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傾斜畑の土壌流亡対策として、営農作業で実施できる、浸透性を改善する土層改良と部分的に 受食性を改善する部分不耕起帯設置の併用法を提案します。 丘陵地形の畑作地帯では、近年の豪雨増加により畑作地帯では土壌流亡の被害が甚大化し ています。基盤整備による勾配修正などの抜本的対策とともに、緊急対策として生産者が営農 で実施可能な対策の充実が求められています。そこで、生産者が実施可能な心土破砕や補助 暗渠などの土層改良と耕耘管理による部分不耕起帯の設置による土壌流亡対策を確立します。 提案の土壌流亡対策は、営農作業による土層改良と部分不耕起帯「ドットボーダー・プロテクト」 設置の併用法です。前者は、麦などの収穫残渣を疎水材に利用する有材補助暗渠機カットソイ ラーなどにより、堅密土層を破砕して浸透性を高めることで表面流去水の発生を抑制します。後 者は、等高線方向の作業時に0.55mの間隔ほど空けたライン状の不耕起帯、或いは、土壌流 亡が多発する場所にドット状の部分不耕起帯を設置して受食性を改善します。 残渣を利用した補助暗渠 カットソイラーの事例 表面流去水 抑制 地下 浸透 表面流去水 流速・流量 を抑制 貯留 部分 不耕起 土壌流亡の多発圃場 併用で 対策実施 土層 改良 ロータリー耕耘時に不耕起 ラインやヒッチ持上げによる 部分不耕起帯を配置 土壌流亡が激減 圃場 No. 斜度 (度) 斜面長 (m) 栽培畝 の方向 対策の内容 処理名 土層改良のみ 17 併用 52 土層改良のみ 24 部分不耕起帯の20 併用 29 3 8.6 150 等高線 図の実証圃場>土層改良10m間隔、 幅1mの不耕起帯ドットボーダー・プロテクト設置 対策後 77 ※土層改良はカットソイラーを実施。試験地の土壌の浸透能は土層改良前11~119mm/h、施工後82~384mm/h。 土壌流亡量 の削減率 (%) 土層改良を10m~25m間隔、 幅5mの不耕起帯ドットボーダー・プロテクト設置 土層改良を上部10m間隔、下部5m間隔、 幅2mの不耕起帯ドットボーダー・プロテクト設置 傾斜 傾斜 圃場の概要 土壌流亡対策の概要 190 140 8.5 1 2 8.2 図1 土層改良と部分不耕起帯による土壌流亡対策の概要 土層改良と部分不耕起帯による土壌流亡抑制効果の事例 土層改良と部分不耕起帯による土壌流亡対策の裸地期間終了時までの土壌流亡量の削減率は、 土層改良により23割、部分不耕起帯により2割程度であるのに対し、併用した場合は3-8割とな り、単独よりも効果が向上します。 研究のポイント 研究の背景 研究の概要 適用事例 ─ 82 ─

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農村工学研究部門 農地基盤工学研究領域水田整備ユニット

傾斜畑の土壌流亡対策として、営農作業で実施できる、浸透性を改善する土層改良と部分的に受食性を改善する部分不耕起帯設置の併用法を提案します。

丘陵地形の畑作地帯では、近年の豪雨増加により畑作地帯では土壌流亡の被害が甚大化しています。基盤整備による勾配修正などの抜本的対策とともに、緊急対策として生産者が営農で実施可能な対策の充実が求められています。そこで、生産者が実施可能な心土破砕や補助暗渠などの土層改良と耕耘管理による部分不耕起帯の設置による土壌流亡対策を確立します。

提案の土壌流亡対策は、営農作業による土層改良と部分不耕起帯「ドットボーダー・プロテクト」設置の併用法です。前者は、麦などの収穫残渣を疎水材に利用する有材補助暗渠機カットソイラーなどにより、堅密土層を破砕して浸透性を高めることで表面流去水の発生を抑制します。後者は、等高線方向の作業時に0.5~5mの間隔ほど空けたライン状の不耕起帯、或いは、土壌流亡が多発する場所にドット状の部分不耕起帯を設置して受食性を改善します。

土層改良と部分不耕起帯の併用による土壌流亡対策

土層改良による浸透性改善

残渣を利用した補助暗渠カットソイラーの事例

部分不耕起帯「ドットボーダー・プロテクト」

表面流去水

抑制

地下浸透

表面流去水流速・流量

を抑制

貯留

地下浸透

部分不耕起

土壌流亡の多発圃場

併用で対策実施

土層改良

ドットボーダー

耕耘

不耕起ロータリー耕耘時に不耕起ラインやヒッチ持上げによる部分不耕起帯を配置

土壌流亡が激減

圃場No.

斜度(度)

斜面長(m)

栽培畝の方向

対策の内容 処理名

土層改良のみ 17

併用 52

土層改良のみ 24

部分不耕起帯のみ 20

併用 29

3 8.6 150 等高線< 図の実証圃場>土層改良10m間隔、幅1mの不耕起帯ドットボーダー・プロテクト設置

対策後 77

※土層改良はカットソイラーを実施。試験地の土壌の浸透能は土層改良前11~119mm/h、施工後82~384mm/h。

土壌流亡量の削減率

(%)

土層改良を10m~25m間隔、幅5mの不耕起帯ドットボーダー・プロテクト設置

土層改良を上部10m間隔、下部5m間隔、幅2mの不耕起帯ドットボーダー・プロテクト設置

傾斜

傾斜

圃場の概要 土壌流亡対策の概要

190

140

8.51

2 8.2

図1 土層改良と部分不耕起帯による土壌流亡対策の概要

表 土層改良と部分不耕起帯による土壌流亡抑制効果の事例

土層改良と部分不耕起帯による土壌流亡対策の裸地期間終了時までの土壌流亡量の削減率は、土層改良により2-3割、部分不耕起帯により2割程度であるのに対し、併用した場合は3-8割となり、単独よりも効果が向上します。

研究のポイント

研究の背景

研究の概要

適用事例

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