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JICAのエネルギー分野の協力 201591独立行政法人国際協力機構(JICA) 産業開発・公共政策部 資源・エネルギーグループ 資料4

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JICAのエネルギー分野の協力

2015年9月1日 独立行政法人国際協力機構(JICA) 産業開発・公共政策部 資源・エネルギーグループ

資料4

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まず、途上国の将来の電力需要を見据えると

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2010 2035 OECD諸国

2010 2035 非OECD諸国

TWh

(▲3%)

(+62%) (+225%)

(+85%)

○非OECD諸国(特に中国、印が牽引)にて極めて高い成長。 ○非OECD諸国では石炭、ガス、水力、風力が大幅増。

(注)WEO2012新政策シナリオ(各国がGHG削減に向け検討した削減計画を慎重に実施した場合)をベースに検討。 3

途上国の電力事情 発電需要(2010~2035)

相当な努力を行っても化石燃料由来の電源の増加は避けられない。

CO2削減のためには、火力の効率化への投資が費用対効果としては大きい。

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IEA WEO2012に基づき作成

単位:10億ドル

途上国で大きな資金需要。 全体で1000兆円! 発電部門 約550兆円 送配電部門 約450兆円

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途上国の電力事情 資金需要(2010~2035年の地域別/分野別)

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JICAの3Lポリシー ・ Low-cost:安価なトータルコスト ・ Low-carbon:低炭素電源、低損失送配電 ・ Low-risk:安定供給、エネルギーセキュリティ

日本の優れた技術の活用して、途上国のエネルギーの安定供給、持続的かつ安定的な発展に貢献

→日本経済への還元 “日本を元気に”

技協・無償・有償を駆使して事業を展開

エネルギー分野におけるJICAの方針

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重点分野としては、ナショナル・グリッドに焦点を当て、我が国の優れた技術を活用する。例えば、以下の技術。 高効率火力(ガス、石炭) 水力、地熱、その他のRE等の低炭素電源導入 送配電ロス低減 系統安定化(蓄電システム、天候予測、スマート化など)※ 省エネ促進等

※近年、予想以上にPVや風力の導入量が増大してしまう傾向強し 主な支援アプローチ • 国家計画レベル(エネルギー・マスタープラン、最適開発計画) • 基幹電源の開発(高効率火力、水力等) • 基幹系統の整備(増強、延伸、低損失化、系統安定化) • 人材育成(計画策定、技術基準、系統運営、メンテナンス) • 電力アクセス向上(送電線延伸、オフグリッド地方電化) • 新エネ、再エネ開発(燃料費削減、エネルギー自給、研究開発)

エネルギー分野におけるJICAの方針

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次に、地球全体を俯瞰してみると

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電力消費量(kWh/capita)

<500 国家計画レベルの協力

500-1000 低炭素

1000-3000 地熱開発

3000-5000 ハイブリッド・アイランド

>5000 地方電化

N/A 科学技術協力/SATREPS

注:上記は、過去5年(2010年度以降)の電力案件(有償/LA、無償/GA、技協/RD・実施中)

電力消費量の出典:CIA World Factbook "Electricity consumption per capita" 2012

日本の優位性を生かした低廉、低炭素、低リスクな電力供給支援

【低炭素】

高効率火力、水力、地熱、再生可能エネルギー等の低炭素電源導入、送配電ロス低減や省エネ促進等。

高効率火力:インドネシア(インドラマユUSC/有償)、バングラデッシュ(マタバリUSC/有償, ベラマラCC/有償)、モザンビーク(マプトCC/有償)、チュニジア

(ラデスCC/有償)、ウズベキスタン(ナボイCC/有償, トゥラクルガンCC/有償, タリマルジャンCC/有償, O&M/技協)等

水力:ネパール(タナフ/有償)、ベトナム(ダニム/有償)、ペルー(モケグア/有償)、ラオス(ナムグム/有償)、ミャンマー(バルーチャン/無償)、ナイジェリア

(ジェバ/無償)、等

送配電(ロス低減):インド(有償)、スリランカ(有償)、カーボヴェルデ(有償)、タンザニア(有償)、ケニア(有償)、パキスタン(O&M/技協)、等

再エネ:インド(PV, 風力/有償)、ニカラグア(小水力発電/有償)、グルジア(PV/無償)、カザフスタン(PV/無償)、モルドバ(PV/無償)、レソト(PV/無償)、モ

ロッコ(PV/技協)等省エネ:ベトナム(技協)、セルビア(技協)、イラン(技協)、バングラデシュ(MP/技協)、等その他(LED):ブータン(技協)、ケニア(技協)、トンガ(無償)等

【国家計画レベルの協力】

エネルギー・マスタープラン、最適電源開発計画

ミャンマー:電力開発計画MPナイジェリア:電力MP策定調査

ヨルダン:電力MP策定調査

パキスタン:最適電源・送電開発計画策定支援

インドネシア:クリーンコールテクノロジー(CCT)バングラデシュ:石炭火力発電MPウガンダ:水力開発MPネパール:貯水式水力発電MPスリランカ:ピーク需要対応型電源最適化計画

タンザニア:ダルエスサラーム送配電系統MP策定支援

オマーン:電力省エネMP

【科学技術協力/SATREPS】タイ:新バイオディーゼル合成、非食糧系バイオマスインドネシア:地熱、総合バイオリファイナリー、バイオマス廃棄物、

ベトナム:燃料電池、

アルジェリア:ソーラーブリーダー、など

【ハイブリッド・アイランド】

島嶼国のエネルギー自給、燃料費削減

ミクロネシア(無償)、マーシャル(MP技協、無償)、バヌ

アツ(無償)、フィジー(MP技協)、トンガ(無償)、セイシャ

ル(技協)、カリコム等

【地方電化】配電網延伸の促進:ウガンダ(無償)、タンザニア(無償)、シエラレオネ(無償)、ガーナ(無償)、ブータン(有償、技協)、バングラデシュ(有償)等

分散型電源:ケニア(PV、風力、小水力、バイオマス/技協)、フィリピン(小水力/無償)、ラオス(小水力/無償)、ネパール(小水力/無償)、等

【地熱開発】クリーンで安定度抜群の再生可能エネルギー。国内一次エネルギーの有効利用や、GHG排出抑制に貢献可能なベース電源。

2018年までにアフリカ9カ国に展開、うち3カ国で発電所運開まで支援。

アフリカ:ケニア(有償、技協)、エチオピア(MP/技協)、ルワンダ(MP/技協)、ジブチ、アジア:インドネシア(有償)、中南米:ボリビア(有償)、コスタリカ(有償)、ペルー(MP/技協)

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【インド】 ●ハリヤナ州配電設備改善事業(円借款供与済) ●オディシャ州送電網整備事業(円借款供与済) ●インド国バラウニ超臨界圧石炭火力(調査実施中) ●グジャラート運河太陽光(無償形成中)

【ウズベキスタン】 ●ナボイ火力発電所近代化事業(円借款供与済) ●トゥラクルガン火力発電所建設事業(円借款供与済) ●コンバインドサイクル運用保守トレーニングセンター(技協準備中)

【スリランカ】 ●全国送配電網整備・効率化事業(円借款供与済) ●電力マスタープラン(技協準備中)

【ベトナム】 ●ダニム水力増設(40MW×2基)(円借款供与済) ●第二次送変電・配電ネットワーク整備事業(円借款供与済) ●タイビン火力発電所及び送電線建設事業(円借款供与済)●省エネ研修センター設立支援(技協実施中) 【ラオス】 ●ナムグム第一水力拡張(40MW×1基)(円借款供与済) 【カンボジア】 ●プノンペン首都圏送配電網整備 (円借款供与済) ●送変電システム運用能力強化(技協実施中) ●南部経済回廊拠点配電網整備(無償形成中)

【インドネシア】 ●ジャワ・スマトラ連系送電線(円借款供与済) ●ウルブル地熱(55MW×2基)(円借款供与済) ●地熱開発中長期促進支援(技協実施中) ●地熱発電技術開発(科学技術協力実施中)

【ミャンマー】 ●火力発電所・変電所リハビリ(円借款供与済) ●貧困削減・地方開発(円借款供与済) ●ティラワ地区インフラ開発(円借款供与済) ●電力開発計画策定支援(実施済) ●ヤンゴン配電網改善(調査実施中) ●500kV送電線(円借款形成中) ●送配電能力向上(技協形成中)

【バングラデシュ】 ●ベラマラ・コンバインドサイクル火力(300MW)(円借款供与済) ●マタバリ・超々臨界石炭火力(1000MW)(円借款供与済) 【ネパール】 ●タナフ水力(70MW×2基)(円借款供与済)

【イラク】 ●電力セクター復興事業(円借款実施中)

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【パキスタン】 ●ラクラ石炭火力(調査実施中)

【イラン】 ●政府系ビルのESCO導入に係るパイロット事業プロジェクト(技協実施中) ●クリーンエネルギー全体計画策定調査(開調準備中)

【トルコ】 ●揚水発電(調査実施中)

【ヨルダン】 ●電力マスタープラン(技協実施中)

案件マップ: アジア・中近東

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案件マップ: 東欧・アフリカ

【ボスニア・ヘルツェゴヴィナ】 ●ウグレヴィック石炭火力・排煙脱硫装置設置(円借款供与済)

【ケニア】 ●オルカリアⅠ(円借款供与済、運開済) ●オルカリアV(円借款形成中) ●地熱開発のための能力向上プロジェクト(技協

実施中) ●GDCの地熱開発戦略更新支援プロジェクト(技

協実施中)

【エジプト】 ●配電高度化事業(円借款形成中) ●ハルガタ太陽光発電(円借款形成中)

【チュニジア】 ●ラデス・ガス火力発電(円借款形成中)

【モザンビーク】 ●マプト・ガス複合式火力発電所整備事業(円借款実施中) ●ナカラ回廊送変電網強化計画(無償実施中) ●ナカラ回廊送配電網強化事業(円借款形成中) ●北部電源開発計画策定支援(実施中)

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【カーボヴェルデ】 ●送配電システム整備(円借款供与済)

【タンザニア】 ●イリンガ-シニャンガ基幹送電線強化(円借款供与済)

●ダルエスサラーム送配電系統マスタープラン(技協実施中)

●ダルエスサラーム送配電網強化計画(無償実施中)

●効率的な送配電系統のための能力開発プロジェクト(技協実施中)

●ケニア-タンザニア連系送電線事業(有償形成中)

【モロッコ】 ●太陽光発電事業F/Sプロジェクト (技協形成中)

【ザンビア】 ●南部地域送電網(円借款形成中)

【ルワンダ】 ●変電及び配電網整備計画(無償実施中) ●地熱開発推進のための電力開発計画策定支

援プロジェクト(技協実施中) ●変電及び配電網整備計画2(無償調査中)

【エチオピア】 ●全国地熱発電開発マスタープラン策定プロジェ

クト(技協実施中)

【マラウイ】 ●テザニ水力発電所増設計画(無償実施中)

【ジブチ】 ●電力供給改善計画(無償実施中) ●地熱開発にかかる情報収集・確認調査(物理探

査)(調査準備中)

【ナイジェリア】 ●電力マスタープラン策定プロジェクト(技協実施中) ●送電網強化事業(協力準備調査実施中) ●アブジャ変電設備緊急改修計画(無償形成中)

【アンゴラ】 ●電力改革支援プログラム(円借款実施中)

【セルビア】 ●ニコラ・テスラ石炭火力・排煙脱硫装置設置(円借款供与済)

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送電線建設

ウユニ塩湖

変電所 (サンクリストバル)

【ボリビア】 ●ラグナ・コロラダ地熱(50MW)(2014年 L/A)

発電所建設予定地

●世界最大のリチウム資源が賦存するウユニ塩湖開発との一体性 ●日本企業所有のサンクリストバル鉱山(銀・亜鉛)への安定的な電力供給

【コスタリカ】 ●グアナカステ地熱開発(2013年 L/A)

【ホンジュラス】 ●水力発電事業(130MW)(円借款実施中)

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【ニカラグア】 ●持続可能な電化及び再生可能エネルギー促進計画(2013年 L/A)

【ペルー】 ●モケグア州小水力(2014年 L/A)

【カリコム地域】 ●省エ・再エネ情報収集調査(実施済) ●セントビンセント・グレナダ地熱情報収集調査(調査準備中)

案件マップ: 中南米

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
インフラ開発の重要性については、2000年代に入り、世銀、JBIC(当時)等が報告書を発表。 エネルギーアクセスについては、2010年7月に開催されたダボス会議においても、”Energy Poverty Action”につき議論がなされ、貧困削減にエネルギーアクセスの改善が不可欠との認識で一致。 参考表は、先般ERIAより発表された”A Long List of Prospective Projects for Logistics and Economic Infrastructure”に掲載されている現在想定されているプロジェクトリストに基づき策定。
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次に、最近の協力ニーズと事例をみると

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・電力需要の急増(2012年1,874 MW→2030年14,542 MW(High Caseの場合))。 ・短期ニーズ(輪番停電回避)⇒既設発電所リハビリ、都市部送配電網整備 ・長期ニーズ(乾季への対応と電化率)⇒ベストミックスの確立と送配電延伸

当面の支援方針: 電力分野のリーディング・ドナーとして、 ・電力MP(2013-2014年実施済み)の運用、改訂の支援を継続 ・資金協力による既設のリハビリ、増強 ・発電、送配電分野の人材育成

2013年のミャンマー電源構成と発電所位置

ミャンマー

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・水力、石油火力が中心 ⇒天候リスク、燃料費等外的ショックへの脆弱性 ・低い電気料金⇒電力公社の財務体質悪化 ・年々先鋭化するピーク需要⇒ピーク電源の投資ニーズ増大 ⇒政府は石炭火力導入、 電気料金改定を推進 同時に、中長期的な対策が必要

<近年のJICA事業>

スリランカ

<JICA事業(新規)> 電力マスタープラン策定プロジェクト(2015~2017) ・今後25年間の全体計画(高効率石炭火力、可変速揚水、GTCC等の最適な導入計画、投資計画を検討) ・電力公社(CEB)の財務安定化・自立に向けた提言

★電力分野のリーディング・ドナーとして、

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・火力発電の老朽化による供給力・信頼性・効率の低下 (平均熱効率30%程度) ・高い環境負荷(CO2排出量は世界ワースト水準) ⇒政府はガス火力のコンバインド化を強力に推進。 そのため、計画能力強化、運転維持管理人材の育成の必要

ナボイ火力発電所

ウズベキスタン

電力セクターの包括的支援 セクター・プロジェクト・ローン(円借款によ

る発電所建設、関連機材調達) +

技術協力(MP策定、運用保守能力向上)

★電力分野のリーディング・ドナーを目指す

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<JICA事業(新規)>

イラン

クリーンエネルギー全体計画策定支援 プロジェクト (2015年下期から開始予定)

イランに現存する技術と世界の先進技術との違いを 把握し、先進技術導入の計画を作る調査: “Technology Gap Study” ○電力施設(発電、送変電、配電) の診断 ○優先施設のプレFS→適応可能な日本技術の提案と、政策・施策への提言 →発電(GTCC、効率化、環境性能向上、コジェネ)、送配電設備更新、PCB処理技術等の先進技術導入チャンス大 ★中東随一の市場ポテンシャル。技術格差調査という新たなアプローチの先例。

・埋蔵量(2014):石油世界第4位、天然ガス世界第2位 ・ 経済制裁の影響等により電力設備老朽化(発電の約7割が天然ガス火力) →非効率なエネルギー消費、送配電ロス約20%、CO2排出大、大気汚染悪化 ・ 安価な電力料金→国内エネルギーの消費量増大(特にガス)→財政へのダメージ ・ 「第5次5ヶ年計画」 →省エネ推進、環境改善、CO2排出削減

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<JICA事業展開>

電力セクター情報収集調査 →短期、中長期の対策・支援策提言

資金協力候補案件 • 配電システム高度化 • 系統連携型太陽光施設

・ 発電可能容量不足により停電頻発。→新規45GWの電源開発計画。 ・ 火力が大半(特に天然ガス炊きに依存)→電源多様化、隣国との電力融通も課題。 ・ 補助金による安い電力料金→需要家側の省エネが課題。送配電ロス対策。 ・ 再エネ導入目標=2020年に発電量全体の20% →系統安定化に課題。

(今後の方向性)

エジプト

・ 火力発電の高効率化(コンバインド化) ・ 高効率石炭火力(IPP)導入に向けた支援 ・ 国際連携線(サウジ等)によるセキュリティー確保 ・送配電効率化、配電徴収率向上→配電自動化システム、自動検針装置、スマートメーター等 ・再エネ大量導入を踏まえた系統安定化対策の検討 17

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<エネルギー安全保障> 天然ガス供給(暖房用)の多くをロシアに依存。発電用石炭(無煙炭)の大半が東部ドンバス地域に賦存→紛争により供給障害。他方で国内西域にある瀝青炭は供給過剰。 <エネルギー効率化、省エネ> 単位GDP当たりの一次エネルギー消費量はEU平均の3倍。エネルギー価格は低廉で省エネインセンティブに欠く。→IMF・世銀プログラム下での段階的値上げ。 <環境対策> EU基準適合までには大きな投資が必要

ウクライナ

<JICA事業展開>

エネルギーセクター情報収集調査 →短期、中長期の支援ニーズの把握

・ 火力発電の効率化、石炭火力最適化、 ・ EU統合に向けた制度・インフラ整備 ・ 各種省エネ普及策の促進(資金、技術両面) ・ ガス、熱供給設備の近代化、送配電ロス低減等 ・ 環境対策→先進技術の導入

(協力ニーズ、今後の方向性)

技術協力(研修、専門家派遣等)の検討

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2015年7月20日、米国と国交回復。今後、経済制裁が解除されれば、急激な変化・発展が見込まれる国。識字率は99.9%と世界トップレベル。

面積は本州の半分程度、人口は1127万人 ピーク需要は3000MW、ベースは1000MW、発電設備容量は5000MW ソ連、ベネズエラから砂糖や医者等との交換により、格安に石油を入手してきた経緯があ

り、電源の9割弱が石油・ディーゼル発電 禁輸措置により電力インフラは老朽化

車と同様、老朽化した石油火力発電所(ハバナ)

キューバ

JICAの支援方針: 2015年度下期より電力セクター情報収集調査 →短期、中長期の対策提言

課題: ・老朽火力設備のリハビリ、更新 ・エネルギー転換(石油依存からの脱却) ・再エネ導入 ・省エネ、効率化

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案件名 ステータス

スキーム 規模

1. オイスターベイ送配電施設強化計画 (2008-2010) 完了 無償 23.3

2. キリマンジャロ州地方送配電網強化計画 (2011-2013) 完了 無償 25

3. ザンジバル地域配電網強化計画 (2011-2013) 完了 無償 30

4. イリンガ-シニャンガ基幹送電線強化事業 (2010-2015) 実施中 円借款 60.48

5. 効率的な送配電システムのための能力開発プロジェクト (2009-2016) 実施中 技協 6.67

6. ダルエスサラーム送配電網強化計画 (2014-2016) 実施中 無償 44.15

7. ダルエスサラーム電力システムマスタープラン策定及び全国電力システムマスタープラン(2012)更新プロジェクト (2014-2016)

実施中 技協 3.2

8. 天然ガス利活用に係る情報収集・確認調査 (2015) 実施中 1.5

9. ケニア-タンザニア連系送電線事業 形成中 円借款 118

(億円)

タンザニア

これまでの支援状況

・電力公社(TANESCO)の財務体質改善が急務→電気料金改定、発電コスト低減、O&M改善 ・都市部送配電網の停電回避 ・乾季の天候リスクへの対応 ・低い電化率の改善 <JICAの対応方針> これまで送配電網の増強、O&M能力強化に貢献。 今後は、国産ガス利用のGTCC導入による火力増強、 電力国際融通、国内送配電網の増強・延伸に貢献。

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目的: SAPP(Southern African Power Pool)に加

わる南部アフリカ諸国の電力供給安定化への貢献

本邦技術適用の案件発掘・形成 例)系統安定化、送電効率化、大水力、大型火力等 対象国: 南アフリカ、モザンビーク、ザンビア、ナミビア、ボツワナ、マラウイ、タンザニア、アンゴラ、コンゴ民主共和国、ジンバブエ

Hydroelectric power generation Thermal power generation Nuclear power generation

H

T

N

主要基幹送電線 計画中送電線

南アが地域の需要の約80%を占める。 一方、近年は電力危機も発生。

2015 2016 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6

現地作業期間 、現地セミナー 、日本国内セミナー 招聘

南部アフリカ・パワープールSAPP

調査工程

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最後に、日本の産業界に期待すること

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<現状> フラッシュ式の50MWクラスで確実。30MWクラスでも優勢。

<異なるコンセプトのプラント出現> 従来の集中型(50MW×1基)ではない分散型(5MW×10基) → ノルウェイのメーカーGreen Energy Group が5MWクラスの坑口発電プラントを製

品化。生産井が掘削される度にプラントを設置・発電することが可能。資金回収のタイミングが早い。GEGは性能面(蒸気消費率)でも大規模プラントと同等と世界で営業中。

JICAでは他ドナーや途上国の動向、投資情報、他国のメーカーの製品情報の発信し、本邦企業の海外進出及びイノベーションの喚起を図っている。

海外地熱プラントメーカーの動向

集中型 分散型

蒸気で輸送 電気で輸送

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課題別のJICA国内研修

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日本の産業界への期待

政策支援と人材育成(政策へのインプットと知日派育成)

新技術の導入、投資環境整備、人材育成に関してODAの戦略的活用を!

インド洋の時代に向けた官民連携

東南アジア・環太平洋に加えて、インド洋の時代に備えたプレゼンス向上を!

Science & Technology(日本の魅力、差別化戦略)

半歩先、一歩先を行く技術の開発・社会実装の加速を!

途上国・新興国との対話を通じた商品開発(顧客第一、コスト第二)

途上国・新興国ニーズに合ったという意味でより良いものをより安くより速く!

★JICAは、産業界とのコミュニケーションを一層強化して参る所存。

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コンタクト先:

JICA産業開発・公共政策部

資源エネルギーグループ

アジア・中近東・欧州:第一チーム(相良課長)

Tel:03-5226-8065

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アフリカ・中南米:第二チーム(佐藤課長)

Tel:03-5226-8059

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