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Monaco MLC Dynamic Parameters ガイド

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Monaco

MLC Dynamic Parameters ガイド

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Monaco MLC Dynamics Parameters 20180827

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目次

はじめに ....................................................................................................................................... 2

Monaco VMAT の計画、エクスポートデータ、リニアックの動作 ................................ 3

Monaco .................................................................................................................................. 3

DICOM RT Plan................................................................................................................... 4

リニアックの理想と現実 ....................................................................................................... 5

MLC Dynamics Parameters のコミッショニング手順.................................................. 7

MLC Dynamics Parameters 解説 ..................................................................................... 9

1. リーフ・ジョー・ガントリーの移動速度 ...................................................................... 9

2. 最大線量率と最小線量率 ............................................................................................... 10

3. コントロールポイントあたりの MU とガントリー回転 ........................................... 13

4. その他の Parameters .................................................................................................. 14

Elektaリニアックにおいて移動速度超過を評価する方法 ............................................... 16

改定履歴

20150518 初版完成(Monaco 5.00.04 まで)

20160802 Elekta リニアックの 10FFF ビームに関する注意書きを追加

(Monaco 5.11 まで)

20180826 ページ数を追加

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はじめに

Monaco は、リニアックの可動コリメータの移動速度や、最大・最小線量率を

設定する MLC Dynamics というパラメータセットを持っています。これらの

パラメータは VMAT や DMLC など主に動的シーケンスを用いた計画を作成す

る際に使われます(一部 Step & Shoot IMRT 用のパラメータなども含まれま

す)。MLC Dynamics にはリニアックの仕様に見合った初期値が設定されてい

るので、通常はこのままでも Monaco で作成したプランを問題なく照射するこ

とができますが、もしリニアックがエラーを出して停止することが多い場合に

は、リニアックの調整とともに、MLC Dynamics の調整も検討すべきです。

この文書では MLC Dynamics Parameters の設定を確認または変更する際に

参考となる情報を提供しています。

MLC Dynamics Parameters の設定を確認または変更するには、患者を開いて

いない状態で Settings のウィンドウを開き、MLC Dynamics を選択します。

Monaco3.30 以前 Monaco5.00 以降

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Monaco Settings, MLC Dynamics の画面

Monaco VMAT の計画、エクスポートデータ、リニアックの動作

Monaco

Monaco の VMAT シーケンサーは、実時間情報を取り扱いません。「MLC」

(ジョーを含みます)、「ガントリー」、「線量」の 3 つの関係が破綻しないよ

うに取り扱いますが、そこでは「実時間」は考慮されません。

「実時間」の代わりに使われるのが「線量」、より正確にいえば「積算 MU」

です。「積算 MU」を全体の基準にして MLC やガントリーを制御することで、

照射の再現性を担保しています。この方法を MU Indexed と呼び、実時間を基

準とした Time Indexed やガントリー角を基準とした Gantry (Angle)

Indexed と区別しています。

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その際、Monaco の VMAT シーケンサーが考慮しているのは、

「ガントリー1 度あたりの出力 MU (MU/deg)」

「MLC 移動 1cm あたりの出力 MU (MU/cm)」

という 2 つの値で、これらについては下限を指定する必要があります。

Monaco 3.2 以前のバージョンではこの下限値を直接登録していましたが、

3.3 以降のバージョンでは、一般的にリニアックで設定されているパラメータ

―つまり「最小線量率」とガントリーや MLC の「最大速度」―を登録しま

す。具体的には

Max. Leaf Travel per Second (mm)

Max. Gantry travel per Second (deg)

Min. Dose Rate (MU/min)

の 3 つが大きな役割を担います。

DICOM RT Plan

Monaco がエクスポートする VMAT の DICOM RT Plan ファイルにも、実時間

の情報、つまり

・照射開始から何秒後に何が起きるか、

・その時の線量率はいくらであるか、

を示す情報はいっさい含まれていません。非常に簡単に書くと、これらのプラ

ンに含まれている情報は、以下のようなものです。

--------------------------------------------------------------------------

Arc 1 : 総線量 1.896 Gy、総 MU 492.6 MU

ガントリー角 リーフ位置 j 照射済み線量の割合

CP 1 : 180.0 -1.8, 8.5, 14.5, 14.3, 20.5, … 0.0%

CP 2 : 181.9 -1.8, 8.9, 14.9, 17.8, 20.9, … 1.58%

CP 3 : 184.7 -0.4, 3.8, 6.1, 6.5, 10.5, … 2.74%

……

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CP 108: 177.7 -1.8, -18.0, -21.0, -30.0,-33,0,… 98.36%

CP 109: 180.0 -1.8, -1.4, -2.4, 3.2, 20,5, … 100.00%

--------------------------------------------------------------------------

※ DMLC (Sliding Window IMRT) ではおおむね類似した構造になっていま

す。Dyn. Conformal Arc (回転原体照射) については線量率が明示的に指定さ

れています。

リニアックの理想と現実

リニアックは一般に上記のような VMAT 計画データを受け取ると、いくつかの

前処理を施して(例えば Control Point 間を補間するなど)、望むべき照射を

より具体的な形に変換し、照射中はそれを目標値として、目標値との差を補正

するように制御を行います。他社製リニアックでは、前処理の時点でリニアッ

クの動作パラメータを越える動作が生成され、エラーが出力されることがあり

ます。

ところで Monaco が作りだす計画データは、仮想のリニアック――遅延がな

く、瞬時に指定した速度、指定した線量率に達しうる――を想定して作成され

ますが、実際には、線量率、ガントリー速度、MLC 速度とも、変動させるには

一定の時間を要します。例えば MLC やガントリーには当然慣性がありますか

ら、最高速から瞬時に停止状態とする、あるいは逆に停止状態から瞬時に最高

速とすることはできません。またリニアックのように複数のモジュールが協調

して動作する機械では、モジュール間の通信に由来する遅延も無視できなくな

ってきます。

したがって Monaco が生成した計画通りに VMAT を照射すると、必ず「計画

からのズレ」が生じます。しかし Elekta リニアックの場合は、照射途中のあ

る時点までの経過をフィードバックしてそのずれを相殺するように以降の照射

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を調整することで、最終的に一回の照射全体としてのずれをちいさくとどめる

ことができます。Elekta リニアックの VMAT でたまにガントリー回転が一瞬

逆行することがあるのはこのような動作の一例です。一方、他社製リニアック

の多くはそういった制御をせず、あるトレランス幅を越えた瞬間にエラーとな

り、特に積極的なリカバリーを行わないものもあります。

ですから実際のリニアックの動作パラメータを上回る数値を Monaco に登録し

たとしても、Elekta リニアックではほとんど影響がありません。ごく稀に、効

率が悪い―時間がかかったり、あるいは機械的に無理がかかったりする―照射

が生じるかもしれませんが、照射途中に中断するようなことは考えにくいで

す。一方他社製のリニアックでは前処理の段階や、照射の最中にエラーが頻発

する可能性が高くなります。いずれにしても、もし問題があれば、実際のリニ

アックの動作パラメータに見合った、あるいはそこから多少のマージンを差し

引いた値を MLC Dynamics に登録することを検討してください。

また注意すべきこととして、例えば遮蔽の問題から最大線量率がカタログスペ

ックより制限されている場合や、安定性の問題から MLC 速度やガントリー速

度をカタログスペックより低く設定している場合があります。その場合にはカ

タログ通りの仕様値ではなく、リニアックの実状に合った値を登録することで

よりよい照射を行える可能性があります。

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MLC Dynamics Parameters のコミッショニング手順

Elekta から出荷されたご施設様向けのビームデータは、実用上ほぼ十分な設定

が行われており、大きく変更する必要はありません。Elekta リニアックではま

ったく変更しなくとも十分適切に照射できる場合が多いです。

現在の標準的なビームデータ納品手順では Max. Dose Rate と Min. Dose

Rate は、ビームデータ納品時に弊社フィールドサービスがお客様から伺って

設定しますので、ユーザーは 3.以降のみを考慮すればよいです。この手順が導

入される以前のお客様(つまり Max. Dose Rate と Min. Dose Rate が実際の

リニアックの数値と合致していない場合)には下記 1.以降の手順をひとつひと

つ検討してみてください。

1. 出荷時の設定から Max. Dose Rate をリニアックの実状に合わせた値に

変更し、何種類かの高変調なプランを作成して、照射を試みてくださ

い。

2. もしうまく照射が行えない場合には、Min. Dose Rate を後述する方法

で求めた値に変更し、再プランして、再び照射を試みてください。

※線量分布は自動的には削除されないので、Calculation Properties を

いったん変更して元に戻すなどして、再計算できるようにしてくださ

い)

3. まだ照射がうまく行えない場合、もし Max. Leaf Travel per second、

Max. TJaw Travel per Second、Max. PJaw Travel per Second、

Max. Gantry Travel per Second(概ね仕様値通りかそれより若干低め

に登録されています)が、リニアックの実状より速く設定されていた

ら、リニアックの実状に合った値に変更してください。

4. これでもうまく照射が行えない場合には、下記の変更を少しずつ行いな

がら、再プラン、照射を試みてください。

a. Min MU per Dynamic CP をすこし増やしてみる。

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b. Min Gantry Deg Per CP をすこし増やしてみる。

c. Max. Leaf Travel per Second、Max. TJaw Travel per

Second、Max. PJaw Travel per Second、Max. Gantry Travel

per Second をリニアックの実状よりすこし遅くしてみる。

Elekta リニアックの場合については、ガントリーや MLC が追いつけない場

合、ビームを一時的に止めてそれらが追いつくのを待ちます。このイベントを

計測する方法は、Elekta リニアックにおいて移動速度超過を評価する方法に

書かれています。

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MLC Dynamics Parameters 解説

1. リーフ・ジョー・ガントリーの移動速度

Max. Leaf Travel per Second (mm)

最小線量率で 1 秒あたりにリーフが移動できる最大の距離

リーフの機械的な最大速度を示します。ビームモデル出荷時の設定はスペック

値かそれより若干小さな値となっています。これより早くするとスムーズな照

射を損なう恐れがあります。下記は Monaco に含まれているデフォルト設定値

です。

Elekta Agility (35 mm/s) に対しては 32 mm/s

Elekta MLCi (20 mm/s) に対しては 24 mm/s

※MLCi の場合、リニアックのカタログスペック値より大きな値が Monaco の

デフォルト値として登録されています。この状態ですでに臨床使用されていて

特に問題を生じていない御施設では、無理に現状通りに変更する必要はありま

せん。

Max. TJaw Travel per Second (mm)

最小線量率で 1 秒あたりにリーフと垂直に移動するジョーが移動できる最大の

距離

これはリーフと垂直に移動するジョーコリメータ(Transverse Jaw)の最大

速度です。

・動的照射に際して TJaw が移動しない機種では 0.0 を登録します。

・TJaw が移動する機種(Elekta MLCi/MLCi2、Agility)では、適切な値を見つ

けることはかなり難しいです。出荷時の設定から変更しないことをお勧めしま

す。

・TJaw が実在しない機種(Elekta Beam Modulator、mMLC)では 0.0 を登録

してください。

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Max. PJaw Travel per Second (mm)

最小線量率で 1 秒あたりにリーフと平行に移動するジョーが移動できる最大の

距離

これはリーフと平行に移動するジョーコリメータ(Parallel Jaw)の最大速度

です。

・動的照射に際して PJaw が移動しない機種では 0.0 を登録します。

・PJaw が移動する機種(Elekta MLCi/MLCi2)では、Max. Leaf Travel Per

Second と同じ値を登録します。

・PJaw が実在しないが、動的照射に際してキャリッジが移動する(Elekta

Agility)機種では、キャリッジの最大速度を登録します。

・PJaw が実在せず、動的照射に際してキャリッジが移動しない機種(Elekta

Beam Modulator、mMLC)では 0.0 を登録します。

Max. Gantry Travel per Second (deg)

最小線量率で 1 秒あたりにガントリーが移動できる最大角度

ガントリーの最大回転速度です。リニアックの実際の動作パラメータを登録し

てください。照射に問題があるようなら 10%程度下げることをお勧めしま

す。

※エクスポートされるプランデータにはこういった速度情報は含まれていませ

んから、リニアックコントローラによってここでの指定値よりも大きな速度で

機械が動作する可能性があります。

2. 最大線量率と最小線量率

Max. Dose Rate (MU/min)

最大線量率

最大線量率については、そのリニアックに設定された値をそのまま登録してく

ださい。

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※エクスポートされるプランデータにはこういった線量率情報は必ずしも含ま

れていませんから、リニアックコントローラによってここでの指定値よりも大

きな線量率で照射が行われる可能性があります。

Min. Dose Rate (MU/min)

最小線量率

最小線量率については、下記の 3 つの値のうち、一番大きなもの(制限のきつ

いもの)を登録してください。

なお Elekta リニアックに対しては、

VMAT - Information for Treatment Planning Systems (英文)1

という文書に基づいています。この文書から引用した値については下記におい

て†で示しています。他社製リニアックについては同様の情報をリニアックベ

ンダーに請求してください。

(1) リニアックの性能としての最小線量率

「リニアックの理想と現実」で述べた通り、ここで設定すべき最小線量率は、

単に「安定持続して照射できる最小線量率」というだけではなく、「最大線量

率から一瞬にして線量率を下げ、また一瞬後に最大線量率に復帰する」といっ

た場合に、意図通りの低い線量率を精度よく実現できるか、ということも関係

します。

Elekta リニアックで CVDR(Continuously Variable Dose Rate Delivery

Mode、256 段階で線量率を変えられる)機能を備えている場合には、下記の

値が推奨されています†。

Flattening Filter ありのモード 50 MU/min

1 この文書はユーザー様のお求めによって配布することが可能です。お入り用の方はエ

レクタケアサポートセンターまたはお近くのエレクタ社員にお尋ねください。

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6 MV FFF 100 MU/min

10 MV FFF 200 MU/min

(2) リーフが最大速度で移動しているときの最小線量率

たとえば Agility で、Flattening Filter ありのモードの場合、

・リーフ移動 1cm の間に照射できる最小 MU … 0.3 MU/cm†

・リーフの最大移動速度 … 35 mm/sec

ですから、63 MU/min が最小線量率となります。

(3) ガントリーが最大速度で回転しているときの最小線量率

たとえば Synergy で、 Flattening Filter ありのモードの場合、

・ガントリー回転 1 度の間に照射できる最小 MU … 0.1 MU/deg†

・ガントリーの最大回転速度 … 6 deg/sec

ですから、0.6 MU/s、つまり 36 MU/min が最小線量率となります。

※(2)(3)における「最小 MU」は下記の通り定められています†。

Minimum Prescription per Linear Movements per Rotational

Movements

Flat Beam 0.3 MU/cm 0.1 MU/deg

6MV HDRM Beam 0.6 MU/cm 0.2 MU/deg

10MV HDRM Beam 1.2 MU/cm 0.4 MU/deg

※この計算方法では、Elekta リニアックの 10FFF の Min Dose Rate は(2)か

ら 252 MU/min となりますが、Monaco の最適化エンジンの問題で、少なく

とも 5.11 以前では 240 MU/min と改めて入力する必要があります。

※CVDR ではなく BVDR(Binned Variable Dose Rate)でコントロールされ

ている Elekta リニアックでは、最大線量率の 1/8 (例えば 500 MU/min に対

し 63 MU/min)が上記(2)(3)より大きな値かどうかを判断してください。もし

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そうであればその値を Min. Dose Rate とし、そうでなければ最大線量率の

1/4 (500MU/min に対し 125MU/min)を Min. Dose Rate としてください。

3. コントロールポイントあたりの MU とガントリー回転

Min. MU Per Static CP

Static 照射時に、コントロールポイント毎に照射可能な最小 MU を指定しま

す。1.0 ないし 2.0 MU を登録してください。

この値を下げると、小さな MU のセグメントが増えることにより、照射時間が

長くなるほか、短時間にビームの ON/OFF をすることで意図した照射から微妙

にずれてしまう可能性もあります。ただし実際にはプラン内の Sequencing

Parameters ダイアログから Min. MU / Segment を設定する必要があり、こ

れはユーザーが MU に対する投与線量の線形性を考慮して決めますが、一般に

こちらの方が厳しい制限となるため、Min. MU Per Static CP を変更すること

は、あまり大きな意味がないかもしれません。

Min. MU Per Dynamic CP

Dynamic 照射時に、コントロールポイント毎に照射可能な最小 MU を指定し

ます。1.0 ないし 2.0 MU を登録してください。

この値を下げると、頻繁な線量率変動や、リーフ・ガントリーの速度変化を起

こすことになり、意図した照射から微妙にずれてしまう可能性があります。

Min. Gantry Deg Per CP (deg)

VMAT 照射時に、コントロールポイント毎の最小角度を指定します。1.0 ない

し 1.5 deg を登録してください。

この値を下げると、頻繁なガントリーの速度変化を起こすことになり、意図し

た照射から微妙にずれてしまう可能性があります。

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4. その他の Parameters

Max Collimator Travel Per Second (deg)

現在 Monaco では、照射中にコリメータが動くプランは作成できませんので、

0 を登録してください。

Continuous Dose Rate

無段階で線量率を変えられるリニアックの場合はチェックをつけてください。

・CVDR 機能を持つ最近の Elekta リニアックでは、線量率が 256 段階に変動

できますので、チェックをしてください。

・CVDR 以前の Elekta リニアックでは、線量率が 7 段階にしか変動しません

ので、チェックをはずします。

・他社製のリニアックでは、線量率の変動の段階数の近い方に合わせて、上記

のいずれかを選んでください。

Beam Startup Time (sec)

ビームオンから安定するまでの時間

これは IMRT/VMAT 計画時に出力される照射時間の見積もりにのみ使われるも

ので、出力されるプランの品質には関係しません。1.0 sec を登録しておけば

問題ありません。

Min. Moving Gap (mm)

Dynamic Delivery時に許容される最小リーフギャップ

これは Elekta の Beam Modulator にのみ入力欄のある Parameter です。

スペック上は 1.4 mm が最小ですが、機械的なマージンを考慮して初期値

(1.6 mm)での利用をお勧めします。

Open Guard Leaves

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これは Elekta Agility にのみ効果のある Parameter です。Guard Leaf につい

ては、Elekta より XiO/Monaco Guard Leaf Customization and Agility

LCS Behavior(英文)をご参照ください(「Monaco ビームデータ登録項目の

手引き」に含まれています)

基本的には装置導入時に決められているパラメータで、ユーザーはこの設定を

変更してはいけません。Agility については原則としてチェックをしてください

(Guard Leaf を開ける設定)。ただし他社製 TPS と Monaco を併用している

御施設様ではチェックをしない設定(Guard Leaf を開けない設定)でお使い

いただいている場合もあります。

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Elekta リニアックにおいて移動速度超過を評価する方法

Elekta リニアックでは、(実時間情報を含まない)計画データを受け取り、こ

れを照射する際に計画データを(実時間情報を含む)照射シーケンスに変換し

ます。

しかしこれを実際に照射すると、リーフやガントリーが追いつかない場面があ

ります。この場合、リニアックは PRF Inhibit 信号を発生させて、加速パルス

をキャンセルし、ビームを一時停止(PRF Pause)して、その間リーフやガント

リーが追いつくのを待ちます。(PRF = Pulse Repetition Frequency)

このようなビームの一時停止はできるだけ起こさない方が望ましいです。です

から、Elekta リニアックの MLC Dynamics Parameters のコミッショニング

では、

1. 高変調なプランを作成する。

2. プランデータを転送して照射する。この際 PRF Inhibit の発生回数を

数えておく。

3. これを減らすように MLC Dynamics Parameters を修正し、2 に戻

る。

という繰り返しを行うことになります。

PRF Inhibit の回数は、リニアックコンソールで見ることができます。Item

2200, Part 111 が実際の PRF Inhibit のアクチュアル値ですので、これを

Service Graphing や Treatment Recording の機能を使って調べてみてくだ

さい。