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Petaka G3 TM 細胞培養カセット 大気中の酸素濃度は約 21% ですが生体内の 酸素濃度は数 % 程度にすぎず、通常の CO 2 インキュベーターで細胞培養を行うと生理的 条件よりもかなり多くの酸素が培地に溶け込 んだ条件で培養をしていることになります。 この細胞培養時の酸素濃度を生理的条件に近づ けて培養を行うことで細胞は今まで知られてい なかった応答を示します。 Petaka G3(ペタカ G3)は Celartia 社(セラーティア)が開発したディスポーサブル細胞培養カセット です。低酸素環境を作るための特別なインキュベーターやグローブボックスなしでも低酸素培養が可能 です。また CO 2 ガスの供給がなくても培地 pH を細胞培養条件に調節できます。 さらに、さまざまな細胞を凍結することなく室温で高い生存率を保ったまま輸送することもできます。 例えば 2009 年に京都大学が iPS 細胞樹立効率の 改善を、2013 年に慶応大学が造血幹細胞の維持へ の重要性を、2015 年に関西医科大学が脂肪幹細胞 の増殖促進を、2017 年に九州大学が iPS 細胞から のアストロサイトの分化誘導の効率化が低酸素培養 によって見られたことを報告しています。 細胞培養に用いられる CO 2 インキュベーターは 二酸化炭素濃度を調節できますが、酸素濃度は調節 できません。それを行うにはマルチガスインキュ ベーターや低酸素グローブボックスと呼ばれる機器 が必要になります。これらは大学の共通機器室で見 かけることがありますが個々の研究室で所有してい ることはさほど多くなく、高価な機器購入に代わる 方法が求められていました。 低酸素培養 M&Sトピックス-005

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  • Petaka G3TM 細胞培養カセット

    大気中の酸素濃度は約 21% ですが生体内の

    酸素濃度は数 % 程度にすぎず、通常の CO2

    インキュベーターで細胞培養を行うと生理的

    条件よりもかなり多くの酸素が培地に溶け込

    んだ条件で培養をしていることになります。

    この細胞培養時の酸素濃度を生理的条件に近づ

    けて培養を行うことで細胞は今まで知られてい

    なかった応答を示します。

    Petaka G3(ペタカ G3)は Celartia 社(セラーティア)が開発したディスポーサブル細胞培養カセット

    です。低酸素環境を作るための特別なインキュベーターやグローブボックスなしでも低酸素培養が可能

    です。また CO2 ガスの供給がなくても培地 pH を細胞培養条件に調節できます。

    さらに、さまざまな細胞を凍結することなく室温で高い生存率を保ったまま輸送することもできます。

    例えば 2009 年に京都大学が iPS 細胞樹立効率の

    改善を、2013 年に慶応大学が造血幹細胞の維持へ

    の重要性を、2015 年に関西医科大学が脂肪幹細胞

    の増殖促進を、2017 年に九州大学が iPS 細胞から

    のアストロサイトの分化誘導の効率化が低酸素培養

    によって見られたことを報告しています。

    細胞培養に用いられる CO2 インキュベーターは

    二酸化炭素濃度を調節できますが、酸素濃度は調節

    できません。それを行うにはマルチガスインキュ

    ベーターや低酸素グローブボックスと呼ばれる機器

    が必要になります。これらは大学の共通機器室で見

    かけることがありますが個々の研究室で所有してい

    ることはさほど多くなく、高価な機器購入に代わる

    方法が求められていました。

    低酸素培養

    M&Sトピックス-005

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    bili

    ty %

    HeLa HepG2 CHO Hybridoma Jurkat cells

    Petaka G3 の Ducted Respiratory Chamber

    (DRC) テクノロジーにより特別なインキュベーター

    やグローブボックスなしでも低酸素培養が可能に

    なります。細胞自身の呼吸により培地中の酸素が

    穏やかに消費されて時間とともに低酸素環境とな

    り、DRC テクノロジーによって溶存酸素濃度が

    制御されます。細胞によりますが Petaka G3 LOT

    や FLAT では酸素濃度平均 3.11%に 、HOT では

    平均 9.33% になります。

    研究者はときおり細胞を輸送する必要があります。細胞

    バンクが細胞の供託を受けるときや分譲をするとき、共同

    研究者へ実験材料として細胞分譲するとき、受託研究機関

    へ細胞を送付して研究外注するとき、さらには外部受託製

    造機関へ細胞医薬品を製造委託する目的での輸送もあるか

    もしれません。

    この場合、一般的には細胞を 10% DMSO を含む培地に

    懸濁してゆっくりとプログラムフリーザーで温度を下げて

    凍結させ、細胞バイアルをドライアイスとともに送付します。

    この方法で多くの細胞株は問題なく輸送できますが一部の

    細胞株(HL-60 など)や初代培養細胞、ヒトや霊長類の

    ES 細胞・iPS 細胞では凍結融解後の生存率が芳しくなく、

    細胞を凍結させない輸送方法が求められていました。

    Petaka G3 は高い生存率を維持したまま細胞を室温輸送できます。カセット内で輸送したい細胞を培養し、

    増殖が約 75% コンフルエントになったら Petaka メーラーに細胞をカセットごと収納して封筒に入れて発送

    します。輸送中は10℃以下あるいは39℃以上にならないようご注意ください。多くの細胞で約14日まで高い

    生存率を維持できます。

    細胞輸送

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