LGBTQ×sexual assault
Transcript of LGBTQ×sexual assault
LGBTと性暴力セクシュアル・マイノリティの自尊感情の低下と防衛能力の低下
RC-NET(レイプクライシス・ネットワーク)
岡田実穂
グラウンド ルール
あなたの感情は全てあなただけのものです
あなたには、“ここにいる権利”と同時に、
“ここにいない権利”があります
あなたには、“感じる/考える権利”と同時に、
“感じない/考えない権利”があります
グラウンド ルール
ここで感じた感情は、この場においていってください
ここで得た情報は、あなたの知恵としてのみ使ってください
ここはあなた自身の癒しの場ではありません
他者、そして自分を否定することなく、
安全で安心な場所作りに、協力をお願いします
オトコだとか、オンナだとかに関わらず
被害にあうことはある。
当たり前に。
性別や性指向、性自認、性表現に関わらず、
性被害にあうことはある。
何度も繰り返すようですが。
セクシュアル・マイノリティは、
人口の5〜10%はいる。
性暴力サバイバーの中にも、少なくとも5〜10%は、
セクシュアル・マイノリティがいる。
性暴力被害のことを勉強しても、
セクシュアル・マイノリティの
被害について知らないなら
少なく見積もっても、5〜10%のことを、
無視しているということです。
性暴力とは
<「性」というツールを用いた暴力>
合意を得ない
合意があっても、合意に至るまでに
体力・精神・知的にパワーバランスの違いがある
レイプ=セックス=性行為 ではない
合意のない性的言動
わいせつ電話
集団レイプ
性虐待
痴漢
性的DV
ズボン/パンツおろしセクハラ
性的からかい
ポルノ鑑賞の強要
売春強要
セクシュアリティを理由としたレイプ
宗教者からのレイプ
セックスワーカへのレイプ
強かんは10,541件、強制わいせつ(女性)は50,286件
性暴力被害の暗数
2009年度の強姦件数は1,402件、強制わいせつ件数は6,688件
性暴力被害に遭い、被害を届け出る女性は、わずか13.3%
(「犯罪被害者(暗数)実態調査」より)
女性の4人に一人、男性の6人に一人が幼少期になんらかの性被害を受けていると言われている。
セクシュアル・マイノリティに特化した性被害調査統計は、(探しているし、あるかも知れないけど、まだ見つけられて)ない。
RTS(レイプトラウマシンドローム)
レイプ被害にあった人に起こる感情や行動障害についての指標
‘70年代にアメリカの研究者により発表され、長年に渡りアメリカでのレイプ事件における支援、
診断、裁判等で活用されてきた(被害者の60%弱がRTSの症状を出すと言われている)
※PTSDの広まりにより2000年代以降裁判等で使われることはなくなったが、レイプサバイバーの行動原理等を示すにはとても有効として、
現在も多くのフェミニストや支援者に支持されている。
RTS 1 急性期症状(≠医療的急性期)
何が起こったの??
こわい!!
急性で強烈、様々な心的苦痛を体験
これは現実??この場にいなければ…
誰も助けてくれなかった…
どうせ私なんか…
もう、なんでもいい…
なんでこんなことに??
身体的な傷 ・ パニック ・ 緊張 ・ 罪悪感 ・ 睡眠障害過敏 ・ 無力感 ・ 倦怠感 ・ 恐怖感 ・屈辱感 ・怒
り ・恥懐疑的 ・ 防衛的 ・ 無感覚症状 ・ アイデンティティの危
機 等
<ショック>
<不信>
RTS2 否定
一見“大丈夫そうな様子”に隠れる症状
自傷行為 ・ 摂食障害 ・ 性化行動 ・ 睡眠障害・性別/性指向のゆらぎ
セックスレス ・ 依存症 等 アクティングアウトが現れる時期
“一日も早く、日常生活に戻りたい”という欲求
こんなとこにいなければ…
もう嫌… 私が悪い…
どうせ私なんか…
もう、なんでもいい…
何が起こったの??
こわい!
これは現実?
なんでこんなことに?!
「 もう、のりこえた 」
RTS 3 再構築と統合
大きなショックと“日常”の擦り合わせ
フラッシュバック ・ 鬱 ・ ひきこもり ・ 退学や退職 ・怒り
近しい人との関係崩壊 ・ 婦人科系の病気 ・ 腰痛 ・ 摂食障害 等
“被害”を認識し、それを癒しに変換していく時期
RTS 4 トリガーによる想起
きっかけにより思い出すが、現実ではない
なんらかのトリガー、きっかけがある、ということを前提に思い出す
それによって苦痛はあるが、コントロールが出来るようになる
1〜4までの段階は揺り動かされながら、回復に向かう
トラウマの多層化
響き、絡み合うとらうま
全ての問題に、
ひとつひとつの物語がある
セクシュアリティ
いじめ
虐待
精神疾患
自殺企図/自傷行為
経済的困窮
性暴力被害
あなたは悪くない確かに・・・でも被害と加害の差は?私だって悪い私が、悪い。
一個解決したと思っても、
延々ループだって問題は、
それだけじゃないから。
全てが繋がって、全てがずっと、
苦しめる。
そしてひとつひとつの
問題は薄い膜に覆われた様になかなか全貌を見せず
本人すら気付いていない事もある
セクシュアル・マイノリティの困難事例
・子どもの頃からオカマオカマっていじめられていた。いじめはエスカレートした。「男らしく」することが苦痛だった。だけど、自分らしくいることも苦痛だ。
・人を好きになった。返ってきた答えは「気持ち悪い」だった。失恋を分かち合える人すら、いなかった。
・就職活動中、性別表記でつまずいた。学校ではセクシュアリティについて学んだ。性の多様性を考えてきた。自分に誇りを持っていた。そんなの、通用しなかった。
・家族に会うのがつらい。恋人は出来たのか?と聞かれる度に、曖昧な答えしか言えない。いつか言えるだろうか。「私は女の子と付き合ってるよ」。
・いつになってもパートナーが家に帰ってこなかった。連絡がつかない。パートナーは、交通事故にあって入院していた。
・失業してお金がなくなった。パートナーも病気がちで収入が少ない。世帯で生活保護を受けることは出来なかった。一緒に公営住宅に住む事も、できなかった。
セクシュアル・マイノリティの
自殺リスクの高さ
一般の自殺念虜/自殺企図の割合が19%程であることに比べ、セクシュアル・マイノリティの自殺リスクは60〜70%程になっている。
DSM(精神障害診断基準)から「同性愛」という病名が廃止されたのは1972年。WHO(世界保健機関)が「国際疾病分類」で「同性愛はいかなる意味でも治療の対象とならない」と宣言したのは1993年。日本では1994年にこれを基準として採用、翌年に日本精神神経学会がこれを尊重する見解を発表。同性愛は「治す」という類のものではなく、性同一性障害もまた、「障害」であり、ジェンダークリニック等で、ジェンダー規範に則った「性」ではなく、個人の心的性別への合わせるための治療が行われる。DSM5ではGD(性別違和症)に。
セクシュアル・マイノリティの困難事例2
・父親に同性愛者だということがバレた。「オレが治してやる」と言われ、
レイプされた。レズビアンである自分が悪いのだと思って耐えた。このままでは死ぬな。そんなときに、ホットラインに電話した。声が低かったからか、「男の方の相談は受けられません」と、すぐに電話を切られた。絶望ってこういうことを言うんだと思った。
セクシュアル・マイノリティは病気?
国連加盟193カ国の内、81カ国で、同性愛行為は
犯罪行為(死刑含む)とされている
世界中で今も、LGBTが差別や偏見、
暴力にさらされている。
その理由はただ一つ。
個人の「性」が社会規範にあわないから。
これを「性暴力」以外の何者であると言うのか。
LGBTとして生きる事は
性暴力にさらされて生きるという事
「LGBTとして生きる
自尊心の低下と防衛能力の低下」
たとえばひとつの物語
重なり合う とらうま
もっと女らしい髪型にしなさい
女の子なんだからスカートをはきなさい
男の子とばかり遊んでちゃダメ
何をしても否定される
自分
素のままの自分は
いつも
認めてもらえなかった
重なり合う とらうま2
ただ、期待に応えようとした
髪を伸ばしてる自分なんて好きじゃない
スカートはいてる自分なんて好きじゃない
スカートじゃ前みたく
走り回れないよ
今の自分を好きじゃない
その髪型、かわいいねっ
て言われた
スカート、似合うねって、お母さんが笑った
あんな暴れて、男子ってほんと
バカって女友達が笑った
みんなの当たり前と、自分のココロが
離れた場所にある事を知った
ただ「当たり前な事」が
出来ない
自分が悪いんだって思った
重なり合う とらうま3
自分を無くせば、悩まずに済む
自分の望みより望まれることを
だってそうすれば
怒られないから
「らしく」いないって事は
生き辛い
本当の自分?
なに、それ?
ほんとは何
思ってる?
だって怒られたくないもん
ずっとずっとわかって
もらえなかった
自分の気持ちを考える事は、
即ち自分を苦しめる事
自分の気持ちを考える
そんなことをしたら、
苦しいばかりじゃない
積み重なる否定が心に傷をつける
わかってほしかった。
自分を認めてほしかった。
わかってもらえなかった。
わかって、なんて
もう思わない。
怒られて、
怖かった悲しかった苦しかった
「らしさ」の押しつけ
楽しくない自分って何?認められる、それだけの
価値
誰も認めてくれなかったこんな自分には価値がない
怒られてばかりだった私が悪いから、怒られる
わたしは ふつうじゃ ない
心に巣食う 自己否定という闇は
生き辛さを 増進する。
自己否定の増進は危機に関するリスクを増進させ
る
だって自分なんか、どうでもいいから。
いじめ
ドラッグ
自傷行為
OD
ひきこもり
性化行動
性暴力
自己肯定感の低下 → 自己防衛能力の低下
<どうせ、わかってもらえない>
多層化するトラウマは支援の介入をも阻害し
被害をより深層へと向かわせる
支援に関わる大事なこと
如何なる被害も「加害」があって成り立っている
如何なる被害も「被害」の理由付けを必要としない
生活環境の調整
判断をしない(決めるのは当事者)
心理教育
危機介入/安全の確保についての判断を誤らない
一人で抱え込まずにチームでサポートする
プライベートを保つ(代理トラウマに関する理解)
日米“クライシスセンター”の違い
医療/支援組織化を進める日本と当事者回帰する米国
他機関連携 母体は医療 or 警察
病院 警
察
役所
警察 病院 役所
第一に法的根拠をつくりあげること。それは、「当事者の声」から派生するも
の。「当事者の選択肢」を増やすことが支援。
LGBTQQレイプサバイバー支援
「性暴力」「DV」などの対人支援の中で、LGBTQQレイプサバイバーに特化した研修/プログラム配備をするのは基本的な支援の前提条件
LGBTQQレイプサバイバーに対応するための社会資源との連携。「当事者を囲わない」ことは最低条件
「コミュニティへの理解」「LGBTQQが被害にあった際に特筆すべき症状及び注意点」等の事項確認
性別や性指向、性表現等に捕われない「性暴力」としての法的根拠をつくる
当事者を現場にいれる。
RC-NET are
性暴力被害に関わる諸々のことをする団体
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