1st WD が作成される.

(5) 29115 "Authentication Assurance"は,1st WD

が作成される.

(6) 24760 "A Framework for Identity Management"

は 3rd WD が作成される.

(7) その他の WG 5 標準化項目

(a) WG 5 は多数の機関とリエゾンを結ぶ.

(b) 次回,2007 年 10 月のスイス会合前に ITU-T と合

同ワークショップが開催される予定.

5.6. SC 27 直下の作業

(1) WG 5 Convener 選出について,米国の候補者が辞

退し,ドイツの Kai Rannenberg がに選出された.

(2) SC 27 Fumy 委員長は,任期 3 年 2 回までを超え

ての続投になるが,他に立候補がなく続投に全会一致

で賛成と議事録に明記し,JTC 1 の反応を見る.

(3) WG 2 Convener については,1 回目の任期 3 年が

終了した苗村 Convener の再任となった.

6. その他(今後の進め方に関する特記事項)

6.1 プライバシーの国際標準化について

プライバシーの国際標準化について,検討範囲が広

く引き続き多くの識者の意見も参考にしていく.

6.2 ISMS 以外のセキュリティ管理,サービス標準

新設された WG4 で,審議が開始される Application

security,ICT Readiness for Business Continuity,

および,Cyber Security などは,ISMS との関係で,

うまく位置付けしていくことが重要.

6.3 新規の暗号提案の扱い

ロシアから 1件,中国から 1件,日本から 2件の新

暗号/プロトコルの提案に対し日本としても考え方を

整理し,適切に臨んでいく必要がある.

6.4 次回 SC 27 総会の開催予定

2008-04-21/22 京都(日)

■ SC 28(Office Equipment/事務機器)総会報告

SC 28 国内委員会(JBMIA)

委員長 三橋 慶喜(科学技術振興機構)

1. 開催場所:松本(日)

2. 開催期間: 2007-05-28/06-01

3. 参加国数/出席者数:7 カ国/45 名

議長(斉藤輝[コンサルタント]),セクレタリ(熊倉

和正[リコー]),豪(1),中(2),独(1),韓(3),フィ

リピン(1),米(9), 日(27:三橋慶喜[HoD],小渋弘明

[コンサルタント],仲谷文雄[富士ゼロックス],出井

克人[キヤノン],大久保彰徳[リコー],宮下隆明[リ

コー],臼井信昭[PFU],伊藤丘[KMBT],稲垣敏彦,今

河進[リコー],藤田徹[セイコーエプソン],木村重昭

[リコー],伊藤哲也[KMBT],村井和夫[リコー],佐田

和泉[セイコーエプソン],山本隆之[ブラザー],早川

均[セイコーエプソン],浜田信明[セイコーエプソン],

平田雅一[キヤノン],中知子[セイコーエプソン],加

藤真一[セイコーエプソン],吉田信司[富士ゼロック

ス],谷川耕一[キヤノン],海老沢功[キヤノン],山

崎茂[リコー],渡邊仁美[METI] 櫻井穆[事務局,

JBMIA])

4. 議事内容

4.1 概要

日本で開催され,総会前およびその間に,合計 5グ

ループの会議が開催され,それぞれの専門家が総会に

も参加したので,日本人参加者は例年の約 2倍強とな

った.海外からの参加者は参加登録後取りやめとなっ

た人が数名ほどあり,例年より少ない.フィリピンか

ら初めて参加者があったが,これは米国企業の現地関

係者である.オーストラリアが,Oメンバから Pメン

バへの昇格を内定しているので,総会への参加も予測

されたが実現しなかった.

WGs の活動が活発になり,今後 7 月,9 月,10 月,

来年 1月,5月に WGs 会議が予定され,その対応を確

立する必要がある.SC 28 の活性化,組織改革,ロー

ドマップの策定などを検討する AWG(Advisory

Working Group)の議論が進捗して多忙となったので,

コンビーナ(韓)を支援するため事務局を日本(宮下,

リコー)が受け持つこととなった.AWG からは,NP 提

案の承認条件を緩和する提案がまとめられ,総会で承

認した(Resolution 26).今後,SC 28 セクレタリが

JTC 1 へ次の文書を提出する.

Resolution Matsumoto 26/2007 Requirements for NP

approval

SC28 instructs the Secretariat to request that

JTC1/ISO TMB allow an exemption of Q3, whereby the

NP requirements for approving an NP be a yes vote

of either 30% or 5 P member NBs. Justification to

accompany the request is provided by AWG by the end

of July 2007. The SC28 considers this necessary in

order to get more NPs approved.

4.2 AWG (戦略検討とロードマップ)

(1) Stage 0 のプレゼンは WG レベルで行い,市場の

要請と技術内容を示すことと,総会での紹介も要望す

る.科学的興味のみの NP 提案は排除することを暗に

述べている.

(2) WG の組織,そのスコープ,役員の役割などにつ

いて,参照文書を十分検討し,次回 AWG 会議(10 月)

の 4週間前までに,各国に文書を提出することを義務

づけた.特に OWG (Other Working Group)の活用につ

いてはその正当性が課題となる.(Resolution 22)

4.3 WG 2(消耗品・イールド)

(1) 出版済み IS(19798, 24711, 24712)の編集上の

変更要請を ITTF に要請する.

(2) フォトイールド測定法(WD 29102)およびフォト

イールド・テストチャート(WD 29103)は 7月初めに

各国に配布し,各国はこれを検討して,次回会議(10

月オーストリア)の 1ケ月前までに,テスト結果とコ

メントを提出する.

4.4 WG 3(複写機・複合機の生産性)

ディジタル・プリンタ生産性測定方法(WD 24734)

およびディジタル複写機生産性(WD 24735)では日本

からの電子写真方式とインクジェット方式との分離

提案は合意が得られず,議論が続き,文書作成も遅れ

ている.そのため,FCD 登録締め切り日を 2007 年 8

月から2008年 2月に延長するようにITTFに申し入れ

ることにした.(Resolution 07)もし,ITTF がこの

提案を受け入れないときは,来年の SC 28 総会に,こ

の内容の NP を提案することにした.(Resolution 11)

4.5 WG 4(画質測定)

(1) スキャナの特性測定についてはTC 42とのより密

接な連携が必要.

(2) 画質属性測定規格(WD 24790)は日本がエディタ

を引き受けて,9月には文書を各国に配布する.

(3)白黒レーザプリンタの解像力測定法およびテスト

チャート(WD 29112)の進捗をはかるため,中国・韓

国へ文書提出を要請した.

4.6 SIG-CC (Special Interest Group-Color

Comparison)

ドイツ提案文書 Vision Document は SC 28 の合意

でないことを明らかにするよう,著者の T.

Schmeltzer 氏に要求する.各国は上記文書に関連し

て消費者ニーズと市場の要請の観点から,8 月 15 日

までに寄書を行う.

4.7 プレゼンテーション

(1) Stage 0 米国提案 カートリッジ特性: 8 月 15

日までに NP 提案するように依頼した.

(2) Fast Track 日本提案「アクセシビリティ(JIS X

8341-5)」の説明: 大久保

4.8 リエゾンレポート,他 および オフィサー任命

・ ISO/TC42 臼井信昭(再) & Ann McCarthy(新)

・ ISO/TC130 臼井信昭(再) & Yee Ug(再)

・ ISO/TC171 臼井信昭(再)

・ SCIT Report T. Schmeltzer(再) & K. Richter(新)

・ CIE Div 8 Ann McCarthy(再) & K. Richter(新)

・ IEC/TC100 T. Schmeltzer 交代→仲谷文雄(新)

・ Ecma TC38 P. Menard(再)

・ (Ecma TC on XPS) Ann McCarthy(予定)

・ SC 28 Ambassador 櫻井穆(再)

4.9 コンビーナの任命

・ AWG Choon-Woon Kim (next three year 再)

・ WG 2 Paul Jeran (next three year 再)

5. 今後の開催予定

2008-05-26/30 バブリンゲン(独)

6. その他

(1) 松本市および松本コンベンションビュウローの

多大な支援や,事務局である JBMIA の多大な努力によ

り,無事に総会を運営することができた.ホテルは

JR 松本駅前に位置し,会場までは徒歩 5 分であり,

雨もほとんど降らず,快適な毎日であった.

(2) JR 松本駅には,SC 28 総会歓迎の看板が立ち,会

議初日には副市長の挨拶,月曜夜には休館中の松本市

美術館の特別見学,中庭での幻想的なレセプションな

ど,地方都市での暖かいおもてなしが印象的であった.

(3) ホテルでは無料の高速インターネットが利用で

きた.会議場にも無線 LAN 設備が特別に用意された.

(4) 国際空港(成田,関空)からは交通の便が悪いと,

海外からの参加者からの不満もあるのではと思われ

たが,不評ではなかった.四百余年の歴史を持つ国宝

松本城に無料招待で登城したり,蜂の子,イナゴの佃

煮,馬刺し,わさびのアイスクリーム,そして地酒な

ど,東京では味わえない物を海外参加者と一緒に楽し

むことができ,地方開催のメリットがあった.ホスト

国として,参加者への便宜は十分であったと思われる.

(5) 総会経費のうち会議室利用代金は公共施設のた

め格安であった.

■ SC 29(Coding of Audio, Picture, Multimedia and

Hypermedia Information/音声,映像,マルチメディ

ア,ハイパーメディア情報の符号化)総会報告

SC 29 専門委員会

委員 金子 格(東京工芸大学)

1. 開催場所:サンノゼ(米)

2. 開催期間:2007-05-01/02

3. 参加国数/出席者数: (10 カ国/24 名)

議長(浅井光太郎[三菱電機]),セクレタリ(小倉由

紀子[ITSCJ]),豪(1),中(4),仏(3),独(1),伊(1),

日(1:金子格),韓(1),スイス(1),英(2),米(6), WG

1 コンビーナ, WG 11 コンビーナ(兼 伊),3GPP (兼

米), IFPI(任 英), SMPTE (2,任 米)

4. 特記事項

4.1 標準化案の承認等 (Res 1)

下記の標準化案のすべてについて,次段階に進むこ

とを全員一致で承認した.

-IS/AMD/COR の承認 35 件

-FDIS/FDAM の承認 33 件

-FCD/FPDAM の承認 29 件

-CD/PDAM/PDTR の承認 29 件

4.2 標準化項目の見直し,変更 (Res 2)

-Subdivision

・ SC 29 N 8384 (JTC 1.29.14.014 (15444-14 JPEG

2000 XML))

・ SC 29 N 8394 (JTC 1.29.13.025 (14496-25 MPEG-4

3D compression))

・ SC 29 N 8395 (JTC 1.29.15.012 (15938-12 MPEG-7

Query format))

・ SC 29 N 8397 (JTC 1.29.18.010 (23000-10 MPEG-A

Video serverance application format))

- Minor Enhancements 12 項目

JBIG(1 件),JPEG 2000(1 件),MPEG-4(9 件)

MPEG-21(1 件)

- タイトル変更 3 項目

SC 29 Current Proposed

15444

-12

/Amd 2

Hint track format

for FLUTE

transmission,

multiple meta box

support and

streaming server

instructions

Hint track format

for ALC/LCT and

FLUTE

transmission and

multiple meta box

support

23001-3 Binary to XML

mapping for IPMP-X

XML IPMP messages

23002-2 Fixed-point 8x8 IDCT

and DCT transforms

ixed-point 8x8

IDCT and DCT

4.3 スケジュール

標準化スケジュール SC 29 N 8501 を承認した.

4.4 プロジェクトエディタ

23 名の新任,1名の退任を承認した.(Res 4)

新しく任命された JNB 在籍エディタは以下の通り

・ 鈴木輝彦: 14496-4:2004/Amd.1/Cor.2

・ 山田昭雄: 15938-10:2005/Cor.2

4.5 Registration Authority

SC 29 N 8405(ISO/IEC 21000-18 への RA 任命リク

エスト)を検討し,CISAC を RA として推薦することを

承認した. (Res 5)

4.6 Freely Available Standards

下記のビットストリーム,参照ソフトウェア(いずれ

も標準の適合性試験に利用されるツール)を ITTF ウエ

ブサイト上で無償提供することを勧告した.(Res 6)

・ ISO/IEC TR 14496-7

MPEG-4 Optimized Reference Software

・ ISO/IE 23002 (関連するパート)

MPEG Video Technologies Conformance testing

bitstreams, Reference software

4.7 SC 29/Advisory Group on Management (AGM)

AGM の Terms of Reference を修正した.会議を行

う手順が下記のごとく規定された.

“telephone conference or face-to-face meetings

may also be requested by AGM members. The final

decision on holding such a meeting, its format and

location (if any) will be made by AGM Convener and

a notice will be issued at least 8 weeks in

advance.” (Res 7) 4.8 ISO/IEC 10918-1:1994 に関する UK 寄書

今回の UK 寄書 (SC 29N8319)では,検討すべき事項

が明確ではなかったため,具体的検討に至らなかった.

UK に対して,検討すべき事項について,より詳しい

説明を求めことにした.(Res 8)

4.9 特許関連

ITU-T/ITU-R/ISO/IEC 共通特許指針(Common Patent

Policy)を採用したことに対応し,SC 29 IPR ガイドラ

インを修正した.具体的には ITU-T/ITU-R/ISO/IEC 共

同特許指針を参照するよう文面を修正した.(Res 9)

また,SC 29 の各 WG に対し,WG への寄書には,こ

の Common Patent Policy を承知していることを宣言

する文を記載することを推奨した.具体的な文面は

AGM で検討することとなった.(Res 10)

4.10 アドホックグループ(Ad Hoc)の運営

Ad Hocの運営方法について,各WGのサブグループ,ア

ドホックグループに情報を求めることとした.(Res 11)

4.11 SMPTE および VC-1,RVC,ARO に関して

SMPTE(Society of Motion Picture and Television

Engineers)の Gavin Schutz 氏により,SMPTE が

RVC(Reconfigurable Video Coding Standard)に対し

関心を寄せたことを,SC 29 は歓迎した.RVC は WG 11

により標準化中であり,異なる標準化団体によって標

準化されたビデオ符号化の相互運用性を高める可能

性を有している.

SMPTE は WG 11 が実施する RVC コア実験に,SMPTE

の技術専門家を参加させることを推奨し,RVC

(ISO/IEC 23001-4)の開発を目的とするVC-1仕様と参

照ソフトウェアの自由な利用を提供する.(Res 12)

SC 29 は SMPTE が ARO(Approved RS Originator

Organization)として JTC 1 に承認されるための申請

を承認した.(Res 13)

4.12 投票プロセス

JTC 1に SC29N8502を送付することとした.現在 JTC

1 で検討されている投票プロセスの変更案において,

5ヶ月の ISO DIS 投票の導入が予定されているが,そ

れを 4 ヶ月に短縮することを求める.SC 29 の WG の

ように敏速なIS化のため3ヶ月毎に会議を行う場合,

5ヶ月のDIS投票とした場合IS開発期間が現状より4

ヶ月増加するが,4 ヶ月とした場合 IS 開発期間は 1

ヶ月の増加にとどまる.

4.13 IPR 方針の調査

JTC 1/Ad Hoc Group on Effectiveness and

Efficiency の活動の一つとして,他標準化団体の IPR

方針を調査することを要望することにした.(Res 15)

4.14 その他

(1) ビジネスプランを更新した (Res 16)

(2) SC 29 ウエブサイト,FTP サーバーのパスワード

を更新した (Res 17)

(3) JTC 1 アクセシビリティ SWG に下記 2名を SC 29

代表として任命した.(Res 18)

・ Kate Grant 博士,UK(全体)

・ Richard Clark 氏,UK(Ad Hoc 12: ウエブサイト

アクセシビリティ)

(4) JTC 1/SWG on Archival and Retrieval mechanism

のSC 29代表に Richard Clark氏を任命した (Res 19)

(5) Ad Hoc Group on Effectiveness and Efficiency

への SC 29 代表を任命した.(Res 20)

・ Kate Grant 博士(英)

(6) 前回会合報告を承認した (Res 21)

(7) SC 29 P メンバの投票状況,プレナリ出席状況を

ITTF に報告する.(Res 22)

4.15 SC 29 開催方法の改善

UK 提案 SC 29 N 8322(SC 29 の活動方法)を検討し

た.SC 29 は SC 29NB と WG コンビーナに,SC 29 総会

の開催頻度と開催方法についての提案を求めた.SC

29 は AGM に提出された提案を検討し,次回 SC 29 会

合に報告することを要請した.

5. その他

(1) DIS 投票期間に関する補足

SC 29 が DIS 投票期間の延長になぜ不満かが,明確

に外部に伝わっていないかもしれない.

標準も他の製品開発と同じく,仕様策定時に想定し

たニーズと,完成時のニーズとの誤差が小さいほど有

用な標準となる.仕様策定から利用開始時(出版時)

までの期間が増大すると,誤差は比例ではなく指数関

数的に増大する.数ヶ月の延長が非常に深刻な影響が

あると懸念される.

(2) SC 29 の活動方法に日本以外から提案があるが,

具体的で有益な提案に結びつきそうにない.

電話その他の通信手段の活用(Res 4.7)は,一般的

には有益ではあるが,それだけで有益な標準化に大き

く寄与するとは期待できない.日本からは,有益な標

準が生まれるための寄与を目指したい.

(3)第 20 回 SC 29 総会 Resolutions

http://www.itscj.ipsj.or.jp/sc29/open/29view/29

n8406c.htm

6. 今後の開催予定

2008-07-28/29 ハノーバ(独)

■ SC 31 ( Automatic Identification and Data

Capture Techniques/自動認識およびデータ取得技

術)総会報告

SC 31 専門委員会

委員 小橋 一夫(松下電器産業(株))

1. 開催期間: 2007-06-08

2. 開催場所: プレトリア(南ア)

3. 参加国/出席者数: 16 カ国,3団体/48 人

議長(Chuck Biss,米),セクレタリ(Frank Sharkey,

米),南ア(3),豪(1),オーストリア(1),加(2),中

(4),仏(2),独(1),イスラエル(1),蘭(2),韓(5),

露(2),シンガポール(3),スウェーデン(1),英(2),

米(5),GS1(3),AIM(1),TC104/122(1),日(6:柴

田彰[HoD,デンソーウェーブ],遠藤芳樹[経済産業

省],吉岡稔弘[AI 総研],渡辺淳[デンソーウェー

ブ],本澤純[日立],小橋一夫)

4.概要:

今回の総会は,SC 31 の 10 年間で初のアフリカ大

陸での会議であった.SC 31 総会以外に,WG 2,WG 4,

その他 SG の会議等も開かれたので,遠くにもかかわ

らず,非常に多くの国,メンバが参加した.また,Chuck

Biss 議長になって最初の会議であると共に,会議期

間を 1日とした初の総会であったが,新議長の手際の

良い議事進行で,Agenda の全内容を時間内に終える

ことができた.

大きな動きとしては,「モバイル RFID」を検討する

ためのアドホックグループが構築され,この方面での

取組をどうするかの検討がスタートした.この議論を

主導しているのは,韓国と米国である.

日本からは,経済産業省・遠藤係長にご出席いただ

き,RFID 普及に向けた日本の取組の紹介と,多様に

なってきた AIDC メディアを効果的に運用するための

ガイドラインの必要性を説明した.この内容に対し,

さらに検討を続け,NP として提案することを期待す

る旨が Resolution に記載された.

5. 特記事項

5.1 事務局報告(F. Sharkey)及びプレ会議から

(Chuck Biss)

・ 各プロジェクトの進捗状況は,極力リアルタイ

ムで SC 31 サイトの Program of work に反映し

ているので適宜参照の事.この項目は「Open

document」である.

・ SC 31の総会開催頻度については,これまで通り,

年 1回とする.

・ SC 31サイトを ISOの WEBサイトに移してからの

問題点として,アクセス制限の話が出ている.

そのほかにも問題点等があれば,セクレタリに

連絡の事.

5.2 各 WG 状況の報告

(1) WG 1(データキャリア)

ⅰ) 前回プレナリ以降,3回の会議を開催.

ⅱ) 個々のプロジェクトの審議状況について紹介が

行われた.主な内容は以下の通り.

・ 改訂 2版の発行(QR code,PDF417,Data Matrix)

・ FDIS 投票終了(Code 128,Interleaved 2 of 5,

Code 39)

・ 新規発行(EAN.UCC composite,RSS,Micro PDF)

・ 新規プロジェクトAztec codeはFCD投票が終了.

ⅲ) WG 1 ドキュメントは,全て SC 31 サイトに登録

してある.他の WG も同様に登録をしっかり行う

べきである.

ⅳ) 今後のテーマとして,Direct Parts Marking の

ガイドライン,Alpha code,4i(UPU)などがある.

ⅴ) 次回会議は,9月 28 日にロングアイランド(米)

で開催.

(2) WG 2(データストラクチャ)

ⅰ) 前回プレナリ以降,1回(グラーツ,オーストリ

ア)の会議を開催.その他に 2回の BRM を電話会

議で開催.

ⅱ) この 1年間の主要作業項目は,ISO/IEC 15459 シ

リーズであった.Part 5:Returnable transport

item と,Part 6:Product groupings は FDIS 投

票が終了し,発行待ち.

ⅲ) グラーツ会議で 15459 シリーズの各パートタイ

トルの整合性を図り,修正した.

ⅳ) 今後のテーマとしては,日本から提起された

「AIDCメディア間のデータ構造の調和」がある.

ⅴ) 次回会議は,1月 15 日にフロリダ(米)で開催.

(3) WG 3(コンフォーマンス)

ⅰ) 前回プレナリ以降,3回の WG 会議と 3回の SG 会

議を開催した.

ⅱ) 現在,WG 3 の抱えているプロジェクトは 20 個(IS

と TR 合計)ある.

ⅲ) 5 年見直しが 6件,審議中のものが 7件という状

況である.

ⅳ) 諸事情の発生で,新たなプロジェクトエディタが

必要な案件がある.

ⅴ) RTLS に関する Conformance/Performance が新規

プロジェクトとしてスタートした.

ⅵ) また,セクレタリがリタイアしたので新たなセク

レタリも必要である.候補者提示等,各国の支援

をお願いしたい

(4) WG 4(RFID)

ⅰ) 前回プレナリ以降,3回の WG 会議を開催した.

ⅱ) 改訂中の ISO/IEC 15961(データプロトコル)は,

EPC 他,関連する規格類との調整に時間を要して

おり,期間延長を申請したい.

ⅲ) エアインタフェース規格は 2004 年に発行したが,

Battery assist と Sensor 機能対応で改定中.CD

および FCD 投票段階にある.

ⅳ) Regulatory に関しては,中国で UHF 対に関して

認可されたとの報告があった.

ⅴ) 今後,National Body 報告の中に Regulatory 情

報を記載することを要請したい.

ⅵ) モバイル RFID に関して,ワシントン会議で韓国

からプレゼンテーションがあった.韓国に NP 提

案を要請する.SC 31には,モバイルRFIDのAd hoc

構築を要請する.

(5) WG 5(RTLS)

ⅰ) 7 カ国が参加している.2004 年の開始以来,6回

の会議を開催した.

ⅱ) 24730-1(API)と 24730-2(2.45GHz エアーイン

タフェースプロトコル)は発行され,24730-3

(433MHz エアーインタフェースプロトコル)と

24730-4(グローバルロケーティングシステム)

は Cancel になっている.

ⅲ) 新たに,24730-3(2.45GHz CSS 方式エアーイン

タフェースプロトコル)として提案されたプロジ

ェクトは投票をパスし,6 月 28 日から BRM 開催

予定.これについては,24730-5 にパート番号を

訂正する.

ⅳ) 今後期待される内容としては,UHF を利用した新

規プロジェクトが考えられる.

(6) Vocabulary

ⅰ) 5パートに再編された19762が現在投票中である.

ⅱ) 8 月 17 日に電話会議で BRM を開催する.

5.3 各国からの報告

数カ国から,事前に提出された National Body

Activity Report に補足して,いくつかのプレゼンテ

ーションが行われた.日本からは,経済産業省・遠藤

氏から,①RFID 普及に向けたこれまでの実証実験等

の取組,②今年からスタートの新電子タグ・電子商取

引イニシアティブの取組,それと③RFID の普及の面

において,各種 AIDC メディアとのデータ構造ハーモ

ナイズに関するガイドライン作成の必要性をプレゼ

ンテーションした.

この日本からのプレゼンテーションに関しては,WG

2 の新規作業項目としてさらに検討し,新規作業項目

として提案することを支持する旨が Resolution に記

載された.

5.4 モバイル RFID に関する米国提案

米国から,WG 4報告にあったモバイルRFIDのAd hoc

設立に関して,補足する提案が提出された.その内容

は,Ad hoc 名称と検討範囲,作業期間,参加者,コ

ンビーナ等に関するもので,第 1回会議日程まで含ま

れていた.SC 31 Resolution にも併記された.

5.5 リエゾン報告

以下のリエゾンからリエゾン報告が行われた.

SC 17,SC 37,TC122,TC104,TC184/SC4,TC211,

AIM Global,GS1,IEEE,ITU-R,ITU-T,UPU

6. Resolution(注目点のみ)

(1) 今後の National Body 報告には,RF のレギュレ

ーション状況を含める.

(2) SC 31 は,JTC 1 に「RF(電界,磁界)を出す全

てのデバイスのコンフォーマンス規格は,『本規格に

適合することを要求するデバイス製造者は,RF 放射

(emission)が,IEEE C95.1:2005 か,IEC 62369-1

に従う ICNIRP で規定される最大暴露限界許容値を超

えないことを製造者自らが示さなければならない.』

と注記した章を含めるべきである」と要求する.

(3) SC 31 は,JTC 1 に「健康管理(Health care)用

に使用される RF(電界,磁界)を出すすべてのデバ

イスのコンフォーマンス規格は,『本規格に適合する

ことを要求するデバイス製造者は,RF放射(emission)

と感受性(susceptibility)が IEC 60601-1-2 に合致

することを製造者自らが示さなければならない』と注

記した章を含めるべきである」と要求する.

(4) モバイル RFID に関する Ad hoc を設立する.

(5) 全てのタイプの AIDC メディアにおけるデータ構

造のハーモナイズに関する検討を進め,必要に応じ,

NP を提出することを支持する.

(6) 各 WG と SG コンビーナに,それぞれの番号付与ド

キュメントを SC 31サイトにメンバ配布後 2週間以内

に掲載するよう指示する.

7.次回開催予定

2008-06 トロント(加)

■ SC 37(Biometrics/バイオメトリクス)総会報告

SC 37 専門委員会

委員長 瀬戸 洋一(産業技術大学院大学)

1. 開催場所: ベルリン(独)

2. 開催日時: 2007-06-25/26

3. 参加国数/出席者数:18 カ国,6リエゾン/50 名

議長(Fernando Podio,米),セクレタリ(Lisa

Rajchel,米),オーストリア(1),豪(2),加(1),中

(2),仏(1),独(2),伊(1),アイルランド(1),日(3:

向井幹雄[ソニー],池野修一[セコム],瀬戸洋一

[HoD]),韓(1),マレーシア(4),ニュージーランド(3),

露(3),シンガポール(2),南ア(2),スペイン(2),英

(5),米(10),リエゾン(SC 27,SC 31,ILO,BIOAPI,

IBIA,Biosec(1))

4. 内容

4.1 概略

(1)SC 37 は,2004 年のシドニー会議で WG が正式に立

ち上がり,3 年が経ち,組織再編の時期に来ている.

WG 間で作業負荷の偏り,また,WG 間をまたがる開

発案件が多くなり,調整を図ったが,2006 年のロン

ドン総会では,議論がまとまらなかった.2007 年 10

月に開催の JTC 1 総会で承認を得るため,2007 年 1

月ウエリントンで HoD 会議,5 月米国 ANSI での

Special Group Meeting を開催し,WG の Program of

Work(PoW)などの調整を行い,この調整に基づき SC 37

ベルリン総会で,組織体制について審議・承認された.

ベルリン総会は,事前調整を行ったため,大きな争点

がなく,議事が進行した.

(2) Conformance(適合性)関係のプロジェクトが多く

なった(WG 2,3,5).これは,物差し作成から物差し

の使い方に標準化がシフトしていることを意味する.

(3) SC 37 の国際議長は,Fernando Podio 氏(米)が

2期目続投で再任された.次回の JTC 1 総会で承認さ

れる予定.

(4) 主査の見直しがあり,WG 3:Christoph Busch 氏

(独),WG 5:Philip Statham 氏(英)が選出された.

他の WG 主査は続投となった.

(5) 中国からは,WG に 5 人の参加,総会には 2 名の

参加した.国際標準化会議への出張は年1回(総会)

しか認められていないとのことで,ロンドン総会以来

の参加である.顔に関し WG 3 に NP 提案する予定とい

う意見あり.

4.2 SG および WG 活動

(1) 議長より Special Group Meeting(2007-05-22,

ANSI,ワシントン DC)の報告があった(37N2146).

参加者は WG 主査など 13 名.日本からは向井氏(ソニ

ー)が参加.Special Group Meeting の目的は,SC 37

の PoW,WG の体制および Terms of Reference に関す

るベルリン総会対応の事前調整である.つまり,SG

会議では,WG 間で議論がまたがる「Conformance,

Interoperability,Quality Assessment」に関し,開

発中の異なる標準化間での協力体制,「 data

interchange,profile」など異なるレイヤーで進む標

準化案件の協力体制など,WG の連携を効率よく進め

るための Terms of Reference などの見直しに関する

調整案の策定を行った.

ベルリン総会では,調整案に関し,審議が行われた.

この結果,基本的には WG 構成は変更せず,現状の 6

つの WG 体制で協力関係を密に行う観点での Terms of

Reference の変更を行った.また,5年の視点で SC 37

を維持するための Special Group Meeting を設置する

ことになった.

Special Group Meeting では,技術の進展にあわせ

た PoW の検討,WG 間の連携を密にする検討を行うこ

とになった.

(2) 各 WG 主査より,ウエリントンおよびベルリン両

会議の報告があった.

① WG 2 は,栗田氏(セキュアデザイン)が 24709-3

BioAPI Conformance Testing,Part 3: Assertions for

BioAPI Frameworks の Editor,および,山田氏(東

芝ソリューション)が 19784-1 Amd.3 -- Support for

interchange of certificates and security

assertions, and other security aspects の Editor

に就任したとの報告があった.

② WG 3 主査は,Christoph Busch 氏(独)が新任主

査として承認された.WG 3 は開発案件が非常に多く,

また,複雑である.現在,メイン作業は以下の 3つの

プロジェクトである旨の報告があった.19794:標準

メンテナンス,29109:コンフォーマンス,29794:

Quality Assessment.

③ WG 4 は , 24713-1 Biometric profiles for

interoperability and data interchange – Part 1: Overview of Biometric System and Biometric

Profiles が FDIS に進んだ.Part 2: Physical access

control for employees at Airport の投票が 6 月末

であったため,ベルリン会議では,Part 3 の WD

Comment 処理のみとなり,活動報告もあっさりとした

ものであった.Part 2 に関して,Ballot Resolution

Meeting を 9 月 13 日に米国ボルチモアで開催すると

の報告があった.

④ WG 5 は,Philip Statham 氏(英)が新任主査とし

て承認された.内田氏(NEC)が Editor を務める

19795-3 Biometric Performance Testing and

Reporting – Part 3: Modality Specific Testing(個

別モード試験法)DTR の作業が完了した.

日本から問題提起を行ってきたバイオメトリクス

システムの要求性能の明確化を検討する Special

Group の設置が決まった.group 名称は,Guidance for

specifying performance requirements to meet

security and usability needs in application using

biometrics であり,BSI がホストとなり,Marek

Rejman-Greene 氏(英)が Chair としてまとめること

になった.

重要な案件であり,日本からも専門家を参加させる

必要がある.

⑤ WG 6 は,WG タイトルを明確にするため Biometrics

を追加した(Cross-Jurisdictional and Societal

Aspects of Biometrics).開発プロジェクトのタイト

ルが長いため,変更があった.24714-1 Biometrics --

Jurisdictional and Societal Considerations for

Commercial Applications -- Part 1: General

Guidance ,24714-2 Biometrics -- Jurisdictional

and Societal Considerations for Commercial

Applications -- Part 2: Specific Technologies and

Practical Applications.

この文言のなかで,commercial application(民間

応用)に限定するか否か若干もめた.米国は,強く民

間利用に限定する発言があった.英国のみ限定に反対

であったが,賛成多数で,民間応用に限定した表現と

なった.

24714-1PDTR 投票時のコメント処理は順調に進み,

DTR 投票に進むことになった.

4.3 リエゾン関係

(1) SC 17,SC 31 からは口頭で状況報告があった.

ILO(Cambell 氏),SC 27(Greg Cannon 氏),Biosecure

Network of Excellence(Petrovska氏),IBIA(Valencia

氏)からはプレゼンテーションがあった.特記事項は

なし.

(2) ILO に SC 37 よりリエゾン文書を発行

(3) 活動がないため,BioSec Consortium,Biosecure

Network and Excellence とのカテゴリ A リエゾンを

継続しないことになった.

(4) VoiceXML Forum と SC 37/WG 3 がカテゴリ Cリエ

ゾンを結ぶことになった.JTC 1 で承認を受ける予定.

(5) 活動がないため,TC68/SC2 とのリエゾン関係を

継続しないことになった.

(6) SC 27 との関係強化のための SG を設置すること

になった.Chair は米国の Greg Cannon 氏が対応する

ことになった.

5. 今後の開催予定

5.1 総会

2008-07 韓国

2009-07 ロシア

2010-07 マレーシア

WG も開催

5.2 WG ほか

2007-09 Ballot Resolution Meeting

ボルチモア(米)

2008-01 WG テルアビブ(イスラエル)

2009-01 WG ハワイ(米)

2010-01 WG シンガポール

∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽

<2007 年 9 月以降 国際会議開催スケジュール>

JTC 1 2007-10-08/13 Gold Coast,Australia

JTC 1 SWG Directives

2008-03-11/14 London,UK

SC 2 2008-04-24/25 USA

SC 6 2008-04-07/11 Geneva,Switzerland

SC 7 2008-05-18/23 Berlin,Germany

SC 17 2007-10 Germany

SC 22 2007-09-25/28 Singapore

SC 23 2007-09-20 Montreux,Switzerland

SC 24 2008-06-23/27 Monterey,USA

SC 25 2007-09-07 Jeju Island,Korea

SC 27 2008-04-21/22 京都,日本

SC 28 2008-05-26/30 Boblingen,Germany

SC 29 2008-07-28/29 Hannover,Germany

SC 31 2008-06 Toronto,Canada

SC 32 2008-05-19/30 Sydney,Australia

SC 34 2007-12-08/11 京都,日本

SC 35 2008-02-18/22 福岡,日本

SC 36 2007-09-17/21 Toronto,Canada

SC 37 2008-07 Korea

<解説:モバイルインタフェース>

SC 35/WG 4 国内委員会

主査 松原 幸行(キヤノン(株))

1.はじめに

SC 35 は,JTC 11組織内において,ユーザと IT 機器

間のインタフェース要素に対する技術規格の制定を

主管とする委員会である.SC 35 の規格審議範囲には,

キーボードやマウス,ポインタ,ペンなどの入力方法

や,画面表示,音,触覚などの入出力の作法,声やジ

ャスチャによるコントロール方法,シンボルやアイコ

ンの表示方法,ダイアログコントロールやナビゲーシ

ョン方法など,様々なインタフェース要素が含まれる.

規格審議を行うワーキンググループ(WG)は,キーボ

ード(WG 1),アイコン(WG 2),シンボル(WG 3),

モバイル機器関連(WG 4),文化的言語的適合性(WG 5),

アクセシビリティ関連(WG 6)ならびに UI(User

Interface)オブジェクトと属性の定義(WG 7)の 7

つが設けられている(図1を参照).本論文は,この

中の WG 4 の活動について解説するものである.

2. モバイルインタフェースの標準化動向

昨今,IT が国際的に普及し,コンピュータの小型

化多様化が進んでいる.最新の製品では,モバイル用

途を目的とした個人向けの IT 機器が多数商品化され

ており,普及の一途をたどっている.WG 4 では,こ

れらモバイル機器を対象に,現在まで,「ISO/IEC

14754:ペンベースシステムにおけるテキスト編集の

ための共通ジェスチャ(以後,ジェスチャ規格)」や,

「ISO/IEC 18021:クライアント サーバモデルでの通

信によるデータベース操作のためのモバイルツー

ル・ユーザインタフェース(以後,モバイルツール規

格)」について,規格制定に取組んで来た.前者のジ

ェスチャ規格は,ジェスチャ,つまりペンを用いて文

章編集するための入力命令に関するもので,当時タブ

レット PC やモバイル機器で普及しつつあったペン操

作を見据えたものであった.1994 年に新規作業議案

(New Proposal,以後 NP 案)が通過し,1999 年に

International Standard(IS)が制定された.さらに

2005 年に,JIS X 9302 として国内規格が発行されて

いる.後者のモバイルツール規格は,モバイル機器と

ローカルエリアネットワーク内にあるホストサーバ

ーが通信を行うためのプロトコルや,UI 操作の指示

とその反応を通知するしくみについて規定したもの

である.1999 年の前半に NP 案が承認され,2001 年の

後半に IS が制定された.

これらモバイル機器を取り巻く通信環境や,操作の

1 ISOと IECの Joint Technical Committee #1で,スコープは Information technology分野である.

図1:SC 35 委員会の構成と役割

多様化に対応したインタフェースの国際標準の開発

を推進していくのが,WG 4 の役割である.モバイル

機器の操作については,最近は画面を直接操作する方

式が増えている.グラフィカル ユーザインタフェー

ス(GUI)上にはアイコンが配置され,指やペンで直

接選択したり移動したりする.直接操作する方式を持

たない携帯電話などでも,親しみやすさや分かりやす

さなどからもアイコンを画面に配し,画面の傍に配し

た十字キーで,アイコン上のフォーカスを上下左右に

移動させながら機能を選択していくような GUI を採

用している場合が多い.トップ画面2には,メール機

能やゲームなどの他に,機能設定やバッテリー管理な

ど,使用状態を維持管理するための機能も並べられて

いる.

現在 WG 4 では,モバイル機器の GUI のトップ画面

に配置されるポピュラーな機能に対するアイコンの

規格化,「ISO 24755:個人向けモバイル機器における

画面アイコンとシンボル(以後,モバイルアイコン規

格)」に取組んでいる.モバイルアイコン規格は,現

在 FCD 段階まできている.以降,その規格の趣旨と具

体 的 な 審 議 過 程 に つ い て 解 説 す る .

2 電源を入力しスタンバイモードを終了後,最初に表示される画面.

NP/WD

2003年 2005年

上期 下期

CD

FCD

2006年

FDIS

IS

2004年 2007年 2008年

上期 下期 上期 下期 上期 下期 上期 下期 上期 下期

●12月パリ会議NP投票

●7月ラディソン会議

●2月ベルリン会議

●2月福岡会議にてIS制定予定

●9月済州会議

FCD投票

CD投票

(FDIS投票予定)

SC35委員会(User Interface)

WG1(キーボード)

WG2(アイコン)

WG3(シンボル)

WG4(モバイル機器関連)

WG5(文化的言語的適合性)

WG6(アクセシビリティ関連)

WG7(UIオブジェクトと属性の定義)

※活動はSC3Cに集約した(SC35では活動無し)

JTC1

図 2: IS 制定までの道のり(ISO 24755)

3. これまでの検討経緯

まず,モバイルアイコン規格の審議経緯について述

べる.

モバイルアイコン規格の NP 案は,多くの製品を商

品化し世界へ輸出している日本の立場を鑑み,また経

済産業省の政策方針を受け3,日本から提案した.NP

案は,2003 年に承認され,現在まで,JTC 1 の制定プ

ロセスに従ってワーキングドラフト(WD),コミッテ

ィドラフト(CD),ファイナルコミッティドラフト

(FCD)と審議作業を行ってきた(図 2を参照).

なお,NP 案提案に先立ち,国内 WG 4 専門委員会内

で NP 案の事前検討を行っている.基本的な規格案の

枠組みは,アイコン規格の基本方針を定めている,

「ISO/IEC 11581:アイコンシンボルと機能,パート

1:アイコン-原則(以後,アイコン規格の原則)」に

沿って審議されており,文書の記述方法などもこれに

準じている4.モバイルアイコン規格で取り扱うアイ

コンは,大別すると,次の 3種類に区分されている.

(1) システムセッティング用のアイコン

モバイル機器では,所有者情報を変更するなど,ユ

ーザ自身が機能の初期値などをカスタマイズし,用途

や利用方法に適した設定に変更することが普通に行

われている.本アイコンはトップ画面などに配置され,

システムセッティングのモードへの入口を示すもの

である(図 3を参照).

図 3: システムセッティング用のアイコンの例

(2) アプリケーション アイコン

メール機能やゲームなど一括りに単独で提供され,

固有の目的用途を持ったもので,そのアプリケーショ

ン機能へ移行するための入口にあたるアイコン.モバ

イルアイコン規格では,11 種類のアプリケーション

アイコンを審議検討している5(図 4を参照).

左から,アドレス帳/Webブラウザー/ノートブック

図 4: アプリケーション アイコンの例

3 「日本発の ISO/IEC 規格」を目指す.ISO などの国際規格制定でイニシアティブを確保し,国際社会でプレゼンスを

発揮する,との方針. 4 ISO/IEC 11581-1 参照 5 メール機能など,ISO 11581-2 で既に規格化済のアイコンを含む.

(3) デバイス アイコン

モバイル機器内のデバイス機能の基本設定を変更

するもので,モバイルアイコン規格では 8種類を審議

している.メールや電話の着信をバイブレーションで

報知する機能や,キーを一時的に使用不能にする機能

などがある(図 5を参照).

左から,ワイヤレスキャリアコネクション/

キーパットロック/バイブレーション

図 5: デバイス アイコンの例

本区分は,あくまでも NP 案時点でのモバイル機器を

基にしている.モバイル機器は以後も日々進化してお

り,したがって,ここに示した 3区分は普遍的なもの

ではなく,5 年毎の IS 規格の見直し時期に,あるい

は次項で解説する課題へ対応する中で,再考されるべ

きものである.

4. 今後の課題

モバイル機器の進化に応じて,様々な新しいアプリ

ケーションが開発され,商品に実装されている.最近

では,「ワンセグ」のようにテレビジョン放送を閲覧

できるようなものや,「チャットメール」など文字に

よるリアルタイムの相互通信など,様々な新しい機能

も台頭しつつある.またデバイス機能も,生体認証機

能など,時代の要請を受けながら進化しつつある.

様々な使用方法に対応し,また社会的な要請を考慮

しつつ,今日的な用途に即したシステムが開発される.

このようなコンピュータ製品の多様化を踏まえ,アイ

コンの作り方にも工夫が必要となる.一例をあげると,

GUI 用に開発されたソフトウェアを文字表示の UI に

再利用しようとした場合,アイコンで提供される機能

をシステム内部で特定するために,アイコン画像をコ

ード番号などに差替える機能が必要となる6.ちなみ

に文字表示 UI は,読み上げ機能7に簡単に対応できる

ため,視覚に障害を持つユーザに対応する場合,必要

不可欠となる.今後アクセシビリティニーズの高まり

と共に,重要となるであろう.

このような背景を踏まえ,アイコン規格として定め

るべき要求事項は,SC 35 の WG 7 で見直し作業が開

始されている.モバイルアイコン規格の分類やアイコ

ンの種類についても,近い将来見直しが必要になるで

あろう.

6 ISO/IEC FCD 24755 では,「Internal Identifier」と称し,必須遵守項目として記述している. 7 文字を音声合成機能などで読み上げ,視覚に障害を持つユーザでも UIが理解でき,操作できるようにする機能を指す.

また,前述の通り,最近のモバイル機器では十字キ

ー操作を採用するものが増えている.小型情報機器端

末だけでなく,携帯電話やゲーム機,コンパクトデジ

タルカメラなど,ほとんどの可搬タイプのパーソナル

機器に十字キーが採用されている.特に,梯子状に縦

一列に表示されたメニュー形式の画面(以後,ラダー

メニュー)を,上下キーで上下移動し,左右キーでメ

ニューの階層構造を出入りするような操作が普及し

ている.しかし,商品の違いによって,この十字キー

とラダーメニューの関係は驚くほど不統一であり,

様々な方法が存在していることも事実である.

今度は,このようなキーと画面のインタラクション

についても,IS 化の視野に入れて検討していくこと

が必要であると考える.

5. 将来の計画

モバイルアイコン規格は,まだ FCD 段階であり,一

刻も早く IS 規格制定することが望まれる.現在の計

画では,2008 年の前半には IS 制定される見込みであ

る.

これと平行し,WG 7 による要求事項の審議経過な

ども見守りつつ,モバイル機器に対して追加すべきア

イコンの検討や,画面とキーのインタラクションに関

する新規 NP 案の探索などを行っていくことになる.

WG 4 としては,国内の関連する委員会からの提案や

助言を賜り,かつ審議への協力を仰ぎながら,連携し

た活動を推進していく所存である.

------------------------------

参考資料:

*1 「第 1 回 JBMIA フォーラム 2006」(中尾 好秀,

2002.6.6)

*2 「JBMIA 合同成果報告会」(中尾 好秀,2002.6.14)

*3 「SC 35 専門委員会(ユーザインタフェース/User

Interfaces)」(山本 喜一,2006.7.18)

※ http://www.itscj.ipsj.or.jp/senmom/06sen/

sc35.html

∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽

<国際規格開発賞の表彰>

国際規格開発賞は,当会に所属する Project Editor または Project Co-Editor の貢献に対して授与されるも

ので,2004 年 7 月に設けられた賞です.受賞者は表彰委員会で審議決定し,受賞対象の規格が発行された後に

授与されます.

2007 年 6 月の受賞者

銀林 純(富士通 株式会社)

・ ISO/IEC 15476-4 CDIF semantic metamodel -- Part 4: Data models(SC 7,2005-12-15 発行)

塩谷 和範((株) SRA 先端技術研究所)

・ ISO/IEC 15940 Software Engineering Environment Services(SC 7,2006-06-15 発行)

宮地 充子(北陸先端科学技術大学院大学)

・ ISO/IEC 9796-3 Security techniques -- Digital signature schemes giving message recovery

・ -- Part 3: Discrete logarithm based mechanisms(SC 27,2006-09-15 発行)

訃音

今城 哲二 先生(61 歳)(東京国際大学)

主な所属委員会: SC 22 専門委員会(委員),SC 22/COBOL WG(委員)

平成 19 年 7月 13 日にご逝去されました.生前のご活動に感謝し,ご冥福をお祈り致します.

<声のページ>

会議・審議文書の電子化に思う

高橋 光裕(財団法人 電力中央研究所)

SC 7/WG 12 で標準化の活動に参画させていただき

始めて,はや十数年になる.この間,国内委員会での

審議に加え,春秋の国際会議にも十数回出席させてい

ただき,ISや TR の Co-Editor も務めてきた.

振り返れば,1990 年代までは,標準化の会議とい

えば紙の山との格闘であった.今では持参が常識とな

ったノート PC も,当時の持参率は半分以下.1 週間

の国際会議に出席すると,配布資料・検討資料は,数

百ページ,厚さ 5cm にもなるのが当り前であったし,

国内委員会の資料も,数回分で分厚いバインダが一杯

になるのが普通であった.

これが,2000 年頃から劇的に変化した.国際会議

では,ノート PC の持参率がほぼ 100%となり,今で

は懐かしいフロッピーディスクを回覧しての文書電

子配布が始まったのだ.また,2001 年の SC 7 名古屋

会議からは,会議室に Hub を持ち込んで,会議室内

LAN が使えるようになり,名古屋会議では紙での配布

資料が1週間でわずか3枚という画期的な電子化が実

現した.その後もネットワーク環境はさらに充実し,

最近では,会議室からのインターネット接続は当り前

となった.海外の会議室から,リアルタイムで国内の

委員に最新情報を伝えたり支援を求めたりでき,諸外

国からの突発的提案などへの素早い対応も可能にな

った.出張先まで本業の仕事が追いかけてくるという

副作用は困りものだが,概してめでたいことである.

ただし,審議文書の電子化は,時として困った事態

も引き起こす.筆者が参画した Project Editor がド

イツ,Co-Editor が英国と日本というプロジェクトで

は,同じブランドの文書作成ソフトながら,ドイツ語

版・英語版・日本語版では微妙に内部仕様が違うよう

で,Editing グループ内で,各国語版を使って文書を

交互に編集し合うと,字が化けたりフォーマットが破

綻したり,最悪の場合は文書全体が崩壊したりする.

こんな爆弾をさらに世界各国語版で読んだり印刷す

るのだから,世界中で悲鳴が上がる.特に,日・独・

仏版相互では相性が悪かったようで,筆者も,文書を

開いて仰け反ったり冷や汗をかくこと少なからずで

あった.

標準化には,国際統一とともに,各国の事情に合わ

せての拡張・独自規定制定が欠かせないが,これは

IS と自国規定だけを差分比較・検証するだけでは事

足りない世の中になってきていることのよい例であ

ろう.かく標準化は難しい.

国際化の混迷

石畑 清(明治大学)

SC 22 では,存在意義に疑問のある規格化活動がい

つまでも生き残るという状態が続いていた.このよう

な状況の概略を報告することにしたいと思う.

問題となる規格化テーマの一つは国際化である.一

つのアプリケーションを世界中で使えるようにしよ

うとする際,国ごとに違う慣習にいかに対応するかが

問題になり得る.もちろん,一番大きな問題は文字符

号であるが,これは SC 2 で扱っているので,SC 22

の主テーマとはなり得ない.ここで問題となる国際化

は,それ以外の慣習への対応である.

たとえば,英米や日本では小数点をピリオドで表す

が,ヨーロッパ大陸の国ではコンマで表す方が普通で

ある.真に国際的なアプリケーションはこういう細か

い違いにも配慮することを求められる.このような慣

習に依存する項目を locale の概念で整理し,国際ア

プリケーションを開発しやすくするというのが国際

化の目標である.慣習依存項目にはどんなものがある

かを調べ上げて,個々の項目が国ごとにどう違うかを

まとめるという作業が必要になる.

確かにこの目標は立派である.しかし,それが規格

化の対象として本当に有意義かどうかは別の話であ

る.SC 22 の下に国際化担当の WG 20 が 1990 年代初

めに結成されて以来,いくつかの規格や TR を発行す

る実績は挙げてきたが,当初の目標が達成されたとは

言い難い.それらの規格を参照することによって成果

があがったという話はないようである.参照されない

規格を作っただけでは意味がないだろう.

日本を初めとする SC 22 の主要メンバ国の多くは,

このような状況に早々と見切りをつけて,国際化活動

の中止を求めてきた.しかし,これに反対する勢力の

抵抗も強かった.反対派の中には,上記のような目標

を真剣に訴えて,逆に国際化活動の強化を求める国も

あった.これはまだいい.より問題なのは,規格の内

容とは無関係に,飯の種にするためだけではないかと

疑われる動機から,規格化活動の継続や強化を図る連

中の存在である.このような連中は,複数の規格化団

体やユーザー団体の間のコミュニケーションの欠如

を突いて,言葉巧みに規格化への賛成の雰囲気を醸成

するという手を使うそうである.

これらの抵抗を排して,2004 年の SC 22 Plenary

で WG 20 を廃止することができた.しかし,継続派の

抵抗は続いている.他の SC にプロジェクトを移管す

るなどして,活動を継続するという提案を審議してい

るところである.

<2007 年度 標準化功績賞および貢献賞の表彰>

標準化功績賞は,長年にわたり情報規格調査会委員および所属委員会委員として,多大な功績があった方々

の中から選ばれます.また,標準化貢献賞は,最近の数年間において,所属委員会委員として,顕著な貢献の

あった方々の中から選ばれます.

なお,本学会情報規格調査会規程により,2007 年度は 2007 年 7 月 23 日に開催された第 22 回規格総会で,受

賞者に表彰状および副賞として賞牌または賞金が授与されました.

標準化功績賞

植村 俊亮 氏(奈良産業大学)

植村氏は,1970 年から現在までの 37 年間の長きにわたり標準化活動に参加され,コ

ンピュータ言語の国際標準化並びに JIS 規格作成に大きな功績を上げられました.特に

国際化専門委員会委員長として JTC 1 での情報技術国際化の重要性の周知に努められ,

ISO/IEC JTC 1/SC 22 内に国際化を担当する WG 20 の設立に尽力されました.また,情

報処理学会理事として規格担当役員に就任され,当時の規格委員会から情報規格調査会

への円滑な組織の移行に尽力されました.

佐藤 哲司 氏(筑波大学)

佐藤氏は,2002 年から 2007 年までの 5 年間に総務担当理事並びに運営戦略アドホッ

クの主査として当調査会の運営に参加され,当調査会の発展及び標準化の推進に寄与さ

れました.また,この期間,技術委員会,DIS 等調整委員会などの国内委員会及び ISO/IEC

JTC 1 総会に参加され,日本意見の集約に尽力されるなど国際標準化の方向付けに関し

大きな功績を残されました.

田中 邦麿 氏(帝京平成大学)

田中氏は,1997 年より 2006 年までの長きにわたり SC 23 専門委員会委員長を務めら

れ,光ディスクという技術革新の激しい分野において,国内委員会の意見を取りまとめ

るとともに海外の規格団体との意見調整等にリーダーシップを発揮されました.2006 年

の ISO/IEC JTC 1 総会において承認された SC 23 のタイトルとスコープの変更について

も尽力され SC 23 の活動範囲を拡大し国際標準規格の制定に多大な貢献をされました.

標準化貢献賞

江崎 和博 氏((株)荏原製作所)

江崎氏は,1992 年から現在までの 15 年間の長きに

わたり SC 7/WG 6 小委員会委員として活躍され,

ISO/IEC 9126 シリーズ,14598 シリーズ並びに 25000

シリーズの国際規格制定と日本の意見の反映に尽力

してこられました.特に ISO/IEC 25000 シリーズ規格

の制定に関し,ISO/IEC 25001 及び 25030 のプロジェ

クトエディタを務められ,日本が提唱したソフトウェ

ア製品品質評価の次世代規格の制定に多大な貢献を

されました.

岡崎 毅久 氏(日本アイ・ビー・エム(株))

岡崎氏は,1994 年から現在までの 13 年間の長きに

わたり SC 7/WG 8 小委員会委員をはじめ,WG 13 委員,

WG 18 幹事,WG 22 主査,WG 23 幹事など多くの小委

員会で活躍されてきました.WG 8 では,ISO/IEC TR

15846 及び TR 16326 の開発に参加されました.WG 13

では,ISO/IEC 15939,WG 18 では,ISO/IEC 90003 の

発行に参加され,この 2 つの規格に対しては,SC 7

議長から Achievement Award を授与されました.

鈴木 輝彦 氏(ソニー(株))

鈴木氏は,2004 年から現在まで 3 年間にわたり,

SC 29/WG 11/ビデオ小委員会幹事補佐並びに SC 29/WG

11/MPEG-4 小委員会委員として,標準化活動に尽力し

てこられました.また,MPEG-2 や MPEG-4 関連の多く

のプロジェクトエディタを引き受け,さらにアドホッ

クグループの議長を担当されるなど国際の場でも大

いに活躍してこられました.

高田 秀之 氏((株)日立製作所)

高田氏は,2002 年から 4 年間にわたり広報委員会

の幹事及び委員長を歴任され,当調査会の広報活動の

躍進に貢献されました.また,2005 年からはアクセ

シビリティ SWG の主査として,わが国での国際会議開

催などにより国内のアクセシビリティ標準化活動の

活性化に尽力されるとともにすでに進んでいるアク

セシビリティに関する.JIS 規格を ISO/IEC JTC 1 に

おける SWG に紹介して国際標準への道筋つけられま

した.

寶木 和夫 氏((株)日立製作所)

寶木氏は,1986 年から現在までの 21 年間の長きに

わたり情報セキュリティの分野の標準化に貢献され

ました.2003 年からは SC 27 専門委員会委員長を務

められ,委員会のとりまとめと国際対応に貢献されま

した.また,ISO/IEC 13888-3 のプロジェクトエディ

タを担当するなど国際の場でも大いに活躍されまし

た.

廣瀬 直樹 氏(日本アイ・ビー・エム(株))

廣瀬氏は,1990 年からトークンリンク LAN の配線

システムやプロジェクトエディタの経験を生かした

多数の汎用配線システムの規格化並びに国内の LAN

実装規の開発,それらの国際標準プロフィールへのア

ップストリーム活動など多くの貢献をされました.ま

た,SC 25 国際セクレタリの信任も厚く,無線 LAN 用

途や劣悪環境下での配線システムの規格開発では,審

議の重要な役割を長年担ってこられ,2004 年 SC 25

千歳会議では開催準備と運営に貢献され,議長より感

謝が議決されるなど,難しい標準化活動と企業業務と

の両立を実践されております.

福原 隆浩 氏(ソニー(株))

福原氏は 2000 年から現在までの 7 年間の長きにわ

たり SC 29/WG 1 小委員会委員として静止画符号化の

標準化活動に尽力されました.その間多くの国際会議

に日本の代表として参加し,JPEG 2000 関連の多数の

プロジェクトエディタやアドホックグループの議長

を担当されるなど,国際の場でも大いに活躍してこら

れました.

森 雅博 氏((株)富士通研究所)

森氏は,2002 年の SC 37 専門委員会設立時から委

員として参加され,顔認証,指紋認証,虹彩認証など

のデータ互換フォーマット国際標準化に多大な貢献

をされました.2003 年からは扱う技術が広範囲であ

り運営が難しい SC 37/WG 3 小委員会の主査として強

力なマネジメント力を発揮し,組織の取りまとめ及び

提案活動を積極的に推進されました.さらに,顔認証

用の顔画像撮影ガイドラインでは日本提案により規

格策定をリードし,静脈認証では日韓の協調提案によ

り静脈画像データ交換フォーマットの早期標準化に

寄与されました.

山﨑 康一 氏((株)中電シーティーアイ)

山﨑氏は,1989 年から現在までの 17 年間の長きに

わたり,SC 18 専門委員会,SC 2 専門委員会,ISO 2375

登録委員会に参加され,多数の国際規格の制定と改訂

に貢献されました.特に ISO 2375 登録委員会では幹

事として ISO/IEC 2375 の改定に携わるとともに文字

符号規格の国際登録簿 ISO-IR の運営に関する新しい

手続き文書を起草されました.更に,JIS 規格関係で

も多数の原案作成と改定に貢献され,山﨑氏の起草さ

れた緻密な文言は,多数の文字符号関係規格で参照さ

れる基準となりました.

山崎 信行 氏(慶應義塾大学)

山崎氏は,2001 年度に学会試行標準制度が始まっ

た初期の頃から当調査会に参加し,山崎氏が中心とな

り開発されたロボットのリアルタイム制御機構であ

るレスポンシブリンクを学会試行標準(IPSJ-TS0006)

として完成させ,2003 年 9月に制定,公開しました.

その後,我が国独自の優れた技術として,JTC 1/SC 25

に NP として提案し,現在では FCD が承認されていま

す.このように質の高い技術を試行標準から出発して

国際標準化完成への道筋をつけられました.

山平 耕作 氏((株)日立製作所)

山平氏は,2000 年から現在までの長きにわたり,

データベースの国際規格の開発において,SC 32/WG 4

小委員会の幹事として標準化活動に貢献されました.

また,SQL/MM のフルテキスト(Full-Text),空間情

報(Spatial),静止画像(Still Image)及び履歴

(History)規格群の開発にあたって,SQL 仕様とマル

チメディアアプリケーションの両方に精通した専門

家として多大な貢献を果たしてきました.

<第 22 回規格総会の報告>

第 22 回規格総会が 2007 年 7 月 23 日に開催されま

した.2006 年度の決算,2007 年度の予算,2006 年度

の活動報告,2007 年度の重点活動項目,当調査会の 6

号委員の改選,および 1口の規格賛助員および非賛助

員からの委員会参加への特例廃止が承認されました.

配布資料はすでに当調査会のホームページに掲載さ

れていますが,ここでは紙面の都合もありますので「1

口の規格賛助員および非賛助員からの委員会参加へ

の特例廃止」に絞って報告します.

「1 口の規格賛助員および非賛助員からの委員会参

加への特例廃止」

2004 年 3月の規程・実施細則の改定で,”委員は原

則として,規格賛助員からの参加者または中立委員と

する.”および,”一口の規格賛助員は 2つまでの専門

委員会に参加できる.”ということになりました.併

せて,この改定が委員会運営に支障を来たさないよう,

中立委員や規格賛助員ではない組織から委員として

参加している人の扱いについては当面そのままと

し,委員としての参加を引き続き認めるという特例を

認めることにしました.また,一口の規格賛助員が,

3つ以上の専門委員会に参加している状況も当面その

ままとすることを特例として認めました.しかしなが

ら,この改定以降に委員としての参加を希望して新た

に規格賛助員になった企業や,3つ以上の専門委員会

に委員として参加するために 2 口以上に増口された

企業がでてきた状況を考えますと,規格賛助員と非規

格賛助員との間,および規格賛助員の間の公平性の観

点からそろそろこの特例を廃止するのが適当と考え

て規格総会に諮った結果,次のようになりました.

(1) 特例廃止の期限を 2007 年度末とし,委員会が引

き続き非賛助員からの参加が必要と認める場合は,一

旦委員を退任し,2008 年度からオブザーバとして参

加するための申請を行う.

(2) 2007 年度末の時点で,3つ以上の専門委員会に委

員を派遣している1口の規格賛助員は,2口以上に増

口するか,または委員として参加する専門委員会の数

を 2つ以下にする.

∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪∽♪

<編集後記>

広報委員となって 1年余り経過したが,この活動に

それなりの時間を割いていることから,どのような効

果があるものか,知りたいと思った.とはいうものの,

広報の効果を具体的に示すことは難しく,事務局に聞

いても困るだろうと思い直し,自分自身として,標準

化の広報が何か役立っているか,考えてみた.すると,

あまり役に立った記憶がない,というか,他の標準化

団体による広報内容をほとんど知らないことに気づ

いた.そこで,これを機会に,少し調べてみた.

日本規格協会(JSA)のホームページには,主な国内

標準化機関(JIS 原案作成団体)がリストアップされ

ているが,これが何と 130 団体もある.その中から,

本機関と関連の深い 2つの学会について,そのホーム

ページを覗いてみた.まず,電子情報通信学会につい

ては,内部組織として規格調査会があり,6つの委員

会が設置されている.Newsletter のようなものは発

行されていないが,四半期ごとの委員会活動報告が掲

載されている.ただし,解説はない.次に,電気学会

については,内部の電気規格調査会により,電気規格

調査会だより(解説)を電気学会誌に掲載している.

また,各種の出版物(動向解説等)を有料販売してい

る.それぞれ,工夫されていることが分かった次第で

ある.

[Hy 記]

発 行 人

社団法人 情 報 処 理 学 会

情報規格調査会

広報委員会

〒105-0011 東京都港区芝公園 3-5-8

機械振興会館 308-3

Tel: 03-3431-2808 Fax: 03-3431-6493

[email protected]

http://www.itscj.ipsj.or.jp/