NECTJ JHL Annual Conference 2013 Tomiko Honda
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Transcript of NECTJ JHL Annual Conference 2013 Tomiko Honda
「聞く・話すから 感動の共有
へ」日本語環境の外で育つ
幼児のための 読み聞かせ
プリンストンおはなし会 本田 富美子
「おはなし会」について1.目的はなにか?(アメリカ在住の子供達) • 小さい頃から本に親しむ事によって、日本語環境を作る架け橋になる。• 文字を学習する前に、バラエティーある、たくさんのお話を聞く事に
寄ってストーリーを純粋に楽しみ、心豊かになる。
2.何を実現したくて始めたか?• 本を好きになり、読む習慣を身につける。• 本を身近に感じて、長い人生、本から沢山の事を学んで行く。
3.なぜこの年齢層を選んだか?・ 0歳から6歳頃(未就学児)の心身ともに発達する段階に、読み聞か
せが『心の栄養』として必要と考えるため。(語彙、季節感、他者とのコミュニケーションなど)
・ 早くからの『働きかけ』が今後、子供の本好きを育てる一つの役割をする。
・ 未就園、未就学児、またはその保護者の方の交流の場として提供。
毎月のおはなし会
• プリンストン公立図書館 (NJ) 3階 木曜日 4:30から 約30分月曜日 9:30から 約30分
(2013年9月より)
プリンストンおはなし会• 2003年より開始 (岩本友子さん主催)
• 現在(2013年)は5名のボランティア• 毎月基本、第一月曜日と木曜日、約30分間
• 月曜日:午前9:30( 2013.6 月迄 3:00pm スタート)
対象『保護者の方と一緒にすわって、静かに話を聞ける子供』読む絵本→2〜3歳前後対象
• 木曜日:午後4:30対象『一人でもすわって、静かに話を聞ける子供』
読む絵本→4〜5歳以上対象
<本の選び方>学校や図書館などグループを前にした時
• 低年齢(0歳から3歳)のグループ
• 絵が大きい、見やすい• 生活習慣 「ごあいさつの
本」など• 絵、色などのタッチにバラエ
ティーさを。• 季節、行事• 楽しい• 短いストーリー• 言葉絵本「言葉のリズム」• うた絵本「絵が歌詞を表現」
• 高年齢(4、5歳以上)
• 年齢層(対応出来る様に用意しておく)
• 笑って、引き込まれる• しっかり聞いてほしい(昔話
など)• 季節、行事• 言葉絵本「言葉、詩のリズ
ム」• うた絵本「絵が歌詞を表現」
共通した選択基準
<共通して選ぶ本>
• 長年愛されている本(20年以上印刷を繰り返している)
• 日本の図書館で繰り返し借りられている本
• 翻訳本は原書の味を損ねないもの(同じ作家でも訳者が違う事がある)
<共通して選ばない本>
• マンガのようなコマ送り• 恐怖心を誘うような絵が
ある• 年齢にストーリーの内容
が合わない。• 年齢にそぐわない風刺絵
がある、など。
『おはなし会』活動内容活動の流れ
・はじまりの歌・絵本・指人形・ペープサート・紙芝居・パネルシアター・手遊び・季節の歌・折り紙のお土産(季節)
*その都度、内容や順番を変えます。
<写真>
• 季節の歌• 人形劇:かさじぞう
試行錯誤から<グループ分け>・飽きさせず、おはなしに集中してもらうため、基本的に年齢と
読み聞かせ経験度(一人で静かに聞けるかどうか)を考慮したグループ分けを意図して行った。
< 読み方の練習>・ 『間』の取り方、慌てない。・ 聞き手にとって、どこで言葉を消化出来ているかを、考える。・ 読む速度、ページめくり方、タイミング。・ ジェスチャー、抑揚の有無(感情移入)は聞き手の邪魔にな
らない程度に。
*ジェスチャーが必要な時→言葉が未だ動きや感情と繋がっていない幼児対象。限られた文字数のみの絵本。
個人差(日本語体験度/性格)への対応グループでの活動なので、個人的な対応は基本的に無し。
<スムーズに活動するため、気を付けている事>・座席、読み手が座る向き(聞き手が集中出来る様に)・出入りは自由。(必要なら室外での途中気分転換を勧め
る)・ボランティアが、落ち着かない子供の隣に座る時もある。
年齢により参加の態度に違いはあるか?・低年齢グループの子は集中出来る時間が短い。たち歩き
やハイハイ、室外の音にも影響されやすい。絵本に触りたが
る。
・高年齢グループは、集中力が比較的長い。自身の体験と重な ると話したがる。その意見をシェアする為に、話し手が読み終わ るまで待つ事が出来る。
個人差への対応
おはなし会:アンケート調査調査のポイント
1.参加開始年齢/継続期間による違いは有るか?
2.継続した子に、何か違い、変化があらわれたか?
3.親の態度に変化は現れたか? 4.読み聞かせ継続(小学生まで)する事への
意味、または理由はあるのか?な
ど
プリンストンおはなし会 参加者(保護者)アンケート
August 2013• メールアドレスを知っている参加者(保護者)に声
を掛け、 10中9家族返答有り。
<対象>・4家族→ 父親アメリカ人、母親日本人
(永住予定、子供はアメリカ生まれ)・5家族→ 両親共に日本人
2家族は永住予定。子供はアメリカ生まれ ,3家族は海外赴任中。
子供は日本生まれ&帰国予定有り。
アンケート• I. おはなし会になぜ参加されようと思いま
したか。・ 楽しそうだから ****
***・ 日本語維持、強化 ******
・ 友達に誘われて *****
・ 図書館で偶然見つけて(ホームページ含む) ***
・ 本が好きだから *** ・ その他
»普段合えない日本人に会うため。
II. お子さんが何歳の時から、おはなし会に参加され始めました か。そして、現在はおいくつですか。
スタート 現在» 0歳 → 3歳» 0歳(10ヶ月 他所含む) → 6歳11ヶ月» 0歳 → 2歳 (2人)» 0歳(7ヶ月) → 2歳11ヶ月» 1歳 → 2歳» 1歳 → 5歳» 1歳 → 5歳» 1歳 → 6歳» 2歳 → 4歳半» 2歳 → 3歳» 3歳 → 5歳 (2人)» 3歳 → 7歳» 5歳 → 8歳
*長く継続している理由は、なぜ?
はい * * * * * * * * *(100%)<理由>
• 子供が本が好きで、興味を持って参加している。• 子供が、親以外の人に絵本を読んでもらうことにより、
いつもと違った刺激をもらっている。親の読み聞かせの幅(本選び、読み方、等)を広げ られている。
• 日本語維持、強化の為。日本人のお友達との交流の為。• 静かに聞くというマナーを子供に知って欲しい。• 日常の生活では経験できない日本語での時間を過ごす
事が出来、お友達や本や歌を通して日本文化や風潮や四季を通して学べる。
• 日本の幼稚園で保育士さんがして下さるような、絵本の読み聞かせ(お芝居、人形劇含む)を子供が体験出来る貴重な機会。
• 読み聞かせ以外にも、親子のコミュニケーション方法について色々と学ぶことが多い。
• 読書習慣がついたので、今後も継続したい。
III. おはなし会に(可能な限り)継続して参加されたいと思われますか。
A. 家で読み聞かせをされますか。• はい * * * * * * * * * (100%)
B. プリンストンおはなし会の参加を通して、読み聞かせ以外にどんな事をご自宅でされますか。
• 手遊び * * * * * *• 素話 (創作ストーリー含む) * * * * * *• 季節の歌(童謡、唱歌含む) * * * * * *• 人形劇(指人形、ぬいぐるみ劇含む) * * * *• 紙芝居 * *
– ことば遊び。早口言葉やダジャレ等。オミヤゲの折り紙に刺激を受けて、折り紙。
– ひなまつり、こどもの日など行事のご飯や飾り付け。– 一工夫して、創作ストーリーの際にはキャンドルをつけ
るようにした。– 詩の朗読、韻をふむ言葉遊び、しりとり、子供と一緒に
お話を創作する。– 素話は、本がない旅行先などで、ほんの少し。
IV. 家での様子
はい * * * * * * * * *(100%)どのように役立っていますか。
・子供が自分から本読みを頼んでくる様になった。 * * * * * * *
・子供が自分で本を選ぶ様になった。 * * * * * * *
・子供がおはなし会で聞いたストーリーを家で繰り返す様になった。(口まね等) * * * * * *
・手遊びを好んでする様になった。* * * *
・本の読み聞かせの回数、册数が増えた。* * * *
・子供がおはなし会で聞いた本(ストーリー)をもう一度聞きたがる。* * *
>ここまでは、開始年齢 /参加年数による大きな違いは見られない。
C. おはなし会に参加される事で、お子さんとの関わり方に何か役立って る事は有りますか。
(自発的に本を読む行動)– 字が読めるようになったら、読み聞かせを親にし始めた。5歳– 親や縫いぐるみ達に自分(子供)で読み聞かせをするようにな
りました。4歳(自分のお気に入りの本、とても簡単に読める本)
– 将来、“読み聞かせのボランティアをしたい”という気持ちが湧いて来た様で、字が読める様になった今は、大きな声で簡単な本を読み聞かせしてくれます。 6歳
– 言葉や表現(方言含む)自体に興味を示し、最近は落語が大好きです(特に『寿限無』)。6歳
– 2歳の娘が自分で本を開いて眺める様になった。毎日20冊は読み聞かせする。2歳
(創作行動、コミュニケーション)– お話会であった内容をもとに、子供と対話する。エンディング
が違う話を作るときもある。2歳、4歳– 本のお話を元に自分で創作したお話で、おままごとをしている。
5歳 (習慣)
– 子供たちは” 他の友達もこうやって本を楽しむんだな”ってことがを知り、家で本を読むことが生活の一部 ( 習慣)になるのを、助けている。3歳、5歳
その他の意見:家庭で見られる『読み聞かせ』の影響
アンケート調査より:参加継続による個人差
1.参加開始年齢/継続年齢による違いは? ・長く続けてきてくれる2、3歳以上の子供は、おはなし会の約
30分間、立ち歩く事はほとんどない。 ・「静かに、集中して、聞く態勢」が出来ている。
2.継続した子には何か違いが現れたか?• 日本語を話すにも語彙の種類が多いと感じる。• 日常会話だけでは使わない、聞かない言葉を、聞く事が出来る。• 絵や他のお友達がした質問を通して、意味を理解する事も出来る。
3.親の態度に違いが現れたか?• 家での本の読み聞かせ回数が増えた。• 本選びの指針になった。• 子供の興味を知る事が出来た。
『感動の共有』からの発見「感動の共有」とは?「おはなし会」というグループの中で、ストーリーや季節の歌、言葉遊
びを通し親やその場にいる人と共に笑い、話し手をまねたり、一緒に台詞を大声
で繰返し、また驚いたりという共体験は、本(言葉)と子供との距離を縮め
る。→例) 『おおきなかぶ』より「うんとこしょ、どっこいしょ」など。
『かっぱ』谷川俊太郎など。
「感動の共有」→<家庭で変化が現れる> ・自分が聞いて楽しかった本を、もう一度家で他の家族と聞きたがる。
→ 親は子供の興味や好みを知る事が出来る。・子供が自発的に本を選ぶ、自分でページを丁寧にめくる。
→与えられた喜びでないので、本を大切に扱う事を容易に知る。・誰か(親、ぬいぐるみや人形)に対して『読み聞かせる』 という行
動に出る。→ 『模倣』という体験を通して、繰り返し、自ら消化する。
結果→『読み聞かせ』から、本が身近になり、習慣化する。
さらに『立場の逆転』現象→聞き手から読み手へ
・ 季節の歌を歌う事が増えた。 →メロディーと言葉の相互作用。 →日本の季節や行事の歌は文化継承に重要な位置づけである。
アンケートからの一考察 『立場の逆転』• 他人に読んでもらう行為 『聞き手』であると言う自分
→ 変化して『読み手』になりたがる。• なぜか?
• 『感動の共有』の先へ
• その感動を他者に提供したいという欲求。その欲求は、言語習得の枠のみならず、言語がコミュニケーションのツールである事を体験する原動力となり、ひいては言語能力を自然にアップさせる一因にもなりうるのでは。
その他アンケート結果から
小学生まで「読み聞かせ」を続ける理由
• 小学生になるまで続けるべき理由は?<一般的に>• 言葉の発音を知り、その言葉に見合った発音を学べる。• 想像力が豊かになり、コミュニケーション能力向上を助ける。 • いろいろな表現を聞き、リスニング力や記憶力向上を助ける。
• 字だけを追って読める事と、ストーリーを理解する事は違う。字を追う→ ストーリーを理解出来ず→ つまらない →飽きる
<結果>読む意欲を失う。(悪循環)• 学校等で読む場合は、話した後に内容を皆で話し合う事も楽しく、ス
トーリーの理解するのに役立つ。→理解力がつく。
*ストーリーに入り込める力と想像力の有無の重要性。
新企画
<週末おはなし会>• 平日にお子さんを連れて
来れない方の為• 週末(土曜日)の会• 年2回:12月と5月 • /約1時間(お昼過ぎより)• 手作り人形劇:(かさじぞう12月/そらいろのたね5月)
<出張おはなし会>• プリンストンが遠いため参加が出来ない方へ、個人宅への出張おはなし会。人数が集まれば行なう。
• 今回は初めて Bridgewater でおこなった。
Workshop @ Garden State Storyteller’s League (NJ)
Hamilton Township Library 3.16.2013
テーマ:日本のおはなし会
<参考・サイト等 >♪プリンストンおはなし会メール→ [email protected]ブログ→ http://ohanashikaixxpnj.blog102.fc2.com/♪Garden State Storyteller’s League, Inc.http://www.gardenstatestorytellersleague.org/♪絵本選び(年代別リスト) :絵本専門店 子育てナビゲーショ
ンより、http://kosodatenavi.com/nen_list.html♪ 『読み聞かせの大切さ』 :全日本家庭教育研究会(午後の Tea 対話60、61号より)http://web.ntti.net.sg/ifront/zenkaken.1.html♪『読み聞かせの影響』東京大学http://www.p.u-tokyo.ac.jp/lab/ichikawa/johoka/2008/Group3/yomikikase_eikyou5.html
♪ 『子ども専門図書館』:公益財団法人東京子ども図書館(東京都中野区)
http://www.tcl.or.jp/